特許第5774714号(P5774714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774714
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】照明付き化粧鏡セット
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/00 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A47G1/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-535788(P2013-535788)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2011072606
(87)【国際公開番号】WO2013046448
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 一文
(72)【発明者】
【氏名】井田 和長
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】中村 晴美
(72)【発明者】
【氏名】北村 明司
(72)【発明者】
【氏名】中村 毅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】篠原 拓男
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−286373(JP,A)
【文献】 特開2008−018058(JP,A)
【文献】 実開昭64−27058(JP,U)
【文献】 特開2006−223838(JP,A)
【文献】 実開平5−55957(JP,U)
【文献】 特開2009−268623(JP,A)
【文献】 特開平3−297004(JP,A)
【文献】 特開2008−272333(JP,A)
【文献】 特開2009−125114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/00
F21V 33/00
H05B 37/02
F21Y 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡ユニットを備える照明付き化粧鏡セットであって、
前記鏡ユニットの鏡面に対して左右の各位置に上下方向に並んで設けられた複数の面光源と、
前記鏡面に対して上方の位置に設けられた面光源と、
前記左右の位置各々における前記複数の面光源のうちの、前記鏡面に映し出されるべき化粧対象者像の目の位置に対応した上下方向の位置に存在する面光源と、前記上方の位置における前記面光源とを白色発光させる駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、
前記鏡面に映し出される前記化粧対象者の目の上下方向の位置を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記目の位置に応じて前記左右の位置各々における前記複数の面光源のうちの少なくとも1つの面光源を白色発光させる制御部と、を備えることを特徴とする照明付き化粧鏡セット。
【請求項2】
前記鏡面に対して上方の位置には複数の前記面光源が左右方向に並んで設けられ、
前記検出部は、前記鏡面に映し出される前記化粧対象者の顔の中心線を検出し、
前記制御部は、前記上方の位置における前記複数の面光源のうちの、前記顔の中心線上に存在する面光源を白色発光させることを特徴とする請求項1記載の照明付き化粧鏡セット。
【請求項3】
前記鏡面に対して左右及び上方の各位置の前記面光源は左右の側板及び上板に各々取り付けられ、
前記左右の側板各々は前記鏡ユニットの左右の側端部に連結され、前記上板は前記鏡ユニットの上端部に連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の照明付き化粧鏡セット。
【請求項4】
前記側板及び前記上板各々の前記面光源は前記側板及び前記上板に対して発光面の角度を調整可能であることを特徴とする請求項記載の照明付き化粧鏡セット。
【請求項5】
鏡ユニットを備える照明付き化粧鏡セットであって、
前記鏡ユニットの鏡面に対して左右の各位置に設けられた面光源と、
前記鏡面に対して上方の位置に設けられた面光源と、
前記左右の位置各々における前記面光源の発光面のうちの、前記鏡面に映し出されるべき化粧対象者像の目の位置に対応した領域と、前記上方の位置における前記面光源のうちの前記鏡面を左右に2等分する線位置に対応した領域とを白色発光させる駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、
前記鏡面に映し出される前記化粧対象者の目の上下方向の位置を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記目の位置に応じて前記左右の位置各々における前記複数の面光源のうちの少なくとも1つの面光源を白色発光させる制御部と、を備えることを特徴とする照明付き化粧鏡セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡ユニットと共に照明用の光源を有する照明付き化粧鏡セットに関する。
【背景技術】
【0002】
モデルや女優の化粧(整髪を含む)の際には化粧の具合を鏡に明確に映し出すために照明が必要とされ、そのような照明用として複数の光源を並べたハリウッドライトと称するものが知られている。また、化粧鏡の両側にハリウッドライトを備えた照明付き化粧鏡セットがメークアップケースとして商品化されている。ハリウッドライトにおいては光源としては通常、点光源の白熱電球が用いられている。
【0003】
更に、三面鏡の正面鏡本体の正面鏡面の周囲の上下左右の側縁部の少なくとも一側縁に照明用光源を備えた装置(特許文献1)や、照明特性を調整可能な照明装置と化粧鏡とを備えた化粧ユニット(特許文献2)が知られている。特許文献1の装置の光源は点光源のLED(発光ダイオード)が用いられ、特許文献2のユニットでは発光色を変化させるためにRGBランプが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−272333号公報
【特許文献2】特開2009−125114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の照明付き化粧鏡セット、例えば、ハリウッドライトを用いた照明付き化粧鏡セットにおいては上記したように複数の光源には白熱電球などが使用されており、それら光源の位置は、適度な照度を得るために決められたに過ぎず、左右に配置されたり、上部だけに配置されたり、または鏡面の四辺全てに配置されている場合もあった。
また、デザイン的な観点を重視して、光源の配置が決められたものも多く、実際のメイクに適した光環境を作る為に設計された光源位置ではなかった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記の欠点が一例として挙げられ、化粧に最適な照明状態を作り出すことができる位置に光源が配置されるように、光源と化粧対象者との相対位置検出と調整が可能な化粧鏡セットを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の照明付き化粧鏡セットは、鏡ユニットを備える照明付き化粧鏡セットであって、前記鏡ユニットの鏡面に対して左右の各位置に上下方向に並んで設けられた数の面光源と、前記鏡面に対して上方の位置に設けられた光源と、前記左右の位置各々における前記複数の面光源のうちの、前記鏡面に映し出されるべき化粧対象者像の目の位置に対応した上下方向の位置に存在する面光源と、前記上方の位置における前記面光源とを白色発光させる駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、前記鏡面に映し出される前記化粧対象者の目の上下方向の位置を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記目の位置に応じて前記左右の位置各々における前記複数の面光源のうちの少なくとも1つの面光源を白色発光させる制御部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項6に係る発明の照明付き化粧鏡セットは、鏡ユニットを備える照明付き化粧鏡セットであって、前記鏡ユニットの鏡面に対して左右の各位置に設けられた光源と、前記鏡面に対して上方の位置に設けられた光源と、前記左右の位置各々における前記面光源の発光面のうちの、前記鏡面に映し出されるべき化粧対象者像の目の位置に対応した領域と、前記上方の位置における前記面光源のうちの前記鏡面を左右に2等分する線位置に対応した領域とを白色発光させる駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、前記鏡面に映し出される前記化粧対象者の目の上下方向の位置を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記目の位置に応じて前記左右の位置各々における前記複数の面光源のうちの少なくとも1つの面光源を白色発光させる制御部と、を備えることを特徴としている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
請求項1に係る発明の照明付き化粧鏡セットによれば、左右の位置各々における複数の面光源のうちの、鏡面に映し出された化粧対象者像の目の位置に対応した上下方向の位置に存在する面光源と上方の位置における面光源とが白色発光される。また、請求項6に係る発明の照明付き化粧鏡セットによれば、左右の位置各々における面光源の発光面のうちの、鏡面に映し出されるべき化粧対象者像の目の位置に対応した領域と上方の位置における面光源のうちの鏡面を左右に2等分する線位置に対応した領域とが白色発光される。よって、左右及び上方の3方向からの面光源による照明となると共に化粧対象者の目を中心として顔が白色で照明されるので鏡面に映し出される化粧対象者像を立体的に視認することができる。また、照明用に面光源を用いているため、点光源を用いた場合に比べて化粧対象者が同じ照度であっても眩しいことはない。よって、化粧対象者に対して長時間に亘って化粧を施しても化粧対象者はその化粧の間において快適に過ごすことができ、これにより化粧に最適な照明状態を作り出すことができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例として照明付き化粧鏡セットを示す外観図である。
図2図1の化粧鏡セット中の蝶番機構を示す図である。
図3図1の化粧鏡セットの折りたたみ状態を示す外観図である。
図4図1の化粧鏡セット中の有機ELパネルの構造を示す断面図である。
図5図1の化粧鏡セットの駆動装置の構成を示すブロック図である。
図6図1の化粧鏡セット中の操作部の各押しボタンを示す図である。
図7図1の化粧鏡セットにおいて特定の有機ELパネルを白色発光させた状態を示す図である。
図8】本発明の他の実施例として化粧鏡セットの駆動装置の構成を示すブロック図である。
図9図8の駆動装置中のカメラの取り付け位置を示す図である。
図10図8の駆動装置中の制御部の動作を示すフローチャートである。
図11図10の制御部の動作によって有機ELパネルが白色発光させた状態を示す図である。
図12図1の化粧鏡セットにおいて角度調整可能な有機ELパネルを示す外観図である。
図13】単一の面光源の発光面を複数の領域に分けて領域毎に個別に駆動する照明付き化粧鏡セットを示す外観図である。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は請求項1に係る発明の実施例である照明付きの化粧鏡セットを示している。この化粧鏡セットは、鏡ユニット11、左右の側板12,13、上方の上板14、及び支持台15を備えている。鏡ユニット11は長方形の鏡21とその鏡21の裏面に張り合わされた平板22とを有する。平板22は樹脂、木、或いは金属からなり、鏡21のサイズと同一サイズを有しても良いし、若干大きくても良い。左側の側板12は鏡ユニット11の左側端部に角度調整自在に連結され、右側の側板13は鏡ユニット11の右側端部に角度調整自在に連結されている。上板14は鏡ユニット11の上側端部に角度調整自在に連結されている。鏡ユニット11と側板12,13及び上板14各々との間には図2に示すように蝶番機構16が形成されており、その蝶番機構16によって上記の角度調整自在な連結が可能となっている。その角度調整範囲は鏡ユニット11と側板12,13及び上板14各々とがほぼ水平となる角度から、鏡ユニット11に対して側板12,13及び上板14を折りたたんだ状態における角度までを含む。
【0013】
側板12,13各々の垂直方向(上下方向)の長さは鏡ユニット11の垂直方向の長さと同一であるが、水平方向(左右方向)の長さは鏡ユニット11の水平方向の長さの1/2以下である。
【0014】
側板12,13各々の表面には4つの有機EL(Electro Luminescence)パネル(面光源)25a〜25d,26a〜26dが垂直方向に並べて接着によって取り付けられている。有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dは同一のものであり、例えば、13cm×13cmの正方形状をしている。また、上板14には3つの有機ELパネル(面光源)27a〜27cが水平方向に並べて接着によって取り付けられている。有機ELパネル27a〜27cは図1では有機ELパネル25a〜25c,26a〜26dより小さいサイズのものとなっているが、同一の大きさでも良い。
【0015】
支持台15は台座15aと支柱15bとからなり、楕円平板の台座15aに対して垂直に支柱15bは連結している。支持台15は側板12,13及び上板14を含む鏡ユニット11を支持するために支柱15bが鏡ユニット11に取り外し自在に連結している。例えば、鏡ユニット11の低部には連結孔(図示せず)が形成され、支柱15bの先端部がその連結孔に差し込まれることにより支持台15と鏡ユニット11とが結合するようになっている。
【0016】
上記した構成を有する図1の化粧鏡セットにおいては、側板12,13及び上板14各々を鏡ユニット11との連結部分(上記の蝶番機構16)を回転軸としてメークアップアーチスト等の利用者(ユーザ)が操作することにより側板12,13及び上板14各々と鏡ユニット11との角度を個別に調整することができる。すなわち、鏡21の鏡面に映し出されるモデル等の化粧対象者の像を側板12,13及び上板14各々の有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cによる発光によって好適に照らし出すように側板12,13及び上板14各々と鏡ユニット11との角度を個別に調整することができる。
【0017】
また、側板12,13及び上板14各々は有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを有する状態で図3に示すように折りたたむことができる。この折りたたんだ状態で側板12,13同士が接触することはないが、上板14が側板12,13の一部と重なり合う。有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cの厚みが薄いために有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cが破損或いは変形することなく側板12,13及び上板14各々を折りたたむことができる。
【0018】
更に、支持台15を鏡ユニット11から取り外して支持台15と鏡ユニット11及び側板12,13部分とを分離し、上記のように鏡ユニット11に対して側板12,13及び上板14を折りたたんだ状態にすることにより化粧鏡セットの搬送が容易となる。
【0019】
次に、図1の化粧鏡セットの有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々及びその駆動系について説明する。
【0020】
有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々はフルカラーの照明用発光パネルであり、図4に示すように、ガラス基板51上に発光色がR(赤)G(緑)B(青)である有機EL素子50R,50G,50Bがストライプ状に形成されている。なお、図4はストライプの直線に直交する方向の断面を示している。
【0021】
それらの有機EL素子50R,50G,50B各々は陽極52、ホール注入層53、ホール輸送層54、RGB発光層55R,55G,55B、電子輸送層56、そして陰極57の順に積層された構造を有し、有機EL素子50R,50G,50B間はバンク58で仕切られている。また、各有機EL素子50R,50G,50Bの陽極52上にはバスライン59が形成されており、バスライン59によって陽極52への給電が行われるようになっている。陽極52は例えば、スパッタ法により膜厚70nmのITO膜からなる。ホール注入層53はCuPcからなり、厚さ20nmである。ホール輸送層54はNPBからなり、厚さ20nmである。R(赤)発光層55RはCPBをホスト材料とし、Ir(phq)tpyをドーパントとしており、G(緑)発光層55GはCPBをホスト材料とし、Ir(ppy)をドーパントとしており、B(青)55BはPANDをホスト材料とし、DPAVBiをドーパントとしている。RGB発光層55R,55G,55Bの厚さは40nmである。電子輸送層56はCsxMoOxをドープしたNBphenからなり、厚さ30nmである。陰極57は膜厚70〜100nmのAl膜からなる。なお、この有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cの内部構造は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0022】
図1の化粧鏡セットは有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cを駆動する駆動装置(駆動手段)を備えている。駆動装置は図5に示すように、AC−DCコンバータ61、制御部62、メモリ63及び操作部64を有している。AC−DCコンバータ61は交流電圧を直流電圧に変換して出力する。AC−DCコンバータ61の出力電圧は直流電源として有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々及び制御部62に供給される。制御部62は、AC−DCコンバータ61の出力電圧を電源として動作し、例えば、CPUで構成され、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々の上記のRGBの有機EL素子50R,50G,50B毎の駆動電流を制御することにより有機ELパネル毎の発光(発光色及び輝度)を個別に制御する。
【0023】
制御部62には更に、メモリ63及び操作部64が接続されている。メモリ63には制御部62の制御で必要なプログラムやデータが保存される。操作部64は有線又は無線のリモコンとして備えられている。
【0024】
操作部64には、図6に示すように、電源ボタン70とシーンボタン75a〜75eとが設けられている。ユーザによる操作部64の電源ボタン70の操作によって電源が投入された後においては、シーンボタン75a〜75eのいずれか1の操作が可能となる選択部である。
【0025】
メモリ63には複数のシーン各々に対応した有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々のRGB各々の数値がデータとして予め記憶されている。シーンとしては例えば、オフィス、ホテルラウンジ、ディナーパーティ、ファションショー、及びアウトドアがある。このようなシーン毎に有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々の最適な発光色及び輝度に対応してRGB各々の数値がデータとしてメモリ63に記憶されている。メモリ63に記憶されたデータのうちの有機ELパネル25b,26b,27b各々の発光色のデータはいずれのシーンにおいても白色となるように設定されている。
【0026】
シーンボタン75a〜75eのうちの例えば、シーンボタン75aが押圧操作されると、制御部62はシーンボタン75aに対応したシーンのデータ(有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々のRGB各々の数値)をメモリ63から読み出す。制御部62は読み出したデータに応じて有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々の赤緑及び青の発光色の各有機EL素子50R,50G,50Bの駆動電流を供給する。有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々はメモリ63のシーンボタン75aに対応したデータが示す発光色及び輝度にて発光する。この結果、シーンボタン75aを操作すると、シーンボタン75aに対応したシーンに好適な照明状態を作り出すことができる。
【0027】
この有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cの駆動時において、有機ELパネル25b,26b,27b各々は図7に示すように白色発光する。ここでいう白色とは、色温度で例えば、2700〜6700Kの範囲の色である。側板12,13の有機ELパネル25b,26bは鏡21の鏡面に映し出されるべき化粧対象者像P1の目が通常位置する高さの線A1上に存在する。有機ELパネル25b,26bは垂直方向に上記したように13cmの幅を有しているので、その範囲内にほとんどの化粧対象者の目の位置は収まる。また、有機ELパネル27bは鏡21の鏡面を左右に2等分する垂直方向の直線A2上に存在する。よって、左右及び上方の3方向からの有機ELパネルによる照明となると共に有機ELパネル25b,26b,27bの発光色が白色となることにより化粧対象者の目を中心として顔が白色で照明されるので鏡21の鏡面に映し出される化粧対象者像を立体的に視認することができる。また、照明用に有機ELパネルによる面光源を用いているため、点光源を用いた場合に比べて化粧対象者が同じ照度であっても眩しいことはない。従って、上記した実施例によれば、化粧に最適な照明状態を作り出すことができる。
【0028】
なお、実際には化粧対象者によって鏡21の鏡面に映し出される目の位置は異なるので、白色発光させる有機ELパネルをパネル25b,26bに固定しないでユーザによる操作部64への入力操作に応じて白色発光させる有機ELパネルを選択的に指定できるようにしても良い。
【0029】
また、目の位置に対応して有機ELパネル25b,26b各々の発光面を全て白色発光させるのではなくて、目の位置に実際に対応する有機ELパネル25b,26b各々の発光面の垂直方向の一部領域だけを白色発光させても良い。更に、その一部領域をユーザによる操作部64への入力操作に応じて調整できるようにしても良い。
【0030】
更に、上記した実施例においては、上板14に複数の有機ELパネル27a〜27cが取り付けられているが、上板14には1つの有機ELパネルだけが取り付けられても良く、その場合にはその1つの有機ELパネルが白色発光する。
【0031】
図8は本発明の他の実施例として図1の化粧鏡セットの駆動装置の構成を示している。図8に示した駆動装置においては、カメラ65が制御部62に接続されている。その他の構成は図5に示した駆動装置と同一であり、図8においては同一符号を用いて示している。
【0032】
カメラ65は図9に示すように鏡ユニット11の平板22の上部に取り付けられている。しかしながら、左右の側板12,13、及び上方の上板14のいずれかに設けられても良いし、ユーザが手に持って操作しても良い。カメラ65は本化粧鏡セットにおける化粧対象者の顔を例えば、上記の操作部64の電源ボタン70が押圧操作された直後に撮影してその撮影画像の映像信号を制御部62に供給する。
【0033】
カメラ65と制御部62とは鏡ユニット11の鏡面に映し出された化粧対象者の目の位置を検出する検出部を構成する。
【0034】
制御部62は、映像信号が供給されると、図10に示すように、映像信号が示す画像から化粧対象者の顔の目の位置及び化粧対象者の顔の中心線を認識する(ステップS1)。このステップS1の認識には例えば、テンプレートマッチング技法による顔認識及び顔パーツ認識技術が用いられる。ステップS1の認識結果である目の位置に対応した高さ位置の有機ELパネルを有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dのうちから選択する(ステップS2)。また、ステップS1の認識結果である顔の中心線上に位置する有機ELパネルを有機ELパネル27a〜27cのうちから選択する(ステップS3)。ステップS2及びS3で選択した有機ELパネルを白色発光させる(ステップS4)。すなわち、ステップS2及びS3で選択した有機ELパネル各々を白色発光させるためにそれらの有機ELパネル各々赤緑及び青の発光色の各有機EL素子50R,50G,50Bに駆動電流が供給される。また、シーンボタン75a〜75eのうちの押圧操作された1つのシーンボタンを検出し(ステップS5)、操作された1つのシーンボタンに対応するシーンのデータ(ステップS2及びS3で選択した有機ELパネル以外の有機ELパネルのデータ)を読み出し(ステップS6)、読み出したデータに応じてステップS2及びS3で選択した有機ELパネルを除く有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c各々の赤緑及び青の発光色の各有機EL素子50R,50G,50Bの駆動電流を供給する(ステップS7)。
【0035】
この結果、図11に示すように、鏡21の鏡面に映し出された化粧対象者像P2の目の高さの位置A3に存在する側板12,13各々上のいずれか1つの有機ELパネル(例えば、有機ELパネル25b,26b)が白色発光し、同時にその化粧対象者像P2の顔の中心線A4上に存在する上板14上のいずれか1つの有機ELパネル(例えば、有機ELパネル27b)が白色発光するので、鏡21の鏡面に映し出される化粧対象者像P2を立体的に視認することができる。これにより化粧に最適な化粧状態を作り出すことができる。また、操作された1つのシーンボタンに対応したシーンに適切な照明状態を得ることもできる。
【0036】
上記した実施例の化粧鏡セットにおいては、図12に示すように、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dが側板12,13に対する角度を調整可能され、有機ELパネル27a〜27cが上板14に対する角度を調整可能されても良い。図12に示した有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々においては、鏡ユニット11側の辺を回転軸として有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dの角度調整が可能である。例えば、側板12,13と有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dとを蝶番機構(図示せず)を介して連結することにより有機ELパネル25a〜25d各々の鏡ユニット11側の辺を回転軸とすることができる。有機ELパネル27a〜27cについても、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dの場合と同様の蝶番機構(図示せず)を介して上板14と連結することにより有機ELパネル25a〜25d各々の鏡ユニット11側の辺を回転軸とすることができる。また、図12に示したように、側板12,13には有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cと対応する位置に有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cが入り込める大きさの開口部31a〜31d,32a〜32d,33a〜33cを形成しても良い。このように有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを側板12,13に対して、また有機ELパネル27a〜27cが上板14に対して角度調整可能にすることにより、有機ELパネル毎に任意の角度に調整することができるので、より適切な照明状態を作り出すことができる。
【0037】
図13は単一の面光源の発光面を複数の領域に分けて領域毎に個別に駆動する照明付き化粧鏡セットを示している。例えば、図1に示した実施例においては、側板12,13及び上板14各々には複数の有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d,27a〜27cが取り付けられているが、図13に示すように側板12,13各々には単一の長手の有機ELパネル25,26がその長手方向を垂直方向として取り付けられ、上板14には単一の長手の有機ELパネル27がその長手方向を水平方向として取り付けられても良い。この図13の照明付き化粧鏡セットにおいては、有機ELパネル25,26,27各々の発光面を図13に破線で示すように複数の領域、例えば、4つの領域28a〜28d,29a〜29d,30a〜30cに領域分けし、上記した実施例のパネル毎の駆動と同様に、操作部におけるユーザによる入力操作に応じて制御部が領域毎に駆動しかつ発光色及び輝度をシーンに対応させて調整することが行われる。また、有機ELパネル27の鏡面を左右に2等分する線位置に対応した領域30bと、有機ELパネル25,26各々の発光面のうちの鏡面に映し出されるべき化粧対象者像の目の位置に対応した領域28b,29bとが白色発光するように有機ELパネル25,26,27が駆動される。このような駆動により、上記した実施例と同様に鏡21の鏡面に映し出された化粧対象者像を立体的に視認することができる。
【符号の説明】
【0038】
11 鏡ユニット
12,13 側板
14 上板
15 支持台
16 蝶番機構
25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c 有機ELパネル
50R,50G,50B 有機EL素子
図1
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図13