(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱可塑性マトリックスが、1.0dg/分未満のメルトインデックス(ASTM D−1238、230℃で2.16kg)を特徴とする第1のポリプロピレンおよび10dg/分超のメルトインデックス(ASTM D−1238、230℃で2.16kg)を特徴とする第2のポリプロピレンを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
前記熱可塑性加硫ゴム組成物が、10〜25重量%の前記ゴム、10〜25重量%の熱可塑性マトリックス、25〜38重量%の難燃剤、および2.0〜6.0重量%の前記カーボンブラックを含む、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
前記難燃剤の量が前記熱可塑性加硫ゴム組成物の全重量に対して少なくとも22重量%および35重量%未満であり、前記難燃剤がハロゲン化炭化水素、金属酸化物及びチャー形成材料を含み、前記ハロゲン化炭化水素の量は前記熱可塑性加硫ゴム組成物の全重量に対して9.0〜17.7重量%であり、前記金属酸化物の量は3.0〜5.9重量%であり、前記チャー形成化合物の量は前記熱可塑性加硫ゴム組成物の全重量に対して10.0〜19.2重量%である、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
導入
本発明の実施形態は、少なくとも一部分において、耐候性および耐炎性の両方を有する熱可塑性加硫ゴムの発見に基づいている。特に、有益なことに、耐燃性規格のUL94V2および紫外線(UV)規格のUL746CF1を満たすことができる熱可塑性加硫ゴムを提供するのに難燃剤および十分なカーボンブラックの両方で熱可塑性加硫ゴムを改質できることが見出された。実際、驚くべきことに、これらの熱可塑性加硫ゴムが、難燃剤およびカーボンブラックが存在するにもかかわらず望ましい機械的性質を示すことができること、さらに、これらの望ましい性質を長期間の熱曝露およびUV放射にわたって維持できることが発見された。結果的に、これらの熱可塑性加硫ゴムは、高温、野外用途、例えば、野外照明用のシール、ガスケット、およびホース、ならびに太陽エネルギーを捕捉し転換するデバイスを含めた電気的用途などにおいて使用することができる。さらに、1つまたは複数の実施形態において、カーボンブラック以外のUV安定剤、酸化防止剤等を含まなくてもよい本発明の熱可塑性加硫ゴムが、予想外なことに、カーボンブラック以外のUV安定剤、酸化防止剤等と共に同量の難燃剤を含む熱可塑性加硫ゴムにおいて観察されたものより少ないプレートアウトを示すことが見出された。
【0008】
熱可塑性加硫ゴム組成物
本発明の熱可塑性加硫ゴムは、ゴム相およびプロピレンベースの熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性マトリックスまたは相を含む。これらの熱可塑性加硫ゴムは、熱可塑性加硫ゴムにUV耐性を付与するのに十分な量のカーボンブラックおよび熱可塑性加硫ゴムに耐炎性を付与するのに十分な量の難燃剤材料を含む。1つまたは複数の実施形態において、カーボンブラックおよび難燃剤は、プラスチックマトリックス全体に分散している。他の実施形態において、カーボンブラックおよび難燃剤は、ゴム相全体に分散している。さらに他の実施形態において、カーボンブラックおよび難燃剤は、プラスチックおよびゴム相の両方全体に分散している。熱可塑性加硫ゴムは、熱可塑性加硫ゴムを製造する技術分野において使用し得る他の成分も含み得る。
ゴム構成要素
ゴム相を形成するのに使用し得るゴムは、硬化または架橋することができるポリマーを含む。ゴムへの言及は、2種以上のゴムの混合物を含み得る。ゴムの非限定的な例としては、オレフィン系エラストマーコポリマー、ブチルゴム、およびそれらの混合物が挙げられる。1つまたは複数の実施形態において、オレフィン系エラストマーコポリマーとしては、非共役ジエンモノマーに由来する単位を含有するエチレン−プロピレン−非共役ジエンゴムまたはプロピレンベースのゴム状コポリマーが挙げられる。
【0009】
エチレン−プロピレンゴムという用語は、エチレン、少なくとも1種のα−オレフィンモノマー、および少なくとも1種のジエンモノマーから重合されるゴム状コポリマーを指す。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはそれらの組合せが挙げられる。ジエンモノマーとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン;5−ビニル−2−ノルボルネン;ジビニルベンゼン;1,4−ヘキサジエン;5−メチレン−2−ノルボルネン;1,6−オクタジエン;5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;ジシクロペンタジエン;またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。エチレン、α−オレフィン、およびジエンモノマーから調製されるコポリマーは、複数のα−オレフィンまたはジエンを使用する場合、ターポリマー、またはさらにテトラポリマーと呼ぶことができる。
【0010】
1つまたは複数の実施形態において、エチレン−プロピレンゴムは、約12重量%〜約85重量%、または約20重量%〜約80重量%、または約40〜約70重量%、または約60重量%〜約66重量%のエチレンモノマーに由来するエチレン単位、および約0.1重量%〜約15重量%、または約0.5重量%〜約12重量%、または約1重量%〜約10重量%、または約2重量%〜約8重量%のジエンモノマーに由来するジエン単位を含み、その残部には、α−オレフィンモノマーに由来するα−オレフィン単位(例えば、C
3−C
10オレフィン、例えば、プロピレンなど)が含まれる。モルパーセントで表すと、1つの実施形態のターポリマーは、約0.1〜約5モルパーセント、または約0.5〜約4モルパーセント、または約1〜約2.5モルパーセントのジエンモノマーに由来するジエン単位を含む。ジエンが5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む1つまたは複数の実施形態において、エチレン−プロピレンゴムは、少なくとも1重量%、他の実施形態において少なくとも3重量%、他の実施形態において少なくとも4重量%、他の実施形態において少なくとも5重量%、他の実施形態において約1重量%〜約15重量%、他の実施形態において約5重量%〜約12重量%、および他の実施形態において約7重量%〜約11重量%の5−エチリデン−2−ノルボルネンに由来する単位を含み得る。ジエンが5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む1つまたは複数の実施形態において、エチレン−プロピレンゴムは、少なくとも1重量%、他の実施形態において少なくとも3重量%、他の実施形態において少なくとも4重量%、他の実施形態において少なくとも5重量%、他の実施形態において約1重量%〜約15重量%、他の実施形態において約5重量%〜約12重量%、および他の実施形態において約7重量%〜約11重量%の5−エチリデン−2−ノルボルネンに由来する単位を含み得る。ジエンが5−ビニル−2−ノルボルネンを含む1つまたは複数の実施形態において、エチレン−プロピレンゴムは、少なくとも1重量%、他の実施形態において少なくとも3重量%、他の実施形態において少なくとも4重量%、他の実施形態において少なくとも5重量%、他の実施形態において約1重量%〜約15重量%、他の実施形態において約5重量%〜約12重量%、および他の実施形態において約7重量%〜約11重量%の5−ビニル−2−ノルボルネンに由来する単位を含み得る。
【0011】
1つまたは複数の実施形態において、エチレン−プロピレンゴムは、100,000g/モル超、他の実施形態において200,000g/モル超、他の実施形態において400,000g/モル超、および他の実施形態において600,000g/モル超の重量平均分子量(M
w)を有し得る。これらのまたは他の実施形態において、好ましいエチレン−プロピレンゴムのM
wは、1,200,000g/モル未満、他の実施形態において1,000,000g/モル未満、他の実施形態において900,000g/モル未満、および他の実施形態において800,000g/モル未満である。1つまたは複数の実施形態において、有用なエチレン−プロピレンゴムは、20,000g/モル超、他の実施形態において60,000g/モル超、他の実施形態において100,000g/モル超、および他の実施形態において150,000g/モル超の数平均分子量(M
n)を有する。これらのまたは他の実施形態において、1種または複数の実施形態のエチレン−プロピレンゴムのM
nは、500,000g/モル未満、他の実施形態において400,000g/モル未満、他の実施形態において300,000g/モル未満、および他の実施形態において250,000g/モル未満である。分子量(M
n、M
w、およびM
z)および分子量分布(MWD)を求める技術は、参照により本明細書に組み込む米国特許第4,540,753号、およびそこに列挙されている参考文献、ならびにやはり参照により本明細書に組み込むVerstrateらによるMacromolecules、1988、21巻、3360〜3371頁およびそこに列挙されている参考文献に見られる。
【0012】
1つまたは複数の実施形態において、エチレン−プロピレンゴムは、約10〜約500または約50〜約450のASTM D−1646に準拠したムーニー粘度(ML(125℃で1+4))を有することも特徴とし得る。本明細書において使用する場合、ムーニー粘度は、フォーマット:ローター(測定温度℃での[予熱時間、分]+[剪断時間、分])を使用して報告し、ML(125℃で1+4)は、125℃の温度で1分の予熱時間および4分の剪断時間、ASTM D1646−99に従ってMLすなわち大きいローターを使用して求めたムーニー粘度を示す。
【0013】
別段の指定のない限り、ムーニー粘度は、本明細書において、ASTM D−1646に従ったムーニー単位でML(125℃で1+4)として報告する。しかし、約100超のムーニー粘度値は、一般に、これらの条件下で測定することができない。この場合、より高い温度(すなわち、150℃)および最終的により長い剪断時間(すなわち、125℃または150℃で1+8)を使用することができる。より好ましくは、本明細書における目的のために、ムーニー測定は、非標準の小さいローターを使用して実施する。非標準のローターデザインは、約100超のML(125℃で1+4)ムーニー粘度を有するポリマーと共に使用されるムーニー測定器と同じ測定器の使用を可能にするムーニー尺度の変更と共に使用する。本明細書における目的のために、この変更されたムーニー測定は、MST(小さく薄いムーニー)と呼ぶ。
【0014】
ASTM D1646−99は、ムーニー測定器のキャビティ内で使用するローターの寸法を定めている。この方法は、直径のみが異なる大きいローターおよび小さいローターの両方を認めている。これらの異なるローターは、ASTM D1646−99において、ML(大きいムーニー)およびMS(小さいムーニー)と呼ばれている。しかし、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)は、これらの標準的な規定のローターを使用するとムーニー測定器のトルク限界を上回る恐れがあるような高分子量で製造することができる。これらの場合、試験は、直径が小さく薄くもあるMSTローターを使用して行う。一般に、MSTローターを使用する場合、試験は、また、異なる時定数および温度で行う。予熱時間は、標準的1分から5分に変え、試験は、標準的125℃の代わりに200℃で行う。これらの変更した条件下で得られる値は、本明細書において、MST(200℃で5+4)と呼ぶ。注釈:その最後にムーニー値を読み取る4分という実行時間は、標準的条件と同じままである。MSTを(200℃で5+4)で測定し、MLを(125℃で1+4)で測定する場合、1MSTポイントは、5MLポイントとほぼ等しい。したがって、2つの測定尺度間のおおよその転換の目的のために、MST(200℃で5+4)ムーニー値に5を乗算して、おおよそのML(125℃で1+4)相当値を得る。本明細書において使用するMSTローターは、以下の規格に従って調製し利用した。
【0015】
ローターは、30.48+/−0.03mmの直径および2.8+/−0.03mmの厚さ(鋸歯形状の最上部から求めた)および直径11mm以下のシャフトを有すべきである。
ローターは、鋸歯状の面および縁を有し、約0.8mmの幅および約0.25〜0.38mmの深さの正方形の溝が1.6mmの中心距離で刻まれているべきである。鋸歯形状は、互いに直角であり、それにより正方形クロスハッチを形成している2セットの溝からなる。
ローターは、ローターディスクの中心線が金型キャビティの中心線と+/−0.25mmの誤差で一致するように、金型キャビティの中心に位置しているべきである。シャフトを中間点まで上昇させるためにスペーサーまたはシムを使用することができ、これは、ムーニー測定に関する技術分野において一般的な慣習と調和する。
【0016】
摩耗点(ローターの上面の中心に位置する円錐形の突起)は、ローターの面から平坦に機械加工すべきである。
多様なポリマー組成物のムーニー粘度を本明細書のポリマーのブレンドに関して求めることができる。ブレンドの特定の構成要素のムーニー粘度は、本明細書において、(1)に示す関係を使用して得る。
log ML=n
A log ML
A+n
B log ML
B (1)
式中、全ての対数は10を底とするものであり、MLは、それぞれが個々のムーニー粘度ML
AおよびML
Bを有する2種のポリマーAおよびBのブレンドのムーニー粘度であり、n
Aは、ブレンド中のポリマーAの重量%比を表し、n
Bは、ブレンド中のポリマーBの重量%比を表す。
本開示において、等式(1)は、(125℃で1+4)条件下で測定可能なムーニー粘度を有する高ムーニー粘度ポリマー(A)および低ムーニー粘度ポリマー(B)を含むブレンドのムーニー粘度を求めるのに使用している。ML、ML
Aおよびn
Aが分かれば、ML
Bの値を算出することができる。
【0017】
しかし、高ムーニー粘度ポリマー[すなわち、100超のML(125℃で1+4)のムーニー粘度]については、ML
Aは、上記のMSTローターを使用して測定する。次いで、上記等式1を使用してブレンド中の低分子量ポリマーのムーニー粘度を求め、ここで、ML
Aは、以下の相関(2)を使用して求める。
ML
A(125℃で1+4)=5.13
*MST
A(200℃で5+4)(2)
1つまたは複数の実施形態において、エチレン−プロピレンゴムは、ASTM D−1601に準拠して135℃のデカリン中で測定すると約1〜約8dl/g、または約3〜約7dl/g、または約4〜約6.5dl/gの内因性粘度を有することを特徴とし得る。
1つまたは複数の実施形態において、エチレン−プロピレンゴムは、ASTM E−1356に従って示差走査熱量測定(DSC)により求めると−20℃未満、他の実施形態において−30℃未満、他の実施形態において−50℃未満、および他の実施形態において約−20〜約−60℃のガラス転移温度(T
g)を特徴とし得る。
【0018】
エチレン−プロピレンゴムは、様々な技術を使用することにより製造または合成することができる。例えば、これらのコポリマーは、様々な触媒系を使用する溶液、スラリー、または気相重合技術を使用することにより合成することができる。代表的な触媒としては、Ziegler−Natta系、例えば、バナジウム触媒を含むものなど、およびIV〜VI族のメタロセンを含む拘束幾何触媒を含めたシングルサイト触媒が挙げられる。エラストマーコポリマーは、Vistalon(商標)(ExxonMobil Chemical Co.;Houston、Texas)、Keltan(商標)(DSM Copolymers)、Nordel(商標)IP(Dow)、NORDEL MG(商標)(Dow)、Royalene(商標)(Lion Copolymer)およびBuna(商標)(Lanxess)という商品名で市販されている。
【0019】
熱可塑性樹脂/マトリックス
熱可塑性相を形成するのに使用し得る熱可塑性樹脂は、当技術分野において教示されている熱可塑性加硫ゴムの製造において使用されてきた熱可塑性ポリマーを含む。本明細書の目的のために、以下の記述は、第2の熱可塑性樹脂にも適用することができる。例えば、熱可塑性樹脂または非官能化熱可塑性物質と呼ぶことができるこれらの熱可塑性ポリマーとしては、固体の、一般に高分子量のプラスチック樹脂を挙げ得る。代表的な熱可塑性ポリマーとしては、結晶質、半結晶質、および結晶化可能なポリオレフィン、オレフィンコポリマー、および非オレフィン樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、エチレンまたはα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、およびそれらの混合物などを重合することにより形成することができる。エチレンおよびプロピレンならびにエチレンおよび/またはプロピレンと別のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンまたはそれらの混合物などとのコポリマーも意図している。特に挙げられるのは、プロピレンとエチレンまたは上記のより高級なα−オレフィンと、またはC
10−C
20ジオレフィンとのリアクター、インパクト、およびランダムコポリマーである。これらのプロピレンコポリマーのコモノマー含量は、例えば、参照により本明細書に組み込む米国特許第6,867,260 B2号と同様に、該ポリマーの1%〜約30重量%とすることができる。VISTAMAXX(商標)(ExxonMobil)という商品名で入手可能なコポリマーが特に挙げられる。他のポリオレフィンコポリマーとしては、オレフィンとスチレンのコポリマー、例えば、スチレン−エチレンコポリマーなど、またはオレフィンとα,β−不飽和酸、もしくはα,β−不飽和エステルのポリマー、例えば、ポリエチレン−アクリレートコポリマーなどを挙げ得る。非オレフィン熱可塑性ポリマーとしては、スチレン、α,β−不飽和酸、α,β−不飽和エステル、およびそれらの混合物のポリマーおよびコポリマーを挙げ得る。例えば、ポリスチレン、ポリアクリレート、およびポリメタクリレートを使用することができる。本明細書に記載のものなど、または他のポリマー改質剤を用いた2種以上のポリオレフィン熱可塑性物質のブレンドまたは混合物も本発明において好適である。有用な熱可塑性ポリマーとしては、インパクトおよびリアクターコポリマーも挙げ得る。
【0020】
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性樹脂は、プロピレンの重合に由来する単位を主に含む固体の一般に高分子量のプラスチック樹脂のものを含めたプロピレンベースのポリマーを含む。特定の実施形態において、プロピレンベースのポリマーの単位の少なくとも75%、他の実施形態において少なくとも90%、他の実施形態において少なくとも95%、および他の実施形態において少なくとも97%がプロピレンの重合に由来する。特定の実施形態において、これらのポリマーとしては、プロピレンのホモポリマーが挙げられる。
特定の実施形態において、プロピレンベースのポリマーは、エチレンおよび/またはα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、およびそれらの混合物などの重合に由来する単位も含み得る。
【0021】
1つまたは複数の実施形態において、プロピレンベースのポリマーは、半結晶質ポリマーを含み得る。1つまたは複数の実施形態において、これらのポリマーは、少なくとも25重量%、他の実施形態において少なくとも55重量%、他の実施形態において少なくとも65%、および他の実施形態において少なくとも70重量%の結晶化度を特徴とし得る。結晶化度は、試料の融解熱を100%結晶質ポリマーの融解熱で除算することにより求めることができ、融解熱は、ポリプロピレンについては209ジュール/グラムであると仮定する。1つまたは複数の実施形態において、これらのポリマーは、少なくとも52.3J/g、他の実施形態において100J/g超、他の実施形態において125J/g超、および他の実施形態において140J/g超のHfを特徴とし得る。
【0022】
1つまたは複数の実施形態において、有用なプロピレンベースのポリマーは、約50〜約2,000kg/モル、および他の実施形態において約100〜約600kg/モルのM
wを特徴とし得る。それらは、ポリスチレン標準物質を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定すると約25〜約1,000kg/モル、および他の実施形態において約50〜約300kg/モルのM
nも特徴とし得る。
1つまたは複数の実施形態において、有用なプロピレンベースのポリマーは、100dg/分未満、他の実施形態において50dg/分未満、他の実施形態において10dg/分未満、および他の実施形態において5dg/分未満のMFR(ASTM D−1238、230℃で2.16kg)を有し得る。これらのまたは他の実施形態において、プロピレンベースのポリマーは、少なくとも0.1dg/分、他の実施形態において0.2dg/分および他の実施形態において少なくとも0.5dg/分のMFRを有し得る。
【0023】
1つまたは複数の実施形態において、有用なプロピレンベースのポリマーは、約110℃〜約170℃、他の実施形態において約140℃〜約168℃、および他の実施形態において約160℃〜約165℃の溶融温度(T
m)を有し得る。それらは、約−10℃〜約10℃、他の実施形態において約−3℃〜約5℃、および他の実施形態において約0℃〜約2℃のガラス転移温度(T
g)を有し得る。1つまたは複数の実施形態において、それらは、少なくとも約75℃、他の実施形態において少なくとも約95℃、他の実施形態において少なくとも約100℃、および他の実施形態において少なくとも105℃の結晶化温度(T
c)を有することができ、1つの実施形態については105°〜130℃の範囲である。
プロピレンベースのポリマーは、従来のZiegler−Nattaタイプ重合、およびメタロセン触媒などが挙げられるがこれに限定されないシングルサイト有機金属触媒を使用する触媒が挙げられるがこれに限定されない当技術分野において知られている適切な重合技術を使用することにより合成することができる。
【0024】
特定の実施形態において、プロピレンベースのポリマーとしては、高結晶化度アイソタクチックまたはシンジオタクチックポリプロピレンのホモポリマーが挙げられる。このポリプロピレンは、約0.89〜約0.91g/ccの密度を有することができ、大部分がアイソタクチックなポリプロピレンは、約0.90〜約0.91g/ccの密度を有する。また、わずかなメルトフローレイトを有する高および超高分子量ポリプロピレンを使用することができる。1つまたは複数の実施形態において、ポリプロピレン樹脂は、10dg/分以下、他の実施形態において1.0dg/分以下、および他の実施形態において0.5dg/分以下のMFR(ASTM D−1238;230℃で2.16kg)を特徴とし得る。
【0025】
カーボンブラック
1つまたは複数の実施形態において、有用なカーボンブラックは、ASTMD−3849に従って定量化することができるその粒径に基づいて特徴付けることができる。1つまたは複数の実施形態において、本発明の実施において使用するカーボンブラックは、65nm未満、他の実施形態において45nm未満、および他の実施形態において35nm未満、他の実施形態において25nm未満、および他の実施形態において20nm未満の粒径を有し得る。これらのまたは他の実施形態において、カーボンブラックは、約12nm〜約40nm、または他の実施形態において約15nm〜約30nmの粒径を有し得る。
【0026】
1つまたは複数の実施形態において、有用なカーボンブラックは、BET窒素吸収により定量化することができるその表面積に基づいて特徴付けることができる。1つまたは複数の実施形態において、本発明の実施において使用するカーボンブラックは、少なくとも75、他の実施形態において少なくとも100、および他の実施形態において少なくとも200m
2/gの表面積を有し得る。これらのまたは他の実施形態において、カーボンブラックは、約100〜約300または他の実施形態において約150〜約250m
2/gの表面積を有し得る。
1つまたは複数の実施形態において、有用なカーボンブラックは、ASTMD−1510に従って定量化することができるそのヨウ素吸着数に基づいて特徴付けることができる。1つまたは複数の実施形態において、本発明の実施において使用するカーボンブラックは、少なくとも100、他の実施形態において少なくとも120、および他の実施形態において少なくとも130mg/gのヨウ素吸収を有し得る。これらのまたは他の実施形態において、カーボンブラックは、170未満、他の実施形態において160未満、および他の実施形態において150mg/g未満のヨウ素吸着を有し得る。
【0027】
難燃剤
該組成物は、難燃剤を、熱可塑性加硫ゴムの全重量に対して、例えば、少なくとも約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、または30重量%の量などで、好ましくは約50重量%、約40重量%、または約35重量%の上限で含み得る。1つの好ましい実施形態において、難燃剤は、熱可塑性加硫ゴムの約28〜約35重量%の量である。
1つまたは複数の実施形態において、3部構成の難燃性充填剤パッケージを使用する。この3部系には、ハロゲン化有機化合物、金属酸化物、および非ハロゲン化難燃剤が含まれる。1つまたは複数の実施形態において、非ハロゲン化難燃剤は、膨張性材料と呼ぶこともできるチャー形成難燃剤を含む。
ハロゲン化有機化合物の種類としては、ハロゲン化炭化水素、例えば、塩素化および/または臭素化フェニル含有化合物などが挙げられる。塩素含有難燃剤の例としては、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、およびペルクロロシクロペンタデカンが挙げられる。臭素含有難燃剤の例としては、ヘキサブロモベンゼン、n−エチレン−ビスジブロモノルボルナン−ジカルボキシイミド、エチレン−ビステトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノール−A誘導体、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモジペンタエリスリトール、臭素化シクロペンタジエン(cyctopentadieno)、およびデカブロモジフェニルエタンが挙げられる。
【0028】
1つまたは複数の実施形態において、金属酸化物としては、ハロゲン化有機化合物と相乗的に作用する金属酸化物が挙げられる。有用な金属酸化物の一例は、三酸化アンチモンである。他の実施形態において、酸化アンチモンゾルおよびSb(v)エステルの塩を使用することができる。
1つまたは複数の実施形態において、膨張性材料としては、拡張し、下部の材料と周囲の環境との間の障壁としてチャー層を形成する材料が挙げられ、このチャー層は、ほとんど燃焼せず、下部の材料を絶縁し、燃焼から保護する。膨張性材料は、加熱下での化学反応の結果としての、または主に膨張性材料内の構成要素の配置が原因で発生する物理的反応による膨張により機能すると考えられている。膨張性またはチャー形成材料の例としては、ホウ酸亜鉛水和物、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、または炎および多価アルコール、例えば、トリヒドロキシアルコールおよびテトラヒドロキシアルコールなどに曝露されると大量のチャーを形成する他の炭水化物が挙げられる。
【0029】
特定の実施形態において、デカブロモジフェニルエタン、三酸化アンチモン、およびホウ酸亜鉛水和物の組合せを使用する。
油
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴムは、鉱油、合成油、またはそれらの組合せを含み得る。これらの油は、可塑剤または増量剤と呼ぶこともできる。鉱油としては、芳香族、ナフテン系、パラフィン系、およびイソパラフィン系油を挙げ得る。1つまたは複数の実施形態において、鉱油は、処置されていても未処理でもよい。有用な鉱油は、SUNPAR(商標)(Sun Chemicals)という商品名で得ることができる。その他のものは、PARALUX(商標)(Chevron)という商品名で入手可能である。
【0030】
1つまたは複数の実施形態において、合成油は、イソブテン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、およびそれらの混合物を含めたブテンのポリマーおよびオリゴマーを含む。1つまたは複数の実施形態において、これらのオリゴマーは、約300g/モル〜約9,000g/モル、および他の実施形態において約700g/モル〜約1,300g/モルの数平均分子量(M
n)を特徴とし得る。1つまたは複数の実施形態において、これらのオリゴマーは、イソブテニル繰り返し単位含む。代表的な合成油としては、ポリイソブチレン、ポリ(イソブチレン−co−ブテン)、およびそれらの混合物が挙げられる。1つまたは複数の実施形態において、合成油としては、ポリ線状α−オレフィン、ポリ分岐鎖状α−オレフィン、水素化ポリアルファオレフィン、およびそれらの混合物を挙げ得る。
1つまたは複数の実施形態において、合成油は、約20cp超、他の実施形態において約100cp超、および他の実施形態において約190cp超の粘度を有する合成ポリマーまたはコポリマーを含み、その粘度は、38℃でASTM D−4402に従ってBrookfield粘度計により測定する。これらのまたは他の実施形態において、これらの油の粘度は、4,000cp未満、および他の実施形態において1,000cp未満とすることができる。
有用な合成油は、Polybutene(商標)(Soltex;Houston、Texas)、およびIndopol(商標)(Innouvene)という商品名で商業的に得ることができる。白色合成油は、SPECTRASYN(商標)(ExxonMobil)(以前のSHF Fluids(Mobil))という商品名で入手可能である。参照により本明細書に組み込む米国特許第5,936,028号に記載されている油も使用することができる。合成油は、低温性能の強化を実現し得ると考えられている。また、分子構造に基づいて高温性能を強化することができる。
【0031】
1つまたは複数の実施形態において、エキステンダー油は、参照により本明細書に組み込む米国特許第5,290,866号および同第5,397,832号に開示されているものを含めた有機エステル、アルキルエーテル、またはそれらの組合せを含み得る。1つまたは複数の実施形態において、有機エステルおよびアルキルエーテルエステルは、一般に約10,000未満の分子量を有し得る。1つまたは複数の実施形態において、適切なエステルは、約2,000未満、および他の実施形態において約600未満の平均分子量を有するモノマーおよびオリゴマー材料を含む。1つまたは複数の実施形態において、該エステルは、該組成物のポリアルファオレフィンおよびゴム構成要素の両方と相溶性または混和性とすることができ、すなわち、それらは、他の構成要素と混合して単一相を形成することができる。1つまたは複数の実施形態において、該エステルとしては、脂肪族モノもしくはジエステル、あるいは代わりにオリゴマー脂肪族エステルまたはアルキルエーテルエステルが挙げられる。1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴムは、ポリマー脂肪族エステルおよび芳香族エステル、ならびにホスフェートエステルを含まない。
【0032】
ポリシロキサン
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴムは、ポリシロキサン添加剤を含み得る。ポリシロキサンは、有益なことに、加工の改善、例えば、より良好な金型充填、押出機トルクの減少、内部潤滑、離型および早いスループットなどを実現することができ、ならびに/あるいは表面の特徴の改質、例えば、潤滑性の向上、滑りの低下、摩擦係数の低下、ならびに擦傷および耐摩耗性の向上などを行うことができる。一部の実施形態において、ポリシロキサンは、高分子量ポリシロキサンであるか、または高分子量ポリシロキサンを含む。さらなる実施形態において、ポリシロキサンは、超高分子量ポリジアルキルシロキサンであるか、または超高分子量ポリジアルキルシロキサンを含む。適切なポリジアルキルシロキサンの一部の非限定的な例としては、C
1-4アルキル基を有するポリジアルキルシロキサン、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサンおよびポリジブチルシロキサンなどが挙げられる。特定の実施形態において、ポリシロキサン添加剤は、超高分子量ポリジアルキルシロキサンとポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンもしくはそれらの組合せなどの混合物であるか、またはそれを含む。そのようなポリシロキサン混合物の一部の非限定的な例としては、DOW CORNING.RTM. MB50シリーズのマスターバッチ、例えば、DOW CORNING.RTM. MB50−001、MB50−002、MB50−313、MB50−314およびMB50−321などが挙げられ、これらは、全て、Dow Corning Corporation、Midland、Mich.から入手可能である。
【0033】
ポリマー加工添加剤
特定の実施形態において、熱可塑性加硫ゴムは、ポリマー加工添加剤を含み得る。該加工添加剤は、非常に高いメルトフローインデックスを有するポリマー樹脂とすることができる。これらのポリマー樹脂は、約500dg/分超、他の実施形態において約750dg/分超、他の実施形態において約1000dg/分超、他の実施形態において約1200dg/分超、および他の実施形態において約1500dg/分超のメルトフローレイトを有する線状および分岐鎖状ポリマーの両方を含む。様々な分岐鎖状または様々な線状のポリマー加工添加剤の混合物、ならびに線状および分岐鎖状のポリマー加工添加剤の両方の混合物を使用することができる。ポリマー加工添加剤への言及は、別段の指定のない限り、線状および分岐鎖状の添加剤の両方を含み得る。線状のポリマー加工添加剤としてはポリプロピレンホモポリマーが挙げられ、分岐鎖状のポリマー加工添加剤としてはジエン改質ポリプロピレンポリマーが挙げられる。同様の加工添加剤を含む熱可塑性加硫ゴムは、参照により本明細書に組み込む米国特許第6,451,915号に開示されている。
【0034】
他の成分
ゴム、熱可塑性樹脂、および任意選択の加工添加剤に加えて、本発明の熱可塑性加硫ゴムは、1種または複数のプロセス油(芳香族、パラフィン系およびナフテン系鉱油)、相溶化剤、焼成クレー、カオリンクレー、ナノクレー、タルク、シリケート、カーボネート、スルフェート、カーボンブラック、砂、ガラスビーズ、鉱物骨材、ウォラストナイト、雲母、ガラス繊維、他の充填剤、色素、着色剤、染料、カーボンブラック、分散剤、難燃剤、酸化防止剤、導電粒子、UV阻害剤、UV安定剤、定着促進剤、脂肪酸、エステル、パラフィンワックス、中和剤、金属不活性化剤、粘着性付与剤、ステアリン酸カルシウム、乾燥剤、安定剤、光安定剤、吸光剤、シランおよびチタネートを含めたカップリング剤、可塑剤、潤滑剤、ブロッキング剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、ワックス、発泡剤、核剤、スリップ剤、酸掃去剤、アジュバント、界面活性剤、結晶化助剤、ポリマー添加剤、脱泡剤、保存剤、増粘剤、レオロジー改質剤、湿潤剤、加硫/架橋/硬化剤、加硫/架橋/硬化促進剤、硬化遅延剤、強化および非強化充填剤ならびにそれらの組合せ、ならびにゴム配合の技術分野において知られている他の加工助剤を含んでもよい。これらの添加剤は、総組成物の最大で約50重量パーセントを構成し得る。利用し得る充填剤および増量剤としては、従来の無機物、例えば、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、タルク、二酸化チタン、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0035】
特定の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、カーボンブラック以外のフェノール含有UV阻害剤、UV安定剤、および酸化防止剤、ならびにヒンダードアミン光安定剤が挙げられるがこれらに限定されないUV阻害剤、UV安定剤、および酸化防止剤を含まない、本質的に含まない、または実質的に含まない。実質的に含まないとは、熱可塑性加硫ゴム組成物、その製造、または使用に対して有害な影響を有する量の添加剤(例えば、UV阻害剤)が存在しないことを指す。本質的に含まないとは、添加剤がわずかな量しか存在しないことを指す。1つまたは複数の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴム組成物は、2重量%未満、他の実施形態において1重量%未満、他の実施形態において0.5重量%未満、他の実施形態において0.1重量%未満、および他の実施形態において0.05重量%未満のカーボンブラック以外のUV阻害剤、UV安定剤、酸化防止剤、またはヒンダードアミン光安定剤を含む。
【0036】
量
1つまたは複数の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴムは、物質のゴム状組成物を形成するのに十分な量のゴムを含有し得る。当業者は、物質のゴム状組成物としては、100パーセント超の極限伸びを有し、それらの元の長さの200パーセントまで延伸され、それらの元の長さの200パーセントで約10分保持された後、約10分以内にそれらの元の長さの150パーセント以下まで急速に収縮するものが挙げられることを理解しよう。
したがって、1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴムは、熱可塑性加硫ゴムの総重量に対して少なくとも約25重量%、他の実施形態において少なくとも約45重量%、他の実施形態において少なくとも約65重量%、および他の実施形態において少なくとも約75重量%のゴム(すなわち、動的加硫ゴム)を含み得る。これらのまたは他の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム内のゴムの量は、ゴムおよび熱可塑性物質を合わせた全重量に対して約10〜約25重量%、約12〜約20重量%、15〜約90重量%、他の実施形態において約45〜約85重量%、および他の実施形態において約60〜約80重量%とすることができる。
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム内の熱可塑性ポリマー(すなわち、熱可塑性相内の未硬化のポリマー)の量は、ゴムおよび熱可塑性物質を合わせた全重量に対して約10〜約85重量%、他の実施形態において約10〜約40重量%、および他の実施形態において約12〜約30重量%とすることができる。これらのまたは他の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム内の熱可塑性ポリマーの量は、ゴム100重量部当たり約25〜約250重量部、他の実施形態において約50〜約150重量部、および他の実施形態において約60〜約100重量部の熱可塑性ポリマーとすることができる。
【0037】
油に関して、熱可塑性加硫ゴムは、ゴム100部当たり約25〜約250重量部、または約50〜約150重量部、または約75〜約130重量部のエキステンダー油を含み得る。添加するエキステンダー油の量は、所望の性質次第とすることができ、上限は、特定の油およびブレンド成分の相溶性次第であり、エキステンダー油の過剰な浸出が発生するとこの上限を超える。エキステンダー油の量は、少なくとも一部分において、ゴムの種類次第とすることができる。粘度が高いゴムほど油展できる。
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム内のカーボンブラックの量は、該組成物の全重量に対して定量化することができる。1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して少なくとも1.5重量%、他の実施形態において少なくとも2.0重量%、および他の実施形態において少なくとも3.0重量%のカーボンブラックを含む。これらのまたは他の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して約2.0〜約6.0、または他の実施形態において約2.0〜約4.0重量%、または約2.〜約4.0重量%のカーボンブラックを含み得る。
【0038】
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム内のデカブロモジフェニルエタンの量は、該組成物の全重量に対して定量化することができる。1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して少なくとも2.0重量%、他の実施形態において少なくとも2.5重量%、および他の実施形態において少なくとも3.0重量%のデカブロモジフェニルエタンを含む。これらのまたは他の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して約2.0〜約6.5、または他の実施形態において約3.0〜約6.0重量%のデカブロモジフェニルエタンを含み得る。
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム内の三酸化アンチモンの量は、該組成物の全重量に対して定量化することができる。1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して少なくとも4.0重量%、他の実施形態において少なくとも5.0重量%、および他の実施形態において少なくとも6.0重量%の三酸化アンチモンを含む。これらのまたは他の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して約4.0〜約13.0、または他の実施形態において約6.0〜約12.0重量%の三酸化アンチモンを含み得る。
【0039】
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム内のホウ酸亜鉛水和物の量は、該組成物の全重量に対して定量化することができる。1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して少なくとも8.0重量%、他の実施形態において少なくとも10.0重量%、および他の実施形態において少なくとも15.0重量%のホウ酸亜鉛水和物を含む。これらのまたは他の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して約8.0〜約25.0、または他の実施形態において約12.0〜約20.0重量%ホウ酸亜鉛水和物を含み得る。
【0040】
1つまたは複数の実施形態において、予想外なことに、3種の難燃剤の相乗的なバランスにより有益な結果がもたらされることを発見した。これらの実施形態において、有益な結果は、ハロゲン化化合物(x)、金属酸化物(y)、およびチャー形成材料(z)の総量により表す難燃剤使用量の合計が、少なくとも25重量%、他の実施形態において少なくとも28重量%、および他の実施形態において少なくとも30重量%である場合に得られ、これらのまたは他の実施形態において、x、y、およびzの合計は、40重量%未満、他の実施形態において38重量%未満、および他の実施形態において35重量%未満である。これらの実施形態において、ハロゲン化化合物(例えば、デカブロモジフェニルエタン)の量xは、約2〜約7重量%、および他の実施形態において約3〜約6重量%であり、金属酸化物(例えば、三酸化アンチモン)の量yは、約2x〜約5x(すなわち、ハロゲン化化合物の2〜5倍の量)、または他の実施形態において約3x〜約4xであり、チャー形成化合物(例えば、ホウ酸亜鉛水和物)の量は、約8〜約25重量%、他の実施形態において約10〜約20重量%、または他の実施形態において約12〜約18重量%であり、前述の重量パーセンテージは、熱可塑性加硫ゴム組成物の合計重量に対するものである。
【0041】
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム内のポリシロキサンの量は、該組成物の全重量に対して定量化することができる。1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して少なくとも1重量%、他の実施形態において少なくとも2重量%、および他の実施形態において少なくとも3重量%のポリシロキサンを含む。これらのまたは他の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、該組成物の全重量に対して約1〜約6、または他の実施形態において約2〜約5重量%のポリシロキサンを含み得る。
【0042】
動的加硫
ゴムは、当技術分野において知られている様々な硬化系を使用することにより動的加硫することができる。例えば、フェノール樹脂、ヒドロシリル化(ケイ素含有硬化系として知られている)、および遊離基硬化系を使用することができる。
有用なフェノール硬化系は、参照により本明細書に組み込む米国特許第2,972,600号、同第3,287,440号、同第5,952,425号および同第6,437,030号に開示されている。1つまたは複数の実施形態において、フェノール樹脂硬化剤は、レゾール樹脂を含み、これは、アルカリ性の媒体におけるアルキル置換フェノールもしくは非置換フェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合により、または二官能性フェノールジアルコールの縮合により製造することができる。アルキル置換フェノールのアルキル置換基は、1〜約10個の炭素原子を含有し得る。1〜約10個の炭素原子を含有するアルキル基によりパラ位で置換されているジメチロールフェノールまたはフェノール樹脂を使用することができる。一実施形態において、オクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよびノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂のブレンドを使用する。該ブレンドは、約25〜約40重量%のオクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよび約75〜約60重量%のノニルフェノール−ホルムアルデヒドを含み、他の実施形態において、該ブレンドは、約30〜約35重量%のオクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよび約70〜約65重量%のノニルフェノール−ホルムアルデヒドを含む。一実施形態において、該ブレンドは、約33重量%のオクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよび約67重量%のノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含み、オクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよびノニルフェノール−ホルムアルデヒドの各々はメチロール基を含む。このブレンドは、相分離を起こすことなく約30%の固形分でパラフィン系油に溶解することができる。
【0043】
有用なフェノール樹脂は、SP−1044、SP−1045(Schenectady International;Schenectady、N.Y.)という商品名で得ることができ、これは、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂と呼ぶことができる。SP−1045は、メチロール基を含有するオクチルフェノールおよびノニルフェノールホルムアルデヒド樹脂のブレンドであると考えられている。SP−1044およびSP−1045樹脂は、ハロゲン置換基または残留するハロゲン化合物を本質的に含まないと考えられている。ハロゲン置換基を本質的に含まないとは、該樹脂の合成により、微量のハロゲン含有化合物のみを含有する非ハロゲン化樹脂が得られることを意味する。
フェノール樹脂硬化剤の一例としては、一般式
【0044】
【化1】
に従って定義されるものが挙げられ、
式中、Qは、−−CH
2−−、−−CH
2−−O−−CH
2−−からなる群から選択される二価ラジカルであり、mは、ゼロまたは1〜20の正の整数であり、R’は、有機基である。一実施形態において、Qは、二価ラジカル−−CH
2−−O−−CH
2−−であり、mは、ゼロまたは正の整数1〜10であり、R’は、20個未満の炭素原子を有する有機基である。他の実施形態において、mは、ゼロまたは正の整数1〜10であり、R’は、4と12個の間の炭素原子を有する有機ラジカルである。
【0045】
1つまたは複数の実施形態において、フェノール樹脂は、ゴム100重量部当たり約2〜約6重量部、他の実施形態において約3〜約5重量部、および他の実施形態において約4〜約5重量部の量で使用することができる。相補量の塩化第一スズは、ゴム100重量部当たり約0.5〜約2.0重量部、他の実施形態において約1.0〜約1.5重量部、および他の実施形態において約1.2〜約1.3重量部を含み得る。それらと併せて約0.1〜約6.0重量部、他の実施形態において約1.0〜約5.0重量部、および他の実施形態において約2.0〜約4.0重量部の酸化亜鉛を使用することができる。1つまたは複数の実施形態において、フェノール系硬化剤と共に使用するオレフィン系ゴムは、5−エチリデン−2−ノルボルネンに由来するジエン単位を含む。
【0046】
ケイ素含有硬化系は、少なくとも2個のSiH基を有するケイ素ヒドリド化合物を含み得る。本発明の実施において有用なケイ素ヒドリド化合物としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンジメチルシロキサンコポリマー、アルキルメチル−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカン、ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
ヒドロシリル化に有用な触媒としては、VIII族の遷移金属が挙げられるが、これらに限定されない。これらの金属としては、パラジウム、ロジウム、および白金、ならびにこれらの金属の錯体が挙げられるが、これらに限定されない。有用なケイ素含有硬化剤および硬化系は、米国特許第5,936,028号に開示されている。
【0047】
1つまたは複数の実施形態において、シラン含有化合物は、ゴム100重量部当たり約0.5〜約5.0重量部、他の実施形態において約1.0〜約4.0重量部、および他の実施形態において約2.0〜約3.0重量部の量で使用することができる。相補量の触媒は、ゴム百万重量部当たり約0.5〜約20.0部、他の実施形態において約1.0〜約5.0部、および他の実施形態において約1.0〜約2.0部の金属を含み得る。1つまたは複数の実施形態において、ヒドロシリル化硬化剤と共に使用するオレフィン系ゴムは、5−ビニル−2−ノルボルネンに由来するジエン単位を含む。
1つまたは複数の実施形態において、本発明の実施において使用する硬化系は、遊離基硬化剤および架橋助剤を含む。遊離基硬化剤は、過酸化物、例えば、有機過酸化物などを含む。有機過酸化物の例としては、ジ−tert−ブチル過酸化物、ジクミル過酸化物、t−ブチルクミル過酸化物、α,α−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(DBPH)、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4−4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル過酸化物、ラウロイル過酸化物、ジラウロイル過酸化物、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、ジアリール過酸化物、ケトン過酸化物、ペルオキシジカルボネート、ペルオキシエステル、ジアルキル過酸化物、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタールおよびそれらの混合物を使用することができる。
【0048】
熱可塑性加硫ゴムの動的加硫において有用な過酸化物およびそれらの使用方法は、米国特許実務の目的のために参照により本明細書に組み込む米国特許第5,656,693号に開示されている。
1つまたは複数の実施形態において、架橋助剤は、多官能性アクリレートエステル、多官能性メタクリレートエステル、またはそれらの組合せを含む。換言すると、架橋助剤は、2個以上の有機アクリレートまたはメタクリレート置換基を含む。
【0049】
多官能性アクリレートの例としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エトキシレート化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ビストリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシレート化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシレート化ペンタエリスリトールトリアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、またはそれらの組合せが挙げられる。
多官能性メタクリレートの例としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0050】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、架橋助剤は、担体と共にブレンドまたはブレンドの成分に提供する。1つまたは複数の実施形態において、架橋助剤をブレンドまたはブレンドの成分に提供するステップは、架橋助剤をブレンドまたはブレンドの成分に投入、添加、混合、供給、射出、および/または送達するステップを含み得る。1つまたは複数の実施形態において、架橋助剤および担体は、連続混合装置に反応器の供給口で添加することができる。他の実施形態において、架橋助剤および担体は、供給口の後(ただし、動的加硫が達成される位置の前)の様々なバレルセクションまたは位置内で添加することができる。これらのまたは他の実施形態において、架橋助剤および担体は、連続混合反応器の長さの最初の50%以内で添加することができる。架橋助剤および担体は、単一の位置または複数の位置で連続反応器に連続的に供給することができる。架橋助剤および担体供給量の計量は、一定の速度でまたは漸進的に行うことができる。架橋助剤を最初にブレンドの成分に提供する場合、架橋助剤、担体、およびブレンドの1種または複数の成分を用いてマスターバッチを形成することができる。例えば、架橋助剤および担体は、熱可塑性樹脂をゴムとブレンドする前に、ゴムおよび/または熱可塑性樹脂と予めブレンドすることができる。
【0051】
1つまたは複数の実施形態において、担体は、固形物、すなわち、標準的条件で固体である材料を含む。これらの固体としては、微粒子材料を挙げ得る。1つまたは複数の実施形態において、これらの固体としては、架橋助剤の不存在下で熱可塑性加硫ゴムの他の成分または構成成分に対して非反応性の化合物を挙げ得る。1つまたは複数の実施形態において、担体は、非酸性であり、これらのまたは他の実施形態において、酸性度を低減するように担体を処理することができる。
【0052】
1つまたは複数の実施形態において、担体は、シリカ、シリケート、またはそれらの組合せを含み得る。シリカは、沈殿シリカ、非晶質のヒュームドシリカ、溶融シリカ、シリカゲル、および/またはそれらの混合物を含み得る。シリケートとしては、ケイ素、酸素、および水素を有するかまたは有していない1種または複数の金属を含有する化合物を挙げ得る。合成および天然シリケートの両方を1つまたは複数の実施形態において使用することができる。天然シリケートの例としては、半貴石、緑柱石(berly)、石綿、タルク、クレー、長石、雲母、およびそれらの混合物が挙げられる。合成シリケートの一例としては、ケイ酸ナトリウムが挙げられる。シリケートの例としては、鉄アルミン酸四カルシウム(tetracalcium aluminoferrate)、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、メタケイ酸カルシウム、およびそれらの混合物が挙げられる。他の有用なシリケートとしては、水和ケイ酸アルミニウムが挙げられ、これは、クレーと呼ぶこともできる。代表的なクレーとしては、カオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト(atapulgite)、イライト、ベントナイト、ハロイサイト、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに他の有用なシリケートとしては、水和ケイ酸マグネシウムが挙げられ、これは、タルクと呼ぶことができる。代表的なタルクとしては、タルカム、石鹸石、ステアタイト、セロライト、マグネシウムタルク、ステアタイト塊、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
動的加硫プロセス
1つまたは複数の実施形態において、本発明の方法は、熱可塑性樹脂とのブレンド内のゴムの動的加硫を含む。当業者が理解しているように、動的加硫は、熱可塑性樹脂との混合されるゴムがそれにより硬化されるプロセスを含む。1つまたは複数の実施形態において、ゴムは、熱可塑性樹脂の融点を上回る温度で高剪断の条件下で架橋または加硫することができる。該プロセスの結果として、熱可塑性相は、混合物の連続相となる。1つまたは複数の実施形態において、ゴム相は、混合物の不連続相となる。1つまたは複数の実施形態において、ゴムは、動的加硫の間に転相され、最初は体積割合の大部分のゴムを含むブレンドが、プラスチック相が連続相のブレンドに転換される。一実施形態において、ゴムは、細かい粒子として熱可塑性マトリックス内に同時に架橋および分散し得るが、他の形態も存在し得る。
一般に、動的加硫は反応器内で行う。1つまたは複数の実施形態において、ゴムおよび熱可塑性樹脂は、固体として反応器に導入する。次いで、ゴムおよびプラスチックは、熱可塑性樹脂の溶融温度を上回る温度で混合する。この最初のブレンディングの後、硬化剤をブレンドに導入すると、ゴムの硬化が進展する。油は、加硫または転相ステップの前、最中、および後の様々なポイントで反応器に注入することができる。
【0054】
1つまたは複数の実施形態において、カーボンブラックは、有益なことに、加硫ステップの前に固体成分と共に導入してもよく、加硫ステップの後に添加してもよい。動的加硫ステップ後に熱可塑性加硫ゴムに導入する場合、その導入は、加硫後の該組成物がその溶融状態のままである間に行うことができるか、または熱可塑性加硫ゴムを冷却し(例えば、ペレット化し)、その後再加工して溶融状態に戻した時点でカーボンブラックを添加することができる。1つまたは複数の実施形態において、カーボンブラックは、樹脂または油との混合物またはマスターバッチとしてブレンドまたは熱可塑性加硫ゴムに導入することができる。特定の実施形態において、カーボンブラックは、ポリプロピレンと共に混合物として導入する。同様に、ポリシロキサンは、動的加硫の前、最中、または後に添加することができる。
【0055】
1つまたは複数の実施形態において、難燃剤パッケージは、動的加硫後(すなわち、ゴムの転相後)に熱可塑性加硫ゴムに導入する。難燃剤パッケージの導入は、有益なことに、加硫後の該組成物がその溶融状態のままである間に行うことができるか、または熱可塑性加硫ゴムを冷却し(例えば、ペレット化し)、その後再加工して溶融状態に戻した時点で難燃剤パッケージを添加することができる。1つまたは複数の実施形態において、難燃剤パッケージの1種または複数の構成成分は、パッケージの1種または複数の他の成分との混合物またはマスターバッチとして、ならびに/あるいは不活性担体、例えば、熱可塑性樹脂または油などと共に熱可塑性加硫ゴムに導入することができる。特定の実施形態において、ハロゲン化炭化水素および金属酸化物は、ポリプロピレンと共にまとめてマスターバッチとして導入し、一方、膨張性材料は、熱可塑性加硫ゴムに別個に添加する。
【0056】
本発明の1つまたは複数の実施形態の動的加硫プロセスは、連続ミキサーと呼ぶこともできる連続混合反応器において行うことができる。連続混合反応器としては、成分を連続的に供給することができ、そこから連続的に生成物を取り出すことができる反応器を挙げ得る。連続混合反応器の例としては、二軸スクリューまたは多軸スクリュー押出機(例えば、環状押出機)が挙げられる。熱可塑性加硫ゴムを連続的に調製する方法および装置は、参照により本明細書に組み込む米国特許第4,311,628号、同第4,594,390号、同第5,656,693号、同第6,147,160号、および同第6,042,260号、ならびにWO 2004/009327 A1に記載されているが、低剪断速度を使用する方法も用いることができる。連続反応器の様々なバレルセクションまたは位置を通過するときのブレンドの温度は、当技術分野において知られている通り多様なものとすることができる。特に、硬化ゾーン内の温度は、使用する硬化剤の半減期に応じて制御または操作することができる。特定の実施形態において、油を混合物に導入する。特定の実施形態において、十分な油の添加により、熱可塑性加硫ゴムの特定の有益な性質の実現が可能となる。
【0057】
製品の特徴
1つまたは複数の実施形態において、熱可塑性加硫ゴム組成物は、硬化ゴム相がその中に分散した連続熱可塑性相を含む。特定の実施形態において、該ゴム相は、熱可塑性相内に分散した不連続相である。
1つまたは複数の実施形態において、ゴムは、有益なことに、完璧にまたは完全に硬化する。硬化の程度は、シクロヘキサンまたは沸騰キシレンを抽出剤として使用することにより熱可塑性加硫ゴムから抽出可能なゴムの量を求めることにより測定することができる。これらの方法は、参照により本明細書に組み込む米国特許第4,311,628号に開示されている。好ましくは、ゴムは、参照により本明細書に組み込む米国特許第5,100,947号および同第5,151,081号に記載の、15重量パーセント未満、より好ましくは10重量パーセント未満、さらにより好ましくは5重量パーセント未満、さらにより好ましくは3重量パーセント未満のゴムを23℃でシクロヘキサンにより抽出できる硬化の程度を有する。あるいは、ゴムは、架橋密度が、ゴム1ミリリットル当たり好ましくは少なくとも4×10
-5、より好ましくは少なくとも7×10
-5、さらにより好ましくは少なくとも10×10
-5モルとなるような硬化の程度を有する。Ellulら、「Crosslink Densities and Phase Morphologies in Dynamically Vulcanized TPEs」、Rubber Chemistry And Technology、68巻、573〜584頁(1995)も参照せよ。
【0058】
1つまたは複数の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴム組成物は、UL94V2の耐炎性規格を満たす。他の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴム組成物は、UL94V1の耐炎性規格を満たす。さらに他の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴムは、UL94V0の耐炎性規格を満たす。V0、V1、またはV2等級のUL94の要件への言及は、本明細書において使用する場合、産業において知られており、Underwriters Laboratories Inc.、「Tests for Flammability of PlasticMaterials for Parts in Devices and Appliances」、2009年6月4日から入手可能な規格であるUL94垂直燃焼試験(V0、V1またはV2)の要件を、言及した材料が満たすことを意味する。
【0059】
1つまたは複数の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴムは、UL746CF1、Underwriters Laboratories Inc.から入手可能な「Standard for Safety of PolymericMaterials − Use in Electrical Equipment Evaluations」の紫外線規格を満たす。
1つまたは複数の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴムは、少なくとも50、他の実施形態少なくとも60、および他の実施形態において少なくとも70のショアA硬度を特徴とする。これらのまたは他の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴムは、100未満、他の実施形態において90未満、および他の実施形態において85未満のショアA硬度を特徴とする。
【0060】
産業上の利用可能性
本発明の熱可塑性加硫ゴムは、様々な物品、例えば、ウェザーシール、ホース、ベルト、ガスケット、モールディング、ブーツ、弾性繊維など、および同様の物品の製造に有用である。それらは、物品をブロー成形、押出、射出成形、熱成形、弾性溶接および圧縮成形技術により製造するのに有用である。より具体的に、それらは、乗り物部品、例えば、ウェザーシール、ブレーキ部品、例えば、カップ、カップリングディスク、およびダイアフラムカップ、恒速度継手およびラック伝達継手のブーツ、管材料、シーリングガスケット、油圧もしくは空気圧作動装置の部品、O−リング、ピストン、バルブ、バルブシート、バルブガイドなど、ならびに他のエラストマーポリマーベースの部品または他の材料、例えば、金属/プラスチック組合せ材料などと組み合わせたエラストマーポリマーなどの製造に有用である。やはり意図しているのは、V−ベルト、ファブリックを装着したV、粉砕した短繊維で強化したVまたは短繊維でフロック加工したVを有する成形ゴムを含有する切頭されたリブを有する歯付きベルトを含めた伝動ベルトである。
1つまたは複数の実施形態において、本発明の熱可塑性加硫ゴムは、高温、野外用途、例えば、野外照明用のシール、ガスケット、およびホース、ならびに太陽エネルギーを捕捉し転換するデバイスを含めた電気的用途などにおいて使用することができる。
本発明の実施を示すために、以下の例を調製し、試験した。しかし、各例は、本発明の範囲を制限するものとみなすべきではない。請求項は、本発明を定義するものである。
【実施例】
【0061】
熱可塑性加硫ゴム供給原料は、塩化第一スズ(SnCl
2−2H
2O)および酸化亜鉛の存在下でフェノール樹脂を用いてエラストマーコポリマーを動的に加硫することにより調製した。動的加硫は、従来の商業用技術を使用することにより、大規模な高剪断混合装置内で行った。熱可塑性加硫ゴムを調製するのに使用した成分には、100重量部のエラストマーコポリマー、42重量部のクレー、2重量部の酸化亜鉛、1重量部の塩化第一スズ、約15重量部のわずかなポリプロピレン、約13重量部の高MFRポリプロピレン、約3重量部のフェノール樹脂、および約155重量部の油が含まれていた。
【0062】
エラストマーコポリマーは、約3.9重量パーセントのジエン含量、約52のムーニー粘度ML(125℃で1〜4)(油展されている)、135℃のデカリン中の固有粘度(dl/g)約4dl/g、約850kg/モルの重量平均分子量、約170kg/モルの数平均分子量、約64重量パーセントのエチレン含量、75phrのパラフィン系油含量(表Iの重量部は、ゴムおよびパラフィン系油の量を参照している)を有することを特徴とし、V3666(商標)(ExxonMobil Chemical Co.)という商品名で得たポリ(エチレン−co−プロピレン−co−5−エチリデン−2−ノルボルネン)であった。フェノール樹脂は、パラフィン系油に分散したオクチルフェノールおよびノニルフェノールホルムアルデヒドのブレンドを含むレゾール−タイプ樹脂であった。わずかなポリプロピレンは、PP534−1(商標)(ExxonMobil)および/またはF008F(商標)(Sunoco)という商品名で得た0.8MFRポリプロピレンであった。高MFRポリプロピレン(polypropyelen)は、F180A(商標)(Sunoco)という商品名で得た18MFRポリプロピレンであった。エキステンダー油は、Sunpar 150M(商標)(Sunoco)という商品名で得たパラフィン系油であった。充填剤は、Icecap K(商標)(Burgess)という商品名で得たクレー充填剤であった。
【0063】
上で調製した分の熱可塑性加硫ゴム供給原料を、表Iに示した他の成分と溶融混合した。溶融混合した様々な成分の量は、熱可塑性加硫ゴムの合計重量に対する重量パーセントで示している。わずかなポリプロピレンは、供給原料を調製するのに使用したのと同じであり、Br/Sbマスターバッチは、FR 6287という商品名で得たデカブロモジフェニルエタン、三酸化アンチモン、およびポリプロピレン(60%、20%、20%)のブレンドであり、カーボンブラック濃縮物は、49974(商標)(Ampacet)という商品名で得た40%のカーボンブラックおよびポリプロピレンを含む商業用ブレンドであり、チャー形成FRは、Firebrake ZBという商品名で得たホウ酸亜鉛水和物であった。次いで、熱可塑性加硫ゴム試料を、以下の試験を実施するのに適切な試験片とし、その結果は、表Iに示している。
【0064】
【表1】
比重は、ASTM D−792と同様のTPE−0105/1に従って求めた。ショア硬度は、5秒の時間間隔のISO 868と同様のTPE−0189に従って求めた。燃焼試験は、UL 94垂直燃焼試験に従って求めた。
【0065】
例えば以下の表IIにおいて、Santoprene 211〜45は、Sunoco F008F PP、FR 6287、Ampacet 49974(商標)またはAmpacet 49974、Firebrake ZB、MB S−1519(30%エルカミド)、ならびにAntioxidant 58、Irganox 1035、Irganox MD 1024、Tinuvin 328およびTinuvin 770を含有する安定剤パッケージとブレンドした。射出は、Vandorn 170トンプラスチック射出成形機および一度に1つのキャビティを使用する上部のゲートが扇状の2−キャビティコールドランナーツールを介して行った。組成物を160°Fで3時間乾燥させた。射出速度は毎秒2インチであり、スクリュー速度は150rpmであった。組成物は、450〜600psiで5秒間保持した。金型温度は、A側では100°Fであり、B側では85°Fであった。
表IIは、組成および200ショットのプレート射出後の白色物質の堆積に対する安定剤パッケージの効果を示している。
【0066】
【表2】
【0067】
以下の表IIIに示している例に関して、プレート7および8の例において、全てのカーボンブラック濃縮物をブレンディングステップの間に添加した。例9、10および11において、カーボンブラック濃縮物を加硫ステップおよびブレンディングステップの両方の最中に添加した。表IIの例について記載したものと同じ射出成形パラメーターを使用して表IIIの例を調製したが、ただし、表IIIの例のスクリュー速度は、80rpmまたは150rpmであり、B側の金型温度は80°Fであった。
【0068】
【表3】
【0069】
本発明の範囲および精神から逸脱しない様々な変法および変更が当業者には明らかとなろう。本発明は、本明細書に示している例示的な実施形態に厳密に限定されるものではない。
【0070】
本発明は、以下の通りさらに説明することができる。
実施形態1:
i.熱可塑性マトリックス、ならびに
ii.前記マトリックス内に分散した、少なくとも部分的に硬化されたゴム、難燃剤、およびカーボンブラック
を含む耐候性、耐燃性の熱可塑性加硫ゴム組成物。
実施形態2:該ゴムが、ゴムの5重量%未満を23℃でシクロヘキサンにより抽出できる程度まで硬化される、実施形態1の組成物。
実施形態3:難燃剤がハロゲン化炭化水素および金属酸化物を含む、実施形態1または2の組成物。
実施形態4:ハロゲン化炭化水素が臭素化炭化水素であり、金属酸化物が三酸化アンチモンである、実施形態1〜3までのいずれかに記載の組成物。
実施形態5:難燃剤がチャー形成材料をさらに含む、実施形態1から4までのいずれかに記載の組成物。
実施形態6:チャー形成材料がホウ酸亜鉛水和物である、実施形態1から5までのいずれかに記載の組成物。
実施形態7:カーボンブラック以外のUV安定剤および酸化防止剤を実質的に含まない実施形態1から6までのいずれかに記載の組成物。
実施形態8:ゴムが少なくとも部分的に硬化されたポリ(エチレン−プロピレン−ジエン)ターポリマーである、実施形態1から7までのいずれかに記載の組成物。
実施形態9:熱可塑性マトリックスがポリプロピレンを含む、実施形態1から8までのいずれかに記載の組成物。
実施形態10:熱可塑性マトリックスが、1.0dg/分未満のメルトインデックス(ASTM D−1238、190℃で2.16kg)を特徴とする第1のポリプロピレンおよび10dg/分超のメルトインデックス(ASTM D−1238、190℃で2.16kg)を特徴とする第2のポリプロピレンを含む、実施形態1から9までのいずれかに記載の組成物。
実施形態11:熱可塑性加硫ゴムが60超および90未満のショアA硬度を特徴とする、実施形態1から10までのいずれかに記載の組成物。
実施形態12:熱可塑性加硫ゴムがUL94V0の要件を満たす、実施形態1から11までのいずれかに記載の組成物。
実施形態13:熱可塑性加硫ゴムがUL94V1の要件を満たす、実施形態1から12までのいずれかに記載の組成物。
実施形態14:熱可塑性加硫ゴムがUL94V2の要件を満たす、実施形態1から13までのいずれかに記載の組成物。
実施形態15:熱可塑性加硫ゴムがUL746CF1の要件を満たす、実施形態1から14までのいずれかに記載の組成物。
実施形態16:熱可塑性加硫ゴムが増量剤をさらに含む、実施形態1から15までのいずれかに記載の組成物。
実施形態17:熱可塑性加硫ゴムがポリシロキサンをさらに含む、実施形態1から16までのいずれかに記載の組成物。
実施形態18:熱可塑性加硫ゴムが約10〜約25重量%の前記ゴム、約10〜約25重量%の熱可塑性マトリックス、約25〜約38重量%の難燃剤、および約2.0〜約6.0重量%の前記カーボンブラックを含む、実施形態1から17までのいずれかに記載の組成物。
実施形態19:熱可塑性加硫ゴムが、約12〜約20重量%の前記ゴム、約12〜約20重量%の前記熱可塑性樹脂、約28〜約35重量%の前記難燃剤、および約2.5〜約4.0重量%の前記カーボンブラックを含む、実施形態1から18までのいずれかに記載の組成物。
実施形態20:難燃剤の量が、熱可塑性加硫ゴムの全重量に対して少なくとも25重量%および35重量%未満であり、その量は、ハロゲン化炭化水素の重量(x)、金属酸化物の重量(y)、およびチャー形成材料の重量(z)に基づいており、ハロゲン化炭化水素の量(x)は、熱可塑性加硫ゴムの全重量に対して約2〜約7重量%であり、金属酸化物の量は、2x〜5xであり、チャー形成化合物の量は、熱可塑性加硫ゴムの全重量に対して約8〜約25重量%である、実施形態1から19までのいずれかに記載の組成物。
実施形態21:難燃剤がハロゲン化炭化水素および金属酸化物を含み、ハロゲン化炭化水素はデカブロモジフェニルエタンであり、金属酸化物は三酸化アンチモンであり、チャー形成化合物はホウ酸亜鉛水和物である、実施形態1から20までのいずれかに記載の組成物。
実施形態22:
i.ゴム、熱可塑性樹脂、任意の増量剤、任意のカーボンブラック、およびカーボンブラック以外の任意の不活性充填剤を含む溶融ブレンド内のゴムを動的に加硫するステップであって、溶融ブレンドが、それにより熱可塑性加硫ゴムを製造するために、難燃剤を実質的に含まないステップと、
ii.前記動的加硫ステップ後、前記熱可塑性加硫ゴムを溶融状態の間に難燃剤及び任意のカーボンブラックとブレンドするステップであって、難燃剤がデカブロモジフェニルエタン、三酸化アンチモン、およびホウ酸亜鉛水和物を含むステップ(ただし、それにより耐候性および耐炎性を有する熱可塑性加硫ゴムを製造するために、前記動的加硫ステップが溶融ブレンド中にカーボンブラックを含んだ状態で行われるか、または前記ブレンドするステップが熱可塑性加硫ゴムをカーボンブラックとブレンドすることを含む)と、
iii.熱可塑性加硫ゴムを押し出すステップと
を含む耐候性、耐燃性の熱可塑性加硫ゴムの製造方法。