【実施例1】
【0020】
図1乃至
図8は本発明の基礎杭の第1実施例を示す。
【0021】
本第1実施例の基礎杭としての回転貫入杭10は、例えば、
図1乃至
図3などに示すように、先端が底蓋12で閉塞された鋼管製の杭本体11と、この杭本体11の先端部付近の外周面に設けられた略一巻きの鋼製の螺旋状翼13と、該螺旋状翼13の初端と終端との間に位置する前記外周面に設けられた硬化性流体の噴出口14とを備える。
【0022】
前記底蓋12は、杭本体11の先端を閉鎖して掘削された土砂と硬化性流体とが杭本体11内に侵入するのを防ぐ。しかし、軟弱地盤の場合にはそれ程問題にならないものの、地盤が比較的硬い場合などでは、地盤中に杭本体11を回転貫入させる際に比較的大きな貫入抵抗となる。
【0023】
このような事態に対処するため、本第1実施例では、例えば、
図2などに示すように、前記底蓋12の底面に掘削刃20を設ける。これにより、杭本体11の先端を閉鎖しても地盤に対する掘削効率を高め、地盤が比較的硬い場合にも杭本体11の地盤中への回転貫入効率が低下するのを回避している。
【0024】
前記螺旋状翼13は、数学的に厳密な螺旋形状に限定されず、略螺旋状のものを含む。
図1乃至
図3では杭本体11の先端部付近の外周面に沿って螺旋状翼13を略一巻きに形成した場合を示している。
【0025】
前記螺旋状翼13には、
図1乃至
図3に示すように、その面部に貫通部としの長穴18が、複数個(図面では2個)、杭本体11を中心にして互いに略対向する箇所にそれぞれ設けられる。これら長穴18は螺旋状翼13の外周に沿うように円弧状に形成される。前記杭本体11が後述するように地盤中で上下動を繰り返すと、長穴18を通って、回転貫入杭10が埋設される地盤中の、螺旋状翼13の付近にある掘削された土砂と前記噴出口14から噴出された硬化性流体が、螺旋状翼13の一方の面側(螺旋状翼13の表面側)から他方の面側(螺旋状翼13の裏面側)に、あるいは他方の面側から一方の面側に移動(流動)する(
図10(a)、(b)参照)。これにより硬化性流体と掘削土砂とが混じり合ってソイルセメントが形成されて攪拌混合される。
【0026】
前記螺旋状翼13は、地盤の掘削機能と攪拌混合機能(掘削された土砂と硬化性流体とを攪拌し混合する機能)を有するが、攪拌作用については十分とはいえない(攪拌作用が弱い)。それは、回転貫入杭10の施工機械が、地盤改良杭の施工機械に比べて回転速度が数分の一と遅いため、螺旋状翼13による羽根切り回数を稼ぐことができないからである。前記貫通部としての長穴18は、杭本体11の上下動時に掘削土砂と硬化性流体の乱流的な流動を起こさせ、羽根切り回数の不足を補い、攪拌を促進させる作用(機能)をする。
【0027】
前記長穴18の長辺方向の一端には、例えば、長穴18を形成する際に生じた切り起こしの一部(切り起こしの3分の一程度)を螺旋状翼13の裏面側に適宜角度をつけて折り曲げてなるガイド部19が形成される。このガイド部19は、回転貫入杭10の回転貫入時に、螺旋状翼13の下側の掘削された土砂を、長穴18を通して螺旋状翼13の上側に導き(
図4参照)、貫入抵抗を減じる。
【0028】
図6(a)乃至(d)及び
図7(a)、(b)は、それぞれ前記貫通部の変形例を示している。図中、
図1乃至
図5に示す部分と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図6(a)に示す第1変形例では、前記螺旋状翼13に一対の扇形状の長穴18aを、前記杭本体11を中心にして互いに対向するように形成して前記貫通部としている。
【0030】
図6(b)に示す第2変形例では、前記螺旋状翼13に円穴18bを、前記杭本体11を中心にして互いに対向するように合計4個形成して前記貫通部としている。
【0031】
図6(c)に示す第3変形例では、前記螺旋状翼13に、
図6(a)に示す扇形状の長穴18aではなく、一対の楕円状の長穴18cを、前記杭本体11を中心にして互いに対向するように形成して前記貫通部としている。
【0032】
図6(d)に示す第4変形例では、前記螺旋状翼13に、一対の略方形状の長穴18eを、前記杭本体11を中心にして互いに対向するように形成して貫通部としている。
【0033】
図7(a)に示す第5変形例では、前記螺旋状翼13の外周(周縁)に、一対の円弧状の切欠き18dを、前記杭本体11を中心にして互いに対向するように形成して貫通部としている。
【0034】
図7(b)に示す第6変形例では、前記螺旋状翼13の外周(周縁)に、一対の略方形状の切欠き18fを、杭本体11を中心にして互いに対向するように形成して貫通部としている。
【0035】
前記螺旋状翼13に形成される貫通部は、
図1などに示した長穴18や
図6(a)乃至(d)及び
図7(a)、(b)にそれぞれ示した変形例としての長穴18aなどや切欠き18dなどに限定されるものではない。貫通部は、螺旋状翼13付近の土砂など(螺旋状翼13の表面側や裏面側の掘削された土砂など)が、螺旋状翼13の表面側から裏面側あるいは裏面側から表面側に移動(流動)することが出来るものであれば、その形状を問わない。
【0036】
また、前記螺旋状翼13には、
図1乃至
図3に示すように、その外周に、周方向に適宜間隔をあけて複数個(図面では4個)の掘削兼用攪拌刃30がそれぞれ設けられる。
【0037】
これら掘削兼用攪拌刃30は、杭本体11を地盤中に回転貫入(回転推進)させる際、地盤を掘削する機能を有する他に以下の機能を有する。
【0038】
前記掘削兼用攪拌刃30は、周方向に間隔をあけて設けられており、掘削兼用攪拌刃30間において、螺旋状翼13と地盤中に掘削された掘削穴との間に複数の隙間を生じさせる(
図11参照)。これら隙間は、螺旋状翼13の一方の側(螺旋状翼13の表面を含む上側)と他方の側(螺旋状翼13の裏面を含む下側)とをつなぐ。後述する攪拌混合工程(
図9(a)乃至(e)参照)において、これら隙間が、杭本体11の上下動に伴って掘削された土砂に硬化性流体を混ぜたソイルセメントが螺旋状翼13の上側と下側とを移動(流動)する際の移動通路となる。この移動通路を介して、例えば螺旋状翼13の下側にあるソイルセメントが螺旋状翼13の上側に移動し、この上側にあるソイルセメントと混じり合う(攪拌混合される)ので、これら隙間は、螺旋状翼13の上側と下側にそれぞれあるソルトセメントの一体性を確保する役目を果たし、螺旋状翼13の上側と下側のソルトセメントが独立して分離した場合に比して支持力を生み出すメカニズム上有利である。さらに、杭本体11の先端部分に形成されるソイルセメントからなる根固めは、前記螺旋状翼13だけではなく、掘削兼用攪拌刃30も覆うので、螺旋状翼13の直径よりも大きな直径となる。
【0039】
上述したように、前記掘削兼用攪拌刃30は、地盤の掘削機能、攪拌混合機能及び根固めの径拡大機能を有する。
【0040】
前記噴出口14には施工時に杭本体11の杭頭部分から杭本体11内に配置される注入用配管15(
図2、
図3、
図5参照)の一端が着脱可能に接続され、この注入用配管15から硬化性流体が噴出口14を介して地盤中に噴出される。
【0041】
図5に詳細に示すように、前記噴出口14を形成する噴出管14aの外端寄り(
図5の左側)の内部には逆流防止弁16が設けられる。この逆流防止弁16は、通常は閉じていて、管外(杭本体10の先端部分の外)の土砂や地下水などが杭本体11内に侵入しないようにしている。前記注入用配管15を通じて管外の圧力よりも高い圧力をかけて硬化性流体を送ると、
逆流防止弁16が開いて硬化性流体を管外に噴出する。逆流防止弁16には様々な形式がある。
図1乃至
図3では前記噴出口14を1個設けた場合を示したが、これに限定されず、2個設けてもよい。
【0042】
前記噴出管14aの内端(
図5の右側)には略L字状のエルボ17が配置されていて、このエルボ17を介して前記注入用配管15の一端が着脱可能に接続される。
【0043】
前記注入用配管15は、上述したように硬化性流体を杭本体11の先端部分に設けた噴出口14まで送るもので、例えば比較的小径の鋼管あるいは塩化ビニル管などから形成される。注入用配管15の、前記杭本体11の杭頭部分から地上に延出する他端は、図示しないが、前記硬化性流体の供給源に接続される。
【0044】
前記硬化性流体としては、セメントや地盤固化材と水を所定の割合で練り混ぜたミルク状のもの(セメントミルク等)、あるいは、これにさらに砂を加えたモルタルなどが使用される。
【0045】
地盤が硬くて貫入抵抗が非常に大きい場合には、1個の螺旋状翼13の回転による推進力だけでは杭本体11を地盤中に回転貫入させることが難しいことがある。例えば、螺旋状翼13の回転による推進力が不足して、杭本体11を地盤中に回転貫入させるのに時間がかかったり、杭本体11の回転貫入自体が事実上出来なくなったりする場合がある。
【0046】
このような場合には、
図8の基礎杭(回転貫入杭)10に示すように、螺旋状翼13の上方に1個の螺旋状翼13aを追加し、杭本体11を地盤中に回転貫入させるのに十分な推進力を得るようにしてもよい。
【0047】
螺旋状翼13の上方に別の螺旋状翼13aを追加するか否かは、杭本体10の全長や地盤の性状などによって決まる。
図1乃至
図3に示す回転貫入杭10では、螺旋状翼13の上方に別の螺旋状翼13aを追加しない例を示し、
図8に示す回転貫入杭10では、螺旋状翼13の上方に螺旋状翼13aを1個追加した例を示したが、これらに限定されるものではない。
【0048】
図9(a)乃至(f)は本発明の基礎杭(回転貫入杭)の根固め工法の一実施例(施工手順)を示している。この実施例では、
図1乃至
図3に示した回転貫入杭10を使用している。
【0049】
図9(a)は回転貫入杭10の杭本体11の先端部分が地盤中の支持層Aに到達する前の状態を示すもので、地上の回転駆動装置を搭載した杭打機により杭本体11は回転駆動されて螺旋状翼13のねじ込み作用を利用して地中に貫入する。この回転貫入時に、掘削兼用攪拌刃30は地盤を掘削する機能を果たす。
【0050】
次いで、同図(b)に示すように、杭本体11の先端部分を根固め体B(同図(c)乃至(f)参照)の下端が位置する予定の深度(支持層Aの底部)まで回転貫入(回転推進)させる。
【0051】
次いで、同図(c)に示すように、杭本体11を回転推進時とは反対の方向に回転(逆転)しながら支持層Aの底部から例えば1.5m前後上方に引きあげつつ、硬化性流体(セメントミルク)を噴出口14(
図1、
図2、
図3参照)から噴出させる。なお、硬化性流体の噴出開始前には、杭頭部から注入用配管15を杭本体11内に挿入して該注入用配管15の一端(下端)を噴出口14に接続しておく。
【0052】
次いで、同図(d)に示すように、杭本体11の先端部分が根固め体Bの上端が位置する予定の深度(支持層Aの底部から例えば1.5m前後上方位置 支持層の上部)に達したら、杭本体11の回転方向を変え、この変えた方向に回転(正転)しながら該杭本体11の先端部分を再度下方に向けて回転推進して掘削された土砂に硬化性流体(セメントミルク)を混ぜたソイルセメントを攪拌混合する。
【0053】
これは、同図(e)に示すように、杭本体11の先端部分が根固め体Bの下端が位置する予定の深度(支持層Aの底部)に達するまで行う。
【0054】
図9(c)、(d)、(e)に示す攪拌混合工程を複数回繰り返した後、同図(f)に示すように、杭本体11の先端部分を設計深度(根固め体Bの下端が位置する予定の深度よりも若干浅い位置)に止めて作業を終了する。
【0055】
図9(c)、(d)、(e)に示す攪拌混合工程において、杭本体11の上下動に伴い、例えば
図10(a)に示すように杭本体11とともに螺旋状翼13が回転しつつ下降するときには、螺旋状翼13の裏面側(下側)から貫通部(長穴18、18a乃至18f)を通って表面側(上側)に、掘削された土砂に硬化性流体(セメントミルク)を混ぜたソイルセメントが移動してこの上側にあるソイルセメントと混じり合う。また、
図10(b)に示すように杭本体11とともに螺旋状翼13が回転しつつ上昇するときには、螺旋状翼13の上側から貫通部(長穴18、18a乃至18f)を通って下側にソイルセメントが移動してこの下側にあるソイルセメントと混じり合う。本実施例では、貫通部(長穴18、18a乃至18f)の他に、
図11に示すように、螺旋状翼13の外周にある掘削兼用攪拌刃30間の隙間があり、この隙間を通り螺旋状翼13の下側のソイルセメントが上側に移動してこの上側にあるソイルセメントと混じり合い、また螺旋状翼13の上側のソイルセメントが下側に移動してこの下側にあるソイルセメントと混じり合う。このため、ソイルセメントを十分に攪拌混合することが出来るようになる。換言すると、螺旋状翼13の面部に設けた貫通部(長穴18、18a乃至18f)の作用と螺旋状翼13の外周に設けた掘削兼用攪拌刃30間の隙間の作用とが相俟って掘削土砂に硬化性流体(セメントミルク)を混ぜたソイルセメントを螺旋状翼13の上側、下側に流動させてとソイルセメントを攪拌混合することから、攪拌作用が十分でない螺旋状翼13であってもソイルセメント)を十分に攪拌混合することが出来るようになり、攪拌混合工程に要する時間を短縮することが可能になる。
【0056】
以上で根固め工法が完了する。
【0057】
図9(c)、(d)、(e)に示す、杭本体11を回転させつつ該杭本体11の先端部分を支持層Aの根固め造成区間Aa内で複数回上下動させて行う、支持層A内での、硬化性流体を掘削土砂に混ぜたソイルセメントの攪拌混合工程は、例えば、数回乃至10数回ほど繰り返して行う。攪拌混合工程を終了させるか否かは、例えば、杭本体11(螺旋状翼13)を回転させる際の抵抗が減少してきたとき、杭本体11をフリーな状態にして杭
本体11が地盤中に自然沈下するのか否かが目安となる。
【0058】
硬化性流体の噴出開始は、
図9(c)に示すときからではなく、最初に根固め体Bの上端が位置する予定の深度に達したとき(
図9(d)参照)から開始してもよい。
【0059】
硬化性流体の噴出は、杭本体11を回転させつつ上下動(上下往復移動)させている間に行うが、この間に継続して行うのがよい。
【0060】
杭本体11の回転は、原則として下降時は正転(螺旋状翼13の作用で下方に推進力が発生する回転方向)、引き上げ時は逆転で行うが、これに限定されるものではなく、地盤条件や施工能率を考慮して決める。
【0061】
上記根固め体Bは、支持層Aの掘削土砂に硬化性流体を混錬したソイルセメントを例えば6日から7日間養生して形成される。
【0062】
掘削土砂と硬化性流体との混錬度合がソイルセメントの強度、ひいては回転貫入杭10の支持力に影響するので、掘削土砂と硬化性流体との攪拌混合が重要になるが、本実施例では、螺旋状翼13の回転だけではなく、杭本体11の上下往復運動(例えば数回乃至10数回)が加わり、さらにこの上下往復運動による、貫通部(長穴18、18a乃至18f)と螺旋状翼13の外周に設けた掘削兼用攪拌刃30間の隙間を介しての螺旋状翼13の裏面側から表面側あるいは表面側から裏面側へのソイルセメント(掘削土砂と硬化性流体)の流動や、螺旋状翼13の始端と終端との間でのソイルセメント(掘削土砂と硬化性流体)の流動も加わるために掘削土砂と硬化性流体の攪拌混合が十分に行われ、良質なソイルセメントが形成される。
【0063】
固化した根固め体Bの直径は、掘削兼用攪拌刃30を含めた螺旋状翼13の径とほぼ同じになる。なお、
図9(f)、
図12では掘削兼用攪拌刃30が省略して図示されているが、螺旋状翼13の外周に掘削兼用攪拌刃30が設けられていることは勿論である。
【0064】
上記実施例によれば、支持層Aの土砂を軟化させるとともに、硬化性流体と掘削土砂を攪拌混合して良質(よく混じり合って均質)なソイルセメントからなる根固め体Bを形成することができる。
【0065】
上述した如く、杭本体11の先端部分に良質な根固め体Bを形成できるため、根固めしない回転貫入杭に比べ非常に大きな押込み支持力と引抜き支持力を得ることができることは勿論のこと、土砂と硬化性流体との攪拌混合が十分行われずに根固めを形成した場合に比して根固めの劣化が少なく、押込み支持力と引抜き支持力を長期間にわたって維持することが可能である。
【0066】
従来の回転貫入杭の螺旋状翼は、回転貫入機能(ねじ込み作用)と支持力増加機能の二つの機能を有していたが、本実施例の回転貫入杭10では、これら機能の他に、地盤中での上下動による掘削土砂と硬化性流体の攪拌混合機能が加わり、この攪拌混合機能が、貫通部(長穴18、18a乃至18f)、ガイド部19、掘削兼用攪拌刃30間の隙間及び螺旋状翼13の始端と終端との間の隙間により格段と向上し、螺旋状翼13をより有効に活用することが可能となる。このため、単位支持力当たりのコストを安くすることが出来る。
【0067】
螺旋状翼13に貫通部(長穴18、18a乃至18f)を形成することは、杭本体11の押込み支持力と引抜き支持力を低下させることになるが、施工後に螺旋状翼13は根固め体B内に埋め込まれ、螺旋状翼13ではなく、根固め体Bが杭本体11の押込み支持力と引抜き支持力を受け持つようになるので、螺旋状翼13に貫通部(長穴18、18a乃至18f)を設けることによる支持力低下の問題は全く生じない。
【0068】
上記実施例において、硬化性流体を噴出する前に、支持層Aの根固め造成区間Aa(
図9参照)を予め軟化、均一化するために空練りを複数回繰り返してもよい。例えば、硬化性流体を噴出させない状態で、杭本体11の先端部分を支持層A内で複数回上下往復移動させる。この空練りを実施した後に、
図9(c)乃至(e)に示すように硬化性流体を噴出させて掘削土砂に混ぜ、硬化性流体と掘削土砂を攪拌混合して根固め体Bを形成するようにしてもよい。
【0069】
具体的には、
図9(b)と同図(c)の間(硬化性流体噴出前)で、杭本体11を回転させて複数回上下往復させる。そうすると、螺旋状翼13の回転と上下運動とにより、支持層Aの掘削土砂は軟化するともに、互いに混じり合うために均質化される。このとき、貫通部(長穴18、18a乃至18f)や掘削兼用攪拌刃30間の隙間などを介して螺旋状翼13付近の掘削土砂が螺旋状翼13の下側(裏面側)から上側(表面側)に流動し(
図10(a)参照)、あるいは螺旋状翼13の上側(表面側)から下側(裏面側)に流動し(
図14(b)参照)、また螺旋状翼13の始端と終端との間からも掘削土砂が流動して掘削土砂の均質化を促進する。
【0070】
空練りのために行う杭本体11の上下往復回数は地盤の固さに応じて決めてもよいが、通常は3回以内で十分である。
【0071】
上下往復時の杭本体11の回転方向は、正回転でも逆回転でもよく、地盤の固さや施工機械の能力などに応じて適宜決めればよい。
【実施例3】
【0077】
図14と
図15(a)、(b)は本発明の基礎杭(回転貫入杭)10の第3実施例を示している。図中、
図1乃至
図13に示す部分と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
本第3実施例で使用する回転貫入杭10は、杭本体11の先端部分内であって噴出口14の上方位置に、隔壁41を設けて該先端部分内に硬化性流体の一時滞留空間40を形成し、該隔壁41に穴42を設け、この穴42に接続管43を固着して構成される。この接続管43に注入用配管15の一端(下端)が着脱自在に接続される。
【0079】
接続管43の上端部分には注入用配管15を接続管43に案内するための、一端の内径が最小で、他端に向かうにしたがって内径が大きくなるラッパ形状管44が設けられる。
【0080】
注入用配管15の接続管43に挿入される下端部分の外周面には、
図15(a)、(b)に示すように、ゴム製または樹脂製のリング45が軸方向に間隔をあけて複数個(図面では3個)取り付けられている。このリング45は弾性体であり、注入用配管15の下端を接続管43に差し込むだけで、硬化性流体の漏出を防止できる。
【0081】
本第3実施例では、回転貫入杭10を使用して根固め部Bを形成する際には杭本体11を所定の深さまで回転埋設して硬化性流体を噴出する作業を行う直前に、杭頭から注入用配管15を杭本体11内に挿入し、該注入用配管15の一端(下端)を接続管43内に押し込む。
【0082】
攪拌混合作業終了後、注入用配管15に引抜き力を加えて該注入用配管15の一端(下端)を接続管43から外し、杭本体11内から撤去する。
【0083】
本第3実施例によれば、注入用配管15の取付け作業を一度で出来るため、取付け作業が簡単である。複数の短い杭を現場で接合して長い杭に構成して施工する場合、一般には注入用配管15の長さを各杭に合わせて製作し、杭を接合する度に注入用配管15同士を接合する作業が必要になるが、本第3実施例によれば、杭全長分を一度に設置することが可能である。
【0084】
また、接続管43の上端部分にラッパ形状部材44が形成されているため、地下深くてかつ暗いにもかかわらず確実に注入用配管15の下端を接続管43に接続することができる。
【0085】
一般に、注入用配管15は杭から取り外されず、杭毎に使い捨てされているが、本第3実施例では注入用配管15を上方に引き抜くように引っ張れば、その下端を接続管43から容易に外すことができ、注入用配管15は何度でも繰り返して使用することが可能で、コスト面のメリットが大きい。
【0086】
また、隔壁41で一時滞留空間40を設けることで、噴出口14の取り付けが管外から行うことができ、製作が容易である。
【0087】
なお、上記第3実施例で示した回転貫入杭10の先端部分内の構造(隔壁41、一時滞留空間40、穴42、接続管43等)は、上記第1実施例及び第2実施例で示した基礎杭(回転貫入杭)10にも適用出来ることは勿論である。また、本第3実施例でも、掘削兼用攪拌刃30(
図1乃至
図3参照)を省略してあるが、上記第1実施例と同様に螺旋状翼13の外周に設けてもよいことは勿論である。