特許第5774713号(P5774713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774713波動歯車装置の可撓性外歯車の歯底リム厚設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774713
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】波動歯車装置の可撓性外歯車の歯底リム厚設定方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   F16H1/32 B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-535638(P2013-535638)
(86)(22)【出願日】2011年9月29日
(86)【国際出願番号】JP2011005521
(87)【国際公開番号】WO2013046274
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌一
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−180259(JP,A)
【文献】 特開2010−190373(JP,A)
【文献】 特開2011−144916(JP,A)
【文献】 特開2007−211907(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/070712(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/023710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波動歯車装置の可撓性外歯車の歯底リム厚設定方法であって、
前記波動歯車装置は、
円環状の剛性内歯車と、この内側に同軸状に配置された前記可撓性外歯車と、この内側に嵌めた波動発生器とを有し、
前記可撓性外歯車は、可撓性の円筒状胴部と、この円筒状胴部の一方の端である内端から半径方向に延びているダイヤフラムと、前記円筒状胴部の他方の端である開口端の側の外周面部分に形成された外歯とを備えており、
前記可撓性外歯車の前記外歯は前記波動発生器によって楕円状に撓められ、その楕円状曲線の長軸方向の両端部において前記剛性内歯車の内歯に噛み合っており、
楕円状に撓められた前記可撓性外歯車の前記外歯は、その歯筋方向に沿って、前記ダイヤフラムの側から前記開口端の側に向けて、前記ダイヤフラムからの距離に比例して撓み量が増加しており、
前記可撓性外歯車の前記外歯および前記剛性内歯車の前記内歯は共にモジュールmの平歯車であり、
前記可撓性外歯車の歯数は、nを正の整数として、前記剛性内歯車の歯数より2n枚少なく、
前記外歯の歯筋方向における任意の位置の軸直角断面において、当該外歯の楕円状リム中立線における長軸位置における当該外歯が楕円状に撓む前のリム中立円に対する半径方向の撓み量は、κを撓み係数として、κmnであり、
前記外歯の歯筋方向において、前記開口端の側の端の軸直角断面を開口端断面とし、前記ダイヤフラムの側の端の軸直角断面を内端断面とすると、前記開口端断面の前記撓み係数はκ=1であり、
前記開口端断面における前記外歯の前記内歯に対するラック近似による移動軌跡から求
めた相似曲線を用いて、前記外歯の凸曲線状の外歯歯末歯形部分および前記内歯の凸曲線状の内歯歯末歯形部分が規定されており、
前記外歯の前記開口端断面における開口端歯形形状は、前記外歯歯末歯形部分と、これに連続する外歯直線歯形部分、これに連続し、前記内歯との干渉を回避する凹曲線状の外歯歯元歯形部分、および、これに連続する外歯歯底部分によって規定されており、
前記内歯の軸直角断面上における歯形形状は、前記内歯歯末歯形部分とこれに連続する内歯直線歯形部分、これに連続し、前記外歯との干渉を回避する凹曲線状の内歯歯元歯形部分、および、これに連続する内歯歯底部分によって規定されており、
前記外歯の歯筋方向における前記開口端断面以外の断面の歯形形状は、前記内歯に干渉しないように、前記開口端断面の歯形形状にマイナス転位を施した転位歯形形状となっており、
一平面座標上で、縦軸に前記可撓性外歯車の素材である鋼材の両振りの疲労限度を取った点Aと、横軸に前記鋼材の降伏応力と引張強さの中央値を取った点Bとを結ぶ直線を引いて、修正グッドマン線図を描き、
前記可撓性外歯車の前記開口端断面における楕円状変形に伴って、その歯底リムの表面に現れる長軸上の撓みによる曲げ応力と、負荷トルクによって前記歯底リムに生ずる引張応力の1/2との和としての応力振幅を縦軸に取り、当該引張応力の1/2の平均応力を横軸に取る座標点の位置を、修正グッドマン線図の直線ABと原点を通り横軸と45度をなす直線との交点をCとしたときの線分ACの中点Mに取るように、前記可撓性外歯車の前記開口端断面の歯底リム厚tを定め、
前記外歯の前記開口端断面から前記内端断面に掛けての各位置の軸直角断面において、撓みによる曲げ応力と伝達負荷トルクによって当該位置の歯底リムに生ずる引張応力の1/2との和としての応力振幅を縦軸に取り、当該引張応力の1/2の平均応力を横軸に取る座標点の位置を、修正グッドマン線図上で前記中点Mの右側に取るように、当該軸直角断面における歯底リム厚を定めることを特徴とする波動歯車装置の可撓性外歯車の歯底リム厚設定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記外歯の前記開口端断面から前記内端断面に掛けての各位置の軸直角断面における前記歯底リム厚tは、
t=κt
である波動歯車装置の可撓性外歯車の歯底リム厚設定方法
【請求項3】
請求項1または2において、
前記転位歯形形状は、前記外歯の歯筋方向における前記開口端断面以外の各軸直角断面において得られる前記移動軌跡が、前記開口端断面において得られる前記移動軌跡に対してそれらの底部の点で接するように、前記開口端歯形形状にマイナス転位を施したものである波動歯車装置の可撓性外歯車の歯底リム厚設定方法
【請求項4】
請求項1、2または3において、
前記外歯の前記開口端断面において得られた前記移動軌跡における頂部の点から次の底部の点に至る曲線部分を、相似比λ<1として、前記底部の点を相似の中心としてλ倍に相似変換して、第1相似曲線を求め、
前記第1相似曲線における一方の端点である前記底部の点とは反対側の端点である反対側端点を中心として、当該第1相似曲線を180度回転することにより得られた曲線を、前記反対側端点を相似の中心として(1−λ)/λ倍に相似変換して第2相似曲線を求め、
前記第2相似曲線に対して所定の圧力角で交わる直線を引き、前記第2相似曲線の一方の端点である前記頂部の点から前記直線との交点である第1交点までの間の曲線部分を第1曲線部分として求め、
前記第1曲線部分によって前記外歯歯末歯形部分を規定し、
前記直線における前記第1交点から延びている直線部分によって、前記外歯直線歯形部分を規定し、
前記外歯直線歯形部分が前記内歯に対して所定の頂隙が確保されるように、当該外歯直線歯形部分と所定の外歯歯底曲線によって規定される前記外歯歯底部分との間を繋ぐ凹曲線によって前記外歯歯元歯形部分を規定し、
前記第1相似曲線に対して前記圧力角で交わる前記直線を引き、前記第1相似曲線における一方の端点である前記底部の点から前記直線との交点である第2交点までの間の曲線部分を第2曲線部分として求め、
前記第2曲線部分によって前記内歯歯末歯形部分を規定し、
前記直線における前記第2交点から延びている直線部分によって、前記内歯直線歯形部分を規定する波動歯車装置の可撓性外歯車の歯底リム厚設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯筋方向において広範囲に連続かみ合い可能な歯形を備えたテーパー型可撓性外歯車を有する波動歯車装置に関する。さらに詳しくは、可撓性外歯車のリム厚設定の最適化を図ることにより伝達負荷トルクの増大を可能にしたテーパー型可撓性外歯車を有する波動歯車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波動歯車装置は、創始者C.W.Musser氏の発明(特許文献1)以来、今日まで同氏を始め、本発明者を含め多くの研究者によって本装置の各種の発明考案がなされている。その歯形に関する発明に限っても、各種のものがある。例えば、本発明者は、特許文献2において基本歯形をインボリュート歯形とすることを提案し、特許文献3、4において、剛性内歯車と可撓性外歯車の歯の噛み合いをラックで近似する手法を用いて広域接触を行う両歯車の歯末歯形を導く歯形設計法を提案している。
【0003】
一般に、波動歯車装置は、円環状の剛性内歯車と、この内側に同軸状に配置された可撓性外歯車と、この内側に嵌めた波動発生器とを有している。可撓性外歯車は、可撓性の円筒状胴部と、この円筒状胴部の後端から半径方向に延びているダイヤフラムと、円筒状胴部の前端開口側の外周面部分に形成した外歯とを備えている。可撓性外歯車は波動発生器によって楕円状に撓められ、楕円の長軸方向の両端部において剛性内歯車に噛み合っている。
【0004】
楕円状に撓められた可撓性外歯車の外歯は、その歯筋方向に沿って、ダイヤフラムの側から前端開口に向けて、ダイヤフラムからの距離にほぼ比例して撓み量が増加している。また、波動発生器の回転に伴って、可撓性外歯車の歯部の各部分は半径方向への撓みを繰り返す。しかしながら、このような波動発生器による可撓性外歯車の撓み動作(コーニング)を考慮した合理的な歯形の設定法については、これまで十分には考慮されてこなかった。
【0005】
本発明者は、特許文献5において、歯のコーニングを考慮した連続的な噛み合いを可能にした歯形を備えた波動歯車装置を提案している。当該特許文献5において提案している波動歯車装置では、その可撓性外歯車の歯筋方向の任意の軸直角断面位置を主断面と定め、主断面における可撓性外歯車の楕円状リム中立線における長軸位置において、その撓み前のリム中立円に対する撓み量2κmn(κは撓み係数、mはモジュール、nは正の整数)が、2mn(κ=1)の無偏位状態に撓むように設定している。
【0006】
また、可撓性外歯車および剛性内歯車の噛み合いをラック噛み合いで近似し、可撓性外歯車の歯筋方向における主断面を含む各位置の軸直角断面において、波動発生器の回転に伴う可撓性外歯車の歯の剛性内歯車の歯に対する各移動軌跡を求め、主断面において得られる無偏位移動軌跡における頂部の点Aから次の底部の点Bに至る曲線部分を、点Bを相似の中心としてλ倍(λ<1)に縮小した第1相似曲線BCを求め、当該第1相似曲線BCを剛性内歯車の歯末の基本歯形として採用している。
【0007】
さらに、第1相似曲線BCの端点Cを中心として当該第1相似曲線BCを180度回転することにより得られた曲線を、当該端点Cを相似の中心として(1−λ)/λ倍した第2相似曲線を求め、当該第2相似曲線を可撓性外歯車の歯末の基本歯形として採用している。
【0008】
これに加えて、可撓性外歯車の外歯における主断面よりもダイヤフラム側における負偏位状態(撓み係数κ<1)に撓む各軸直角断面において得られる各負偏位側移動軌跡、および、主断面よりも開口端側における正偏位状態(撓み係数κ>1)に撓む各軸直角断面において得られる各正偏位側移動軌跡の双方が、主断面における無偏位移動軌跡の底部で接する曲線を描くように、可撓性外歯車の歯形において、主断面を挟み、それらの歯筋方向の両側の歯形部分に転位を施してある。この結果、可撓性外歯車は、歯筋方向において開口端側からダイヤフラム側に向けて歯先円直径が漸減したテーパー型可撓性外歯車となっている。
【0009】
このように歯形が形成されている波動歯車装置では、主断面における広範囲に亘る連続的な歯形の噛み合いを中心とし、主断面より開口端に至る歯筋の範囲および主断面よりダイヤフラム側に至る歯筋の範囲において、有効な噛み合いを実現することができる。よって、従来の狭い歯筋範囲で噛み合う波動歯車装置に比べて、より多くのトルクを伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第2906143号公報
【特許文献2】特公昭45−41171号公報
【特許文献3】特開昭63−115943号公報
【特許文献4】特開昭64−79448号公報
【特許文献5】WO2010/070712号のパンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、従来の波動歯車装置の歯形の発明は、可撓性外歯車のリム厚とは関係無しに切り離して行われてきた。すなわち、歯形と、伝達負荷トルクに関係する可撓性外歯車の歯底リム厚との関連については、全く考慮されていなかった。
【0012】
可撓性外歯車のコーニングを考慮した連続かみ合い可能な歯形を設定して伝達負荷トルクの増大が可能になったとしても、増大した伝達負荷トルクを伝達可能な歯底リム厚が備わっていないと、結果として、可撓性外歯車の伝達負荷トルクを高めることができない。外歯のコーニングを考慮して歯筋方向に沿って異なる転位量で転位が施されている転位歯形を採用する場合、伝達負荷トルクの増大を可能にするためには、歯筋方向の各位置において歯形(転位量)に応じて歯底リム厚を適切に設定する必要がある。
【0013】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、歯筋方向において広範囲に連続かみ合い可能なテーパー型可撓性外歯車を有する波動歯車装置において、可撓性外歯車のリム厚設定の最適化を図ることにより伝達負荷トルクの増大を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を達成するために、本発明の波動歯車装置では次の(1)〜(6)の手順に従って両歯車の歯形および外歯のリム厚を設定している。
(1)可撓性外歯車の外歯の歯筋方向の開口端位置の軸直角断面を撓み係数κ=1の無偏位の主断面とし、当該主断面における可撓性外歯車の外歯の剛性内歯車の内歯に対する移動軌跡から、両歯車の歯の歯末歯形を規定するために用いるそれぞれの相似曲線歯形を求める。
(2)可撓性外歯車の外歯の開口端位置の主断面の歯形として、上記のように規定した歯末歯形と、これに接続した直線歯形と、干渉を回避する適宜の歯元歯形から規定される複合歯形を用いる。
(3)剛性内歯車の内歯の歯形として、上記のように規定した歯末歯形と、これに接続した直線歯形と、干渉を回避する適宜の歯元歯形から規定される複合歯形を用いる。
(4)可撓性外歯車の外歯の歯筋方向における開口端以外の断面の歯形として、可撓性外歯車のコーニングを考慮して、開口端位置の主断面の歯形として採用した複合歯形に対して転位を施した転位歯形を採用する。換言すると、可撓性外歯車の外歯における歯筋方向の各断面において得られる剛性内歯車の内歯に対する相対的な移動軌跡が、当該外歯の開口端位置の主断面の移動軌跡とその底部を共有するように、主断面の歯形に転位を施して、歯筋方向において両歯車の広範囲の連続的なかみ合いを実現する。
(5)可撓性外歯車の外歯における歯筋方向の開口端位置の歯底リム厚を、修正グッドマン線図を用いて、最適なものに設定する。
(6)外歯の歯筋方向における開口端以外の位置における歯底リム厚を、歯形と伝達するトルクとの関連を考慮して、修正グッドマン線図を用いて(開口端位置の最適歯底リム厚に基づき)設定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、外歯の開口端位置の主断面において広範囲の連続的なかみ合いが実現されると共に歯筋方向においても広範囲のかみ合いが実現されるテーパー型可撓性外歯車を備えている連続かみ合い可能な波動歯車装置において、従来において全く考慮されていなかった可撓性外歯車の歯底リム厚を、歯筋方向の各位置において、伝達負荷トルクに見合う最適な厚さに設定することができる。よって、本発明によれば、波動歯車装置の可撓性外歯車の伝達負荷トルクを従来に比べて大幅に増大させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一般的な波動歯車装置の概略正面図である。
図2】可撓性外歯車の撓み状況を示す説明図であり、(a)は変形前の状態を示し、(b)は楕円状に変形した可撓性外歯車の長軸を含む断面の状態を示し、(c)は楕円状に変形した可撓性外歯車の短軸を含む断面の状態を示す。
図3】外歯の開口端の軸直角断面(主断面)における両歯車の歯形の一例を示す説明図である。
図4】転位が施された外歯の歯筋方向の歯形形状を示す説明図である。
図5】可撓性外歯車の外歯の歯筋方向の開口端位置、中間位置、内端位置の軸直角断面において、可撓性外歯車と剛性内歯車の相対運動をラックで近似した場合に得られる外歯の内歯に対する移動軌跡を示す説明図である。
図6】可撓性外歯車の外歯の主断面(無偏位断面)における移動軌跡から、両歯車のそれぞれの歯形を導くための手順を示す説明図である。
図7】修正グッドマン線図を用いて可撓性外歯車の歯底リム厚を定める手法を示す説明図である。
図8】可撓性外歯車の転位が施された歯形における主断面と、その前後の断面の3種の移動軌跡を示す説明図である。
図9A】両歯車の歯形における歯筋方向の外歯開口端位置の断面(無偏位の主断面)でのかみ合いの様相を示す説明図である。
図9B】両歯車の歯形における歯筋方向の外歯中間位置の断面(負偏位断面)におけるかみ合いの様相を示す説明図である。
図9C】両歯車の歯形における歯筋方向の外歯内端位置の断面(負偏位断面)におけるかみ合いの様相を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した波動歯車装置を説明する。
【0018】
(波動歯車装置の構成)
図1は本発明の対象である波動歯車装置の正面図である。図2はその可撓性外歯車の開口部を楕円状に撓ませた状況を含軸断面で示す断面図であり、図2(a)は変形前の状態、図2(b)は変形後における楕円状曲線の長軸を含む断面、図2(c)は変形後における楕円状曲線の短軸を含む断面をそれぞれ示してある。なお、図2(a)〜(c)において実線はカップ状の可撓性外歯車を示し、破線はシルクハット状の可撓性外歯車を示す。
【0019】
これらの図に示すように、波動歯車装置1は、円環状の剛性内歯車2と、その内側に配置された可撓性外歯車3と、この内側にはめ込まれた楕円状輪郭の波動発生器4とを有している。剛性内歯車2と可撓性外歯車3は共にモジュールmの平歯車である。また、両歯車の歯数差は2n(nは正の整数)であり、剛性内歯車2の方が多い。可撓性外歯車3は、楕円状輪郭の波動発生器4によって楕円状に撓められ、楕円状の長軸L1方向の両端部分において剛性内歯車2に噛み合っている。波動発生器4を回転すると、両歯車2、3の噛み合い位置が周方向に移動し、両歯車の歯数差に応じた相対回転が両歯車2、3の間に発生する。可撓性外歯車3は、可撓性の円筒状胴部31と、その後端31bに連続して半径方向に広がるダイヤフラム32と、ダイヤフラム32に連続しているボス33と、円筒状胴部31の開口端31aの側の外周面部分に形成した外歯34とを備えている。
【0020】
円筒状胴部31の外歯形成部分の内周面部分に嵌め込まれた楕円状輪郭の波動発生器4によって、円筒状胴部31は、そのダイヤフラム側の後端31bから開口端31aに向けて、半径方向の外側あるいは内側への撓み量が漸増している。図2(b)に示すように、楕円状曲線の長軸L1を含む断面では外側への撓み量が後端31bから開口端31aへの距離に比例して漸増し、図2(c)に示すように、楕円状曲線の短軸L2を含む断面では内側への撓み量が後端31bから開口端31aへの距離に比例して漸増している。したがって、開口端31a側の外周面部分に形成されている外歯34は、その歯筋方向における各軸直角断面において撓み量が変化している。すなわち、外歯34の歯筋方向におけるダイヤフラム側の内端34bの位置から開口側の開口端34aの位置に向けて、後端31bからの距離に比例して撓み量が漸増している。
【0021】
(両歯車の歯形形状)
図3は両歯車2、3の歯形の一例を示す説明図であり、図4は可撓性外歯車3の歯筋方向における歯形輪郭形状を示す説明図である。図3に示す外歯34の歯形形状はその開口端34aの位置(主断面)におけるものであり、外歯34における開口端34aから内端34bに至る部分の歯形形状は、図3に示す歯形形状に、後述のようにマイナス転位を施した転位歯形形状となっている。この結果、図4に示すように、可撓性外歯車3は、外歯34の歯先円直径が開口端34aから内端34bに向かう歯筋方向に沿って漸減しているテーパー型可撓性外歯車となっている。これに対して、内歯24の歯形形状は歯筋方向の全体に亘って同一であり、図3に示す歯形形状に設定されている。
【0022】
図3に示すように、外歯34の開口端34a(主断面)における歯形形状は、凸曲線状の外歯歯末歯形部分41、これに連続する外歯直線歯形部分42、これに連続する凹曲線状の外歯歯元歯形部分43、および、これに連続する外歯歯底部分44によって規定されている。内歯24の歯形形状は、凸曲線状の内歯歯末歯形部分51、これに連続する内歯直線歯形部分52、これに連続する凹曲線状の内歯歯元歯形部分53、および、これに連続する内歯歯底部分54によって規定されている。
【0023】
[両歯車の歯形の形成方法]
次に、図3図5および図6を参照して、外歯34および内歯24の歯形の形成方法を説明する。
【0024】
(ラック近似による歯の移動軌跡)
図5は波動歯車装置1の両歯車2、3の歯の相対運動をラックで近似した場合に得られる、剛性内歯車2の内歯24に対する可撓性外歯車3の外歯34の移動軌跡を示す図である。図において、x軸はラックの併進方向、y軸はそれに直角な方向を示す。ここで、可撓性外歯車3の外歯34の歯筋方向における任意の位置の軸直角断面において、当該外歯34の楕円状リム中立線における長軸位置L1における当該外歯34が楕円状に撓む前のリム中立円に対する撓み量は、κを撓み係数として2κmnである。可撓性外歯車3の外歯34の移動軌跡は次式で与えられる。
x=0.5mn(θ−κsinθ)
y=κmncosθ
【0025】
説明を簡単にするために、m=1、n=1(歯数差が2)とすると、移動軌跡は次式で与えられる。
x=0.5(θ−κsinθ)
y=κcosθ
【0026】
図5のy軸の原点は移動軌跡の振幅の平均位置としてある。移動軌跡のうち無偏位移動軌跡Mは、撓み係数κ=1である偏位無しの標準の撓み状態の場合に得られるものであり、負偏位移動軌跡M、Mは、撓み係数κ<1である負偏位の撓み状態の場合に得られるものである。本発明では、両歯車2、3の歯形形成の基礎となる主断面を、可撓性外歯車3の外歯34の歯筋方向における開口端34aの位置における軸直角断面としてある。負偏位移動軌跡Mは外歯34の歯筋方向の中間位置の軸直角断面において得られる軌跡であり、負偏位移動軌跡Mは外歯34の歯筋方向の内端34bの位置において得られる軌跡である。図5において、軌跡Mは撓み係数がκ=0.85、軌跡Mは撓み係数がκ=0.7の場合のものである。
【0027】
(主断面における歯形の形成方法)
図6は、外歯34、内歯24の歯形を形成するために用いるために、無偏位移動軌跡Mに設定した利用範囲を示す説明図である。この図において、主断面(開口端34aの断面)の無偏位移動軌跡Mのパラメーターθがπ(B点:移動軌跡の底部)から0(A点:移動軌跡の頂部)までの範囲を取り、B点を相似の中心として、この無偏位移動軌跡Mをλ倍(λ<1)に相似変換して第1相似曲線BCを得る。図6には、λ=0.6の場合を示してある。第1相似曲線BCを剛性内歯車2の歯末歯形を規定するために用いる歯形曲線として採用する。
【0028】
第1相似曲線BCの端点Cを中心として、当該第1相似曲線BCを180度回転して曲線B’Cを得る。曲線B’Cを、端点Cを相似の中心として(1−λ)/λ倍して、第2相似曲線ACを得る。第2相似曲線ACを可撓性外歯車3の歯末歯形を規定するために用いる歯形曲線として採用する。
【0029】
これらの歯末歯形を規定する歯形曲線は式で表わすと次のようになる。
剛性内歯車の歯末歯形の基本式:
Ca=0.5{(1−λ)π+λ(θ−sinθ)}
Ca=λ(1+cosθ) (0≦θ≦π)
可撓性外歯車の歯末歯形の基本式:
Fa=0.5(1−λ)(π−θ+sinθ)
Fa=(λ−1)(1+cosθ) (0≦θ≦π)
【0030】
(外歯の主断面の歯形形状)
上記のように求めた歯末歯形を規定するための歯形曲線ACを用いて、次のように外歯34の主断面(開口端34aの軸直角断面)における外歯歯形を形成する。図3および図6を参照して説明すると、可撓性外歯車3の歯末歯形を規定するための歯形曲線ACに対して圧力角αで交わる直線Lを引き、歯形曲線ACにおける端点Aから直線Lとの交点Dまでの間の曲線部分ADを求める。この曲線部分ADを正規の歯末歯形を規定する歯形曲線として採用し、当該歯形曲線を用いて外歯歯末歯形部分41を形成する。また、交点Dから延びている直線Lの直線部分によって外歯直線歯形部分42を規定する。さらに、外歯直線歯形部分42が内歯24に対して所定の頂隙が確保されるように、当該外歯直線歯形部分42と所定の外歯歯底曲線によって規定される外歯歯底部分44との間を繋ぐ所定の凹曲線によって外歯歯元歯形部分43を規定する。
【0031】
(内歯の歯形形状)
同様にして、歯末歯形を規定するために用いる歯形曲線BCを用いて内歯24の歯形を形成する。図3および図6を参照して説明すると、剛性内歯車2の歯末歯形を規定するために用いる歯形曲線BCに対して圧力角αで交わる直線Lを引き、歯形曲線BCにおける端点Bから直線Lとの交点Eまでの間の曲線部分BEを求める。この曲線部分BEを正規の歯末歯形を規定する歯形曲線として採用し、当該歯形曲線を用いて内歯歯末歯形部分51を形成する。また、交点Eから延びている直線Lの直線部分によって内歯直線歯形部分52を規定する。さらに、内歯直線歯形部分52が外歯34に対して所定の頂隙が確保されるように、当該内歯直線歯形部分52と所定の内歯歯底曲線によって規定される内歯歯底部分54との間を繋ぐ所定の凹曲線によって内歯歯元歯形部分53を規定する。
【0032】
なお、両歯車の歯元の歯形部分43、44、53、54は噛み合いに参加しない。従って、これらの歯元の歯形部分43、44、53、54は、それぞれ相手の歯末の歯形部分51、52、41、42と干渉しなければよく、自由に設定できる。
【0033】
このようにして、図3に示す両歯車2、3の主断面(外歯34の開口端34aの軸直角断面)の位置における歯形形状が形成される。本例では、直線歯形の圧力角αが9度である。歯末歯形の圧力角が0度に近い部分は、歯車加工の面から避けた方が望ましく、圧力角が6度ないし10度付近の点から直線歯形とし、歯元の歯形につなぐようにすればよい。
【0034】
(外歯における主断面以外の位置における歯形形状)
上記のように設定した主断面の歯形の噛み合いは両歯車2、3の歯末歯形同士の噛み合いにおいては、図5に示す無偏位移動軌跡Mに沿って可撓性外歯車3が剛性内歯車2に対して移動するとき、歯末歯形同士は相似曲線の性質から連続的に接触する。これに対して、主断面からダイヤフラム側に掛けての外歯34の各軸直角断面では偏位係数はκ<1となる。図5に示すように、負偏位移動軌跡M、Mは無偏位移動軌跡Mと干渉し、このままでは主断面における場合のような歯末歯形同士の連続的な噛み合いを維持することができない。
【0035】
そこで、外歯34における開口端34aから内端34bに至る部分の軸直角断面の歯形形状として、主断面(開口端34aの軸直交断面)の歯形に転位を施した転位歯形を採用する。すなわち、開口端34aから内端34bに至る各軸直角断面において得られる外歯34の内歯24に対するラック近似による移動軌跡が、主断面位置である開口端34aにおいて得られる移動軌跡Mに対して、その底部Bで接するように、開口端34aの外歯歯形にマイナス転位を施した転位歯形形状としてある。これにより、外歯34の歯筋方向のすべての断面上において、近似的ながら、部分的にせよ正常な噛み合いを保証できるようにしている。
【0036】
具体的に説明すると、外歯34の開口端34aの位置からダイヤフラム側の内端34bの位置に掛けての各軸直角断面において、それらの各軸直角断面位置での撓み係数κに応じて、各軸直角断面での移動軌跡が開口端34aでの移動軌跡Mの底部Bに接するように、転位の量mnhを設定する。m=1、n=1とした場合には転位の量がhになり、次式によって表わされる負の値をとる。
h=κ−1
【0037】
また、このように転位を施すことにより、外歯34の歯筋方向の各軸直角断面における歯底リム厚tは、
t=κt
ここで、t:主断面(開口端の軸直角断面)における歯底リム厚
となる。
【0038】
(外歯の歯底リム厚と歯の転位量の設定方法)
図7は、いわゆる修正グッドマン線図を用いて、可撓性外歯車の歯底リム厚と歯の転位を定める本発明の手法を示すものである。波動歯車装置1において、その可撓性外歯車3の楕円状の変形に伴う長軸上の歯底リム表面の曲げに伴う引張応力をσとすると、材料力学の基本式からσは次式により規定される。
σ=3Et/(RD)
ここで、E:ヤング率
t:歯底リム厚
R:減速比
D:変形前の中立円の直径
【0039】
また、出力トルクTによって生ずる長軸上の引張応力をσとすると、荷重を受ける歯底の面積がDLであることから、σは次式により規定される。
σ=T/(DLt)
ここで、L:可撓性外歯車の歯幅
【0040】
したがって、可撓性外歯車3の長軸に生ずる応力はσとσの和であり、可撓性外歯車3の短軸の歯底リム表面に生ずる応力は圧縮応力−σである。これより、波動発生器4の回転によって生ずる可撓性外歯車3の応力振幅は、
((σ+σ)−(−σ))/2=σ+σ/2
であり、平均応力は、
((σ+σ)+(−σ))/2=σ/2
である。
【0041】
一平面上で、縦軸に可撓性外歯車3の素材である鋼材の実質的な両振りの疲労限度を取った点A(この縦座標をσとする)と、横軸に当該鋼材の降伏応力と引張強さの中央に取った点B(この横座標をσとする)とを結ぶ直線を引いて、いわゆる修正グッドマン線図を作る。この直線と横軸および縦軸とによって囲まれた三角領域が、横軸に可撓性外歯車3の歯底リム表面の平均応力、縦軸にその応力振幅をプロットした点の許容範囲である。
【0042】
ここで、可撓性外歯車3の楕円状のリム中立曲線が与えられた場合、波動発生器4の回転によって生ずる主断面(開口端34aの軸直角断面)における歯底リムの表面に現れる応力振幅(σ+σ/2)を縦軸に、平均応力σ/2を横軸に取り、点Pとする。この点Pが前記の三角領域に含まれることが先ず必要である。
【0043】
このとき、可撓性外歯車3の伝える伝達負荷トルクTは歯底リム厚tと引張応力σの積に比例する。歯底リム厚tは曲げに伴なう引張応力σに比例する。従って、可撓性外歯車のトルクTは引張応力σと引張応力σの積に比例することになる。ここで、点Pを通る縦軸に平行な直線と原点を通り横軸に45度をなす直線との交点をQとしたとき、線分PQはσを表している。以上のことから、トルクTは、点Pと点Qをそれぞれ通る横軸に平行な縦軸までの直線と線分PQが囲む長方形の面積に比例することになる。
【0044】
従って、与えられた仕様を持つ可撓性外歯車3の伝えるトルクを最大とする点は、原点を通り横軸と45度をなす直線と修正グッドマン線図との交点をCとするとき、線分ACの中点Mであり、中点Mに対応する歯底リム厚が最適の値となる。従って、この場合、図の幾何学的関係から、
σ=σ/2
σ=σσ/(σ+σ
であり、外歯の主断面(開口端34aの位置)での歯底リム厚tの最適値tは次式で与えられる。
=t=σRD/(6E)
【0045】
先に述べたように、外歯34にはマイナス転位が施されており、その歯底リム厚は、外歯34の歯筋方向における開口端34aの位置の歯底リム厚をtとすると、当該開口端34a以外の位置における歯底リム厚はκtとなっている。したがって、上記のようにして開口端34aでの歯底リム厚tを最適リム厚tに設定すると、外歯34の開口端34aから内端34bに至る各軸直角断面の歯底リム厚tは、κtに設定される。
【0046】
換言すると、外歯34における開口端34aより内端34bにかけての歯筋方向の各軸直角断面の歯底リム厚に対応する点を、修正グッドマン線図上において中点Mの右側に取るように、可撓性外歯車のリム厚を漸次小さく取るように定めている。この際、修正グッドマン線図上の応力振幅と平均応力を表す座標点が前述の許容範囲に入ることが必要である。
【0047】
本発明では、以下に示すように当該条件が満たされており、可撓性外歯車3の応力状態を表す修正グッドマン線図の座標点が当該線図の許容範囲である三角領域にある。
【0048】
すなわち、可撓性外歯車の開口端34aの歯底リム厚を最適値tとし、開口端34aより内端34bに至る軸直角断面の歯底リム厚については、歯筋に沿っての歯形のかみ合いを維持するために、各軸直角断面における可撓性外歯車3の外歯34の剛性内歯車2の内歯24に対する移動軌跡の底部を一致させるように、歯底リム厚を、歯に係数1−κ(κ<1)の転位を施したκtとしてある。このとき、トルクによる開口端34aの引張応力σnmに対し、任意位置のリムの引張応力はリム厚の減少からσnm/κのように増加する。
【0049】
一方、可撓性外歯車の任意断面の長軸に生ずる曲げ応力σはリム厚κtと撓み量wの積に比例しており、その値は、tに対する曲げ応力をσbmとすると、
σ=κσbm=κσ/2
となる。修正グッドマン線図で横座標の平均応力σnm/κ/2に対応する縦座標は、直線の式から
−(σ/σ)σnm/2/κ+σ
となる。ここで、σbm=σ/2の関係を用いると開口端34aの軸直角断面において、
(σ−σnm/2)(σ/σ)=σbm+σnm/2=σ/2+σnm/2
の関係から、次の結果を得る。
σnm=σσ/(σ+σ
【0050】
従って、係数κの断面の平均応力σnm/κ/2に対応する修正グッドマン直線の縦座標は次式となる。
【数1】
【0051】
これに対して、係数κの断面の応力振幅は
【数2】
である。
【0052】
両者の差は
【数3】
となり、κの実際の値の範囲(本例では、1〜0.7)に対しては、この値が正であり、これによってリム厚κtに対する座標値が許容範囲にあることが示される。
【0053】
(歯のかみ合い状態)
図8は、上記のように歯形が設定された外歯34における開口端34a(主断面)、歯筋方向の中間位置および内端34bにおける各軸直角断面上での外歯の移動軌跡を示すグラフである。中間位置および内端34bにおける転位歯形の移動軌跡M2a、M3aは、開口端34aにおける移動軌跡Mと底部Bにおいて接し、しかも、頂部の一部を除き、これらの軌跡は相互に近似している。このことは、本発明による歯形が、頂部の一部を除き、歯筋全般に亘るかみ合い状態が得られる可能性を示している。
【0054】
次に、図9A図9Cは、上記のように歯形を設定した外歯と内歯のかみ合いの様相をラック近似で示す説明図である。図9Aは外歯の開口端位置、図9Bは外歯の歯筋方向の中間位置、図9Cは外歯の内端位置において得られるものである。外歯の歯筋方向の各位置における移動軌跡が、それらの底部に至る部分において良好に一致していることにより、歯筋方向の全般に亘る外歯と内歯のかみ合い状態が得られることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C