特許第5774684号(P5774684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774684船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774684
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム
(51)【国際特許分類】
   B63B 59/10 20060101AFI20150820BHJP
   B63B 39/14 20060101ALI20150820BHJP
   G05D 1/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B63B59/10 A
   B63B39/14
   G05D1/02 H
【請求項の数】27
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-511143(P2013-511143)
(86)(22)【出願日】2011年5月5日
(65)【公表番号】特表2013-527074(P2013-527074A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011000787
(87)【国際公開番号】WO2011146103
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2012年12月4日
(31)【優先権主張番号】12/800,486
(32)【優先日】2010年5月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507032166
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RAYTHEON COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エイチ・ルーニー・サード
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー・エム・スミス
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・シー・ヤコブセン
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−025265(JP,A)
【文献】 特開平10−016884(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0301203(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0191457(US,A1)
【文献】 米国特許第5947051(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 59/10
B63B 39/14
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムであって、
前記ロボットを前記外殻の周囲で駆動しかつ移動させるための、前記ロボットに搭載された駆動サブシステムであって、前記ロボットは、前記船舶の周囲を移動しかつ航行するよう構成されており、かつ、前記船舶が航行中である間に海洋状態条件にさらされる、駆動サブシステムと、
ロボットおよび船舶運動が組み合わされたデータを出力する、前記ロボットに搭載されたセンサーサブシステムと、
前記外殻の形状および前記ロボットに関する所望の移動経路に関するデータを収容する、前記ロボットに搭載されたメモリーと、
前記ロボットに対してポジション定点データを伝達する位置決定サブシステムと、
船舶運動を特定するための手段と、
前記ロボットに搭載され、かつ、前記メモリーデータ、前記センサーサブシステム、前記ポジション定点データならびに前記船舶運動を特定するための前記手段に応答するナビゲーションプロセッサーと、を具備し、
前記ナビゲーションプロセッサーは、
前記ロボットのナビゲーション精度を維持するために、ロボットおよび船舶運動を組み合わせた前記センサーサブシステム出力データから、前記特定された船舶運動をキャンセルすることによって、前記外殻上の前記ロボットのポジションを特定し、かつ、
前記定点データ、前記外殻の形状、前記ロボットに関する所望の移動経路ならびに前記外殻上での前記ロボットの特定されたポジションに基づいて、前記外殻上で前記ロボットを移動させるために前記駆動サブシステムを制御するよう構成されており、
前記ナビゲーションプロセッサーは、さらに、ポジション定点データを受信するために、水線上で前記ロボットを周期的に移動させるように前記駆動サブシステムを制御するよう構成されていることを特徴とする船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項2】
前記ロボットは、さらに、前記ロボットが前記水線の上にあることを検出するための圧力センサーを含むことを特徴とする請求項に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項3】
前記位置決定サブシステムは、少なくとも二つの外殻トランスミッター、および前記少なくとも二つの外殻トランスミッターからの送信を受信する、前記ロボットに搭載されたレシーバーを含み、前記ナビゲーションプロセッサーは、前記レシーバーに応答し、かつ、前記少なくとも二つの外殻トランスミッターによって送信された送信に基づいてロボットポジション定点データを、三角測量によって特定するよう構成されていることを特徴とする請求項に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項4】
船舶運動を特定するための前記手段は、前記船舶の運動を表すデータを出力する前記船舶上の多軸検出サブシステムと、前記データを送信するための前記船舶上のトランスミッターと、前記データを受信するための前記ロボット上のレシーバーと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項5】
船舶運動を特定するための前記手段は、前記ロボットが運動していないときにのみ船舶運動データを出力する前記ロボットに搭載された前記センサーを含み、前記ナビゲーションプロセッサーは、前記船舶運動データを獲得するために前記ロボットの運動を周期的に停止させるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項6】
前記ロボットに搭載された前記センサーサブシステムは、さらに、前記ロボットが移動した距離を特定するためのオドメーターを含むことを特徴とする請求項1に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項7】
前記センサーサブシステムは、複数の軸線を中心とする角回転および複数の軸線に関するポジション角を出力するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項8】
船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムであって、
前記外殻の周囲で前記ロボットを駆動するための、前記ロボットに搭載された駆動サブシステムであって、前記ロボットは、前記船舶の周囲を移動しかつ航行するよう構成されており、かつ、前記船舶が航行中である間に海洋状態条件にさらされる、駆動サブシステムと、
ロボット運動データを出力する、前記ロボットに搭載されたセンサーサブシステムと、
前記外殻の形状および前記ロボットに関する所望の移動経路に関するデータを収容する、前記ロボットに搭載されたメモリーと、
前記ロボットに対してポジション定点データを伝達する位置決定サブシステムと、
前記ロボットに搭載され、かつ、前記メモリーデータ、前記センサーサブシステムおよび前記ポジション定点データに応答するナビゲーションプロセッサーであって、前記ナビゲーションプロセッサーは、前記定点データ、前記外殻の形状、前記ロボットに関する所望の移動経路、および前記外殻上の前記ロボットの特定されたポジションに基づいて、前記外殻上で前記ロボットを移動させるために前記駆動サブシステムを制御するよう構成されており、前記ナビゲーションプロセッサーは、さらに、前記ポジション定点データを受信するために水線の上で前記ロボットを周期的に移動させるために前記駆動サブシステムを制御するよう構成されていることを特徴とする船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項9】
船舶運動を特定するための手段をさらに含み、かつ、前記ナビゲーションプロセッサーは、前記センサーサブシステム出力から、特定された船舶運動をキャンセルすることで、前記外殻上の前記ロボットのポジションを特定するよう構成されていることを特徴とする請求項に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項10】
前記ロボットは、さらに、前記ロボットが前記水線上にあるかどうかを検出するための圧力センサーを含むことを特徴とする請求項に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項11】
前記位置決定サブシステムは、少なくとも二つの外殻トランスミッターと、前記少なくとも二つの外殻トランスミッターからの送信を受信する、前記ロボットに搭載されたレシーバーと、を含み、前記ナビゲーションプロセッサーは、前記レシーバーに応答し、かつ、前記少なくとも二つの外殻トランスミッターによって送信された送信に基づいてロボットポジション定点データを、三角測量によって特定するよう構成されていることを特徴とする請求項に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項12】
船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムであって、
前記外殻の周囲で前記ロボットを駆動するための、前記ロボットに搭載された駆動サブシステムであって、前記ロボットは、前記船舶の周囲を移動しかつ航行するよう構成されており、かつ、前記船舶が航行中である間に海洋状態条件にさらされる、駆動サブシステムと、
ロボットおよび船舶運動を組み合わせたデータを出力する、前記ロボットに搭載されたセンサーサブシステムと、
前記外殻の形状ならびに前記ロボットに関する所望の移動経路に関するデータを収容する、前記ロボットに搭載されたメモリーと、
船舶運動を特定するための手段であって、前記船舶の運動を表すデータを出力する前記船舶上の多軸検出サブシステムと、前記データを送信するための前記船舶上のトランスミッターと、前記データを受信するための前記ロボット上のレシーバーと、を備える、船舶運動を特定するための手段と、
前記ロボットに搭載され、かつ、前記メモリーデータ、前記センサーサブシステムおよび前記船舶運動を特定するための手段に応答するナビゲーションプロセッサーと、を具備し、
前記ナビゲーションプロセッサーは、
前記ロボットのナビゲーション精度を維持するために、ロボットおよび船舶運動を組み合わせた前記センサーサブシステム出力データから、前記特定された船舶運動をキャンセルすることによって、前記外殻上の前記ロボットのポジションを特定し、かつ、
前記外殻の形状および前記ロボットに関する所望の移動経路、ならびに前記外殻上での前記ロボットの特定されたポジションに基づいて、前記外殻上で前記ロボットを移動させるために前記駆動サブシステムを制御するよう構成されており、
船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムは、前記ロボットに対して、ポジション定点データを伝達する位置決定サブシステムを含み、前記ロボットに搭載された前記ナビゲーションプロセッサーは、前記ポジション定点データに応答し、かつ、さらに、前記定点データに基づいて前記外殻上で前記ロボットを移動させるために前記駆動サブシステムを制御するよう構成されており、かつ、
前記ナビゲーションプロセッサーは、さらに、前記ポジション定点データを受信するために、水線上で前記ロボットを周期的に移動させるように前記駆動サブシステムを制御するよう構成されることを特徴とする船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項13】
前記ロボットは、さらに、前記ロボットが前記水線上にあるかどうかを検出するための圧力センサーを含むことを特徴とする請求項12に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項14】
前記位置決定サブシステムは、少なくとも二つの外殻トランスミッターと、前記少なくとも二つの外殻トランスミッターからの送信を受信する、前記ロボットに搭載されたレシーバーと、を含み、前記ナビゲーションプロセッサーは、前記レシーバーに応答し、かつ、前記少なくとも二つの外殻トランスミッターによって送信された送信に基づいて、ロボットポジション定点データを、三角測量によって特定するよう構成されていることを特徴とする請求項12に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項15】
船舶運動を特定するための前記手段は、前記ロボットが運動していないときにのみ船舶運動データを出力する、前記ロボットに搭載された前記センサーを含み、前記ナビゲーションプロセッサーは、前記船舶運動データを獲得するために前記ロボットの運動を周期的に停止させるよう構成されていることを特徴とする請求項12に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項16】
前記ロボットに搭載された前記センサーサブシステムは、さらに、前記ロボットが移動した距離を特定するためのオドメーターを含むことを特徴とする請求項12に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項17】
前記センサーサブシステムは、複数の軸線を中心とする角回転および複数の軸線に関するポジション角を出力するよう構成されることを特徴とする請求項12に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項18】
船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムであって、
前記外殻の周囲で前記ロボットを駆動するための、前記ロボットに搭載された駆動サブシステムであって、前記ロボットは、前記船舶の周囲を移動しかつ航行するよう構成されており、かつ、前記船舶が航行中である間に海洋状態条件にさらされる、駆動サブシステムと、
ロボットおよび船舶運動を組み合わせたデータを出力する、前記ロボットに搭載されたセンサーサブシステムと、
前記ロボットに対してポジション定点データを伝達する位置決定サブシステムと、
船舶運動を特定するための手段と、
前記ロボットに搭載され、かつ、前記センサーサブシステム、前記ポジション定点データおよび前記船舶運動を特定するための手段に応答するナビゲーションプロセッサーと、を具備し、
前記ナビゲーションプロセッサーは、
前記ロボットのナビゲーション精度を維持するために、ロボットおよび船舶運動を組み合わせた前記センサーサブシステム出力データから、前記特定された船舶運動をキャンセルすることによって、前記外殻上の前記ロボットのポジションを特定し、かつ、
前記定点データならびに前記外殻上での前記ロボットの特定されたポジションに基づいて、前記外殻上で前記ロボットを移動させるために前記駆動サブシステムを制御するよう構成されており、
前記ナビゲーションプロセッサーは、さらに、前記ポジション定点データを受信するために、水線上で前記ロボットを周期的に移動させるように前記駆動サブシステムを制御するよう構成されることを特徴とする船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項19】
さらに、前記外殻の形状および前記ロボットに関する所望の移動経路に関するデータを収容する、前記ロボットに搭載されたメモリーを含み、前記ナビゲーションプロセッサーは、前記メモリーデータに応答し、かつ、前記外殻の形状および前記ロボットに関する所望の移動経路に基づいて前記ロボットを移動させるために前記駆動サブシステムを制御するよう構成されていることを特徴とする請求項18に記載の船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステム。
【請求項20】
船舶外殻ロボットナビゲーション方法であって、前記ロボットは、前記船舶の周囲を移動しかつ航行するよう構成されており、かつ、前記船舶が航行中である間に海洋状態条件にさらされ、前記方法は、
ロボット運動および船舶運動を検出するステップと、
前記外殻の形状および前記ロボットに関する所望の移動経路に関するデータを記憶するステップと、
前記ロボットに対してポジション定点データを伝達するステップと、
船舶運動を特定するステップと、
前記ロボットのナビゲーション精度を維持するために、前記検出されたロボットおよび船舶運動から船舶運動をキャンセルすることで前記外殻上でのロボット運動を特定するステップと、
前記定点データ、前記外殻の記憶された形状、前記ロボットに関する記憶された所望の移動経路、および前記特定されたロボット運動に基づいて、前記外殻上で前記ロボットを移動させるステップと、
を備え
前記方法は、前記ポジション定点データを受信するために、水線上で前記ロボットを周期的に移動させることを、さらに含むことを特徴とする船舶外殻ロボットナビゲーション方法。
【請求項21】
前記ロボットが前記水線上にあるかどうかを検出するために圧力を検出することを、さらに含むことを特徴とする請求項20に記載の船舶外殻ロボットナビゲーション方法。
【請求項22】
定点データを伝達することは、少なくとも二つの外殻トランスミッターを設置することと、前記少なくとも二つの外殻トランスミッターによって送信された送信に基づいて、三角測量によってロボットポジション定点データを特定することと、を含むことを特徴とする請求項20に記載の船舶外殻ロボットナビゲーション方法。
【請求項23】
船舶運動を特定することは、前記船舶の運動を表すデータを出力する多軸検出サブシステムを前記船舶に設置し、かつ、前記データを前記ロボットへと送信することを含むことを特徴とする請求項20に記載の船舶外殻ロボットナビゲーション方法。
【請求項24】
船舶運動を特定することは、船舶運動データを獲得するために前記ロボットの移動を周期的に停止させることを含むことを特徴とする請求項20に記載の船舶外殻ロボットナビゲーション方法。
【請求項25】
ロボット運動を検出することは、前記ロボットが移動した距離を特定することを含むことを特徴とする請求項20に記載の船舶外殻ロボットナビゲーション方法。
【請求項26】
船舶外殻ロボットナビゲーション方法であって、前記ロボットは、前記船舶の周囲を移動しかつ航行するよう構成されており、かつ、前記船舶が航行中である間に海洋状態条件にさらされ、前記方法は、
ロボットおよび船舶運動を組み合わせたデータを検出するステップと、
前記ロボットに対してポジション定点データを伝達するステップと、
船舶運動を特定するステップと、
前記ロボットのナビゲーション精度を維持するために、ロボットおよび船舶運動を組み合わせた前記データから船舶運動をキャンセルすることによって前記外殻上でのロボット運動を特定するステップと、
前記定点データおよび前記外殻上での前記ロボットの特定されたポジションに基づいて前記外殻上で前記ロボットを移動させるステップと、
を備え
前記方法は、前記ポジション定点データを受信するために、水線上で前記ロボットを周期的に移動させることを、さらに含むことを特徴とする船舶外殻ロボットナビゲーション方法。
【請求項27】
記憶された外殻形状データおよび前記ロボットに関する所望の移動経路に基づいて、前記ロボットを移動させることを、さらに含むことを特徴とする請求項26に記載の船舶外殻ロボットナビゲーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的には船舶の外殻を掃除しかつ/または検査するよう構成される外殻ロボットに関する。
【0002】
本願は、この引用によって本明細書中に組み込まれる、35U.S.C§§119,120,363,365および37C.F.R.§1.55および§1.78のもと、2010年5月17日に提出された米国特許出願第12/800,486号に基づくものであり、かつ、それに対する優先権を主張する。本願は、2008年11月21日に提出された米国特許出願第12/313,643号に関係する。
【背景技術】
【0003】
船舶外殻の摩擦抵抗は、それが水面を移動するとき、全抵抗の45%ないし90%にもなり、そして、ツボ、海草、フジツボなどによる外殻の汚損に起因して、6%から80%だけ増大する。タンカー外殻の中程度のバイオ汚損による30%の付加抵抗は、1日当たり12トンだけ、船舶の燃料消費を増大させる。この結果、船舶を運行するためのコストが嵩み、しかも排出物が増大する。
【0004】
したがって、生物汚損の可能性を低減しかつ/または船舶の外殻を掃除するために、さまざまな方法が採用されている。たとえば、ある試みでは、外殻ペイントおよびコーティングが生物汚損の可能性を低減するために使用されているが、そうした処置は常に確実に機能するわけではない。たとえば、この引用によって本明細書中に組み込まれる特許文献1を参照されたい。さらに、船舶は、ペイントおよび/またはコーティングが施されている間、かなり長期にわたって、乾ドックに入れる必要がある。汚損防止ペイントおよびコーティングに関しては、環境的な問題もまた存在する。
【0005】
それゆえ、通常は、船舶が波止場付近にある間および/または通常の非荷積み状態の間に、外殻は、定期的に、動力ブラシを用いて、スキューバダイバーによって手作業で清掃される。そうしたクリーニング作業のコストは高い。この種のクリーニング作業は、概ね10ないし20ヶ月毎に、あるいは必要ならば、より早く繰り返される。悪いことには、ある監督署は、水を汚染する汚損防止ペイントの毒性のために、この手法を違法であるとした。
【0006】
これに応じて、ロボット外殻クリーナーが開発された。たとえば、「Hismar」コンソーシアムは、通常の非荷積み状態の間、外殻クリーニングのためのロボットプラットフォームを提案している。このロボットは、船舶が静止しているときに、外殻に対して磁気的に張り付き、そして、オペレーター制御ユニット、高圧水源、吸引サブシステムおよび電力サブシステムに対してつながれる。
【0007】
その他の係留ロボットは特許文献2ないし8に開示されている。特許文献9、非特許文献1および非特許文献2も参照されたい。これらの文献の全ては、この引用によって、本明細書中に組み込まれる。
【0008】
ほとんどの従来型外殻クリーニングロボットは、いくつかの欠点を有する。通常、ロボットはケーブルに接続され、船内電力源によって供給されかつ制御サブシステムによって制御され、そして静止した船舶上でのみ動作できる。
【0009】
従来技術において提案されたような外殻ロボットのナビゲーションは、三次元レーザーマッピングシステム、ジャイロデバイス、ライダーカメラ、音響トランシーバーなどの利用を伴う。この引用によって本明細書中に組み込まれる特許文献10および3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,390,560号明細書
【特許文献2】米国特許第5,628,271号明細書
【特許文献3】米国特許第6,317,387号明細書
【特許文献4】米国特許第4,674,949号明細書
【特許文献5】米国特許第4,401,048号明細書
【特許文献6】米国特許第4,079,694号明細書
【特許文献7】米国特許第3,946,692号明細書
【特許文献8】米国特許第3,638,600号明細書
【特許文献9】国際公開第02/074611号パンフレット
【特許文献10】米国特許第5,947,051号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Lee Min Wai SereneおよびKoh Cheok Wei著、「Design of a Remotely Operated Vehicle (ROV) for Underwater Ship Hull Cleaning」、The Journal of Marine Science and Application、2004年6月、第3巻、第1号
【非特許文献2】Fu-cai他著、「The Design of Underwater Hull-Cleaning Robot」、The Journal of Marine Science and Application、2004年6月、第3巻、第1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
2008年11月21日に提出され、この引用によって本明細書中に組み込まれる、本願出願人による同時係属出願米国特許出願第12/313,643号においては、外殻ロボットは、ロボット駆動およびクリーニングサブシステムに動力を供給する一つ以上のタービンを備える。このタービンは、船舶が航行中であるときに、外殻を通って流れる水によって作動させられる。利用可能な電力は、そうしたシステムにおいては、ある程度制限されるので、複雑な、高出力ナビゲーションシステムは適当ではない。さらに、システムのコストを低く維持するために、高価なナビゲーションシステムは好ましくない。
【0013】
ロボットのポジションは時間の経過に伴って変化するので、たとえば、波、水力およびナビゲーションドリフトは外殻上でのロボットのポジションに影響を与えるので、計画されたルートに従って自動的に外殻の周りで移動するようロボットを予めプログラムすることはまた問題を抱える。非常に高精度の案内およびナビゲーションシステムは高価であり、かつ、かなりの電力を消費する。さらに、船舶が航行している間、それは、さまざまな方向に、ピッチ、ロールおよびヨー運動を行い、ナビゲーション処理を複雑にする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある態様によれば、外殻上でのロボットのポジションのズレが考慮され、そしてナビゲーションシステムに固有の累積誤差は、ポジション較正定点を受信するための外殻上のポジションへと周期的に移動するようロボットをプログラムすることで解決される。それが航行している間の船舶の運動(ピッチ、ロールおよびヨー)を考慮するために、ロボットはまた、そのナビゲーション計算から、船舶の運動を減じるようにプログラムされる。このようにして、外殻上でのロボットのポジションは、ロボットがポジション較正定点ポイントを離れた後に特定可能である。
【0015】
ある例では、低コストで、低電力のナビゲーションサブシステムが実現される。
【0016】
本発明は、船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムおよび方法を特徴とする。ロボットに搭載された駆動サブシステムは外殻の周囲でロボットを駆動するためのものである。ロボットに搭載されたセンサーサブシステムは、ロボットおよび船舶運動が組み合わされたデータを出力する。ロボットに搭載されたメモリーは、外殻の形状およびロボットに関する所望の移動経路に関するデータを収容する。
【0017】
位置決定サブシステムは、ロボットに対してポジション定点データを伝達する。船舶運動を特定するための手段もまた存在する。ロボットに搭載されたナビゲーションプロセッサーは、メモリーデータ、センサーサブシステム、ポジション定点データならびに船舶運動を特定するための手段に応答する。ナビゲーションプロセッサーは、ロボットおよび船舶運動を組み合わせたセンサーサブシステム出力データから、特定された船舶運動をキャンセルすることによって、外殻上のロボットのポジションを特定するよう構成される。このナビゲーションプロセッサーは、定点データ、外殻の形状、ロボットに関する所望の移動経路ならびに外殻上でのロボットの特定されたポジションに基づいて、外殻上でロボットを移動させるために駆動サブシステムを制御する。
【0018】
ある例では、ナビゲーションプロセッサーは、さらに、ポジション定点データを受信するために、水線上でロボットを周期的に移動させるように駆動サブシステムを制御するよう構成される。上記ロボットは、さらに、ロボットが水線の上にあることを検出するための圧力センサーを含んでいてもよい。
【0019】
上記位置決定サブシステムは、通常、少なくとも二つの外殻トランスミッター、およびこの少なくとも二つの外殻トランスミッターからの送信を受信するロボットに搭載されたレシーバーを含む。ナビゲーションプロセッサーは、レシーバーに応答し、かつ、少なくとも二つの外殻トランスミッターによって送信された送信に基づいてロボットポジション定点データを、三角測量によって特定するよう構成される。
【0020】
船舶運動を特定するための上記手段は、船舶の運動を表すデータを出力する船舶上の多軸慣性検出サブシステムと、当該データを送信するための船舶上のトランスミッターと、当該データを受信するためのロボット上のレシーバーとを含んでいてもよい。別のバージョンでは、船舶運動を特定するための上記手段は、ロボットが運動していないときにのみ船舶運動データを出力するロボットに搭載されたセンサーを含む。このバージョンでは、ナビゲーションプロセッサーは、通常、船舶運動データを獲得するためにロボットの運動を周期的に停止させるよう構成される。
【0021】
ロボットに搭載された上記センサーサブシステムは、さらに、ロボットが移動した距離を特定するためのオドメーターを含んでいてもよい。通常、センサーサブシステムは、複数の軸線を中心とする角回転および複数の軸線に関するポジション角を出力するよう構成される。
【0022】
本発明に基づく船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムの一例は、ロボット運動データを出力する、ロボットに搭載されたセンサーサブシステムと、外殻の形状およびロボットに関する所望の経路に関するデータを収容する、ロボットに搭載されたメモリーと、ロボットに対してポジション定点データを伝達する位置決定サブシステムと、ロボットに搭載され、かつ、メモリーデータ、センサーサブシステムおよびポジション定点データに応答するナビゲーションプロセッサーとを含む。このナビゲーションプロセッサーは、定点データ、外殻の形状、ロボットに関する所望の移動経路、および外殻上のロボットの特定されたポジションに基づいて外殻上でロボットを移動させるよう構成される。
【0023】
船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムの一例は、ロボットおよび船舶運動を組み合わせたデータを出力する、ロボットに搭載されたセンサーサブシステムと、外殻の形状ならびにロボットに関する所望の移動経路に関するデータを収容する、ロボットに搭載されたメモリーと、船舶運動を特定するための手段と、ロボットに搭載され、かつ、メモリーデータ、センサーサブシステムおよび船舶運動を特定するための手段に応答するナビゲーションプロセッサーとを含む。上記ナビゲーションプロセッサーは、ロボットおよび船舶運動を組み合わせたセンサーサブシステム出力データから、特定された船舶運動をキャンセルすることによって、外殻上のロボットのポジションを特定し、かつ、外殻の形状よびロボットに関する所望の移動経路、ならびに外殻上でのロボットの特定されたポジションに基づいて、外殻上でロボットを移動させるために駆動サブシステムを制御するよう構成される。
【0024】
ある船舶外殻ロボットナビゲーションサブシステムは、ロボットおよび船舶運動を組み合わせたデータを出力する、ロボットに搭載されたセンサーサブシステムと、ロボットに対してポジション定点データを伝達する位置決定サブシステムと、船舶運動を特定するための手段と、ロボットに搭載され、かつ、センサーサブシステム、ポジション定点データおよび船舶運動を特定するための手段に応答するナビゲーションプロセッサーとを含む。このナビゲーションプロセッサーは、ロボットおよび船舶運動を組み合わせたセンサーサブシステム出力データから、特定された船舶運動をキャンセルすることによって、外殻上のロボットのポジションを特定し、かつ、定点データならびに外殻上でのロボットの特定されたポジションに基づいて、外殻上でロボットを移動させるよう構成される。さらに、外殻の形状およびロボットに関する所望の移動経路に関するデータを収容する、ロボットに搭載されたメモリーを含んでいてもよい。ナビゲーションプロセッサーは、メモリーデータに応答し、かつ、外殻の形状およびロボットに関する所望の移動経路に基づいてロボットを移動させるために駆動サブシステムを制御するよう構成される。
【0025】
船舶外殻ロボットナビゲーション方法は、ある例では、ロボット運動および船舶運動を検出することと、船舶の形状およびロボットに関する所望の移動経路に関するデータを記憶することと、ロボットに対してポジション定点データを伝達することと、船舶運動を特定することと、検出されたロボットおよび船舶運動から船舶運動をキャンセルすることで外殻上でのロボット運動を特定することと、定点データ、外殻の記憶された形状、ロボットに関する所望の移動経路、および外殻上での特定されたロボットのポジションに基づいて、外殻上でロボットを移動させることとを含む。
【0026】
上記方法は、さらに、ポジション定点データを受信するために、水線上でロボットを周期的に移動させるために、駆動サブシステムを制御することを含んでいてもよい。本方法は、さらに、ロボットが水線上にあるかどうかを検出するために圧力を検出することを、さらに含んでいてもよい。
【0027】
定点データを伝達することは、少なくとも二つの外殻トランスミッターを設置することと、この少なくとも二つの外殻トランスミッターによって送信された送信に基づいて、三角測量によってロボットポジション定点データを特定することとを含んでいてもよい。
【0028】
船舶運動を特定することは、船舶の運動を表すデータを出力する多軸慣性検出サブシステムを船舶に設置し、かつ、データをロボットへと送信することを含んでいてもよい。船舶運動を特定することはまた、船舶運動データを獲得するためにロボットの移動を周期的に停止させることを含むことができる。ロボット運動を検出することは、さらに、ロボットが移動した距離を特定することを含んでいてもよい。
【0029】
ある例では、船舶外殻ロボットナビゲーション方法は、ロボット運動および船舶運動を検出することと、ロボットに対してポジション定点データを伝達することと、船舶運動を特定することと、ロボットおよび船舶運動を組み合わせたデータから船舶運動をキャンセルすることによって外殻上でのロボット運動を特定することと、定点データおよび外殻上でのロボットの特定されたデータに基づいて外殻上でロボットを移動させることとを含む。
【0030】
だが、本発明は、別な実施形態においては、これら全ての目的を達成する必要はなく、その権利範囲は、これらの目的を達成できる構造あるいは方法に限定されない。
【0031】
好ましい実施形態に関する以下の説明ならびに図面から、その他の目的、特徴および利点は、当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に基づく外殻ロボットの一例を示す概略底面図である。
図2】外殻ロボットのためのナビゲーションサブシステムと関連付けられた一次コンポーネントを示すブロック図である。
図3】本発明に基づく原点からのスペース内のあるポイントの座標を特定する方法を示す図である。
図4A】船舶の運動が本発明に基づいて、どのように特定されるかを示す図である。
図4B】船舶の運動が本発明に基づいて、どのように特定されるかを示す図である。
図5】船舶の運動を示す概略図である。
図6】ロボットポジション定点が本発明に基づいて、どのように特定されるかを示す図である。
図7】ポジション定点データを受信するために、水線上の船舶外殻上のポジションでロボットを示す図である。
図8】ロボットおよび船舶運動を組み合わせたセンサーサブシステム出力データから、特定された船舶運動をキャンセルすることによって、船舶外殻上でのロボットのポジションを特定することに含まれる主要なステップを示すフローチャートである。
図9】本発明の一例において使用される慣性センサーの出力を示す図である。
図10】本発明に基づくナビゲーションサブシステムと関連付けられた船舶外殻上に配置された一次コンポーネントを示すブロック図である。
図11】ある実施例において、本発明に基づくロボット上に搭載されて配置された一次ナビゲーションサブシステムコンポーネントを示すブロック図である。
図12】本発明の実施例に基づくナビゲーションプロセッサーの動作、そしてそのプログラミングと関連付けられた主要なステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下で説明する好ましい実施形態あるいは実施形態群に加えて、本発明は別な実施形態が可能であり、かつ、さまざまな様式で実施あるいは実現することができる。したがって、本発明は、その適用に関して、以下の説明において言及するか図面に示した構造の細部およびコンポーネントの配置に限定されない。ただ一つの実施形態が本明細書中で説明されている場合、その権利範囲は当該実施形態には限定されない。さらに、その権利範囲は、確かな除外、制限、あるいは放棄を明示する明確かつもっともな証拠が存在しない限り、制限的に解釈すべきではない。
【0034】
図1は、タービンインテークベント14aおよび14bを備えたロボット本体12を含むロボット10の一例を示している。モーター17によって駆動されるクリーニングブラシ16a,16bおよび16cもまた示されている。磁気駆動システム22が、通常は、外殻に対してロボットを密着させ、そして外殻の周囲でロボットを移動させるために用いられる。
【0035】
図示する実施形態では、タービン26aおよび26bは発電機28aおよび28bをそれぞれ駆動する。タービン26aおよび26bは、船舶が航行中であるときに、船舶外殻を通過する水流によって駆動される。発電機28aおよび28bはバッテリーなどの電力源を充電する。一つ以上のモーターが電力源によって給電される。電子コントローラもまた、ナビゲーションプロセッサーおよび各種センサーならびにその他の電子サブシステムと同様に、電力源によって給電される。
【0036】
図1はまた、ターレット24を駆動するモーター30を示している。モーター30は電力源によって給電され、そして、電子サブシステムすなわちコントローラによって制御される。モーター30は、ターレット24上の外周ギアと噛み合うウォームギア32を駆動する。ターレット24は、シャフトなどを介して、外殻に対して回転する。ターレット24のポジションを調整するための、その他のアクチュエータシステムも可能である。このようにして、ロボットが駆動システム22によって旋回するとき、タービン26aおよび26bは、外殻を通過する水流と整列した状態を維持できる。
【0037】
通常、たとえば通信サブシステムなどのその他のサブシステムがロボットのコンポーネントとして組み込まれる。好ましくは、ロボット本体12は、いかなる種類のオンボード電力あるいは制御サブシステムに対しても拘束されるべきではない。タービンサブシステムは駆動サブシステム(および、ある例では、クリーニングサブシステム)を、直接、あるいは、駆動サブシステムおよび/またはクリーニングサブシステムを駆動する一つ以上のモーターに電力を供給する電力サブシステム(たとえばバッテリーパック)を充電する発電機を介して、動作させることができる。このバッテリーパックはまた、ロボットと関連付けられた、その他の電子および/または電気機械サブシステムに給電するために使用できる。発電機が一つ以上のモーターを直接駆動することも可能である。
【0038】
駆動システム22は、この特別な例では、端壁44aおよび44bによって相互連結された離間した側壁42aおよび42bを備えたフレーム40を含む。離間したアクスル48aおよび48bは、この例では、側壁42aおよび42b間に回転可能に配置されており、したがってフレーム40は、アクスル48aを収容する第1のフレーム部分すなわちセクション50aおよびアクスル48bを収容する第2のフレーム部分50bを形成している。アクスル48a,48bは、この特別な例では、アクスル48a上の離間した磁気ホイール52aおよび52bならびにアクスル48b上の離間したホイール52cおよび52dなどのホイールを支持する。ホイールとは、本明細書で開示されているように、一般的な意味でのホイール、ドラム形状ホイール(ローラーとも呼ばれる)を、そして一対の離間したホイール、ドラム、あるいは、たとえば磁気トラックにおいて使用されるスプロケット、そしてその他の転がり構造体さえ意味する。たとえば、本明細書で開示されているように、アクスル48bはドラムタイプのホイールを支持することができ、あるいは、フレームセクション50bに収容された磁気トラックのための離間したドラムあるいはスプロケットを支持するフレームセクション50bによって支持された二つの離間したアクスルが存在してもよい。同じことは、フレームセクション50aにも当てはまる。
【0039】
フレーム40は、フレーム部分50aおよびフレーム部分50b間の、回動可能な、屈曲可能な、あるいはフレキシブルなジョイント54を形成する。言い換えれば、フレーム40は、フレーム部分50aおよび50b間に、伸長可能でかつ収縮可能な部分56を備える。この特定の例では、回動可能なジョイント54はフレーム側壁72bのセクションであり、かつ、伸長可能な部分56は、フレーム40側壁42aにおけるギャップと、金属フレーム部分50aおよび50b間の上端壁58におけるギャップとを含む。回動可能なあるいはフレキシブルなジョイント54は、この特定の例では、必要なときに屈曲できるフレームの一部である。フレキシブルなジョイント54はギャップ56に掛け渡されているが、これは、側壁42bの端部から側壁42a付近の幅狭端部へと幅が縮小する。ジョイント54は、この例では、別な剛体フレーム側壁42bおよび上端壁58の局所的にフレキシブルな一体部分であり、数度だけ屈曲できる。
【0040】
アクチュエータサブシステム60は、拡張可能なフレームギャップ56を拡張および縮小させるとき、フレーム部分50aをフレーム部分50bおよび可撓性ジョイント54に対して動作させるよう構成される。この作用は、今度は、第2のアクスル48bに対して第1のアクスル48aを回動させ、そして駆動部およびそれが取り付けられるロボットを転回させる。ある例では、アクスルが1フート離れている場合、転回半径は5ないし40フィートとなるが、これは船舶の外殻上での作業のために十分である。
【0041】
この特定の例では、アクチュエータサブシステムは、フレーム部分50aのネジ付きオリフィス内へと延在するネジを、そして他端にフレーム部分50bのネジ付きオリフィス内へと延在するネジを備えたシャフトを含む。このネジは逆向きであり、したがって、シャフトを一方向に回転させることでギャップ56が拡大し、そしてシャフトを反対方向に回転させることでギャップ56が縮小する。シャフトへのストレスを低減するために、回転バレルナットが、シャフトの両端のネジを受けるように、フレーム部分に組み込まれてもよい。
【0042】
シリンダーに出入りするよう駆動されるピストンが、ピボットジョイントを介して、シャフトに対して連結されている。このようにして、シリンダーを作動させることでシャフトが回転する。シリンダーは、通常、ジョイント54においてあるいはその付近でフレームに連結される。シリンダーおよびピストンの組み合わせは、従来公知の電気駆動リニアアクチュエータあるいはやはり従来公知の空気圧駆動サブシステムであってもよい。2010年5月10日出願の、HULL ROBOT STERRING SYSTEMという名称の、本願出願人による同時係属出願(整理番号RAY-232J(09-0497))を参照されたい。
【0043】
だが、その他のロボット駆動/転回サブシステムも可能である。たとえば、二つの磁気トラックを使用でき、そしてこの場合、操舵は、一方のトラックを、他方のトラックとは異なる速度で動作させることによって可能である。この引用によって本明細書中に組み込まれる、特許出願番号第12/313,643号、第12/583,346号および第12/587,949号を参照されたい。
【0044】
ナビゲーションサブシステム60(図2)は、ナビゲーションプロセッサー62を介して、ロボットの前進および後退動作を制御しかつ外殻上でロボットを操舵するために、駆動サブシステム22に出力を提供する。ナビゲーションサブシステム60ならびにロボットの他の電子サブシステムは、密閉ハウジング13内に収容される(図1)。
【0045】
ロボット10に搭載されたセンサーサブシステム66は、通常、(Systron Donner,Analog Devices,MicroStrainおよびGladiator Technologiesによって提供されるような)多軸検出システムを含む。ロボットおよび外殻は運動しているので、センサーサブシステム66は、ナビゲーションプロセッサー62に対して、船舶外殻上でのロボットの運動および船舶外殻それ自体の運動の組み合わせを反映したデータを出力する。
【0046】
この状況に取り組むために、船舶運動を特定するための手段、たとえば、多軸検出システム70が船舶上に存在するが、これは、レシーバー72を介して、船舶運動データをナビゲーションサブシステムプロセッサー62へと伝達する。プロセッサー62は、この場合、センサーサブシステム66から得られたデータ(組み合わされたロボットおよび船舶の運動を反映したデータ)から船舶運動を減じ、すなわちキャンセルするよう構成(たとえばプログラム)されている。その結果得られるのは、船舶外殻上でのロボットの運動のみに関するデータである。ロボット運動データに基づいて、外殻上でのロボットのポジションを確認することができる。
【0047】
別な例では、プロセッサー62は、外殻上でロボットを周期的に停止させるように駆動サブシステム64を制御するようプログラムされる。この場合、センサーサブシステム66の出力は、船舶のみの運動に関するデータである。このデータはメモリー74内に格納できる。ロボットが再び外殻上で移動するとき、このデータは、ロボットの運動に関するデータを取り出すために、センサーサブシステム66の出力から減じられる。
【0048】
したがって、船舶運動を検出するための手段は、船舶に搭載された検出サブシステム70および/またはロボットが運動していない場合にロボットのセンサーサブシステム66を含んでいてもよい。船舶運動データは、ある例では、サブシステム70およびサブシステム66の両方から出力し、そしてサブシステムを検査すると共に二つのサブシステム間のエラーあるいは差を補償するために比較することができる。通常、大型船舶の周期的な運動は、過度に頻繁に変化しないので、メモリー74に格納された船舶運動データの更新は周期的になされるだけでよい。
【0049】
較正データを提供するために、船舶外殻上でのロボットのポジションをより正確に特定するべく、通常、位置決定サブシステム78もまた設けられる。ある例では、位置決定サブシステム78は、船舶上に二つの離間したトランスミッターを含むが、これはそれぞれ、ナビゲーションプロセッサー62によって独自に識別できる信号をロボットレシーバー72へと送信する。ナビゲーションプロセッサー62は、この場合、そのポジションが知られている二つのトランスミッターに対するロボットのポジション定点を特定するために、三角測量技術を使用するようプログラムされる。ロボットのポジションは、こうして特定され、そしてメモリー74に格納される。センサーサブシステム66は、この場合、上述したようにロボットの運動を特定し、そしてポジション定点データおよびロボット移動に基づいてロボットのポジションを計算する。
【0050】
通常、位置決定サブシステム78からの定点データおよび多軸検出サブシステム70からの船舶運動データは、RF伝送を使用できるようにロボット10が外殻上で水線の上を移動させられるとき、ロボット10のレシーバー72に提供される。したがって、ナビゲーションプロセッサー62は、水線上でロボット10を移動させるために駆動サブシステム22を周期的に制御するよう構成される。圧力センサー80が、ロボットが水線上に存在することを確かめるために組み込まれてもよい。
【0051】
メモリー74はまた、通常、外殻の形状に関するデータと、外殻の周囲でのロボットに関する入力された所望の移動経路とを含む。ナビゲーションプロセッサー62は、このデータおよびロボットの運動の導出に基づいて、続いて、所望の移動経路に従って外殻の周囲でロボットを移動させるために、駆動サブシステム22を制御する。
【0052】
たとえば、時刻Tにおいて、定点データが、ロボットが外殻上のポジションX,Y,Zに存在することを指し示していると仮定する。ロボットに関する蓄積された意図された移動経路は、ロボットに関して所望の移動経路に従って、ポジションX,Y,Zへと、先ず移動させるというものである。
【0053】
ロボットのポジションX,Y,Zは、Rとして表すことができ、そしてX,Y,ZはポイントP(R)として表すことができる。ロボットがポジションPへと外殻を横切るとき、オドメーター82(図2)はRを特定し、そしてセンサーサブシステム66は、ロボットおよび船舶の両方のΦおよびθを特定する。ナビゲーションプロセッサー62は、船舶の運動を、この組み合わされたデータから減じ、そしてロボットに関するΦおよびθを特定する。
【0054】
ロボットは、メモリー74に格納された所望の移動経路を経て、角度Φおよびθで距離Rにわたって外殻を横切るようにプログラムされる。ナビゲーションプロセッサー62は、この場合、センサーサブシステム66およびオドメーター82の出力に基づいて、駆動サブシステム22に、コース補正値を出力する。
【0055】
極座標、あるいは球座標は、図3に示すように、原点0からの距離、ならびに二つの角度θおよびΦを含む。
【0056】
ポイントPのポジションは(r,Φ,θ)として記述され、ここで、r=原点(O)からの距離、Φ=反時計回り方向にX軸からXY平面上で測定された水平方位角、そしてθ=Z軸から測定された方位角である。原点は、通常、少なくとも最初は上記位置決定サブシステムによって特定される。
【0057】
Φの範囲は0ないし2π(360)であり、そしてθの範囲は0ないしπ(180°)である。
【0058】
直交座標から球座標に変換するために、あるいはその逆の変換のために、変換式を確立するために三角法が使用される。
=rsinθcosφ (1)
=rsinθcosφ (2)
=rcosθ (3)
r=(X+Y+Z)1/2 (4)
θ=tan-1(Z/(X+Y)1/2) (5)
φ=tan-1(Y/X) (6)
【0059】
極座標系では、ロボットが、何らかの測定されたr,θ,ΦあるいはX,Y,Zに関する較正定点ポイントPから出発する場合、ポジションは上記関係から特定可能である。
【0060】
作動時、ロボットは、通常、メモリー74(図2)に格納された外殻の三次元マップを保有する。ロボットは較正定点ポイントP(X,Y,Z)において出発する(図3)。メモリー内の船舶の外殻のマップ、そしてθ,Φあるいはrを測定する能力を用いて、ロボットは事前プログラムされたコースに従って移動する。それが外殻に沿って移動するとき、検出サブシステム66はθおよびΦを測定する。オドメーター82がrを測定する。この測定されたデータは、ユーザーによって入力されたプログラムデータ、たとえばロボットのための所望の移動経路と比較される。差が存在する場合、コースは、この差だけ修正されるが、これは、極座標においては、
program(r,Φ,θ)−Pmeasured(r,Φ,θ)=コース修正値(r,Φ,θ) (7)
によって表現でき、Pprogram(r,Φ,θ)は入力された所望の移動経路に従って存在すると考えられる位置であり、そしてPmeasured(r,Φ,θ)は同じ出発ポイント(X,Y,Z)を基準とした実際の測定位置である。上記変換式によって、コース修正式はまた直交座標でも表現できる。
【0061】
ロボットはX,Y,Z軸周りの角運動を有する可動プラットフォーム上を航行しているので、しばしば、そうした運動が実際のポジション角測定値Φおよびθを損なわないように、プラットフォームのこの角運動を特定することが必要となる。
【0062】
プラットフォームの角運動の除去は、さまざまな方法で実現できる。一つの方法は、ロボットを停止させ、この角度を測定し、そしてそれを記憶されることである。いったんロボットが運動を再び開始すると、無用な角運動を除去することができる。別な方法は、プラットフォームの角運動を連続的に測定するのに使用される可動プラットフォーム上に配置された多軸検出システム70を備え、この情報を、図2に示すように、ロボットに対して遠隔的に提供することである。プロセッサー62は、この場合、それがコース修正を計算する前に、無用な角運動を除去することができる。いずれの場合も、減算は三次元ベクトル減算によって達成できる。
【0063】
運動の一例として、ロボットは、周知のポジション(0,0,0)において出発し、(0,2,4)所望のポジションに向かって移動する図4に示す事前プログラムコース上に存在すると仮定する。この経路において、Xは常にゼロであり、ロボットはZおよびY方向にのみ移動する。ロボットが(0,0,1)から(0,0,2)へと移動するとき、どういうわけか、それは位置(0.5,0,2)に達すると仮定する。
【0064】
現実時間において、多軸検出システム66(図2)は各軸を中心とする角回転を測定し、そして角情報はθおよびφへと変換される。Xが常にゼロである上記の例では、Z軸周りの角回転は存在せず、φ=90°である。Yがゼロ(0)である限り角度θ=0°である。Yがゼロよりも大きくなるとき、θは0と90°との間で変化する。測定データは上記式(1)‐(3)から得られ、ここで、θおよびφは多軸検出システム66によって提供され、そしてrはオドメーター22によって提供される。
【0065】
経路が歪められた場合、ロボットは、所望のポジション(0,0,2)の代わりに、ポジション(0.5,0,2)に存在する。ナビゲーションの多軸検出システムは、今や、Z軸周りの角回転を測定しており、角度θは今や90°よりも小さい。ナビゲーションプロセッサーは、Xがもう一度ゼロになるまで、ロボットの経路をもちろん修正する。このプロセスは、連続的に、所望のポジションをモニターし、そしてそれを実際と比較し、そしてコース調整が、
(x,y,z)program−(x,y,z)measured=0 (8)
あるいは
program(r,Φ,θ)−Pmeasured(r,Φ,θ)=0 (9)
までなされる。
【0066】
ある動作条件のもとでは、ロボットは、海洋状態条件にさらされる船舶上で移動しかつ航行する。海洋状態条件は、図5に示すように、船舶に、ピッチ、ロールおよびヨーを引き起こす。
【0067】
船舶の運動によって、ロボットに搭載された多軸検出システム66(図2)は、ロボットおよび船舶の両方の運動を報告する。ロボットのナビゲーション精度を維持するために、船舶の運動が考慮され、そして除去される必要がある。
【0068】
多軸検出システム70が船舶上に設置される場合、船舶がピッチ、ロールおよびヨー運動するとき、多軸検出システムは、1秒当たりの角度で、各軸周りの角回転を測定する。この情報は、続いて、図2に示すようにロボットに送信することができ(たとえばロボットが定点データを受け取ったとき)、この場合、それが考慮され、そしてロボットに関する報告された角回転から除去される。たとえば、船舶の運動が以下の角回転:
X軸0.1°/sec、Y軸0.01°/sec、Z軸0°/sec (10)
を引き起こしている場合、
所与のポイントでのロボットの速度およびコースは、以下の角回転:
X軸0.0°/sec、Y軸0.05°/sec、Z軸0°/sec (11)
を有するべきである。
この例では、船舶およびロボットの角運動は同じ方向であると仮定すると、ロボットによって測定された組み合わされた角運動は以下のようになる。
X軸0.1°/sec、Y軸0.06°/sec、Z軸0°/sec (12)
船舶運動は、この場合には除去されて、式(11)に示す所望の角運動が得られる。
【0069】
代替アプローチはロボットの動きを周期的に停止させることである。ロボットが運動していないとき、搭載された多軸検出システム66は船舶の運動のみを検出している。この運動は、この場合、ゼロにするかあるいは記憶させることができ、そして、ロボットが外殻の周囲を航行するとき、除去することができる。
【0070】
この場合、上述した船舶の運動は、
X軸0.1°/sec、Y軸0.01°/sec、Z軸0°/sec (13)
であり、そして、ゼロにされるか、あるいはロボットのナビゲーション測定システムから較正されるであろう。
【0071】
図6は、代表的なサブシステムの働きを示している。ロボットは、船舶の外殻上のポジションY,Xに、通常は水線上に存在し、そしてトランスミッター100aおよび100bは船舶の外殻上の周知の位置で固定される。トランスミッター100aおよび100b間の距離Aは周知の値である。距離bおよびdは、以下の計算式によって特定される。
【0072】
【数1】
【0073】
距離aはX3−X1である。
【0074】
距離bおよびdは、以下のようにして特定される。
時刻t=t0において、ロボットに搭載された周波数源F3Tをロボットが伝達し、
時刻t=t0+t1F1Rにおいて、F1RはF3T信号を受信し、そして
時刻t=t0+t1F2Rにおいて、F2RはF3T信号を受信し、
時刻t=t0+t1F1R+t2F1Tにおいて、F1Tは信号を送信し、
時刻t=t0+t1F2R+t2F2Tにおいて、F2Tは信号を送信し、
時刻t=t0+t1F1R+t2F1T+t2F3Rにおいて、F3RはF1T信号を受信し、そして
時刻t=t0+t1F2R+t2F2R+t2F3Rにおいて、F3RはF2T信号を受信する。
したがって、
b=[(t0+t1F1R+t2F1T+t2F3R)/2]c、そしてd=[(t0+t1F2R+t2F2T+t2F3R)/2]c
C=光速
【0075】
図7に示すように、ロボットが上記表面に到達するたびに、周波数トーンが、ロボットからロボットに搭載されたトランスミッター73(図2)から発せられ、外殻上の周波数源は外殻上の周知の位置で独特の周波数をそれぞれ送信する。無線三角測量が、ロボットが外殻上のどこに存在するかをより正確に特定するために続いて使用される。ロボットの周知の(較正された)ポジション定点は、この場合、記憶された事前プログラムクリーニング経路の出発ポイントである。ロボットが外殻を横切るとき、セグメント66(図2)およびオドメーター82は、上記アルゴリズムを用いて、ロボットの位置を常時測定する。図7に110で示すクリーニング経路に従って船首から船尾へとロボットが移動するとき、このプロセスは繰り返される。
【0076】
図8は、122で示すようなロボット運動データ(センサーサブシステム66(図2)からの出力に関して上述したように船舶運動データをやはり含む)から減じられる(たとえば検出サブシステム70(図2)に基づく)船舶外殻の運動データを120で示している。124で示すように除去された船舶の運動によって、そしてまたオドメーター82(図2)からの出力としての移動距離に基づいて、ロボットの測定されたポジションは図8に126で示される。
【0077】
図9は、センサーサブシステム66および70(図2)の両方の典型的な出力を、この例では、三つの軸全てに関する回転レート127と、加速度128と、三つの軸全てに関する角度129を示している。
【0078】
ある好ましい実施形態では、船舶外殻上のナビゲーショントランスミッター100からのデータ、そして船舶の外殻に搭載された角センサーならびに加速度センサーからのデータは、130で示すように組み合わされ(図10)、そして、トランスミッター140を介して送信される。ロボットに搭載されたレシーバー72およびトランスミッター73(あるいは、これに代えて、トランスミッター/レシーバーの組み合わせ、すなわちトランシーバー)は、このデータをナビゲーションプロセッサー62に対して提供する。駆動/操舵サブシステムを制御するために、74で示すような船舶外殻マッピングデータおよびロボットの意図されたプログラム経路に加えて、センサーサブシステム66およびオドメーター82からのデータが、ナビゲーションプロセッサー62によって使用される。
【0079】
したがって、ナビゲーションプロセッサー62の機能は、メモリー74に記憶されたデータ、ならびに、やはりメモリー74に記憶されたユーザー決定経路に基づいて、事前プログラムされたクリーニングあるいは検査パターンを決定することを含む(ステップ150、図12)。ステップ152で示すような較正基準ポイントが上述した三角測量技術に基づいて特定される。ナビゲーションプロセッサー63は、推測航法ステップ152に基づいて、ロボットを航行させるために、駆動サブシステムを制御する。ステップ156において、船舶の運動は、搭載センサーサブシステム出力データから減じられ、そして、除去された船舶の運動と共に、オドメーター82を介して測定された移動距離を組み合わせて、ナビゲーションプロセッサー62は、ステップ158で、ロボットの位置を特定し、そして駆動サブシステムに必要とされるコース修正値を提供する。
【0080】
このようにして、外殻上のロボットのポジションにおける変化が考慮され、そしてナビゲーションサブシステムに固有の誤差は、ポジション定点較正データを受信するための外殻上のあるポジションへとロボットを周期的に移動させることによって解消される。それが航行中である間の船舶の運動を考慮するために、ロボットはまた、そのナビゲーション計算値から船舶の運動を減じるようプログラムされる。このようにして、外殻上でのロボットのポジションは、いったんそれがポジション較正定点ポイントを離れると、特定可能である。この結果、より低コスト、より低電力ナビゲーションサブシステムが実現される。
【0081】
それゆえ、本発明の特定の特徴はある図面に示され、別な図面には示されていないが、これは単に便宜的なものであり、各特徴は、本発明に基づいて、別な特徴のいずれかあるいは全てと組み合わせることができる。本明細書で用いている「含む」、「具備してなる」、「有する」、そして「備える」は、広くかつ包括的に解釈されるべきであり、いかなる物理的相互連結にも限定されない。さらに、本願に関して開示された実施形態は、唯一可能な実施形態として解釈すべきではない。
【0082】
さらに、この特許のための特許出願の手続の間に提出される補正は、提出された出願において提示された請求項要素の放棄ではない。当業者が、全ての可能な等価物を厳密な意味で包含するであろう請求項を起草するとは合理的は予期できず、多くの等価物は補正の時点では予見不可能であり、かつ、譲渡されるもの(もしあれば)の公正な解釈を超えており、補正の基礎をなす原理は多くの等価物に対する僅かな関連性以上のものは有しておらず、かつ/または出願人は、補正された請求項の要素に関する、ある想像上の置き換えを開示するとは予期できない。
【0083】
他の実施形態は当業者にとって明らかであり、それは特許請求の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0084】
10 ロボット
12 ロボット本体
14a,14b タービンインテークベント
16a,16b,16c クリーニングブラシ
17 モーター
22 磁気駆動システム
24 ターレット
26a,26b タービン
28a,28b 発電機
30 モーター
32 ウォームギア
40 フレーム
42a,42b 側壁
44a,44b 端壁
48a,48b アクスル
50a,50b フレーム部分
52a,52b 磁気ホイール
52c,52d ホイール
54 フレキシブルなジョイント
56 伸長可能な部分(フレームギャップ)
58 上端壁
60 ナビゲーションサブシステム
62 ナビゲーションプロセッサー
64 駆動サブシステム
66 センサーサブシステム
70 多軸検出システム
72 レシーバー
73 トランスミッター
74 メモリー
78 位置決定サブシステム
82 オドメーター
100 ナビゲーショントランスミッター
140 トランスミッター
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12