特許第5774710号(P5774710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774710加熱モジュールおよび加熱モジュールを備える蒸発装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774710
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】加熱モジュールおよび加熱モジュールを備える蒸発装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A01M1/20 F
   A01M1/20 J
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-534248(P2013-534248)
(86)(22)【出願日】2011年10月11日
(65)【公表番号】特表2013-539982(P2013-539982A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2011067725
(87)【国際公開番号】WO2012052321
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年6月13日
(31)【優先権主張番号】102011011692.3
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010051924.3
(32)【優先日】2010年11月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010048779.1
(32)【優先日】2010年10月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】イーレ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】カール, ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】メーリヒ, シュテフェン
【審査官】 松下 公一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−501392(JP,A)
【文献】 特開平10−172804(JP,A)
【文献】 特開平05−284889(JP,A)
【文献】 特開平08−045705(JP,A)
【文献】 特開平10−263066(JP,A)
【文献】 特開2005−116585(JP,A)
【文献】 特開平08−255676(JP,A)
【文献】 米国特許第4874924(US,A)
【文献】 米国特許第6411776(US,B1)
【文献】 米国特許第4891904(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − A01M 31/06
H05B 3/02 − H05B 3/18
H05B 3/20 − H05B 3/38
H05B 3/40 − H05B 3/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱モジュール(1)において、
開口部(31)を備えるケーシング(3)と、
該ケーシング(3)内に配置されたPTC加熱素子(2)と
を備え、
該PTCセラミック加熱素子(2)が、前記開口部(31)に向いた内側(21)と、前記開口部(31)に向いていない外側(22)と、内側および外側(21,22)を接続する2つの端面(23,24)とを備え、
前記内側(21)が、少なくとも部分的に前記開口部(31)に対応しており、
該加熱モジュール(1)が、前記PTCセラミック加熱素子(2)の形状に適合された3つの接触部材(41,42,43)を備え、
2つの接触部材(42,43)が、前記PTCセラミック加熱素子(2)の一方の端面(24)に配置されており、1つの接触部材(41)が、前記PTCセラミック加熱素子(2)の他方の端面(23)に配置されている加熱モジュール(1)。
【請求項2】
請求項に記載の加熱モジュール(1)において、
前記PTCセラミック加熱素子(2)が、クランプによって前記接触部材(41,42)の間に固定されている加熱モジュール(1)。
【請求項3】
請求項またはに記載の加熱モジュール(1)において、
前記接触部材(41,42)が、少なくとも部分的にリング状に、または少なくとも部分的にU字形に構成されている加熱モジュール(1)。
【請求項4】
請求項からまでのいずれか一項に記載の加熱モジュール(1)において、
前記接触部材(41,42)が、電気接触のために、前記ケーシングから突出した接続フラグ(44)を備える加熱モジュール(1)。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の加熱モジュール(1)において、
前記端面(23,24)が、少なくとも部分的に面取りされている加熱モジュール(1)。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の加熱モジュール(1)において、
前記PTCセラミック加熱素子(2)がリング状に構成されている加熱モジュール(1)。
【請求項7】
請求項に記載の加熱モジュール(1)において、
前記PTCセラミック加熱素子(2)の端面(22)が少なくとも部分的に円錐状に構成されている加熱モジュール(1)。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の加熱モジュール(1)において、
前記PTCセラミック加熱素子(2)がU字形に構成されている加熱モジュール(1)。
【請求項9】
請求項に記載の加熱モジュール(1)において、
前記PTCセラミック加熱素子(2)が、内側(21)では、外側(22)よりも高さが低い加熱モジュール(1)。
【請求項10】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の加熱モジュール(1)において、
前記ケーシング(3)が、係止結合によって互いに結合された少なくとも2つのケーシング部分(32,33)を含む加熱モジュール(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の加熱モジュール(1)において、
少なくとも2つのケーシング部分(32,33)が、縁を折り込まれた内側スリーブ(5)に結合されている加熱モジュール(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の加熱モジュール(1)において、
前記内側スリーブ(5)が、少なくとも部分的に前記ケーシング(3)の開口部(31)
内に配置されている加熱モジュール(1)。
【請求項13】
容器(11)と、
請求項1から12までのいずれか一項に記載の加熱モジュール(1)と
を備え、
液体案内部材(12)の一端が前記加熱モジュール(1)内に突入しており、
他端が、容器(11)内に突入している蒸発装置(10)。
【請求項14】
加熱モジュール(1)において、
開口部(31)を備えるケーシング(3)と、
該ケーシング(3)内に配置されたPTC加熱素子(2)と
を備え、
該PTCセラミック加熱素子(2)が、前記開口部(31)に向いた内側(21)と、前記開口部(31)に向いていない外側(22)と、内側および外側(21,22)を接続する2つの端面(23,24)とを備え、
前記内側(21)が、少なくとも部分的に前記開口部(31)に対応しており、
前記PTCセラミック加熱素子(2)が、内側(21)では、外側(22)よりも高さが低い加熱モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱モジュールおよび加熱モジュールを備える蒸発装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、蚊などの虫を追い払うための流体、香料または作用物質を含む流体を蒸発するための加熱装置が知られている。このような作用物質を含む流体は、例えば、芯を介して蒸発される。芯は、流体を充填された容器から突出し、芯端部に位置決めされた加熱ユニットによって加熱される。
【0003】
作用物質を含む流体を蒸発するためのシステムを加熱するためには、主にPTC加熱素子が使用される。この場合、加熱は、一般に平坦なPTC加熱素子、特に、ディスクまたは長方形部材として構成され、プラスチックまたはセラミックからなるケーシング内で接触シートの間に配置されたPTC加熱素子によって行われる。
【0004】
蒸発のために不可欠な熱を生成するためには、そのために必要な温度を芯のところで得る必要があり、この場合、対流を形成するために不可欠な芯と加熱ユニットとの間のリングギャップによって、良好な熱伝導のため直接的な接触はない。多くの場合、PTC加熱素子によって生成された熱は、芯を囲むことのできる熱導体に伝達され、熱導体が芯を加熱できるようになっている。
【0005】
以上のことから、PTC加熱素子は、芯において蒸発のために必要とされる温度よりかなり高い温度に加熱する必要があった。
【0006】
従来の使い方の欠点は、PTCセラミックの不利な表面体積比により効率が低く、PTC加熱素子が本来の熱伝導面から遠く隔たって配置されていることである。これにより、多くの場合には著しく高い加熱出力を設ける必要があり、および/または構造的形態の面で妥協せざるをえなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
少なくともいくつかの実施形態の課題は、加熱モジュールを提供することである。少なくともいくつかの実施形態の別の課題は、加熱モジュールを備える蒸発装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題は、独立請求項に記載の特徴を有するものにより解決される。これらものの有利な実施形態および改良形態が、さらに以下の説明および図面から明らかである。
【0009】
少なくとも一実施形態による加熱モジュールは、開口部を備えるケーシングと、ケーシング内に配置されたPTC加熱素子とを備える。PTCセラミック加熱素子は、開口部に向いた内側と、開口部に向いていない外側と、内側および外側を接続する2つの端面とを備える。さらに、PTCセラミック加熱素子の内側は、少なくとも部分的に開口部に対応している。加熱モジュールは、PTCセラミック加熱素子の形状に適合された3つの接触部材を備え、2つの接触部材が、PTCセラミック加熱素子の一方の端面に配置されており、1つの接触部材が、PTCセラミック加熱素子の他方の端面に配置されている加熱モジュール。
【0010】
一実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子の形状は開口部の形状に対応している。好ましくは、特にPTCセラミック加熱素子の、開口部に向いた内側の形状全体は開口部の形状に対応している。特にPTCセラミック加熱素子の内側は、湾曲した表面を備え、この表面は、ケーシングの開口部を少なくとも部分的に包囲している。好ましくは、内側の表面は弓状の横断面を備える。
【0011】
加熱モジュールは、特に液体案内部材、例えば芯、または毛管を加熱するように構成され、またはそのために使用されるものとすることができる。
【0012】
例えば、液体案内部材は、ケーシングの開口部を通って案内されてもよい。加熱モジュールは、好ましくは、PTCセラミック加熱素子が開口部の近傍に配置されているように構成されている。この場合、PTCセラミック加熱素子は芯を少なくとも部分的に包囲する。有利には、これにより、PTCセラミック加熱素子と液体案内部材との間で熱を伝導するための他の部材を省略することができ、これにより、PTCセラミック加熱素子によって液体案内部材を直接に加熱することができる。
【0013】
一実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子は、例えば、例えばプレス成形技術または射出成形技術によって製造することのできるBaTiO3ベースの機能性セラミックを備える。
【0014】
別の実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子は端面に電極を備える。これらの電極は、例えば、PTCセラミック加熱素子に塗布された金属被覆部によって形成されている。電極は、PTCセラミック加熱素子の電気接触のために用いられる。
【0015】
別の一実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子の端面にはそれぞれ1つの接触部材が配置されている。接触部材は、例えば、接触シートとして構成されていてもよい。一実施形態では、接触部材はアルミニウムを備えるか、またはアルミニウムからなっている。好ましくは、接触部材は、例えば、EN AW-Al 99.5 (3.0255)で表される純アルミニウムを備えているか、または、この材料からなっている。
【0016】
別の実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子は、クランプ接触を介して接触部材の間に配置されている。好ましくは、PTCセラミック加熱素子は、クランプによって接触部材の間に固定されている。接触部材とPTCセラミック加熱素子との間のクランプ接触のためにはばね部材は不可欠ではなく、むしろ接触部材、PTCセラミック加熱素子およびケーシングは、接触部材およびPTCセラミック加熱素子に機械的押圧力が加えられ、この押圧力によって接触部材とPTCセラミック加熱素子とが互いに押圧され、これによりクランプされるように構成されていてもよい。
【0017】
別の一実施形態によれば、接触部材の形状は、少なくとも部分的にPTCセラミック加熱素子の形状に対応している。
【0018】
一実施形態によれば、接触部材は、少なくとも部分的にリング状またはU字形に構成されている。
【0019】
さらに、接触部材は、PTCセラミック加熱素子の端面の円錐形状に適合された円錐台形状または円錐台形状の領域を備えている。同様に、ケーシングは対応した円錐領域を備えていてもよい。これらの円錐領域を介して、組み立てられた状態で接触部材のそれぞれ円錐台状の領域は、PTCセラミック加熱素子の円錐状の端面に対応している。
【0020】
別の一実施形態によれば、加熱モジュールは3つの接触部材を備える。好ましくは、接触部材は、PTCセラミック加熱素子の形状に対応している。例えば、3つの接触部材のうちの2つはPTCセラミック加熱素子の一方の端面に配置され、1つはPTCセラミック加熱素子の他方の端面に配置されていてもよい。この場合、PTCセラミック加熱素子は、一方の端面に2つの独立した電極を備え、これらの電極は、互いに独立して端面に設けられた金属被覆部によって形成されている。したがって、加熱モジュールは、3つの別個の接続部を備える形式で構成されていてもよい。
【0021】
別の実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子の端面は少なくとも部分的に面取りされている。少なくとも部分的に面取りされた端面により、ケーシング内におけるPTCセラミック加熱素子と接触部材との間でクランプ作用がさらに改善される。
【0022】
別の実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子はリング状に構成されている。PTCセラミック加熱素子は、特に、好ましくは形状および寸法に関してケーシングの開口部に対応した開口部を備えているのが好ましい。これにより、PTCセラミック加熱素子とケーシングの開口部内に配置された液体案内部材との間の熱伝導を最適化することができる。
【0023】
別の実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子の端面は少なくとも部分的に円錐状に形成されている。例えば、PTCセラミック加熱素子の端面は、いわゆる面取り部と呼ぶことのできる円錐領域を備える。端面が円錐状に構成されていることにより、PTCセラミック加熱素子と接触部材との間のクランプ接触を改善することができる。好ましくは、PTCセラミック加熱素子の端面は外側方向に面取りされている。
【0024】
別の実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子はU字形もしくは蹄鉄形に形成されている。PTCセラミック加熱素子のU字形の構成により、PTCセラミック加熱素子は液体案内部材、例えば、芯または毛管を少なくとも部分的に包囲している。したがって、PTCセラミック加熱素子は、液体案内部材に近接して設けられており、これにより、PTCセラミック加熱素子から液体案内部材への熱伝達を最適化することができる。
【0025】
別の実施形態によれば、PTCセラミック加熱素子は、開口部に向いた内側では、開口部に向いていない外側よりも高さが低くなっている。例えば、PTCセラミック加熱素子は、開口部の中心から見てくさび状に構成されていてもよい。
【0026】
さらに、ケーシングは、横断面がくさび形状の内部スペースを備える。好ましくは、くさび形状は、半径方向内側へ、すなわち、開口の方向にテーパしている。
【0027】
別の実施形態によれば、ケーシングの内部スペースのくさび形状およびPTCセラミック加熱素子の形状は互いに対応している。ケーシングが閉じられた場合、PTCセラミック加熱素子は、接触部材とケーシングとの間にクランプされる位置へ滑り込む。これにより、ケーシング内で、PTCセラミック加熱素子と接触部材との間の持続的なクランプ接触が得られる。
【0028】
別の実施形態によれば、ケーシングは、係止結合によって互いに結合された少なくとも2つのケーシング部分を含む。ケーシング部分の係止結合により、ケーシング内に配置された接触部材およびPTCセラミック加熱素子に機械的押圧力が加えられ、これにより、接触部材とPTCセラミック接触部材とは互いにクランプされる。
【0029】
材料の熱膨張率が異なることにより生じるPTCセラミック加熱の機械的損傷は、ここに記載の実施形態では、持続的なクランプ接触、ひいてはこれによるセラミック内の圧縮圧力によって防止することができる。
【0030】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのケーシング部分は、縁を折り込まれた内側スリーブに結合されている。内側スリーブは、好ましくは金属を備える。さらに、内側スリーブが少なくとも部分的にケーシングの開口部内に配置されていることが好ましい。内側スリーブは、例えば組み立ての際にフランジをつけることができ、これにより、ケーシングとPTCセラミック加熱素子との持続的なクランプをもたらすことができる。
【0031】
別の実施形態によれば、ケーシング部分はプラスチックを備える。ケーシングもしくはケーシング部分は、例えば、ポリブチレン・テレフタレート(PBT)または液晶高分子(LCP)を備えていてもよい。さらに、ケーシング部分は、内側スリーブを電気絶縁するように、PTCセラミック加熱素子が内側カバーによって分離された構成としてもよい。換言すれば、ケーシングは、PTCセラミック加熱素子の内側と開口部との間に、開口部を包囲する壁または壁領域を備えていてもよい。
【0032】
別の実施形態によれば、接触部材は、電気接触のために、ケーシングから突出した接続フラグを備える。さらに、接続フラグは、市販の平型ピンプラグを接続できるように構成してもよい。
【0033】
別の実施形態によれば、接触部材との電気接触のためには、例えば、圧着端子が設けられていてもよい。
【0034】
ここに記載の加熱モジュールでは、PTCセラミック加熱素子から液体案内部材への熱伝導は、高い効率によって行われる。さらにPTCセラミック加熱素子は、有利には、好ましい表面体積比によって優れている。
【0035】
別の実施形態では、蒸発装置は、容器、液体案内部材および1つ以上の上記実施形態にしたがった加熱モジュールを備える。この場合、液体案内部材の一端は加熱モジュール内に突入している。好ましくは、液体案内部材は、この領域では少なくとも部分的にPTCセラミック加熱素子によって包囲されており、これにより、PTCセラミック加熱素子と液体案内部材との間で可能な限り良好な熱伝導を得ることができる。液体案内部材の他端は容器内に突入しており、容器は、少なくとも部分的に、液体、好ましくは作用物質を含む流体、例えば、虫よけのための野生の除虫菊、ピレスロイドまたはエーテル油を含む液体によって充填されていてもよい。代替的には、液体は、室内空気を改善するための流体、いわゆる「脱臭剤」であってもよい。
【0036】
ここの記載の蒸発装置により、例えば、虫よけ、または室内空気の改善のために、例えば、上記作用物質を含有する液体を蒸発させることができる。
【0037】
加熱モジュールのさらなる利点および有利な実施形態が、図1図12に基づいて説明する実施形態によって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】一実施例による加熱モジュールおよび加熱モジュールの部材を示す図である。
図2】一実施例による加熱モジュールおよび加熱モジュールの部材を示す図である。
図3】一実施例による加熱モジュールおよび加熱モジュールの部材を示す図である。
図4】一実施例による加熱モジュールおよび加熱モジュールの部材を示す図である。
図5】一実施例による加熱モジュールおよび加熱モジュールの部材を示す図である。
図6】一実施例による蒸発装置を示す図である。
図7】一実施例による蒸発装置を示す図である。
図8】別の一実施例による加熱モジュールを示す図である。
図9】別の一実施例による加熱モジュールを示す図である。
図10】別の一実施例による加熱モジュールを示す図である。
図11】別の一実施例による加熱モジュールを示す図である。
図12】別の一実施例による加熱モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1図5には、第1実施例による加熱モジュール1および加熱モジュール1の構成部材の概略図が示されている。この場合、図1は組み立てられた状態の加熱モジュール1を示し、図2は、断面した加熱モジュール1の概略図を示す。図3は、図1の加熱モジュール1を分解図の形式で示す。
【0040】
図示の実施例による加熱モジュール1は、リング状加熱モジュールとして構成されており、開口部31を備えるケーシング3と、ケーシング3内に配置されたPTCセラミック加熱素子とを備える。開口部31は、図示の実施例では円形に構成されており、例えば、液体案内部材、例えば、芯または毛管を収容することができる。
【0041】
ケーシング3は、図示の実施例では、2つのケーシング部分32,33を備える。ケーシング部分32,33はそれぞれ保持アームを備え、これらの保持アームは、開口部31から半径方向外側に延在しており、終端部にそれぞれU字形の領域を備える。これにより、例えば保持装置に加熱モジュール1を固定することができる。
【0042】
PTCセラミック加熱素子2は、図示の実施例ではリング状に構成されており、これによりケーシング3の開口部31を包囲する。それぞれのケーシング部分32,33は、PTCセラミック加熱素子2と開口部31との間に壁領域を備え、この壁領域によって、PTCセラミック加熱素子2は、開口部31および開口部31に配置された内側スリーブ5(以下にさらに説明する)から絶縁されている。PTCセラミック加熱素子22の端面は、外側方向に面取りされており、これにより、PTCセラミック加熱素子22の端面は円錐形状を得る。
【0043】
図4には、PTCセラミック加熱素子の側面図が示されている。面取りされた端面23,24は、外面22と、例えば30°の角度8をなしている。面取りされた端面23,24は面取り部9を備え、この面取り部9は、単なる例示として例えば、PTCセラミック加熱素子2の開口軸線の方向に0.75mmの長さを備える。PTCセラミック加熱素子2の壁厚さは約1mmである。代替的には、PTCセラミック加熱素子2の壁厚さは0.5mm〜2.5mmである。PTCセラミック加熱素子2の外径6は、単なる例示として例えば、13.26mmである。さらに、PTCセラミック加熱素子2は、単なる例示として例えば、4.5mmの高さ7を備える。
【0044】
端面23,24の面取り部9には電極が取り付けられており、これらの電極によって、PTCセラミック加熱素子2を電気接触させることができる。
【0045】
PTCセラミック加熱素子2は、端面23,24に配置された2つの接触部材41,42を介して円錐状のクランプ部によって電気接触される。接触部材41,42は、それぞれ接続フラグ44を備える円錐台状の接触リングとして構成されている。
【0046】
図5は、わかりやすくするために接触部材41の概略図示す。
【0047】
接触部材41,42の形状はPTCセラミック加熱素子2に合うようになっており、これにより、接触部材41,42とPCTセラミック加熱素子2との間の形状に基づく形状結合を得ることができる。特に、PTCセラミック加熱素子2は、クランプ接触によって接触部材41,42間に固定されている。クランプは、円錐状の端面23,24に両方の接触部材41,42が押し付けられることによって得られる。このために、ケーシング部分31,32は、PTCセラミック加熱素子2の端面23,24が接触部材41,42に隣接する領域に同様に円錐状の面を備え、これらの面を介して、接触部材41,42は、ケーシング3が閉じられた状態で端面23,24に押し付けられる。
【0048】
好ましくは、組み立ての際に縁を折り込まれ開口部31内に配置された金属スリーブ5は、クランプとして持続的に機能する。というのは、接触部材41,42が載置される領域に、接触部材41,42およびPTCセラミックと同じ円錐部を備える両方のケーシング部分32,33は、金属内側スリーブ5の縁を折り込まれた際に圧縮されるからである。
【0049】
図3の分解図では、内側スリーブ5、ケーシング部分32および33、接触部材41および42ならびにPTCセラミック加熱素子2などの加熱モジュール1の個々の構成部材を、わかりやすくするため、上下に並べて示している。特にPTCセラミック加熱素子2は、開口部31に向いた内側21の形状に関して、開口部31の形状にマッチさせている。さらに、PTCセラミック加熱素子2の面取りされた端面23,24ならびにPTCセラミック加熱素子2の形状にマッチした円錐台状の接触部材41,42を確認することができる。
【0050】
内側スリーブ5および/またはいずれか一方または両方の接触部材41,42は、特に好ましくは、アルミニウム、例えば、EN AW-Al 99.5 (3.0255)で表される純アルミニウムを含むか、またはこれによりなっていてもよい。内側スリーブ5は、例えば、約0.3gの質量を有し、接触部材41,42は、例えば、それぞれ約0.1gの質量を有する。ケーシング部分32,33は、例えば、プラスチック材料、例えば、ポリブチレン・テレフタレート(PBT)または液晶高分子(LCP)を備えていてもよい。ケーシング部分32,33は、例えば、約0.4gの質量を有する。
【0051】
加熱モジュール1の直径は、対応した用途に合わせることができ、図示の実施例では約20mmである。あるいは、加熱モジュール1の直径は1mm〜50mmであってもよい。
【0052】
加熱モジュール1の高さは、約6.8mmである。あるいは、加熱モジュール1の高さは、必要に応じて2mm〜20mmの間で変動してもよい。より長い加熱モジュールも可能であるが、必要に応じて、特に20mmまでの長さが特に有利であり得る。
【0053】
ここに記載の加熱モジュール1は、安価で効率的な加熱装置であり、一方では加熱出力の付加的な電子制御なしに全周にわたって熱を生成し、他方では、ばね要素のないクランプ接触部を備える。
【0054】
図6および図7は、別の実施例による蒸発装置10を示している。この蒸発装置10は、加熱モジュール1、液体案内部材12および容器11を含む。この場合、加熱モジュール1は、実質的に図1図5に示した実施例による加熱モジュールと同様に構成されている。
【0055】
容器11は、加熱モジュール1が固定される保持装置13を備える。このために、保持装置13は2つのニップルを備え、これらのニップルで、加熱モジュール1のケーシングがクランプによって固定される。
【0056】
液体案内部材12は、芯として構成されている。代替的には、液体案内部材12は毛管として構成されていてもよい。液体案内部材12の一方の端部は加熱モジュール1内に突入し、この領域で少なくとも部分的に、加熱モジュール1内に配置されたPTCセラミック加熱素子によって取り囲まれている。液体案内部材12の他方の端部は容器11内に突入しており、容器11は、少なくとも部分的に、例えば、虫よけのための野生の除虫菊、ピレスロイドまたはエーテル油を含む液体によって充填されている。代替的には、液体は、室内空気を改善するための液体であってもよい。液体案内部材12の直径および/または構造は、好ましくは、容器11内の流体がPTCセラミックな熱装置まで上昇できるように選択されている。
【0057】
流体は、例えば、毛管力によって、加熱モジュール1、ひいてはPTCセラミック加熱素子まで液体案内部材12内を案内され、加熱作用により蒸発される。
【0058】
ここに記載の蒸発装置10は、消費電力が比較的小さい場合にも極めて高い効率を示す。なぜなら、蒸発のために必要な熱は液体案内部材12の極めて近傍で、図示の実施例では液体案内部材12の周囲一帯で生成されるからである。
【0059】
図8から図10は、別の実施例による加熱モジュール1を示し、この場合、図8には、加熱モジュール1の分解図が示されており、図9には、閉じられた加熱モジュールの概略図が示されており、図10には、断面した加熱モジュール1が示されている。
【0060】
加熱モジュール1は、2部材からなるケーシング3を備える。ケーシング3はケーシング部分32,33を含む。この場合、ケーシング部分32はケーシング体として形成されており、ケーシング部分33はケーシングカバーとして形成されている。ケーシング体32は下側部、上側部、およびケーシングの3つの側面部で形成されている。ケーシングカバー33は、ケーシング3が閉じられた状態でケーシング3の第4の側面を形成する。さらにケーシング3はU字形の組付けアームを備え、この組付けアームによって加熱モジュール1を固定することができる。
【0061】
ケーシングカバー33とケーシング体32とは別個に、または代替的には共通の射出成形法で作製されていてもよく、後者の場合、まず一か所で、いわゆる「フィルム・ゲート」によって互いに結合されており、この結合は不安定で破断しやすい。これに続く組付けステップで、ケーシングカバー33はケーシング体32から取り外される。次いで、ケーシングカバー33は、ケーシングを閉じるためにケーシング体32に係止させることができ、この場合、ケーシングカバー33とケーシング体32とは係止結合によって相互に結合される。
【0062】
ケーシング3もしくはケーシング体32は、上側部および下側部のそれぞれ中央に貫通開口部31を備える。加熱モジュール1が、液体案内部材を加熱するために使用される場合、この開口部31を通って液体案内部材を案内することができる。
【0063】
加熱モジュール1はU字形のPTCセラミック加熱素子2を備える。このU字形PTCセラミック加熱素子の端面23,24は面取りされている。図10に示した加熱モジュール1の断面図では、PTCセラミック加熱素子2が、開口部に向いた内側21では開口部に向いていない外側22よりも高さが低いことがわかる。これにより、PTCセラミック加熱素子は横断面図で見て、くさび状に構成されており、内側21に向かってテーパしている。
【0064】
さらに、ケーシング3は内部スペース34を備える。内部スペース34は、例えば、ケーシング3の開口31の方向にテーパしていてもよい。好ましくは、ケーシング3のテーパ部は、PTCセラミック加熱素子2のテーパ部に対応している。例えば、両方のテーパ部は、等しい角度を設けられていてもよい。ケーシング3が閉じられた場合、PTCセラミック加熱素子2は、ケーシング3内にクランプされる位置に滑り込む。
【0065】
PTCセラミック加熱素子2は、両方の端面23,24に電極を備える。これらの電極は、セラミックに塗布された金属被覆部によって形成されている。
【0066】
PTCセラミック加熱素子2は、外側22に、実質的にPTCセラミック加熱素子2を機械的に安定化させるための役割を果たすリブを備える。
【0067】
PTCセラミック加熱素子2がU字形に構成されていることにより、このPTCセラミック加熱素子2は、芯を少なくとも部分的に包囲することができる。これにより、PTCセラミック加熱素子2は、芯に近接して位置し、これにより、PTCセラミック加熱素子2から芯への熱伝導を高い効率で行うことができる。
【0068】
さらに、加熱モジュール1は、2つの接触部材41,42を備える。第1接触部材41は、開口部軸線に沿って、PTCセラミック加熱素子2の下方に配置されており、第2接触部材は、PTCセラミック加熱素子2の下方に配置されている。したがって、第1接触部材41はPTCセラミック加熱素子2の第1端面23に接触している。第2接触部材42はPTCセラミック加熱素子2の第2端面24に接触している。
【0069】
接触部材41,42は平坦に構成されており、PTCセラミック加熱素子2の形状に対応している。したがって、接触部材41,42はU字形の切欠きを備える。さらに接触部材41,42は、接触部材41,42の電気接触、ひいてはPTCセラミック加熱素子2の電気接触のために用いられる接続フラグ44を備え、PTCセラミック加熱素子2は、ケーシング2が閉じられた場合に、接触部材41,42と導電的に接続されている。
【0070】
ケーシング3が閉じられた場合、すなわち、ケーシングカバー33がケーシング体32に係止された場合、PCTセラミック加熱素子2および接触部材41,42はケーシング3内に押し込まれる。これにより、接触部材41,42およびPTCセラミック加熱素子2は相互にクランプされる。このようなクランプ接触により、接触部材41,42とPTCセラミック加熱素子2とは互いに電気的に接続される。
【0071】
接触部材41,42とPTCセラミック加熱素子2との間のクランプ接触のためには、ばね部材は決して不可欠ではない。むしろケーシング3は、ケーシング3が閉じられた状態で接触部材41,42およびPTCセラミック加熱素子2に機械的な押力が加えられ、この押力によって、接触部材41,42およびPTCセラミック加熱素子2が圧縮され、ひいてはクランプされるように構成されていてもよい。例えば、PTCセラミック加熱素子2は、ケーシング3が閉じられた場合に、接触部材41,42とケーシング3との間でクランプされる位置に滑り込む。
【0072】
例えば、PTCセラミック加熱素子2およびケーシング3のくさび形状によって実施されたクランプ接触およびこれに伴いセラミック内で得られる圧縮応力は、種々異なる材料の異なった熱膨張率に基づくPTCセラミック加熱素子2の機械的損傷を防止する。
【0073】
図11および図12は、別の実施例による加熱モジュール1の概略図を示す。図11には、加熱モジュールが分解図で示されており、図12は、組み立てられた状態の加熱モジュールを示す。
【0074】
この実施例によれば、上記実施例の2つの接触部材のいずれか一方は、2つの接触部材42および43により形成されている。接触シート42および接触シート43は、PTCセラミック加熱素子2の端面24に配置されている。
【0075】
この場合、PTCセラミック加熱素子2の端面24は、互いに分離された2つの電極を備え、これらの電極は、それぞれPTCセラミック加熱素子2に塗布された金属被覆部によって形成されている。
【0076】
接触シート41,42の接続フラグ44に対して付加的に、接触シート43は、加熱モジュール1の第3電気接触部として構成された接続フラグ44を備える。3つの接触部材41,42,43によって、加熱装置1は2段階式に作動することができる。
【0077】
図8図10ならびに図11および図12に示した実施例の加熱モジュールは、例えば、図6および図7の実施例による蒸発装置で使用することもできる。
【0078】
ここに記載の加熱モジュール1はわずかな部材を備え、したがって、簡単かつ安価に作製可能および組付け可能であり、PTCセラミック加熱素子2がケーシングの開口部の近傍に、少なくとも部分的に取り囲むように配置されていることにより、消費出力がわずかである。
【0079】
本発明は、実施例に基づいた説明によって限定されることなく、むしろそれぞれの新しい特徴および特徴のそれぞれの組合せを含む。
【符号の説明】
【0080】
1 加熱モジュール
2 PTCセラミック加熱素子
21 内側
22 外側
23,24 端面
3 ケーシング
32,33 ケーシング部分
34 内部スペース
41,42,43 接触部材
44 接続フラグ
5 内側スリーブ
6 PTCセラミック加熱素子の外径
7 PTCセラミック加熱素子の高さ
8 角度
9 面取り部
91 面取り部の長さ
10 蒸発装置
11 容器
12 液体案内部材
13 保持装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12