(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774726
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】同調不能な従来型ONUを備えるWDMPON
(51)【国際特許分類】
H04B 10/272 20130101AFI20150820BHJP
H04J 14/00 20060101ALI20150820BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
H04B9/00 272
H04B9/00 E
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-552902(P2013-552902)
(86)(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公表番号】特表2014-507095(P2014-507095A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】EP2012051520
(87)【国際公開番号】WO2012107321
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】11290084.0
(32)【優先日】2011年2月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポールマン,ボルフガング
(72)【発明者】
【氏名】フアイフアー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘロン,ロナルド
【審査官】
前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0050119(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0267627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/272
H04J 14/00
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動光ネットワーク(200)用のメディアアクセス制御装置であって、
受動光ネットワーク(200)が、第1の波長帯用の受信機を備える第1の光回線終端装置(201)と、第1の波長帯に隣接する第2の波長帯用の受信機を備える第2の光回線終端装置(202)と、第1の波長帯と第2の波長帯の間でドリフトする送信機波長を有する送信機を備える光ネットワークユニット(101)とを含み、
メディアアクセス制御装置が、光ネットワークユニット(101)によって伝送される光バーストが第1の光回線終端装置(201)および第2の光回線終端装置(202)によって受け取られるように、光ネットワークユニット(101)を第1の光回線終端装置(201)および第2の光回線終端装置(202)に割り当てるように構成されており、
メディアアクセス制御装置が、第1の光回線終端装置(201)が受け取った光バーストの第1の品質を判定するように構成されており、
メディアアクセス制御装置が、第2の光回線終端装置(202)が受け取った光バーストの第2の品質を判定するように構成されており、
メディアアクセス制御装置が、送信機波長の推定値を、第1の品質および第2の品質に基づいて決定するように構成されている、
メディアアクセス制御装置。
【請求項2】
割り当てることが、
光ネットワークユニット(101)から第1の光回線終端装置(201)および第2の光回線終端装置(202)へのそれぞれのアップリンクにおける対応するタイムスロットを確保することを含む、請求項1に記載のメディアアクセス制御装置。
【請求項3】
第1の品質および/または第2の品質がビット誤り率である、請求項1または2に記載のメディアアクセス制御装置。
【請求項4】
第1の品質および/または第2の品質が、第1の光回線終端装置(201)および/または第2の光回線終端装置(202)が受け取った光バーストの、ビットパリティおよび/または前方誤り訂正符号および/または受信信号強度指標に基づいて判定される、請求項1から3のいずれか一項に記載のメディアアクセス制御装置。
【請求項5】
第1の光回線終端装置(201)が受け取った光バーストの第1の部分を、第1の品質に基づいて選択し、
第2の光回線終端装置(202)が受け取った光バーストの第2の部分を、第2の品質に基づいて選択し、
第1の部分および第2の部分から再構成される光バーストを決定する
ようにさらに構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載のメディアアクセス制御装置。
【請求項6】
光バーストの長さを、送信機波長の決定された推定値に応答して修正する
ようにさらに構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載のメディアアクセス制御装置。
【請求項7】
光バーストの長さが、プリアンブルを光バーストに挿入することによって増加する、請求項6に記載のメディアアクセス制御装置。
【請求項8】
送信機波長の推定値が第2の波長帯から所定の波長距離にあることを判定し、
光ネットワークユニット(101)の第2の光回線終端装置(202)への割り当てを終了する
ようにさらに構成された、請求項1から7のいずれか一項に記載のメディアアクセス制御装置。
【請求項9】
第1の波長帯用の受信機を備える第1の光回線終端装置(201)と、
第1の波長帯に隣接する第2の波長帯用の受信機を備える第2の光回線終端装置(202)と、
第1の波長帯と第2の波長帯の間でドリフトする送信機波長を有する送信機を備える光ネットワークユニット(101)と、
請求項1から8のいずれか一項に記載のメディアアクセス制御装置と
を含む、受動光ネットワーク(200)。
【請求項10】
第1の波長帯用の第1の通過帯域フィルタ(302)と、
第2の波長帯用の第2の通過帯域フィルタ(303)とをさらに含み、第1のフィルタ(302)および第2のフィルタ(303)が、第1の波長帯または第2の波長帯のいずれかにおける光バーストの減衰が所定の値未満となるように、第1の波長帯を第2の波長帯から隔離するように設計されている、
請求項9に記載の受動光ネットワーク(200)。
【請求項11】
所定の値が、通過帯域減衰に3dBを加えた値である、請求項10に記載の受動光ネットワーク(200)。
【請求項12】
第1の波長帯および第2の波長帯が、波長分割多重化受動光ネットワークの波長分割多重化チャネルであり、かつ/または
光ネットワークユニットが、同調不能な光ネットワークユニットであり、かつ/または
受動光ネットワーク(200)が、波長組分割多重化受動光ネットワーク(200)であり、かつ/または
第1の波長帯および第2の波長帯の幅が50GHzである、
請求項9から11のいずれか一項に記載の受動光ネットワーク(200)。
【請求項13】
同調不能な光ネットワークユニット(101)を受動光ネットワーク(200)内で動作させるための方法であって、受動光ネットワーク(200)が、第1の波長帯用の受信機を備える第1の光回線終端装置(201)と、第1の波長帯に隣接する第2の波長帯用の受信機を備える第2の光回線終端装置(202)と、第1の波長帯と第2の波長帯の間でドリフトする送信機波長を有する送信機を備える光ネットワークユニット(101)とを含み、方法が、
光ネットワークユニット(101)によって伝送される光バーストが、第1の光回線終端装置(201)および第2の光回線終端装置(202)によって受け取られるように、光ネットワークユニット(101)を第1の光回線終端装置(201)および第2の光回線終端装置(202)に割り当てるステップと、
第1の光回線終端装置(201)が受け取った光バーストの第1の品質を判定するステップと、
第2の光回線終端装置(202)が受け取った光バーストの第2の品質を判定するステップと、
送信機波長の推定値を、第1の品質および第2の品質に基づいて決定するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、光伝送システムに関する。詳細には、本文書は、同調可能な(tunable)光ネットワークユニット(ONU)と、同調不能な(non−tunable)ONUの、たとえば波長分割多重(WDM)PONなどの受動光ネットワーク(PON)内での共存を可能にするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WDM PONにおいては、送信機の波長を特定の光学フィルタの通過帯域に調節するために、同調可能なレーザーがONUおよび光回線終端装置(OLT)内で使用される。同調不能な従来のレーザーは、通常、そのようなWDM PON内では使用できない。これは、その波長が制御されず、したがって温度変化によってドリフトするためである。結果的に、顧客の敷地に設置された従来型ONUの同調不能なレーザーは、WDM PON内において使用することができない。本文書には、WDM PON内において、同調不能なレーザーの使用、すなわち制御されていない送信機の使用を可能にするための方法およびシステムが記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様によれば、受動光ネットワーク用のメディアアクセス制御装置が記載される。受動光ネットワーク(PON)は、第1の波長帯用の受信機を備える第1の光回線終端装置(OLT)を含む。第1の波長帯は、WDM PONの第1のWDMチャネルであってもよい。さらに、PONは、第2の波長帯用の受信機を備える第2の光回線終端装置を含み得る。第2の波長帯は、WDM PONの第2のWDMチャネルであってもよい。第2の波長帯は、第1の波長帯に隣接していることがある。具体的には、第1および第2のWDMチャネルが、WDM PON内の隣接する、すなわち、近傍のWDMチャネルである場合がある。また、PONは、第1の波長帯と第2の波長帯の間でドリフトする送信機波長を有する送信機を備えた、たとえば同調不能なONUなどの光ネットワークユニット(ONU)を含んでいてもよい。したがって、送信機波長は、第1および/または第2の波長帯からの任意の値をとり得る。
【0004】
メディアアクセス制御装置は、光ネットワークユニットによって伝送される光バーストが、第1の光回線終端装置および第2の光回線終端装置によって受け取られるように、光ネットワークユニットを第1および第2の光回線終端装置に割り当てるように構成されていてもよい。言い換えれば、制御装置は、ONUを近傍のOLT両方に同時に割り当てるように構成されていてもよく、それによって、ONUが、近傍のOLT両方が同時に受け取る光バーストを伝送することを可能にする。ONUの割り当ては、光ネットワークユニットから第1および第2の光回線終端装置へのそれぞれのアップリンクにおいて対応するタイムスロットを確保または獲得(attributing)することを含み得る。これは、光バーストが、第1のOLTのアップリンクのタイムスロット内および第2のOLTのアップリンクのタイムスロット内で同時に伝送されるはずであることを意味する。
【0005】
メディアアクセス制御装置は、第1の光回線終端装置が受け取った光バーストの第1の品質を判定し、かつ/または第2の光回線終端装置が受け取った光バーストの第2の品質を判定するように構成されていてもよい。第1の品質および/または第2の品質は、ONUによって光バースト内で伝送されるデータのビット誤り率であってもよい。具体的には、第1の品質および/または第2の品質は、第1および/または第2の光回線終端装置が受け取った光バーストに含まれるデータの、ビットパリティ(bit parity)もしくはビットインターフェースパリティ(bit interface parity)および/または前方誤り訂正符号および/または受信信号強度指標に基づいて判定されてもよい。
【0006】
メディアアクセス制御装置は、第1の光回線終端装置が受け取った光バーストの第1の部分を、第1の品質に基づいて選択し、かつ/または第2の光回線終端装置が受け取った光バーストの第2の部分を、第2の品質に基づいて選択するように構成されていてもよい。具体的には、制御装置は、第2の光回線終端装置が受け取った光バーストの対応する部分よりも高い品質を有する、第1の光回線終端装置が受け取った光バーストの第1の部分を特定するように構成されていてもよい。同様に、制御装置は、第1の光回線終端装置が受け取った光バーストの対応する部分よりも高い品質を有する、第2の光回線終端装置が受け取った光バーストの第2の部分を特定するように構成されていてもよい。第1および第2の部分が光バーストの全体を構成することができる。続いて、制御装置は、第1および第2の部分から再構成される光バーストを決定するように構成されていてもよい。
【0007】
メディアアクセス制御装置は、第1の品質および第2の品質に基づいて、送信機波長の推定値を決定するように構成されていてもよい。具体的には、制御装置は、送信機波長が第1の波長帯と第2の波長帯の間の遷移範囲内または境界範囲内にあることを判定するように構成されていてもよい。制御装置は、第1の品質の第2の品質に対する比を、第1の波長帯の中心波長の第2の波長帯の中心周波数に対する比と比較することによって、推定値を決定することができる。
【0008】
代替または追加として、メディアアクセス制御装置は、光ネットワークユニットの温度を判定するように構成されていてもよい。この目的のために、ONUは、温度センサを備えていてもよく、メディアアクセス制御装置は、ONUの温度センサから温度データを読み出すように構成されていてもよい。ONUの温度についての、おそらくは第1の品質および/または第2の品質に関する情報と組み合わせた知識によって、メディアアクセス制御装置は、送信機波長の推定値を決定できるようになり得る。
【0009】
送信機波長についての上記の知識を得て、メディアアクセス制御装置は、送信機波長の決定された推定値に応答して光バーストの長さを修正するように構成されていてもよい。光バーストの長さは、プリアンブルを光バーストに挿入することによって増加させることができる。光バーストの長さの修正は、光バーストの伝送中にONUの温度上昇を制御するために使用され得る。温度の上昇を制御することによって、送信機波長を制御することができる。一例として、推定された送信機波長が境界範囲内にあることを判定することができる。光バーストの長さを修正することによって、送信機波長は、ドリフトが境界範囲の外になるように制限され得る。
【0010】
メディアアクセス制御装置は、送信機波長の推定値が第2の波長帯から所定の波長距離にあることを判定するように構成されていてもよい。そのような判定の結果、制御装置は、光ネットワークユニットの第2の光回線終端装置への割り当てを終了してもよい。言い換えれば、制御装置は、送信機波長が第2の波長帯から十分に離れていると判定した場合、第1および第2のOLTの両方への割り当てを終了するように構成されていてもよい。したがって、制御装置は、送信機波長が、第1の波長帯と第2の波長帯の間の遷移範囲または境界範囲にある場合のみ、両方への割り当てを利用するように構成されていてもよい。
【0011】
さらなる態様によれば、受動光ネットワーク(PON)が記載される。既に検討したように、PONは、第1の波長帯用の受信機を備える第1の光回線終端装置、および/または第1の波長帯に隣接する第2の波長帯用の受信機を備える第2の光回線終端装置、および/または第1の波長帯と第2の波長帯の間でドリフトする送信機波長を有する送信機を備える光ネットワークユニットを含み得る。さらに、PONは、本文書に概要を示した態様のいずれかによるメディアアクセス制御装置を含み得る。
【0012】
具体的には、PONはWDM PONであってもよく、第1の波長帯および第2の波長帯は、波長分割多重化受動光ネットワークの波長分割多重化チャネルであってもよい。特に、第1の波長帯および第2の波長帯の幅は50GHzであり得る。受動光ネットワークは、波長組分割多重化受動光ネットワークであってもよい。
【0013】
受動光ネットワークは、第1の波長帯用の第1の通過帯域フィルタと、第2の波長帯用の第2の通過帯域フィルタとを含んでいてもよい。第1および第2の通過帯域フィルタは、第1の波長帯または第2の波長帯のいずれかにおける光バーストの減衰が所定の値未満となるように、第1の波長帯を第2の波長帯から隔離するように設計され得る。言い換えれば、第1および第2の通過帯域フィルタは、光バーストが、第1および第2の波長帯にある任意の送信機波長についての所定の値未満だけ減衰されるように設計され得る。同時に、第1の通過帯域フィルタは、第2の波長帯からの隔離をもたらすことができ、第2の通過帯域フィルタは、第1の波長帯からの隔離をもたらすことができる。所定の値は、通過帯域減衰、すなわち、第1および/または第2の通過帯域フィルタの通過帯域内の光信号の減衰を超えるある値であり得る。一例として、所定の値は、通過帯域減衰に3dBの追加の減衰を加えた値であり得る。
【0014】
別の態様によれば、同調不能な光ネットワークユニットを受動光ネットワーク内で動作させるための方法が記載される。上述のように、受動光ネットワークは、第1の波長帯用の受信機を備える第1の光回線終端装置と、第1の波長帯に隣接する第2の波長帯用の受信機を備える第2の光回線終端装置と、第1の波長帯と第2の波長帯の間でドリフトする送信機波長を有する送信機を備える光ネットワークユニットとを含み得る。方法は、光ネットワークユニットによって伝送される光バーストが、第1の光回線終端装置および第2の光回線終端装置によって受け取られるように、光ネットワークユニットを第1および第2の光回線終端装置に割り当てるステップを含み得る。
【0015】
さらなる態様によれば、ソフトウェアプログラムが記載される。ソフトウェアプログラムは、コンピューティングデバイスで実行されたときに、プロセッサ上で実行し、かつ本文書に概要を示した態様および特徴を実施するように構成された命令として、コンピュータ可読媒体(有形であっても、持続性(non−transitory)であってもよい)に格納されていてもよい。
【0016】
別の態様によれば、ソフトウェアプログラムを含んだ記憶媒体が記載される。記憶媒体は、記憶装置(たとえば、RAM、ROMなど)、光学媒体、磁気媒体などであってもよい。ソフトウェアプログラムは、コンピューティングデバイスで実行されたときに、プロセッサ上で実行し、かつ本文書に概要を示した態様および特徴を実施するように構成されていてもよい。
【0017】
さらなる態様によれば、コンピュータプログラム製品が記載される。コンピュータプログラム製品は、コンピューティングデバイスで実行されたときに、本文書に概要を示した態様および特徴を実施するための実行可能な命令を含むことができる。
【0018】
本特許出願において概要を示した好ましい実施形態を包含する方法およびシステムは、独立に使用されてもよいし、本文書に開示された他の方法およびシステムと組み合わせて使用されてもよいことに留意されたい。さらに、本特許出願において概要を示した方法およびシステムのすべての態様は、任意に組み合わされてもよい。特に、各請求項の特徴は、任意の様式で互いに組み合わされてもよい。
【0019】
特許請求される主題は、添付の図面を参照しながら、以下に例示的な様態で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】例示的なPONネットワークを示す図である。
【
図2】周回性波長分割多重化装置(cyclic wavelength division multiplexer)を使用する例示的なWDM PONネットワークを示す図である。
【
図4】複数のOLTが受け取った例示的な光バーストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
PONは典型的には、単一の光ファイバが通常32から128箇所までの複数の敷地にサービス提供することを可能にするために、電源が供給されない受動光スプリッタが使用される、ポイントツーマルチポイントのFTTP(fiber to the premises)ネットワークアーキテクチャである。PONは、サービスプロバイダの中央局にある光回線終端装置または光回線端末(OLT)およびエンドユーザ側のいくつかの光ネットワークユニット(ONU)または光ネットワーク終端装置(ONT)を含む。PON構成によって、ポイントツーポイント(PTP)のアーキテクチャと比較して必要とされるファイバおよび中央局機器の量が少なくなる。
【0022】
PONにおけるダウンストリームの信号は、単一の供給ファイバを共有する各敷地に同報通信される。アップストリームの信号は、メディアアクセス制御(MAC)プロトコルを使用し、時分割多元接続(TDMA)に基づいて合成される。OLTは、タイムスロット割り当てをアップストリームの通信に行うために、サービス提供されるONTまたはONUを構成する。
【0023】
図1は、ユーザネットワークインターフェース(UNI)を設けた光ネットワークユニット(ONU)または光ネットワーク終端装置(ONT)101を含む例示的なPONネットワーク100を示す。ONU101は、光合分波器によって実装され得る光分配ネットワーク(Optical Distribution Network)(ODN)102に接続される。たとえば光ファイバなどの光幹線(OTL)103を介して、ONU101は光回線終端装置(OLT)104に接続される。上述のように、OLT104は、時間多重化された光バーストを、アップストリームのリンクを介して複数のONU101から受け取る。
【0024】
波長分割多重方式のPON(WDM−PON)は、PONシステムの容量を増加させるために使用され得る。WDM−PONの複数の波長は、光ネットワークユニット(ONU)の個々またはそれらの集まりを、同じ物理的インフラストラクチャ上に共存するいくつかの仮想PONに分けることができる。通常、WDMシステムのある波長は、中央局のOLT(光回線終端装置)から1つまたは複数のONUへのダウンストリームの通信に使用され、WDMシステムの別の波長は、1つまたは複数のONUからOLTへのアップストリームの通信に使用される。ダウンストリームおよびアップストリームの通信は、同じファイバ上で行われてもよいし、別々のファイバ上で行われてもよい。
【0025】
図2は、複数のONU211、212、213、214、215、216および複数のOLTを含む例示的なWDM PONネットワーク200を示す。
図2は、複数の対応するOLTをもつ複数の受信機201、202、203、204があるアップストリームの状況を示す。ダウンストリームのトラフィックは、中央局(CO)のWDM送信機205によって操作される。WDM PONネットワークは、光供給器(たとえば、光ファイバ)222および出力分配用の光分配ネットワークまたは遠隔ノード(RN)221(たとえば、光出力スプリッタ)をさらに含む。
【0026】
図2の例示的なWDM PONネットワーク200は、異なるWDM波長を波長の組にまとめることを可能にする周回性波長分割多重化装置205を含み、その組の中の波長は、基礎となるWDMグリッドの倍数分(たとえば、50GHzグリッドの倍数分)の間隔があいている。図示の例では、1から4の周回性波長多重化装置205が示されており、それによって、基礎となるWDMグリッドの4倍だけ(たとえば、200GHzだけ)の間隔があいた波長の組が生み出される。周回性波長多重化装置205の使用は、加熱器で同調可能なDFB(分布帰還)レーザーをONU211、…、216内で使用するときに有益であり得る。
【0027】
本文書は、たとえばXG PON ONUなどの、同調不能な従来型ONUと、たとえば加熱器で同調可能なXG PON ONUなどの、同調可能なONUとの、波長分割多重化PON内での共存という具体的な問題に対処する。本明細書において概要を示した方法およびシステムは、波長組分割多重化方式(WSDM)のPONネットワークに関して特に有益であるが、概してWDM PONに使用され得る。
【0028】
以下の説明は、
図2に示したWSDM PONに基づいている。すなわち、4つの波長組を使用するWSDM PONに基づいている。しかしながら、ここで概要を示すシステムおよび方法は、WDM PONの任意の変形に適用可能であってもよいことに留意されたい。
【0029】
WSDM PON200内の同調可能なONU211、…、216は通常、WDMシステム内の特定のチャネルに、すなわち特定の波長に割り当てられる。特定のチャネルまたは特定の波長は、WDM PON内の特定のPONを制御する特定のOLTに割り当てられる。言い換えれば、同調可能なONU211、…、216は、特定のOLTによって制御される特定のPONに割り当てられる。
【0030】
同調可能なONUとは対照的に、従来型の同調されないONUは、異なるチャネルにまたがってドリフトする傾向がある。言い換えれば、同調されないONUは、そのレーザーの周波数または波長を変更し、したがって、変動するWDMチャネルで送信する。波長の変化は、光バーストの伝送中の、レーザーの温度変化に起因し得る。典型的なレーザーは、そのレーザー波長を約0.08nm/Kの勾配で変化させる。すなわち、レーザー波長は、温度が1K(ケルビン)上昇するごとに約0.08nm増加する。結果的に、同調不能なONUは、レーザーが温度上昇する期間である単一の光バーストの伝送中でさえ、WDMチャネルを変更することがある。同調不能なONUの伝送波長のこのドリフトは、特定のWDMチャネルに割り当てられた1つまたは複数の同調可能なONUへの、同調不能なONUによる干渉を招く場合がある。
【0031】
図3は、例示的なWDMチャネルグリッド300を示す。加熱器で同調されたONU211、…、216は、WDMチャネルグリッド300の通過帯域301、302、303、304の中心に同調され得る。上述のように、加熱器で同調されない従来型ONUは通常、WSDM PON200の4つの波長組にまたがってドリフトするものである。上述のように、特定のWDMチャネルのアップリンクのトラフィックを制御するために、MAC(メディアアクセス制御)がチャネルごとに使用される。言い換えれば、特定のOLTがMACを使用して、アップリンクを介した特定のPONのONUへのタイムスロットの割り当てを制御する。一例として、MACは、特定のWDMチャネルの異なるタイムスロットを、アップリンクを介してOLTに送信する複数のONUに割り当てることができる。その制御タスクを実行するために、MACは、特定のWDMチャネルを介してデータを送信しようとしているONUを認識している必要がある。同調不能なONUではレーザー波長が変化するため、これらのONUは通常、特定のWDMチャネルに割り当てることができない。結果的に、特定チャネルのMACは、タイムスロットを同調不能なONUに確実に割り当てられるようにはなれない。
【0032】
上記の問題を克服するために、WDM PONの複数のWDMチャネルへのアクセスを調整する、いわゆるスーパーMACプロトコルを利用することが提案されている。具体的には、スーパーMACは、アップストリームのトラフィックを(特定の1つのWDMチャネルに関連付けられた)特定の1つのOLTに制御するだけではなく、アップストリームのトラフィックを(それぞれ複数のWDMチャネルに関連付けられた)複数のOLTに制御するように構成されている。
【0033】
図2に示したWSDM PONの場合、スーパーMACは、従来型(同調不能な)ONUを4つの波長組にあてがうこと(administration)を管理することができる。第1のステップでは、スーパーMACは、同調不能なONUのONU−IDを現在のOLTに(または現在の波長の組に)割り当てることができる。そのような状況では、アップストリームのトラフィックは、現在のOLTのMACによって制御される。しかしながら、ドリフト処理の間、同調不能なONUは、現在のWDMチャネルの通過帯域の端にドリフトし、かつ/または近傍のWDMチャネルの通過帯域に入る場合がある。そのような過渡状況において、スーパーMACは、同調不能なONUを2つのOLTに割り当てることができる。両方のOLT、すなわち両方のPONは、次いで、従来型ONUがアップストリームを送信するためのタイムスロットを確保する。言い換えれば、スーパーMACは、2つのPONのMACに、同調不能なONU用のアップリンクにおけるリソースを両方が確保するように要求することによって、同調不能なONUによる2つのPON間の遷移を制御する。さらに、スーパーMACは、同調不能なONUが送信を行える整列したタイムスロットを、両方のPONのMACが確実に確保するために、リソース確保処理を調整することができる。
【0034】
そのようなスーパーMACを使用することによって確実に、同調不能なONUが、隣接するPON、すなわち隣接するWDMチャネルでONUの送信に干渉しないようにすることができる。WDM PON内にある同調不能な従来型ONUの数が比較的少ないうちは、同調不能なONUが2つの隣接するPONに二重に割り当てられていても、使用可能な帯域幅にあまり影響はない。
【0035】
既に検討したように、同調不能なONUによる異なるWDMチャネルにまたがるドリフトは、
図2に示したWSDM PON200の4つの波長組の動的帯域割り当て(DBA)を実施するスーパーMACによって対処され得る。より具体的には、スーパーMACは、WDM PONの異なるWDMチャネル(または、異なるPON)へのDBAを実施することができる。2つのWDMチャネル間のクロスオーバー領域に入る制御されていないONUは、双方の波長組に割り当てられる必要がある。このクロスオーバー領域は通常、2つのWDMチャネルの通過帯域フィルタによってもたらされている。そのようなフィルタの通過帯域301、302、303、304は
図3に示されている。同調不能なONUを2つのWDMチャネルに(すなわち、WSDM PONの2つの波長組に)割り当てた結果、双方の波長組は、同調不能なONU用のタイムスロットを確保し、信号が両方の受信機で受信され、このとき、制御されていないONUはアップストリームを送れるようになる。
【0036】
隣接するWDMチャネルの境界を互いに明確に定めるために、OLTは通常、通過帯域フィルタを利用することが既に示されている。これは
図3に示されており、この図では、フィルタ302の通過帯域幅305およびフィルタ302の遷移範囲306が示されている。遷移範囲306内では、入力信号の波長が増大するにつれて、入力信号の減衰が継続的に大きくなることが確認できる。同時に、近傍の通過帯域フィルタ303の遷移範囲306は、フィルタ302の遷移範囲306に重なることが確認できる。結果的に、(OLT#3によってもたらされる)近傍のWDMチャネルにおける入力信号の減衰は、信号の波長が増大するにつれて継続的に小さくなる。
【0037】
典型的な通過帯域フィルタ302、303は、遷移範囲306が比較的急勾配になるように設計される。言い換えれば、フィルタ302、303は、近傍のWDMチャネル間で強い選択性を保証するように設計されている。すなわち、遷移範囲306内で全くかほとんど重複しないフィルタ302、303が使用される。上述のように、同調不能なONUのアップストリーム信号の波長は、2つの隣接するOLT(OLT#2およびOLT#3)の通過帯域フィルタ302と303の間の遷移範囲306内にドリフトすることがある。通過帯域フィルタ302、303の強い選択性は、OLT#2とOLT#3の間の遷移時に、同調不能なONUのアップストリーム信号の強い減衰を招くことになる。これは、たとえ同調不能なONUが双方のPON上で送信を行える場合でも、2つのPONのいずれも(すなわち、OLT#2およびOLT#3のいずれも)、アップストリーム信号を確実に受信することができない可能性があることを意味する。
【0038】
上記の点に鑑みて、2つの隣接するWDMチャネル間の遷移範囲306内のアップストリーム信号が受ける減衰の最大値が、2つの隣接するWDMチャネルのいずれか一方において所定の値未満になるように、WDM PONの通過帯域フィルタ301、302、303、304を設計することが提案されている。所定の値は3dBであってもよい。その結果、一方のOLTから他方のOLTにドリフトすることによって、アップストリーム信号が受ける減衰が最悪になるのは、エッジ同士が交差するところに波長があるときである。このエッジが交差する場所の波長では、3dBのさらなる減衰が生じる。
【0039】
言い換えれば、重複する通過帯域をもつWDMフィルタ(または周回性WDMフィルタ)を設計することが提案されている。この設計によって、いずれの波長も、さらなる減衰はたとえば最大3dBで、(4つの)OLT受信機のうちの1つによって受け取られることが可能である。この設計の欠点として、(4つの)WDMチャネル間の隔離要件がより困難なものになり得ることがある。しかしながら、制御されている(すなわち同調可能な)ONUをフィルタ302、303の通過帯域の中心に調節することによって、この隔離要件は通常満たされ得る。
【0040】
上述のように、スーパーMACは、同調不能なONUの、1つまたは複数のOLTへの割り当てを制御するために使用され得る。スーパーMACは、1つまたは複数のOLTにおいて、同調不能なONUから受信した信号の受信信号品質を監視するように構成されていてもよい。受信信号品質、とりわけ受信信号のビット誤り率(BER)は、受信信号の(すなわち、受け取った光バーストの)ビットインターフェースパリティ(bit interface parity)(BIP)および/または前方誤り訂正(FEC)符号および/または受信信号強度指標(RSSI)を分析することによって推定され得る。これらの指標によって、スーパーMACは、受信信号のBERの迅速な推定が可能になる。
【0041】
BIPまたはFECを分析することによって、スーパーMACは、どのOLTが従来型ONUからのより高品質のアップストリームメッセージを受け取るかを決定することができる。スーパーMACは品質情報を使用して、同調不能なONUが送信を行っている波長が第1のWDMチャネルに近いかまたはその中であるか、それとも第2のWDMチャネルに近いかまたはその中であるかを判定することができる。結果的に、スーパーMACは、同調不能な送信ONUのおおよその波長を推定することができる。
【0042】
さらに、スーパーMACは、同調不能なONUからアップストリームデータを受け取るOLTのすべてからデータを選択することができる。従来型ONUが、2つの隣接するOLT間のフィルタ交差ポイントにおいて送信する場合、交差ポイントのペナルティは、OLT中の2つのFECに保護されるデータストリームを比較し、訂正不能な誤りが全くないか最小限であるデータストリームを選択することによって減少させることができる。こうすることによって、2つのフィルタ302と303の間の交差ポイントで減衰が増加することによるペナルティは、2または2.5dB(交差ポイント減衰が3dBの場合)に減少させることができる。
【0043】
したがって、スーパーMACは、同調不能なONUから、2つの隣接するOLT間の交差領域306において受信する信号の品質を比較および最適化するように構成され得る。受信信号の品質(BER)は、高速RSSI、BIPまたはFECパリティによって判断することができる。信号は2つの経路で(すなわち2つのWDMチャネルで)受信されるので、スーパーMACは、両方のOLT(すなわちOLT#2およびOLT#3)で受信した誤りのない部分を結合することによって、受信信号を再構成することができる。これは、第1のOLT(たとえばOLT#2)が受信した光バースト400および第2の(近傍の)OLT(たとえばOLT#3)が受信した対応する光バースト410を示す
図4に示されている。2つの光バースト400、410は、同調不能なONUが伝送する単一の光バーストに対応する。同調不能なONUは、第1のOLTおよび近傍の第2のOLTに割り当てられている。
【0044】
光バースト400は、ペイロードデータおよびペイロードデータのそれぞれの部分に対応する複数のFECコード語401、402、403を含む。バースト410は、光バースト400と同じく、ペイロードデータおよびペイロードデータの同じそれぞれの部分に対応する複数のFECコード語411、412、413を含む。しかしながら、第1および第2のPONにおける(すなわち、第1および第2のWDMチャネルにおける)伝送誤りのために、受信したペイロードデータおよびFECコード語は異なっていてもよい。
【0045】
スーパーMACは、第1の光バースト400のFECデータ401、402、403および第2の光バースト410のFECデータ411、412、413を検査することができる。この検査に基づいて、スーパーMACは、ペイロードデータの誤りのない部分を選択することができる。一例として、スーパーMACは、FECコード語401および403に対応するペイロードデータを第1の光バースト400から選択し、FECコード語402に対応するペイロードデータを第2の光バースト410から選択することができる。これは
図4に矢印で示されている。こうすることによって、受け取った光バースト400、410の両方から、FECコード語421、422、423に対応するペイロードデータを含んだ、誤りがないか、少なくとも誤りが減少した光バースト420を生成することができる。2つの受け取った光バースト400、410を結合した結果、交差ポイントでのフィルタ減衰(たとえば、3dBの減衰)によって生じるさらなるペナルティの一部が補償され得る。
【0046】
上述のように、スーパーMACは、同調不能なONUのおおよその波長を判定するように構成されていてもよい。これは、同調不能なONUから、2つの近傍のWDMチャネルにおいて受信した信号の品質を分析することによってなされ得る。既に論じているように、アップストリーム信号の波長が、隣接するWDMチャネル間の遷移範囲306内にある場合、同調不能なONUのアップストリーム信号は通常、減衰を生じる。この減衰は、WDMチャネルの通過帯域フィルタ302、303を適切に設計することにより、減少させることができる。それでも、この遷移範囲306は、制御されていないONUによって長時間使用されないのが望ましい。言い換えれば、制御されていないONUの交差領域306内での動作を、極めて短い時間にする方法を実現するのが望ましい。特に、同調不能なONUのアップストリームトラフィックの適正なBERを保証するためには、これは望ましいことである。さらに、遷移範囲306の外では、同調不能なONUは単一のWDMチャネルのみに割り当てることができ、それによって、同調不能なONUが必要とする帯域幅が縮小するので、これは望ましいことである。
【0047】
典型的な波長グリッドである50GHzにおいては、交差領域306は約5−10GHzの幅をもつことになろう。既に示したように、この範囲306は、制御されていないONUによって長い時間使用されるべきではない。これは、制御されていないONUのレーザーチップがバースト中に自己発熱する特性を利用することによって達成可能である。一例として、波長を小さく維持する必要がある場合、レーザー温度を低く保つためにバーストは短くすべきである。交差領域306を通過するために波長が増大されるべき場合、レーザーチップを加熱するためにバーストは長くすべきである。波長/温度の関数の勾配は、約0.08nm/Kである。言い換えれば、同調不能なONUによって伝送される光バーストの波長を制御するために、同調不能なONUによって伝送される光バーストの長さを制御することが提案されている。一例として、光バーストの長さは、「1」を多く含む特別なプリアンブルによって増加させることができる。さらに言い換えると、同調不能なONUでのレーザーの自己発熱により、光バースト伝送の長さにわたってある波長ドリフトが存在する。したがって、交差範囲306を通過するためにバースト長の「同調(tuning)」が使用され得る。
【0048】
さらに、(幅が5GHz未満であり得る)遷移範囲306の臨界部分(critical part)を迅速に通過するために、追加のバイアス電流を印加することによって、同調不能なONUのバイアス電流は変化させることができる。周波数/バイアス電流の関数の勾配は、約500MHz/mAである。
【0049】
本文書において、同調不能なONUをWDM PON内で動作させるための方法およびシステムが記載された。提案された方法およびシステムは、同調可能なONUを使用するWDM PONの環境で従来型(同調不能な)ONUを再利用することを可能にする。同調不能なONUを1つまたは複数のWDMチャネルに割り当てることを可能にするスーパーMACが記載されている。この目的のために、スーパーMACは、同調不能なONUの伝送波長を追跡するように構成されていてもよい。さらに、スーパーMACは、たとえば、伝送される光バーストの長さを修正することによって、同調不能なONUの伝送波長を(少なくとも部分的に)制御するように構成されていてもよい。また、適切なフィルタ設計が、WDM PON内の同調不能なONUの性能をいかにして改善し得るのかを概説している。
【0050】
説明および図面は、提案された方法およびシステムの原理を示すものでしかないことに留意されたい。したがって、本明細書では明示的に説明または図示されていないが、本発明の原理を具体化し、その趣旨および範囲に含まれている種々の構成を考案できるようになることが当業者には理解されよう。さらに、本明細書において列挙されたすべての実施例は、主として、提案された方法およびシステムの原理ならびに本発明者らが当技術分野の発展に寄与した概念についての理解を助ける教示目的のものに過ぎないことが明白に意図されており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されることはないものと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその具体的な実施例を列挙した本明細書におけるすべての記載は、その均等物を包含することを意図している。
【0051】
さらに、上記の種々の方法のステップおよび上記のシステムの構成要素は、プログラム記憶式コンピュータによって実行され得ることに留意されたい。本明細書において、一部の実施形態は、たとえばデジタルデータ記憶媒体などのプログラム記憶装置を包含することも意図されており、これらの記憶装置は機械またはコンピュータで読取り可能であり、機械が実行可能またはコンピュータが実行可能な命令のプログラムを符号化するものであり、前記命令は、前記方法のステップの一部またはすべてを実行する。プログラム記憶装置は、たとえば、デジタル記憶装置、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードディスクドライブ、または光学読取り式デジタルデータ記憶媒体などであってもよい。各実施形態は、上記の方法の前記各ステップを実行するようにプログラムされたコンピュータを包含することも意図されている。
【0052】
また、本特許文書に記載の種々の要素の機能は、専用のハードウェアだけでなく、適切なソフトウェアに対応付けてソフトウェアを実行できるハードウェアの使用によって提供され得ることに留意されたい。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、または一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。さらに、用語「プロセッサ」または「制御装置」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアのみを指していると解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納するための読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を明示することなく含み得るが、これらに限定されない。従来の、かつ/または特注の他のハードウェアも含まれ得る。
【0053】
最後に、本明細書の任意のブロック図は、本発明の原理を具体化する例示の回路構成の概念図を表すことに留意されたい。同様に、フローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどはいずれも、実質的にはコンピュータ可読媒体の中で表すことができ、したがって、コンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、そのようなコンピュータまたはプロセッサによって実行され得る種々の処理を表すことが理解されよう。