(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774681
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】吐出装置用の弁及び方法
(51)【国際特許分類】
F16K 15/02 20060101AFI20150820BHJP
B67D 1/14 20060101ALI20150820BHJP
B67D 1/08 20060101ALI20150820BHJP
A23G 1/20 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
F16K15/02
B67D1/14
B67D1/08 Z
A23G1/20
【請求項の数】25
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-510186(P2013-510186)
(86)(22)【出願日】2011年5月6日
(65)【公表番号】特表2013-530355(P2013-530355A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】US2011035630
(87)【国際公開番号】WO2011140508
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2014年5月7日
(31)【優先権主張番号】61/332,551
(32)【優先日】2010年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512288514
【氏名又は名称】エーエルピーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーワイ ダニエル
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−203605(JP,A)
【文献】
米国特許第4607764(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K
A23G 1−3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体受容室との間の流体密封止状態を実質的に保ちながら流体受容室に至る流路を形成することが可能な弁であって、
堅固性が高い弁座と、
弁座の一端に位置する入口、弁座の他端に位置する出口、並びに入口・出口間に位置する封止壁を有する常閉型の弁内流路が形成され、その封止壁によって弁内流路の入口・出口間区間が流体密封止されるよう、弁座に重畳されていて可撓性が高い弁材と、
弁材に対し間隔を置いて配置され、弁材を囲んで延びる躯体と、
流体受容室に当接させるとその室との間が実質的に流体密封止されひいては弁内流路の出口及び流体受容室が周囲雰囲気に対し封止される封止部と、
を備え、
弁内流路の入口にある物質から作用する圧力が開弁圧より高いときに弁材が弁座に対し退き、その物質が弁内流路内を経てその出口から流体受容室に流入する弁。
【請求項2】
請求項1記載の弁であって、偏向器を備え、その偏向器が、弁内流路の出口を越え軸方向に延びること、躯体の先端を越え軸方向に延びること、および、弁座から軸方向に延びることのうちの、いずれか1つまたはそれ以上を満たすことを特徴とする弁。
【請求項3】
請求項2に記載の弁であって、その偏向器の先端が(1)躯体の先端と略同長に亘り、又は(2)躯体の先端を越え、軸方向に延びる弁。
【請求項4】
請求項2または3に記載の弁であって、その偏向器が略錐状である弁。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1つに記載の弁であって、その弁材・弁座間が締まり嵌めされている弁。
【請求項6】
請求項5に記載の弁であって、その弁材・弁座間の締まり具合が弁内流路の入口において出口より弱いか、または、弁材・弁座間の締まり具合が弁内流路の入口から出口にかけて漸進的に弱まる弁。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1つに記載の弁であって、その弁材の先端が、躯体の先端に比べ軸方向に後退した位置にある弁。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1つに記載の弁であって、その躯体が弁材を囲み環状に延びる弁。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1つに記載の弁であって、その弁材が弁座を囲み環状に延びており、弁内流路の付近又はその上流に位置する基部を有し、その基部が弁座から躯体にかけて径方向に延び、さらにその基部が、(i)弁座から躯体にかけて略径方向に延びる湾曲面を有するか、または、(ii)弁座寄りに位置しその曲率半径が第1半径である第1湾曲面部分と、躯体寄りに位置しその曲率半径が第2半径である第2湾曲面部分と、を有し、第1半径が第2半径よりも大きい、弁。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1つに記載の弁であって、弁材・弁座間気密封止を保ちうる高さの開弁圧がもたらされるよう、あるいは、所定のマイナス圧力または減圧に曝されても開弁しないよう構成されている弁。
【請求項11】
請求項10に記載の弁であって、生鮮食品受容用の希釈乃至攪拌室を上掲の流体受容室とし、その室と共に定置清掃プロセス中に周囲温度以上への昇温及び前記減圧に曝される弁において、定置清掃プロセス中に弁材・弁座間気密封止が保たれる弁。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1つに記載の弁と、流路を介しその入口につながる可変容積貯蔵室と、を備える装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、弁・可変容積貯蔵室間流路を形成する可撓管を備える装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置であって、可変容積貯蔵室は可撓パウチであり、弁は可撓パウチと一体である、装置。
【請求項15】
請求項1から3のいずれか1つに記載の弁であって、その弁材から躯体にかけて径方向及び軸方向に延びていて可撓性が高いフィラを備え、その弁材が、入口にある物体から作用する圧力が開弁圧より高いときに弁材が弁座から見て外側に撓むような値の第1硬度を有し、そのフィラが、弁材が弁材の動きに応じ常閉ポジション・開ポジション間でほぼ径方向に撓むこと並びにデブリ及びそれに類する物体の弁材・躯体間蝟集を概ね阻むことが可能で第1硬度より低い値の第2硬度を有する弁。
【請求項16】
請求項15に記載の弁であって、その第1硬度が約25〜70A、第2硬度が約35〜40Aの範囲内である弁。
【請求項17】
可変容積貯蔵室内に貯蔵されている滅菌済製品を気密封止しつつその製品を希釈乃至攪拌室内に吐出させるため、可変容積貯蔵室との間の流体密封止状態を実質的に保ちながら希釈乃至攪拌室に至る流路を形成することが可能な弁であって、
堅固性が高い弁封止面を形成する第1手段と、
第1手段の一端に位置する入口、第1手段の他端に位置する出口、並びに第1手段の入口・出口間に位置する封止壁を有する常閉型の弁内流路が形成されるよう、第1手段に重畳されていて可撓性が高い第2手段と、
第1及び第2手段をくるむよう第2手段に対し間隔を置きつつ第2手段に隣接して延びており、本弁及び希釈乃至攪拌室の清掃に当たり流路となりうる空間を第2手段との間に発生させる第3手段と、
希釈乃至攪拌室に当接させるとその室との間が実質的に流体密封止されひいては弁内流路の出口及び希釈乃至攪拌室が周囲雰囲気に対し流体密封止される第4手段と、
を備え、
弁内流路の入口にある滅菌済製品から作用する圧力が開弁圧より高いときに第2手段が第1手段に対し退き、その滅菌済製品が弁内流路内を経て弁内流路の出口から希釈乃至攪拌室に流入する弁。
【請求項18】
請求項17に記載の弁であって、その第1手段が弁座、第2手段が弁材、第3手段が躯体、第4手段が封止部である弁。
【請求項19】
請求項17または18に記載の弁と、複数回数分の滅菌済製品を受け容れ周囲雰囲気に対し気密封止状態に保つ可変容積貯蔵室と、を備え、可変容積貯蔵室から弁内流路の入口に至る流路を形成可能な装置。
【請求項20】
i)周囲雰囲気に対し気密封止された状態で液体を貯蔵する可変容積貯蔵室に至る流路を形成することができるようその室に一方向弁を連結するステップと、
ii)一方向弁・希釈乃至攪拌室間を実質的に流体密封止しつつその室に至る流路を形成することができるようその室に一方向弁を連結する連結ステップと、
iii)可変容積貯蔵室から来る液体の一部を一方向弁の開弁圧を超える圧力まで加圧する加圧ステップと、
iv)一方向弁に備わる常閉型の弁内流路の入口へとその加圧液体を導くステップと、
v)可撓性が高い弁材を加圧液体の作用で動かし一方向弁に備わる堅固性が高い弁座から離すことで一方向弁内にある常閉型の弁内流路を開通させるステップと、
vi)加圧液体を常閉型で軸方向に延びる弁内流路にその入口を介し流入させ更にその出口を介し希釈乃至攪拌室内に流入させるステップと、
vii)加圧流体が常閉型の弁内流路を通過した後に弾性に富む弁材を動かし弁座に当接させることでその常閉型の弁内流路を閉止させるステップと、
viii)上掲の諸ステップを通じ可変容積貯蔵室内の液体を周囲雰囲気に対し気密封止し無菌状態に保つステップと、
を有する方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、可変容積貯蔵室及び一方法弁からなるアセンブリを複数対準備する準備ステップと、後に外すことができるようそのアセンブリそれぞれを対応する希釈乃至攪拌室に連結するステップと、を有する方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、上掲の準備ステップが、各可変容積貯蔵室内の製品を周囲雰囲気に対し封止するサブステップを含む方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、一方向弁内にある弁材・躯体間空間に清掃用流体を流入させることで弁材を清掃して弁材表面における残留物蝟集を防ぐステップを有する方法。
【請求項24】
請求項20から23のいずれか1つに記載の方法であって、一方向弁に偏向器を設けるステップと、その偏向器を用い接触を妨げ弁材を保護するステップと、を有する方法。
【請求項25】
請求項20から23のいずれか1つに記載の方法であって、弁材の先端のうち躯体に囲まれた部分に窪みを設けることで弁材を保護するステップを有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、係属中の2010年5月7日付米国暫定特許出願第61/332551号に基づく米国特許法第119条(e)の利益を享受する出願であるので、当該米国暫定特許出願の全内容を本願の一部として扱い、本願中にその全面的な記載があるものと見なすことにする。
【0002】
本発明は一方向弁(ワンウェイバルブ)、特に未給仕品を無菌状態に保ちながらリザーバ内の品例えば生鮮食品を給仕する吐出装置にて非冷蔵保存期間延長等に役立つ一方向弁に関する。
【背景技術】
【0003】
無菌包装技術は食品や飲料の保存期間を延ばすのに広く利用されている。在来の無菌包装技術では、細菌がいない状態即ち無菌状態で品がパッケージ内に装填、封止される。無菌包装された食品や飲料を扱う吐出装置に対しては、無菌状態の品を所要時点で低コストに給仕する能力が求められる。無菌包装品の保存期間は開封後の再汚染で左右される。無菌パッケージからの吐出経路、とりわけ一方向弁は再汚染の発生経路となりやすいため、これまでもその改良が重ねられている。
【0004】
無菌包装における一方向弁の利用形態は、吐出装置と一体な形態、部分的に吐出装置と一体で部分的に無菌パッケージと一体な形態、並びに無菌パッケージと一体な形態に大別できる。このうちどの形態で一方向弁を利用するかで、開封から再汚染までにかかる時間、包装コスト及びその品に関する冷蔵の要否が左右される。
【0005】
一方向弁が吐出装置と一体な形態では、その弁に対する無菌パッケージの連結部位で品が再汚染される恐れがある。十分な清掃を怠ると、吐出装置が無菌パッケージにつながる部位での汚染が原因となり、品の寿命が大きく損なわれてしまう。特許文献80には、この問題に対する従来型の対処策として、パウチに連結されている一端開放型の品吐出用可撓管を吐出装置内のピンチャで開閉させる、という策が示されている。このピンチャは一種の一方向弁であり、可撓管を周囲雰囲気に対し閉ざす際にはそのピンチャで可撓管の開放端がピンチング(挟握)される。品を吐出させる際には、ピンチャを可撓管からリリース(離隔)させることで、パウチ内の品を可撓管内に流しその開放端から吐出させる。この種の従来型吐出装置及びパッケージで問題となる点の一つは、パウチ及び可撓管からなるアセンブリを吐出装置内に装着する際や吐出を実行させる際に、細菌その他の不要物体が開放端越しに可撓管内に侵入して品が汚染される恐れがあることである。その品が非酸性品例えば乳製品である場合、これに抗し品の寿命を確保するには品を冷蔵保存する必要がある。
【0006】
一方向弁が無菌パッケージと一体な形態なら、無菌パッケージ・吐出装置間連結部位がないので、問題点が、そうした部位での再汚染から一方向弁そのものの出口を介した再汚染へと特化される。特許文献113には、この問題への対処策として、その品の保存期間を通じ且つ幾回かの吐出に亘りパッケージ内の品が気密封止状態に保たれるよう、弁座及び弁材をうまく組み合わせた一方向弁を使用する、という策が示されている。こうした構成の一方向弁であれば、非酸性品例えば乳製品を非冷蔵保存することができる。反面、一方向弁を吐出装置につながねばならないことが大きな問題となる。
【0007】
また、無菌包装品はそのパッケージから出された後に汚染という問題に直面する。その汚染の原因としては、前回の弁動作からの残留物、微生物、吐出装置の組立乃至清掃中に一方向弁の出口に生じた汚れ等がある。この問題は、本件技術分野で既知の通り定置清掃機能の組込で緩和することができる。この機能は、水、石鹸、漂白剤等の物質を含有乃至併有する清掃用流体をその面に導入することで、品に触れる面を定期的に清掃する、というものである。清掃用流体が導入された面は、次いで温度上昇、圧力変化等といった雰囲気的な変化にも曝される。こうした定置清掃を実行することで、放置しておいたら一方向弁のほぼ全体を汚染させることとなろう物体を概ね除去することができる。
【0008】
こうした定置清掃機能を組み込む際には、清掃対象空間・リザーバ間の気密封止が清掃用流体によって破られないようにする必要がある。また、定置清掃機能下で使用される一方向弁に対しては、定置清掃用流体から作用する圧力に耐え、自弁内への汚染物侵入を阻めることが求められる。一方向弁に対しては、また、自弁外表面に接する定置清掃用流体の働きで自弁内に温度勾配が生じても気密封止状態を保てることが求められる。一方向弁に対しては、更に、定置清掃サイクルが何回か繰り返された後でも、歪みや形状変化が発生せず、印加圧力に対する品供給量の比率が変わらないことが求められる。そして、一方向弁に対しては、定置清掃中にその表面が減圧に曝されても気密封止状態を保てることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第1392600号明細書
【特許文献2】米国特許第2014881号明細書
【特許文献3】米国特許第2317270号明細書
【特許文献4】米国特許第2471852号明細書
【特許文献5】米国特許第2715980号明細書
【特許文献6】米国特許第3160329号明細書
【特許文献7】米国特許第3173579号明細書
【特許文献8】米国特許第3180374号明細書
【特許文献9】米国特許第3231149号明細書
【特許文献10】米国特許第3499582号明細書
【特許文献11】米国特許第3820689号明細書
【特許文献12】米国特許第3987938号明細書
【特許文献13】米国特許第4015752号明細書
【特許文献14】米国特許第4078705号明細書
【特許文献15】米国特許第4099651号明細書
【特許文献16】米国特許第4128349号明細書
【特許文献17】米国特許第4137930号明細書
【特許文献18】米国特許第4168020号明細書
【特許文献19】米国特許第4216236号明細書
【特許文献20】米国特許第4239132号明細書
【特許文献21】米国特許第4249675号明細書
【特許文献22】米国特許第4256242号明細書
【特許文献23】米国特許第4349133号明細書
【特許文献24】米国特許第4366912号明細書
【特許文献25】米国特許第4401239号明細書
【特許文献26】米国特許第4420100号明細書
【特許文献27】米国特許第4425366号明細書
【特許文献28】米国特許第4425698号明細書
【特許文献29】米国特許第4513889号明細書
【特許文献30】米国特許第4520948号明細書
【特許文献31】米国特許第4526294号明細書
【特許文献32】米国特許第4561571号明細書
【特許文献33】米国特許第4607764号明細書
【特許文献34】米国特許第4660737号明細書
【特許文献35】米国特許第4667854号明細書
【特許文献36】米国特許第4776495号明細書
【特許文献37】米国特許第4823990号明細書
【特許文献38】米国特許第4854483号明細書
【特許文献39】米国特許第4981479号明細書
【特許文献40】米国特許第5033647号明細書
【特許文献41】米国特許第5074440号明細書
【特許文献42】米国特許第5099885号明細書
【特許文献43】米国特許第5108007号明細書
【特許文献44】米国特許第5145083号明細書
【特許文献45】米国特許第5176510号明細書
【特許文献46】米国特許第5178300号明細書
【特許文献47】米国特許第5226568号明細書
【特許文献48】米国特許第5238153号明細書
【特許文献49】米国特許第5267986号明細書
【特許文献50】米国特許第5271513号明細書
【特許文献51】米国特許第5332121号明細書
【特許文献52】米国特許第5360145号明細書
【特許文献53】米国特許第5401259号明細書
【特許文献54】米国特許第5409146号明細書
【特許文献55】米国特許第5429254号明細書
【特許文献56】米国特許第5435463号明細書
【特許文献57】米国特許第5452826号明細書
【特許文献58】米国特許第5453096号明細書
【特許文献59】米国特許第5454488号明細書
【特許文献60】米国特許第5464125号明細書
【特許文献61】米国特許第5499758号明細書
【特許文献62】米国特許第5617976号明細書
【特許文献63】米国特許第5551483号明細書
【特許文献64】米国特許第5641004号明細書
【特許文献65】米国特許第5664705号明細書
【特許文献66】米国特許第5685869号明細書
【特許文献67】米国特許第5687882号明細書
【特許文献68】米国特許第5697532号明細書
【特許文献69】米国特許第5772079号明細書
【特許文献70】米国特許第5803311号明細書
【特許文献71】米国特許第5836484号明細書
【特許文献72】米国特許第5842321号明細書
【特許文献73】米国特許第5857595号明細書
【特許文献74】米国特許第5875931号明細書
【特許文献75】米国特許第5931386号明細書
【特許文献76】米国特許第5944702号明細書
【特許文献77】米国特許第5971224号明細書
【特許文献78】米国特許第5996845号明細書
【特許文献79】米国特許第6003733号明細書
【特許文献80】米国特許第6024252号明細書
【特許文献81】米国特許第6033384号明細書
【特許文献82】米国特許第6062430号明細書
【特許文献83】米国特許第6092695号明細書
【特許文献84】米国特許第6149957号明細書
【特許文献85】米国特許第6170715号明細書
【特許文献86】米国特許第6182698号明細書
【特許文献87】米国特許第6216916号明細書
【特許文献88】米国特許第6254579号明細書
【特許文献89】米国特許第6325253号明細書
【特許文献90】米国特許第6386395号明細書
【特許文献91】米国特許第6450994号明細書
【特許文献92】米国特許第6455093号明細書
【特許文献93】米国特許第6471095号明細書
【特許文献94】米国特許第6491189号明細書
【特許文献95】米国特許第6524287号明細書
【特許文献96】米国特許第6547108号明細書
【特許文献97】米国特許第6561383号明細書
【特許文献98】米国特許第6592918号明細書
【特許文献99】米国特許第6592922号明細書
【特許文献100】米国特許第6662977号明細書
【特許文献101】米国特許第6695173号明細書
【特許文献102】米国特許第6698628号明細書
【特許文献103】米国特許第6742680号明細書
【特許文献104】米国特許第6755327号明細書
【特許文献105】米国特許第6758620号明細書
【特許文献106】米国特許第6761286号明細書
【特許文献107】米国特許第6769627号明細書
【特許文献108】米国特許第6802436号明細書
【特許文献109】米国特許第6883222号明細書
【特許文献110】米国特許第6892906号明細書
【特許文献111】米国特許第6971553号明細書
【特許文献112】米国特許第7278553号明細書
【特許文献113】米国特許第7322491号明細書
【特許文献114】米国特許第7810677号明細書
【特許文献115】米国特許第7850051号明細書
【特許文献116】米国特許出願公開第2001/0027827号明細書
【特許文献117】米国特許出願公開第2002/0050301号明細書
【特許文献118】米国特許出願公開第2002/0074362号明細書
【特許文献119】米国特許出願公開第2002/0121527号明細書
【特許文献120】米国特許出願公開第2002/0124907号明細書
【特許文献121】米国特許出願公開第2003/0012858号明細書
【特許文献122】米国特許出願公開第2003/0082070号明細書
【特許文献123】米国特許出願公開第2004/0011820号明細書
【特許文献124】米国特許出願公開第2004/0118291号明細書
【特許文献125】米国特許出願公開第2004/0118432号明細書
【特許文献126】米国特許出願公開第2004/0194811号明細書
【特許文献127】米国特許出願公開第2005/0029307号明細書
【特許文献128】米国特許出願公開第2005/0072480号明細書
【特許文献129】米国特許出願公開第2005/0089358号明細書
【特許文献130】米国特許出願公開第2005/0165368号明細書
【特許文献131】米国特許出願公開第2006/0169722号明細書
【特許文献132】米国特許出願公開第2008/0149191号明細書
【特許文献133】米国意匠特許第493366号明細書
【特許文献134】米国再発行特許第35187号明細書
【特許文献135】米国再発行特許第36410号明細書
【特許文献136】カナダ国特許第1123792号明細書
【特許文献137】中国特許出願公開第1489542号明細書
【特許文献138】中国特許第2436454号明細書
【特許文献139】欧州特許0172711号明細書
【特許文献140】欧州特許0616141号明細書
【特許文献141】欧州特許0649795号明細書
【特許文献142】欧州特許0733559号明細書
【特許文献143】欧州特許0743263号明細書
【特許文献144】欧州特許0802827号明細書
【特許文献145】欧州特許1546021号明細書
【特許文献146】仏国特許第2709733号明細書
【特許文献147】英国特許出願公開第190300710号明細書
【特許文献148】特開昭52−91345号公報
【特許文献149】特開昭59−10986号公報
【特許文献150】特開平2−21078号公報
【特許文献151】特開平6−239379号公報
【特許文献152】特開平7−125799号公報
【特許文献153】特開平10−156269号公報
【特許文献154】特開2002−347812号公報
【特許文献155】特開平5−016950号公報
【特許文献156】特開2005−535530号公報
【特許文献157】国際公開第91/144671号パンフレット
【特許文献158】国際公開第93/016955号パンフレット
【特許文献159】国際公開第94/151200号パンフレット
【特許文献160】国際公開第95/343811号パンフレット
【特許文献161】国際公開第99/321850号パンフレット
【特許文献162】国際公開第99/411580号パンフレット
【特許文献163】国際公開第00/291920号パンフレット
【特許文献164】国際公開第02/401220号パンフレット
【特許文献165】国際公開第03/333630号パンフレット
【特許文献166】国際公開第04/071878号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここに、本発明の目的は、従来技術に係る上掲の難点乃至問題点のうち幾つかを克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1実施形態は、乳製品、チョコレート製品等の生鮮食品を希釈乃至攪拌する室等、流体受容室との間の流体密封止状態を実質的に保ちながらその室に至る流路を形成することが可能な弁である。本弁は、堅固性が高い弁座(シート)と、弁座の一端に位置する入口(インレット)、弁座の他端に位置する出口(アウトレット)並びに入口・出口間に亘り軸方向に延びる封止壁を有する常閉型の弁内流路が軸方向に沿い形成され、その封止壁によって弁内流路の入口・出口間区間が流体密封止されるよう、弁座に重畳されていて可撓性が高い弁材(カバー)と、本弁及び流体受容室の清掃に当たり流路となりうる空間が弁材との間に生じるよう、弁材に対し径方向に間隔を置き軸方向に延びる躯体(ボディ)と、流体受容室に当接させるとその室との間が実質的に流体密封止されひいては弁内流路の出口及び流体受容室が周囲雰囲気に対し封止される封止部(シール)と、を備える。本弁では、弁内流路の入口にある物質から作用する圧力が開弁圧より高いと弁材が弁座に対し径方向に退き、その物質が弁内流路内を経てその出口から流体受容室に流入する。
【0012】
本弁には、その弁内流路の出口を越え軸方向に延びるように偏向器(デフレクタ)を設けるのが望ましい。その偏向器は、例えば、躯体の先端を越え軸方向に延びる構成とする。偏向器が弁座から軸方向に延びるようにするとよい。偏向器の先端は、(1)躯体の先端と略同長に亘り、又は(2)躯体の先端を越え、軸方向に延ばすのが望ましい。偏向器の形状は例えば略錐状とする。
【0013】
本弁の弁材・弁座間は締まり嵌めで締結するのが望ましい。その弁材・弁座間の締まり具合は、弁内流路の入口から出口にかけて弱まるようにするとよい。例えば、弁材・弁座間の締まり具合が弁内流路の入口から出口にかけて漸進的に弱まる構成である。
【0014】
本弁における弁材の厚みは、入口での値(第1厚)よりも出口での値(第2厚)の方が小さくなるよう設定するのが望ましい。その第1厚は第2厚の約1と1/4倍以上、できれば約1と1/2倍以上、更には約1と3/4倍にするのが望ましい。
【0015】
本弁における弁材は、その先端が、躯体の先端に比べ軸方向に後退した位置にある構成にするのが望ましい。躯体は、そうした弁材を囲み環状に延びる構成にすればよい。望ましいのは、弁材が弁座を囲み環状に延び、弁内流路の付近又は上流に位置する基部(ベース)を有する構成にすることである。その基部は、弁座から躯体にかけて径方向に延びる構成にするのが望ましい。例えば、弁座から躯体にかけて略径方向に延びる湾曲面を有する構成である。その湾曲面は、例えば、弁座寄りを占める第1湾曲面部分及び躯体寄りを占める第2湾曲面部分を含む構成にする。第1部分の曲率半径即ち第1半径は、第2部分の曲率半径即ち第2半径よりも大きくするのが望ましい。
【0016】
本弁における封止部は、躯体の先端を囲み環状に延びる構成にするのが望ましい。そうした封止部を弁材と一体形成してもよい。それら弁材及び封止部を躯体にコモールドすること、例えばオーバモールドすることも可能である。
【0017】
本弁における弁材、封止部及び躯体は、弁材を囲み環状に延び且つ弁材から躯体にかけて径方向に延びる空間に面し、本弁の清掃時にはその空間内に清掃用流体が導入される構成にするのが望ましい。例えば、生鮮食品受容用の希釈乃至攪拌室を上掲の流体受容室とする場合、定置清掃プロセス中に本弁がその流体受容室と共に周囲温度以上への昇温(例.約95℃以上への昇温)及び減圧に曝されることとなるので、定置清掃プロセス中に弁材・弁座間気密封止を保ちうる高さの開弁圧がもたらされるよう、弁材を相応の素材及び形態で形成するとよい。開弁圧の値は約5psi以上、できれば約6と1/2psi以上、更には約8と1/2psi以上とするのが望ましい(1psi=1ポンド/平方インチ,1ポンド=約0.45kg,1インチ=約0.025m)。本弁の弁材はシリコーン製とするのが望ましい。
【0018】
本弁には、その弁材から躯体にかけて径方向及び軸方向に延びるよう可撓性が高いフィラを設けるのが望ましい。その弁材の硬度(第1硬度)は、例えば、入口にある物体から作用する圧力が開弁圧より高いときに弁材が弁座から見て外側に撓むような値とする。フィラの硬度(第2硬度)は、例えば、弁材が弁材の動きに応じ常閉ポジション・開ポジション間でほぼ径方向に撓むこと並びにデブリ及びそれに類する物体の弁材・躯体間蝟集を概ね阻むことが可能で第1硬度より低い値とする。第1硬度はショアAデュロメータ値で約25〜70A、第2硬度は約35〜40Aの範囲内とするのが望ましい。
【0019】
本発明の第2実施形態は、本発明に係る一方向弁と、流路を介しその入口につながる可変容積貯蔵室と、を備える装置である。本装置には、弁・可変容積貯蔵室間流路を形成する可撓管を設けるのが望ましい。可変容積貯蔵室は例えば可撓パウチによって形成される。
【0020】
本発明の第3実施形態は、可変容積貯蔵室内に貯蔵されている滅菌済食品を気密封止しつつその食品を希釈乃至攪拌室内に吐出させるため、可変容積貯蔵室との間の流体密封止状態を実質的に保ちながら希釈乃至攪拌室に至る流路を形成することが可能な弁である。本弁は、堅固性が高い弁封止面を形成する第1手段と、第1手段の一端に位置する入口、第1手段の他端に位置する出口並びに入口・出口間に亘り軸方向に延びる封止壁を有する常閉型の弁内流路が軸方向に沿い形成されるよう、第1手段に重畳されていて可撓性が高い第2手段と、第1及び第2手段をくるむよう第2手段に対し径方向に間隔を置きつつ第2手段に面し軸方向に延びており、本弁及び希釈乃至攪拌室の清掃に当たり流路となりうる空間を第2手段との間に発生させる第3手段と、希釈乃至攪拌室に当接させるとその室との間が実質的に流体密封止されひいては出口及びその希釈乃至攪拌室が周囲雰囲気に対し流体密封止される第4手段と、を備える。本弁では、入口にある滅菌済食品から作用する圧力が開弁圧より高いときに第2手段が第1手段に対し径方向に退き、その滅菌済食品が弁内流路及びその出口を介し希釈乃至攪拌室に流入する。第1手段は例えば弁座、第2手段は例えば弁材、第3手段は例えば躯体、第4手段は例えば封止部である。
【0021】
本発明の第4実施形態は、
i)周囲雰囲気に対し気密封止された状態で液体を貯蔵する可変容積貯蔵室に至る流路を形成することができるようその室に一方向弁を連結するステップと、
ii)一方向弁・希釈乃至攪拌室間を実質的に流体密封止しつつその室に至る流路を形成することができるようその室に一方向弁を連結するステップと、
iii)可変容積貯蔵室から来る液体の一部を一方向弁の開弁圧を超える圧力まで加圧するステップと、
iv)一方向弁に備わる常閉型の弁内流路の入口へとその加圧液体を導くステップと、
v)可撓性が高い弁材を加圧液体の作用で径方向に動かし一方向弁に備わる堅固性が高い弁座から離すことで一方向弁内にあり常閉型で軸方向に延びる弁内流路を開通させるステップと、
vi)加圧液体を常閉型で軸方向に延びる弁内流路にその入口を介し流入させ更にその出口を介し希釈乃至攪拌室内に流入させるステップと、
vii)加圧流体が常閉型の弁内流路を通過した後に弾性に富む弁材を径方向に動かし弁座に当接させることでその常閉型の弁内流路を閉止させるステップと、
viii)上掲の諸ステップを通じ可変容積貯蔵室内の液体を周囲雰囲気に対し気密封止し無菌状態に保つステップと、
を有する方法である。
【0022】
本方法で扱う液体は例えば生鮮食品である。その例は乳製品やチョコレート製品である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、パウチその他の貯蔵室から液体を吐出させる吐出装置で使用でき、貯蔵室内に残された品に汚染を引き起こすこともない一方向弁を提供することができる。こうした一方向弁を使用することで、レディトゥユース(RTU)品の吐出元となるパウチその他の可変容積貯蔵室として割合に安価なものを用いつつ、その品の開封後非冷蔵保存期間を延長することが可能となる。
【0024】
また、本発明の現下で好適な実施形態によれば、無菌パウチその他の可変容積貯蔵室と一体で、その貯蔵室内の品を汚染させることなく吐出装置内に容易に組み込める一方向弁を、提供することができる。しかも、吐出装置がサービス外となる時間を最小限に抑えつつ稼働中に(場合によっては工具なしで)交換を行うことや、一方向弁を速やかに点検して改変・いたずらを発見することが可能である。
【0025】
更に、本発明の現下で好適な実施形態によれば、残っている品の汚染を一方向弁で防ぎつつ、外部から清掃や滅菌を行うことができる。例えば、定置清掃動作に組み込まれている洗浄段階にて一方向弁を高温の流体例えば熱水に曝すことで、デブリ等の付着物体がその弁内に侵入することを防ぐことができる。しかも、定置清掃動作に組み込まれている減圧段階にて作用する負圧に抗し、その一方向弁で気密封止状態を保つことができる。
【0026】
そして、本発明の現下で好適な実施形態によれば、気密封止された1個又は複数個の可撓パウチ又はそれに類する可変容積貯蔵室からレディトゥドリンク(RTD)飲料やその材料、例えばコーヒー飲料のミルクベース材料又はコーヒー乃至乳飲料のチョコレートベース材料を吐出させることができる。しかも、生鮮食品の未給仕部分を気密封止状態で貯蔵し細菌による汚染を防ぐことができるため、開封後の気密封止状態での貯蔵を冷蔵なしで行うことができる。
【0027】
本発明やその現下で好適な実施形態の他の目的及び効果については、そうした実施形態に関する後述の詳細な説明並びに別紙図面を参照することで、より容易に理解することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】可撓パウチ、可撓管及び一方向弁からなるアセンブリ複数個に加えポンプ、一次希釈乃至攪拌室及び流路を複数個備え、一方向弁を通った流体を選択的に混合させうる吐出装置を、幾分模式化して示す図である。
【
図2】
図1に示した吐出装置に備わり可撓パウチ、可撓管及び一方向弁からなるアセンブリのうち1個の斜視図である。
【
図3】
図1に示した吐出装置に備わる一次希釈乃至攪拌室のうち1個及びそれに着脱可能な一方向弁の斜視図である。
【
図4】
図3に示した一次希釈乃至攪拌室及び一方向弁の断面図である。
【
図5】
図3及び
図4に示した一方向弁を可撓管及びそれにつながる可撓パウチ抜きで示す斜視図である。
【
図7】
図1に示した吐出装置に備わる一次希釈乃至攪拌室に着脱可能な一方向弁の別例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、本発明の一実施形態に係る吐出装置10の全体像を示す。図中の破線内が本装置10の構成部分であり、RTD飲料を調製し給仕先容器A内に吐出することができるよう以下の通り諸部材が設けられている。まず、本装置10内には、ミルク濃縮物、チョコレート濃縮物等の個別材料を必要に応じ熱水その他の液体で希釈・攪拌する一次部分12が2個、互いに並列な関係で設けられているほか、それら一次部分12から供給される材料に基づき飲料を最終的に調製して容器A内に給仕する二次部分18が設けられている。個々の一次部分12にはリザーバアセンブリ16が備わっており、そのアセンブリ16内には無菌貯蔵物質が収まっている。この無菌貯蔵物質の種類はアセンブリ16毎に違えることが可能である。本件技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)にとっては本願による教示から自明な通り、本装置10における一次部分12の個数は1個でも複数個でもかまわないし、本装置10における二次部分18の個数を複数個にして各二次部分18に1個又は複数個の一次部分12をつなぎその間に流路を発生させる構成にしてもよい。
【0030】
それらリザーバアセンブリ16内の無菌貯蔵物質は、周囲雰囲気に対し気密封止状態に保たれた状態で、自アセンブリ16からの供給開始時点を迎える。アセンブリ16から供給される品は例えば既知の又は今後そうなる諸種諸形態の食品乃至飲料であり、その例としては牛乳、無糖練乳、加糖練乳、クリーム、加乳クリーム、粉ミルク、ヨーグルト等の乳製品や、乳質スープ、非乳質スープ等の液状栄養食品や、乳質アイスクリーム、非乳質アイスクリーム、その例たる大豆使用アイスクリーム等のアイスクリームや、ジュース、シロップ、チョコレート、チョコレート濃縮物、コーヒー等や、ケチャップ、マスタード、マヨネーズ等の調味料や、コーヒーアロマ等の気体を挙げることができる。ここでは、一方のアセンブリ16内にミルク濃縮物、他方のアセンブリ16内にチョコレート濃縮物が気密封止状態で貯蔵されていて、対応する一次部分12内での熱水による材料希釈・攪拌、並びに二次部分18内での混合・調製を経て利用者向けのRTD飲料が給仕先容器A内に注入、給仕される例を考えている。
【0031】
これら一次部分12及び二次部分18には、本装置10及びその構成部分12,18内の電気的構成要素例えばポンプ等の電動部材をいわゆる当業者にとり既知の形態にて制御できるよう、情報処理機能を有するコントローラ20が電気的に接続されている。このコントローラ20は、例えば、幾種類かの材料を供給する動作や、それに続き本装置10内で操作を施し給仕先容器A内にRTD飲料として給仕する動作を、利用者とのやりとりを踏まえて実行させる。利用者は、好みに応じいずれかのRTD飲料を選択することで、後述する部材が然るべき順序及び形態で動作し容器A内にRTD飲料が給仕されることとなるよう、コントローラ20を動作させることができる。コントローラ20は、また、デブリ、汚染物、残留物等が概ね除去され、安全且つ無菌で問題のないRTD飲料が容器A内に給仕されることとなるよう、後述する諸部材の定置清掃に必要な機能を発動させる。
【0032】
図示の通り、各リザーバアセンブリ16は更に可変容積貯蔵室22、可撓管24及び一方向弁26を備えており、後に外せるようその弁26を介し本装置10に装着されている。個々の貯蔵室22は、いわゆる当業者にとり既知で自アセンブリ16の支持、固定及び簡便な着脱が可能な仕組みを使用し、後に外せるよう本装置10に装着されている。この例では、その貯蔵室22として、
図2中に破線で示す通り箱例えば段ボール箱に可撓パウチを入れたものが使用されている。個々の弁26は、後述する手段を用い対応する一次希釈乃至攪拌室28例えば鉢に連結することで、後に外せるように本装置10に装着されているので、室28の内部空間をこの弁26で周囲環境に対し気密封止することができ、また装置取扱者による着脱を容易化することができる。そして、各アセンブリ16の管25は、対応するポンプ30に備わるローラ群によって部位選択的に扱かれ、対応するアセンブリ16内にある材料のうち所要量が対応する弁26に送られることとなるよう、蠕動ポンプ30への装着を通じ且つ後に外せるよう本装置10に装着されている。弁26及び貯蔵室22のそれと同じく管24の装着形態も工夫されているので、取扱者は、迅速且つ安全に、また所望なら道具を用いることもなしに、その着脱を行うことができる。
【0033】
個々の一次部分12には、更に、品の一部を攪拌して二次部分18に送る部材が備わっている。即ち、各一次部分12には
図1にその断面を示す通り希釈乃至攪拌室28が備わっているほか、後に外せるよう一方向弁26に連結可能な弁連結器58が備わっており、その連結を通じ、後に外せるように弁26を室28に連結すること及び弁26・室28間を有効に流体密封止乃至気密封止することができる。個々の室28には、更に、図示しない真空源、水源、その組合せ等の定置清掃用洗浄手段を連結可能な第1ポート32及び第2ポート34が備わっている。いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、需要乃至必要に応じ、個々の室28に設けるポートをポート32,34のうち一方にすることや、個々の室28に設けるポートの個数を3個以上にすることも可能である。そして、個々の室28は対応する連結管36に連結されており、その連結を通じ自室28・二次部分18間に随時流体が通う構成となっている。
【0034】
本装置10の二次部分18は、一次希釈乃至攪拌室28のうち一方又は双方から材料供給を受け、吐出口46経由で給仕先容器Aその他の容器乃至装置への給仕を行う。この部分18は、例えば、一方又は双方の室28から供給される材料をそのまま容器A内に給仕する構成にすることも、1個又は複数個の室28や図示しない1個又は複数個の二次希釈乃至攪拌室から材料供給を受け、攪拌乃至混合して1個又は複数個の容器A内に給仕する構成にすることも可能である。いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、本装置10では、その二次部分18を、1個又は複数個の一次部分から供給される材料を攪拌乃至混合して給仕先容器その他の容器乃至装置内に供給する装置乃至形態、1個又は複数個の一次部分から供給される材料をそのまま給仕先容器その他の容器乃至装置内に供給する装置乃至形態等を含め、既知の又は今後そうなる種々の装置乃至形態で実現することができる。
【0035】
いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、リザーバアセンブリ16に関しては、その構成部材の寸法・形状、形成素材及び形態を、貯蔵対象物質の種類その他の条件に応じ設定・設計するのが望ましい。例えば、可変容積貯蔵室22の寸法は、その装置10での諸種RTD飲料生成に必要となる無菌貯蔵物質の比率に応じ室22毎に設定するのが望ましい。また、蠕動ポンプ30の寸法、そのポンプ30につながる可撓管24の剛性、そのポンプ30と連携する一方向弁26の形成素材等は、対応するアセンブリ16内に気密封止されている無菌貯蔵物質の粘性に応じポンプ30毎に設定するのが望ましい。更に、様々な材料に対処可能な装置10を、上掲の例にとらわれず、アセンブリ16同士がほぼ同一構成の形態で実現することも可能である。そして、室22、ポンプ30その他の部材は、本願中で例示する形態に限らず、既知の又は今後そうなる他の諸形態でも遜色なく実現可能である。
【0036】
また、
図1に示した装置10では、各一次希釈乃至攪拌室28の設定を変更することで動作モードを変化させることができる。まず、図中の室28にはめいめいに第1ポート32及び第2ポート34(省略可)が備わっているので、それを介し室28内に導入される熱水等の希釈材で一方向弁26経由の材料を希釈し、二次部分18での更なる混合・攪拌を経てそこから給仕するモードで、好適に動作させることができる。また、その希釈物を給仕先容器Aその他の容器乃至装置内に直に給仕するモードでも動作させることができる。更に、コーヒー、茶濃縮物等といった材料を第1ポート32経由で対応する室28内に導入し、第2ポート34経由でそこに導入される水等の物質とその室28内で混合させて二次部分18に送り、そこから吐出口46を介しRTD飲料として給仕するモード、即ち対応する弁26を介した無菌貯蔵物質の導入が実行されない点で他と異なるモードでも、好適に動作させることができる。
【0037】
これらのモードでの動作が可能であることは、いわゆる当業者にとり自明な通り、RTD飲料の調製に関する本装置の柔軟性を表している。即ち、本装置では、2個あるリザーバアセンブリ16(上述の通り3個以上でも可)のうち1個又は複数個から材料を導入して飲料を調製することも、アセンブリ16内の材料を使用せずに飲料を調製することも可能である。更に、酸性等の特性があるため未給仕部分の貯蔵に当たりリザーバ内気密封止が必要とされない材料からも飲料を調製することができる。そして、気密且つ無菌での貯蔵を必要とする材料及び必要としない材料から、本発明に従いRTD飲料を調製することもできる。
【0038】
更に、一次部分12が複数個あるので、1個の構成に比べ多様なモードで動作させることができる。例えば、二次部分18が別の一次希釈乃至攪拌室28から材料を受け容れ、それを攪拌して吐出口46から給仕するモードで、本装置10を動作させることができる。また、二次部分18が2個の室28から材料を受け容れ、それを混合して吐出口46から給仕するモードでも、動作させることができる。更に、上述の諸動作モードのうちいずれかで受け容れた材料乃至混合物を、二次部分18内に既に存在している材料乃至混合物と混合させ、その吐出口46からRTD飲料として給仕するモードで、動作させることもできる。所望なら、それぞれ1個又は複数個の一次部分12に直接的又は間接的に通じるよう、二次部分18に吐出口46を複数個設けることもできる。これらの動作モードは、リザーバアセンブリ16が複数個あるとき本装置10で実行可能な動作モードの一種であり、その実行によってそれらアセンブリ16内に貯蔵されている材料のうち一種類又は封数種類からRTD飲料を調製することができる。いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、上掲の諸動作モードは、既知の又は今後そうなる多様なRTD飲料生成手法に従い様々な形態で活用することができる。
【0039】
図2に、本装置10に着脱可能なリザーバアセンブリ16の単体構成を示す。このアセンブリ16には、本装置10への自アセンブリ16の装着後に材料の未給仕部分を無菌状態で保持する可変容積貯蔵室22のほか、その管24によって一方向弁26・室28間流路が形成されるよう可撓管24が設けられている。管24は、リザーバフィッティング54を介し室22に気密固定されている。また、管24は、弁フィッティング56によって弁26にも気密固定されている。管24を弁26及び室22に気密固定する手法としては、プラスチックパウチ、積層パウチ等のリザーバ形成物や室22に管24をヒートシール、溶接、接着等の手段で恒久連結する手法をはじめ、既知の又は今後そうなる諸手法を使用することができる。同様に、管24を弁26に固定する手法も既知の又は今後そうなる諸手法でよい。ここでは、図示の通り、いわゆる当業者にとり既知のタイプの可撓パウチが室22として使用され、その室22内に個別生鮮食品等の材料がいわゆる当業者にとり既知の形態に従い無菌充填されている例を考えている。
【0040】
更に、図中の一方向弁26は輸送時及び取扱時に自弁26をくるむ保護カバー27を備えており、そのカバー27に脆弱なリング状連結器29で脆弱に結びつけられている。後に外せるよう弁26を対応する一次希釈乃至攪拌室28に装着する際、取扱者は、連結器29を把持、破壊しカバー27を外すことができる。このカバー27の長所うち一つは、輸送時及び取扱時に弁26を保護し、本装置への装着前に誰かが弁26をいじることを防ぐことができる点にある。
【0041】
図中の破線は可撓パウチ(22)をくるむ支持構造61であり、取扱、輸送及び本装置10に対する着脱を好適に行えるよう、いわゆる当業者にとり既知の入れ物例えば段ボール箱として構成されている。図示例の構造61では可撓パウチが略直方体となるので、輸送、保管、装着及び使用に当たり、可撓パウチを好適に保護することができる。更に、この構造61であれば、個々のリザーバアセンブリ16を本装置10内に迅速、安価且つ安全に装着することができる。また、いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、本装置10に対する需要に合致するようこの堅固な構造61を工夫することで、各可変容積貯蔵室22の形状を最適化することができる。例えば、その下部断面が可撓管24の断面とほぼ一致することとなるよう逆テーパを付けることで、室22内の材料が流出しやすい形状にすることができる。更に、第1の室22内にあるミルク濃縮物を多め、第2の室22内にあるチョコレート濃縮物を少なめに使用し(この逆の場合もあり得る)、RTD飲料としてホットチョコレートを給仕する場合等に、使用条件が室22毎にまちまちになることを踏まえ、各室22の形状に容積的な差を付けることもできる。
【0042】
図3に、一方向弁を対応する一次希釈乃至攪拌室28に対し着脱すること、ひいては弁・室28間の流体密封止を確立乃至保持することが可能な弁連結器58の詳細例を示す。いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、この連結器58は既知の又は今後そうなる種々の形態で実現することができる。例えば、弁・室28間をスナップフィットで固定する形態でもよいし、ねじによって連結する形態でもよい。或いは、つまみねじ、ベイル等、既知の又は今後そうなる締結器で弁を室28に着脱する形態でもよい。後述する通り、個々の弁に封止部が設けられているので、こうした手段で弁・室28間を流体密乃至気密封止することができる。望みなら、後に外せるよう弁を室28に連結して弁・室28間を流体密乃至気密封止する際、その連結器で封止部を加圧するようにしてもよい。
【0043】
この例における弁連結器58はリング状であり、一方向弁26の流入管59を囲むように設けられている。この図には現れていないが、その流入管59に可撓管24の出口が連結されているので、可変容積貯蔵室22内の材料を可撓管24経由で弁26内に導くことができる。連結器58はその可撓管24を囲んでおり、可撓管24に沿って軸方向に移動させることや管24,59の軸を中心に回動させることができる。更に、図示例の連結器58は、その内半径Rが可撓管24の内半径より大きく弁26の外径より小さい連結器58であり、可撓管24上で弁26・対パウチ連結器(
図2中の54)間に位置することとなるようリザーバアセンブリ内に恒久的に組み込まれている。
【0044】
また、この例における弁連結器58には、一方向弁26の軸に対し互いに異なる角度位置を占めるよう装着耳60が複数個設けられている。更に、この連結器58には、
図3及び
図4に示す通り、自連結器58の周縁に沿い互いに異なる角度位置を占めるよう下垂連結タブ62が複数個設けられているので、一次希釈乃至攪拌室28から横方向に延びる上部壁66を貫く斜行スロット64のうち対応するものにそのタブ62を着脱することで、後に外せるよう弁26をその室28に連結することができる。
図4に示す通り、このタブ62からは横方向に脚68が延びているので、その脚68を壁66の下面に当接させ、摩擦によって連結器58の位置を非固定的に保持させることができる。
【0045】
これに対し、一方向弁26には、
図4〜
図6に示す通り環状の躯体70及び弾性を呈する封止部が備わっており、その封止部としては躯体70の先端に位置する第1乃至先端側封止部72並びに躯体70の先端外周面に位置する第2乃至横側封止部74等が設けられている。
図4に示す通り、一次希釈乃至攪拌室28内にはこの弁26を受け容れ可能な室内空間を形成する弁ポート76があり、その基部には、弁26及び室28の軸に略直交するよう第1封止面78、またポート76の側壁のうち第1封止面78に連なるよう第2封止面80が形成されている。ご理解頂ける通り、弁26をこの室28のポート76に挿入すると第1封止部72が第1封止面78、第2封止部74が第2封止面80に当接して封止状態が生じるため、弁26・室28間が実質的に流体密封止されると共に周囲雰囲気に対し室28が気密封止されることとなる。
【0046】
後に外せるようにこの一方向弁26を一次希釈乃至攪拌室28に連結する際には、まず取扱者による操作で
図2中の脆弱な保護カバー27を外し、第1封止部72が第1封止面78、第2封止部74が第2封止面80に当接するまで躯体70を弁ポート76に挿入する。次いで、取扱者による操作で、リング状の弁連結器58に備わる下垂連結タブ62を室28側の対応する斜行スロット64に差し込み、互いに対角に位置する2個の装着耳60を手動で当接させた後、横方向に延びる脚68が室28の上部壁66にその下側から当接して擦れあうよう連結器58を回動させる。連結器58を回動させるには、取扱者による操作で、その連結器58及び弁26を同時押下して封止部72,74を加圧すればよい。封止部72,74に対する加圧は、弁26・室28間流体密封止の保持に役立つと共に、当接によって壁66の下面と脚68の間に生じる摩擦力の確保、ひいては連結器58・弁26間位置関係の可変的保持に役立つ。上述の通り、弁26を室28に着脱可能とするための連結器としては、既知の又は今後そうなる諸種連結器を遜色なく使用することができる。望みなら、その連結器の動作で封止部を加圧し、弁26・室28間の実質的な流体密封止を更に強め又は保持することも可能である。また、
図5に示す通り、躯体70の外周部には、軸方向に延びる位置決めリブ81が複数個、互いに異なる角度位置に設けられている。このリブ81は、弁26の軸を室28の軸に揃えると共に、室28の軸を中心に回動させうるよう弁26を連結するのに役立っている。
【0047】
また、一方向弁26には、
図4に示す通り、自弁56を環状に取り巻く躯体70、
図2中の可撓管24に連結される一方で軸方向に延びる流路を形成する流入管59、軸方向に延びていて堅固性が高い弁座82、並びに流入管59内の軸方向流路に通じるよう弁座82に面し躯体70内を軸方向に延びていて弁座82の軸からの径方向距離が互いにほぼ等しい複数個の流入開口84が備わっている。例えば、弁26に備わる開口84の個数は3個、弁座82の軸からの径方向距離は互いに等距離、その軸を中心にした角度間隔は120°である。但し、いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、弁26は、既知の又は今後そうなる様々な装置構成乃至開口配置で実現することができる。
【0048】
一方向弁26には、更に、シリコーン等の弾性素材で形成された環状の弁材(カバー)86が備わっている。その弁材86には、更に、躯体70上に座し軸方向に動かないよう堅く固定されているカバー基部88や、
図6中に重複線で示す通り被覆先の弁座82に締まり嵌めされる弁部90が備わっている。
図6中に重複線で示す通り弁部90・弁座82間が締まり嵌めされるのは、弁部90の内径D1が弁座82の外径D2より小さいからである。これら、外側にあり可撓性が高い弁部90と、内側にあり堅固性が高い弁座82との間には、常閉型で軸方向に延びる弁内流路96が、弁座82の一端に位置する入口92、弁座82の他端に位置する出口84、並びに入口92・出口94間に亘り軸方向に延びそこを流体密封止する封止壁を伴い形成される。流入開口84及び入口92にある物質から作用する圧力が開弁圧より高いと、弁部90が弁座82に対し径方向に退き、その物質が流路96及び出口94を介し対応する一次希釈乃至攪拌室28内に流入する。
【0049】
いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、弁材及び弁座82は、既知の又は今後そうなる諸形態を採りうる。例えば、弁部90・弁座82間の締まり具合が弁内流路96の入口92から出口94にかけて弱まる形態にしてもよい。特に、弁部90・弁座82間の締まり具合が流路96の入口92から出口94にかけて漸進的に弱まる形態である。また、弁部90が図示例と違い環状でない形態、例えば弁部90及び弁座82が弧状例えば半環状の形態にしてもよい。特に、弁部90及び弁座82で形成される弧の中心を基準に回動させたときに、当該中心から弁部90・弁座82間接触域の横方向端部へと外向きに、弁部90・弁座82間の締まり具合が水平面内での回動角度に従い漸進的に強まる形態である。
【0050】
図示例における弁材86は、定置清掃プロセス中に弁材86・弁座間気密封止が保たれるような値の開弁圧がもたらされるよう、相応の素材例えばシリコーンを用い相応の形態で形成されている。開弁圧の値は約5psi以上、できれば約6と1/2psi以上、更には約8と1/2psi以上とするのが望ましい。弁材86の厚みは、弁基部付近乃至入口92での値(第1厚T1)よりも出口94での値(第2厚T2)の方が小さくなるよう設定されている。その第1厚T1は第2厚T2の約1と1/4倍以上、できれば約1と1/2倍以上、更には約1と3/4倍にするのが望ましい。このように、弁基部付近に厚みを付けることで、対応する一次希釈乃至攪拌室28内が定置清掃プロセスの最中等に減圧に曝されても、その開弁を防ぐことができる。
【0051】
一方向弁26には、更に、弁内流路96の出口94を越え軸方向に延びる偏向器98が備わっている。偏向器98の先端は、(1)躯体70の先端と略同長に亘り、又は(2)躯体70の先端を越え、軸方向に延ばすのが望ましい。図示例では、偏向器98が、躯体70の先端にある第1封止部72を超えるよう弁座82から軸方向に延びている。また、図示例では、
図6に示す通り偏向器98の形状が略錘状であり、その錘の側壁には内側に向かう半径Rの窪みが形成されている。偏向器98は、弁部90を保護し弁26の出口94への接触を概ね妨げる。その錘面に幾通りかの半径Rで窪みを設けることで、偏向器98にぶつかってくる流体例えば清掃用流体を、出口94に直に当たらないよう偏向させ、弁材・躯体70間に形成される後述の環状空間内に差し向けることができる。
【0052】
また、図示例では一方向弁26が複数個の部分で構成されている。この例ではその個数が2個であり、躯体70及びそれに付随する弁材86が第1部分、弁コア110が第2部分として設けられている。コア110には流入管59、弁座82及び偏向器98が備わるほか複数個の流入開口84が設けられており、図示例では流入管59、弁座82及び偏向器98が一体に形成されている。図示の通り、躯体70・コア110間はスナップフィットされている。コア110は環状の弁材86で形成される環状空間112内に挿入されており、そのフランジ114は躯体70のリアフランジ116上に座している。コア110を躯体70内に着座させたときに弁座82が弁部90に当接し弁内流路96及びその封止壁が形成されるよう、弁コアフランジ114は弁座82、リアフランジ116は弁部90を基準にその位置が設定されている。
【0053】
躯体70内で弁コアフランジ114の位置を保持する手段としては、図示の通り、躯体70の後端上に当接部118が設けられている。その当接部118には、弁コア110が躯体70内に座しているときフランジ114の背面122上に来るよう、内向きに延びるスナップタブ120が複数個設けられている。既知のスナップフィット手段と同じく、また図面から読み取れるように、フランジ114の背面122上にあるとき、タブ120の前面124はその面122に対しほぼ平行であり、タブ120の背面126はフランジ114に対し傾斜している。また、当接部118が弾性に富んでいるので、スナップフィットするよう躯体70内にコア110を挿入し、フランジ114を面126に当接させる際に、そのタブ120越しにフランジ114が躯体70内に着座するようタブ120を外方に向け大きく撓ませることができる。更に、フランジ114がタブ120を乗り越えた後にそのタブ120が内方に戻るため、面124を面122に重ね、躯体70からのコア110の離脱を概ね防ぐことができる。
【0054】
更に、図示例では、弁コアフランジ114が躯体70内に着座したときそのフランジ114に当接し、そのフランジ114との間が封止されるよう、弁材86に環状の背部封止面128が設けられている。この面128は、従って、躯体70・弁コア110間の液密封止に役立つ。
【0055】
躯体70は、
図6に示す通り軸方向に延びる一方で弁部90に対し径方向に離隔しており、軸方向及び径方向に延びる空間100が両者間に形成されているので、一方向弁26及び一次希釈乃至攪拌室28を清掃する際、その空間100を流路として使用することができる。偏向器98は、弁26の清掃に役立つよう、自分に向かってくる水その他の流体をこの環状の空間100内に差し向ける。同じく
図6に示す通り、弁26の出口94を保護すべく躯体70の先端に比し弁部90の先端を後退させてあるので、躯体70で自弁26を概ね囲み保護することができる。やはり
図6に示す通り、弁材には流入開口84の付近に位置する基部102、例えばそこから上流へと延びる基部102が形成されている。図示の通り、この基部102は弁座82から環状の躯体70に亘り径方向に延びており、そこには弁座82から躯体70にかけ略径方向に延びる湾曲面104が形成されている。この湾曲面104は、弁座82寄りを占める第1湾曲面部分及び躯体70寄りを占める第2湾曲面部分を有している。図示の通り、第1湾曲面部分の曲率半径即ち第1半径R1は、第2湾曲面部分の曲率半径即ち第2半径R2よりも大きくなっている。弁材の基部102における輪郭をこのように湾曲させることで、清掃用流体等の流体を空間100内に流し、その空間100における残留物やデブリの蝟集を概ね防ぐことができる。同じく
図6に示す通り、封止部72,74は、弁材と共にコモールドすることで弁部90と一体に形成されている。図示例の場合は、弁部90及び封止部72,74が躯体70にオーバモールドされている。
【0056】
本装置10では、例えば、可変容積貯蔵室22内に貯蔵されている流体のうち所定量が、利用者からの指示に応じ一方向弁26経由で第1の一次希釈乃至攪拌室28に供給される。室28内に供給された流体は、第1ポート32経由で供給される別の流体と混合される。混合後の流体は、その室28から連結管36を介し二次部分18へと運ばれる。それと同時に又はその流体に見合う手順に従い、コントローラ20は、別の可変容積貯蔵室22から別の一次希釈乃至攪拌室28へと概ね所定量の流体を供給する。その室28内の流体は連結管36を介し二次部分18へと運ばれる。二次部分18ではそれらの流体が混合され、その吐出口46を介しRTD飲料として給仕される。
【0057】
いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、本装置10は、RTD品の貯蔵及び吐出、特に開封後保存が一般に難しいとされる品のそれにとりわけ適している。従って、とりわけ好適なことに、その種の品を常温で給仕、貯蔵することができるだけでなく、パウチを開封して材料の供給を始めた後も冷蔵抜きでその保存期間を確保することができる。更に、本発明によれば、利用者からの期待に応じ複数種類の材料を混ぜ合わせること及び材料を希釈することができる。そして、本発明によれば、微生物の繁殖やデブリの集積が概ね防止されるよう、一方向弁の材料接触面を定置清掃することができる。
【0058】
図7に、本発明の他の実施形態に係る一方向弁の全体像を参照符号126で示す。この弁126は上述した一方向弁26ににた構成であるので、類似した要素に使用されている参照符号に「1」を冠したものを参照符号として使用することにする。この弁126で際立っているのは、弁部190・躯体170間環状領域にフィラ200が配されていること、またそのフィラ200が弁部190より硬度が低い弾性素材で形成されていることである。フィラ200には内端202及び先端204があり、その形成素材によって弁126の可接触面が形成されている。図示の通り、その先端204におけるフィラ200の輪郭は、容易に清掃可能な反転凹面Sが生じるよう工夫されている。この凹面Sは緩やかな湾曲を呈しているので、対応する一次希釈乃至攪拌室128内に清掃用の流体を相応の分量及び力で導入することで好適に清掃でき、ひいてはデブリ、汚染物及び微生物を除去して清潔な面を提供することができる。
【0059】
いわゆる当業者にとっては本願による教示から自明な通り、上述したものを含め本発明の諸実施形態には、別紙特許請求の範囲で定義される技術的範囲内で、様々な変更、変形及び改良を施すことができる。例えば一方向弁は、様々な素材、様々な形態で実現することができる。例えば弁材は、弁座を環状に取り巻く形態でも、対応する形状の弁座に対し締まり嵌めされる弧状且つ非環状の形態でも実現することができる。一方向弁には所望個数の入口、所望長の弁内流路封止壁、所望個数(0個でもよい)の偏向器を設けることができる。同様に、一方向弁は、希釈乃至攪拌室乃至鉢等の流体受容室に対し、既知の又は今後そうなる諸手法で連結・封止することができる。例えば、一方向弁毎に連結器例えばリング状連結器を設ける必要はないので、後に外せるよう弁を希釈乃至攪拌室その他の機構乃至装置に連結することが可能な連結器乃至締結器が形成される様々な形態で、弁を構成することが可能である。例えば、摩擦を利用する形態で、後に外せるよう弁を希釈乃至攪拌室に連結する形態である。或いは、弁を希釈乃至攪拌室に対し回動させること等で弁が希釈乃至攪拌室に連結されるよう、弁及び希釈乃至攪拌室に相補的なねじ山を設ける形態でもよい。また、一方向弁・流体受容室間封止部は様々な形態で実現可能であり、一方向弁・流体受容室間封止部をなくすことも可能である。更に、本発明は諸種材料の貯蔵及び供給、ひいては種々の品の製造、例えば諸種飲料、食品その他の品の製造に使用することができる。同様に、貯蔵室が可変容積貯蔵室である必要はないので、可撓パウチとは異なる種類で既知の又は今後そうなる諸形態にて、貯蔵室を実現することも可能である。そして、ポンプとして蠕動ポンプを使用する必要はないので、電動ポンプ、手動ポンプ、足踏みポンプ等、一方向弁やその弁用の駆動装置と一体か否かを問わず、様々な種類のポンプを使用することが可能である。従って、現下で好適な実施形態に関する上掲の詳細な説明を要旨限定的に理解すべきではない。