(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774693
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】コーティング用途での白色化及び色調整用の水性組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20150820BHJP
D21H 21/30 20060101ALI20150820BHJP
D21H 19/46 20060101ALI20150820BHJP
C09B 55/00 20060101ALI20150820BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20150820BHJP
C09B 67/46 20060101ALI20150820BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20150820BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20150820BHJP
C09D 157/00 20060101ALI20150820BHJP
C09D 129/04 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
C09D201/00
D21H21/30
D21H19/46
C09B55/00 A
C09B67/20 F
C09B67/46 C
C09D7/12
C09D5/02
C09D157/00
C09D129/04
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-517066(P2013-517066)
(86)(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公表番号】特表2013-536267(P2013-536267A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】EP2011003047
(87)【国際公開番号】WO2012000624
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年4月3日
(31)【優先権主張番号】10006814.7
(32)【優先日】2010年7月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】398056207
【氏名又は名称】クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】グレーター−シェーネ・ハイドルン
(72)【発明者】
【氏名】クライン・セドリック
(72)【発明者】
【氏名】プッディファット・デイビット
【審査官】
内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/095364(WO,A1)
【文献】
特開昭56−092964(JP,A)
【文献】
特表2010−500432(JP,A)
【文献】
特表2010−500429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D1/00−10/00
C09D101/00−201/10
C09B1/00−69/10
D21B,D21C,D21D,D21F,D21G,D21H,D21J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の蛍光増白及び色調整のための水性コーティング組成物であって、
(a)式(I)で表される少なくとも一種の蛍光増白剤、
【化1】
[式中、
増白剤のアニオン電荷は、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、アンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または
上記の化合物の混合物からなる群から選択される一種またはそれ以上の同一かまたは異なるカチオンから組成されるカチオン電荷によって釣り合わされ、
R
1及びR
1’は、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれ水素、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル、C
2−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル、CH
2CO
2−、CH
2CH
2CONH
2またはCH
2CH
2CNであり、
R
2及びR
2’は、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれC
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル、C
2−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル、CH
2CO
2−、CH(CO
2−)CH
2CO
2−、CH(CO
2−)CH
2CH
2CO
2−、CH
2CH
2SO
3−、CH
2CH
2CO
2−、CH
2CH(CH
3)CO
2−、ベンジルであり、あるいは
R
1とR
2、及び/またはR
1’とR
2’は、隣接する窒素原子と一緒になってモルホリン環を示し、そして
pは、0、1または2である]
(b)式(II)で表される少なくとも一種の色調整用染料、
【化2】
[式中、
R
3は、H、メチルまたはエチルを示し、
R
4は、パラメトキシフェニル、メチルまたはエチルを示し、
Mは、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、アンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または
上記の化合物の混合物からなる群から選択されるカチオンを示す]
(c)少なくとも一種の白色顔料、
(d)少なくとも一種の主バインダー、
(e)任意に、一種またはそれ以上の副バインダー、及び
(f)水、
を含
む、前記水性コーティング組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物において、pが1の場合、SO3−基がフェニル基の4位にあり、そして前記式(I)の化合物において、pが2の場合、SO3−基がフェニル基の2位及び5位にある、請求項1記載の水性コーティング組成物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物において、増白剤のアニオン電荷が、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、C1−C4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C1−C4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または上記の化合物の混合物からなる群から選択される一種またはそれ以上の同一かまたは異なるカチオンから組成されるカチオン電荷によって釣り合わされ、
R1及びR1’が、同一かまたは異なりそしてそれぞれ水素、C1−C4線状もしくは分枝状アルキル、C2−C4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル、CH2CO2−、CH2CH2CONH2またはCH2CH2CNであり、
R2及びR2’が、同一かまたは異なりそしてそれぞれC1−C4線状もしくは分枝状アルキル、C2−C4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル、CH2CO2−、CH(CO2−)CH2CO2−またはCH2CH2SO3−であり、そして
pが、0、1または2である、
請求項1又は2に記載の水性コーティング組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、乾燥白色顔料の全重量を基準にして0.01〜5重量%の量で使用される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項5】
前記式(II)の化合物において、
R3が、H、メチルまたはエチルを示し、
R4が、パラメトキシフェニル、メチルまたはエチルを示し、
Mが、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、C1−C4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C1−C4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または上記の化合物の混合物からなる群から選択されるカチオンを示す、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項6】
前記式(II)の化合物において、
R3が、メチルまたはエチルを示し、
R4が、メチルまたはエチルを示し、
Mが、Li+、Na+、K+、1/2Ca2+、1/2Mg2+、C1−C4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C1−C4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または上記の化合物の混合物からなる群から選択されるカチオンを示す、
請求項1〜5のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項7】
前記式(II)の化合物が、乾燥白色顔料の全重量を基準にして0.00001〜0.01重量%の量で使用される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項8】
前記コーティング組成物の全重量を基準にして10〜70重量%の白色顔料を含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項9】
唯一のまたは主たるバインダーが、合成ラテックスである、請求項1〜8のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項10】
前記合成ラテックスがスチレン−ブタンジエンポリマー、酢酸ビニルポリマー、スチレンアクリル系ポリマー、ビニルアクリル系ポリマー、またはエチレン酢酸ビニルポリマーである、請求項9記載の水性コーティング組成物。
【請求項11】
唯一のまたは主たるバインダーが、白色顔料の全重量を基準にして2〜25重量%の範囲の量で使用される、請求項1〜10のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項12】
副バインダーが、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、ソイポリマー、ポリビニルアルコール、または上記のものの任意の混合物である、請求項1〜11のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項13】
ポリビニルアルコールが副バインダーとして使用される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項14】
ポリビニルアルコールが、60%またはそれ超の加水分解度及び2〜80mPa.sのブルックフィールド粘度(20℃で4%水溶液)を有する、請求項13に記載の水性コーティング組成物。
【請求項15】
副バインダーが、白色顔料の全重量を基準にして0.1〜20重量%の範囲の量で使用される、請求項1〜14のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項16】
コーティング組成物のpH値が4〜12の範囲である、請求項1〜15のいずれか1つに記載の水性コーティング組成物。
【請求項17】
紙基材の色調整及び白色化のための、請求項1に記載の水性コーティング組成物の使用。
【請求項18】
コーティング組成物が、1〜50重量%の濃度で式(I)の化合物を及び0.001〜30重量%の濃度で式(II)の化合物を含む予め調製した溶液として使用され、重量%は、予め調製した水溶液の全重量を基準とする、請求項17に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い白色度及び明度を有するコーティングされた基材を供するのに使用することができる、ジアミノスチルベン系蛍光増白剤の誘導体、色調整用染料(shading dyes)、白色顔料、主バインダー、任意に及び副バインダーを含む水性コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光増白剤及び色調整用染料をコーティング組成物に加えることによって、コート紙の白色度及びそれ故魅力を向上できることは周知である。
【0003】
しかし、WO0218705A1(特許文献1)は、色調整用染料の使用は、白色度に対して有利な効果を有するものの、明度には悪影響があることを教示している。この問題に対する解決策は追加の蛍光増白剤を加えることであり、WO0218705A1(特許文献1)で主張されている利点は、少なくとも一種の直接染料(C.I.Direct Violet35によって例示される)または顔料(C.I.Pigment Violet23によって例示される)及び少なくとも一種の蛍光増白剤を含む混合物の使用を特徴とする。
【0004】
より高い白色度及び明度についてのコート紙に対する要求を満たすために、より効果の高い色調整用組成物に対する要望がある。
【0005】
驚くべきことに、明度には僅かな影響しか及ぼさないかまたは全く影響を及ぼさず、他方で白色度には大きな有利な効果を持ち、及び製紙業者が高いレベルの白色度及び明度に到達することを可能にするために、蛍光増白剤、白色顔料、主バインダー、任意に及び副バインダーを含むコーティング組成物中に使用することができる、或る種の色調整用染料がここに見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO0218705A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、本発明の目的は、技術水準として把握される色調整用染料(明度の損失)または顔料(より低い白色度発展)の使用によって特徴付けされる不都合を避けながら、増強された高い白色度レベルをもたらす、ジアミノスチルベン系蛍光増白剤の誘導体、或る種の色調整用染料、白色顔料、主バインダー、任意に及び副バインダーを含む水性コーティング組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
それ故、本発明は、基材、好ましくは紙の蛍光増白及び色調整のための水性コーティング組成物であって、
(a)次式(I)の少なくとも一種の蛍光増白剤、
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、
上記蛍光増白剤のアニオン電荷は、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、アンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または前記の化合物の混合物からなる群から選択される一種またはそれ以上の同一かまたは異なるカチオンから組成されるカチオン電荷によって釣り合わされ、
R
1及びR
1’は、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれ水素、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル、C
2−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル、CH
2CO
2−、CH
2CH
2CONH
2またはCH
2CH
2CNであり、
R
2及びR
2’は、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれC
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル、C
2−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル、CH
2CO
2−、CH(CO
2−)CH
2CO
2−、CH(CO
2−)CH
2CH
2CO
2−、CH
2CH
2SO
3−、CH
2CH
2CO
2−、CH
2CH(CH
3)CO
2−、ベンジルであるか、あるいは
R
1とR
2、及び/またはR
1’とR
2’は、隣接する窒素原子と一緒になってモルホリン環を示し、そして
pは、0、1または2である]
b)次式(II)の少なくとも一種の色調整用染料、
【0011】
【化2】
【0012】
[式中、
R
3は、H、メチルまたはエチルを示し、
R
4は、パラメトキシフェニル、メチルまたはエチルを示し、
Mは、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、アンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または前記の化合物の混合物からなる群から選択されるカチオンを示す]
(c)少なくとも一種の白色顔料、
(d)少なくとも一種の主バインダー、
(e)任意に、一種またはそれ以上の副バインダー、及び
(f)水、
を含む、前記水性コーティング組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
pが1の時の式(I)の化合物において、SO
3−基は、好ましくは、フェニル基の4位にある。
【0014】
pが2の時の式(I)の化合物において、SO
3−基は、好ましくは、フェニル基の2位及び5位にある。
【0015】
式(I)の好ましい化合物は、式中、
増白剤のアニオン電荷が、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、C
1−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または前記の化合物の混合物からなる群から選択される一種またはそれ以上の同一かまたは異なるカチオンから組成されるカチオン電荷によって釣り合わされ、
R
1及びR
1’が、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれ水素、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル
、C
2−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル、CH
2CO
2−、CH
2CH
2CONH
2またはCH
2CH
2CNであり、
R
2及びR
2’が、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれC
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル、C
2−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル、CH
2CO
2−、CH(CO
2−)CH
2CO
2−またはCH
2CH
2SO
3−であり、そして
pが、0、1または2である、
ものである。
【0016】
式(I)のより好ましい化合物は、式中、
増白剤のアニオン電荷が、Li
+、Na
+、K
+、Ca
2+、Mg
2+、C
1−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または前記の化合物の混合物からなる群から選択される一種またはそれ以上の同一かまたは異なるカチオンから組成されるカチオン電荷によって釣り合わされ、
R
1及びR
1’が、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれ水素、メチル、エチル、プロピル、α−メチルプロピル、β−メチルプロピル、β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシプロピル、CH
2CO
2−、CH
2CH
2CONH
2またはCH
2CH
2CNであり、
R
2及びR
2’が、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれメチル、エチル、プロピル、α−メチルプロピル、β−メチルプロピル、β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシプロピル、CH
2CO
2−、CH(CO
2−)CH
2CO
2−またはCH
2CH
2SO
3−であり、そして
pが、0、1または2である、
ものである。
【0017】
式(I)の特に好ましい化合物は、式中、
増白剤のアニオン電荷が、Na
+、K
+、トリエタノールアンモニウム、N−ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−ヒドロキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウム、または前記の化合物の混合物からなる群から選択される一種またはそれ以上の同一かまたは異なるカチオンから組成されるカチオン電荷によって釣り合わされ、
R
1及びR
1’が、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれ水素、エチル、プロピル、β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシプロピル、CH
2CO
2−、またはCH
2CH
2CNであり、
R
2及びR
2’が、同一かまたは異なることができ、そしてそれぞれエチル、プロピル、β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシプロピル、CH
2CO
2−、CH(CO
2−)CH
2CO
2−またはCH
2CH
2SO
3−であり、そして
pが、1または2である、
ものである。
【0018】
式(I)の化合物は、典型的には0.01〜5重量%の量で、好ましくは0.05〜3重量%の範囲の量で使用され、ここで、重量%は、乾燥白色顔料の全重量を基準とする。
【0019】
式(II)の好ましい化合物は、式中、
R
3が、H、メチルまたはエチルを示し、
R
4が、パラメトキシフェニル、メチルまたはエチルを示し、
Mが、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、C
1−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または上記の化合物の混合物からなる群から選択されるカチオンを示す、
ものである。
【0020】
式(II)のより好ましい化合物は、式中、
R
3が、メチルまたはエチルを示し、
R
4が、メチルまたはエチルを示し、
Mが、Li
+、Na
+、K
+、1/2Ca
2+、1/2Mg
2+、C
1−C
4線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基によってモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、C
1−C
4線状もしくは分枝状アルキル基と線状もしくは分枝状ヒドロキシアルキル基との混合物によってジ−、トリ−もしくはテトラ置換されたアンモニウム、または上記の化合物の混合物からなる群から選択されるカチオンを示す、
ものである。
【0021】
式(II)の特に好ましい化合物は、式中、
R
3が、メチルを示し、
R
4が、メチルを示し、
Mが、Na
+、K
+、トリエタノールアンモニウム、N−ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−ヒドロキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウムまたは上記の化合物の混合物からなる群から選択されるカチオンを示す、
ものである。
【0022】
式(II)の化合物は、典型的には0.00001〜0.01重量%の量で、好ましくは0.00005〜0.005重量%の範囲の量で使用され、この際、重量は、乾燥白色顔料の全量を基準とする。
【0023】
白色顔料を含まないコーティング組成物を製造することは可能であるが、印刷用の最良の白色基材は、白色顔料10〜70重量%、好ましくは白色顔料40〜60重量%を含む不透明なコーティング組成物を用いて製造される。この際、重量%は、コーティング組成物の全量を基準とする。このような白色顔料は、通常、無機顔料、例えばケイ酸アルミニウム類(カオリン、他はチャイナクレーとも知られる)、炭酸カルシウム(チョーク)、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、または硫酸カルシウム(石膏)である。好ましくは、10〜20重量%のクレーと30〜40重量%のチョークとの混合物が白色顔料として使用され、ここで重量%は、コーティング組成物の全重量を基準とする。
【0024】
バインダーは、コーティング組成物の製造のために製紙工業で常用されるもののうちの任意のものでよく、単一のバインダーからなるか、または主バインダーと副バインダーとの混合物からなることができる。
【0025】
唯一のまたは主たるバインダーは、好ましくは合成ラテックス、典型的にはスチレンブタジエンポリマー、酢酸ビニルポリマー、スチレンアクリル系ポリマー、ビニルアクリル系ポリマー、またはエチレン酢酸ビニルポリマーである。好ましい主バインダーはラテックスバインダーである。
【0026】
唯一のまたは主たるバインダーは、典型的には2〜25重量%、好ましくは4〜20重量%の範囲の量で使用され、この際、重量%は、白色顔料の全重量を基準とする。
【0027】
任意選択に使用され得る副バインダーは、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、ソイポリマー(soy polymers)、ポリビニルアルコール、または上記のものの任意の混合物であり得る。任意選択に使用され得る好ましい副バインダーは、ポリビニルアルコールバインダーである。
【0028】
該コーティング組成物に副バインダーとして任意選択に使用し得るポリビニルアルコールは、好ましくは、60%またはそれ超の加水分解度及び2〜80mPa.sのブルックフィールド粘度(20℃で4%水溶液)を有する。より好ましくは、ポリビニルアルコールは、80%またはそれ超の加水分解度及び2〜40mPa.sのブルックフィールド粘度(20℃で4%水溶液)を有する。
【0029】
任意選択に使用される時、副バインダーは、典型的には0.1〜20重量%の範囲の量、好ましくは0.2〜8重量%の範囲の量、より好ましくは0.3〜6重量%の範囲の量で使用される。ここで重量%は、白色顔料の全重量を基準とする。
【0030】
該コーティング組成物のpH値は、典型的には5〜13の範囲、好ましくは6〜11の範囲、より好ましくは7〜10の範囲である。コーティング組成物のpHを調節する必要がある場合には、酸または塩基を使用し得る。使用し得る酸の例としては、限定はされないが、塩酸、硫酸、ギ酸及び酢酸などがある。使用し得る塩基の例には、限定はされないが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物類または炭酸塩類、アンモニアまたはアミン類などがある。
【0031】
式(I)の一種またはそれ以上の化合物、式(II)の一種またはそれ以上の化合物、一種またはそれ以上の白色顔料、一種またはそれ以上のバインダー、任意に一種またはそれ以上の副バインダー、及び水の他に、該コーティング組成物は、式(I)の化合物及び式(II)の化合物の製造の間に生じた副生成物、並びに他の慣用の紙用添加剤を含み得る。このような添加剤の例は、例えば、凍結防止剤、分散剤、合成もしくは天然増粘剤、キャリア、消泡剤、ワックスエマルション、染料、無機塩、可溶化助剤、防腐剤、錯化剤、抗生剤、架橋剤、顔料、特殊樹脂などである。
【0032】
該コーティング組成物は、一種またはそれ以上のバインダー、任意に一種またはそれ以上の副バインダー、及び一種またはそれ以上の白色顔料の予め調製した水性分散物に、式(I)の一種またはそれ以上の化合物及び式(II)の一種またはそれ以上の化合物を加えることによって調製することができる。
【0033】
式(I)の一種またはそれ以上の化合物及び式(II)の一種またはそれ以上の化合物を、一種またはそれ以上のバインダー、任意に一種またはそれ以上の副バインダー、及び一種またはそれ以上の白色顔料の予め調製した水性分散物に任意の順序でまたは同時に加えることができる。
【0034】
式(I)の一種またはそれ以上の化合物、式(II)の一種またはそれ以上の化合物、任意に及び一種またはそれ以上の副バインダーを、固形物として、または予め調製した水溶液として、一種またはそれ以上の白色顔料の予め調製した水性分散物に加えることができる。
【0035】
本発明は、更に、紙基材の蛍光増白及び色合い調整(tinting)のための方法であって、少なくとも一種の蛍光増白剤、少なくとも一種の或る種の色調整用染料、少なくとも一種の白色顔料、少なくとも一種のバインダー、任意に及び少なくとも一種の副バインダーを含む水性コーティング組成物を使用することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0036】
予め調製した水溶液として使用する場合には、水中での式(I)の化合物の濃度は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、更により好ましくは10〜30重量%であり、この際、重量%は、式(I)の化合物を含む予め調製した水溶液の全重量を基準とする。
【0037】
予め調製した水溶液として使用する場合、水中での式(II)の化合物の濃度は、好ましくは0.001〜30重量%、より好ましくは0.01〜25重量%、更により好ましくは0.02〜20重量%であり、この際、重量%は、式(II)の化合物を含む予め調製した水溶液の全重量を基準とする。
【0038】
予め調製した水溶性として使用する場合、水中での副バインダーの濃度は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、更により好ましくは5〜30重量%であり、この際、重量%は、副バインダーを含む予め調製した水溶液の全重量を基準とする。
【0039】
以下の例は、本発明をより詳細に説明するものである。本願において、他に記載がなければ、“部”は“重量部”、“%”は“重量%”を意味する。
【実施例】
【0040】
調製例1
式(1)の化合物50部を、効果的に攪拌しながら室温で水450部にゆっくりと加えることによって、式(1)の化合物を含む水性色調整用溶液(S1)を調製する。得られた溶液を1時間攪拌し、そして濾過して不溶性の粒子を除いた。生じた色調整用溶液(S1)は、6.0〜7.0の範囲のpHを有し、そして式(1)の化合物10重量%を含む。ここで重量%は、最終の水性色調整用溶液(S1)の全重量を基準にする。
【0041】
【化3】
【0042】
応用例1
チョーク(OMYAからHydrocarb90の商標で商業的に入手可能)70部、クレー(IMERYSからKaolin SPSの商標で商業的に入手可能)30部、水42.8部、分散剤(BASFからPolysalz Sの商標で商業的に入手可能なポリアクリル酸のナトリウム塩)0.6部、50%ラテックス(DowからDL921の商標で商業的に入手可能なスチレンブタジエンコポリマー)20部、98〜99%の加水分解度及び4.0〜5.0mPa.sのブルックフィールド粘度(20℃で4%水溶液)を有するポリビニルアルコール0.8部、及び式(2)の化合物の水溶液0.5部(式(2)の化合物約18.0重量%、ここで重量%は式(2)の化合物を含む該水溶液の全重量を基準とする)を含むコーティング組成物を調製する。このコーティング組成物の固形分含有率を、水を添加して約65%に調節し、そしてpHを水酸化ナトリウムを用いて8〜9に調節する。
【0043】
【化4】
【0044】
調製例1に従い調製した水性色調整用溶液(S1)を、水で1部から1000部に希釈する。
【0045】
こうして調製した希釈水溶液を、上記の攪拌されたコーティング組成物に、乾燥顔料の全重量を基準にして0〜20重量%(乾燥固形物基準で式(1)の化合物0〜0.002重量%)の濃度範囲で加える。
【0046】
増白及び色調整されたコーティング組成物を、次いで、自動ワイヤ・ワウンド・バー・アプリケータ(wire−wound bar applicator)を用いて、標準的な速度設定及び標準的なバー負荷で、市販の75gsm中性サイズ白紙ベースシートに塗布する。次いで、このコート紙を熱空気流中で5分間乾燥する。その後、この紙を状態調節(condition)させ、そしてキャリブレートしたミノルタスペクトロフォトメータでCIE白色度及び明度について測定する。結果をそれぞれ表1及び表2に示す。これらの結果は、本発明は、高いレベルの白色度を与えながらも、色調整用染料の最大の添加レベルでも明度の損失はわずか0.2%であることを明らかに示している。
【0047】
比較応用例1a
水性色調整用溶液(S1)の代わりにC.I.Direct Violet35の10重量%水溶液(重量%は、C.I.Direct Violet35水溶液の全重量を基準とする)を使用したことのみを相違点として、応用例1に記載の通りに比較応用例1aを行った。CIE白色度及び明度を、キャリブレートしたミノルタスペクトロフォトメータで測定する。結果をそれぞれ表1及び表2に示す。これらの結果は、従来技術に属する色調整用染料の使用は、より低い白色度レベルを招き、最大1.4%の明度の大きな損失の原因となることを明らかに示している。
【0048】
比較応用例1b
水性色調整用溶液(S1)の代わりにC.I.Pigment Violet23の10重量%水性分散物(重量%は、C.I.Pigment Violet23水性分散物の全重量を基準とする)を使用したことのみを相違点として、応用例1に記載の通りに比較応用例1bを行った。CIE白色度及び明度を、キャリブレートしたミノルタスペクトロフォトメータで測定する。結果をそれぞれ表1及び表2に示す。これらの結果は、従来技術に属する色調整用顔料の使用は、かなりより低い白色度レベルを招くことを明らかに示している。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
応用例2
チョーク(OMYAからHydrocarb90の商標で商業的に入手可能)70部、クレー(IMERYSからKaolin SPSの商標で商業的に入手可能)30部、水42、8部、分散剤(BASFからPolysalz Sの商標で商業的に入手できるポリアクリル酸のナトリウム塩)0.6部、50%ラテックス(DowからDL921の商標で商業的に入手できるスチレンブタジエンコポリマー)20部、98〜99%の加水分解度及び4.0〜5.0mPa.sのブルックフィールド粘度(20℃で4%水溶液)を有するポリビニルアルコール0.8部、及び式(3)の化合物の水溶液0.5部(式(3)の化合物約25.2重量%、ここで重量%は式(3)の化合物を含む該水溶液の全重量を基準とする)を含むコーティング組成物を調製する。このコーティング組成物の固形物含有率を水を添加して約65%に調節し、そしてpHを水酸化ナトリウムを用いて8〜9に調節する。
【0052】
【化5】
【0053】
調製例1に従い調製した水性色調整用溶液(S1)を水で1部から1000部に希釈する。
【0054】
こうして調製した希釈水溶液を、上記の攪拌したコーティング調合物に、乾燥顔料の全重量を基準にして0〜20重量%(乾燥固形物を基準にして式(1)の化合物0〜0.002重量%)の濃度範囲で加える。
【0055】
次いで、増白及び色調整されたコーティング組成物を、自動ワイヤ・ワウンド・バー・アプリケータを用いて標準的な速度設定及び標準的なバー負荷で市販の75gsm中性サイズ白紙ベースシートに塗布する。このコート紙を次いで熱空気流中で5分間乾燥する。その後、この紙を状態調節させ、そしてキャリブレートしたミノルタスペクトロフォトメータでCIE白色度及び明度について測定する。結果をそれぞれ表3及び表4に示す。これらの結果は、本発明が高いレベルの白色度を供しながら、色調整用染料の最大添加レベルでも明度の損失はわずか0.3%であることを明らかに示している。
【0056】
比較応用例2a
水性色調整用溶液(S1)の代わりにC.I.Direct Violet35の10重量%水溶液(重量%はC.I.Direct Violet35水溶液の全重量を基準とする)を使用することのみを相違点として応用例2に記載の通りに比較応用例2aを行った。CIE白色度及び明度を、キャリブレートしたミノルタスペクトロフォトメータで測定する。結果をそれぞれ表3及び表4に示す。これらの結果は、従来技術に属する色調整用染料の使用がより低い白色度レベルを招き、また最大2.2%の明度の大きな損失の原因となることを明らかに示している。
【0057】
比較応用例2b
水性色調整用溶液(S1)の代わりにC.I.Pigment Violet23の10重量%水性分散物(重量%は、C.I.Pigment Violet23水性分散物の全重量を基準にする)を使用したことのみを相違点として、応用例2に記載のように比較応用例2bを行った。CIE白色度及び明度を、キャリブレートしたミノルタスペクトロフォトメータで測定する。結果をそれぞれ表3及び表4に示す。これらの結果は、従来技術に属する色調整用顔料の使用がかなりより低い白色度レベルを招くことを明らかに示している。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】