(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルブミン溶液が、発酵培地中で、アルブミンコードヌクレオチド配列で形質転換した酵母を培養し、これにより前記酵母がアルブミンを発現しアルブミンを酵母培養培地に分泌することによって得られた酵母培養培地に由来する、請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様は、アルブミン溶液の精製法であって、pHが8.0〜9.5でありかつ導電率が1〜75mS・cm
-1の範囲である第一のアルブミン溶液に、アルブミンに関してネガティブモードで行いかつ固定化ジヒドロキシボリル基を含んでなるアフィニティーマトリックスを用いるアフィニティークロマトグラフィー段階を施すことによって、精製アルブミン溶液を得る段階を含んでなる方法を提供する。
【0006】
好ましくは、第一のアルブミン溶液のpHは、pH8.0〜9.0であり、更に好ましくはpH8.3〜pH8.6である。第一のアルブミン溶液を上記pH範囲内のpHを有する緩衝液で緩衝するのが好ましい。
【0007】
好ましくは、緩衝液は、濃度が10〜500mM、好ましくは25〜200mM、更に好ましくは50〜150mMのアミノ酸を含んでなる。好ましくは、アミノ酸はグリシンである。
【0008】
好ましくは、緩衝液は、濃度が0〜500mM、好ましくは25〜200mM、更に好ましくは50〜150mMの一価カチオンを含んでなる。好ましくは、一価カチオンはナトリウムであり、好ましくはNaClの形態である。従って、好ましい態様では、緩衝液は、濃度が0〜500mM、好ましくは25〜200mM、更に好ましくは50〜150mMのNaClを含んでなる。
【0009】
好ましくは、緩衝液は、濃度が5〜250mM、好ましくは10〜100mMの二価カチオンを含んでなる。好ましくは、二価カチオンはカルシウムであり、好ましくはCaCl
2の形態である。従って、好ましい態様では、緩衝液は、濃度が5〜250mM、好ましい0〜100mMのCaCl
2を含んでなる。
【0010】
特に好ましい態様では、第一のアルブミン溶液および/または緩衝液は、約100mMのグリシン、約100mMのNaClおよび約50mMのCaCl
2を含んでなる。
【0011】
好ましくは、第一のアルブミン溶液および/または緩衝液の導電率は50mS・cm
-1であり、更に好ましくは18〜22mS・cm
-1である。
【0012】
有利には、第一のアルブミン溶液のアルブミンの濃度は20〜120g・L
-1の範囲、好ましくは70〜120g・L
-1、更に好ましくは100±10g・L
-1である。好ましくは、アルブミンは0.5カラム容積未満で、更に好ましくは0.35カラム容積未満で装填される。
【0013】
マトリックスはボロン酸を含んでなるのが適当である。本明細書で用いられる「酸」という用語は、その塩を包含する。ボロン酸は、トリアジンまたは置換トリアジンによって例えばモノボロトリアジンまたはジボロトリアジンを形成して、アガロースのような支持体に結合するのが有利である。好ましくは、ボロン酸は、アミノフェニルボロン酸である。
【0014】
脂肪族および置換芳香族リガンドのようなフェニルボロネートの代替物を記載している公表文献としては、Adamek, V. et al., (1992), J. Chrom., 625, 91-99、Singhal, R.P. et al., (1991), J. Chrom., 543, 17-38、およびLiu, X. et al., (1994), 687, 61-69が挙げられる。
【0015】
アフィニティークロマトグラフィー段階の後に、精製アルブミン溶液に更に精製、好ましくは更にクロマトグラフィー精製を施すのが適当である。好ましくは、アルブミンは、カチオン交換クロマトグラフィーおよび/またはアニオン交換クロマトグラフィーを用いて更に精製される。カチオンおよびアニオン交換段階の順序は、それらの精製目的を実行しながら入れ換えることができる。作業上の観点からは、一層良好な組合せ法は、カチオン交換クロマトグラフィーの後にアニオン交換クロマトグラフィーを行う方法である。
【0016】
本発明の第一の態様の方法によって製造された精製アルブミン溶液に、緩衝液交換、濃縮、希釈、透析、透析濾過、pH調整(好ましくはpH2.0またはpH4.0より大きいpH、および好ましくはpH10.0未満のpHへ)、還元剤処理(例えば、EP570916号明細書に記載の処理)、脱色処理(例えば、木炭による処理)、加熱(殺菌など)、冷却、またはコンディショニング、ヒトへの非経口投与のための処方、または最終容器へ入れることの1つ以上を行うのが適当である。
【0017】
非経口投与としては、静脈内投与、皮下投与、および筋肉内投与が挙げられる。アルブミンは、薬理活性タンパク質の賦形剤として働くことができ、これは非経口投与することができる。
【0018】
「最終容器」とは、製造業者の下から出て、病院および薬局のような取引先に配送される容器である。
【0019】
本発明の第二の態様は、アルブミン溶液の精製法であって、カチオン交換クロマトグラフィーおよびアニオン交換クロマトグラフィーを含んでなり、場合によっては、このようにして精製したアルブミン溶液に、最終容器に入れる前に、緩衝液交換、濃縮、希釈、透析、透析濾過、pH調整(好ましくはpH2.0またはpH4.0より大きいpH、および好ましくはpH10.0未満のpHへ)、還元剤の添加、脱色処理(例えば、木炭による処理)、加熱(殺菌など)、冷却、またはコンディショニングの1つ以上を行うが、更に精製、特に更にクロマトグラフィー精製を行わない、方法を提供する。
【0020】
カチオン交換クロマトグラフィー段階はアニオン交換クロマトグラフィーの後であっても、またはその逆であってもよい。カチオン交換クロマトグラフィー段階の後にアニオン交換クロマトグラフィー段階を行うのが好ましい。
【0021】
アニオンおよびカチオン交換段階の間には、他の精製段階はないのが好ましいが、アルブミンに上記のように緩衝液交換を施すことができる。
【0022】
コンディショニングとは、工程の次段階または最終使用のためのアルブミンの環境または条件を改良する任意の非精製処理を意味する。コンディショニングとしては、オクタノエートおよび/または他の脂肪酸、例えば、C
6またはC
10脂肪酸、またはアセチルトリプトファン酸またはマンデル酸ナトリウムのようなアルブミン安定剤の添加を挙げることができる。コンディショニングとしては、塩の添加などを挙げることもでき、アルブミンよの導電率の調整を包含することができる。
【0023】
本発明の第一および第二の態様のカチオン交換段階は、アルブミンに関してネガティブまたはポジティブモードで行うことができる。好ましい態様では、カチオン交換段階はアルブミンに関してネガティブモードで行われる。条件は、グリコシル化アルブミンが非グリコシル化アルブミンより強力にカチオン交換材料に結合するように選択するのが有利である。
【0024】
本発明の第一および第二の態様のカチオン交換クロマトグラフィー段階は、SP-Sepharose FF、SP-Spherosil、CM-Sepharose FF、CM-Cellulose、SE-Cellulose、またはS-Spheradexのような市販のカチオン交換マトリックスを用いることができる。カチオン交換段階では、固定化スルホプロピル置換基をカチオン交換体として含んでなるマトリックスを用いるのが好ましい。
【0025】
カチオン交換クロマトグラフィーを行うアルブミン溶液のpHは好ましくは4.5〜6.0であり、更に好ましくはpHが5.0〜5.6であり、更に一層好ましくはpHが5.2〜5.4である。
【0026】
カチオン交換クロマトグラフィーを行うアルブミン溶液のアルブミン濃度は、好ましくは10〜250g・L
-1であり、好ましくは20〜70g・L
-1であり、更に好ましくは50±10g・L
-1である。
【0027】
カチオン交換クロマトグラフィーを行うアルブミン溶液のオクタノエートイオン濃度は、好ましくは2〜15mMであり、好ましくは5〜10mMであり、更に好ましくは6〜9mMである。
【0028】
カチオン交換段階の前に、アルブミン溶液に、(i)pH調整(好ましくはpH2.0またはpH4.0より大きいpH、および好ましくはpH10.0未満のpHへ)、(ii)濃縮、(iii)透析濾過、または(iv)オクタノエートおよび/または他の脂肪酸、例えばC6またはC10脂肪酸、またはアセチルトリプトファン酸またはマンデル酸ナトリウムのような安定剤を添加することによるコンディショニングの行程の1つ以上を行うのが好都合である。あるいは、または更に、アルブミン溶液に、緩衝液交換、希釈、透析、透析濾過、還元剤による処理、脱色処理(例えば、木炭による処理)、加熱、冷却、またはコンディショニングの1つ以上を行うのが適当である。
【0029】
一般に、あらゆる改質は、除去ではなく添加を包含する。好ましくは、アルブミン溶液のpHは、酢酸を添加することによって調整される。好ましくは、アルブミン溶液は、限外濾過によって濃縮される。
【0030】
本発明の第一および第二の態様のアニオン交換クロマトグラフィー段階では、Q Sepharose-FF、QMA-Spherosil、DEAE-Spherodex、Q-Hyper D、DEAE-セルロース、QAE-セルロース、またはTMAE、DMAEまたはDEAE Fractogelのような市販のアニオン交換マトリックスを用いることができる。好ましくは、アニオン交換段階では、固定化ジアルキルアミノアルキル(例えば、ジエチルアミノエチル)置換基をアニオン交換体として含んでなるマトリックスが用いられる。
【0031】
好ましい態様では、本発明の第一および第二の態様のアニオン交換クロマトグラフィー段階は、アルブミンに関してネガティブモードで行われる。
【0032】
好ましくは、ネガティブモードのアニオン交換クロマトグラフィーを行うアルブミン溶液は、pHが4.0〜5.2であり、更に好ましくはpHが4.2〜4.9であり、更に一層好ましくはpHが4.5〜4.7である。
【0033】
好ましくは、アニオン交換クロマトグラフィーを行うアルブミン溶液は、導電率が4.0mS・cm
-1未満であり、更に好ましくは導電率が1.0±0.5mS・cm
-1であり、更に一層好ましくは1.05±0.1mS・cm
-1である。
【0034】
アニオン交換段階の前に、アルブミン溶液にpH調整および/または水による希釈を行うのが好都合である。アルブミン溶液のpHを酢酸で調整するのが好ましい。
【0035】
もう一つの好ましい態様では、本発明の第一および第二のアニオン交換クロマトグラフィー段階は、アルブミンに関してポジティブモードで行われる。
【0036】
ポジティブモードのアニオン交換クロマトグラフィーを行うアルブミン溶液は、pHが6.0〜8.0であるのが適当であり、好ましくはpHが6.5〜7.5であり、更に一層好ましくはpHが6.8〜7.2である。アルブミン溶液は、オルトリン酸イオンを用いてpH調整するのが好ましい。
【0037】
好ましい態様では、アルブミン濃度は10〜100g・L
-1であり、好ましくは25〜80g・L
-1であり、最も好ましくは30〜60g・L
-1である。好ましくは、アルブミン溶液の導電率は1.0〜2.0mS・cm
-1であり、好ましくは1.2〜1.6mS・cm
-1である。
【0038】
アルブミンは、リン酸塩、例えばリン酸ナトリウム20〜90mM、好ましくは30〜70mM、更に好ましくは35〜65mM含んでなる緩衝液でアニオン交換体から溶出するのが適当である。好ましくは、アルブミンは、pH6.0〜8.0、好ましくはpH6.5〜7.5の緩衝液を用いてアニオン交換体から溶出される。
【0039】
本発明の第一および第二の態様の方法では、醗酵、一次分離、セントレートコンディショニング(centrate conditioning)、カチオン交換クロマトグラフィー、好ましくはスルホプロピル置換基をカチオン交換体として用いるカチオン交換クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、好ましくはジエチルアミノアルキル置換基をアニオン交換体として用いるアニオン交換クロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィー、好ましくは固定化アルブミン特異的色素、好ましくはCibacron Blue型の色素を含んでなるアフィニティーマトリックスを用いるアフィニティークロマトグラフィーの段階の1つ以上を先に行うのが特に好ましい。
【0040】
本発明の好ましい態様では、アルブミンの精製法であって、
(a)アルブミン溶液に、アルブミンに関してポジティブモードで行うカチオン交換クロマトグラフィー段階を施し、
(b)アルブミンを含むカチオン交換溶出物を集め、
(c)カチオン交換溶出物にアルブミンに関してポジティブモードで行うアニオン交換クロマトグラフィー段階を施し、
(d)アルブミンを含むアニオン交換溶出物を集め、
(e)アニオン交換溶出物にアルブミンに関してポジティブモードで行うアフィニティークロマトグラフィーを施し、
(f)アルブミンを含むアフィニティークロマトグラフィー溶出物を集め、
(g)アフィニティークロマトグラフィー溶出物に、アルブミンに関してネガティブモードでかつ糖包合体(glycoconjugates)(グリコシル化アルブミンおよび/または糖タンパク質)に関してポジティブモードで行うアフィニティークロマトグラフィー段階を施し、
(h)アルブミンを含むアフィニティークロマトグラフィー溶出物を集め、
(i)アフィニティークロマトグラフィー溶出物に、アルブミンに関してネガティブモードで行うカチオン交換クロマトグラフィー段階を施し、
(j)アルブミンを含むカチオン交換溶出物を集め、
(k)カチオン交換溶出物に、ネガティブモードまたはポジティブモードで行うアニオン交換クロマトグラフィー段階を施し、
(l)アニオン交換段階をネガティブモードで行う場合にはアルブミンを含むアニオン交換溶出物を集め、またはアニオン交換段階をポジティブモードで行う場合にはアニオン交換溶出物をアニオン交換マトリックスから溶出させる
段階を含んでなり、
必要に応じて、それぞれの精製段階のいずれかを行う前または後に、緩衝液交換、濃縮、希釈、透析、透析濾過、pH調整(好ましくはpH2.0またはpH4.0より大きいpH、および好ましくはpH10.0未満のpHへ)、還元剤による処理、脱色処理(例えば、木炭による処理)、加熱(殺菌など)、冷却、またはコンディショニングの1つ以上を行うことを特徴とする、方法が提供される。
【0041】
従って、精製段階は、緩衝液交換、濃縮、希釈、透析、透析濾過、pH調整、還元剤による処理、脱色処理、加熱、冷却、またはコンディショニングによって分離されまたは分離されないことがある。
【0042】
任意の段階をアルブミンについてネガティブモードで行うときには、洗浄液を溶出物と共に集めることができる。
【0043】
本発明のもう一つの好ましい態様では、アルブミンの精製法であって、
(a)アルブミン溶液に、アルブミンに関してポジティブモードで行うカチオン交換クロマトグラフィー段階を施し、
(b)アルブミンを含むカチオン交換溶出物を集め、
(c)カチオン交換溶出物に、アルブミンに関してポジティブモードで行うアニオン交換クロマトグラフィー段階を施し、
(d)アルブミンを含むアニオン交換溶出物を集め、
(e)アニオン交換溶出物に、アルブミンに関してポジティブモードで行うアフィニティークロマトグラフィー段階を施し、
(f)アルブミンを含むアフィニティークロマトグラフィー溶出物を集め、
(g)アフィニティークロマトグラフィー溶出物に、アルブミンに関してネガティブモードでかつ糖包合体(glycoconjugates)に関してポジティブモードで行うアフィニティークロマトグラフィー段階を施し、
(h)アルブミンを含むアフィニティークロマトグラフィー溶出物を集め、
(i)アフィニティーマトリックス溶出物に、アルブミンに関してネガティブまたはポジティブモードで行うアニオン交換クロマトグラフィー段階を施し、
(j)アニオン交換段階をネガティブモードで行う場合にはアルブミンを含むアニオン交換溶出物を集め、またはアニオン交換段階をポジティブモードで行う場合には、アニオン交換マトリックスからアニオン交換溶出物を溶出させ、
(k)アニオン交換クロマトグラフィー段階によって精製したアルブミン溶液に、アルブミンに関してネガティブモードで行うカチオン交換クロマトグラフィー段階を施し、
(l)アルブミンを含むカチオン交換溶出物を集める
段階を含んでなり、
必要に応じて、それぞれの精製段階のいずれかを行う前または後に、緩衝液交
換、濃縮、希釈、透析、透析濾過、pH調整(好ましくはpH2.0またはpH4.0より大きいpH、および好ましくはpH10.0未満のpHへ)、還元剤による処理、脱色処理(例えば、木炭による処理)、加熱(殺菌など)、冷却、またはコンディショニングの1つ以上を行うことを特徴とする、方法が提供される。
【0044】
従って、精製段階は、緩衝液交換、濃縮、希釈、透析、透析濾過、pH調整、還元剤による処理、脱色処理、加熱、冷却、またはコンディショニングによって分離されまたは分離されないことがある。
【0045】
本発明のポジティブモードでのカチオン交換段階の前に、アルブミン溶液を上記のようにコンディショニングするのが好ましい。オクタノエートを、最終濃度が約1〜10mMとなるまで加え、pHを約4.0〜5.0に調整するのが好ましい。
【0046】
陽イオン交換段階で保持されたアルブミンは、高塩溶液(例えば、10〜100mM、好ましくは0〜40mM、例えば25〜30mMの酢酸ナトリウムでpH3.0〜4.5、好ましくはpH約4.0で緩衝した0.5〜3.0MのNaCl)で洗浄した後、溶出するのが有利である。
【0047】
アルブミンは、アルブミンに特異的親和性を有する化合物、特に酸、例えばオクタノエートまたは別の脂肪酸、例えばC
6またはC
10を含む緩衝液を用いてカチオン交換段階で溶出するのが好ましい。
【0048】
アルブミンは、第一のアニオン交換段階では、高濃度(例えば、少なくとも50mM、好ましくは50〜200mM、例えば80〜150mM)のホウ酸塩、例えば四ホウ酸ナトリウムまたはカリウムを含む緩衝液でアニオン交換体から溶出するのが適当である。
【0049】
ポジティブモードのアフィニティークロマトグラフィー段階では、固定化アルブミン特異的色素、例えばCibacron Blue型の色素であって、好ましくは1,4−ジアミノブタンのようなスペーサー、またはC
1〜8、好ましくはC
1〜6、例えばC
1〜5、最も好ましくはC
4の長さであり、好ましくはα,ω−ジアミノ置換を有するもう一つのスペーサーを介して樹脂上に固定されているものを含んでなる樹脂を用いるのが好ましい。マトリックスは、WO96/37515号公報に記載の方法で調製した「Delta Blue Matrix」(DBA)であるのが好ましい。
【0050】
本発明の第三の態様では、アルブミン溶液のニッケルイオンの濃度を減少させる方法であって、アルブミン溶液をpH2.5〜7.5、好ましくは2.5〜6.0とし、ニッケルイオンを除去することを含んでなる方法が提供される。アルブミン溶液を、pH4.0〜7.5、好ましくは4.0〜6.0、更に好ましくはpH4.0〜5.5、更に一層好ましくはpH4.0〜pH5.0、最も好ましくはpH4.0〜4.5とするのが好ましい。
【0051】
本発明の第三の態様の方法は、pH2.5〜6.0の緩衝液に対する、または上記pH範囲の1つの範囲内のpHを有する緩衝液に対する透析濾過を含んでなることが好ましい。あるいは、ニッケルの除去は、上記pH範囲の1つの範囲内のpHを有する緩衝液によるゲル浸透クロマトグラフィーを用いて行うことができる。ゲル浸透クロマトグラフィーは、Sephacryl S200 HRを用いて行うことができる。緩衝液は、酢酸および/またはリンゴ酸イオンを含んでなるのが好ましい。あるいは、pHを調整し、水で透析濾過/ゲル浸透クロマトグラフィーを行うのに、十分なアルブミンからの緩衝容量がある。
【0052】
ニッケルイオンは、キレート化してアルブミンから除去することもでき縷々これは、低pH、好ましくはpH4.0〜6.0、更に好ましくはpH4.0〜4.5でSepharose (Chelating Sepharose, Pharmacia)または別のポリマー(例えば、Chelex, Bio Rad Laboratories)上で固定化されたイミノ二酢酸のようなキレート化剤を用いて行うことができる。
【0053】
本発明の第三の態様の方法からの産物に陰イオン交換クロマトグラフィーを施すときには、本発明の第三の態様は、アルブミン溶液をpH5.0〜5.6とすることを含んでなるのが好ましい。反対に、本発明の第三の態様の方法からの産物に陰イオン交換クロマトグラフィーを直接施さないときには、本発明の第三の態様はアルブミン溶液をpH4.3〜4.9とすることを含んでなるのが好ましい。
【0054】
本発明の第一、第二および第三の態様の好ましい態様では、初期アルブミン溶液を、醗酵培地知勇でアルブミンコードヌクレオチド配列で形質転換した真菌を培養することによって、上記真菌がアルブミンを発現し、これを培地に分泌することによって得た真菌培地から誘導される。真菌は、
Aspergillus種のような糸状菌でよい。真菌は、酵母であるのが好ましい。更に好ましくは、真菌は
Saccharomyces属(例えば、
Saccharomyces cerevisiae)、
Kluyveromyces属(例えば、
Kluyveromyces lactis)、または
Pichia属(例えば、
Pichia pastoris)である。
【0055】
本発明の第一、第二または第三の態様に従って精製したアルブミンの少なくともいくらかは、本発明の第五の態様による細胞または本発明の第六の態様による方法によって産生される。
【0056】
本発明の第四の態様では、本発明の上記態様のいずれか1つによる方法によって得られるアルブミン溶液が提供される。好ましくは、アルブミン溶液は、
(1)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.2%または0.15%未満がConcanavalin Aに結合し、下記の特性
(2)グリシル化濃度が0.6モルヘキソース/1モルタンパク質未満であり、好ましくは0.10、0.075または0.05モルヘキソース/1モルタンパク質未満
の1つ以上を示す組換えアルブミンを含んでなる。
【0057】
本発明の方法によって調製した精製アルブミン溶液は、目的とする用途に従って更に加工することができる。例えば、これは限外濾過膜を介して限外濾過を行い、アルブミン濃度が少なくとも約10g、好ましくは少なくとも40g、更に好ましくは約80gアルブミン/リットルである限外濾過保持物(ultrafiltration retentate)を得て、この限外濾過保持物は少なくとも5保持物相当の水に対して透析濾過することができる。
【0058】
本発明の第五の態様では、組換えアルブミンコード配列を含んでなるDNA配列、プラスミドまたは細胞であって、組換えアルブミンコード配列の3′末端が2個以上のインフレーム翻訳停止コドン、好ましくは3個のインフレーム翻訳停止コドンを含んでなるものが提供される。
【0059】
本発明の第四の態様の組換え細胞は、真核または原核細胞でよい。組換え細胞は、細菌(例えば、
E. coliまたは
Bacillus subtilis)、酵母(例えば、
Saccharomyces属(例えば、
S. cerevisiae)、
Kluyveromyces属(例えば、
K. lactis)または
Pichia属(例えば、
P. pastoris)の酵母)、糸状菌(例えば、
Aspergillus)、植物または植物細胞、動物または動物細胞(トランスジェニックであることがある)、または昆虫細胞であることがある。
【0060】
本発明の第六の態様では、組換えアルブミンコード配列を発現する真菌細胞を培養して、アルブミンを得ることを含んでなる組換えアルブミンの製造法であって、細胞の組換え発現したアルブミンのマンノシル化能を少なくとも減少させるようにする遺伝子修飾を細胞が有し、かつ培地が少なくとも1,000LでありかつpH6.0〜6.8であることを特徴とする、方法が提供される。
【0061】
本発明の意味において、遺伝子修飾は、好ましくは1個以上の塩基または真菌細胞DNA配列の断片の任意の抑制、置換、欠失または付加を意味する。このような遺伝子修飾は、例えば遺伝子工学技術によりまたは真菌細胞を突然変異誘発剤に暴露することによってイン・ビトロ(単離DNA上で直接)またはインシテューで得ることができる。突然変異誘発剤としては、例えば強力な線(X線、γ線、UVなど)のような物理的作用因子、またはDNAの様々な完納期と反応することができる化学薬剤、例えばアルキル化剤(EMS、NQOなど)、ビスアルキル化剤、インターカレーティング剤(intercalating agents)などが挙げられる。遺伝子修飾は、例えばRothstein et al. [Meth. Enzymol., 194 (1991), 281-301]によって開示された方法に準じる遺伝子破壊によって得ることもできる。この方法によれば、遺伝子の一部または全部は、騒動組換えを介してイン・ビトロでの修飾バージョンによって置換される。遺伝子修飾は、トランスポゾン、ファージなどのようなDNA配列上の任意の突然変異による挿入によって得ることもできる。
【0062】
点突然変異のようなある種の修飾は、細胞機構によって逆転させたりまたは減水させることができることが知られている。このような修飾では、その表現型特性はきわめて安定ではないことがあるので、本発明の修飾した真菌細胞の最も有用な形態は提供されないことがある。従って、(複数の)遺伝子修飾が安定に小計され、および/または非復帰性および/または非漏出性であるのが好ましい。このような(複数の)修飾は、一般に欠失または遺伝子破壊によって得られる。
【0063】
「漏出性突然変異体」(leaky mutant)およびその文法上の変形により、野生型機能の完全な不活性化よりも部分的不活性化から生じる突然変異体が挙げられる。
【0064】
本発明の真菌細胞によって行われる(複数の)遺伝子修飾は、細胞のDNA配列のコード領域および/または遺伝子の発現に影響を与える領域に配置することができる。更に具体的には、上記(複数の)修飾は、一般にコード領域、または発現産物がマンノシル化に関与した酵素である1個以上の遺伝子の発現に重要なまたは関与している領域に影響を与える。
【0065】
従って、本発明の真菌細胞のタンパク質をマンノシル化する能力の減少は、構造および/またはコンホメーション変化による不活性酵素の産生、生物学的特性が変化した酵素の産生、上記酵素の産生の非存在、または低濃度の上記酵素の産生から生じることがある。
【0066】
真菌細胞のマンノシル化経路は、タンパク質またはペプチドのセリルおよび/またはトレオニルアミノ酸のヒドロキシル基へのマンノシル残基の結合と、次いでマンノシル残基の引き続く付加によるO−結合二およびオリゴ糖への伸張を含んでいる。第一のマンノシル残基は、ドリコールモノホスフェートマンノース(Dol-P-Man)から小胞体のタンパク質へ導入され、追加のマンノシル残基はゴルジ体のGPD-Manから導入される。
【0067】
本発明の好ましい態様では、修飾した真菌細胞は、少なくとも1個の遺伝子に(複数の)遺伝子修飾を有し、その発現産物はマンノシル残基のセリルまたはトレオニルアミノ酸のヒドロキシル基への結合に関与している。
【0068】
本発明のもう一つの好ましい態様では、修飾した真菌細胞は、少なくとも1個の遺伝子に複数の遺伝子修飾を有し、その発現産物はDol-P-Man前駆体からセリルまたはトレオニルアミノ酸のヒドロキシル基へのマンノシル残基の導入に関与している。更に一層好ましくは、これらの遺伝子一つはPMT遺伝子(例えば、PMT1、PMT2、PMT3、PMT4、PMT5、PMT6またはPMT7)である。PMT遺伝子はPMT1、PMT5、またはPMT7であるのが好ましい。
【0069】
WO94/04687号公報(この特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)には、O−マンノシル化活性を欠いているS. cerevisiaeの調製が記載されている。O−マンノシル化活性を欠いているS. cerevisiae細胞は、PMT1 ORFのHindIII制限部位へのURA3遺伝子の挿入による遺伝子破壊によって調製した。生成する突然変異体は、YEPD(約pH6.95)上または最小培地+Ade,+Leu(約pH4.75、酵母の生長と共に低下)上で生育した。予想外なことには、WO94/04687号公報で用いた生長培地のpHは分泌アルブミンを産生するためのPMT突然変異体の大規模培養には最適ではないことを見いだした。本発明者らは、pH6.0〜6.8の生長培地が大規模発行の際の宿主細胞の完全性に関して有益であることを見いだした。
【0070】
セリルまたはトレオニルアミノ酸のヒドロキシル基へのマンノシル残基の結合に関与した遺伝子の修飾の他に、本発明の真菌細胞は二またはオリゴ糖を生じるマンノシル残基の次の付加またはマンノシル残基ドナー(Dol-P-Man)の合成に関与した遺伝子に修飾を有することもある。
【0071】
好ましくは、真菌細胞はPMT遺伝子またはPMT遺伝子の発現または産物に影響を与える遺伝子内に遺伝子修飾を有する。PMT遺伝子の発現に影響を与える遺伝子は、例えばmRNA転写体濃度またはPMT産物濃度に影響を与えることがある。
【0072】
本発明の第六の態様の真菌細胞は、糸状菌および酵母から選択することができる。細胞は、酵母、例えば
Saccharomyces属(例えば、
S. cerevisiae)、
Kluyveromyces属(例えば、
K. lactis)、または
Pichia属(例えば、
P. pastoris)の酵母であるのが好ましい。
【0073】
組換えアルブミンコード配列を発現する真菌細胞は、少なくとも5,000Lの培地で培養するのが好ましく、少なくとも7,500Lの培地で培養するのが更に好ましい。
【0074】
好ましくは、組換えアルブミンコード配列を発現する真菌細胞は、pH6.2〜6.7、更に好ましくはpH6.3〜6.5の範囲に保持される培地で培養される。好ましくは、培地のpHは、pH6.3〜pH6.5の間のpH、好ましくは6.35〜6.45のpH、更に好ましくは約6.4のpHに設定されたpHコントローラーを用いて保持される。好ましくは、pHコントローラーは、上記pH範囲のいずれか1つの中の任意のpH値の0.20または0.10pH単位内、またはpH6.4の0.20または0.10pH単位内に制御される。
【0075】
別態様では、真菌細胞は、pH5.30〜pH5.90、好ましくはpH5.50〜pH5.90、pH5.40〜pH5.90、またはpH5.40〜5.60の範囲に保持されている培地で培養される。好ましくは、低コントロール設定点はpH5.40〜pH5.60であり、好ましくはpH5.45〜pH5.55であり、好ましくは低コントロール設定点はpHが約5.50である。
【0076】
本発明は、高精製アルブミンの調整法を提供する。アルブミンは、着色物質の濃度がきわめて低いことを特徴とする。本明細書で用いられる「着色物質」(colorant)という用語は、アルブミンを着色する任意の化合物を意味する。例えば、色素は、組換えアルブミンを調製するのに用いられる酵母のような生物から生じる着色物質であり、色素は、アルブミンを精製するためのクロマトグラフィー段階から生じる着色物質である。
【0077】
アルブミンはまた、アルミニウム、乳酸塩、クエン酸塩、金属、非アルブミン性のヒトタンパク質、例えば、免疫グロブリン、プレカリクレイン活性化因子、トランスフェリン、α1−酸性糖タンパク質、ヘモグロビン、および血液凝固因子、原核性タンパク質、アルブミンの断片、アルブミン凝集体またはポリマー、または内毒素、ビリルビン、ヘム、酵母タンパク質、動物タンパク質、およびウイルスの濃度がきわめて低いか、または本質的に含まないことを特徴とする。本質的に含まないとは、検出可能濃度を下回ることを意味する。
【0078】
本発明のアルブミンは、少なくとも99.5%が単量体および二量体性であり、好ましくは本質的に100%が単量体および二量体性である。0.5%まで、好ましくは0.2%のトリマーが許容可能であるが、それ以上の形態のアルブミンは通常は存在しない。アルブミンは、下記の特徴の1個以上を特徴とすることもある。これは、アルブミン1gに対してニッケルイオン濃度が100ng未満であり、グリケーションレベルがAmadori生成物分析法で測定するとき0.6未満、好ましくは0.10、0.075または0.05モルヘキソース/モルタンパク質未満であり、C末端が完全、すなわち均質であり、conA結合アルブミンの含量が0.5%(w/w)未満、好ましくは0.2%または0.15%未満であり、遊離チオール含量が少なくとも0.85モルSH/モルタンパク質であり、C18またはC20脂肪酸を実質的に含まない。本発明の方法によって精製したアルブミン製剤のタンパク質の少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.9重量%は、アルブミンである。このような高純度アルブミンは、有害な副作用を引起こすとはあまり考えられない。
【0079】
本発明によって精製したrHAは、血清由来の汚染物質が出発物質には含まれていないので、この汚染物質を一般に全く含まない。
【0080】
本発明によれば、高純度アルブミンは、不純なアルブミン溶液から得られる。この方法は、醗酵培地でヒトアルブミンのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で形質転換した微生物を培養し、好ましくは微生物を発酵培地から分離し、必要ならば、更に精製を行うために培地をコンディショニングし、コンディショニングした培地を3個の連続的クロマトグラフィー段階を通過させ、生成物を限外濾過/透析濾過し、限外濾過した生成物を更にクロマトグラフィー段階を通過させ、2個の追加のクロマトグラフィー段階による精製の前に、限外濾過/透析濾過を行い、最終的限外濾過/透析濾過を行う段階の1つ以上を含んでなる。
【0081】
あるいは、醗酵培地の代わりに、不純なアルブミン溶液は、過去50年にわたって開発されたおびただしい数の抽出および精製技術のいずれか、例えば、Stoltz et al., (1991), Pharmaceut. Tech. Int., June 1991, 60-65およびMore & Harvey, (1991)「血液の分離および血漿の分画化(Blood Separation and Plasma Fractionation)」, Harris監修, Wiley-Liss, 261-306に開示されている手法によって血清から得られた溶液であることができる。
【0082】
もう一つの代替法では、アルブミンは、ヤギ、ヒツジまたはウシのようなトランスジェニック動物から、例えば、動物の乳または血液から、またはトランスジェニックニワトリの場合には、卵白から得ることができる。
【0083】
更にもう一つの代替法では、アルブミンは、タバコ、ジャガイモまたはトウモロコシ(メイズ)のようなトランスジェニック植物から得ることができる。
【0084】
アルブミンを血漿以外の供給源から精製する場合には、従来の技術による精製法は、比較的高濃度のニッケルイオンを生じる。アルブミンは、分子のN末端に銅、ニッケルおよび亜鉛に対する高親和性結合部位を有することが知られている。従って、アルブミン分子は、培養および/または精製に用いた培地からニッケルイオンを効果的に濃縮する。本発明によって精製したアルブミンは、ニッケルイオン濃度が意外なほど低い。
【0085】
本発明の手続きのいずれかの前または後に、アルブミン溶液は、緩衝液交換、濃縮、希釈、加熱(殺菌など)、冷却を行うことができ、または例えば溶液のpHを調節または調整することができる塩などをアルブミンに加えることができる。場合によっては、アルブミンは還元剤で処理することができ、または脱色段階を行うことができる。
【0086】
最終産物は、安定性が加えられるように処方することができ、目的とする用途に従って処方することができ、例えばこれは、非経口投与、好ましくはヒトへの非経口投与用に処方することができる。アルブミンを殺菌するのが適当である。
【0087】
好ましくは、本発明の高純度アルブミン産物は少なくとも100g、更に好ましくは1kgまたは10kgのアルブミンを含み、これを複数のバイアルに分けることができる。
【0088】
本発明のアルブミンは、火傷、ショックまたは失血の治療における治療用途の他に様々な役割を行う。例えば、これは、(例えば、液体処方物、凍結乾燥処方物または吸入用処方物における)最終産物賦形剤として、細胞培養、ウイルス産生、遺伝子治療、イン・ビトロでの施肥培地における精製の際に他のタンパク質の安定化のため、およびカニューレ、カテーテルおよび血管プロテーゼのような医療装置のコーティングに用いることができる。
【0089】
本発明のそれぞれの態様は、本発明の1つ以上の他の態様と組み合わせることができることを理解すべきである。
【0090】
発明の好ましい態様の詳しい説明
本発明の方法を用いて、血清のような多数の供給源からの不純なアルブミン溶液から高純度アルブミンを得ることができるが、本発明の方法は組換えヒトアルブミン(rHA)の精製に特に応用することができる。本発明によって製造したアルブミンは、ラット、ウシまたはヒツジアルブミンのような任意の哺乳類のアルブミンであることができるが、好ましくはヒトアルブミンである。
【0091】
アルブミンをコードするDNAは、適当な宿主で発現させてアルブミンを産生させることができる。従って、DNAを既知の手法によって用い、本明細書に含まれる教示を考慮して適当に修飾し、発現ベクターを構築した後、これを用いて適当な宿主細胞を形質転換し、アルブミンを発現させ,産生することができる。
【0092】
アルブミンをコードするDNAは、多種多様な他のDNA配列と結合させて、適当な宿主に導入することができる。伴DNAは、宿主の性質、DNAの宿主への導入法、およびエピソーム保持または組込みが所望であるかどうかによって変化する。
【0093】
一般に、DNAは、適正な配向および発現のための正確なリーディングフレームで、プラスミドのような発現ベクターに挿入される。必要ならば、DNAを所望な宿主によって認識される適当な転写および翻訳調節コントロールヌクレオチド配列に結合することができるが、このようなコントロールは一般に発現ベクターで利用可能である。UAA、UAGまたはUGAのような翻訳停止コドンをコードする二個以上のDNA配列を組込み、翻訳読み過しを最小限にし、伸張した非天然の融合タンパク質の産生を回避するのが好ましい。翻訳停止コドンUAAをコードするDNA配列が好ましい。次に、ベクターを標準的手法によって宿主に導入した後、形質転換宿主細胞を選択する。次いで、このようにして形質転換した宿主細胞を十分な時間および当業者に知られている適当な条件下で培養し、本明細書に開示された教示を考慮してアルブミンを発現させた後、これを回収することができる。
【0094】
細菌(例えば、
E. coliおよびBacillus subtilis)、酵母(例えば、
Saccharomyces cerevisiae、
Pichia pastorisおよび
Kluyveromyces lactis)、糸状菌(例えば、
Aspergillus)、植物細胞、動物細胞、および昆虫細胞など多くの発現系が知られている。好ましい微生物は、酵母
Saccharomyces cerevisiae、
Kluyveromyces lactisおよび
Pichia pastorisである。例えば、遺伝子コード配列の破壊によってタンパク質のO−グリコシル化に関与する1個以上のタンパク質マンノシルトランスフェラーゼを欠いている酵母を用いるのが特に有利である。
【0095】
アルブミンタンパク質配列はNに結合したグリコシルかの部位を全く含まず、またO結合グリコシル化によって性質が改質されることは報告されていない。しかしながら、多数の酵母種で産生されたrHAは、マンノシル含むO結合グリコシル化によって改質することができることを見いだした。マンノシル化アルブミンは、レクチンConcanavalin Aに結合することができる。酵母によって産生されたマンノシル化アルブミンの量は、1個以上のPMT遺伝子を欠いている酵母株を用いることによって減少させることができる(WO94/04687号公報)。
【0096】
これを行うのに最も好都合な方法は、ゲノムに欠陥を有する酵母を作成し、Pmtタンパク質の一つの産生レベルを減少させることである。例えば、コード配列または調節領域(またはPMT遺伝子の一つの発現を調節する別の遺伝子)に欠失、挿入または転位があれば、Pmtタンパク質がほとんどまたは全く産生されないようにすることができる。あるいは、酵母を形質転換して、アンチPmt抗体のようなアンチPmt作用因子を産生させることができた。
【0097】
PMT遺伝子の一つを修飾してPmtタンパク質の産生レベルを減少させるには、位置指定突然変異誘発または他の既知の手法を用いて、BotsteinおよびShortle,「イン・ビトロでの突然変異誘発の方法および応用(Strategies and Applications of In Vitro Mutagenesis)」, Science, 229: 193-210 (1985) に記載されているように置換、挿入、欠失、および転位のような単一または多重突然変異を作成することができ、上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。適当な突然変異としては、連鎖停止突然変異(3′末端付近に導入された停止コドンは、明らかに遺伝子産物に対する効果が有益とするには不十分であり、当業者であればコード配列の5′の4分の3に容易に突然変異を作成することができるであろう)、コード配列の小さなものから大きな欠失へのリーディングフレームを変化させる点突然変異、遺伝子発現に影響を与えるプロモーターまたはターミネーターの突然変異、およびmRNAを不安定化する突然変異が挙げられる。特定の突然変異は、遺伝子トランスプレースメント(gene transplacement)として知られる遺伝子破壊技術の拡張によって導入することができる(Winston, F. et al., (1983), Methods Enzymol., 101, 211-228)。
【0098】
一般に、遺伝子配列を破壊するには選択可能マーカーを用いるが、特に破壊事象を表現型により検出することができる場合には、これは問題とする必要がない。多くの場合に、介在配列は、停止コドンがPmt配列とインフレームで存在し、挿入されたコード配列が翻訳されないように挿入される。あるいは、挿入された配列は、Pmtに対して異なるリーディングフレームにあってもよい。
【0099】
遺伝子は、摘出または転位した1個以上の部分(場合によっては、全遺伝子までの調節領域を含む)を有することができ、またはこれは挿入された部分を有し、PMT座の一つからのタンパク質の産生を減少させ、および/または活性レベルの減少したPMT座の一つからのタンパク質を産生することができる。
【0100】
Saccharomyces cerevisiaeのPMT遺伝子は、特異性が変化する7種類の(PMT1〜PMT7)タンパク質O−マンノシルトランスフェラーゼの科をコードする。これらのタンパク質は、ドリコールホスフェート−D−マンノース:タンパク質トランスフェラーゼ、ドリキル−ホスフェート−D−マンノース:タンパク質O−D−マンノシルトランスフェラーゼまたはホスホマンノーストランスフェラーゼ(Gentzsch and Tanner, EMBO, 15, 5752-5757, 1996、およびそこに記載されている文献)としても知られている。この一体化した膜酵素の科は、下記の反応によって記載されるドリキルホスフェートマンノースの形態でのマンノースのポリペプチド鎖中のセリンまたはトレオニンのヒドロキシル基への導入を触媒する。
【化1】
【0101】
有効な証拠は、ドリキルホスフェートマンノースの合成と次のマンノースのタンパク質への導入が小胞体で起こることを示唆している。
【0102】
この科の酵素は異なる基質(タンパク質)特異性を有することは明らかである(Gentzsch and Tanner, (1997), Glycobiology, 7, 481-486)。7種類の試験タンパク質の5つは、pmt1またはpmt2突然変異体Saccharomyces cerevisiae株でのアンダーグリコシル化によって示されるように、それぞれPMT1およびPMT2遺伝子の産物であるPmt1pおよびPmt2pに対する基質であった。別の2種類の試験タンパク質はPMT1またはPMT2突然変異によっては影響されないと思われたが、pmt4突然変異体株ではアンダーグリコシル化された。
【0103】
92kDのPmt1pタンパク質O−マンノシルトランスフェラーゼ酵素は、可溶化したSaccharomyces cerevisiae膜から均質になるまで精製した(Strahl-Bolsinger and Tanner, (1991), Eur. J. Biochem., 196, 185-190)。Pmt1pをコードする遺伝子(PMT1)をクローニングして、配列決定した。遺伝子をIV染色体上に配置し、817のアミノ酸の一次配列を有する単一ポリペプチドをコードする(Strahl-Bolsinger et al., (1993), P.N.A.S. USA, 90, 8164-8168)。PMT1(および他のPMT遺伝子)の配列情報を用いて、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子をコードする関連マンノシルトランスフェラーゼを同定することができる。
【0104】
図10および11に示される配列は、領域
Saccharomyces cerevisiae PMT1をコードするタンパク質と相同性であり、
図12〜15に示される配列は領域
Saccharomyces cerevisiae PMT7をコードするタンパク質と相同性であり、
図16〜17に示される配列は
Saccharomyces cerevisiae PMT5をコードするタンパク質と相同性である。当業者であれば、これらの配列のいずれか一つを用いて、
Saccharomyces cerevisiaeマンノシルトランスフェラーゼ遺伝子を同定することができることを理解するであろう。
図10〜17に示される配列およびそれらの断片と相同性である配列として、
図10〜17に示される配列の断片も同様に用いることができることが理解されるであろう。相同配列を生成させる手法は、当該技術分野で周知である。
【0105】
相同配列とは、
図10〜17のいずれか一つに示される配列または
図10〜17のいずれか一つに示される配列の断片と少なくとも70%、80%、90%、95%または98%相同性を有する配列を包含する。
【0106】
相同率(per cent-homology)は、例えば、Devereux et al. (Nucl. Acids res., 12:387, 1984)によって報告され、University of Wisconsin Genetics Computer Group (UWGCG)から発売されているGAPコンピュータープログラムを用いて配列情報を比較することによって決定することができる。GAPプログラムは、Neddleman and Wunsch (J. Mol. Biol., 48:443, 1970)の配列法であって、Smith and Waterman (Adv. Appl. Math., 2.482. 1981)によって改訂されたものを用いる。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメーターとしては、(1)ヌクレオチドの単一要素比較マトリックス(一致について1および不一致について0の値を含む)、およびSchwarts and Dayhoff監修,「タンパク質配列および構造のアトラス(Atlas of Protein Sequence and Structure)」, National Biomedical Research Foundation, pp 353-358, 1979によって記載されているBribskov and Burgess, Nucl. Acids Res., 14:6745, 1986の重み付き比較マトリックス、(2)それぞれのギャップについてペナルティー3.0、およびそれぞれのギャップ中のそれぞれの記号について更に0.10のペナルティー、(3)末端ギャップについてはペナルティーなしが挙げられる。
【0107】
S. cerevisiae以外の酵母を用いる場合には、例えば、
Pichia pastorisまたは
Kluyveromyces lactisにおける
S. cerevisiaeのPMT遺伝子に相当する1個以上の遺伝子の破壊も有効である。
S. cerevisiaeから単離したPMT1(または任意の他のPMT遺伝子)の配列を用いて、他の真菌種における同様な酵素活性をコードする遺伝子の同定または破壊を行うことができる。
Kluyveromyces lactisのPMT1同族体のクローニングは、WO94/04687号公報に記載されている。
【0108】
S. cerevisiae以外の酵母を用いる場合には、
図10〜17に示される配列を用いて
S. cerevisiae PMT遺伝子に相当する遺伝子を同定(または破壊)することもできる。当業者であれば、
図10〜17に示される配列およびそれらの断片と相同性である配列として、
図10〜17に示される配列の断片も同様に用いることができることが理解されるであろう。
【0109】
遺伝子破壊を行う方法は文献に記載されており、その一例はBoehm et al. (Boehm, T., Pirie-Shepherd, S., Trinh, L., Shiloach, J. and Folkman, J., (1999), Yeast, 15, 563-572)によって記載されており、これには、Saccharomyces cerevisiae SUC2遺伝子を標的遺伝子に特異的なPichia pastorisDNAによってフランキングされているマーカーとして使用することが記載されている。
【0110】
酵母は、有利なことにはWO95/33833号公報およびWO95/23857号公報にそれぞれ教示されているHSP150および/またはYAP3遺伝子の欠失を有する。
【0111】
好ましい態様では、酵母は
Saccharomyces cerevisiaeの2μmプラスミドに基づいた発現プラスミドで形質転換される。酵母を形質転換するときには、プラスミドは細菌複製と選択配列を含み、これは形質転換の後に、EP286424号明細書の教示による内部組換え事象によって削除される。プラスミドは、EP431880号明細書に教示されている酵母プロモーター(例えば、
Saccharomyces cerevisiae PRB1プロモーター)、例えば、WO90/01063号公報に教示されているように天然のHSA分泌リーダーのほとんどと
S. cerevisiae α−接合因子分泌リーダーの小部分を含んでなる分泌リーダーをコードする配列、ヒト遺伝子に相当するcDNAを単離するための既知の方法によって得ることができかつEP73646号明細書およびEP286424号明細書にも開示されているHSAコード配列、および転写ターミネーター、好ましくはEP60057号明細書に教示されているような
Saccharomyces ADH1由来のターミネーターを含んでなる発現カセットも含んでいる。好ましくは、ベクターは、少なくとも2個の翻訳停止コドンを組込む。
【0112】
上記のプラスミドの様々な要素は産物の収率向上に寄与することがあるが、これらの要素の選択は得られるアルブミン産物の純度に直接関連しているとは考えられない。醗酵および精製法の好ましい態様を、例1で説明する。
【実施例】
【0113】
例1
アルブミン産生微生物の構築のためのクローニング法は、アルブミンコード配列の3′末端およびADH1転写集結配列とのその連結を変更して、下記のようにADHコード配列が除去され、2個の連続したインフレーム翻訳停止コドンが存在し、第三の停止コドンが下流に続くようにすることを除き、EP431880号明細書に開示されている通りである。
【化2】
【0114】
これは、EP431880号明細書に記載のプラスミドpAYE309由来のADH1ターミネーターを、下記の配列を有する2個の一本鎖オリゴヌクレオチドを用いるPCR突然変異誘発による修飾によって行った。
【化3】
【0115】
PCR条件は、94℃60秒間、37℃120秒間、および72℃180秒間の25サイクルであった。0.48kbのPCR産物をHindIIIおよびBamHIで消化し、WO97/24445号公報に記載され、同様にHindIIIおよびBamHIで消化したプラスミドpBST+に連結し、プラスミドpAYE440を作成した(
図2)。ADH1ターミネーターを、下記の配列を有する2個の一本鎖オリゴヌクレオチドAT19Rおよびユニバーサル-40プライマーを用いるPCR突然変異誘発によって更に修飾した。
【化4】
【0116】
PCR条件は、鋳型としてpAYE440(
図2)においてADH1ターミネーターを用いて、94℃30秒間、50℃40秒間、および72℃50秒間の25サイクル、および72℃10秒間の1サイクルであった。使用した装置は、Perkin Elmer GeneAmp PCR System 9600であった。正確な大きさが約0.33kbの生成物を得て、HindIIIおよびBamHIで消化した。EP431880号明細書に記載のプラスミドpAYE309をNotIおよびHindIIIで消化し、PRBIプロモーター断片と成熟HSAの分泌の指示に用いるHSA/MFα-1リーダー配列(WO90/01063号公報)の一部を含む0.84kbDNA断片を、WO97/24445号公報に記載のNotIおよびHindIIIで消化したpBST+に連結して、プラスミドpAYE438(
図3)を生成させた。レシピエントプラスミドpAYE438をHindIIIとBandHIで消化し、修飾したADHIターミネーターを良好にこのベクターにクローニングしてプラスミドpDB2241(
図4)を得た。このプラスミドはpBST+(WO97/24445号公報)主鎖、PRBIプロモーターおよび修飾したADHIターミネーターを含む。
【0117】
HSAコード領域の末端での2個の翻訳停止コドンの導入を促進し、必要なHindIII部位を作成するため、HSAコード領域の3′末端を変更した。
【0118】
二本鎖オリゴヌクレオチドリンカーAT21/AT22をAflII/HindIIIで切断したpDB2241に連結し、5′末端にAflII部位、スタッファー領域(stuffer region)、次いでHSAコードDNAのHindIII配列へのBsu361を含んでなり、追加のTAA翻訳停止コドンを追加していた。挿入したリンカーを有するクローンはDNAシークエンシングによってチェックし、正確なプラスミドをpDB2242と命名した(
図5)。
【化5】
【0119】
最終的rHA発現カセットを作成するため、pAYE309のAflII/Bsu36I断片(
図1)をAflII/Bsu361で消化したpDB2242に連結し、プラスミドpDB2243(
図6)を作成した。最後に、rHA発現崩壊ベクター(rHA expression disintegration vector)を、pDB2243由来のNotI発現カセットをNotIで切断したpSAC35(Sleep et al., 1991, Bio/Technology, 9, 183-187およびEP431880号明細書)に連結し、rHA転写の方向がLEU2遺伝子と同一は以降であるプラスミドpDB2244(
図7)を得た。
【0120】
従って、プラスミドpDB2244は、崩壊ベクターpSAC3(Chinery and Hinchliffe (1989), Current Genetics, 16, 21-25)から誘導され、2μmプラスミド、宿主leu2の成熟を補足するためのLEU2遺伝子、PRB1プロモーターがHSA配列を発現させる発現カセット、および細菌プラスミドpUC9を含んでなる。後者は、
S. cerevisiae 2μmのFLPリコンビナーゼ系によってプラスミドから削除され、rHAの産生に用いた生体には細菌DNAが存在しないようにする(Chinery and Hinchliffe, 上記引用)。
【0121】
発現ベクターは、発現を制御するための
S. cerevisiaeのPRB1プロモーターとADH1転写ターミネーター、および成熟HSAの分泌を指示するためのHSA/MFα-1リーダー配列(WO90/01063号公報)を用いる。
【0122】
プラスミドpDB2244を、Hinnen et al., (1978), P.N.A.S., 75, 1929に記載の方法によって
Saccharomyces cerevisiae株leu2、yap3、hsp150、pmt1 [cir°]に導入した。pmt1突然変異は、WO94/04687号公報の方法によって行うことができる。形質転換体を、ロイシンを欠いている緩衝した最小培地(アミノ酸および硫酸アンモニウムを含まない0.15(w/v)酵母窒素塩基(Difco)、0.5(w/v)硫酸アンモニウム、0.1Mクエン酸/Na
2HPO
4・12H
2O,pH6.5、2%(w/v)スクロース)上で選択した。形質転換体を複合体(YEP、1%(w/v)酵母エキス、2%(w/v)バクトペプトン、および2%(w/v)スクロース)または緩衝した最小培地液体培地を含む50mlフラスコで30℃、200rpmで72時間生育したとき、rHAをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動および/またはロケットゲル免疫電気泳動によって無細胞培養上清で検出することができた。
【0123】
緩衝最小培地中のストックマスター細胞培養物を用いて、20%(w/v)トレハロースの存在下にて培養物の一部を凍結することによって振盪フラスコ培養物の調製に適するプロセス酵母(process yeast)の運転ストック(作業細胞バンク)を調製する。
【0124】
醗酵は、下記の相違点を除きWO96/37515号公報およびUS5728553号明細書に記載されているのと本質的に同じであり、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0125】
種子醗酵
rHA産生用の培地を種子醗酵容器に加えた後、走査温度を30℃に設定し、最小攪拌機速度を均一性が得られ、酸素または炭素のような栄養に勾配がつかないように設定する。初期pHを、6.40に設定したpHコントローラーを用いてアンモニア溶液(比重0.901)で調整し、6.40±0.10に制御した。
【0126】
あるいは、pHを、低制御設定点を5.50として5.50〜5.90の範囲に保持する。初期pHは、アンモニア(例えば、比重が0.880のアンモニア水溶液)で調整することができる。この低醗酵pHにより、rHAの質量スペクトル法プロフィールが向上する。
【0127】
pHの減少はオンライン装置によって検出可能な生長の最初の兆候であるので、初期pHを上記範囲の最大値付近とし、初期代謝の観察を容易にするのが好ましい。
【0128】
特に、PMT遺伝子の1個以上に欠失を有する株については、通常必要であるより高いpHで醗酵を行うのが有利であることを見いだした。従って、pHを約5.5で制御するよりは、制御設定点をpH6.20〜pH6.70、好ましくはpH6.3〜6.5とするのが有利である。このような高pHでは、セントレート(centrate)の品質は、細胞リーシスが減少するため、著しく改良される。細胞リーシスは、総ての全細胞を上清から除去するだけに十分である醗酵の遠心分離段階後に懸濁液中に残っている細胞破片を生じる。これは表1に示されており、pH5.5と比較して6.3〜6.5のpH範囲で酵母を培養するときに培養上清の湿時重量含量の有意な減少が示される。
【0129】
【表1】
【0130】
2M H
2SO
4も、pH調整剤として用いる。スクロースを20g・L
-1、MW10バッチビタミン、およびBreox FMT30消泡剤を0.04g・L
-1まで容器に加えた。
【0131】
滅菌濾過空気を0.5v/v/m(すなわち、培地1リットル当たり1分あたり0.5リットルの非圧縮空気)で容器に導入し、培地を無菌振盪フラスコ培養物からの>10mg細胞乾燥重量L
-1に接種し、コンピューター制御系による監視を開始する。予想されたバッチ相は、12mg・L
-1の接種濃度から62±10hである。MW10供給を、バッチ相が終了する前に(バッチ容積と同じ容積)連結しなければならない。
【0132】
醗酵制御アルゴリズムの特徴としては、バッチ相の終了が30分で溶存酸素張力(DOT)が>15%増加することによって表示され、供給は、1リットルバッチ培地当たり0.05mlで開始され、基質供給速度は式SF=SF
0e
μkによって決定され(但し、SFは基質供給速度(mL・分
-1)であり、SF
0は初期基質供給速度(mL・分
-1)であり、μは比成長速度(例えば、0.06時
-1)であり、kは、総ての条件が満たされる場合には、0から出発し1分毎に0.0167ずつ増加する対向変数である)、基質供給速度(kの操作による)はDOT<15%および/または呼吸商(RQ)≧1.2に応じて減少することが挙げられる。
【0133】
供給は、pH<6.2または温度が<29.0℃または>31.0℃となる場合に停止する。これは、制御アルゴリズムにより自動的に行うこともできる。2時間にわたって平均RQ>1.13である場合、またはエタノールまたはアセテートの蓄積の証拠がある場合には、SFを減少させる。
【0134】
攪拌を増加して、DOT>20%空気飽和を保持する。供給を開始すると、Breox FMT30の濃度が0.3g・L
-1(最終容積で計算)まで増加する。予想供給相期間は65±17時間であり、容器の導入限界によって変化する。
【0135】
気流を醗酵中に増加して、酸素摂取速度(OUR)および二酸化炭素発生速度(CER)の値を正確なガス分析を行うのに十分なレベルに保持する。醗酵の気流速度は、名目上は1v/v/mである。毎日チェックを行い、培養物およびCDWの純度を決定する。適当な試料を確保する。供給の終了時に、培養物を製造容器に移す。
【0136】
製造醗酵
製造発酵槽に0.25〜1.00g・L
-1を接種する。初期pHを、pH6.40に設定したpH制御装置を用いてアンモニア溶液(比重0.901)で調整し、6.40±0.10に制御する。
【0137】
あるいは、pHを5.50〜5.90の範囲に保持し、低制御設定点を5.50とする。初期pHは、アンモニア(例えば、アンモニア水溶液、比重0.880)で調整することができる。この低醗酵pHにより、rHAの質量スペクトル法プロフィールが向上する。
【0138】
pHの減少はオンライン装置によって検出可能な生長の最初の兆候であるので、初期pHを上記範囲の最大値付近とし、初期代謝の観察を容易にするのが好ましい。
【0139】
特に、PMT遺伝子の1個以上に欠失を有する株については、通常必要であるより高いpHで醗酵を行うのが有利であることを見いだした。従って、pHを約5.5で制御するよりは、制御設定点をpH6.20〜pH6.70、好ましくはpH6.3〜6.5とするのが有利である。このような高pHでは、セントレート(centrate)の品質は、細胞リーシスが減少するため、著しく改良される。細胞リーシスは、総ての全細胞を上清から除去するだけに十分である醗酵の遠心分離段階後に懸濁液中に残っている細胞破片を生じる。これは表2に示されており、pH5.5と比較してpH6.5で酵母を培養するときに培養上清の湿時重量含量の有意な減少が示される。
【0140】
【表2】
【0141】
2M H
2SO
4も、pH調整剤として用いる。スクロースを20g・L
-1、MW10バッチビタミン、およびBreox FMT30消泡剤を0.04g・L
-1まで容器に加える。
【0142】
初期基質供給速度は、式:
【数1】
て決定され(但し、SF
0は初期基質供給速度であり、μは比成長速度(例えば、0.06時
-1)であり、V
バッチはバッチ容積(L)であり、Y
x/sは細胞収率(g・L
-1)であり、[スクロース]はスクロース濃度(g・L
-1)であり、[CDW]は細胞乾燥重量濃度(g・L
-1)である。基質供給速度は、式SF=SF
0e
μk(但し、SFは基質供給速度(mL・分
-1)であり、SF
0は初期基質供給速度(mL・分
-1)であり、μは比成長速度(時
-1)(例えば、0.06時
-1)であり、kは、総ての条件が満たされる場合には、0から出発し1分毎に0.0167ずつ増加する対向変数である)によって決定される。多数の条件を醗酵中に常に再検討し、kの操作によりSFを調整するのに用い、SFはDOT<15%および/または呼吸商(RQ)≧1.2に応じて減少する。供給は、pH<6.2または温度が<29.0℃または>31.0℃となる場合に停止する。これは、制御アルゴリズムにより自動的に行うこともできる。2時間にわたって平均RQ>1.13である場合、またはエタノールまたはアセテートの蓄積の証拠がある場合には、SFを減少させる。
【0143】
攪拌を増加して、DOT≧20%空気飽和を保持し、達成された最大値に保持し、混合を容易にする。供給を開始し、培養を炭素制限下で行うと、Breox FMT30の濃度が0.2〜0.32g・L
-1(最終容積で計算)まで増加する。予想供給相期間は容器の導入限界によって変化し、典型的には8,000Lの規模で90〜120時間である。
【0144】
気流を醗酵中に増加して、酸素摂取速度(OUR)および二酸化炭素発生速度(CER)の値を正確なガス分析を行うのに十分なレベルに保持する。容器を必要に応じて過圧にし、OTRを高める。醗酵の気流速度は、名目上は1v/v/mである。毎日チェックを行い、培養物およびCDWの純度を決定し、適当な試料を確保する。
【0145】
供給の終了時に、培養物を下流での加工のために保管する。
【0146】
製造培養物の保管
製造培養物は、適当な条件下で保管し、培養物をバッチ加工することができる。保管時間はできるだけ短時間にすべきであるが、48時間までおよび必要ならばそれ以上(例えば、5日まで)延長することができる。バッチ加工の条件下では、本明細書で表される保管時間の拘束は加工を行う培養物の最終部分に適用されることが理解されるであろう。
【0147】
醗酵からのセントレート(centrate)、または任意の他の供給源(血漿など)からの不純なアルブミン溶液からのセントレート(centrate)を調製しまたはコンディショニングし、rHAを重合およびプロテアーゼ活性から保護しながらカチオン交換マトリックス上でクロマトグラフィーを行う。好ましくは、オクタン酸ナトリウムを加え(クロマトグラフィー溶液14(CS14)、表3)、最終濃度1〜10mM、例えば約5mMとする。pHを酢酸で調製して、pH4.3〜4.8、好ましくは4.50±0.1(最も好ましくは、±0.05)とし、導電率をチェックして<5.5mScm
-1とする。
【0148】
クロマトグラフィー
総ての操作は、周囲温度(20±5℃)で行うことができる。クロマトグラフィーカラムのアルブミン装填物(g/L)は、SDS-PAGE(第一段階)またはGP-HPLC(他の総てのカラム)によってアルブミンの力価から測定する(g/L)。それぞれの段階の進行は、オンラインで、例えば254または280nmでのUV吸光度を測定することによって観察する。
【0149】
本発明の特に好ましい態様では、精製段階は、カチオン交換クロマトグラフィー(SP-FF)、アニオン交換クロマトグラフィー(DE-FF)、アフィニティークロマトグラフィー(DBA)、限外濾過および透析濾過、第二のアフィニティークロマトグラフィー段階(PBA)、限外濾過および透析濾過、第二のカチオン交換クロマトグラフィー段階(SP-FF2)、および第二のアニオン交換クロマトグラフィー段階(DE-FF2)の段階を含んでなる。好ましくは、これらの精製工程の後に、最終的限外濾過/透析濾過を行った後、処方段階をおこないおよび/または溶液を最終容器に入れる。
【0150】
本明細書に記載のクロマトグラフィー段階の配列は新規であり、かつ多数の態様において発明性を有する。本明細書に記載されているように、緩衝液が改良され装填容積が小さいアミノフェニルボロネート(PBA)マトリックスを使用すると、ELISAによって測定したところ、酵母抗原クリアランスが増加する(約4〜20倍)ことが示された。アミノフェニルボロネートマトリックスと共に使用した緩衝液は、予想外にも特に有効であることが見いだされ、これは広汎な成分および特性のおびただしい数の緩衝液の集中的試験の結果を表している。緩衝液では、WO96/37515号公報のPBAクロマトグラフィー段階で用いた緩衝液と比較すると、酵母抗原のクリアランスが著しく増加する。
【0151】
アミノフェニルボロネートマトリックスを例えば100±10g・L
-1の高濃縮アルブミン溶液と共に装填することは、装填容積が小さいのでrHAおよび酵母抗原の分割を向上させることができることを意味する。
【0152】
WO96/37515号公報には、第一のアフィニティークロマトグラフィー段階の後にS200ゲル浸透段階が包含されている。ゲル濾過段階では、酵母抗原、色素および二量体化アルブミンに関してアルブミンが精製された。この段階は、アミノフェニルボロネートアフィニティー段階および追加のカチオンおよびアニオン交換段階の導入に対して行った改良により、最早必要でないことを見いだした。
【0153】
アミノフェニルボロネートアフィニティー段階の後に、アルブミンを濃縮し、透析濾過するのがネガティブモードカチオン交換段階に好ましい。本発明者らは、この透析濾過段階およびカチオン交換段階を組み合わせることにより、ニッケルイオンの相対濃度が実質的に減少することを見いだした。特に、rHAを低pHに暴露することは、ニッケルイオン濃度を減少させる上で有効である。従って、本発明によって精製されたアルブミンのニッケルイオン含量は意外なほど低い(100ng/gアルブミン未満)。
【0154】
本明細書に記載のネガティブモードでのカチオン交換段階を用いて、少量の修飾rHAであってグリコシル化されていると考えられるConcanavalin A結合材料(cbm)を除去する。ネガティブモードでのカチオン交換段階は、組換えpmt1突然変異体
Saccharomyces cerevisiaeによって産生されたcbm含量を約1.3倍だけ減少させることを見いだした。更に大きな効果は、非pmt1突然変異体由来のrHAで得られる(2〜3倍のクリアランス)。
【0155】
他の市販酵母と比較して、
Saccharomyces cerevisiaeは比較的低濃度の修飾rHAを産生する。従って、ネガティブモードのカチオン交換段階および1個以上ののPMT遺伝子の欠失した細胞の使用は、rHAが
Saccharomyces cerevisiae以外の組換え宿主によって産生される場合には、更に一層重要なことがある。
【0156】
アルブミンの精製の際に使用したクロマトグラフィー溶液は、表3に詳説する。アルブミンの製造規模がきわめて大きく、生成物の比較的低価格であるため、これらの緩衝液塩は、工業的規模で高純度形態で得られ、かつTris、HEPESまたはMOPSのような他のふつうに用いられる緩衝液と比較して低価格であるので、これらはこの方法に最も適している。代替緩衝液を表3で用いるもの(例えば、同じpKaの緩衝液(例えば、リンゴ酸塩/酢酸塩))の代わりに用いることができたが、ほとんどの場合に、大規模での価格および入手可能性により使用することができない。代替塩形態は、それらが可溶性であり、工業的規模で入手可能であり、低価格である場合には、用いることができる。
【0157】
緩衝液は下記の濃度で調製することができ、または濃縮した保存溶液を調製して、オンラインで混合または希釈して直ちに使用することができる。
【0158】
カチオン交換クロマトグラフィー
アルブミンを、少なくとも酵母タンパク質(アルブミンが酵母発酵からのrHAである場合)および他の抗原、低分子量汚染物質、および着色化合物に関して、カチオン交換クロマトグラフィーによって濃縮し、精製する。この方法では、SP-Sepharose FF、SP-Spherosil、CM-Sepharose FF、CM-Cellulose、SE-Cellulose、またはS-Spheradexのような市販のカチオン交換マトリックスを用いる。好ましくは、マトリックスはSP-Sepharose FF (Pharmacia)であり、軸流カラムで用いる場合には、ベッド高さが5〜25cmであり、好ましくは10〜15cmであり、例えば12.5cmであることができる。半径流型カラムを用いるときには、適当なベッド流路長は11.0±1.0cmである。10〜50gアルブミン/L、好ましくは40±10gアルブミン/Lのマトリックスが適当である。このマトリックスを緩衝液で平衡にして、アルカリ保存溶液を除去し、好ましくは、緩衝液はpHを約6.0のpHまで減少させるのに十分な強さ野茂のであるべきである。CS01のような緩衝液を用いて、カラムから保存溶液CS07を除去するが、pH<6.0である任意の緩衝液を用いることもできる。平衡は、カラム溶出液のpHが約pH6.0であるときに完全であると判断される。
【0159】
【表3】
【0160】
醗酵からのセントレート(centrate)を調製しまたはコンディショニングし、rHAを重合およびプロテアーゼ活性から保護しながら、カチオン交換マトリックス上でクロマトグラフィーを行う。しかしながら、酵母株がrHAを精製するのに必要なpHでrHAを分解するプロテアーゼを欠いていない場合には、培養液上清をWO94/03636号公報に詳説されているように、例えば50〜70℃30分間の熱処理によって殺菌すべきである。典型的には、1〜10mMのオクタン酸ナトリウムが、熱変性からrHAを保護するのに十分であり、60〜80℃の温度で30秒〜10分がバッチまたはフロースルー処理でプロテアーゼを不活性化するのに十分である。HSAを用いる場合には、低温殺菌が望ましいこともある。
【0161】
次に、コンディショニングしたセントレート(centrate)を、例えば0.07〜0.75ベッド容積/分、好ましくは0.3〜0.6ベッド容積/分、この例では0.5ベッド容積/分の流速でカラムに装填した後、カラムを1種類以上の溶液で洗浄して、残留汚染物質を除去する。カラムを最初に、例えば8容の10〜100mM、好ましくは30〜70mM、例えば50mMのアセテート,pH3.9〜4.1,0.6〜0.8mS・cm
-1(CS02)で洗浄する。次に、カラムを、酢酸ナトリウム緩衝液(例えば、10〜50mM酢酸ナトリウム、好ましくは27mM,pH3.5〜4.5、好ましくはpH4.0(CS03))中1〜3MNaCl、好ましくは2MNaClの4容で洗浄した後、10容のCS01で洗浄する。アルブミンを、アセテート/オクタノエート緩衝液(例えば、CS04の場合には、40〜120、好ましくは60〜100、例えば85mMアセテート、および2〜50mM、好ましくは2〜20mM、例えば5mMオクタノエート)で溶出して、集める。UV信号が0.6A
254/cmより大きくなったときに、アルブミンの回収を開始し、UV信号が0.36A
254/cmより小さくなるまで回収を継続する。次に、カラムを0.25〜3.0MNaClおよび0.05〜2%洗剤(CS05)、次いで0.1〜1.0MNaCl(CS06)を用いて洗浄した後、希釈した(10〜50mM)NaCl(CS07)中に保管する。この例では、平衡、装填および洗浄段階の流速は0.5ベッド容積/分である。アルブミンの溶出には、0.04〜0.6ベッド容積/分、好ましくは0.15〜0.35、この例では0.25ベッド容積/分の流速を用いる。
【0162】
アニオン交換クロマトグラフィー
カチオン交換体からの溶出物を、次に10mS・cm
-1以下、好ましくは5mS・cm
-1未満、特に2.5mS・cm
-1以下まで希釈した後、QMA-Spherosil、DEAE-Spherodex、Q-Hyper D、DEAE-セルロース、QAE-セルロース、またはTMAE、DMAEまたはDEAE Fractogelのようなアニオン交換樹脂に装填する。好ましくは市販のアニオン交換マトリックスDEAE Sepharose-FF (Pharmacia)であって、ベッド流路長が11.0±10cmであり、カチオン溶出緩衝液(CS04)で予備平衡化した後、3カラム容積のCS01で平衡にする。アルブミンを30±10gモノマー性アルブミン/1Lマトリッスでマトリックス上に装填した後、マトリックスを、pHを約9.2まで上昇させる効果を有する希テトラボレート緩衝液、例えば15〜25mMテトラホウ酸カリウムまたはテトラホウ酸ナトリウム(CS08)で洗浄し、次いで、アルブミンを更に濃縮したテトラボレート緩衝液(例えば、80〜150mMテトラホウ酸カリウム、好ましくは110mMテトラホウ酸カリウム(CS09))で溶出する。マトリックスを塩/洗剤(CS05)で洗浄し、次にNaCl(CS06)で洗浄した後、希NaOH(CS07)中に保存する。次いで、アニオン交換マトリックスからの溶出液を、アフィニティーマトリックスに装填する。
【0163】
アフィニティークロマトグラフィー
この段階では、45kDaのN−末端アルブミン断片、酵母抗原および色素に関してrHAを更に精製する。アフィニティーマトリックスは、アルブミンに結合する任意のCibacron Blue型の色素、例えばReactive Blue 2、Procion Blue HB、Blue Sepharose、Blue Trisacryl、および他のアントラキノン型化合物を含んでなることができる。好ましくは、このマトリックスは、WO96/37515号公報に記載の方法で調製した「Delta Blue」マトリックス(DBA)である。
【0164】
この方法は、ベッド流路長が11.0±1.0cmのDBAを用いる。このDBAを酢酸アンモニウム緩衝液(CS10の場合には、100〜300mM、好ましくは200〜275mM、例えば250mM)で平衡にし、アルブミンを7.0〜14.0g/L、好ましくは8.0〜12.0g/L、この例では10.0±1.0g/Lで適用する。平衡化、装填および洗浄段階は、0.05〜0.30ベッド容積/分、好ましくは0.15〜0.27、この例では0.25ベッド容積/分の流速で行う。他の総ての段階は、0.20ベッド容積/分で行う。装填が完了したならば、カラムを酢酸アンモニウム緩衝液10〜30mS・cm
-1、好ましくは15〜25mS・cm
-1、例えばCS10の1〜5容、好ましくは5カラム容積で洗浄し、汚染物質を除去する。アルブミンを強塩およびリン酸塩溶液(CS11の場合には、1.0〜3.0MNaCl、例えば1.5〜2.5MNaCl、または2.0MNaCl、および5〜100mM、例えば50mMのリン酸塩)で溶出する。次いで、カラムをCS06を用いて洗浄し、CS07中に保存する。
【0165】
次に、DBAカラムからの溶出物を濃縮および透析濾過し、フェニルボロネートアガロース(PBA)クロマトグラフィーを用いて精製を行う。DBA限外濾過は、名目分子量カットオフが30,000以下であるタンパク質濃縮に用いる任意の限外濾過膜、好ましくは名目分子量カットオフが10,000であるポリエーテルスルホン型膜(例えば、Filtron Omegaシリーズ)で行うことができる。DBA溶出物を濃縮した後、少なくとも5容の水に続いて少なくとも5容のCS20に対して約100gのrHA・L
-1で透析濾過する。透析濾過が終了したならば、必要ならば保持物を更に濃縮し、装置をCS20で洗浄して段階回収率を増加させることができる。最終保持物の濃度は20〜120g rHA・L
-1の範囲とし、好ましくは70〜120g・L
-1、またはこの例では100±10g rHA・L
-1とすべきである。使用後に、残留タンパク質を水で流し、CS06で洗浄し、CS07に保存することによって、膜を処理する。
【0166】
PBAは、糖タンパク質、糖脂質および多、オリゴおよび単糖類のような糖複合体を除去するためのアフィニティー段階であり、固定化アミノフェニルボロネートリガンドとして用いる。アミノフェニルボロン酸は、スペーサーを介してポリアクリルアミド、アガロース、セルロースまたは有機ポリマーのような不溶性マトリックスに共有結合している。米国特許第4,562,251号明細書(この内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)には、ジボロトリアジンまたはモノボロトリアジンアガロースを作成するための適当な方法が記載されている:(1)トリアジンを最初にアガロースにO−結合した後、第二の反応で3−アミノフェニルボロン酸(APBA)と結合する。(2)トリアジンを最初にAPBAと反応させて、モノまたはジボロトリアジンを生成させる。次に、これらを、トリアジン上の遊離塩素を介して−ONa活性化アガロースにO−結合し、一または二置換アガロースを生成する。
【0167】
従前の特許であるUS4,269,605号明細書では、本明細書で好ましいアガロースのエピクロルヒドリン活性化などの様々な活性化法が考えられている。市販のマトリックスとしては、Amicon製 PBA30およびSigma製アクリル酸ビーズ入りアミノフェニルボロネートが挙げられる。
【0168】
グリシン(10〜500mM、例えば25〜200mM、好ましくは50〜150mM、この例では100mM)、NaCl(0〜500mM、例えば25〜200mM、好ましくは50〜150mM、この例では100mM)およびCaCl
2(5〜250mM、好ましくは10〜100mM、この例では50mM)、pH8.0〜9.5、好ましくはpH8.0〜9.0、この例ではpH8.5(CS20)を含む緩衝液を用いるのが特に有益であることを見いだした。
【0169】
PBAカラムでは、11.0±1.0cmの流路長を用い、上記のような緩衝液、例えばCS20で予備平衡する。カラムを1カラム容積未満、好ましくは0.5カラム容積未満、この場合には≦0.35カラム容積で装填する。PBAはネガティブ段階として行うので、アルブミンをフロースルーで回収し、カラムから洗浄する。総てのクロマトグラフィー段階は、0.005〜0.3ベッド容積/分の流速で行うことができる。好ましくは、カラムの平衡および洗浄は、好ましくは0.01〜0.05、好ましくは0.025ベッド容積/分の流速で行われるアルブミン溶液の装填および回収より高い流速、例えば0.19ベッド容積/分で行う。次に、カラムを、塩(CS03)、ボレート緩衝液(CS09)、NaOH(CS06)で洗浄した後、希NaOH(CS07)中に保存する。
【0170】
PBAクロマトグラフィーの後、アルブミン溶液を濃縮および透析濾過して、ネガティブモードカチオン交換段階の準備を行う。この透析濾過段階およびネガティブモードカチオン交換クロマトグラフィーを組み合わせることによって、ニッケルイオンの相対濃度が実質的に減少する。
【0171】
PBA限外濾過は、名目分子量カットオフが30,000以下であるタンパク質濃縮に用いる任意の限外濾過膜、好ましくは名目分子量カットオフが10,000であるポリエーテルスルホン型膜(例えば、Filtron Omegaシリーズ)で行うことができる。回収したPBAフロースルーをCS21でpH5.3±0.5に調製し、濃縮した後、少なくとも7容のCS19に対して約100gのrHA・L
-1で透析濾過する。透析濾過が終了したならば、装置をCS19で洗浄し、必要ならば更にCS19を加え、50±10g rHA・L
-1の保持物を濃縮したものを得る。最後に、オクタン酸ナトリウムを加えて、最終濃度を約2〜15、好ましくは5〜10、更に好ましくは6〜9、この例では6mMとし、例えばCS14を3mL・L
-1まで加える。使用後、膜を残留タンパク質を水で洗浄することによって処理し、CS06で洗浄し、CS07に保存する。
【0172】
アルブミン溶液を次に、例えばSP-FF Sepharose(Pharmacia)を今回はアルブミンが保持されるよりはマトリックス中を通過するネガティブモードで用いて、第二のカチオン交換段階を施す。条件は、マンノシル化アルブミンがマトリックスに結合するようにする。緩衝液は、好ましくは酢酸ナトリウム緩衝液(5〜110mM、好ましくは10〜50mM、この場合には30mM),pH5.2〜5.4,CS19)である。適当な範囲で緩衝することができる他の緩衝液、例えばシトレートホスフェート緩衝液を用いることができる。緩衝液の導電率が約2mS・cm-1であるのが適当である。カラムの流路長は11.0±1.0cmであり、アルブミンは10〜250g・L
-1の、好ましくは20〜70g・L
-1の、この例では50±15g・L
-1または50±10g・L
-1マトリックスまで装填される。これはネガティブ段階であるので、アルブミンはフロースルーおよび洗浄液に回収される。
【0173】
このカチオン交換段階の後、アルブミンにネガティブモードアニオン交換クロマトグラフィーを施す。この段階で、ELISAおよびウェスタンブロットによって測定すると、酵素抗原が除去される。第二のカチオン交換段階から回収したフロースルーおよび洗浄液をCS21でpH4.60±0.10に調整し、水で1.05±0.1mS・cm
-1まで希釈し、rHAを下記の条件を用いて精製する。この段階では、11.0±1.0cmの流路長でDE-FF Sepharose (Pharmacia)のようなアニオン交換マトリックスを用いて、アルブミンを50〜250g・L
-1、好ましくは150±50g・L
-1マトリックスまで装填する。これはネガティブ段階であるので、アルブミンはフロースルーおよび洗浄液に回収される。フロースルーおよび洗浄液のpHを、次にCS22で7.0±0.1に調整する。
【0174】
あるいは、例9に記載したように、pHは、DEAEフロースルーおよび洗浄液について行う代わりに最終UF供給容器で調整することができる。
【0175】
例1をpmt1突然変異体に関して説明してきたが、本発明の精製法はこの遺伝子座の突然変異体ではないまたは実際に任意の他のpmt座の突然変異体でない宿主細胞にも同様に適用できることを理解すべきである。
【0176】
例2
二種類の分析法を用いて、セントレートの品質を検討した。セントレート品質が低下すれば、酵母細胞の「強壮性(robustness)」が悪化する。
【0177】
二種類の分析法は、
1. 600nmにおけるセントレートの吸光度の測定(A
600)
2. セントレート中の粒子の湿時重量の測定(WW)
である。
【0178】
いずれの分析法でも、値が高くなれば、セントレート品質は低下する。
【0179】
流加醗酵で生育した二種類の異なるpH条件下での三種類の異なる酵母株のセントレート品質を比較した。
【0180】
【表4】
【0181】
上記の表から、pH5.5では、多重遺伝子欠失株はあまりよくないセントレートを生成するが、pH6.4または6.5では、これらの追加の遺伝子欠失の有害な効果は回避されると結論することができる。
【0182】
例3
この例は、pmt1突然変異体でない株を用いることを除き、例1に記載したのと同じ方法で行った。この株を二種類の異なるpH制御値でも生育させ、セントレートの湿時重量含量を例1に記載の方法で測定した。高pH制御点での生育の効果はこの酵母株についても見られ、表5に示されており、酵母をpH5.5と比較して6.3〜6.5のpH範囲で培養するときには、培養物上清の湿時重量含量の有意な減少が示されている。
【0183】
【表5】
【0184】
従って、pHを約5.5で制御するよりは、pH6.20〜pH6.70、好ましくはpH6.3〜6.5の制御設定点を有するのが好ましい。このような高pHでは、セントレートの品質は、細胞リーシスが減少するため有意に改良される。
【0185】
例4
この例は、下記の差異を除き例1に記載したのと同様な方法で行った。酵母Pichia pastoris GS115株(Invitrogen)を、5.90に設定し、5.90±0.20で制御したpHコントローラーを用い、炭素源としてグルコースを用い、比成長速度を0.10時
-1とすることを除き、上記と同じ条件および培地を用いて生育した。バッチ相期間は28時間であり、供給相期間は42時間であった。供給相が開始したならば、組換えヒトアルブミンを加え、醗酵の終了時における最終濃度を3.8g rHA・L
-1とした。
Pichia 培養物をスパイクするのに用いたを精製したが、本発明の精製法にはよらなかった。
【0186】
次に、Pichia流加培地からのrHAを、例1に記載の精製法に従って精製した。
【0187】
例5
この例は、例4に記載した方法でPichia培地から精製したrHAの分析を記載する。
【0188】
イムノアッセイデーター
イムノアッセイは、(i)Pichia培地から精製したrHA、(ii)培地のスパイクに用いたrHA、および(iii)本発明に従って精製した
Saccharomyces cerevisiaeによって産生したアルブミンについて行った。
【0189】
ウェスタンブロットの概要
抗体バッチ数 Ig9601
ゲルの種類 4〜12%SDSNR NOVEX CELS
乳の種類 UHT
暴露時間 20秒。
【0190】
Ig9601は非アルブミン産生
Saccharomyce cerevisiae株に対して産生させたので、酵母抗原を検出するのに用いることができる。
【0191】
ウェスタンブロットでは、
Pichia培地由来のアルブミンの酵母抗原プロフィールは、
Pichia醗酵のスパイクに用いた材料より少なくかつ強くないバンドを含むことを示した。
Pichia由来のアルブミン酵母抗原プロフィールは、
Saccharomyces 由来のプロフィールにきわめて類似していた。
【0192】
ELISAブロットの概要
Pichia培地から精製したアルブミン中および
Pichia培地をスパイクするのに用いたアルブミンについての酵母抗原不純物を、Ig9601を用いてELISAによって定量した。
【0193】
Pichia培地から精製したアルブミンの酵母抗原含量はこの分析法の検出限界(約0.004μg・g
-1)以下であり、
Pichia培地をスパイクするのに用いたアルブミンについての抗原含量はμg・g
-1であった。
【0194】
Con A結合材料
例9に記載のCon A分析法を、
Pichia培地から精製したアルブミンおよびPichia培地をスパイクするのに用いたアルブミンについて行った。前者についてのCon A結合材料の含量は0.22%(w/w)であり、後者ついては0.57%(w/w)であった。
【0195】
Pichia培地から精製したアルブミンでのCon A結合材料の濃度は本発明によりSaccharomyces cerevisiaeから精製したアルブミンの濃度と同様であるが(表6参照)、後者はpmt1突然変異体からは産生されない。
【0196】
この純度分析により、本発明の方法は
Saccharomyces cerevisiae(例えば、
Pichia)以外の酵母からのアルブミンの精製に良好に用いることができ、
Saccharomyces cerevisiaeから精製したのと同様な純度のアルブミンを得ることができることが確かめられる。
【0197】
例6
例1では、ネガティブモードアニオン交換クロマトグラフィー段階(DE-FF2)は、第二のカチオン交換クロマトグラフィー段階(SP-FF2)の後に行われる。別の精製法では、第二のカチオン交換クロマトグラフィー段階の後にポジティブモードアニオン交換クロマトグラフィー段階が行われることがある。
【0198】
pHが約5.3のSP-FF2溶出物から、pHをpH7に増加する必要がある。下記に詳説するpH調整および透析濾過の二つの手段がある。後者は、一層良好な品質の生成物を生じると思われる。
【0199】
DE-FF2 (A)
SP-FF2フロースルーおよび洗浄液を、0.5Mオルトリン酸水素二ナトリウムでpH7.0にpH調整した。この材料を標準的ポジティブ条件下でDEAEに装填し、マトリックス装填量40g rHA・L
-1マトリックスを得て、装填物のpHおよび導電率はそれぞれ7.0および1.29mS・cm
-1であった。
【0200】
DE-FF2 (B)
SP-FF2フロースルーおよび洗浄液を10容の10mMリン酸ナトリウム,pH7.0に対して透析濾過し、濃縮して、緩衝液で50g・L-1まで希釈し、標準的ポジティブ条件下でDEAEに装填した。装填物のpHおよび導電率は、それぞれ7.0および1.43mS・cm
-1であった。
【0201】
DE-FF2A/DE-FF2Bからのアルブミンは、45〜55mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)によって公的に溶出される。
【0202】
例7
低pHで処理することによるrHAからのニッケル除去の動態を検討した(
図9参照)。結果は、pH4〜pH4.5では、ニッケル除去の速度および程度はいずれもpHから独立であるが、pH5では除去速度は若干低下することを示していた。ニッケル除去の速度および程度はいずれも、5〜6.5の増加pHでは減少し、pH6.5以上ではほとんどまたは全く除去されなかった。
【0203】
例8
クリオ−プア血漿ペースト(cryo-poor plasma paste)(Centeon Pharma GmbH)の試料からのヒト血清アルブミンの精製は、例1に記載した精製法を用いて行った。
【0204】
それぞれのクロマトグラフィー段階でのHSAの回収率は、PBAカラムを除き、同じ段階での予想されたrHAの回収率とほとんどが同様であった。ここで、回収率は、グリコアルブミンが除去されるため予想したものよりずっと低かった。
【0205】
例9
この例では、高純度rHAの濃縮、透析濾過および適当な生成物への処方、この場合には20%(w/v)アルブミンを説明する。この手続きは、二段階、すなわち限外濾過(UF)および処方で行う。
【0206】
最終UFは低pHでの透析濾過によるニッケル濃度を減少させ、適当な等級の水を用いる確定された水性環境でrHAを提供する。
【0207】
最終UFは、DEAEフロースルーおよび洗浄液の最終UF供給容器への導入と共に開始する。下記のように、アルブミンを次に濃縮し、透析濾過したpHをpH7.0に調整し、更に濃縮する。
【0208】
DE-FF2をポジティブモードで行う場合には、DE-FF2溶出物をDEAEフロースルーおよび洗浄液の代わりにまたはに加えて用いることができる。
【0209】
DE-FF2フロースルーおよび洗浄液(またはDD-FF2をポジティブモードで行う場合には、溶出物)を導入した後、rHAを含む工程流に、名目分子量カットオフ限界が10,000のセルロース膜を備えた限外濾過装置中で、順次一次濃縮、透析濾過および二次濃縮相を施す。初期濃縮段階ではrHA濃度が約100g・L-1まで増加し、直ちに連続透析濾過相を行い、rHAを少なくとも5、好ましくは少なくとも7保持物容積相当の注射用水、好ましくは50mMの塩溶液に対して透析濾過し、アンモニアを除去する。透析濾過の後、pHを7.0に調整し、二次濃縮相ではrHA濃度が275〜325g・L-1まで更に増加する。UFが終了したならば、保持物をバルク生成物処方容器に移す。
【0210】
DEAEフロースルーおよび洗浄液について行ったpH調整の代わりに、pH調整を最終UF供給容器中で、好ましくは透析濾過工程と二次濃縮相との間で行うことができる。好ましくは、透析濾過保持物を、EX04でpH7±0.1に調整する。pHが7.1を上回るが≦8.5に留まっているときには、pHをEX05で減少させることができる。
【0211】
処方段階は、適当な化学的環境およびバルク生成物の滅菌濾過および充填に適当な適当な濃度でrHAを生成する。導入された最終UF保持物を分析して、アルブミン、ナトリウムおよびオクタノエートの濃度を測定する。これらの量を考慮し、保存塩化ナトリウムおよびオクタン酸ナトリウム賦形剤溶液の任意の必要な追加量および適当な等級の水を加えてバルク処方明細を得る。最終アルブミン濃度は150〜250g・L
-1または235〜265g・L
-1であることができ、ナトリウム濃度は130〜160mMである。しかしながら、どのような他の入手可能なアルブミン濃度、例えば少なくとも4%(w/v)、好ましくは4〜25%(w/v)の最小濃度を作成することもできる。処方は、適当な通常の薬学上許容可能な賦形剤、例えばポリソルベート80、またはヒトアルブミンについて米国薬局方に記載されているもの、および希釈用水を加えた後に終了する。
【0212】
最終濃度は、0.08ミリモルのオクタン酸ナトリウム/gアルブミンであるのが望ましい。生成物は殺菌されており、発熱性物質を含まない。1%までの二量体性アルブミンが合ってもよいが、これより大きなポリマーまたは凝集体は検出されない。
【0213】
例10
この例は、本発明により精製したアルブミンの純度を確定する目的で行う分析を説明する。特に断らない限り、この分析法の総ては例1によって精製し、例9によって処方したアルブミンについて行う。
【0214】
rHAのグリケーション
グリコタンパク質の微量分析では、本発明によって精製したrHAは非酵素性グリコシル化(グリケーション)によって実質的に修飾されないことが示された。微量分析では、グリコタンパク質の安定なAmadori生成物(AP)形態をAPのC−1のヒドロキシル基の過ヨウ素酸塩で酸化することによって測定する。過ヨウ素酸塩酸化によって放出されたホルムアルデヒドを、アンモニア中アセチルアセトンと反応させることによって発色団ジアセチルジヒドロルチジン(DDL)に転換することによって定量する。DDLを次に比色法によって検出する。試料を、Pharmacia PD-10 (G25 Sephadex)カラムを用いて脱塩した後に分析し、次いで試料中のアルブミンをBradford法によって再定量し、10mgアルブミンを分析した。フルクトースポジティブコントロールが包含され、吸光度をShimadzu UV 2101分光光度計で412nmで読取った。ヘキソースの1モル毎について、Amadori生成物が形成される。
【0215】
【表6】
【0216】
試料A-Qは、米国、欧州および日本製の市販のHSA生成物である(平均=0.49±0.20)。試料Rは、本発明によって精製したrHAである。
【0217】
C末端の分析
組換えタンパク質の品質管理の重要な態様は、予備測定した一次構造のコンホメーションおよび安定性である。N末端シークエンシングおよびFAB質量スペクトル分析法による、市販HSAおよび本発明によって精製したrHAにおけるC末端トリプシンペプチドの分析は、HSAにおいてC末端のロイシンを欠いている切断ペプチドの存在を示していた。Des-LueC末端トリプシンペプチドは、市販のHSAでは約5〜10%(定量的ではない)で検出されたが、本発明のrHAでは30℃6ヶ月後でも検出することができなかった。Des-Leuペプチドは30℃12ヶ月のHSAでは検出されず、完全長C末端ペプチドのピークは他の試料と比較して非常に減少しており、このことはC末端が更に分解したであろうことを示している。
【0218】
これらの結果は、本発明によって精製したrHAは安定で完全長のカルボキシ末端を有し、一方以前に商業的供給源から入手可能なHSAは比較すると不均一性であることを示している。
【0219】
本発明によって調製したrHAのニッケルイオン含量
測定装置:
SIMAA 6000, Perkin Elmer Furnace: 232nm,2470℃での検出を用いるCTT(定温チューブ)。
【0220】
較正:
この方法は三点較正に基づいている(18/30/60μg/L標準溶液、Perkin Elmer製)。較正の後、純水のブランクを測定する。対照標準を、ブランクおよびそれぞれの試験シリーズの終了時に測定する(Ni−標準20μg/L、Perkin Elmer製保証付き標準)。
【0221】
試料調製:
それぞれの分析は二回の測定の結果であり、これは較正および対照標準についても当てはまる。予想したNi濃度によっては、試料を、較正範囲内のNi濃度で作用する適当な比に希釈する。10%以上のタンパク質濃度を有する試料は、いずれの場合にも少なくとも1:5に希釈しなければならない。希釈は純水を用いて行う。
【0222】
試料毛管についての洗浄溶液:
2Lの純水を0.5mLのTriton X100と混合した。それぞれの試験シリーズは、系適合性試験を包含する。
【0223】
要件:
1. 較正の相関係数は少なくとも0.99000である。相でない場合には、較正を1回反復しなければならない。較正が二回目に要件に合わないときには、エラー分析を行わなければならない。
【0224】
2. 30μg/L標準で測定した特徴的質量は、20%以上だけ20pg/0.0044A-sの理論値を上回ってはならない。
【0225】
特徴的質量 m0:
1%の吸収に寄与するピコグラム(pg)での分析質の量。1%の吸収は、0.004A-s(アンペア秒)に相当する。
【数2】
【0226】
3. 対照標準の測定濃度は、信頼範囲(2s/3s基準)内になければならない。
【0227】
計算:
測定装置は、下記の項目によって結果を計算する。
【数3】
A: 吸収
slope:較正曲線の傾き(直線回帰)
V: 希釈。
【0228】
モディファイアーは用いない。
【0229】
【表7】
【0230】
中および長鎖脂肪酸の分析
本発明によるアルブミンおよび市販のHSAの脂肪酸プロフィールを、酸性溶媒抽出およびC17:0内部標準を用いる遊離脂肪酸のガスクロマトグラフィーによって分析した。rHAおよびHSAのプロフィールは有意な差を示したが、本発明のアルブミンでは異常脂肪酸は検出されなかった。予想したように、いずれも多量の安定剤、オクタノエート(C8:0)の添加を示した。これとは別に、市販のHSAは主としてC16:0、C16:1、C18:0、C18:1およびC18:2を特徴とし、本発明のアルブミンは主としてC10:0およびC12:0および時にはC14:0を含んでいた。更に実験を行ったところ、rHA最終生成物におけるC10:0および12:0の濃度は、精製工程の後段階に用いるオクタノエートにおけるこれらの汚染物質の濃度と相関することを示した。
【0231】
好ましくは、C18脂肪酸の総濃度はオクタノエートの濃度の1.0%(モル/モル)を超過せず、好ましくはこの濃度の0.5%を超過しない。更に、本発明のアルブミンでは、C18:2、C18:3およびC20脂肪酸の濃度は一般には検出されない。市販HSAでは、典型的には約0.4モルC18脂肪酸/1モルアルブミンがあることがある。本発明の生成物では、典型的にはC20脂肪酸は検出されず、約0.02モルのC18脂肪酸/1モルアルブミンのみが検出される。
【0232】
SDS還元性ポリアクリルアミドゲル電気泳動
この分析は、WO96/37515号公報に記載の方法で行った。この分析では、本発明のrHAが一本鎖ポリペプチドからなり、還元剤(β−メルカプトエタノール)で処理すると、SDS還元性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で単一バンド(モノマー)として移動し、モノマーとして存在するアルブミンの比率は少なくとも99.9%であることを示唆していた。
【0233】
ゲル浸透高圧液体クロマトグラフィー
25%(w/v)まで処方された本発明によって精製したアルブミンの10mg/mlの25μlを、Shimadzu LC6A HPLC上のTSK3000SWXLカラムに注入し、ポリマー性アルブミンが0.1%未満であることを見いだした。この結果は、本明細書に記載の処方は、精製アルブミンのポリマー/凝集体含量に有害な影響を与えないことを示している。
【0234】
二次元ゲル電気泳動
本発明の方法によって調製したアルブミンの2μgのrHAに、Millipore Investigator装置を用いて二次元電気泳動を施した。一次元での分離はpH3〜10の等電点電気泳動ゲルであり、次いで二次元では10%ポリアクリルアミド/SDSを行った。ゲルをCoomassie Blueで染色したところ、一点のみが見られ、一種類のタンパク質のみが存在することを示していた。
【0235】
マンノシル化アルブミン/Con A分析
コンカナバリンA(Con A)は、α−D−マンノピラノシル、α−D−グルコピラノシルおよび立体的に関連した残基を含む分子に結合する。Con A分析では、組換えヒトアルブミン(rHA)および/またはヒト血清アルブミン(HSA)のCon A Sepharose (Pharmacia, Cat. No. 17-0440-01)アフィニティークロマトグラフィーを用いて、マンノシル化アルブミンの含量を測定した。
【0236】
組換えヒトアルブミン(rHA)を、145mM塩化ナトリウムで5%(w/v)rHAまで希釈した後、Con A希釈緩衝液(200mM酢酸ナトリウム、85mM塩化ナトリウム、2mM塩化マグネシウム、2mM塩化マンガン、2mM塩化カルシウム,pH5.5)で1:1に希釈する。次に、100mg rHAを平衡にした2mLのCon A Sepharoseカラムに装填した後、Con A平衡緩衝液(100mM酢酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、1mM塩化マグネシウム、1mM塩化マンガン、1mM塩化カルシウム,pH5.5)で洗浄する(5×4mL)。カラムを6mLのCon A溶出緩衝液(100mM酢酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、0.5mMメチル−α−D−マンノピラノシド,pH5.5)で溶出する。
【0237】
Con A装填物(約0.1mg・mL-1まで希釈)および溶出物(分析したニート)中のモノマー性アルブミンを、0〜0.2mg・mL-1 rHA標準曲線を用いてGP-HPLCによって定量し、溶出物中に回収されたCon A結合アルブミンモノマーを装填物の百分率として表す。
【0238】
【表8】
【0239】
Con A結合rHAを、エレクトロスプレー質量スペクトル分析法(
図8)によって更に分析した。これは、con A結合rHAの量の減少の他に、con A結合rHAの修飾の程度が減少したことを示していた。
【0240】
カラー分析
1cmセル中の最終生成物の5%(w/v)溶液の吸光度を350nm、403nm、および500nmで測定し、1cm光路長当たりの1gアルブミン/L当たりの吸光度(すなわち、ABS・L・g
-1・cm
-1)について計算した。本発明のアルブミンは、下記の値を有する。
波長 平均吸光度(n=4バッチ)
(nm) (L・g
-1・cm
-1)
350 5.75×10
−3
403 1.7×10
−3
500 0.4×10−3
【0241】
一般に、本発明のアルブミンは、上記の3つの波長において8.0×10
−3、3.0×10
−3、および0.75×10
−3のそれぞれの吸光度を超過しない。
【0242】
多数の市販HSA製剤の分析から、これらの波長では吸光度が高いことが明らかになった(表7参照)。
【0243】
【表9】
【0244】
内毒素
薬剤生成物の溶液を、自動内毒素検出装置(例えば、LAL 5000E)を用いて、340nmにて36.5〜37.5℃の温度で速度論的濁度測定法によりLimulus変形細胞溶解生成物を用いて分析する。標準緒曲線を標準内毒素製剤の既知濃度から構築し、ネガティブコントロールおよび既知量の標準内毒素でスパイクした試験材料溶液も分析に包含される。反応混合物の濁度の変化を、時間および対数−対数回帰について測定した。薬剤生成物中の任意の内毒素を標準曲線に対して定量し、内毒素スパイクの回収率を確かめる。内毒素は検出されなかった。
【0245】
遊離チオール
Ellman試薬5,5′−ジチオビス−(2−ニトロベンゾエート)(DTNB)は、cys-SH(rHAの場合には、Cys-残基34)のような遊離スルフィドリル基を検出する特異的な手段である。反応により、412nmに最大吸収を有する5−チオ−2−ニトロベンゾエートイオンTNB
2-が放出される。412nmでの吸光度の増加を測定し、412nmにおけるTNB
2-イオンのモル急行計数によって割ることにより、rHAの遊離スルフィドリル含量を計算することができる。
【0246】
【表10】