(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー組成物。
前記金属水酸化物化合物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
前記ポリマー組成物中に存在する前記第1の粒子および前記金属水酸化物化合物の合わせた重量が、前記ポリマー組成物の全重量の35%から75%である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
前記ポリマー組成物中に存在する前記第1の粒子および前記金属水酸化物化合物の合わせた重量が、前記ポリマー組成物の全重量の35%から70%である、請求項10に記載のポリマー組成物。
【発明の概要】
【0002】
上記のとおり、本発明は、プラスチックにおける使用に適した添加剤組成物およびこのような添加剤組成物またはこのような添加剤組成物の個々の成分を含有するプラスチック組成物を提供する。本発明の添加剤組成物は、プラスチック用難燃剤としての使用に特によく適していると考えられる。特に、本発明の添加剤組成物は、成分の比較的低い全充填物で、より従来の難燃剤(例えば、単独で用いられた金属水酸化物化合物)に対して同じかまたは改善されたレベルの難燃性を加え得ることが考えられる。さらに、それらの難燃効果に加えて、この添加剤組成物の第1の粒子は、ポリマーの剛性を改善し(例えば、ポリマーの1%割線係数の増加および/またはポリマーの熱撓み温度の増加により証明されるように)およびポリマー組成物で作られた物品の密度を減少させるとも考えられ、これは、比較的軽量の物品を製造することを求める場合、有益であり得る。
【0003】
第1の態様において、本発明は、複数の第1の粒子および金属水酸化物化合物を含む添加剤組成物を提供する。第1の粒子は、オキシ硫酸マグネシウム化合物を含む。
【0004】
第2の態様において、本発明は、ポリマー、複数の第1の粒子、および金属水酸化物化合物を含むポリマー組成物を提供する。第1の粒子は、オキシ硫酸マグネシウム化合物を含む。
【0005】
第1の態様において、本発明は、添加剤組成物を提供する。この添加剤組成物は、複数の第1の粒子および金属水酸化物化合物を含む。
【0006】
第1の粒子は、オキシ硫酸マグネシウム化合物を含む。オキシ硫酸マグネシウム化合物は、任意の適切な相対量の水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、および水和の水からなることができる。したがって、オキシ硫酸マグネシウム化合物は、一般に式xMg(OH)
2・yMgSO
4・zH
2O(ここで、x、y、およびzは、ゼロを超え、最大約10までの範囲の正の数である)に従い得る。x、y、およびzの値は、オキシ硫酸マグネシウム化合物の化学量論が、例えば、硫酸マグネシウム単位および/または水和の水によって「共有」される水酸化マグネシウム単位をもたらし得る事実のために、整数と分数の両方を含む。ある種の恐らくは好ましい態様において、オキシ硫酸マグネシウム化合物は、5Mg(OH)
2・MgSO
4・3H
2O;5Mg(OH)
2・MgSO
4・2H
2O;3Mg(OH)
2・MgSO
4・8H
2O;Mg(OH)
2・MgSO
4・5H
2O;Mg(OH)
2・2MgSO
4・3H
2O;およびそれらの混合物からなる群から選択される。オキシ硫酸マグネシウムのさらなる形態、例えば、4.34Mg(OH)
2・MgSO
4・2H
2OおよびMg(OH)
2・2MgSO
4・2H
2Oも、本発明の態様における使用に適していると考えられる。
【0007】
オキシ硫酸マグネシウム化合物を含む粒子は、任意の適切な形態で与えられ得る。例えば、粒子は、球体、板、棒、またはホイスカーの形態で与えられ得る。粒子は、任意の適切な寸法を有し得る。しかし、粒子は、好ましくは粒子が、概して、他の2つの寸法(すなわち、幅および高さ/厚さ)を実質的に超える1つの寸法(すなわち、長さ)を有する形態、例えば、板、棒、またはホイスカーで与えられる。したがって、ある種の恐らくは好ましい態様において、粒子は、約2以上、約3以上、約5以上、または約7以上(例えば、約10以上または約20以上)の平均アスペクト比を有する。本明細書で用いられる場合、「アスペクト比」という用語は、同じ粒子の2つの残りの寸法(例えば、幅および高さ/厚さ)の算術平均で粒子の長さ(すなわち、粒子の最長寸法)を除すことによって得られる値を指す。「平均アスペクト比」は、試料もしくは収集物、またはこのような試料もしくは収集物から得られた統計的に有意で代表的な無作為試料内の粒子の個々のアスペクト比の算術平均である。粒子のアスペクト比および平均アスペクト比は、任意の適切な技術によって決定され得る。例えば、その2つは、例えば、顕微鏡(例えば、走査電子顕微鏡)を用いて個々の粒子の寸法を測定し、次いで、上記のとおりに測定寸法からアスペクト比を計算することによって決定され得る。
【0008】
上記のとおり、粒子は、任意の適切な寸法を有し得る。ある種の恐らくは好ましい態様において、粒子は、約1μm以上、約2μm以上、約3μm以上、約4μm以上、または約5μm以上の長さを有する。ある種の恐らくは好ましい態様において、粒子は、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、約65μm以下、または約60μm以下の長さを有する。したがって、ある種の恐らくは好ましい態様において、粒子は、約1μmから約100μm、約2μmから約90μm、約3μmから約80μm、約4μmから約70μm、または約5μmから約65μm(例えば、約5μmから約60μm)の長さを有する。粒子の2つの残りの寸法(すなわち、幅および高さ/厚さ)は、任意の適切な寸法のものであり得る。ある種の恐らくは好ましい態様において、粒子は、約0.1μm以上、約0.2μm以上、約0.3μm以上、約0.4μm以上、または約0.5μm以上の幅を有する。また、ある種の恐らくは好ましい態様において、粒子は、約10μm以下、約9μm以下、約8μm以下、約7μm以下、約6μm以下、または約5μm以下の幅を有する。したがって、ある種の恐らくは好ましい態様において、粒子は、約0.1μmから約10μm、約0.2μmから約9μm、約0.3μmから約8μm、約0.4から約7μm、約0.5μmから約6μm(例えば、約0.5μmから約5μm)の幅を有する。
【0009】
第1の粒子は、無処理であることができるか、または第1の粒子は、当技術分野で公知の方法によって1つ以上の表面処理で処理され得る。このような表面処理には、限定されるものではないが、ポリマー中の第1の粒子の分散を促進する処理が含まれる。
【0010】
本発明の添加剤組成物はまた、金属水酸化物化合物を含む。金属水酸化物化合物は、金属(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、またはポスト遷移(post-transition)金属)の任意の適切な水酸化物であり得る。さらに、本明細書で使用される場合、「金属水酸化物化合物」という用語は、2種以上の金属水酸化物化合物、例えば、上に記載されたものの組合せも包含する。ある種の恐らくは好ましい態様において、金属水酸化物化合物は、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)またはポスト遷移金属(例えば、アルミニウム)の水酸化物である。したがって、ある種の恐らくは好ましい態様において、金属水酸化物化合物は、水酸化マグネシウム(すなわち、Mg(OH)
2)、水酸化アルミニウム(すなわち、Al(OH)
3)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0011】
添加剤組成物中の金属水酸化物化合物は、任意の適切な形態で与えられ得る。例えば、金属水酸化物化合物は、粉末、顆粒、ペレット、フレークなどの形態で与えられ得る。さらに、金属水酸化物化合物は、無処理であり得るか、または金属水酸化物化合物は、当技術分野で公知の方法によって1つ以上の表面処理で処理され得る。このような表面処理には、限定されるものではないが、ポリマー中の金属水酸化物化合物の分散を促進する処理が含まれる。
【0012】
第1の粒子および金属水酸化物化合物は、任意の適切な量で添加剤組成物中に存在し得る。ある種の恐らくは好ましい態様において、添加剤組成物中に存在する第1の粒子の重量は、添加剤組成物中に存在する第1の粒子および金属水酸化物化合物の合わせた全重量の約15%以上である。ある種の他の恐らくは好ましい態様において、添加剤組成物中に存在する第1の粒子の重量は、添加剤組成物中に存在する第1の粒子および金属水酸化物化合物の合わせた全重量の約20%以上(例えば、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、または約95%以上)である。
【0013】
第1の粒子および金属水酸化物化合物に加えて、本発明の添加剤組成物は、プラスチック添加剤組成物中に通常見られる他の成分を含有し得る。例えば、本発明の添加剤組成物は、難燃剤(例えば、リン系難燃剤、ハロゲン化難燃剤)、難燃共力剤(例えば、酸化アンチモン、有機クレー)、核化剤、相溶化剤、表面処理剤、カップリング剤、流動助剤、潤滑剤、抗引掻剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、着色剤(例えば、顔料、染料)、ろう、および油を含有し得る。
【0014】
本発明の添加剤組成物は、他のプラスチック添加剤組成物中で見られる成分を含有し得る一方、添加剤組成物は、好ましくは難燃剤として用いられてきた限定された量のある種の成分だけを含有する。例えば、ある種の恐らくは好ましい態様において、本発明の添加剤組成物は、添加剤組成物の全重量に基づいて1重量%未満(例えば、0.9重量%未満、0.8重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、または0.4重量%未満)の赤リンを含有する。ある種の他の恐らくは好ましい態様において、添加剤組成物は、添加剤組成物の全重量に基づいて0.3重量%未満の赤リンを含有する。
【0015】
上記のとおり、本発明の添加剤組成物は、プラスチック用難燃剤として特に有用であると考えられる。したがって、第2の態様において、本発明は、本発明の添加剤組成物および1種以上のポリマーを含むポリマー組成物を提供する。本発明のポリマー組成物は、ポリマーに、添加剤組成物、例えば、上に記載されたもの(すなわち、第1の粒子と金属水酸化物化合物の両方を含有する組成物)を添加することによって製造され得る。代替として、本発明のポリマー組成物は、ポリマーに、上に記載された添加剤組成物の成分のそれぞれを別個に添加することによって製造され得る。言い換えれば、本発明のポリマー組成物は、ポリマーに、第1の粒子および金属水酸化物化合物を同時に添加することによって製造される必要はない。
【0016】
この態様において、ポリマーは、熱可塑性または熱硬化性のいずれかであり得る。適切な熱硬化性ポリマーには、必ずしも限定されるものではないが、フェノールホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、シート成形コンパウンドおよびバルク成形コンパウンド)、およびポリイミドが含まれる。適切な熱可塑性ポリマーには、必ずしも限定されるものではないが、ポリアミド、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリスチレン、およびポリオレフィンが含まれる。適切なポリオレフィンには、限定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリ(ブタ−1−エン)(すなわち、ポリブテン−1)、およびポリイソブチレンが含まれる。その広範な用途のために、特に重要であるポリオレフィンの一種は、ポリプロピレンである。本発明のこの態様における使用に適したポリプロピレンには、必ずしも限定されるものではないが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー(例えば、ポリプロピレンランダムコポリマー)、ポリプロピレンインパクトコポリマー、ポリプロピレン含有熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、およびそれらの組合せが含まれる。適切なポリプロピレンコポリマーには、限定されるものではないが、エチレン、ブタ−1−エン(すなわち、1−ブテン)、およびヘキサ−1−エン(すなわち、1−ヘキセン)からなる群から選択されるコモノマーの存在下でのプロピレンの重合から作られるランダムコポリマーが含まれる。このようなポリプロピレンランダムコポリマーでは、コモノマーは、任意の適切な量で存在することができるが、通常は約10重量%未満(例えば、約1から約7重量%)の量で存在する。適切なポリプロピレンインパクトコポリマーには、限定されるものではないが、第2のポリマー、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、ポリエチレン(ポリエチレンホモポリマーとポリエチレンコポリマーの両方)、エラストマー、およびプラストマーを、ポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンランダムコポリマーに添加することによって製造されるものが含まれる。このようなポリプロピレンインパクトコポリマーでは、コポリマーは、任意の適切な量で存在することができるが、通常は約5から約25重量%の量で存在する。ある種の恐らくは好ましい態様において、ポリマーは、プロピレンとエチレンとの共重合から作られるポリプロピレンランダムコポリマーであり、エチレンの量は約1から約7重量%である。適切なポリプロピレン含有熱可塑性ポリオレフィン(TPO)には、限定されるものではないが、ポリエチレン系またはポリプロピレン系のエラストマーおよび/またはプラストマーを、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、またはポリプロピレンインパクトコポリマーに添加することによって製造されるものが含まれる。ポリプロピレン含有熱可塑性ポリオレフィン(TPO)は、反応器中で作製され得るか、またはそれらは、ポリオレフィン生成器から下流であるオフラインコンパウンディングによって製造され得る。
【0017】
別の恐らくは好ましい態様において、熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンであり得る。適切なポリエチレンには、限定されるものではないが、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびそれらの組合せが含まれる。ある種の恐らくは好ましい態様において、熱可塑性ポリマーは、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。別の恐らくは好ましい態様において、熱可塑性ポリマーは、高密度ポリエチレンである。
【0018】
本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、一般に約0.940g/cm
3を超える密度を有する。ポリマーの適切な密度に対する上限はないが、高密度ポリエチレンポリマーは、通常約0.980g/cm
3未満(例えば、約0.975g/cm
3未満)である密度を有する。
【0019】
本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、ホモポリマー、またはエチレンと1種以上のα−オレフィンとのコポリマーのいずれかであり得る。適切なα−オレフィンには、限定されるものではないが、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンが含まれる。コモノマーは、任意の適切な量、例えば、約5重量%以下(例えば、約3モル%以下)の量でコポリマー中に存在し得る。当業者に理解されるように、コポリマーに適したコモノマーの量は、コポリマーのための最終用途、およびその最終用途により左右される必要なまたは望ましいポリマー特性によって大きく動かされる。
【0020】
本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な方法によって製造され得る。例えば、このポリマーは、例えば、米国特許第2,816,883号(Larcharら)に記載されたとおりの非常に高圧を用いてフリーラジカル法によって製造され得るが、このポリマーは、通常は「低圧」接触法で製造される。この文脈において、「低圧」という用語は、6.9MPa(例えば、1,000psig)未満、例えば、1.4〜6.9MPa(200〜1,000psig)未満の圧力で行われる方法を意味するために使用される。適切な低圧触媒法の例には、限定されるものではないが、溶液重合法(すなわち、重合が、ポリマー用の溶媒を用いて行われる方法)、スラリー重合法(例えば、重合が、ポリマーが溶解または膨潤しない炭化水素液体を用いて行われる方法)、気相重合法(例えば、重合が、液体媒体または希釈剤を用いないで行われる方法)、または段階的反応器重合法が含まれる。適切な気相重合法には、液体炭化水素が、流動床に導入されて、この重合法の間に発生する熱の吸収を増加させる、いわゆる「凝縮モード」または「超凝縮モード」法も含む。これらの凝縮モードおよび超凝縮モード法において、液体炭化水素は、通常再循環ストリームで凝縮され、反応器で再使用される。段階的反応器法は、触媒(例えば、クロム触媒)が二組以上の反応条件に曝されるように、直列、並行、または直列もしくは並列の組合せで接続されるスラリー法反応器(槽またはループ)の組合せを用い得る。段階的反応器法も、直列の2つのループの組み合せ、直列の1つ以上の槽およびループの組み合せ、直列の多段気相反応器の使用、またはループ気相配列によって行われ得る。触媒を異なる組の反応器条件に曝すそれらの能力のために、段階的反応器法は、多峰性ポリマー、例えば、以下に検討されるものを製造するためにしばしば用いられる。適切な方法には、予備重合工程が行われるものも含まれる。この予備重合工程では、触媒は通常、比較的小さい別個の反応器中温和な条件下で共触媒およびエチレンに曝され、重合反応は、触媒が比較的少量(例えば、全重量の約5%から約30%)の得られた組成物を含むまで進行させる。次いで、この予備重合された触媒は、重合が行われることになる大規模反応器に導入される。
【0021】
本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な触媒または触媒の組合せを用いて製造され得る。適切な触媒には、遷移金属触媒、例えば、担持還元酸化モリブデン、アルミナ上モリブデン酸コバルト、酸化クロム、および遷移金属ハロゲン化物が含まれる。酸化クロム触媒は、通常はクロム化合物を多孔性高表面積酸化物担体、例えば、シリカ上に含浸させ、次いで、それを乾燥空気中500〜900℃で焼成することによって製造される。これは、クロムを六価の表面クロム酸エステルまたは二クロム酸エステルに変換する。酸化クロム触媒は、金属アルキル共触媒、例えば、アルキルホウ素、アルキルアルミニウム、アルキル亜鉛、およびアルキルリチウムとともに用いることができる。酸化クロムのための担体には、シリカ、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナ、アルミナ、およびアルミノリン酸塩が含まれる。酸化クロム触媒のさらなる例には、比較的低い原子価の有機クロム化合物、例えば、ビス(アレーン)Cr
0、アリルCr
2+およびCr
3+、Cr
2+およびCr
4+のベータ安定化アルキル、およびビス(シクロペンタジエニル)Cr
2+を、酸化クロム触媒、例えば、上に記載されたものの上に堆積させることによって製造される触媒が含まれる。適切な遷移金属触媒には、担持クロム触媒、例えば、クロモセンまたはシリルクロム酸塩[例えば、クロム酸ビス(トリスフェニルシリル)]に基づくものも含まれる。これらのクロム触媒は、任意の適切な高表面積担体、例えば、酸化クロム触媒について上に記載されたものの上に担持することができ、シリカが通常用いられる。担持クロム触媒はまた、共触媒、例えば、酸化クロム触媒について上に列挙された金属アルキル共触媒とともに用いることもできる。適切な遷移金属ハロゲン化物触媒には、ハロゲン化チタン(III)(例えば、塩化チタン(III))、ハロゲン化チタン(IV)(例えば、塩化チタン(IV))、ハロゲン化バナジウム、ハロゲン化ジルコニウム、およびそれらの組合せが含まれる。これらの遷移金属ハロゲン化物は、しばしば高表面積固体、例えば、塩化マグネシウムの上に担持される。遷移金属ハロゲン化物触媒は、通常アルミニウムアルキル共触媒、例えば、トリメチルアルミニウム(すなわち、Al(CH
3)
3)またはトリエチルアルミニウム(すなわち、Al(C
2H
5)
3)とともに用いられる。これらの遷移金属ハロゲン化物も、段階的反応器法で用いられてもよい。適切な触媒には、メタロセン触媒、例えば、シクロペンタジエニルチタンハロゲン化物(例えば、シクロペンタジエニルチタンクロリド)、シクロペンタジエニルジルコニウムハロゲン化物(例えば、シクロペンタジエニルジルコニウムクロリド)、シクロペンタジエニルハフニウムハロゲン化物(例えば、シクロペンタジエニルハフニウムクロリド)、およびそれらの組合せも含まれる。インデニルまたはフルオレニル配位子で錯化された遷移金属に基づくメタロセン触媒も公知であり、本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーを製造するために用いることができる。触媒は、通常複数の配位子を含み、配位子は、様々な基(例えば、n−ブチル基)で置換され得るか、または架橋基、例えば、−CH
2−CH
2−もしくは>SiPh
2で連結され得る。メタロセン触媒は、通常は共触媒、例えば、メチルアルミノキサン(すなわち、(Al(CH
3)
xO
y)
nとともに用いられる。他の共触媒には、米国特許第5,919,983号(Rosenら)、米国特許第6,107,230号(McDanielら)、米国特許第6,632,894号(McDanielら)、および米国特許第6,300,271号(McDanielら)に記載されたものが含まれる。高密度ポリエチレンの製造における使用に適した他の「シングルサイト」触媒には、ジイミン錯体、例えば、米国特許第5,891,963号(Brookhartら)に記載されたものが含まれる。
【0022】
本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な分子量(例えば、重量平均分子量)を有し得る。例えば、高密度ポリエチレンの重量平均分子量は、20,000g/モルから約1,000,000g/モル以上であり得る。当業者に理解されるように、高密度ポリエチレンの適切な重量平均分子量は、ポリマーが予定される特定の用途または最終用途に少なくとも部分的に依存する。例えば、ブロー成形用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約100,000g/モルから約1,000,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。管用途またはフィルム用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約100,000g/モルから約500,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。射出成形用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約20,000g/モルから約80,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。電線絶縁用途、ケーブル絶縁用途、テープ用途、またはフィラメント用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約80,000g/モルから約400,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。回転成形用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約50,000g/モルから約150,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。
【0023】
本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な多分散性を有することもでき、これは、ポリマーの重量平均分子量をポリマーの数平均分子量で除すことによって得られる値と定義される。例えば、高密度ポリエチレンポリマーは、2超から約100の多分散性を有し得る。当業者に理解されるように、ポリマーの多分散性は、ポリマーを製造するために用いられる触媒系によって大きく影響され、メタロセンおよび他の「シングルサイト」触媒は、一般に比較的低い多分散性および狭い分子量分布を有するポリマーを生成し、他の遷移金属触媒(例えば、クロム触媒)は、比較的高い多分散性および比較的広い分子量分布を有するポリマーを生成する。本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、多峰性(例えば、二峰性)分子量分布も有し得る。例えば、このポリマーは、比較的低い分子量を有する第1の画分および比較的高い分子量を有する第2の画分を有し得る。ポリマー中の画分の重量平均分子量間の差は、任意の適切な量であり得る。実際には、重量平均分子量間の差にとって、2つの別個の分子量画分がゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて分解され得るほどに十分に大きい必要はない。しかし、ある種の多峰性ポリマーでは、画分の重量平均分子量間の差は、2つ以上の別個のピークが、ポリマーについてのGPC曲線から分解され得るほどに十分に大きいことができる。この文脈において、「別個の」という用語は、それぞれの画分に対応するGPC曲線の一部が、重なっていないことを必ずしも意味するとは限らず、それぞれの画分の別個のピークがポリマーについてのGPC曲線から分解され得ることを示すことが単に意味される。本発明における使用に適した多峰性ポリマーは、任意の適切な方法を用いて製造され得る。上記のとおり、多峰性ポリマーは、段階的反応器法を用いて製造され得る。一つの適切な例は、一連の撹拌槽を組み込む段階的溶液法である。代替として、多峰性ポリマーは、そのそれぞれが、異なる重量平均分子量を有するポリマーを製造するように設計される触媒の組合せを用いて、単一反応器中で製造され得る。
【0024】
本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切なメルトインデックスを有し得る。例えば、高密度ポリエチレンポリマーは、約0.01dg/分から約40dg/分のメルトインデックスを有し得る。重量平均分子量と同様に、当業者は、高密度ポリエチレンポリマーのための適切なメルトインデックスは、ポリマーが予定される特定の用途または最終用途に少なくとも部分的に依存することを理解する。したがって、例えば、ブロー成形用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約0.01dg/分から約1dg/分のメルトインデックスを有し得る。管用途またはフィルム用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約0.02dg/分から約0.8dg/分のメルトインデックスを有し得る。射出成形用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約2dg/分から約80dg/分のメルトインデックスを有し得る。回転成形用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約0.5dg/分から約10dg/分のメルトインデックスを有し得る。テープ用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約0.2dg/分から約4dg/分のメルトインデックスを有し得る。フィラメント用途を目的とした高密度ポリエチレンポリマーは、約1dg/分から約20dg/分のメルトインデックスを有し得る。ポリマーのメルトインデックスは、ASTM標準D1238−04cを用いて測定される。
【0025】
本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、一般に多量の長鎖分枝を有しない。「長鎖分枝」という用語は、ポリマー鎖に結合しており、かつポリマーのレオロジーに影響を与えるのに十分な長さのものである分枝(例えば、長さで約130個以上の炭素の分枝)を指すために使用される。ポリマーが使用されることになる用途にとって必要であれば、高密度ポリエチレンポリマーは、少量の長鎖分枝を有し得る。しかし、本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーは、通常ほとんど長鎖分枝を有しない(例えば、10,000個の炭素当たり約1未満の長鎖分枝、10,000個の炭素当たり約0.5未満の長鎖分枝、10,000個の炭素当たり約0.1未満の長鎖分枝、または10,000個の炭素当たり約0.01未満の長鎖分枝)。
【0026】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、一般に約0.926g/cm
3から約0.940g/cm
3の密度を有する。「中密度ポリエチレン」という用語は、高密度ポリエチレンと線状低密度ポリエチレンの密度の間の密度を有し、かつ高圧でエチレンのフリーラジカル重合によって製造された低密度ポリエチレンポリマー中に存在する長い分枝と少なくとも比較して、比較的に短い分枝を有するエチレンのポリマーを指すために使用される。
【0027】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、一般にエチレンと、少なくとも1種のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンとのコポリマーである。α−オレフィンコモノマーは、任意の適切な量で存在し得るが、通常は約8重量%未満(例えば、約5モル%未満)の量で存在する。当業者によって理解されるように、コポリマーに適したコモノマーの量は、コポリマーの最終用途、およびその最終用途により左右される必要なまたは望ましいポリマー特性によって大きく動かされる。
【0028】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な方法によって製造され得る。高密度ポリエチレンポリマーのように、中密度ポリエチレンポリマーは、通常「低圧」触媒反応、例えば、本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーに関連して上に記載される方法のいずれかで製造される。適切な方法の例には、限定されるものではないが、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法、および段階的反応器法が含まれる。適切な段階的反応器法は、上に記載された気相、溶液、およびスラリー重合法の任意の適切な組合せを組み込み得る。高密度ポリエチレンポリマーと同様に、段階的反応器法は、多峰性ポリマーを製造するためにしばしば用いられる。
【0029】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な触媒または触媒の組合せを用いて製造され得る。例えば、このポリマーは、チーグラー触媒、例えば、有機アルミニウム化合物(例えば、トリエチルアルミニウム)と組み合わせて用いられる遷移金属(例えば、チタン)ハロゲン化物またはエステルを用いて製造され得る。これらのチーグラー触媒は、例えば、塩化マグネシウム、シリカ、アルミナ、または酸化マグネシウム上に担持され得る。本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、いわゆる「デュアルチーグラー触媒」を用いて製造することもでき、この触媒は、エチレンを1−ブテンに二量化するための触媒種の1種(例えば、チタンエステルとトリエチルアルミニウムの組合せ)、およびエチレンと生成した1−ブテンとの共重合のための別の触媒(例えば、塩化マグネシウム上に担持された塩化チタン)を含む。本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、酸化クロム触媒、例えば、クロム化合物をシリカ−チタニア担体上に堆積させ、得られた触媒を酸素と空気の混合物中で酸化し、次いで、その触媒を一酸化炭素で還元することによって製造されるものを用いて製造することもできる。これらの酸化クロム触媒は、通常は共触媒、例えば、トリアルキルホウ素またはトリアルキルアルミニウム化合物ととともに用いられる。酸化クロム触媒は、チーグラー触媒、例えば、チタンハロゲン化物系またはチタンエステル系の触媒とともに用いることもできる。本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、担持クロム触媒、例えば、高密度ポリエチレンの製造に適した触媒の検討で上に記載されたものを用いて製造することもできる。本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、メタロセン触媒を用いて製造することもできる。メタロセン触媒のいくつかの異なるタイプを用いることができる。例えば、メタロセン触媒は、ジルコニウム、チタン、またはハフニウムと2つのシクロペンタジエニル環とのビス(メタロセン)錯体およびメチルアルミノキサンを含み得る。高密度ポリエチレン製造に用いられた触媒と同様に、配位子は、様々な基(例えば、n−ブチル基)で置換され得るか、または架橋基で連結され得る。用いることができる別のクラスのメタロセン触媒は、ジルコニウムまたはチタンのビス(メタロセン)錯体と、パーフッ素化ホウ素芳香族化合物のアニオンとから構成される。用いることができる第3のクラスのメタロセン触媒は、拘束幾何触媒と称され、シクロペンタジエニル環中の炭素原子の1個が、架橋基によって金属原子に連結されている、チタンまたはジルコニウムのモノシクロペンタジエニル誘導体を含む。これらの錯体は、それらをメチルアルミノキサンと反応させることによって、または非配位アニオン、例えば、B(C
6F
5)
4-またはB(C
6F
5)
3CH
3-とのイオン錯体を形成させることによって活性化される。用いることができる第4のクラスのメタロセン触媒は、別の配位子、例えば、ホスフィンイミンまたは−O−SiR
3と組み合わせて1つのシクロペンタジエニル配位子を含む、遷移金属、例えば、チタンのメタロセン系錯体である。このクラスのメタロセン触媒も、メチルアルミノキサンまたはホウ素化合物で活性化される。本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンの製造における使用に適した他の触媒には、限定されるものではないが、米国特許第6,649,558号に開示された触媒が含まれる。
【0030】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な組成均一性を有することができ、これは、ポリマーのコポリマー分子中の分枝の均一性を記述するために使用される用語である。市販の中密度ポリエチレンポリマーの多くは、ポリマーの高分子量画分が、比較的少ししかα−オレフィンコモノマーを含まずかつ比較的少ししか分枝を有しない一方、ポリマーの低分子量画分は、比較的多量のα−オレフィンコモノマーを含みかつ比較的多量の分枝を有する、比較的低い組成均一性を有する。代替として、別の組の中密度ポリエチレンポリマーは、ポリマーの高分子量画分が、比較的多量のα−オレフィンコモノマーを含む一方、ポリマーの低分子量画分は、比較的少ししかα−オレフィンコモノマーを含まない、比較的低い組成均一性を有する。ポリマーの組成均一性は、任意の適切な方法、例えば、昇温溶離分別法を用いて測定され得る。
【0031】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な分子量を有し得る。例えば、ポリマーは、約50,000g/モルから約200,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。当業者によって理解されるように、中密度ポリエチレンの適切な重量平均分子量は、ポリマーが予定される特定の用途または最終用途に少なくとも部分的に依存する。
【0032】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な多分散性も有し得る。市販の中密度ポリエチレンポリマーの多くは、約2から約30の多分散性を有する。本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、多峰性(例えば、二峰性)分子量分布も有し得る。例えば、このポリマーは、比較的低い分子量を有する第1の画分および比較的高い分子量を有する第2の画分を有し得る。本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーと同様に、多峰性中密度ポリエチレンポリマー中の画分の重量平均分子量間の差は、任意の適切な量であり得る。実際には、重量平均分子量間の差は、2つの別個の分子量画分がゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて分解され得るほど十分に大きい必要はない。しかし、ある種の多峰性ポリマーでは、画分の重量平均分子量間の差は、2つ以上の別個のピークが、ポリマーについてのGPC曲線から分解され得るほどに十分大きいことができる。この文脈において、「別個の」という用語は、それぞれの画分に対応するGPC曲線の一部が、重ならないことを必ずしも意味するとは限らず、それぞれの画分の別個のピークがポリマーについてのGPC曲線から分解され得ることを示すことが単に意味される。本発明における使用に適した多峰性ポリマーは、任意の適切な方法を用いて製造され得る。上記のとおり、多峰性ポリマーは、段階的反応器法を用いて製造され得る。一つの適切な例は、一連の撹拌槽を組み込む段階的溶液法である。代替として、多峰性ポリマーは、そのそれぞれが、異なる重量平均分子量を有するポリマーを製造するために設計される触媒の組合せを用いて、単一反応器中で製造され得る。
【0033】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切なメルトインデックスを有し得る。例えば、中密度ポリエチレンポリマーは、約0.01dg/分から約200dg/分のメルトインデックスを有し得る。重量平均分子量と同様に、当業者は、中密度ポリエチレンポリマーのための適切なメルトインデックスが、ポリマーが予定される特定の用途または最終用途に少なくとも部分的に依存することを理解する。したがって、例えば、ブロー成形用途または管用途を目的とした中密度ポリエチレンポリマーは、約0.01dg/分から約1dg/分のメルトインデックスを有し得る。フィルム用途を目的とした中密度ポリエチレンポリマーは、約0.5dg/分から約3dg/分のメルトインデックスを有し得る。射出成形用途を目的とした中密度ポリエチレンポリマーは、約6dg/分から約200dg/分のメルトインデックスを有し得る。回転成形用途を目的とした中密度ポリエチレンポリマーは、約4dg/分から約7dg/分のメルトインデックスを有し得る。電線およびケーブル絶縁用途を目的とした中密度ポリエチレンポリマーは、約0.5dg/分から約3dg/分のメルトインデックスを有し得る。ポリマーのメルトインデックスは、ASTM標準D1238−04cを用いて測定される。
【0034】
本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、一般に有意の量の長鎖分枝を有しない。例えば、本発明における使用に適した中密度ポリエチレンポリマーは、一般に10,000個の炭素原子当たり約0.1未満の長鎖分枝(例えば、100個のエチレン単位当たり約0.002未満の長鎖分枝)または10,000個の炭素原子当たり約0.01未満の長鎖分枝を有する。
【0035】
本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、一般に0.925g/cm
3以下(例えば、約0.910g/cm
3から約0.925g/cm
3)の密度を有する。「線状低密度ポリエチレン」という用語は、高圧でエチレンのフリーラジカル重合によって製造された低密度ポリエチレンポリマー中に存在する長い分枝と少なくとも比較して、比較的に短い分枝を有するエチレンの比較的低い密度のポリマーを指すために使用される。
【0036】
本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは一般に、エチレンと、少なくとも1種のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンとのコポリマーである。α−オレフィンコモノマーは、任意の適切な量で存在し得るが、通常は約6モル%未満(例えば、約2モル%から約5モル%)の量で存在する。当業者によって理解されるように、コポリマーに適したコモノマーの量は、コポリマーの最終用途、およびその最終用途により左右される必要なまたは望ましいポリマー特性によって大きく動かされる。
【0037】
本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な方法によって製造され得る。高密度ポリエチレンポリマーのように、線状低密度ポリエチレンポリマーは、通常「低圧」触媒法、例えば、本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーに関連して上に記載された方法のいずれかで製造される。適切な方法には、限定されるものではないが、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法、よび段階的反応器法が含まれる。適切な段階的反応器法は、上に記載された気相、溶液、およびスラリー重合法の任意の適切な組合せを組み込み得る。高密度ポリエチレンポリマーと同様に、段階的反応器法は、多峰性ポリマーを製造するためにしばしば用いられる。
【0038】
本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な触媒または触媒の組合せを用いて製造され得る。例えば、このポリマーは、チーグラー触媒、例えば、有機アルミニウム化合物(例えば、トリエチルアルミニウム)と組み合わせて用いられる遷移金属(例えば、チタン)ハロゲン化物またはエステルを用いて製造され得る。これらのチーグラー触媒は、例えば、塩化マグネシウム、シリカ、アルミナ、または酸化マグネシウム上に担持され得る。本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、いわゆる「デュアルチーグラー触媒」を用いて製造することもでき、この触媒は、エチレンを1−ブテンに二量化するための触媒種の1種(例えば、チタンエステルとトリエチルアルミニウムの組合せ)、およびエチレンと生成した1−ブテンとの共重合のための別の触媒(例えば、塩化マグネシウム上に担持された塩化チタン)を含む。本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、酸化クロム触媒、例えば、クロム化合物をシリカ−チタニア担体上に堆積させ、得られた触媒を酸素と空気との混合物中で酸化し、次いで、その触媒を一酸化炭素で還元することによって製造されたものを用いて製造することもできる。これらの酸化クロム触媒は、通常は共触媒、例えば、トリアルキルホウ素またはトリアルキルアルミニウム化合物ととともに用いられる。酸化クロム触媒は、チーグラー触媒、例えば、チタンハロゲン化物系またはチタンエステル系の触媒とともに用いることもできる。本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、担持クロム触媒、例えば、高密度ポリエチレンの製造に適した触媒の検討で上に記載されたものを用いて製造することもできる。本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒を用いて製造することもできる。メタロセン触媒のいくつかの異なるタイプを用いることができる。例えば、メタロセン触媒は、ジルコニウム、チタン、またはハフニウムと2つのシクロペンタジエニル環とのビス(メタロセン)錯体およびメチルアルミノキサンを含み得る。高密度ポリエチレン製造に用いられる触媒と同様に、配位子は、様々な基(例えば、n−ブチル基)で置換され得るか、または架橋基で連結され得る。用いることができる別のクラスのメタロセン触媒は、ジルコニウムまたはチタンのビス(メタロセン)錯体と、パーフッ素化ホウ素芳香族化合物とから構成される。用いることができる第3のクラスのメタロセン触媒は、拘束幾何触媒と称され、シクロペンタジエニル環中の炭素原子の1個が、架橋基によって金属原子に連結されている、チタンまたはジルコニウムのモノシクロペンタジエニル誘導体を含む。これらの錯体は、それらをメチルアルミノキサンと反応させることによって、または非配位アニオン、例えば、B(C
6H
5)
4-またはB(C
6F
5)
3CH
3-とイオン錯体を形成させることによって活性化される。用いることができる第4のクラスのメタロセン触媒は、別の配位子、例えば、ホスフィンイミンまたは−O−SiR
3と組み合わせて1つのシクロペンタジエニル配位子を含む、遷移金属、例えば、チタンのメタロセン系錯体である。このクラスのメタロセン触媒も、メチルアルミノキサンまたはホウ素化合物で活性化される。本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンの製造における使用に適した他の触媒には、限定されるものではないが、米国特許第6,649,558号に開示された触媒が含まれる。
【0039】
本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な組成均一性を有することができ、これは、ポリマーのコポリマー分子中の分枝の均一性を記述するために使用される用語である。市販の線状低密度ポリエチレンポリマーの多くは、ポリマーの高分子量画分が、比較的少ししかα−オレフィンコモノマーを含まずかつ比較的少ししか分枝を有しない一方、ポリマーの低分子量画分は、比較的多量のα−オレフィンコモノマーを含みかつ比較的多量の分枝を有する、比較的低い組成均一性を有する。代替として、別の組の線状低密度ポリエチレンポリマーは、ポリマーの高分子量画分が、比較的多量のα−オレフィンコモノマーを含む一方、ポリマーの低分子量画分は、比較的に少ししかα−オレフィンコモノマーを含まない、比較的低い組成均一性を有する。ポリマーの組成均一性は、任意の適切な方法、例えば、昇温溶離分別法を用いて測定され得る。
【0040】
本発明における使用に適切な線状低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な分子量を有し得る。例えば、このポリマーは、約20,000g/モルから約250,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。当業者によって理解されるように、線状低密度ポリエチレンの適切な重量平均分子量は、ポリマーが予定される特定の用途または最終用途に少なくとも部分的に依存する。
【0041】
本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な多分散性も有し得る。市販の線状低密度ポリエチレンポリマーの多くは、比較的狭い分子量分布、したがって、比較的低い多分散性、例えば、約2から約5(例えば、約2.5から約4.5、または約3.5から約4.5)を有する。本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、多峰性(例えば、二峰性)分子量分布も有し得る。例えば、このポリマーは、比較的低い分子量を有する第1の画分および比較的高い分子量を有する第2の画分を有し得る。本発明における使用に適した高密度ポリエチレンポリマーと同様に、多峰性線状低密度ポリエチレンポリマー中の画分の重量平均分子量間の差は、任意の適切な量であり得る。実際には、重量平均分子量間の差は、2つの別個の分子量画分がゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて分解され得るほどに十分大きい必要はない。しかし、ある種の多峰性ポリマーでは、画分の重量平均分子量間の差は、2つ以上の別個のピークが、ポリマーについてのGPC曲線から分解され得るほどに十分大きいことができる。この文脈において、「別個の」という用語は、それぞれの画分に対応するGPC曲線の一部が、重ならないことを必ずしも意味するとは限らず、それぞれの画分の別個のピークがポリマーについてのGPC曲線から分解され得ることが単に意味される。本発明における使用に適した多峰性ポリマーは、任意の適切な方法を用いて製造され得る。上記のとおり、多峰性ポリマーは、段階的反応器法を用いて製造され得る。一つの適切な例は、一連の撹拌槽を組み込む段階的溶液法である。代替として、多峰性ポリマーは、そのそれぞれが異なる重量平均分子量を有するポリマーを製造するように設計される触媒の組合せを用いて、単一反応器中で製造され得る。
【0042】
本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切なメルトインデックスを有し得る。例えば、線状低密度ポリエチレンポリマーは、約0.01dg/分から約200dg/分のメルトインデックスを有し得る。重量平均分子量と同様に、当業者は、線状低密度ポリエチレンポリマーのための適切なメルトインデックスは、ポリマーが予定される特定の用途または最終用途に少なくとも部分的に依存することを理解する。したがって、例えば、ブロー成形用途または管用途を目的とした線状低密度ポリエチレンポリマーは、約0.01dg/分から約1dg/分のメルトインデックスを有し得る。フィルム用途を目的とした線状低密度ポリエチレンポリマーは、約0.5dg/分から約3dg/分のメルトインデックスを有し得る。射出成形用途を目的とした線状低密度ポリエチレンポリマーは、約6dg/分から約200dg/分のメルトインデックスを有し得る。回転成形用途を目的とした線状低密度ポリエチレンポリマーは、約4dg/分から約7dg/分のメルトインデックスを有し得る。電線およびケーブル絶縁用途を目的とした線状低密度ポリエチレンポリマーは、約0.5dg/分から約3dg/分のメルトインデックスを有し得る。ポリマーのメルトインデックスは、ASTM標準D1238−04cを用いて測定される。
【0043】
本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、一般に有意の量の長鎖分枝を有しない。例えば、本発明における使用に適した線状低密度ポリエチレンポリマーは、一般に10,000個の炭素原子当たり約0.1未満の長鎖分枝(例えば、100個のエチレン単位当たり約0.002未満の長鎖分枝)または10,000個の炭素原子当たり約0.01未満の長鎖分枝を有する。
【0044】
本発明における使用に適した低密度ポリエチレンポリマーは、一般に0.935g/cm
3未満の密度を有し、かつ高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび線状低密度ポリエチレンと対照的に、ポリマー中に比較的多量の長鎖分枝を有する。
【0045】
本発明における使用に適した低密度ポリエチレンポリマーは、エチレンホモポリマーまたはエチレンと極性コモノマーとのコポリマーのいずれかであり得る。適切な極性コモノマーには、限定されるものではないが、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸が含まれる。これらのコモノマーは、任意の適切な量で存在することができ、20重量%程度に高いコモノマー含有量が、ある種の用途に用いられる。当業者によって理解されるように、このポリマーに適切なコモノマーの量は、ポリマーのための最終用途、およびその最終用途により左右される必要なまたは望ましいポリマー特性によって大きく動かされる。
【0046】
本発明における使用に適した低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な方法を用いて製造され得るが、通常このポリマーは、高圧(例えば、約81から約276MPa)および高温(例えば、約130から約330℃)でエチレンのフリーラジカル開始重合によって製造される。任意の適切なフリーラジカル開始剤をこのような方法で用いることができ、過酸化物および酸素が最も一般的である。フリーラジカル重合機構は、ポリマー中の短鎖分枝、およびまた低密度ポリエチレンを他のエチレンポリマー(例えば、高密度ポリエチレンおよび線状低密度ポリエチレン)から区別する比較的高い度合いの長鎖分枝を生じさせる。この重合反応は、通常オートクレーブ反応器(例えば、撹拌オートクレーブ反応器)、管型反応器、または直列に位置づけられたこのような反応器の組合せで行われる。
【0047】
本発明における使用に適した低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切な分子量を有し得る。例えば、このポリマーは、約30,000g/モルから約500,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。当業者によって理解されるように、低密度ポリエチレンの適切な重量平均分子量は、ポリマーが予定される特定の用途または最終用途に、少なくとも部分的に依存する。例えば、ブロー成形用途を目的とした低密度ポリエチレンポリマーは、約80,000g/モルから約200,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。管用途を目的とした低密度ポリエチレンポリマーは、約80,000g/モルから約200,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。射出成形用途を目的とした低密度ポリエチレンポリマーは、約30,000g/モルから約80,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。フィルム用途を目的とした低密度ポリエチレンポリマーは、約60,000g/モルから約500,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。
【0048】
本発明における使用に適した低密度ポリエチレンポリマーは、任意の適切なメルトインデックスを有し得る。例えば、低密度ポリエチレンポリマーは、約0.2から約100dg/分のメルトインデックスを有し得る。上記のとおり、ポリマーのメルトインデックスは、ASTM標準D1238−04cを用いて測定される。
【0049】
上記のとおり、低密度ポリエチレンと他のエチレンポリマーとの主な差異の一つは、ポリマー内の比較的高い度合いの長鎖分枝である。本発明における使用に適した低密度ポリエチレンポリマーは、適切な量の長鎖分枝、例えば、10,000個の炭素原子当たり約0.01以上の長鎖分枝、10,000個の炭素原子当たり約0.1以上の長鎖分枝、10,000個の炭素原子当たり約0.5以上の長鎖分枝、10,000個の炭素原子当たり約1以上の長鎖分枝、または10,000個の炭素原子当たり約4以上の長鎖分枝を示し得る。本発明における使用に適した低密度ポリエチレンポリマー中に存在し得る長鎖分枝の最大範囲に厳格な制限はないが、低密度ポリエチレンポリマーの多くにおける長鎖分枝は、10,000個の炭素原子当たり約100未満の長鎖分枝である。
【0050】
この第2の態様において、添加剤組成物およびそのポリマーは、任意の適切な量で存在し得る。ある種の恐らくは好ましい態様において、ポリマー組成物中に存在する第1の粒子および金属水酸化物化合物の合わせた重量は、ポリマー組成物の全重量の約10%以上(例えば、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上)である。ポリマー組成物の難燃性は、一般に第1の粒子および金属水酸化物化合物の量を増加させるとともに増加するが、高レベルの粒子および金属水酸化物化合物は、望ましくない物理的特性を示す組成物をもたらし得る。したがって、ある種の恐らくは好ましい態様において、ポリマー組成物中に存在する第1の粒子および金属水酸化物化合物の合わせた重量は、ポリマー組成物の全重量の約90%以下(例えば、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、または約60%以下)である。したがって、ある種の恐らくは好ましい態様において、ポリマー組成物中に存在する第1の粒子および金属水酸化物化合物の合わせた重量は、ポリマー組成物の全重量の約25%から約75%(例えば、約30%から約70%)である。
【0051】
本発明のポリマー組成物は、難燃性を必要とする用途を目的とした物品の製造における使用に特によく適していると考えられる。例えば、本発明のポリマー組成物は、電線およびケーブル用途で用いられるコーティング(例えば、絶縁層)の製造ならびに建築物および建設産業で用いられるルーフィングおよびサイディングにおける使用に特によく適していると考えられる。
【0052】
例1
この例は、本発明による添加剤組成物およびポリマー組成物の調製およびそれらによって示される物理的特性を実証する。25種のポリプロピレンポリマー組成物を、約500ppmのIrganox(登録商標)1010および約1,000ppmのIrgafos(登録商標)168で安定化されている市販の反応生成フレーク(reactor flake)中インパクトコポリマーのポリプロピレン樹脂(LyondellBasell Pro−fax SD375Sポリプロピレン樹脂)を用いて調製した。以下の表1に示した量のオキシ硫酸マグネシウム粒子(Milliken & Company製Hyperform(登録商標)HPR−803強化剤)および/または水酸化マグネシウム粒子(Huber製Vertex(登録商標)60HST)をそのポリプロピレン樹脂とブレンドすることによって、ポリマー組成物を調製した。
【0053】
特に、オキシ硫酸マグネシウム粒子および/または水酸化マグネシウム粒子を含有する試料を配合し、Leistritz27mm共回転二軸押出機でペレット化した。それぞれの場合に、樹脂を押出機スロート(ゾーン0)中に供給した一方、オキシ硫酸マグネシウム粒子および/または水酸化マグネシウム粒子をゾーン3中に下流に側方供給した。オキシ硫酸マグネシウム粒子と水酸化マグネシウム粒子の両方を含有する試料について、側方供給前にオキシ硫酸マグネシウム粒子および金属水酸化物粒子を一緒に均一な粉末混合物にタンブルブレンドした。ゾーン3スタッファ中への供給速度は、粗オーガー供給スクリューを備えたK−Tron20mm二軸重力式フィーダーによって制御した。ホッパーは、4ブレード撹拌機を備えていた。溶融ポリマー組成物を、3ホールダイを通して押し出し、水浴中でクエンチし、ブロー乾燥させ、ストランドをペレット化した。
【0054】
次いで、得られたポリマー組成物を試験して、それぞれのポリマー組成物により示されるメルトフローレート(MRF)を決定した。特に、それぞれのポリマー組成物のメルトフローレートは、230℃で2.16kg荷重を用いてASTM D1238に記載された手順に従って決定した。
【0055】
次いで、得られたポリマー組成物の一部を、フラット230℃バレルプロファイルを用いて40トンArburgプレス上で127mm×12.7mm×3.2mmの公称寸法を有するASTMバーに射出成形した。次いで、得られたバーをASTM D790−10手順Bに従って試験して、それぞれのポリマー組成物によって示される曲げ特性(具体的には、MPaで表される1%割線係数)を決定した。得られたバーも、ASTM D648−07法Bに従って試験して、それぞれのポリマー組成物によって示される熱撓み温度(℃で表した)を決定した。
【0056】
得られたポリマー組成物の一部をまた、長さ154mm(±2mm)、幅100mm(±1mm)、および厚さ3.2mm(±0.03mm)を有するプラークに射出成形した。次いで、これらのプラークを用いて、ISO3795に従ってポリマー組成物の水平燃焼性を試験した。
【0057】
メルトフローレート試験、曲げ試験、熱撓み試験(HDT)、および水平燃焼性(Hor.Flam.)試験の結果を、以下の表1に報告する。表1はまた、それぞれのポリマー組成物を調製するために用いたオキシ硫酸マグネシウム粒子の量(HPR重量%)および水酸化マグネシウム粒子の量(MDH重量%)も報告する。
【表1】
【0058】
表1に示した結果からわかるように、オキシ硫酸マグネシウム粒子と水酸化マグネシウム粒子の組合せを含有するポリマー組成物は、良好な曲げ特性と、高い熱撓み温度と、低い水平燃焼性との望ましい組合せを示した。本出願人らは、オキシ硫酸マグネシウム粒子が、オキシ硫酸マグネシウム粒子および水酸化マグネシウム粒子の合わせた全重量の約20%以上を構成する、20重量%を超える(例えば、35重量%以上)の全賦形剤含有量を有するポリマー組成物において、これらの利益がとりわけ顕著であると考える。さらに、本出願人らは、これらの結果は、オキシ硫酸マグネシウム粒子と水酸化マグネシウム粒子の組合せを含有するポリマー組成物が、オキシ硫酸マグネシウム粒子または水酸化マグネシウム粒子が単独で用いられる場合に必要とされるよりも低い全賦形剤充填で、望ましい特徴の組合せを達成することができることを実証すると考える。
【0059】
例2
この例は、本発明による添加剤組成物およびポリマー組成物の調製ならびにそれらによって示される物理的特性を実証する。13種のポリエチレンポリマー組成物を、市販の0.952g/cm
3の密度を有する高密度ポリエチレン樹脂(ExxonMobil6719)を用いて調製した。以下の表2に示す量のオキシ硫酸マグネシウム粒子(Milliken & Company製Hyperform(登録商標)HPR−803強化剤)および/または水酸化アルミニウム粒子(Albemarle製Martinal OL−104 LEO)をそのポリエチレン樹脂とブレンドすることによって調製した。
【0060】
特に、オキシ硫酸マグネシウム粒子および/または水酸化アルミニウム粒子を含有する試料を配合し、Leistritz27mm共回転二軸押出機上でペレット化した。それぞれの場合に、樹脂を押出機スロート(ゾーン0)に供給した一方、オキシ硫酸マグネシウム粒子および/または水酸化アルミニウム粒子をゾーン3中に下流に側方供給した。オキシ硫酸マグネシウム粒子と水酸化アルミニウム粒子の両方を含有する試料について、側方供給前にオキシ硫酸マグネシウム粒子および水酸化アルミニウム粒子を一緒に均一な粉末混合物にタンブルブレンドした。ゾーン3スタッファ中への供給速度は、粗オーガー供給スクリューを備えたK−Tron20mm二軸重力式フィーダーによって制御した。ホッパーは、4ブレード撹拌機を備えていた。溶融ポリマー組成物を、3ホールダイを通して押し出し、水浴中でクエンチし、ブロー乾燥させ、ストランドをペレット化した。
【0061】
次いで、得られたポリマー組成物を試験して、それぞれのポリマー組成物により示されるメルトフローレート(MRF)を決定した。特に、それぞれのポリマー組成物のメルトフローレートは、190℃で2.16kg荷重を用いてASTM D1238に記載された手順に従って決定した。
【0062】
次いで、得られたポリマー組成物の一部を、フラット175℃バレルプロファイルを用いて40トンArburgプレス上で127mm×12.7mm×3.2mmの公称寸法を有するASTMバーに射出成形した。次いで、得られたバーをASTM D790−10手順Bに従って試験して、それぞれのポリマー組成物によって示される曲げ特性(具体的には、MPaで表される1%割線係数)を決定した。得られたバーをまた、ASTM D648−07法Bに従って試験して、それぞれのポリマー組成物によって示される熱撓み温度(℃で表した)を決定した。
【0063】
得られたポリマー組成物の一部をまた、長さ154mm(±2mm)、幅100mm(±1mm)、および厚さ3.2mm(±0.03mm)を有するプラークに射出成形した。次いで、これらのプラークを用いて、ISO3795に従ってポリマー組成物の水平燃焼性を試験した。
【0064】
メルトフローレート試験、曲げ試験、熱撓み試験(HDT)、および水平燃焼性(Hor.Flam.)試験の結果を、以下の表2に報告する。表2はまた、それぞれのポリマー組成物を調製するために用いたオキシ硫酸マグネシウム粒子の量(%HPR)および水酸化アルミニウム粒子の量(%ATH)も報告する。
【表2】
【0065】
表2に示した結果からわかるように、オキシ硫酸マグネシウム粒子と水酸化マグネシウム粒子の組合せを含有するポリマー組成物は、良好な曲げ特性と、高い熱撓み温度と、低い水平燃焼性との望ましい組合せを示した。本出願人らは、これらの利益が、20重量%を超える(例えば、35重量%以上の)全賦形剤含有量を有するポリマー組成物においてとりわけ顕著であると考える。さらに、本出願人らは、これらの結果は、オキシ硫酸マグネシウム粒子と水酸化マグネシウム粒子の組合せを含有するポリマー組成物が、オキシ硫酸マグネシウム粒子または水酸化アルミニウム粒子が単独で用いられる場合に必要とされるよりも低い全賦形剤充填で、望ましい特徴の組合せを達成することができることを実証すると考える。
【0066】
本明細書で引用された刊行物、特許出願、および特許を含む参考文献のすべては、あたかもそれぞれの参考文献が、参照により組み込まれるべく個別にかつ具体的に示され、かつ本明細書でその全体が示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
この出願の主題を記載する文脈において(とりわけ、以下の特許請求の範囲の文脈において)「一つの(a)」および「一つの(an)」および「その(the)」の用語ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書で特に断りのない限りまたは文脈により明らかに矛盾しない限り、その単数形および複数形の両方に及ぶと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」の用語は、特に断りのない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、それらに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書で特に断りのない限り、本明細書での値の範囲の列挙は、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を別個に指す簡便な方法として役立つことが単に意図され、それぞれ別個の値は、あたかもそれが本明細書で別個に列挙されるように明細書中に組み込まれる。本明細書で記載される方法のすべては、本明細書で特に断りのない限りまたは文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書で与えられる任意のおよびすべての例、または例示的な言葉遣い(例えば、「など」)の使用は、本出願の主題をよりよく明らかにすることが単に意図され、特に断りのない限り、本主題の範囲に限定を課さない。明細書中の言葉遣いは、任意の特許請求に記載されない要素を、本明細書で記載される主題の実施に不可欠として示すと解釈されるべきでない。
【0068】
この出願の主題の好ましい態様は、特許請求の範囲に記載された主題を実施するために本発明者らに知られたベストモードを含めて、本明細書で記載される。それらの好ましい態様の変形は、上述の説明を読むと当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を必要に応じて用いることを予想し、本発明者らは、本明細書で記載された主題が、本明細書で具体的に記載されたものとは別に実施されることを意図する。したがって、この開示は、適用法により許容されるように本明細書に添付された特許請求の範囲で列挙される主題の変更および等価物のすべてを含む。さらに、それらの可能な変形のすべてにおける上記要素の任意の組合せは、本明細書で特に断りのない限りまたはそうでなければ文脈により明らかに矛盾しない限り、本開示によって包含される。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
(a)複数の第1の粒子であって、オキシ硫酸マグネシウム化合物を含む第1の粒子と
(b)金属水酸化物化合物と
を含む添加剤組成物であって、
前記添加剤組成物中に存在する前記第1の粒子の重量が、前記添加剤組成物中に存在する前記第1の粒子および前記金属水酸化物化合物の合わせた全重量の約15%以上であり、前記添加剤組成物が、前記添加剤組成物の全重量に基づいて1重量%未満の赤リンを含有する、添加剤組成物。
[2]
前記粒子が、5Mg(OH)2・MgSO4・3H2O;5Mg(OH)2・MgSO4・2H2O;3Mg(OH)2・MgSO4・8H2O;Mg(OH)2・MgSO4・5H2O;Mg(OH)2・2MgSO4・3H2O;およびそれらの混合物からなる群から選択されるオキシ硫酸マグネシウム化合物を含む、[1]に記載の添加剤組成物。
[3]
前記粒子の少なくとも一部がホイスカーの形態であり、前記ホイスカーが約7以上の平均アスペクト比を有する、[1]または[2]に記載の添加剤組成物。
[4]
前記金属水酸化物化合物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]〜[3]のいずれか一に記載の添加剤組成物。
[5]
前記金属水酸化物化合物が水酸化マグネシウムである、[4]に記載の添加剤組成物。
[6]
前記金属水酸化物化合物が水酸化アルミニウムである、[4]に記載の添加剤組成物。
[7]
前記添加剤組成物中に存在する前記第1の粒子の重量が、前記添加剤組成物中に存在する前記第1の粒子および前記金属水酸化物化合物の合わせた全重量の約20%以上である、[1]〜[6]のいずれか一に記載の添加剤組成物。
[8]
前記添加剤組成物が、前記添加剤組成物の全重量に基づいて、0.3重量%未満の赤リンを含有する、[1]〜[7]のいずれか一に記載の添加剤組成物。
[9]
(a)ポリマーと、
(b)複数の第1の粒子であって、オキシ硫酸マグネシウム化合物を含む粒子と、
(c)金属水酸化物化合物と
を含むポリマー組成物であって、
前記ポリマー組成物中に存在する前記第1の粒子の重量が、前記ポリマー組成物中に存在する前記第1の粒子および前記金属水酸化物化合物の合わせた全重量の約15%以上であり、前記ポリマー組成物が、前記ポリマー組成物の全重量に基づいて1重量%未満の赤リンを含有する、ポリマー組成物。
[10]
前記ポリマーが熱可塑性ポリマーである、[9]に記載のポリマー組成物。
[11]
前記熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである、[10]に記載のポリマー組成物。
[12]
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[11]に記載のポリマー組成物。
[13]
前記ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[9]に記載のポリマー組成物。
[14]
前記粒子が、5Mg(OH)2・MgSO4・3H2O;5Mg(OH)2・MgSO4・2H2O;3Mg(OH)2・MgSO4・8H2O;Mg(OH)2・MgSO4・5H2O;Mg(OH)2・2MgSO4・3H2O;およびそれらの混合物からなる群から選択されるオキシ硫酸マグネシウム化合物を含む、[9]〜[13]のいずれか一に記載のポリマー組成物。
[15]
前記粒子の少なくとも一部がホイスカーの形態であり、前記ホイスカーが約7以上の平均アスペクト比を有する、[9]〜[14]のいずれか一に記載のポリマー組成物。
[16]
前記金属水酸化物化合物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[9]〜[15]のいずれか一に記載のポリマー組成物。
[17]
前記金属水酸化物化合物が水酸化マグネシウムである、[16]に記載のポリマー組成物。
[18]
前記金属水酸化物化合物が水酸化アルミニウムである、[16]に記載のポリマー組成物。
[19]
前記ポリマー組成物中に存在する前記第1の粒子の重量が、前記ポリマー組成物中に存在する前記第1の粒子および前記金属水酸化物化合物の合わせた全重量の約20%以上である、[9]〜[18]のいずれか一に記載のポリマー組成物。
[20]
前記ポリマー組成物が、前記ポリマー組成物の全重量に基づいて、0.3重量%未満の赤リンを含有する、[9]〜[19]のいずれか一に記載のポリマー組成物。
[21]
前記ポリマー組成物中に存在する前記第1の粒子および前記金属水酸化物化合物の合わせた重量が、前記ポリマー組成物の全重量の約25%から約75%である、[9]〜[20]のいずれか一に記載のポリマー組成物。
[22]
前記ポリマー組成物中に存在する前記第1の粒子および前記金属水酸化物化合物の合わせた重量が、前記ポリマー組成物の全重量の約30%から約70%である、[21]に記載のポリマー組成物。