特許第5774611号(P5774611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774611
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】両用液体洗濯洗剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20150820BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20150820BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20150820BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20150820BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   C11D17/08
   C11D1/29
   C11D1/04
   C11D3/37
   C11D1/83
【請求項の数】8
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2012-556147(P2012-556147)
(86)(22)【出願日】2011年3月1日
(65)【公表番号】特表2013-521377(P2013-521377A)
(43)【公表日】2013年6月10日
(86)【国際出願番号】US2011026567
(87)【国際公開番号】WO2011109319
(87)【国際公開日】20110909
【審査請求日】2012年9月4日
(31)【優先権主張番号】61/309,276
(32)【優先日】2010年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 保孝
(72)【発明者】
【氏名】ユージン、スティーブン、サドロースキー
(72)【発明者】
【氏名】シャリ、ジョイ、ソーパー
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−542896(JP,A)
【文献】 特表2009−530478(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/114226(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/005737(WO,A1)
【文献】 特表2006−528264(JP,A)
【文献】 特表2008−510858(JP,A)
【文献】 特表2006−528266(JP,A)
【文献】 特開2001−087602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡適合性及び改善された洗浄性を有する、上入れ式洗濯機および前入れ式洗濯機の両方に用いるための水性液体洗剤組成物であって、
a)前記組成物の1重量%〜60重量%の界面活性剤系であって、
i)前記界面活性剤系の少なくとも35重量%のアルキルエトキシサルフェートと、
ii)前記界面活性剤系の1重量%〜10重量%の非イオン性界面活性剤と、
iii)前記界面活性剤系の10重量%未満(ただし、0重量%を除く)の石鹸と、
を含む、界面活性剤系と、
b)前記組成物の0.001重量%〜4.0重量%の、シリコーン樹脂及び修飾シリカである一次充填剤と結合したアリール又はアルキルアリール置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマー、並びにこれらの混合物から選択される消泡剤と、
c)前記組成物の0.01重量%〜2.5重量%の、結晶性ヒドロキシル含有構造剤、ポリマーゴム、及びこれらの混合物から選択される構造剤と、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記消泡剤が、
a)80〜92%のエチルメチル,メチル(2−フェニルプロピル)シロキサン、5〜14%のステアリン酸オクチル中のMQ樹脂、及び3〜7%の修飾シリカの混合物、
b)78〜92%のエチルメチル,メチル(2−フェニルプロピル)シロキサン、3〜10%のステアリン酸オクチル中のMQ樹脂、4〜12%の修飾シリカの混合物、並びに
c)これらの混合物から選択され、
パーセンテージが前記消泡剤の重量による、請求項1に記載の水性液体洗剤組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記組成物の40重量%〜90重量%の水を含む、請求項1又は2に記載の水性液体洗剤組成物。
【請求項4】
前記組成物が、前記組成物の5重量%〜50重量%の前記界面活性剤系を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の水性液体洗剤組成物。
【請求項5】
前記組成物が、前記組成物の0.01重量%〜2.0重量%の前記シリコーン消泡剤を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の水性液体洗剤組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の少なくとも50重量%のアルキルエトキシサルフェートを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の水性液体洗剤組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記組成物の0.1重量%〜10.0重量%の、酵素、酵素安定剤、光学的増白剤、粒子状材料、ヒドロトロープ、香料及びその他の賦香剤、香料マイクロカプセル、汚れ懸濁ポリマー及び/又は汚れ放出ポリマー、泡抑制剤、布地ケア効果剤、pH調整剤、移染阻害剤、防腐剤、色相染料、非布地直接染料、カプセル化活性物質、並びにこれらの混合物から選択される洗濯補助剤を更に含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の水性液体洗剤組成物。
【請求項8】
紡織衣類の処理のための、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AES界面活性剤及びシリコーン泡抑制剤を含有する液体洗濯洗剤組成物の分野に関する。本発明はまた、かかる組成物を紡織製品の処理に使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在、北米の家庭用洗濯機市場(並びにある程度の洗濯機の世界市場)は、主に2種の洗濯機、(1)「上入れ式」つまり「縦軸型」形状と、(2)「前入れ式」、「高性能」(「HE」)、つまり「水平軸ドラム型」洗濯機に分かれている。これまでは、欧州の家庭で水平軸ドラム型洗濯機がより多く見られていたが、最近は、一つにはより厳しくなったエネルギー及び水の消費規制により北米市場で成功しており、前入れ式形状を有する新規洗濯機の販売数が増えた。しかしながら、洗濯機の買い替え率は典型的には非常に低い(消費者の多くは、古い機械が機能しなくなるまで買い替えを待つ)ため、かなりの間は2種の洗濯機が存在し続けると予想される。
【0003】
この2種の洗濯機が北米の消費者(特に米国であるが、実際にはある程度は全世界の消費者)に使用されているため、それぞれの種類の洗濯機で使用するのに好適な洗濯洗剤に対する消費者ニーズが存在する。多くの場合、現在市販されている家庭用洗濯洗剤は、どちらかの種類の洗濯機用に処方されており、両用ではない。このように製品処方が2種類あるのには、理由、すなわち論理的結論がある。
【0004】
2種類の洗剤が提供される理由としては、各種洗濯機において洗剤を適切に機能させつつも、消費者が求める洗濯中の泡立ち特性を提供しようとする製造業者の試みによるものが多い。奇妙かもしれないが、消費者は泡と洗浄とを関連させるようになっており、そのため洗濯洗剤の製造業者は、洗濯サイクル中に消費者の期待に応える適当な量の泡がみられることを確実にしなくてはならない。不適当な量の泡が生じると、たとえ適切な洗浄をもたらしているとしても、消費者が洗剤の使用を完全にやめる場合がある。
【0005】
上入れ式洗濯機用に現在販売されている処方は、典型的には泡立ちがより高く、脂肪酸(石鹸)又は非イオン性界面活性剤が少ない、又はそれを含まない、より優れた洗浄性の界面活性剤組成物から容易に処方できる。対照的に、前入れ式洗濯機は、設計上の制限のために、典型的には洗濯サイクル中に高い泡立ちを有することができない。このような洗濯機の製造業者は、洗濯サイクル中に機械から水漏れしないように、適所に泡検出器を設置している。機械は、高度に泡立っている間、典型的には少なくとも一時的に止まって(「泡立ちエラー」)、泡を消散させる。したがって、ほとんどの状況において、上入れ式用洗剤を前入れ式洗濯機で用いると、機械は非常にゆっくりと作動する(サイクル中に泡を低減させるために何回か止まる)か、完全に止まるかのいずれかであろう。いずれの結果も消費者にとって非常に苛立たしい。
【0006】
洗剤製造業者は、前入れ式洗濯機用に別個の洗剤処方を開発することにより、この問題に対処してきた。このような前入れ式用高性能洗濯洗剤、つまり「HE洗濯洗剤」は、多くの場合、北米の商店の、従来の前入れ式用処方と同じエリアで売られているが、消費者が認識可能な「HE」マークが付けられている。
【0007】
このような泡立ち制御法の1つは、処方中の脂肪酸及び/又は非イオン性界面活性剤の濃度を上げることである。しかしながら、1つの処方のみに言及する場合は簡単に思える解決策かもしれないが、多くの異なる洗剤処方、香り、及び洗浄の種類のそれぞれについて、2つの異なる種類の処方を製造しようとすると、物流的に非常に難しくなる。更に、消費者に対して同様に販売されている2種類の処方を有することは、消費者を混乱させ、かつ思いがけなく誤った製品を購入した場合の不満の原因になる場合もある。
【0008】
したがって、両方の種類の洗濯機において消費者のニーズに合致できる単一の洗濯洗剤組成物を供給する必要がある。
【0009】
更に、従来、上入れ式用処方は、より多く泡立ち、脂肪酸(石鹸)又は非イオン性界面活性剤が少ないか、それを含まない、より優れた洗浄性の界面活性剤系をより多く含有することができる。しかしながら、HE処方における泡立ちを制御するために、これら材料が典型的にはより多く用いられ、当該処方の洗浄性能を低下させる結果となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、上入れ式洗濯機及びHE洗濯機の両方向けの単一の洗濯洗剤組成物を供給するだけではなく、良好な洗浄をもたらす組成物を供給する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで驚くべきことに、比較的高濃度のAES界面活性剤を、厳選した高性能シリコーン消泡化合物と組み合わせた比較的低濃度の非イオン性界面活性剤及び石鹸界面活性剤と用いることにより、単一の処方が、上入れ式及びHE家庭用洗濯機の両方において許容できる洗浄、臭気及び泡立ち制御性を提供できることが見出されている。驚くべきことに、この泡立ち特性は自動調整式であり、上入れ式洗濯機では好ましい高い泡立ちを示す一方で、HE洗濯機では機械に適合する制御レベルの泡立ちを与える。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用するとき、「洗濯洗剤組成物」には、家庭用洗濯機内で布地、例えば衣類を濡らして洗浄することができる流体を含む任意の組成物が挙げられる。組成物は、固体又は気体を好適に細分された形態で含むことができるが、組成物全体は、全体として非流動性の、例えば錠剤又は顆粒の製品形態を除外する。コンパクトな流体洗剤組成物には、任意の固形の添加物は除外されるが、存在する場合、任意の泡は含まれ、好ましくは1立方センチメートルあたり、0.9グラム〜1.3グラム、更に具体的には、1.00グラム〜1.10グラムの範囲の密度を有する。
【0013】
本明細書で用いられる全ての百分率、比率、及び割合は、特に指定しない限り、組成物の重量百分率による。全ての平均値は、特に明確に指示がない限り、組成物又はその構成成分の「重量により」計算される。
【0014】
水性液体洗剤組成物
本明細書の水性液体洗剤組成物は、好ましくは洗濯洗剤組成物であり、より好ましくは、HE洗濯機、及び北米の家庭で従来見られる上入れ式家庭用洗濯機の両方での使用を意図する、両用水性液体洗濯洗剤組成物である。洗浄と適切な泡立ちレベルを組み合わせたこれらの組成物の利点は、この市場において最もよく見られるが、当然のことながら、このような組成物は、他の洗濯洗浄分野及び一般的洗浄分野において用いることもできる。
【0015】
したがって、本明細書の水性液体洗剤組成物は、水と、AES、10%未満の非イオン性界面活性剤、10%未満の石鹸、消泡剤、及び構造剤を含む界面活性剤系と、を含有する。かかる組成物を以下でより詳しく説明する。
【0016】
本発明は、パッケージに含まれる流動性洗濯組成物を含む、液状及び/又はゲル状洗濯洗剤と、そのパッケージ化形態と、を含み、ここで(i)流動性洗濯組成物は、安定時、又は最大10Paの剪断応力下で少なくとも100Pa.s、好ましくは少なくとも500Pa.sの粘度を有する。
【0017】
この組成物は、ずり減粘ゲル状組成物も含む。このような組成物の剪断応力下粘度は、300Pa.s未満、好ましくは100Pa.s未満、より好ましくは5Pa.s未満、更により好ましくは高くとも1Pa.s、最も好ましくは高くとも0.5Pa.sであり得る。
【0018】

本明細書の洗剤組成物は、濃縮された、水性液体形態の又はゲル形態の洗濯洗剤組成物であり得る。本発明の洗剤組成物の水分含量は、当該組成物の少なくとも1重量%、あるいは約1重量%〜約45重量%、あるいは約10重量%〜約40重量%の水を含む。一実施形態では、組成物は、当該組成物の約35重量%〜約99重量%、あるいは約40重量%〜約90重量%の水を含む。
【0019】
界面活性剤系
本明細書の洗剤組成物は、当該組成物の約1重量%〜約60重量%、あるいは約5重量%〜約50重量%、あるいは約15重量%〜約35重量%の界面活性剤系を含む。一実施形態では、洗剤組成物は、当該組成物の約20重量%〜約30重量%の界面活性剤系を含む。
【0020】
本明細書の界面活性剤系は、アルキルエトキシサルフェート界面活性剤、10%未満の非イオン性界面活性剤、10%未満の石鹸を含み、以下に記載するその他の界面活性剤を含んでよい。
【0021】
アルキルエトキシサルフェート
本明細書の洗剤組成物は、当該界面活性剤系の少なくとも35重量%、あるいは少なくとも50重量%のアルキルエトキシサルフェート(AES)を含む。一実施形態では、界面活性剤系は、当該界面活性剤系の少なくとも60重量%のアルキルエトキシサルフェートを含む。
【0022】
本明細書で有用なアルキルエトキシサルフェート(Alkyethoxysulfates)としては、C10〜C18アルキルアルコキシサルフェートが挙げられる。アルキルエーテルサルフェート又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても既知のこうした物質は、次の一般式に対応するものである。
【0023】
R’−O−(CO)−SO
式中、R’はC〜C20アルキル基であり、nは約1〜20であり、Mはカチオンである。一実施形態では、R’はC10〜C18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mはカチオンである。更に具体的な実施形態では、R’はC12〜C16であり、nは約1〜6である。本明細書で使用するとき、表記「EOx」はアルコキシ基がエトキシ基であることを示し、整数「x」は各鎖におけるエトキシ基の数を示す。
【0024】
アルキルエーテルサルフェートは、一般に、種々のR’鎖長及び種々のエトキシル化度を含む混合物の形態で使用される。多くの場合、平均n値はゼロを超えてよいが、このような混合物は、非エトキシル化アルキルサルフェート物質、すなわち、上記エトキシル化アルキルサルフェートの式(式中、その特定の分子についてはn=0である)の個々の界面活性剤分子も必然的に一部含有するであろう。
【0025】
非イオン性界面活性剤
本明細書の洗剤組成物は、界面活性剤系の0重量%〜約10重量%の非イオン性界面活性剤を含む。一実施形態では、洗剤組成物は、界面活性剤系の約1重量%〜約10重量%、あるいは5重量%未満の非イオン性界面活性剤を含む。
【0026】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤には、いわゆる狭いピークを有するアルキルエトキシレート及びC6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及び混合されたエトキシ/プロポキシ)などのC12〜C18アルキルエトキシレート(「AE」)、C6〜C12アルキルフェノールのブロックアルキレンオキシド縮合体、C8〜C22アルカノールのアルキレンオキシド縮合体及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー(Pluronic−BASF Corp.)が挙げられ、並びに、半極性の非イオン性物質(例えば、アミンオキシド及びホスフィンオキシド)を本組成物に使用することができる。更に、以下の式を有するアミンオキシド界面活性剤も本発明の組成物に有用である:R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’).qHO(I)。Rは、飽和又は不飽和の、線状又は分枝鎖であることができる比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16一級アルキルである。R’は短鎖部分であり、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ(propyleneneoxy)、BOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤は、C12〜14アルキルジメチルアミンオキシドにより例示される。
【0027】
これらの種の界面活性剤の広範囲の開示が、米国特許第3,929,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)に見出される。
【0028】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤としては、式R1(OC2H4)nOH(式中、R1はC10〜C16アルキル基、又はC8〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜約80である)のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドと縮合されたC12〜C15アルコール縮合生成物であってもよく、例えば、アルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合されたC12〜C13アルコールである。
【0029】
別の好適な非イオン性界面活性剤としては、次の式のポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【化1】
式中、RはC9〜17アルキル又はアルケニルであり、R1はメチル基であり、Zは還元糖又はそのアルコキシル化誘導体由来のグリシジルである。実施例としては、N−メチルN−1−デオキシグリシチルココアミド及びN−メチルN−1−デオキシグリシチルオレアミドが挙げられる。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの製造プロセスは既知であり、米国特許第2,965,576号(Wilson)及び同第2,703,798号(Schwartz)に見出すことができる。
【0030】
その他の有用な非イオン性界面活性剤は、メチルエステルエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルポリヒドロキシアミド(グルカミド)、及びグリセロールモノエーテルである。
【0031】
石鹸
本明細書の洗剤組成物は、界面活性剤系の0重量%〜約10重量%の石鹸を含む。石鹸は、「脂肪酸カルボキシレート」とも称され、脂肪酸の中和で生成されて、次の一般式を有する一級カルボキシレート、つまり石鹸を形成する。
【0032】
RCOO−M
式中、Rは典型的にはC〜C21アルキル基(直鎖であっても分枝鎖であってもよい)であり、Mはカチオンである。特定の実施形態では、RはC〜C17アルキル、より具体的にはRはC11〜C15である。
【0033】
本明細書で有用な脂肪酸の例は、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、フィタン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、シスエレオステアリン酸、トランスエレオステアリン酸(eleosteric acid)、リノレン酸、アラキドン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよい。不飽和脂肪酸は、典型的には、15〜25、好ましくは18〜22のヨウ素価、及び1:1〜200:1、好ましくは10:1〜200:1のシス:トランス異性体比を有する。
【0034】
好ましい脂肪酸源は、ココナツ、大豆、タロー、パーム、パーム核、菜種、ラード、ヒマワリ、コーン、サフラワー、キャノーラ、オリーブ、ピーナッツ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
追加の界面活性剤
本明細書の界面活性剤系は、他のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される、当該界面活性剤系の0重量%〜約65重量%、あるいは約15重量%〜約50重量%の追加の界面活性剤を更に含んでよい。
【0036】
他のアニオン性界面活性剤
洗剤組成物は、AESに加えて、1つ以上の他のアニオン性界面活性剤を含んでよい。「Surfactant Science Series」、Vol.7、W.M.Linfield編(Marcel Dekker)に開示されるものなどの、洗剤組成物の技術分野において既知の各アニオン性界面活性剤を本質的に使用することができる。アニオン性界面活性剤の例としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその水溶性塩形態などのスルホン酸界面活性剤が挙げられる。
【0037】
本明細書に用いるのに好適なアニオン性スルホネート又はスルホン酸界面活性剤としては、酸及び塩形態の、直鎖又は分枝鎖C5〜C20、例えばC11〜C13アルキルベンゼンスルホネート、C5〜C20アルキルエステルスルホネート、C6〜C22一級又は二級アルカンスルホネート、C5〜C20スルホン化ポリカルボン酸、及びこれらの任意の混合物が挙げられる。上記界面活性剤は、2−フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。
【0038】
本明細書で用いるのに好適なアニオン性サルフェート塩としては、9〜22個の炭素原子、又はより好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル又はアルケニル部分を有する、一級及び二級アルキルサルフェートが挙げられる。
【0039】
(界面活性剤又は混合物の)重量平均分枝度が少なくとも50%である、β−分枝状アルキルサルフェート界面活性剤、又は市販の物質の混合物も同様に有用である。
【0040】
中鎖分枝状アルキルサルフェート又はスルホネートもまた、本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤である。好ましいものは、C5〜C22の、好ましくはC10〜C20の中鎖分枝状アルキル一級サルフェートである。混合物を使用する場合、アルキル部分の炭素原子の好適な平均合計数は、好ましくは14.5超〜17.5の範囲内である。好ましいモノ−メチル−分枝状一級アルキルサルフェートは、3−メチル〜13−メチルペンタデカノールサルフェート、対応するヘキサデカノールサルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ジメチル誘導体、又は軽度な分枝を有する他の生分解性のアルキルサルフェートも同様に使用することができる。
【0041】
本明細書で用いるその他の好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルポリアルコキシル化カルボキシレート(AEC)が挙げられる。
【0042】
アニオン性界面活性剤は、典型的にはアルカノールアミン又はアルカリ金属(ナトリウム及びカリウムなど)との塩形態で存在する。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルカノールアミン(モノエタノールアミン又はトリエタノールアミンなど)で中和され、液相中に完全に可溶性である。
【0043】
その他の界面活性剤
カチオン性界面活性剤:本発明で使用するカチオン性界面活性剤は、水溶性、水分散性又は非水溶性であり得る。このようなカチオン性界面活性剤は、少なくとも1個の四級化窒素、及び少なくとも1個の長鎖ヒドロカルビル基を有する。2個、3個又は更には4個の長鎖ヒドロカルビル基を含む化合物も含まれる。例としては、C12アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩、又はそれらのヒドロキシアルキル置換された類似体が挙げられる。当該技術分野において既知の組成物、例えば、1%以上のカチオン性界面活性剤(例えばC12アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなど)を含んでもよい。このようなカチオン性界面活性剤は、カチオン性に帯電した有機部分である。理論に束縛されることを意図するものではないが、カチオン性界面活性剤は、組成物中のアニオン性界面活性剤とイオン対を形成する能力を有し、かつ付着助剤を妨げる。本発明の好ましい実施形態では、そのようなカチオン性に帯電した有機部分、特にカチオン性界面活性剤の使用が回避される。
【0044】
米国特許第4,565,647号(Llenado)に開示されているようなアルキル多糖類もまた本発明の組成物で有用な非イオン性界面活性剤である。
【0045】
アルキルポリグルコシド界面活性剤も好適である。
【0046】
両性及び/又は双性イオン性界面活性剤:
本発明の流体洗濯洗剤組成物で使用するのに好適な両性又は双性イオン性洗浄界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケアクレンジングでの使用が既知のものが挙げられる。好適な双性イオン性又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.ら)、及び第5,106,609号(Bolich Jr.ら)に記載されている。
【0047】
組成物に使用するのに好適な両性洗浄界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として幅広く記載される界面活性剤が挙げられ、この界面活性剤では、脂肪族ラジカルは線状又は分枝状であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つは8〜18個の炭素原子を含有し、1つはアニオン基(例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含有する。本発明での使用に好適な両性洗浄界面活性剤としては、限定するものではないが、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
本組成物に用いるのに好適な双性イオン性洗浄性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述される界面活性剤が挙げられ、脂肪族ラジカルは線状又は分枝状であることができ、脂肪族置換基の1つは、約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン基を含有する。ベタインなどの双性イオン性界面活性剤は、本発明に好適である。
【0049】
本組成物に用いるのに好適なその他の従来のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の例は、McCutcheon著「Emulsifiers and Detergents」1989 Annual(M.C.Publishing Co.出版)、及び米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されている。2つ以上の界面活性剤の混合物を使用してよい。
【0050】
消泡剤
本明細書の洗剤組成物は、当該組成物の約0.001重量%〜約4.0重量%の、シリコーン消泡化合物、シリコーンオイル及び疎水性粒子の消泡化合物、及びこれらの混合物から選択される消泡剤を含む。一実施形態では、本明細書の洗剤組成物は、当該組成物の約0.01重量%〜約2.0重量%、あるいは0.05重量%〜約1.0重量%のシリコーン消泡剤を含む(活性物質量によるパーセンテージはいかなるキャリアも含まない)。
【0051】
一実施形態では、消泡剤は、シリコーン樹脂及び修飾シリカと結合したアリール又はアルキルアリール置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマー、M/Q樹脂、及びこれらの混合物から選択される。
【0052】
一実施形態では、消泡剤は、シリコーン樹脂及び一次充填剤と結合したアリール又はアルキルアリール置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマーから選択される。
【0053】
米国特許第6,521,586 B1号、同第6,521,587 B1号、米国特許出願第2005 0239908 A1号、同第2007 01673 A1号(Dow Corning Corp.)、及び米国特許出願第2008 0021152 A1号(Wacker Chemie AG)に記載されるような、シリコーン樹脂及び修飾シリカと結合したアリール又はアルキルアリール(alkyaryl)置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマーからなるシリコーン消泡化合物が特に好ましい。
【0054】
一実施形態では、シリコーン消泡剤は、米国特許第6,521,586号(Dow Corning Corp.)に記載されるように調製されることができ、消泡剤は、
a)約80〜約92%のエチルメチル,メチル(2−フェニルプロピル)シロキサン、約5〜約14%のステアリン酸オクチル中のMQ樹脂、及び約3〜約7%の修飾シリカの混合物、
b)約78〜約92%のエチルメチル,メチル(2−フェニルプロピル)シロキサン、約3〜約10%のステアリン酸オクチル中のMQ樹脂、及び約4〜約12%の修飾シリカの混合物、並びに
c)これらの混合物から選択され、
パーセンテージは、消泡剤の重量による。
【0055】
本明細書で有用な消泡剤は、
i)一次充填剤、好ましくは修飾シリカと結合する、アリール又はアルカリル置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマー、
ii)シリコーン樹脂、好ましくはM/Q樹脂、の混合物から選択される。
【0056】
アリール又はアルカリル置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマー(構成成分(i)中)は、好適には式R(RO)SiO(4−a−b−c)/2(I)の単位を有する少なくとも1つの有機ケイ素化合物から選択され、式中、各Rは同一でも異なっていてもよく、H又は一価の、SiC結合される、任意に置換された脂肪族炭化水素ラジカルであり、脂肪族基を介してケイ素に共有結合する少なくとも1つの芳香族炭化水素ラジカルを含む。Rは、同一でも異なっていてもよく、炭素環原子を介してSiに結合されるH又は一価の任意に置換された炭化水素ラジカルであり、Rは、同一でも異なっていてもよく、炭素環原子を介してケイ素原子に結合される一価の任意に置換された芳香族炭化水素ラジカルであり、aは0、1、2又は3であり、bは0、1、2又は3であり、cは0、1、2又は3であり、ただし合計a+b+cは3以下であり、1分子あたりの式(I)の全ての単位の1〜100%、好ましくは10〜60%、より好ましくは20〜40%において、cは0以外であり、有機ケイ素化合物中、式(I)の全ての単位の少なくとも50%において、合計a+b+cは2である。
【0057】
シリコーン樹脂(構成成分(ii))は、好適には式R(RO)SiO(4−d−e)/2(II)の単位で構成されるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中、Rは同一でも異なっていてもよく、H又は一価の任意に置換され、SiC結合される炭化水素ラジカルである。Rは同一でも異なっていてもよく、H又は一価の任意に置換された炭化水素ラジカルであり、dは0、1、2又は3であり、eは0、1、2又は3であり、
ただし合計d+e≦3であり、オルガノポリシロキサン樹脂中、式(II)の全ての単位の50%未満において、合計d+eは2である。
【0058】
消泡剤は、式R(RO)SiO(4−g−h)/2(III)の単位を有する有機ケイ素化合物を更に任意に含むことができ、式中、Rは同一でも異なっていてもよく、Rについて記載した意味を有し、Rは同一でも異なっていてもよく、Rについて記載した意味を有し、gは0、1、2又は3であり、hは0、1、2又は3であり、ただし合計g+h≦3であり、有機ケイ素化合物中、式(IV)の全ての単位の少なくとも50%において、合計g+hは2である。
【0059】
一実施形態では、アリール又はアルカリル置換基構成要素を有するオルガノ修飾シリコーンポリマーは、ケイ素原子に直接結合される芳香族ラジカルを含む。このようなポリマーでは、式(I)の単位中のケイ素原子と、芳香族環に属する炭素原子との間に共有結合がある。
【0060】
ラジカルRの例は、アルキルラジカル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチルラジカル、ヘキシルラジカル、例えばn−ヘキシルラジカル、ヘプチルラジカル、例えばn−ヘプチルラジカル、オクチルラジカル、例えばn−オクチルラジカル、及びイソオクチルラジカル、例えば2,2,4−トリメチルペンチルラジカル、ノニルラジカル、例えばn−ノニルラジカル、デシルラジカル、例えばn−デシルラジカル、ドデシルラジカル、例えばn−ドデシルラジカル;アルケニルラジカル、例えばビニル及びアリルラジカル;シクロアルキルラジカル、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルラジカル、及びメチルシクロヘキシルラジカル、並びに脂肪族基を介してケイ素原子に結合される芳香族基、例えばベンジルラジカル、フェニルエチルラジカル、又は2−フェニルプロピルラジカルである。
【0061】
置換されたラジカルRの例は、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピルラジカル、シアノエチル、グリシジルオキシ−n−プロピル、ポリアルキレングリコール−n−プロピル、アミノ−n−プロピル、アミノエチルアミノ−n−プロピル、及びメタクリロイルオキシ−n−プロピルラジカルである。
【0062】
好ましくは、ラジカルRは、水素原子、又は任意に置換された1〜30個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカル、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカル、特にメチルラジカルを含む。
【0063】
ラジカルRの例は、水素原子、並びにラジカルR及びRに関して表されるラジカルである。
【0064】
好ましくは、ラジカルRは、水素原子又は任意に置換された1〜30個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、より好ましくは水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、特にメチル又はエチルラジカルを含む。
【0065】
の例は、アリールラジカル、例えばフェニル、トルオイル(toloyl)、キシリル、クミル、ナフチル、及びアントラシルラジカルである。
【0066】
ラジカルRは、好ましくはフェニルラジカルである。
【0067】
ラジカルRは、構成成分(i)中の、好ましくは10〜100%、より好ましくは15〜50%のSiC結合ラジカルである。好ましくは、bは0又は1、より好ましくは0である。好ましくは、cは0、1又は2である。
【0068】
好ましくは、5%未満、特に1%未満のラジカルRが水素原子である。
【0069】
構成成分(i)として用いられる式(I)の単位を含有する有機ケイ素化合物は、好ましくは分枝鎖又は直鎖オルガノポリシロキサンであり、より好ましくは式(I)の単位からなる。
【0070】
本発明の文脈において、用語「オルガノポリシロキサン」は、ポリマー、オリゴマー、及びダイマーのシロキサンを包含することを意図する。
【0071】
本発明の構成成分(i)中のアリール又はアルカリル置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマーの例は、単位PhSiO1/2−、PhMeSiO1/2−、PhMeSiO1/2−、PhSiO2/2−、PhMeSiO2/2−及びPhSiO3/2−を含むものであり、ここでMeはメチルラジカルを意味し、Phはフェニルラジカルを意味し、例えば、式MeSiO(PhSiO)(MeSiO)SiMe、MeSiO(PhMeSiO)(MeSiO)SiMe
MeSiO(PhSiO)(PhMeSiO)(MeSiO)SiMe、及びMeSiO(PhSiO)(MeSiO)SiMeの直鎖ポリシロキサン、並びにまた、式MeSi[O(PhSiO)(MeSiO)SiMe
PhSi[O(PhMeSiO)(MeSiO)SiMe、及びMeSiO(MeSiO)[PhSiO(OMeSiO)SiMe(MeSiO)SiMeの分枝鎖ポリシロキサンなどであり、係数v、x、及びyは互いに独立して選択する1以上の値であり、zは0又は1以上である。v、x、y、及びzの合計は重合度を決定し、vは分枝数、したがって粘度を決定する。
【0072】
本発明のアリール又はアルカリル置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマーは、好ましくは10〜1 000 000mPas、より好ましくは100〜50 000mPas、特に500〜5 000mPasの、いずれも25℃で測定される粘度を有する。
【0073】
本発明のアリール又はアルカリル置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマーは市販製品であるか、又は有機ケイ素化学においてこれまでに周知の任意の方法、例えば、対応するシランの共加水分解などにより調製できる。
【0074】
本発明で使用される消泡剤は、いずれも100重量部の構成成分(i)に基づき、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部の量の一次充填剤、好ましくは修飾シリカを含んでよい。
【0075】
本発明に従って使用される一次充填剤は、粉末充填剤のみ、より好ましくは粉末疎水性充填剤を含んでよい。
【0076】
好ましくは、一次充填剤構成成分は、20〜1000m/gのBET表面積、10μm未満の粒径、及び100μm未満の粒塊径を有する。
【0077】
一次充填剤の例は、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、金属石鹸、石英粉末、PTFE粉末、脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、及び超微粒子状疎水性ポリウレタンである。
【0078】
一次充填剤構成成分として、20〜1000m/gのBET表面積、10μm未満の粒径、及び100μm未満の粒塊径を有する二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、又は酸化アルミニウムを使用するのが好ましい。
【0079】
一次充填剤構成成分として特に好ましいのは、シリカ、特に50〜800m/gのBET表面積を有するものである。これらのシリカは、発熱性又は沈殿シリカであってよい。
【0080】
一次充填剤として、両方の前処理済みシリカ、すなわち、商業上一般的な疎水性シリカ、及び親水性シリカの使用が可能である。
【0081】
本発明に従って使用できる疎水性シリカの例は、140m/gのBET表面積を有する発熱性ヘキサメチルジシラザン処理済みシリカであるHDK(登録商標)H2000(Wacker−Chemie GmbH(Germany)から市販)、及び90m/gのBET表面積を有する沈殿ポリジメチルシロキサン処理済みシリカ(Degussa AG(Germany)から「Sipernat(登録商標)D10」の名称で市販)である。
【0082】
一次充填剤構成成分として疎水性シリカが用いられる場合、親水性シリカをその場で疎水性化することも可能であり、そうした場合、消泡剤の所望の効果にとって有利である。シリカの疎水性化には多くの既知の方法がある。例えば、構成成分の分散液(i)、又はアリール若しくはアルカリル置換基を有するオルガノ修飾シリコーンポリマーのシリコーン樹脂との混合液(ii)中のシリカを、100〜200℃の温度で数時間加熱することにより、親水性シリカをその場で疎水性化できる。この反応は、KOHなどの触媒、及び短鎖OH末端ポリジメチルシロキサン、シラン、又はシラザンなどの疎水性化剤を加えることにより補助され得る。この処理は、商業上一般的な疎水性シリカを用いても可能であり、効果の改善に貢献できる。
【0083】
他には、商業上一般的な疎水性シリカによりその場で疎水性化されたシリカの組み合わせを使用することが可能である。
【0084】
ラジカルRの例は、水素原子、並びにラジカルR及びRに関して表されるラジカルである。
【0085】
好ましくは、Rは、任意に置換された1〜30個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、特にメチルラジカルを含む。
【0086】
ラジカルRの例は、ラジカルRに関して表されるラジカルである。
【0087】
ラジカルRは、好ましくは水素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、具体的には水素原子、メチルラジカル、又はエチルラジカルを含む。
【0088】
好ましくは、dの値は3又は0である。
【0089】
本発明に従って用いられる樹脂構成成分(ii)は、好ましくは、樹脂中の30%未満、好ましくは5%未満の単位について合計d+eが2である、式(II)の単位で構成されるシリコーン樹脂を含む。
【0090】
特に好ましくは、シリコーン樹脂構成成分(ii)は、RSiO1/2(M)及びSiO4/2(Q)単位(Rは上記定義と同じ)から本質的になるオルガノポリシロキサン樹脂を含み、これらの樹脂はMQ樹脂とも呼ばれる。M単位とQ単位のモル比は、好ましくは0.5〜2.0の範囲であり、より好ましくは0.6〜1.0の範囲である。これらのシリコーン樹脂は更に、最大10重量%の遊離ヒドロキシル基又はアルコキシ基を含有してよい。
【0091】
好ましくは、樹脂構成成分(ii)は、25℃において1000mPasを超える粘度を有するか、又は固体である。これらの樹脂の、ゲル透過クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)により測定される重量平均分子量は、好ましくは200〜200 000g/mol、特に1000〜20 000g/molである。
【0092】
樹脂構成成分(ii)は商業上一般的な製品を含んでよく、又はケイ素化学において一般的な方法、例えば欧州特許第927 733(A)号に従って調製できる。
【0093】
消泡剤は更に、列挙される順の重量比が0.01〜50、より好ましくは0.1〜7である一次充填剤(好ましくは修飾シリカ)及び樹脂(ii)の両方を含む実施形態を包含する。
【0094】
ラジカルRの例は、ラジカルRに関して表される例である。
【0095】
好ましくは、ラジカルRは、水素原子、又は任意に置換された、1〜30個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカル、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカル、特にメチルラジカルを含む。
【0096】
ラジカルRの例は、水素原子、並びにラジカルR及びRに関して表されるラジカルである。
【0097】
好ましくは、ラジカルRは、水素原子、又は任意に置換された、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、より好ましくは水素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、特にメチルラジカル又はエチルラジカルを含む。
【0098】
gの値は、好ましくは1、2又は3である。hの値は、好ましくは0又は1である。
【0099】
構成成分(i)及び(ii)に加えて、消泡剤は、例えば、泡抑制剤処方においてこれまでも用いられてきた更なる物質、例えば非水溶性有機化合物などを含む。
【0100】
用語「非水溶性」は、本発明の目的では、25℃、1013.25hPaの圧力下において水への溶解度が2重量パーセント以下を意味すると理解されることを意図する。
【0101】
任意に用いられる非水溶性有機化合物は、好ましくは、周囲大気圧下、すなわち900〜1100hPa下で100℃超の沸点を有する非水溶性有機化合物、特に、鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソ合成によるアルコール合成の残留物、低分子量合成カルボン酸のエステル、ステアリン酸オクチル及びパルミチン酸ドデシルなどの脂肪酸エステル、例えば、脂肪族アルコール、低分子量アルコールのエーテル、フタル酸塩、リン酸のエステル、並びにワックスから選択される化合物を含む。
【0102】
本発明で使用される消泡剤は、いずれも構成成分(i)、(ii)、及び用いられる場合、アリール部分を有さないシリコーンの総重量の100重量部に基づき、好ましくは0〜1000重量部、より好ましくは0〜100重量部の量で非水溶性有機化合物を含有してよい。
【0103】
本発明で使用される構成成分はいずれも、1種類のかかる構成成分、あるいは少なくとも2種類の個々の構成成分の混合物を含んでよい。
【0104】
本発明で使用される消泡剤は、好ましくは粘稠で、透明から不透明の、無色から褐色がかった液体である。本発明で使用される消泡剤はいずれも25℃において、好ましくは10〜2,000,000mPas、特に2,000〜50,000mPasの粘度を有する。
【0105】
オルガノポリシロキサン+有機ケイ素樹脂+疎水性充填剤
本明細書で有用な消泡剤としては、米国特許第6,251,586号及び同第6,251,587号(両方ともDow Corning)に記載されるシリコーン消泡剤が挙げられる。かかる消泡剤は、(A)式X−−Ph(式中、Xは、炭素原子を介してケイ素に結合される二価の脂肪族有機基を意味し、Phは、芳香族基を意味する)である少なくとも1つのケイ素結合置換基を有するオルガノポリシロキサン物質と、(B)有機ケイ素樹脂と、(C)疎水性充填剤と、を含む。芳香族基は、非置換でも置換されていてもよい。
【0106】
オルガノポリシロキサン物質(A)は、好ましくは流体であり、好ましくはポリジオルガノシロキサンである。ポリジオルガノシロキサン(A)は、好ましくは以下の式のジオルガノシロキサン単位を含む。
【化2】
式中、Yは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチルである。これらの−−X−−Ph基を含有するジオルガノシロキサン単位は、オルガノポリシロキサン(A)中、実質的に全て又は大部分のジオルガノシロキサン単位を含んでよいが、好ましくは(A)中に最大50又は60%、最も好ましくは5〜40%のジオルガノシロキサン単位を含む。基Xは、好ましくは2〜10個の炭素原子、最も好ましくは2〜4個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であるが、代替的に、2つのアルキレン基の間、若しくはアルキレン基と−−Phとの間にエーテル結合を含有してよく、又はエステル結合を含有してよい。Phは好ましくは、少なくとも1つの芳香族環−−Cを含有する部分であり、式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基、若しくは1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、又は2つ以上のR基が共に二価の炭化水素基を表す。Phは、最も好ましくはフェニル基であるが、例えば1つ以上のメチル、メトキシ、ヒドロキシル、若しくはクロロ基で置換されてよく、又は2つの置換基Rが共に二価のアルキレン基を形成してよく、又は共に芳香族環を形成して、Ph基と共に例えばナフタレン基となってもよい。特に好ましいX−−Ph基は、2−フェニルプロピル−−CH−−CH(CH−−C6である。あるいは、Phは、チオフェン、ピリジン、又はキノキサリンなどの芳香族特性の複素環基であってよい。
【0107】
ポリジオルガノシロキサン(A)はまた、好ましくは少なくとも50%の、以下の式のジオルガノシロキサン単位を含む。
【化3】
式中、Y’は1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくは最大6個の炭素原子を有する脂肪族基、例えばエチル、プロピル、イソブチル、メチル、ヘキシル若しくはビニル、又はラウリル若しくはシクロヘキシルエチルなどのシクロアルキル基である。アルキル基Y’の混合物も使用できる。本発明の消泡剤の改善された泡立ち制御性は、(A)のPh基と有機ケイ素樹脂(B)との間の相互作用が関与し、長鎖アルキル基が存在しない場合は、Ph基がより利用しやすいと考えられる。その他の基、例えば、クロロプロピル又はアシルオキシアルキル又はアルコキシアルキル基などのハロアルキル基が、Y’として存在してよい。少なくとも一部の基Y’は、フェニル基、又はトリルなどの置換フェニル基であってよく、ケイ素に直接結合される芳香族基は基−−X−−Phと同等でないが、Y’として存在することができる。
【0108】
オルガノポリシロキサン物質(A)は任意の好適な方法で製造されてよいが、好ましくは多くのケイ素結合水素原子を有するシロキサンポリマーと、適当量のX”−−Ph分子とのヒドロシリル化反応により製造され、式中、X”はXについて説明したものであるが、末端基に脂肪族の不飽和を有することで、シロキサンポリマーのケイ素結合水素原子との付加反応を可能にする。好適なX”−−Ph物質の例としては、スチレン(2−フェニルエチル基を導入する)、α−メチルスチレン、オイゲノール、アリルベンゼン、アリルフェニルエーテル、2−アリルフェノール、2−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−又は2,5−ジメチルスチレン、又は2,4,6−トリメチルスチレンが挙げられる。α−メチルスチレンは2−フェニルプロピル基を導入し、これは主に2−フェニル−1−プロピル基であると考えられるが、2−フェニル−2−プロピル基を含んでもよい。X”−−Ph物質の混合物、例えばスチレンとα−メチルスチレンを使用することができる。このようなヒドロシリル化反応は、好ましくは、例えば米国特許第4,741,861号に記載されるような好適な触媒の存在下の条件で行われる。ラジカル阻害剤を好ましくは存在させて、X”−−Phの単独重合を防ぐ。
【0109】
オルガノポリシロキサン物質(A)は実質的に直鎖ポリジオルガノシロキサンであってよく、又はいくつかの分枝を有してもよい。分枝は、シロキサン鎖内にあり、例えば、式ZSiO/2(式中、Zは、炭化水素、ヒドロキシル、又はヒドロカーボンオキシ基を意味する)のいくつかの三官能性シロキサン単位の存在によりもたらされ得る。あるいは、分枝は、シロキサンポリマー鎖を結合する多価、例えば二価又は三価の有機又はケイ素−有機部分によるものであってよい。有機部分は、式−−X’−−の二価結合基であってよく、ケイ素−有機部分は、式X’−−Sx−−X’の二価結合基であってよく、式中、X’は炭素原子を介してケイ素に結合される二価の有機基を意味し、Sxはオルガノシロキサン基である。有機結合(分枝)単位の例は、C2〜6アルキレン基、例えばジメチレン若しくはヘキシレン、又は式−−X’−−Ar−−X’−−(式中、Arはフェニレンを意味する)のアラルキレン基である。ヘキシレン単位は、1,5−ヘキサジエンのSi−−H基との反応で導入され得、−−X’−−Ar−−X’−−単位はジビニルベンゼン又はジイソプロピルベンゼンの反応により導入され得る。ケイ素−有機結合単位の例は、式−−(CH2)d−−(Si(CH3)2−−O)−−Si(CH3)2−−(CH−−(式中、dは2〜6の値を有し、eは1〜10の値を有する)のものであり、例えば、d=2かつe=1である後者の式の結合単位は、ジビニルテトラメチルジシロキサンのSi−−H基との反応により導入される。
【0110】
芳香族化合物X”−−Phとのヒドロシリル化反応、及び分枝剤との任意の必要な反応の後、オルガノポリシロキサンの残りのSi−−H基は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、又は1−ヘキセンなどのアルケンと、好ましくはヒドロシリル化触媒の存在下で反応して、基Y’を導入できる。
【0111】
物質(A)の平均分子中のシロキサン単位の数(DP、つまり重合度)は、少なくとも5、より好ましくは10〜5,000であるのが好ましい。特に好ましいのは、DPが20〜1000、より好ましくは20〜200の物質(A)である。オルガノポリシロキサン(A)の末端基は、シロキサン中に通常存在する任意のもの、例えばトリメチルシリル末端基であってよい。
【0112】
有機ケイ素樹脂(B)は、一般に非直鎖シロキサン樹脂であり、好ましくは式R’SiO4−a/2のシロキサン単位からなり、式中、R’はヒドロキシル、炭化水素、又はヒドロカーボンオキシ基を意味し、aは0.5〜2.4の平均値を有する。樹脂は、好ましくは式R”SiO/2の一価のトリヒドロカーボンシロキシ(M)基、及びSiO/2である四官能性(Q)基からなり、式中、R”は一価の炭化水素基を意味する。洗濯洗剤用途で使用するためには、M基とQ基との数の比は、好ましくは0.4:1〜2.5:1(式R’SiO4−a/2中のaの値0.86〜2.15と同等)、より好ましくは0.4:1〜1.1:1、最も好ましくは0.5:1〜0.8:1(a=1.0〜1.33と同等)の範囲内である。有機ケイ素樹脂(B)は、好ましくは室温で固体であるが、M/Q比が1.2より高く、通常は液体であるMQ樹脂をうまく使用できる。上に規定されるように、樹脂(B)がM及びQ基のみからなることが最も好ましいが、三価のR”SiO/2(T)基及びQ基を代わりに使用できる。有機ケイ素樹脂(B)は、好ましくは存在する全シロキサン単位の20%以下で、二価の単位R”SiO/2を含有することもできる。基R”は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、最も好ましくはメチル若しくはエチル、又はフェニルである。少なくとも80%、最も好ましくは実質的に全ての存在するR”基がメチル基であるのが特に好ましい。例えばジメチルビニルシリル単位として存在するアルケニル基などのその他の炭化水素基も、好ましくは少量で、最も好ましくは全R”基の5%を超えない量で存在し得る。ケイ素結合ヒドロキシル基及び/又はアルコキシ、例えばメトキシ基も存在してよい。
【0113】
かかる有機ケイ素樹脂は周知である。これらを溶媒中で、つまり例えばあるシラン物質の加水分解によりその場で生成してよい。特に好ましいのは、溶媒、例えばキシレンの存在下での、四価のシロキシ単位の前駆体(例えばテトラ−オルトケイ酸塩、オルトケイ酸テトラエチル、ケイ酸ポリエチル、又はケイ酸ナトリウム)、及び一価のトリアルキルシロキシ単位の前駆体(例えばトリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、又はヘキサメチルジシラザン)の加水分解及び縮合である。得られるMQ樹脂は、所望の場合、更にトリメチルシリル化して反応によりSi−−OH基を残留させることができ、又は塩基の存在下で加熱してSi−−OH基の脱離により樹脂を自己縮合させることができる。
【0114】
有機ケイ素樹脂(B)は、消泡剤中に、好ましくはオルガノポリシロキサン(A)に基づき1〜50重量%、特に2〜30重量%、最も好ましくは4〜15重量%で存在する。
【0115】
有機ケイ素樹脂(B)は、上記の量で存在するとき、オルガノポリシロキサン(A)に可溶性であっても不溶性(完全に溶解されない)であってもよい。溶解度は、(A)及び(B)の混合物を光学顕微鏡で観察することにより測定できる。洗剤用途における改善された泡立ち制御性は、溶解有機ケイ素樹脂(B)を含有する組成物、及び有機ケイ素樹脂(B)の分散粒子を含有する組成物の両方により達成されている。(A)中の(B)の溶解度に影響する因子としては、(A)中のX−−Ph基の割合(X−−Ph基が多いほど溶解度が上がる)、(A)の分枝度、(A)中の基Y及びY’の性質(長鎖アルキル基は溶解度を下げる)、MQ樹脂(B)中のM単位とQ単位との比(M基対Q基の比が高いほど溶解度が上がる)、及び(B)の分子量が挙げられる。したがって、周囲温度における(A)中の(B)の溶解度は、0.01重量%以下から最大15重量%以上であってよい。可溶性樹脂(B)と不溶性樹脂(B)との混合物、例えば異なるM/Q比を有するMQ樹脂の混合物の使用が有利であり得る。有機ケイ素樹脂(B)がオルガノポリシロキサン(A)に不溶性である場合、液体(A)に分散して測定すると、樹脂(B)の平均粒子サイズは例えば0.5〜400μm、好ましくは2〜50μmであり得る。紙パルプ業界における黒液の消泡など、工業用泡立ち制御用途に関しては、シロキサンコポリマーに溶解する樹脂、例えば高M/Q比を有するMQ樹脂が通常好ましい。
【0116】
不揮発性溶媒(例えばドデカノール若しくは2−ブチル−オクタノールなどのアルコール、又はステアリン酸オクチルなどのエステル)中の溶液として、樹脂(B)を消泡剤に添加できる。揮発性溶媒、例えばキシレンで調製された樹脂溶液は、不揮発性溶媒と化合でき、揮発性溶媒をストリッピングにより、又は別の分離形態により除去することができる。ほとんどの場合、不揮発性溶媒は消泡剤中に残存してよい。樹脂(B)が、同量以下、より好ましくは溶媒の重量の約半分以下の不揮発性溶媒に溶解することが好ましい。あるいは、樹脂(B)を揮発性溶媒中の溶液に添加し、その後、溶媒をストリッピングにより除去してよい。樹脂(B)を溶液として添加し、オルガノポリシロキサン物質(A)に不溶性である場合、混合の際に許容される粒径の固体粒子を形成する。
【0117】
あるいは、固体粒子、例えば噴霧乾燥粒子の形態で樹脂(B)を消泡剤に添加してよい。例えば平均粒子サイズ10〜200マイクロメートルの噴霧乾燥MQ樹脂が入手可能である。
【0118】
オルガノポリシロキサン物質(A)中の樹脂(B)の不溶性レベルは、組成物中における粒径に影響し得る。オルガノポリシロキサン物質(A)中の有機ケイ素樹脂の溶解度が下がるほど、樹脂が溶液として(A)に混合されるとき、粒径が大きくなる傾向がある。したがって、オルガノポリシロキサン物質(A)中に1重量%で溶解する有機ケイ素樹脂は、0.01重量%だけで溶解する樹脂よりも小さい粒子を形成する傾向がある。少なくとも0.1重量%の溶解度を有する、オルガノポリシロキサン物質(A)中に一部溶解する有機ケイ素樹脂(B)が好ましい。
【0119】
樹脂(B)の分子量は、縮合により、例えば塩基の存在下で加熱することにより増加し得る。塩基は、例えば水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの水性又はアルコール性溶液、例えばメタノール又はプロパノール溶液であってよい。いくつかの洗剤において、より低い分子量のMQ樹脂を含有する消泡剤が泡立ちを抑えるのに最も効果的であるが、高い分子量のMQ樹脂を含有するものは、異なる条件下、例えば異なる洗浄温度、又は異なる洗濯機において、より一貫して同様の泡立ちレベルの低減をもたらすことが見出された。また、高い分子量のMQ樹脂は、例えば液体洗剤中のエマルションとして洗剤と接触して保存されるとき、時間による性能低下に対する耐性が改善された。樹脂と塩基との間の反応をシリカの存在下で行ってよく、その場合、樹脂とシリカとの間の反応が多少あってもよい。塩基との反応を、オルガノポリシロキサン(A)の存在下、及び/又は不揮発性溶媒の存在下、及び/又は揮発性溶媒の存在下で行ってよい。塩基との反応は、ステアリン酸オクチルなどのエステル不揮発性溶媒を加水分解し得るが、これにより泡立ち制御性能が損なわれないことを見出した。
【0120】
第3の必須成分は疎水性充填剤(C)である。消泡剤用の疎水性充填剤は周知であり、好ましくはBET測定により測定されるとき、表面積が少なくとも50m/gであるシリカ、チタニア、粉末石英、アルミナ、アルミノケイ酸塩、有機ワックス、例えばポリエチレンワックス、及び微結晶ワックス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、脂肪族カルボン酸の塩、イソシアネートとある物質、例えばシクロヘキシルアミンとの反応生成物、又はアルキルアミド、例えばエチレンビスステアリン酸アミド若しくはメチレンビスステアリン酸アミドなどの物質であり得る。これらの1つ以上の混合物も許容できる。
【0121】
上記の充填剤のうち一部は本来疎水性ではないが、疎水性にした場合は使用できる。これは、その場で(すなわち、オルガノポリシロキサン物質(A)中に分散されるとき)、又は物質(A)との混合前に充填剤を前処理することのいずれかにより行うことができる。好ましい充填剤は、疎水性化したシリカである。これは、例えば脂肪酸での処理により可能であるが、好ましくはメチル置換有機ケイ素物質を用いてなされる。好適な疎水性化剤としては、ポリジメチルシロキサン、シラノール又はケイ素結合アルコキシ基で末端保護したジメチルシロキサンポリマー、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、並びに、一価の基(CH3)3SiO/2及び四価の基SiOを0.5/1〜1.1/1の比で含む有機ケイ素樹脂(MQ樹脂)が挙げられる。疎水性化は、通常、少なくとも80℃の温度で行われる。同様のMQ樹脂を、有機ケイ素樹脂(B)として、及びシリカ充填剤(C)の疎水性化剤として使用できる。
【0122】
好ましいシリカ物質は、加熱により調製されるもの、例えばヒュームドシリカ、又は沈殿により調製されるものであるが、別の種類のシリカ、例えばゲル形成により生成されるものも許容できる。シリカ充填剤は、例えば0.5〜50マイクロメートル、好ましくは2〜30μm、最も好ましくは5〜25μmの平均粒子サイズを有し得る。そのような物質は周知であり、親水性及び疎水性の両方の形態で市販されている。
【0123】
消泡剤中の充填剤(C)の量は、オルガノポリシロキサン物質(A)に基づき、好ましくは0.5〜50重量%、特に1〜最大10重量%又は15重量%、最も好ましくは2〜8重量%である。また、樹脂(B)の重量と充填剤(C)の重量との比が、1/10〜20/1、好ましくは1/5〜10/1、最も好ましくは1/2〜6/1であることも好ましい。
【0124】
消泡剤は任意の便利な方法で製造されてよいが、異なる成分を剪断下で混合することにより提供されるのが好ましい。剪断力の程度は、好ましくは物質(A)中に構成成分(B)及び(C)が良好に分散するのに十分なものであるが、粒子(B)及び/又は(C)が破壊されるほど高くないため、効果を弱めるか、疎水性ではない表面を再露出する可能性がある。充填剤(C)をその場で疎水性にする必要がある場合、製造プロセスは、好ましくは減圧下での加熱段階を含み、そこで、必要であるなら場合によっては好適な触媒の存在下で充填剤及び処理剤を一部又は全部のオルガノポリシロキサン物質(A)中に混合する。
【0125】
本発明による消泡剤は、(A)、(B)及び(C)の単純な混合物として提供されてよいが、一部の用途では、別の形態で利用できるようにすることが好ましい場合がある。例えば、水性媒体における使用では、エマルション形態、好ましくは水中油型エマルションの消泡剤を提供することが適切であり得る。
【0126】
水中油型エマルション形態のシリコーン系消泡剤を提供する方法は既知であり、多くの出版物及び特許明細書に記載されている。その例は、欧州特許第913,187号、欧州特許第0879628号、国際特許公開第98−22,196号、国際特許公開第98−00216号、英国特許第2,315,757号、欧州特許第499364号、及び欧州特許第459,512号である。エマルションは任意の既知の技術により生成でき、マクロエマルションであってもマイクロエマルションであってもよい。一般に、これらは油相としての消泡剤、1つ以上の界面活性剤、水、並びに防腐剤、粘度調整剤、保護コロイド、及び/又は増粘剤などの標準的な添加剤を含む。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性物質から選択してよい。1つ以上のこれらの混合物を用いてもよい。好適なアニオン性有機界面活性剤としては、高級脂肪酸のアルカリ金属石鹸、アルキルアリールスルホネート、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、長鎖(脂肪族)アルコールサルフェート、オレフィンサルフェート及びスルホネート、硫酸化モノグリセリド、硫酸化エステル、スルホン酸化エトキシ化アルコール、スルホコハク酸塩、アルカンスルホネート、リン酸エステル、アルキルイセチオネート、アルキルタウレート、並びに/又はアルキルサルコシネートが挙げられる。好適なカチオン性有機界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、スルホニウム塩、及びホスホニウム塩が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては、シリコーン、例えば欧州特許第638346号に界面活性剤1〜6として記載されているもの、特にシロキサンポリオキシアルキレンコポリマー、エチレンオキシドの長鎖(脂肪族)アルコール(alcohol)又は(脂肪)酸との縮合体、例えば7モルのエチレンオキシドと縮合したC14〜15アルコール(Dobanol(登録商標)45−7)、エチレンオキシドのアミン又はアミドとの縮合体、エチレン及びプロピレンオキシドの縮合生成物、グリセロール、スクロース又はソルビトールのエステル、脂肪酸アルキロールアミド、スクロースエステル、フルオロ界面活性剤、並びに脂肪酸アミンオキシドが挙げられる。好適な両性有機洗剤界面活性剤としては、イミダゾリン化合物、アルキルアミノ酸塩、及びベタインが挙げられる。有機界面活性剤が非イオン性物質又はアニオン性物質であることがより好ましい。特に興味深いものは、環境的に許容できる界面活性剤である。エマルション中の消泡剤の濃度は、用途、必要な粘度、消泡剤及び添加係の有効性に応じて様々であってよく、平均すると5〜80重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲である。泡立ち制御性エマルションはまた、安定化剤、例えばシリコーングリコールコポリマー、又は欧州特許第663225号に記載されるような少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有する架橋オルガノポリシロキサンポリマーを含有してもよい。
【0127】
あるいは、消泡剤は、(A)、(B)及び(C)が、シリコーングリコールなどの水分散性キャリア、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレン及びプロピレングリコールのコポリマー、ポリアルキレングリコールのポリオールとの縮合体、アルキルポリグリコシド、アルコールアルコキシレート、若しくはアルキルフェノールアルコキシレートなどの別の水相溶性液体、又は米国特許第5,908,891号に記載されるような鉱油に分散される、水分散性組成物として提供されることができる。
【0128】
一実施形態では、シリコーン消泡剤は「非布地直接剤」であり、洗濯サイクル中に消泡剤が紡織製品上に付着しないことを意味する。このように付着しないことは、染みを防ぐために重要である。一実施形態では、シリコーン消泡剤は、国際特許公開第05/111186(A1)号(The Procter & Gamble Company)に概説されている染み試験に合格する。
【0129】
構造剤
本明細書の洗剤組成物は、当該組成物の約0.01重量%〜約2.5重量%の構造剤を含む。
【0130】
本明細書で有用な構造剤としては、内部構造剤、外部構造剤、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「外部構造剤」は、組成物の洗浄性界面活性剤の構造化効果から独立して、すなわちそれ以外により、流体洗濯洗剤組成物を安定化させるのに十分な降伏応力又は低せん断粘度のいずれかをもたらす、選択された化合物又は化合物の混合物を指す。「内部構造剤」は、必要な降伏応力又は低せん断粘度を提供するために、洗濯成分の主要な部類を形成する洗剤界面活性剤に依存することを意味する。
【0131】
外部構造剤
本明細書で有用な外部構造剤としては、天然由来及び/又は合成高分子構造剤、結晶性ヒドロキシル含有構造剤、並びにこれらの混合物であるものが挙げられる。
【0132】
本発明で使用する、天然由来の高分子系構造材の例としては、微小繊維状セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体及びこれらの混合物が挙げられる。微小繊維状セルロースの非限定例は、国際特許公開第2009/101545(A1)号に記載されている。好適な多糖誘導体としては、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム及びこれらの混合物が挙げられる。
【0133】
本発明で使用する合成高分子系構造材の例としては、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0134】
一実施形態では、ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物である。別の実施形態では、ポリアクリレートは、不飽和モノ−又はジ−炭酸と、(メタ)アクリル酸の1〜30Cアルキルエステルとのコポリマーである。このようなコポリマーは、Noveon,Incから商標名CARBOPOL AQUA 30として入手可能である。
【0135】
本明細書で有用な外部構造剤としては、米国特許第6,855,680 B2号(The Procter & Gamble Company)に詳細が記載されるものなどの結晶性ヒドロキシル含有構造剤も挙げられる。このような構造剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、又は脂肪石鹸非水溶性ワックス様物質であり得る結晶性ヒドロキシル含有安定化剤として記載される。
【0136】
結晶性ヒドロキシル含有安定化剤は、ヒマシ油の誘導体、特に硬化ヒマシ油誘導体であり得る。例えば、ヒマシワックスである。結晶性ヒドロキシル含有剤は、典型的には以下からなる群から選択される。
【0137】
i)
【化4】
式中、
【化5】
は、R又はHであり、
は、R又はHであり、
は、独立して、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC10〜C22アルキル又はアルケニルである;
ii)
【化6】
式中、
【化7】
は、上記i)と同義であり、
MはNa、K、Mg++若しくはAl3+、又はH、及び
iii)それらの混合物である。
【0138】
あるいは、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤は、以下の式を有し得る。
【化8】
式中、
(x+a)は11〜17であり、(y+b)は11〜17であり、
(z+c)は11〜17である。好ましくは、x=y=z=10、及び/又はa=b=c=5である。
【0139】
市販の結晶性ヒドロキシル含有安定化剤としては、THIXCIN(登録商標)(Rheox,Inc.)が挙げられる。
【0140】
THIXCIN(登録商標)に加え、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤としての使用に好適な別の材料としては、限定するものではないが、以下の式の化合物が挙げられる。
【0141】
Z−(CH(OH))a−Z’
式中、aは2〜4であり、好ましくは2であり、Z及びZ’は疎水性基であり、特にC6〜C20アルキル又はシクロアルキル、C6〜C24アルカリル又はアラルキル、C6〜C20アリール又はこれらの混合物である。所望により、Zはエーテル又はエステルと同様に、1個以上の非極性酸素原子を含有することができる。
【0142】
このような代替的な物質の非限定的な例は、1,4−ジ−O−ベンジル−D−トレイトールのR,R及びS,S形態、並びに任意の混合物であり、光学的に活性であるか又は活性ではない。
【0143】
外部構造剤の例としては、ポリマーゴム類、例えばキサンタンガム、又は粒子を懸濁できる安定で連続したゴムネットワークを形成可能なその他のゴム類も挙げられる。
【0144】
内部
本明細書で使用するとき、「内部構造剤」は、組成物の内部構造を形成するために、処方の選択された要素を使用することを意味する。このような内部構造化液体洗濯洗剤又はゲル組成物は、石鹸、又は硫酸ナトリウムと結合した脂肪酸を含んでよく、アルキルポリエトキシサルフェートを含む1つ以上の界面活性剤を用いてラメラ相の形成によりゲル化構造を形成することができる。
【0145】
組成物はまた、ミセル界面活性剤系によるラメラ相分散、更にはラメラ相の形成促進のために外部構造剤も含んでよく、当該構造剤はデカノール又はドデカノールなどの脂肪族アルコールであり得る。かかる組成物は、ゲルネットワーク洗剤組成物と称されることがある。
【0146】
洗濯補助剤
本明細書の洗剤組成物は、当該組成物の約0.1重量%〜約10.0重量%の洗濯補助剤を含んでよい。任意の従来の洗濯洗剤成分を使用できる。本明細書で有用な洗濯補助剤の例としては、酵素、酵素安定剤、光学的増白剤、粒子状材料、ヒドロトロープ、香料及びその他の賦香剤、汚れ懸濁ポリマー及び/又は汚れ放出ポリマー、泡抑制剤、布地ケア効果剤、pH調整剤、移染阻害剤、防腐剤、色相染料、非布地直接染料、カプセル化活性物質(例えば香料マイクロカプセル、又はカプセル化漂白剤)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0147】
一実施形態では、本明細書の洗剤組成物は香料マイクロカプセルを含む。一実施形態では、本明細書の洗剤組成物は色相染料を含む。
【0148】
これら洗濯補助剤の一部について、以下に詳細に記載する。
【0149】
酵素
本明細書の洗剤組成物は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果をもたらす1つ以上の洗浄性酵素を含み得る。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及び既知のアミラーゼ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい酵素の組み合わせは、アミラーゼと共に、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の洗浄性酵素のカクテルを含むものである。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号でより詳細に記載されている。
【0150】
酵素安定剤
酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、ホウ素化合物及び置換されたホウ酸、芳香族ホウ酸エステル、ペプチド及びペプチド誘導体、ポリオール、低分子量カルボン酸塩、比較的疎水性の有機化合物[例えば、特定のエステル、ジアルキルグリコールエーテル、アルコール、又はアルコールアルコキシレート]、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボン酸塩、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低脂肪族アルコール及びカルボン酸、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸又はその塩;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N−ビス−3−アミノ−プロピル−ドデシルアミン又は塩;並びにこれらの混合物のような任意の既知の安定剤系を使用して安定化できる。
【0151】
光学的増白剤
紡織製品用の蛍光増白剤としても既知の増白剤は、本発明の流体洗濯洗剤組成物において有用な洗濯助剤である。好適な使用濃度は、流体洗濯洗剤組成物の0.001重量%〜1重量%である。蛍光増白剤については、例えば欧州特許出願公開第686691B号に開示されており、疎水性タイプと親水性タイプがある。増白剤49(Brightener 49)が、本明細書に用いるのに好ましい。
【0152】
色相染料
色相染料、シェーディング染料又は布地シェーディング若しくは色相剤は、流体洗濯洗剤組成物において有用な洗濯助剤である。洗濯におけるこれらの物質の歴史は古く、使用の起源は長年を遡る「洗濯用青味剤」である。より最近の開発物としては、亜鉛又はアルミニウム中心原子を持つスルホン化フタロシアニン染料の使用が挙げられ、更により最近では、非常に多様なその他の青色及び/又はバイオレット染料が、それらの色相又はシェーディング効果のために使用されている。例えば、国際特許公開第2009/087524(A1)号、国際特許公開第2009/087034(A1)号及びこれらの公開に含まれる参照文献を参照されたい。本明細書の流体洗濯洗剤組成物は、典型的には、0.00003重量%〜0.1重量%、0.00008重量%〜0.05重量%、又は更には0.0001重量%〜0.04重量%の布地色相剤を含む。
【0153】
粒子状材料
流体洗濯洗剤組成物は、粘土、泡抑制剤、カプセル化高反応性成分(sensitive ingredients)、例えば、カプセル形態の香料、漂白剤及び酵素、又は審美的な補助成分、例えば、真珠光沢剤、顔料粒子、雲母又は同様物などの、粒子状材料を含み得る。好適な使用濃度は、流体洗濯洗剤組成物の0.0001重量%〜5重量%、又は0.1重量%〜1重量%である。
【0154】
香料及び賦香剤
一実施形態では、本明細書の洗剤組成物は香料を含む。存在する場合、香料は、典型的には、本組成物中に、当該組成物の0.001〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%の濃度で組み込まれる。
【0155】
一実施形態では、本発明の洗剤組成物の香料は、250℃以上の沸点及び3.0以上のClogPを有する1つ以上の持続性香料成分を、より好ましくは香料の少なくとも25重量%の濃度で含む。好適な香料、香料成分、及び香料キャリアは、米国特許第5,500,138号、及び米国特許出願公開第20020035053(A1)号に記載されている。
【0156】
別の実施形態では、香料は、香料マイクロカプセル及び/又は香料ナノカプセルを含む。好適な香料マイクロカプセル及び香料ナノカプセルには、以下の文献に記載されているものが挙げられる:米国特許出願公開第2003215417(A1)号、同第2003216488(A1)号、同第2003158344(A1)号、同第2003165692(A1)号、同第2004071742(A1)号、同第2004071746(A1)号、同第2004072719(A1)号、同第2004072720(A1)号、欧州特許第1393706(A1)号、米国特許出願公開第2003203829(A1)号、同第2003195133(A1)号、同第2004087477(A1)号、同第20040106536(A1)号、米国特許第6645479号、同第6200949号、同第4882220号、同第4917920号、同第4514461号、米国再発行特許第32713号、米国特許第4234627号。
【0157】
更に別の実施形態では、洗剤組成物は、米国特許第5942217号「Uncomplexed cyclodextrin compositions for odor control」(1999年8月24日登録)に記載されているもののような賦香剤を含む。賦香剤に好適な他の剤としては、米国特許第5968404号、同第5955093号、同第6106738号、同第5942217号、及び同第6033679号に記載されているものが挙げられる。
【0158】
ヒドロトロープ
本明細書の洗剤組成物は、所望により有効量の、すなわち0%〜15%、又は1%〜10%、又は3%〜6%のヒドロトロープを含み、その結果、流体洗濯洗剤組成物は水に相溶性である。本明細書で使用するのに好適なヒドロトロープとしては、米国特許第3,915,903号に開示されているような、アニオン型のヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム及びクメンスルホン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0159】
洗浄ポリマー
本明細書の洗剤組成物は、表面及び布地の多種多様な汚れを洗浄し、並びに/又は汚れを懸濁する、洗浄ポリマーを任意に含有してもよい。任意の好適な洗浄ポリマーを使用することができる。有用な洗浄ポリマーは、同時係属の米国特許出願公開第2009/0124528(A1)号に記載されている。洗浄ポリマーの有用な部類の非限定例としては、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー、粘土汚れ洗浄ポリマー、汚れ放出ポリマー、及び汚れ懸濁ポリマーが挙げられる。
【0160】
1回量洗剤
本発明のいくつかの実施形態では、流体洗濯洗剤組成物を、ポリビニルアルコールなどの水溶性フィルム材料で取り囲み、単位用量のパウチを形成する。いくつかの実施形態では、単位用量のパウチは1区画又は多区画パウチを含み、本発明の液体洗濯洗剤組成物を任意の他の従来の粉末又は液体洗剤組成物と組み合わせて使用することができる。好適なパウチ及び水溶性フィルム材料の例は、米国特許第6,881,713号、同第6,815,410号、及び同第7,125,828号に示されている。
【0161】
布地/紡織製品の処理方法及び洗剤組成物の使用
本明細書の洗剤組成物を用いて、衣服やその他の家庭用紡織製品(シーツ、タオルなど)といった紡織衣類を処理できる。
【0162】
本明細書で更に想到されるのは、生地を本明細書で開示される洗剤組成物と接触させることにより生地を処理する方法である。本明細書で使用するとき、「洗剤組成物」は、手洗い用、機械洗浄用及び他の用途用の布地処理組成物及び液体洗濯洗剤組成物を含み、それには、布地ケア用添加剤組成物、並びに染みの付いた布地を浸漬及び/又は前処理するために使用するのに好適な組成物が挙げられる。消費者用及び工業用が想到される。
【0163】
洗濯洗剤製品として使用する場合、この組成物を用いて、500ppm〜5,000ppmの洗剤組成物を含有する水性の洗浄溶液を形成することができる。
【0164】
一実施形態では、紡織衣類を水性液体洗剤組成物で処理するための家庭向けの方法で洗剤組成物を用いてよく、この方法は、
a)水溶液が約0.01g/L〜約1g/Lのアルキルエトキシサルフェート界面活性剤、及び約0.1mg/L〜約100mg/Lのシリコーン消泡剤を含むような相対量で、水及び洗剤組成物の混合物を含む水溶液で紡織製品を処理する工程と、
b)紡織製品をすすぎ乾燥させる工程と、を含み、
ここで、水性液体洗剤組成物は、当該組成物の約1重量%〜約60重量%の界面活性剤系であって、
i)当該界面活性剤系の少なくとも35重量%のアルキルエトキシサルフェートと、
ii)当該界面活性剤系の0重量%〜約10重量%の非イオン性界面活性剤と、
iii)当該界面活性剤系の0重量%〜約10重量%の石鹸と、を含む界面活性剤系と、
b)当該組成物の約0.001重量%〜約4.0重量%の、シリコーン消泡化合物、シリコーンオイル及び疎水性粒子の消泡化合物、並びにこれらの混合物から選択される消泡剤と、
c)当該組成物の約0.01重量%〜約2.5重量%の構造剤と、を含む。
【0165】
比較例
【表1】
【実施例】
【0166】
(実施例C〜F)
本発明による洗剤組成物
【表2】
米国特許第6,855,680(B2)号に記載されるように調製された硬化ヒマシ油
Dow Corningが供給した、米国特許第6521586号に記載されるように調製された、80〜92%のエチルメチル,メチル(2−フェニルプロピル)シロキサン;5〜14%のステアリン酸オクチル中のMQ樹脂;及び3〜7%の修飾シリカの消泡剤ブレンド。
ポリビニルアルコールパウチ内にパッケージ化された1回量液体洗剤
【0167】
上記のように、実施例A及びBは比較例であり、実施例C〜Fは本明細書に示す洗剤組成物に従うものである。
【0168】
泡立ち試験
Kenmore 600上入れ式全自動洗濯機における上入れ式使用時泡形成観察は、実施例A、B、及びCの処方の試料49gをそれぞれ順番に入れ、泡の高さ及び量について画像評価尺度を用いてモニタリングしながら、32.2℃(90°F)、34.3ppm(2グレイン/ガロン)の硬度の水を用いて、清潔なバラストと共に標準洗濯サイクル(各試料につき別個のサイクル)を実施することにより行う。処方A及びCは同様の高い泡立ち特性を示すが、処方Bは顕著に低い泡立ちを示す。処方B(従来のHE処方)を用いると、洗濯サイクル中に洗浄水が泡によって完全には覆われない。
【0169】
Whirlpool Duet HT高性能前入れ式全自動洗濯機におけるHE使用時泡形成観察は、処方A、B、Cの試料49gをそれぞれ順番に入れ、洗濯サイクルの長さ及び泡の量について画像評価尺度を用いてモニタリングしながら、37.8℃(100°F)、34.3ppm(2グレイン/ガロン)の硬度の水を用いて、清潔なバラストと共に標準洗濯サイクル(各試料につき別個のサイクル)を実施することにより行う。処方Aは、過剰な泡立ちにより引き起こされる製造業者が設定した洗濯機の泡錠の原因となり、洗濯サイクルにかかる時間の望ましくない自動的延長をもたらす。処方B及びCは、標準的な長さの洗濯サイクルを示し、過剰な泡立ちはみられない。
【0170】
したがって、本発明の選択した界面活性剤及びシリコーン消泡剤の組み合わせが、従来の上入れ式洗濯機及び水平軸ドラム型高性能洗濯機の両種において所望の泡立ち特性を示す、実施例Cのような両用処方を可能にする。
【0171】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、そのような各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0172】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本文書における用語の意味又は定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書においてその用語に与えられる意味又は定義が適用されるものとする。
【0173】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。