(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774668
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】エレクトロウェッティング装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/19 20060101AFI20150820BHJP
G02B 26/00 20060101ALI20150820BHJP
G02B 26/02 20060101ALI20150820BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20150820BHJP
G02B 3/14 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
G02F1/19
G02B26/00
G02B26/02 H
G02B26/08 H
G02B3/14
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-245707(P2013-245707)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-109782(P2014-109782A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2013年11月28日
(31)【優先権主張番号】101144994
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506187511
【氏名又は名称】國立中興大學
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】薛 英家
【審査官】
鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−040455(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0073740(US,A1)
【文献】
特表2008−502923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/19
G02B 26/00 − 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(21)と、前記基板(21)の上に支持される電極ユニット(23)とを含み、内部チェンバー(214)を画定する液体閉じ込め部材(2)と、
前記内部チェンバー(214)の中に配置され、磁性インクである第1の液体(31)と、
前記内部チェンバー(214)の中に配置され、且つ前記第1の液体(31)と混じり合わない極性材料である第2の液体(32)と、
を具備し、
前記第1及び第2の液体(31、32)は、それらの間に液体−液体接触面(33)を画定するように互いに接触し、
前記電極ユニット(23)は、前記液体−液体接触面(33)を横切る電界を与えるための外部電源と接続されるように構成され、
前記液体−液体接触面(33)は、前記液体−液体接触面(33)を横切る電界の変化に反応して変化する形状を有することを特徴とするエレクトロウェッティング装置。
【請求項2】
前記第1の液体(31)は、磁性顔料粒子と非極性溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング装置。
【請求項3】
前記磁性顔料粒子は、50nmより大きくない平均粒径を持つことを特徴とする請求項2に記載のエレクトロウェッティング装置。
【請求項4】
前記磁性顔料粒子は、疎水基で修飾した酸化鉄から作成されることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロウェッティング装置。
【請求項5】
前記液体閉じ込め部材(2)は、前記基板(21)を覆うカバー(22)をさらに含み、前記基板(21)は、鉛直方向に前記カバー(22)の反対側にある下部基板(211)と、前記下部基板(211)から鉛直方向に延び、前記下部基板(211)と協働してそれらの間に内部空間(216)を画定する包囲バリケード(215)と、前記内部空間(216)に形成される疎水層(212)とを含み、前記電極ユニット(23)は、前記下部基板(211)に設けられた下部電極(231)と、前記カバー(22)に設けられた上部電極(232)とを含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング装置。
【請求項6】
前記基板(21)は、前記包囲バリケード(215)と前記カバー(22)の間に延び、前記カバー(22)、前記疎水層(212)及び前記包囲バリケード(215)と協働して前記内部チェンバー(214)を画定する親水壁(218)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のエレクトロウェッティング装置。
【請求項7】
(a)内部空間(216)を画定し、開口部(219)を画定する開いた端部(217)を有する基板(21)を与えるステップと、
(b)前記内部空間(214)の中の前記基板(21)の所定の領域に、磁性インクである第1の液体(31)を与えるステップと、
(c)前記第1の液体(31)を磁気的に引き付ける磁気ユニット(4)を用いて、前記基板(21)の所定の領域に前記第1の液体(31)を位置決めするステップと、
(d)ステップ(c)の後に、前記第1の液体(31)と混じり合わない第2の液体(32)を前記内部空間(216)に充填するステップと、
を含むことを特徴とするエレクトロウェッティング装置の製造方法。
【請求項8】
(e)ステップ(d)の後に、カバー(22)で前記開口部(219)を覆うステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のエレクトロウェッティング装置の製造方法。
【請求項9】
ステップ(b)において、前記基板(21)に前記第1の液体(31)を与えることは、インクジェット印刷技術を用いて行われ、前記第2の液体(32)は、極性溶媒であることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロウェッティング装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1の液体(31)は、磁性顔料粒子と非極性溶媒を含むことを特徴とする請求項7に記載のエレクトロウェッティング装置の製造方法。
【請求項11】
前記磁性顔料粒子は、疎水基で修飾した酸化鉄から作成されることを特徴とする請求項10に記載のエレクトロウェッティング装置の製造方法。
【請求項12】
さらに、カバー(22)で前記開口部(219)を覆うステップ(e)を含み、
前記ステップ(d)およびステップ(e)において、
前記カバー(22)と協働して凹部を画定するように、前記カバー(22)に親水壁(218)を形成するステップと、前記凹部に第2の液体(32)を充填するステップと、前記磁気ユニット(4)によって位置決めされた第1の液体(31)が充填され、且つ包囲バリケード(215)を有する前記基板(21)を反転するステップと、前記親水壁(218)の上端部に前記基板(21)の包囲バリケード(215)を取り付けるステップと、前記第2の液体(32)を前記内部空間(216)の中に流し、前記カバー(22)で前記開口部(219)を覆うため、前記基板(21)が前記凹部の下に位置するように前記基板(21)を再度反転させる処理を行うことを特徴とする請求項7に記載のエレクトロウェッティング装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロウェッティング装置及びその製造方法に関し、さらに詳細には、磁性インクを含むエレクトロウェッティング装置、エレクトロウェッティング装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エレクトロウェッティング装置は、筺体と、筺体に封入された作動流体を含み、作動流体は、その作動状態を制御するために外部電源が作動流体に印加されたとき、その表面張力を変化させる。エレクトロウェッティング装置は、ディスプレイ、光学液体レンズ、バイオチップ等に応用することができる。
【0003】
特許文献1は、エレクトロウェッティング装置の製造方法を開示している。その方法は、(a)基板の上面に包囲壁を形成してマイクロチェンバーを画定するステップであって、包囲壁は、マイクロチェンバーを囲う内面と、内面の上の上面を有し、基板の上面が非疎水性であるステップと、(b)包囲壁と基板の上面を疎水性被覆材料で被覆するステップと、(c)包囲壁の上面に形成された疎水性被覆材料の一部を除去し、包囲壁の上面を露出させるステップと、(d)第1の液体と、第1の液体と混じり合わない第2の液体をマイクロチェンバーに充填するステップと、を含む。第1の液体は、色の付いたインクであり、第2の液体は、電気伝導性溶液である。
【0004】
第1の液体は、エレクトロウェッティング装置が正常に且つ確実に動作できるよう、第2の液体がマイクロチェンバーに導入されるときに、マイクロチェンバーの所定の領域にしっかりと位置決めされ、第2の液体に覆われる必要がある。しかし、第1の液体は、第2の液体の濃度より小さい濃度を持つため、前述の第1の液体の位置決め及び覆うことの制御は、比較的難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0073740号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い信頼性を持つエレクトロウェッティング装置を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、エレクトロウェッティング装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、基板と、前記基板の上に支持される電極ユニットとを含み、内部チェンバーを画定する液体閉じ込め部材と、前記内部チェンバーの中に配置され、磁性インクである第1の液体と、前記内部チェンバーの中に配置され、且つ前記第1の液体と混じり合わない極性材料である第2の液体と、を具備し、前記第1及び第2の液体は、それらの間に液体−液体接触面を画定するように互いに接触し、前記電極ユニットは、前記液体−液体接触面を横切る電界を与えるための外部電源と接続されるように構成され、前記液体−液体接触面は、前記液体−液体接触面を横切る電界の変化に反応して変化する形状を有することを特徴とするエレクトロウェッティング装置が提供される。
【0009】
本発明のもう一つの態様によれば、エレクトロウェッティング装置の製造方法が提供される。その方法は、(a)内部空間を画定し、開口部を画定する開いた端部を有する基板を与えるステップと、(b)前記内部空間の中の前記基板の所定の領域に、磁性インクである第1の液体を与えるステップと、(c)前記第1の液体を磁気的に引き付ける磁気ユニットを用いて、前記基板の所定の領域に前記第1の液体を位置決めするステップと、(d)ステップ(c)の後に、前記第1の液体と混じり合わない第2の液体を前記内部空間に充填するステップと、を含む。
【0010】
図面において、本発明の実施形態が示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第1の好ましい実施形態の概略図である。
【
図2A】本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第1の好ましい実施形態の製造方法の一連のステップを示す概略図である。
【
図2B】本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第1の好ましい実施形態の製造方法の一連のステップを示す概略図である。
【
図2C】本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第1の好ましい実施形態の製造方法の一連のステップを示す概略図である。
【
図2D】本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第1の好ましい実施形態の製造方法の一連のステップを示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第2の好ましい実施形態の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第3の好ましい実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第1の好ましい実施形態を示す。
【0013】
エレクトロウェッティング装置は、基板21と、基板21の上に支持される電極ユニット23とを含み、密閉された内部チェンバー214を画定する液体閉じ込め部材2と、内部チェンバー214の中に配置され、磁性インクである第1の液体31と、内部チェンバー214の中に配置され、且つ、第1の液体31と混じり合わない極性材料である第2の液体32と、を備える。第1及び第2の液体31、32は、それらの間に液体−液体接触面33を画定するように互いに接触する。
【0014】
電極ユニット23は、液体−液体接触面33を横切る電界を与えるための外部電源(図示せず)と接続されるように構成される。
【0015】
液体−液体接触面33は、液体−液体接触面33を横切る電界の変化に反応して変化する形状を有する。液体−液体接触面33は、磁界の変化に反応して変化しないことに留意されたい。
【0016】
第1の液体31は、磁性顔料粒子と非極性溶媒を含む。第1の好ましい実施形態では、第1の液体31の非極性溶媒は、n−ヘキサン、ドデカン、オクタデカン、またはシリコンオイルのような炭化水素溶剤から選択された物質から作られる。第1の液体31は、疎水性の液体であり、内部チェンバー214の中で変形するよう電界により駆動されることができ、それにより、液体−液体接触面33の形状が変化する。
【0017】
第2の液体32は、極性溶媒である。第1の好ましい実施形態では、第2の液体32は、水である。
【0018】
第1の液体31の磁性顔料粒子は、50nmより大きくない平均粒径を持ち、好ましくは、エレクトロウェッティング装置の所定の動作モード下で所望の色を付与する。
【0019】
好ましくは、第1の液体31の磁性顔料粒子は、酸化鉄を変性した疎水族疎水基で修飾した酸化鉄から作られる。
【0020】
第1の好ましい実施形態では、液体閉じ込め部材2は、基板21を覆うカバー22をさらに含む。基板21は、鉛直方向にカバー22の反対側にある下部基板211と、下部基板211から鉛直方向に延び、下部基板211と協働してそれらの間に内部空間216を画定する包囲バリケード215と、内部空間216に形成される疎水層212とを含む。電極ユニット23は、下部基板211に設けられた下部電極231と、カバー22に設けられた上部電極232とを含む。
【0021】
下部電極231は、上部電極232、第1及び第2の液体31、32、及び外部電源(図示せず)と協働し、回路を形成する。
【0022】
液体閉じ込め部材2の基板21は、下部電極231の上に形成される下部誘電層210をさらに含む。液体閉じ込め部材2のカバー22は、包囲バリケード215の上に形成される上部誘電層220、及び上部誘電層220の上に形成される透過パネル221を含む。上部電極232は、上部誘電層220と透過パネル221との間に配置される。
【0023】
内部チェンバー214の中の第1の液体31の形状は、凹状であり、そこに印加される電界だけでなく疎水層212の高さによっても制御できることに留意されたい。疎水層212を高くすればするほど、内部チェンバー214の中の第1の液体31の中央部の高さは低くなり、第1の液体31の周辺部の高さは高くなる。
【0024】
第1の液体31が内部空間216から外へ溢れ出るのを防ぐために、包囲バリケード215は、疎水層212より大きな高さを有する。
【0025】
図2Aから
図2Dは、本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第1の好ましい実施形態の製造方法の一連のステップを示す。その方法は、(a)内部空間216を画定し、開口部219を画定する開いた端部217を有する基板21を与え(
図2A参照)、(b)内部空間216の中の基板21の所定の領域に、磁性インクである第1の液体31を与え、(c)第1の液体31を磁気的に引き付ける磁気ユニット4を用いて、基板21の所定の領域に第1の液体31を位置決めし(
図2B参照)、(d)第1の液体31と混じり合わない第2の液体32を内部空間216に充填し(
図2C参照)、(e)カバー22を基板21の開いた端部217に密封するよう取り付けて、カバー22で開口部219を覆う(
図2D参照)ステップを含む。
【0026】
図1を参照すると、下部電極231は、インジウムスズ酸化物の導体膜から作られ、400オングストローム以上の厚みを有する。下部誘電層210は、シリコン窒化物から作られ、約2000オングストロームの厚みを有する。包囲バリケード215は、フォトレジスト材料から作られ、下部誘電層210の上に形成される。疎水層212は、疎水性化合物から作られ、下部誘電層210及び包囲バリケード215の上に形成される。
【0027】
包囲バリケード215は、スピンコーティング、ディッピング、又はカーテンコーティングの技法を用いて、下部誘電層210の上に形成される。第1の好ましい実施形態では、疎水層212は、テフロン(登録商標)材料から作られ、スピンコーティング技術を用いて形成される。
【0028】
疎水層212と包囲バリケード215との高さの差は、疎水層212を形成するために使用される疎水性化合物の量、又は包囲バリケード215を形成する製造過程を制御することにより調整できることに留意されたい。より具体的には、疎水層212と包囲バリケード215とをそれらの間に高さの差をもって形成するためには、はじめに、第1のフォトレジスト層のパターンを、フォトリソグラフィ処理技術を用いて下部誘電層210の上に形成し、次に、疎水性膜を、スピンコーティング技術を用いて第1のフォトレジスト層と第1のフォトレジスト層から露出した下部誘電層210の上に形成し、第1のフォトレジスト層の上端の疎水性膜の上部を、機械研磨技術を用いて除去し、第2のフォトレジスト層を、フォトリソグラフィ処理技術を用いて第1のフォトレジスタ層の上端に形成する。第1及び第2のフォトレジスト層は協働して包囲バリケード215を画定し、疎水性膜は疎水層212を画定し、第1のフォトレジスト層と同じ高さを有する。
【0029】
磁気ユニット4は永久磁石、電磁石、磁気コイル等から選択される材料である。第1の好ましい実施形態では、磁気ユニット4は、永久磁石である。
【0030】
酸化鉄を変性した疎水族疎水基で修飾した酸化鉄は、炭化水素溶剤の中で鉄−オレイン酸複合物を熱的に複混合することで形成される。そのように形成された酸化鉄を変性した疎水族疎水基で修飾した酸化鉄は、脂溶性を有するため、油溶媒の中で均一に分散する。
【0031】
ひとつの実施形態では、酸化鉄を変性した疎水族疎水基で修飾した酸化鉄を含む磁性インクは、36gのオレイン酸ナトリウム複合物、80gのエタノール、60mlの脱イオン水、140mlのヘキサン、及び10.8gの塩化鉄を混ぜて第1の混合物を形成し、70℃で4時間のあいだ第1の混合物を撹拌し、鉄−オレイン酸の複合物を得るため、分液漏斗の中で脱イオン水により第1の混合物を洗浄し、36gの鉄−オレイン酸の複合物、5.7gのオレイン酸、及び、200gの1−オクタデカンを混ぜて第2の混合物を形成し、第2の混合物を、320℃まで毎分5℃の加熱率で加熱して、320℃の温度を30分間維持し、第2の混合物を冷却し、第2の混合物と非極性溶媒とを混ぜることで磁性インクが形成される。
【0032】
内部空間216の中の第1の液体31の付与は、インクジェット印刷技術を用いて行ってもよい。第1の液体31を覆うための、内部空間216の中の第2の液体32の充填は、インクジェット印刷技術を用いて行ってもよい。
【0033】
図3は、本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第2の好ましい実施形態を示す。第2の好ましい実施形態は、第1の好ましい実施形態と、主に液体閉じ込め部材2が複数のユニットセルを画定し、各ユニットセルは第1及び第2の液体31、32を収容する内部チェンバー214を画定する点で異なる。包囲バリケード215の上端とカバー22の上部領域223との間にギャップ部φが形成され、ユニットセルの隣接する内部チェンバー214間の第2の液体32の流体連結が、ギャップ部φを通してなされるようにする。
【0034】
図4は、本発明に係るエレクトロウェッティング装置の第3の好ましい実施形態を示す。第3の好ましい実施形態は、第1の実施形態と異なり、基板21が、包囲バリケード215とカバー22の間に延び、それらを相互接続し、カバー22の上部誘電層220、疎水層212及び包囲バリケード215と協働して内部チェンバー214を画定する親水壁218をさらに含む。
図4は、エレクトロウェッティング装置の動作状態も示しており、第1の液体31は、開放位置に配置され、バルブとして作用する。
【0035】
液体閉じ込め部材2の中に親水壁218を含むことで、開放位置に配置したときの開口部5とともに形成される第1の液体31の開口比を増大させることができ、エレクトロウェッティング装置の解像度、及びコントラスト比を上げることが可能となる。
【0036】
親水壁218は、ポリイミドから作ることができ、フォトリソグラフィ処理、エッチング技術を用いて包囲バリケード215の上に形成される。
【0037】
第3の好ましい実施形態の製造方法は、第1の好ましい実施形態の製造方法と、主に親水壁218を形成する追加ステップ(f)を含み、第2の液体32の充填を実施し、前述したステップ(d)と(e)において開口部219を塞ぐ点で異なる。特に、第3の好ましい実施形態の製造方法では、ステップ(f)、(d)、及び(e)において、親水壁218がカバー22と協働して凹部を画定するように、フォトリソグラフィ処理、エッチング技術を用いてカバー22に親水壁218を形成し、凹部に第2の液体32を充填し、磁気ユニット4によって位置決めされた第1の液体31が充填された基板21を反転し、親水壁218の上端部に基板21の包囲バリケード215を取り付けて、第2の液体32を内部空間216の中に流し、カバー22が開口部219を覆うことができるよう、基板21が凹部の下に位置するように基板21を再度反転させる処理を行う。
【0038】
第1の液体は、磁性インクから作られるため、内部空間216に第2の液体32を充填している間、磁気ユニット4によって内部空間216の中で位置決めされ、それにより、内部空間216の中に第2の液体32を充填している間、第1の液体31の不要な位置異常を防止することができる。このため、本発明のエレクトロウェッティング装置の中に磁性インクである第1の液体31を含めることで、信頼性の高いエレクトロウェッティング装置が得られる。
【0039】
本発明を最も実用的で好ましいと考えられる実施形態に関連して説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な変更例、及び等価な変更例を包含するように意図されていることを理解されたい。