特許第5774715号(P5774715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774715
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】光源装置及び投写型映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20150820BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20150820BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150820BHJP
   F21V 9/16 20060101ALI20150820BHJP
   F21V 7/22 20060101ALI20150820BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20150820BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20150820BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20150820BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20150820BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   G03B21/14 A
   G03B21/00 D
   F21S2/00 340
   F21V9/16 100
   F21V7/22 240
   F21V7/00 570
   F21V5/04 400
   F21V19/00 170
   F21V7/00 320
   H04N9/31 Z
   F21Y101:02
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-536313(P2013-536313)
(86)(22)【出願日】2012年9月26日
(86)【国際出願番号】JP2012074617
(87)【国際公開番号】WO2013047542
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年2月12日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2011/005358
(32)【優先日】2011年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2012/001480
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 展之
(72)【発明者】
【氏名】三好 浩平
【審査官】 田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−128522(JP,A)
【文献】 特開2012−037638(JP,A)
【文献】 特開2010−085740(JP,A)
【文献】 特開2012−013977(JP,A)
【文献】 特開2011−065770(JP,A)
【文献】 特開2010−086815(JP,A)
【文献】 特開2011−187295(JP,A)
【文献】 特開2010−198772(JP,A)
【文献】 特開2011−158774(JP,A)
【文献】 特開2012−133337(JP,A)
【文献】 特開2013−057786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00−21/30
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を発光する複数の励起光源と、
前記励起光を蛍光光に変化させる蛍光体と、
前記励起光を透過し前記蛍光光を反射するダイクロイックミラーと、
前記ダイクロイックミラーを透過した励起光を前記蛍光体上の励起光照射領域に集光させる集光レンズと、を備え、
前記複数の励起光源は、当該複数の励起光源の各々から出射された各々の励起光が、前記集光レンズの中心に対して非対称に入射するよう配置される、光源装置。
【請求項2】
励起光を発光する複数の励起光源と、
前記励起光を蛍光光に変化させる蛍光体と、
前記励起光を反射し前記蛍光光を透過するダイクロイックミラーと、
前記ダイクロイックミラーを反射した励起光を前記蛍光体上の励起光照射領域に集光させる集光レンズと、を備え、
前記複数の励起光源は、当該複数の励起光源の各々から出射された各々の励起光が、前記集光レンズの中心に対して非対称に入射するよう配置され
前記各々の励起光は、前記集光レンズの中心を原点とする4つの象限の全ての象限から前記励起光照射領域に入射する、光源装置。
【請求項3】
前記各々の励起光は、前記集光レンズの中心を原点とする4つの象限の全ての象限から前記励起光照射領域に入射する、請求項1記載の光源装置。
【請求項4】
前記励起光照射領域を中心として、前記各々の励起光のうち任意の励起光の、前記励起光照射領域への入射角を仰角θとした場合、
θ≠0
を満足する、請求項1乃至3何れか一に記載の光源装置。
【請求項5】
前記励起光照射領域を中心として、前記各々の励起光のうち第1の励起光の、前記励起光照射領域への入射角を仰角θm、方位角φmとし、前記第1の励起光とは異なる第2の励起光の前記励起光照射領域への入射角を仰角θn、方位角φnとした場合、
θm−2°≦θn≦θm+2° かつ φm+178°≦φn≦φm+182°
が成立する励起光のペアを1つも有さない、請求項1乃至4何れか一に記載の光源装置。
【請求項6】
前記励起光源は固体発光素子である、請求項1乃至5何れか一に記載の光源装置。
【請求項7】
前記励起光源からの射出光の発散角が一様でなく、当該励起光源からの射出光の発散角が最大となる方向と、発散角が最小となる方向が垂直であり、
当該励起光源からの射出光の発散角の最大となる方向と、当該複数の励起光源の各々から出射された各々の励起光が前記集光レンズの中心に対して非対称である少なくとも一つの軸方向が、垂直になるように配置されている、請求項1乃至何れか一に記載の光源装置。
【請求項8】
励起光源から射出した励起光を略平行にするコリメートレンズを備え、
前記励起光源からの射出光の発散角が一様でなく、当該励起光源からの射出光の発散角が最大となる方向と、発散角が最小となる方向が略垂直であり、
当該励起光源からの射出光の発散角の最大となる方向と、当該複数の励起光源の各々から出射された各々の励起光が前記集光レンズの中心に対して非対称である少なくとも一つの軸方向が、平行になるように配置されており、
前記コリメートレンズを通過後に、当該励起光源からの射出光の発散角の最大となる方向の、複数の励起光の光束間の隙間が、当該コリメートレンズを通過後の、平行になった励起光の、発散角の最大となる方向の光束幅よりも大きくなるように、当該励起光源と当該コリメートレンズが配置されている、請求項1乃至何れか一に記載の光源装置。
【請求項9】
請求項1乃至何れか一に記載の光源装置と、
映像表示素子と、
前記光源装置からの光を前記映像表示素子に照射する複数の光学素子を有する照明光学系と、
前記映像表示素子で形成された光学像を拡大して投影する投写レンズと、を備える、投写型映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及び投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において、固体光源から射出する可視光を高効率で発光する光源装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、複数の青色励起光源から出射した光を、回転制御可能な円形状の基材に配置された蛍光体に照射し、高効率な蛍光光を発光させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−13320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、蛍光体に入射した励起光の内、蛍光光に変換されなかった非変換励起光が照明光学系側に入射しないことは記載されているが、非変換励起光が励起光源に入射し、励起光源の出力低下、寿命低下を招く点については、考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、励起光源の出力と寿命を改善した光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の望ましい態様の一つは次の通りである。当該光源装置は、励起光を発光する複数の励起光源と、励起光を蛍光光に変化させる蛍光体と、を備え、複数の励起光源は、当該複数の励起光源の各々から出射された各々の励起光が、蛍光体上の励起光照射領域に対して非対称に入射するよう配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、励起光源の出力と寿命を改善した光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の光源装置の一部を示す図。
図2】実施例2の光源装置の一部を示す図。
図3】投写型映像表示装置の光学系の概略構成図。
図4】実施例1の課題と考えられる光源装置の一部を示す図。
図5】実施例3の光源装置の一部を示す図。
図6】実施例4の光源装置の一部を示す図。
図7】実施例5の光源装置の一部を示す図。
図8】実施例6の課題と考えられる光源装置の一部を示す図。
図9】実施例6の光源装置の一部を示す図。
図10図9の変形例を示す図。
図11】実施例7の課題と考えられる光源装置の一部を示す図。
図12】実施例7の光源装置の一部を示す図。
図13】実施例7の光源装置の一部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施例について、図を参照しながら説明する。尚、各図において、同一部分には同一符号を付して、一度説明したものについては、その説明を省略する。まず、本実施例の課題と考えられる光源装置について説明する。
【0010】
図4は、実施例1の課題と考えられる光源装置の一部を示す図であり、図4(A)は構成説明図、図4(B)は蛍光体への励起光入射角度を示す図、図4(C)(D)は、課題となる励起光の励起光源への入射の原理を示す構成説明図である。ここで、ローカル右手直角座標系を導入しておく。図4において、反射ミラーで反射後の励起光の進行方向をZ軸、Z軸に直交する面内で紙面に平行な軸をX軸、紙面裏から表に向かう軸をY軸とする。
【0011】
図4(A)において、固体発光素子からなる励起光源を複数含む励起光源群5から射出した励起光群50は、コリメートレンズ群6により略平行光となり、反射ミラー8で反射し、ダイクロイックミラー7に入射する。ダイクロイックミラー7は励起光の波長域を透過し、蛍光光の波長域を反射する特性を持つ。そこで、励起光群50は、ダイクロイックミラー7を透過し、集光レンズ4を透過後、蛍光体3が塗布された円盤1に入射する。集光レンズ4の曲率は、入射した平行光が円盤1の励起光照射領域30に集光するように設定されている。
【0012】
円盤1は、回転素子2を中心軸とする回転制御可能な円形状の基材である。蛍光体から発生する熱を逃がすために、基材としては金属が望ましい。この場合、励起光群50により励起された円盤1上の蛍光体3は、全方位に蛍光光60を射出するが、基材の方向に射出した蛍光光60は、金属面で反射する。従って、全ての蛍光光60が集光レンズ4の方向に射出される。その内、集光レンズ4を透過した蛍光光60は、略平行光となり、ダイクロイックミラー7で反射して、図示されない照明光学系側に入射する。図面上では、蛍光体3と集光レンズ4の間隔が大きいが、実際は、集光レンズ4を蛍光体3の近傍に配置することで、ほぼ全ての蛍光光60を、集光レンズ4で捕獲できる。ここで、励起光照射領域30を通過し、Z軸に平行な軸を光軸100とすると、励起光源群5から射出した励起光群50は、光軸100に対して対称に、蛍光体3上の励起光照射領域30に入射する。
【0013】
図4(B)において、各励起光源5a、5b、5cから発生した各励起光50a、50b、50cの、光軸100に対する励起光照射領域30への入射角を各々、θa、θb、θcとすると、励起光は光軸100に対称に入射するため、数1が成り立つ。

θa=θc、θb=0・・・(数1)

図4(C)において、励起光源群5の内、励起光源5aから射出した励起光50aは前述した光路で励起光照射領域30に入射角θaで入射する。励起光50aの一部は蛍光光に変換されず、非変換励起光51aとして、蛍光体3で主に光軸100と対称な方向(出射角θa)に正反射する。数1より、θa=θcのため、非変換励起光群51aは、励起光50cの光路上を逆方向に進行し、励起光源5cに入射する。即ち、励起光源5aに起因する非変換励起光51aにより、励起光源5cの出力低下や寿命低下が発生する。
【0014】
同様に、励起光源5cから射出した励起光50cのうち、蛍光体3で蛍光光に変換されない非変換励起光51cは、励起光源5aに入射し、励起光源5aの出力低下や寿命低下が発生する(図示せず)。
【0015】
図4(D)において、励起光源群5の内、励起光源5bから射出した励起光50bは前述した光路で励起光照射領域30に入射する。励起光50bの一部は蛍光光に変換されず、非変換励起光51bとして蛍光体3で反射する。励起光50bの励起光照射領域30への入射角はθb=0のため、非変換励起光51bは、光軸100と同一軸方向に正反射し、励起光50bの光路上を逆方向に進行し、励起光源5bに入射する。即ち、励起光源5bの非変換励起光51bにより、励起光源5bの出力低下や寿命低下が発生する。
【0016】
以上のように、図4においては、複数の励起光源群から射出した励起光のうちの非変換励起光が、励起光源群に入射し、発光素子の温度上昇等が発生し、励起光源の出力低下や寿命低下を招く、という課題を有する。
【0017】
次に、実施例1について説明する。図1は、実施例1の光源装置の一部を示す図である。図1(A)は構成説明図、図1(B)(C)(D)は、課題となる励起光の励起光源への入射に対する、改善策を示す構成説明図である。ローカル右手直角座標系の定義は、図4と同一である。
【0018】
図1(A)において、励起光源群5から射出した励起光が蛍光光に変換され、照明光学系側に入射する点については図4の説明と同様である。但し、本実施例においては、励起光源群5から射出した励起光群50が光軸100に対して非対称に蛍光体3上の励起光照射領域30に入射するように、励起光源群5が配置されている。即ち、各励起光源5a、5b、5cから発生した各励起光50a、50b、50cの、光軸100に対する励起光照射領域30への入射角を各々、θa、θb、θcとすると、数2が成り立つ。

θa≠θb≠θc、θc≠θa(θa≠0、θb≠0、θc≠0)・・・(数2)

図1(B)において、励起光源群5の内、励起光源5aから射出した励起光50aは図4において説明したのと同様の光路で励起光照射領域30に入射する。そのうち、一部の励起光は蛍光光に変換されず、非変換励起光51aとして、蛍光体3上で、主に光軸100と対称な方向に正反射する。数2より、非変換励起光51aは、励起光50b、励起光50cと重ならない光路上を進行し、集光レンズ4で光軸100に対して略平行となり、ダイクロイックミラー7を透過し、反射ミラー8側に入射する。従って、非変換励起光51aは、反射ミラー8b、8cの間を通過するか、もしくは、反射ミラー8で反射しても、励起光源5b、5cの間を通過するため、励起光源群5へは入射しない。
【0019】
図1(C)において、励起光源群5の内、励起光源5bから射出した励起光50bは前述したのと同様の光路で励起光照射領域30に入射する。そのうち、一部の励起光は蛍光光に変換されず、非変換励起光51bとして、蛍光体3で、主に光軸100と対称な方向に正反射する。数2より、非変換励起光51bは、励起光50a、励起光50cと重ならない光路上を進行し、集光レンズ4で光軸100に対して略平行となり、ダイクロイックミラー7を透過し、反射ミラー8側に入射する。従って、非変換励起光51bは、反射ミラー8a、8bの間を通過するか、もしくは、反射ミラー8で反射しても、励起光源5a、5bの間を通過するため、励起光源群5へは入射しない。
【0020】
図1(D)において、励起光源群5の内、励起光源5cから射出した励起光50cは前述したのと同様の光路で励起光照射領域30に入射する。そのうち、一部の励起光は蛍光光に変換されず、非変換励起光群51cとして、蛍光体3で、主に光軸100と対称な方向に正反射する。数2より、非変換励起光群51cは、励起光50a、励起光50bと重ならない光路上を進行し、集光レンズ4で光軸100に対して略平行となり、ダイクロイックミラー7を透過し、反射ミラー8側に入射する。従って、非変換励起光51cは、反射ミラー8aの外側を通過するか、もしくは、反射ミラー8で反射しても、励起光源5aの外側を通過するため、励起光源群5へは入射しない。
【0021】
以上のように、各励起光源5a、5b、5cから発生した各励起光50a、50b、50cの内、蛍光光に変換されない各非変換励起光51a、51b、51cは、励起光源群5へ入射しないため、励起光源群5の出力や寿命を改善できる。
【0022】
次に、実施例2について説明する。図2は、実施例2の光源装置の一部を示す図である。ここで、ローカル右手直角座標系を導入しておく。図2(A)において、光軸100をZ軸として、Z軸に直交する面内で紙面に平行な軸をX軸、紙面裏から表に向かう軸をY軸とする(但し、図2(B)については紙面裏から表向かう軸がX軸、図2(C)(D)については紙面裏から表に向かう軸がZ軸となる)。
【0023】
図2において、励起光源群5はX軸方向に3列、y軸方向に2行の励起光源が配置されている。X軸方向の励起光源群の配列は光軸100に対称、y軸方向の励起光源群の配列は光軸100に非対称とする。図2(A)において、励起光源群5から射出した励起光群50は、図1において説明したのと同様の光路で、蛍光体3上の励起光照射領域30に入射し、蛍光光60に変換され、図示しない照明光学系に入射する(簡略化のため、コリメートレンズ群6とダイクロイックミラー7の間の反射ミラー8は省略)。そのうち、励起光群50の一部が蛍光光に変換されず、非変換励起光として、蛍光体3で反射する。
【0024】
図2(B)において、励起光源群5uから射出した励起光群50uの内、蛍光体3において、蛍光光に変換されない非変換励起光群51uは、主に光軸100と対称な方向に正反射し、集光レンズ4で光軸100に対して略平行となり、ダイクロイックミラー7を透過する。励起光源群5は、励起光群50の蛍光体3への入射光が光軸100とは、Y軸方向に対して非対称となる位置に配置されているため、非変換励起光群51uは、励起光源群5dの外側を通過する。
【0025】
又、励起光源群5dから射出した励起光群50dの内、蛍光体3において、蛍光光に変換されない非変換励起光群51dは、主に光軸100と対称な方向に正反射し、集光レンズ4で光軸100に対して略平行となり、ダイクロイックミラー7を透過する。励起光源群5は、励起光群50の蛍光体3への入射光が光軸100とはY軸方向に対して非対称となる位置に配置されているため、非変換励起光群51dは、励起光源群5uと励起光源群5dの間を通過する。
【0026】
以上のように、各励起光源群5u、5dから発生した各励起光群50u、50dの内、蛍光光に変換されない各非変換励起光群51u、51dは、励起光源群5へ入射しないため、励起光源群5の出力や寿命を改善することができる。
【0027】
図2(C)は、光軸100の方向(Z軸方向)から、XY断面を見た投影図である。励起光源群5から射出した励起光群50の蛍光体3への入射光が、励起光照射領域30を中心として、Y軸方向に非対称であるため、非変換励起光群51は励起光源群5には入射しない。又、励起光群50は励起光照射領域30を中心とする4つの象限全ての領域から、励起光照射領域30へ入射するため、集光レンズ4をコンパクトなサイズに抑えることができる。
【0028】
図2(D)は、励起光群50を、励起光照射領域30を中心とする4つの象限の内、2つの象限(第1象限、第2象限)から入射した例である。励起光群50の蛍光体3への入射光が、励起光照射領域30を中心として、Y軸方向に非対称であるため、非変換励起光群51の励起光源群5への入射は防ぐことができるが、励起光照射領域30からY軸方向に離れた位置より励起光群50が励起光照射領域30に入射するため、集光レンズ4の大型化を招いてしまう。従って、励起光群50は励起光照射領域30を中心とする4つの象限全ての象限より入射することが望ましい。
【0029】
図2(E)において、非変換励起光群51の励起光源群5への入射を防ぐための条件を、励起光照射領域30を中心とする極座標系を用いて表す。Z軸方向からの仰角をθ、XY座標内での方位角をφとする。励起光群50がZ軸方向より入射し、集光レンズ4で、励起光照射領域30へ、仰角θ、方位角φの入射角で入射する場合、非変換励起光群51は、仰角θ、方位角φ+180°の射出角で射出する。従って、任意の励起光の入射角を仰角θm、方位角φmとし、別の任意の励起光の入射角を仰角θn、方位角φnとすると、非変換励起光群51の励起光源群5への入射を防ぐための条件として、数3、又は、数4が成り立つ。

θn≠θm(θm≠0、θn≠0) ・・・(数3)
φn≠φm+180°(θm≠0、θn≠0)・・・(数4)

即ち、仰角又は方位角のどちらかをずらして、お互いの入出射光が重ならないように、励起光群50を励起光照射領域30に入射させればよい。励起光源群5から励起光照射領域30までの距離は充分離れているので、各々の励起光入射角を2度以上ずらせば、非変換励起光群51の励起光源群5への入射を防ぐことができる。即ち、数5が成立する励起光のペアを、1つも有さなければよい。

θm−2°≦θn≦θm+2° かつ φm+178°≦φm≦φm+182°・・・(数5)

次に、実施例3について説明する。図5は、実施例3の光源装置の一部を示す図である。図5(A)のローカル右手直角座標系の定義は図4と同一であるが、図5(B)は図5(A)のX軸正方向から励起光源群5を見た投影図である。
【0030】
図5(A)において、構成要素の主な配置は図1と同様であるが、反射ミラー8aの外側に反射ミラー10cが、反射ミラー8aと8bの間に反射ミラー10bが、反射ミラー8bと8cの間に反射ミラー10aが、励起光源5aの外側に反射ミラー9cが、励起光源5aと励起光源5bの間に反射ミラー9bが、そして、励起光源5bと励起光源5cの間に反射ミラー9aが配置されている点において異なる。
【0031】
ここで、非変換励起光群51が励起光源群5の方向に反射するように、反射ミラー群10の接線方向は、X軸をY軸方向に対して時計回りに約45度回転させた方向としている。又、反射ミラー群9は、非変換励起光群51が進行方向と反対方向に反射するように、非変換励起光群51の進行方向に対して垂直に配置している。
【0032】
図1(A)の説明と同様に光路を進行してきた非変換励起光51aは、反射ミラー10aで反射した後、反射ミラー9aで反射する。ここで反射して反対方向に進む光を、非変換励起光51と区別するため、反射非変換励起光52と称する。
【0033】
反射非変換励起光52aは、非変換励起光51aの光路を反対向きに進み、再び励起光照射領域30に入射する。非変換励起光51bは、反射ミラー10bで反射した後、反射ミラー9bで反射する。反射非変換励起光52bは、非変換励起光51bの光路を反対向きに進み、再び励起光入射領域30に入射する(図示せず)。非変換励起光51cは、反射ミラー10cで反射した後、反射ミラー9cで反射する。反射非変換励起光52cは、非変換励起光51cの光路を反対向きに進み、再び励起光入射領域30に入射する(図示せず)。励起光照射領域30に入射した反射非変換励起光群52は、蛍光体3で蛍光光に変換され、照明光学系側に入射する。尚、反射ミラー群10は、励起光反射用の反射ミラー群8と共用してもよい。
【0034】
次に実施例4について説明する。図6は、実施例4の光源装置の一部を示す図である。図6(A)のローカル右手直角座標系の定義は図4と同一であるが、図6(B)は図6(A)のZ軸正方向から反射ミラー群8、11を見た投影図である。
【0035】
図6(A)において、構成要素の主な配置は図1と同様であるが、反射ミラー8aの外側に反射ミラー11cが、反射ミラー8aと8bの間に反射ミラー11bが、そして、反射ミラー8bと8cの間に反射ミラー11aが配置されている点において異なる。反射ミラー群11は、非変換励起光群51が励起光照射領域30の方向に反射するように、非変換励起光群51の進行方向に対して垂直に配置されている。
【0036】
図1(A)の説明と同様に光路を進行してきた非変換励起光51aは、反射ミラー11aで反射し、反射非変換励起光52aとして、非変換励起光51aの光路を反対向きに進み、再び励起光照射領域30に入射する。非変換励起光51bは、反射ミラー11bで反射する。反射非変換励起光52bは、非変換励起光51bの光路を反射向きに進み、再び励起光入射領域30に入射する(図示せず)。非変換励起光51cは、反射ミラー11cで反射する。反射非変換励起光52cは、非変換励起光51cの光路を反対向きに進み、再び励起光入射領域30に入射する(図示せず)。励起光照射領域30に入射した反射非変換励起光群52は、蛍光体3で蛍光光に変換され、照明光学系側に入射する。
【0037】
実施例4では、励起光反射用の反射ミラー群8と非変換励起光反射用の反射ミラー群11をまとめて配置できるため、部品製作上の効率が良く、コストを抑えることができる。
【0038】
次に実施例5について説明する。図7は、実施例5の光源装置の一部を示す図である。図7の座標系は、図2の座標系と同様である。
【0039】
図7において、構成要素の主な配置は図2と同様であるが、励起光源群5dの外側に反射ミラー12uが、そして、励起光源群5uと5dの間に反射ミラー12dが、非変換励起光群51u、51dの進行方向と、それぞれ、垂直に配置されている点において異なる。
【0040】
非変換励起光群51u、51dは、それぞれ、反射ミラー12u、12dに反射して、反射非変換励起光群52u、52dとして、非変換励起光群51u、51dの光路を反対向きに進み、再び励起光照射領域30に入射する。励起光照射領域30に入射した反射非変換励起光群52は、蛍光体3で蛍光光に変換され、照明光学系側に入射する。
【0041】
図7(C)は、図7(A)のZ軸正方向から反射ミラー12を見た投影図である。励起光源群5から射出した励起光群50の蛍光体3への入射光が、光軸100を中心として、Y軸方向に非対称であるため、非変換励起光群51は励起光源群5には入射しない。非変換励起光群51を捕捉する範囲に反射ミラー群12を配置することによって、非変換励起光群51を反射し、反射非変換励起光群52として、再び蛍光体3に入射させることができる。本配置では、反射ミラー12の形状はX軸方向に細長い短冊形状となる。
【0042】
図7(D)は図7(A)のZ軸正方向から反射ミラー12を見た投影図であるが、ここでは、励起光群50を、光軸100を中心とする4つの象限の内、2つの象限(第1象限、第2象限)から入射させた例を示している。
【0043】
図2(D)の説明と同様、本配置では励起光群50の蛍光体3への入射光が、光軸100を中心として、Y軸方向に非対称であるため、非変換励起光群51の励起光源群5への入射は防ぐことはできるが、励起光照射領域30からY軸方向に離れた位置より励起光群50が励起光照射領域30に入射するため、図7(C)と比較すると、集光レンズ4の大型化を招いてしまう。但し、非変換励起光群51d、51uは光軸100に対して励起光群50と対称な2つの象限(第3象限、第4象限)に集まるため、反射ミラー12は一枚でよい。
【0044】
尚、図7(C)(D)において、非変換励起光群51を捕捉できる範囲を満たしていれば、反射ミラー群12は分割されていてもよい。又、反射ミラー群12のZ軸方向位置は、ダイクロイックミラー7よりも励起光源群5側であり、かつ、非変換励起光群51d、51uを捕捉できる位置であればどの位置でもよい。ここでは図2と同様、コリメートレンズ群6とダイクロイックミラー7の間の反射ミラー群8は省略されているが、非変換励起光反射用の反射ミラー群12は反射ミラー群8よりダイクロイックミラー7側でもよいし、励起光源群5側でもよい。
【0045】
次に、励起光源として、射出光の発散角が一様でなく、発散角が最大となる方向と、発散角が最小となる方向が略垂直であるもの、例えば、半導体レーザなどを使用する際の、望ましい実施形態(実施例6、7)について説明する。
【0046】
図8は実施例6の課題と考えられる光源装置の一部を示す図であり、図8(A)は構成説明図、図8(B)は励起光源配置と励起光の光束断面形状を示す図、図8(C)は集光レンズ上での励起光の光束分布を示す図である。図8(A)のローカル右手座標系の定義は図4と同一である。
【0047】
図8において、励起光源群5にはX軸方向に3列、Y軸方向に3列の励起光源が配置されている。X軸方向及びY軸方向の励起光源群の配列は光軸100に対して対称とする。図8(A)では、集光レンズ4から先を省略している。
【0048】
図8(B)は、コリメートレンズ群6をZ軸負方向から見た投影図である。励起光源群5とコリメートレンズ群6は、集光レンズ4やダイクロイックミラー7のサイズをコンパクトに抑えるため、励起光源群5又はコリメートレンズ群6の外形の制約から決まる最も密な間隔で、X軸方向、Y軸方向にそれぞれ等間隔に配置されている。励起光源とコリメートレンズの外形が円形である場合、X軸方向間隔とY軸方向間隔は等しくなる。
【0049】
励起光源群5は、射出光の発散角が一様でなく、発散角が最大となる方向と、発散角が最小となる方向が略垂直であるため、コリメートレンズ群6によって平行光となった励起光群50の光束断面形状は、発散角が最大である方向を長軸方向とした略楕円形となる。本図ではY軸方向が、励起光群50の射出光の発散角が最大となる方向と一致するように配置した場合を示している。
【0050】
図8(C)は、集光レンズ4をZ軸負方向から見た投影図である。集光レンズ4上での励起光群50の分布は、図8(B)の射出時点のものと同様である。円形の集光レンズ4に対して、長軸がY軸方向に一致する楕円形の光束断面形状をもった励起光群50がX軸方向、Y軸方向に等間隔に並ぶため、X軸方向には、光束の隙間に光束が通過しない領域が多く存在する分布となり、レンズの有効範囲を有効に利用しているとはいえない。
【0051】
次に、実施例6について説明する。図9は実施例6の光源装置の一部を示す図であり、図9(A)は構成説明図である。ここでは、励起光源群5から射出した励起光群50の蛍光体3への入射光が、光軸100を中心として、Y軸方向に非対称であるため、非変換励起光群51の各光路は励起光群50の各光路と重ならず、励起光源群5に入射しない位置に戻ってくる。更に、ダイクロイックミラー7より励起光源群5側の、非変換励起光群51が入射する位置には、非変換励起光群51と垂直に反射ミラー13が配置されている。従って、非変換励起光群51は、反射ミラー13で反射し、反射非変換励起光群52として、非変換励起光群51の光路を反対向きに進み、再び励起光照射領域に入射する(図示せず)。励起光照射領域に入射した反射非変換励起光群52は、蛍光体で蛍光光に変換され、照明光学系側に入射する(図示せず)。
【0052】
図9(B)は、反射ミラー群13をZ軸負方向から見た投影図である。非変換励起光群51は、励起光群50が蛍光体上で、光軸100に対して対称に正反射したものであるので、その光束断面形状は、励起光群50の光束断面形状と合同であり、Y軸方向が長軸方向と一致した楕円となる。
【0053】
反射非変換励起光群52は、非変換励起光群51が、非変換励起光群51に垂直に配置された反射ミラー群13上で正反射したものであるので、その光束断面形状は非変換励起光群51の光束断面形状と合同であり、Y軸方向が長軸方向と一致した楕円となる。本配置では、反射ミラー9の形状はY軸方向に細長い短冊形状となる。但し、非変換励起光群51を捕捉できる範囲を満たしていれば、反射ミラー群13は分割されていてもよい。
【0054】
図9(C)は、集光レンズ4をZ軸負方向から見た投影図である。集光レンズ4上での励起光群50の分布は、図9(B)の射出時点のものと同様である。円形の集光レンズ4に対して、長軸がY軸方向に一致する楕円形の光束断面形状をもった励起光群50がX軸方向、Y軸方向に等間隔に並び、X軸方向の隙間に非変換励起光群51a、51b、51cとそれに重なる反射非変換励起光群52a、52b、52cが分布する。励起光と反射非変換励起光がY軸方向に交互に並ぶため、光束が通過しない領域は少なく、図8の場合と比べ、レンズの有効範囲を有効利用することができる。
【0055】
図10は、図9の変形例を示す図である。ここでは、励起光源群5を、X軸方向が励起光群50の射出光の発散角が最大となる方向と一致するように配置した例を示している。図10(A)は、図9(A)の反射ミラー群13をZ軸負方向から見た投影図である。
【0056】
励起光源5とコリメートレンズ群6は、Y軸方向には励起光源5又はコリメートレンズ群6の外形の制約から決まる最も密な間隔で等間隔に配置されているが、X軸方向には非変換励起光群51とそれに重なる反射非変換励起光群52が通過し、かつ、反射ミラー群13を配置するための隙間を空ける必要があるため、外形の制約から決まる最も密な間隔より大きい間隔で配置される。これにより、励起光源群5の占める面積が大きくなってしまう。又、本配置では、反射ミラー群13の形状はY軸方向に細長い短冊形状となるが、X軸方向が非変換励起光群51とそれに重なる反射非変換励起光群52の光束断面形状を示す楕円の長軸方向に一致しているため、X軸方向の幅が大きくなってしまう。
【0057】
図10(B)は、図10(A)の配置において、集光レンズ4をZ軸負方向から見た投影図である。集光レンズ4上での励起光群50の分布は、図10(A)の射出時点のものと同様である。円形の集光レンズ4に対して、励起光群50と、非変換励起光群51と、当該非変換励起光群51に重なる反射非変換励起光群52の光束断面形状を示す楕円の長軸方向がX軸方向に一致しているため、X軸方向に必要とされる有効領域が広くなり、集光レンズ4の大型化を招いてしまう。又、Y軸方向には各光束の隙間と、光束範囲の上下に光束が通過しない範囲が多くあり、レンズの有効範囲を有効に利用しているとはいえない。
【0058】
従って、励起光源群5のX軸方向の配列を光軸100に対して非対称とする場合、各励起光源5からの射出光の発散角が最大となる方向がY軸方向に一致するように、励起光源群5を配置した方がよい。即ち、励起光が光軸100に対して非対称になるように、励起光を光軸に対してずらす軸の方向と、励起光源からの射出光の発散角が最大となる方向が垂直になるように、励起光源を配置することが望ましい。
【0059】
尚、図9及び10では、反射ミラー群13を設置する例を示したが、反射ミラー群13を設置せず、励起光源の配列を光軸100に対して非対称にするだけの場合でも、励起光と非変換励起光の光束断面形状と分布は変わらないので、同様のことがいえる。
【0060】
図11は実施例7の課題と考えられる光源装置の一部を示す図であり、図11(A)は構成説明図、図11(B)は励起光源配置と励起光の光束断面形状を示す図、図11(C)は集光レンズ上での励起光の光束分布を示す図である。ローカル右手座標系の定義は図4と同一である。
【0061】
図11において、励起光源群5にはZ軸方向に3列、Y軸方向に3列の励起光源が配置されている。Z軸方向の励起光源群の配列、Y軸方向の励起光源群の配列は光軸100に対して対称とする。図11(A)においても、集光レンズ4から先を省略している。
【0062】
ここで、コリメートレンズ群6を通過した後の、励起光群50の各光束間のY軸方向の隙間は、励起光群50の各光束のY軸方向の光束の幅よりも小さいものとする。又、反射ミラー群8の法線方向は、X軸をY軸方向に対して時計回りに約45度回転させた方向を向いているものとする。更に、反射ミラー群8は、励起光群50が反射した後に、X軸方向の各光束間の隙間が、X軸方向の光束の幅より小さくなる程度に、個々の反射ミラーをZ軸方向にずらして配置されているものとする。その結果、X軸方向の光束の間隔は、Y軸方向の光束の間隔よりも小さくなる。
【0063】
図11(B)は、コリメートレンズ群6をX軸負方向から見た投影図である。励起光源群5とコリメートレンズ群6は、集光レンズ4やダイクロイックミラー7のサイズをコンパクトに抑えるため、励起光源群5又はコリメートレンズ群6の外形の制約から決まる最も密な間隔で、X軸方向、Y軸方向にそれぞれ等間隔に配置されている。励起光源とコリメートレンズの外形が円形である場合、X軸方向の間隔とY軸方向の間隔は等しくなる。
【0064】
又、励起光源群5は、射出光の発散角が一様でなく、発散角が最大となる方向と、発散角が最小となる方向が略垂直であるため、コリメートレンズによって平行光となった励起光群50の光束断面形状は、発散角が最大である方向を長軸方向とした略楕円形となる。本図ではY軸方向が、励起光群50の射出光の発散角が最大となる方向と一致するように配置した場合を示す。
【0065】
図11(C)は、集光レンズ4をZ軸負方向から見た投影図である。反射ミラー群8は、励起光群50が反射した後に、X軸方向の各光束間の隙間が、X軸方向の光束の幅より小さくなる程度に、個々の反射ミラーをZ軸方向にずらして配置されているため、集光レンズ4上での励起光群50の分布は、励起光群50の間隔が、図8(B)の射出時点のものよりも小さくなり、X軸方向の光束通過範囲が小さくなる。よって、反射ミラーを使用しない場合に比べ、集光レンズ4のサイズを小さくすることができる。又、円形の集光レンズ4に対して、X軸方向、Y軸方向それぞれに隙間の小さい分布とすることができるので、レンズの有効範囲を有効に利用することができる。
【0066】
しかし、本配置において、非変換励起光群51が励起光源群5に入射することによる励起光源群5の出力低下や寿命低下を防ぐため、励起光源群5から射出した励起光群50が光軸100に対して、X軸方向に非対称に蛍光体の励起光照射領域に入射するように、励起光源群5を配置したとしても、反射ミラー群8から蛍光体までの範囲では、励起光群50の各光束間のX軸方向の隙間が、励起光群50のX軸方向の光束の幅よりも小さいため、非変換励起光群51の光束と、励起光群50の光束が重なってしまい、完全に分離することができない。
【0067】
又、励起光群50が光軸100に対して、Y軸方向に非対称に蛍光体の励起光照射領域に入射するように、励起光源群5を配置したとしても、コリメートレンズ群6から蛍光体までの範囲では、励起光群50の各光束間のY軸方向の隙間は、励起光群50のY軸方向の光束幅よりも小さいため、非変換励起光群51の光束と、励起光群50の光束が重なってしまい、完全に分離することができない。従って、非変換励起光群51の少なくとも一部が、励起光源群5に入射してしまい、励起光源群5の出力低下や寿命低下を招く、という課題を解決することができない。
【0068】
そこで、反射ミラーを使用して、X軸方向の光束の間幅を小さくしつつ、非変換励起光の励起光源への戻り光を低減し、かつ、励起光を蛍光光に変換する効率を改善する方法を説明する。
【0069】
図12及び13は、実施例7の光源装置の一部を示す図である。ローカル右手座標系の定義は図4と同一である。図12及び13において、励起光源群5にはZ軸方向に3列、Y軸方向に3列の励起光源が配置されている。励起光源群のZ軸方向の配列は光軸100に対して対称、励起光源群のY軸方向の配列は光軸100に対して非対称とする。
【0070】
図12(A)において、反射ミラー群8の法線方向は、X軸をY軸方向に対して時計回りに約45度回転させた方向を向いているものとする。更に、反射ミラー群8は、励起光群50が反射した後に、X軸方向の各光束間の隙間が、X軸方向の光束の幅より小さくなる程度に、個々の反射ミラーをZ軸方向にずらして配置されているものとする。その結果、X軸方向の光束の間隔は、Y軸方向の光束の間隔よりも小さくなる。
【0071】
図12(B)は、図12(A)をX軸正方向から見た図である。励起光源群5は、各励起光群50の蛍光体までの光路が光軸100を介して、Y軸方向に非対称となるように配置されているため、非変換励起光群51は励起光群50の光路と一致しない光路を通り、励起光源群5側に戻ってくる。
【0072】
図13(A)は、コリメートレンズ群6をX軸負方向から見た投影図である。ここで、励起光源群50の光束断面形状は、コリメートレンズ群6を通過後のものを示す。励起光源群5とコリメートレンズ群6は、集光レンズ4やダイクロイックミラー7のサイズをコンパクトに抑えるため、励起光源5又はコリメートレンズ群6の外形の制約から決まる最も密な間隔で、X軸方向、Y軸方向にそれぞれ等間隔に配置されている。励起光源とコリメートレンズの外形が円形である場合、X軸方向間隔とY軸方向間隔は等しくなる。
【0073】
又、励起光源群5は、射出光の発散角が一様でなく、発散角が最大となる方向と、発散角が最小となる方向が略垂直であるため、コリメートレンズ群6によって平行光となった励起光群50の光束断面形状は、発散角が最大である方向を長軸方向とした略楕円形となる。本図ではY軸方向が、励起光群50の射出光の発散角が最大となる方向と一致するように配置した場合を示す。但し、本実施例においては、励起光群50のコリメートレンズ群6通過後の光束幅について、Y軸方向の光束間にY軸方向の光束幅よりも大きな隙間が空く程度に、Y軸方向の光束幅が小さくなるように、励起光源5とコリメートレンズ群6が配置されている。
【0074】
図13(D)に、励起光源の射出位置とコリメートレンズの距離に対する、光束径の変化を示す。発散角θが一定の場合、励起光源の射出位置とコリメートレンズの距離Lを小さくし(L´)、かつコリメートレンズの焦点距離を短くすることで、コリメートレンズ通過後の光束は平行のまま、光束径Aを小さくする(A´)ことができる。光束断面形状は、励起光源5とコリメートレンズ群6の距離が長い場合と相似で、サイズが小さくなる。従って、コリメートレンズ通過後の励起光は、Y軸方向の光束間にY軸方向の光束幅よりも大きな隙間が空いた分布となる。
【0075】
ここで、励起光群50のY軸方向の光束間には、各励起光のY軸方向の光束幅よりも大きい隙間が空いている。又、非変換励起光群51は、励起光群50が蛍光体上で、光軸100に対して対称に正反射したものであるので、その光束断面形状は、励起光群50の光束断面形状と合同であり、Y軸方向が長軸方向と一致した楕円となる。従って、非変換励起光群51の光束が励起光群50の光束と重ならないように、励起光源群5を配置することができる。
【0076】
更に、ダイクロイックミラー7より励起光源群5側の、非変換励起光群51s、51t、51uが入射する位置には、非変換励起光群51s、51t、51uと垂直な方向に、反射ミラー14s、14t、14uが配置されている。従って、非変換励起光群51s、51t、51uは、反射ミラー14s、14t、14uで反射し、反射非変換励起光群52s、52t、52uとなり、非変換励起光群51s、51t、51uと同様の光路を反対向きに進み、再び励起光照射領域に入射する(図示せず)。励起光照射領域に入射した反射非変換励起光群52は、蛍光体で蛍光光に変換され、照明光学系側に入射する(図示せず)。
【0077】
図13(B)は、集光レンズ4をZ軸負方向から見た投影図である。反射ミラー群8は、励起光群50が反射した後に、X軸方向の各光束間の隙間が、X軸方向の光束の幅より小さくなる程度に、個々の反射ミラーをZ軸方向にずらして配置されているため、集光レンズ4上での励起光群50の分布は、各励起光群のX軸方向の間隔が、図13(A)に示す射出時点のものよりも小さくなり、X軸方向の光束範囲が小さくなる。
【0078】
図13(C)は、反射ミラー群8、14をZ軸負方向から見た投影図である。図13(B)同様、反射ミラー群8上での励起光群50の分布は、各励起光群のX軸方向の間隔が、図13(A)に示す射出時点のものよりも小さくなり、X軸方向の光束範囲が小さくなる。非変換励起光群51は、励起光群50が蛍光体上で、光軸100に対して対称に正反射したものであるので、その光束断面形状は、励起光群50の光束断面形状と合同であり、Y軸方向が長軸方向と一致した楕円となる。
【0079】
又、反射非変換励起光群52は、非変換励起光群51が、非変換励起光群51に垂直に配置された反射ミラー群14上で正反射したものであるので、その光束断面形状は非変換励起光群51の光束断面形状と合同であり、Y軸方向が長軸方向と一致した楕円となる。又、励起光群50の、コリメートレンズ群6通過後のY軸方向の光束幅は、Y軸方向の光束間の隙間より小さくなっているので、その隙間に非変換励起光群52が分布するように、励起光源群50を配置することができる。本配置では、反射ミラー群14の形状はX軸方向に細長い短冊形状となる。但し、非変換励起光群51を捕捉できる範囲を満たしていれば、反射ミラー14は分割されていてもよい。
【0080】
励起光群5から射出した励起光群50が光軸100に対して、Y軸方向に非対称に蛍光体上の励起光照射領域に入射するため、非変換励起光群51と反射非変換励起光群52は、励起光群50のY軸方向の隙間に分布する。円形の集光レンズ4に対して、長軸がY軸方向に一致する楕円形の光束断面形状をもった励起光群50と非変換励起光群51、反射非変換励起光群52が、Y軸方向に小さな隙間を置いて、交互に並ぶ分布となるので、レンズの有効範囲を有効に利用することができる。
【0081】
又、図11(C)と比較して、励起光群50のY軸方向間隔は同じで、Y軸方向の光束幅が小さくなった分の隙間に、非変換励起光群51と反射非変換励起光群52が分布するので、Y軸方向の光束通過領域が大きくなることはなく、集光レンズ4のサイズが大きくなることはない。
【0082】
従って、Y軸方向が、励起光群50の射出光の発散角が最大となる方向と一致するように励起光源群5を配置し、かつY軸方向の間隔がX軸方向の間隔よりも大きい反射ミラーを用いて、蛍光体への入射より以前に、励起光群50の各光束のX軸方向の隙間が、励起光群50の各光束のX軸方向の幅よりも小さくなる程度に、励起光群50のX軸方向の間隔が狭められる場合、励起光群50が光軸100に対してY軸方向に非対称に蛍光体上の励起光照射領域に入射するように、励起光源群5を配置し、かつコリメートレンズ群6を通過後に、励起光の各光束のY軸方向の隙間が、励起光群50の各光束のY軸方向の幅よりも大きくなるように、励起光源5の射出位置とコリメートレンズ群6の距離を短くし、かつコリメートレンズの焦点距離を短くするとよい。
【0083】
尚、本実施例では、Y軸方向の間隔がX軸方向の間隔よりも大きい反射ミラーを用いる場合を示したが、他の方法を用いて、光路の途中で、励起光群50のX軸方向(発散角が最小の方向)の隙間が、X軸方向の光束幅よりも小さくなる程度に狭められる場合でも同様のことがいえる。又、光路の途中で、励起光群50のX軸方向の隙間が、X軸方向の光束幅よりも小さくなる程度に狭められる場合以外でも、何らかの理由で、Y軸方向に、非変換励起光と反射非変換励起光が通る隙間を空ける必要がある場合には適用できる。又、励起光源群の配置として、X軸方向、Y軸方向にそれぞれ等間隔に配置されている例で説明したが、更に最密に配置可能な六方最密構造のような別の配置方法にも適用できることは言うまでもない。
【0084】
又、本実施例では、励起光源の射出光の発散角が最大となる方向の、複数の励起光の間に、非変換励起光と反射非変換励起光が通る隙間を空けるために、コリメートレンズ変更によって光束幅を狭める場合を示したが、同じ目的のために、励起光源群の射出光の発散角が最大となる方向の間隔を広げてもよい。又、コリメートレンズ変更によって光束幅を狭める方法と、励起光源群の射出光の発散角が最大となる方向の間隔を広げる方法を組み合わせてもよい。但し、励起光源群の射出光の発散角が最大となる方向の間隔を広げた場合、励起光源配置面積の大型化や、光束通過領域が広くなることによる、集光レンズやダイクロイックミラー、反射ミラーの大型化を招くため、コリメートレンズ変更によって光束幅を狭める方が望ましい。
【0085】
以上のように、実施例3乃至7では、励起光源から発生した励起光の内、蛍光光に変換されなかった非変換励起光は励起光源には入射しない位置に戻ってくるが、その光束を捕捉して反射できるように反射ミラーを配置することで、当該非変換励起光を反射し、反射非変換励起光として再び蛍光体に入射させることができる。これにより、励起光源の出力や寿命を改善しながら、更に蛍光光の光量を増加させることができる。尚、反射非変換励起光のうち蛍光光に変換されない非変換励起光が蛍光体で正反射し、励起光源に入射することになるため、励起光源の出力低下や寿命低下が発生する可能性はあるが、その光量は2回の蛍光体入射後の非変換分であるため、非常にわずかであり、影響はほとんどない。
【0086】
次に、投写型映像表示装置の光学系について説明する。図3(A)は、図1の光源装置を含む投射型映像表示装置の、光学系の概略構成図である。励起光源群5から射出した青色励起光は、コリメートレンズ群6により略平行となり、反射ミラー8で反射し、ダイクロイックミラー7に入射する。ダイクロイックミラー7は青色光を透過し、緑色光を反射する特性である。従って、青色励起光はダイクロイックミラー7を透過し、集光レンズ4で集光し、円盤1に集光する。
【0087】
集光レンズ4の曲率は、入射した平行光が円盤1の1箇所に集光するように設定されている。円盤1は、緑色蛍光体3が塗布され、回転素子2を中心軸とする回転制御可能な円形状の基材である。緑色蛍光体3が励起されることにより生じ、全方位に発光した緑色蛍光光の内、集光レンズ4を透過した緑色光は、光軸100に略平行となり、ダイクロイックミラー7で反射して、集光レンズ9を透過し、ダイクロイックミラー10に入射する。ダイクロイックミラー10は緑色光を透過し、赤色光、青色光を反射する特性である。従って、緑色光はダイクロイックミラー10を透過し、多重反射素子17に入射する。集光レンズ9は、多重反射素子17の入射開口部に集光するような曲率に設定されているため、多重反射素子17の入射開口面には、励起光照射領域30の照射形状と相似な形状が形成される。
【0088】
光源11は赤色光源である。光源11を射出した赤色光は、コリメートレンズ12で平行となり、ダイクロイックミラー15に入射する。ダイクロイックミラー15は赤色光を透過し、青色光を反射する特性である。従って、赤色光はダイクロイックミラー15を透過して、集光レンズ16を透過し、ダイクロイックミラー10に入射する。
【0089】
一方、光源13は青色光源である。光源13を射出した青色光は、コリメートレンズ14で平行となり、ダイクロイックミラー15に入射する。ダイクロイックミラー15は赤色光を透過し、青色光を反射する特性である。従って、青色光はダイクロイックミラー15で反射して、集光レンズ16を透過し、ダイクロイックミラー10に入射する。ダイクロイックミラー10は緑色光を透過し、赤色光、青色光を反射する特性である。従って、ダイクロイックミラー10に入射した赤色光と青色光は、ダイクロイックミラー10で反射し、多重反射素子17に入射する。
【0090】
集光レンズ16は、多重反射素子17の入射開口部に集光するような曲率に設定されているため、多重反射素子17の入射開口面には、光源11と光源13の発光形状と相似な形状が形成される。又、ダイクロイックミラー15の特性を変更して、光源11と光源13の配置位置を変えても構わない。
【0091】
多重反射素子17に入射した、赤色光、緑色光、青色光は、多重反射素子17で複数回反射し、多重反射素子17の出射開口面では、均一照度分布を有する光となる。多重反射素子17の出射開口面の形状は、映像表示素子20と略相似な形状である。集光レンズ18は、多重反射素子17の出射開口面に形成された像を、映像表示素子20上に拡大して結像する曲率に設定されている。従って、多重反射素子17の出射開口面から射出した赤色光、緑色光、青色光は、集光レンズ18を透過し、反射ミラー19で反射後、映像表示素子20上に均一な照度分布で照射される。
【0092】
励起光源群5、光源11、光源13は応答速度の速い固体発光素子であり、時分割制御が可能である。従って、各色光は、映像表示素子20により、各色光毎に時分割で変調される。映像表示素子20で反射された各色光は、投写レンズ21に入射し、図示していないスクリーン上に投影される。
【0093】
図3(B)は、図3(A)とは異なる形態の光源装置を含む投射型映像表示装置の、光学系の概略構成図である。励起光源群5から射出した青色励起光は、コリメートレンズ群6により略平行となり、反射ミラー8で反射し、ダイクロイックミラー70に入射する。ダイクロイックミラー70は青色光を反射し、緑色光を透過する特性である。従って、青色励起光はダイクロイックミラー70を反射し、集光レンズ4で集光し、円盤1に集光する。
【0094】
集光レンズ4の曲率は、入射した平行光が円盤1の1箇所に集光するように設定されている。円盤1は、緑色蛍光体3が塗布され、回転素子2を中心軸とする回転制御可能な円形状の基材である。緑色蛍光体3が励起されることにより生じ、全方位に発光した緑色蛍光光の内、集光レンズ4を透過した緑色光は、光軸100に略平行となり、ダイクロイックミラー70を透過して、集光レンズ9を透過し、ダイクロイックミラー10に入射する。ダイクロイックミラー10は緑色光を透過し、赤色光、青色光を反射する特性である。従って、緑色光はダイクロイックミラー10を透過し、多重反射素子17に入射する。集光レンズ9は、多重反射素子17の入射開口部に集光するような曲率に設定されているため、多重反射素子17の入射開口面には、励起光照射領域30の照射形状と相似な形状が形成される。以降の光学系は、図3(A)と同一であり、省略する。
【0095】
本実施例における映像表示素子は、DMD(Digital Mirror Device)素子でもよいし、液晶型映像表示素子(液晶パネル)でもよい。
【0096】
又、本実施例では、蛍光体3を回転させる例を示した。これは、蛍光体を分散して固めるバインダとして、有機のシリコン樹脂等が用いられているため、温度によるバーニングを防ぐ必要があるからである。しかし、無機のバインダを使用するなどして、蛍光体寿命が確保できるのであれば、蛍光体を回転させなくてもよい。
【0097】
又、本実施例では、励起光源が複数存在する例を示したが、当該励起光源から出射した励起光が励起光照射領域に入射し蛍光光に変換されずに反射した場合、当該非変換励起光が当該励起光源に入射しないように配置されていれば、励起光源は1つであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…円盤、2…回転素子、3…蛍光体、4…集光レンズ、5…励起光源群、6…コリメートレンズ群、7…ダイクロイックミラー、8…(励起光反射用の)反射ミラー、30…励起光照射領域、50…励起光群、51…非変換励起光群、52…反射非変換励起光群、60…蛍光光、70…ダイクロイックミラー、9〜14…(非変換励起光反射用の)反射ミラー
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12
図13