特許第5774727号(P5774727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774727I2−II−IV−VI4及びI2−(II、IV)−IV−VI4半導体フィルムを含む半導体フィルムを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774727
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】I2−II−IV−VI4及びI2−(II、IV)−IV−VI4半導体フィルムを含む半導体フィルムを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0749 20120101AFI20150820BHJP
【FI】
   H01L31/06 460
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-554649(P2013-554649)
(86)(22)【出願日】2012年2月17日
(65)【公表番号】特表2014-506018(P2014-506018A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】US2012025706
(87)【国際公開番号】WO2012112927
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2013年10月8日
(31)【優先権主張番号】61/444,398
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512205245
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン スルー イッツ センター フォー コマーシャリゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】ヒルハウス,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】キ,ウーソク
【審査官】 森江 健蔵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/016283(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/135667(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/098369(WO,A1)
【文献】 特開2007−269589(JP,A)
【文献】 特表2012−527401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0749
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体フィルムを形成する方法であって、
液体溶媒中で、銅および銀の中から選択された第一元素の供給源と、亜鉛およびカドミウムの中から選択された第二元素の供給源と、スズ、ゲルマニウムおよびケイ素の中から選択された第三元素の供給源と、セレン、硫黄およびテルルの中から選択された第四元素の供給源と、を混合して溶液を形成することであって、前記混合することは、前記液体溶媒中で、前記第二元素または前記第三元素を含む少なくとも1つのハロゲン化金属塩を解離させることを含み、前記液体溶媒は、前記少なくとも1つのハロゲン化金属塩を解離させるのに十分な極性を有する極性非プロトン性溶媒である、ことと、
前記溶液で、基板の少なくとも一部をコーティングすることと、
前記溶液をアニーリングして、前記半導体フィルムを形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第四元素が硫黄であり、前記方法がさらに、半導体フィルムをセレン化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、非毒性溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、またはその他の酢酸塩、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、またはその他のケトン、アセトニトリル、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、テルピネオール、またはその他のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはその他のジオール、フェノール、クレソール、またはその他のフェノール性溶媒の中から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、またはその他のアミン、ヘキサンチオール、またはその他のチオール、エタンジチオール、ヘキサンジチオール、またはその他のジチオール、ジエチルエーテル、またはその他のエーテルの中から選択される共溶媒を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのハロゲン化金属塩は、塩化Zn(II)および塩化Sn(II)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一元素は銅であり、前記第二元素は亜鉛であり、前記第三元素はスズであり、前記第四元素は硫黄であり、前記半導体フィルムはCZTSまたはCZTSSeフィルムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記混合することは、前記液体溶媒中で、酢酸Cu(II)、塩化Zn(II)、塩化Sn(II)、およびチオ尿素を混合すること、をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第一元素は銅であり、前記混合することは、+2酸化状態の銅を有する前駆体を、前記溶液中に混合することを含み、前記ハロゲン化金属塩は、+2酸化状態の元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記銅は、半導体フィルム中に+1酸化状態で存在し、前記ハロゲン化金属塩中に含まれる+2酸化状態の前記元素は、前記半導体フィルム中に+4酸化状態で存在する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ハロゲン化金属塩中に含まれる+2酸化状態の前記元素がスズである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体フィルムは、Cu(Zn,Sn)SnSフィルムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
電子デバイスを製造する方法であって、
溶液を形成することであって、前記溶液を形成することが、
液体溶媒中で、銅の供給源と、亜鉛の供給源と、スズの供給源と、セレンまたは硫黄またはセレンおよび硫黄の組み合わせのうちのいずれかの供給源と、を混合することと、
前記液体溶媒中で、前記亜鉛またはスズを含む少なくとも1つのハロゲン化金属塩を解離させることであって、前記液体溶媒は、前記少なくとも1つのハロゲン化金属塩を解離させるのに十分な極性を有する極性非プロトン性溶媒である、ことと、
を含む、ことと、
基板上に半導体フィルムを形成することであって、前記半導体フィルムを形成することが、
前記基板の少なくとも一部を前記溶液でコーティングすることと、
前記溶液をアニールして前記半導体フィルムを生成することと、
を含む、ことと、
前記半導体フィルムに電気接点を提供することと、
を含む、方法。
【請求項14】
液体溶媒中で、銅の供給源と、亜鉛の供給源と、スズの供給源と、セレンまたは硫黄またはセレンおよび硫黄の組み合わせのうちのいずれかの供給源と、を混合することは、前記液体溶媒中で、+2酸化状態の前記銅を含む第一前駆体と、+2酸化状態の前記スズを含む第二前駆体とを混合することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体フィルムは、+1酸化状態の銅と、+4酸化状態のスズとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電子デバイスは、太陽電池を含み、前記方法は、前記半導体フィルム上に、透明な導電性材料を提供することをさらに含み、前記半導体フィルムに電気接点を提供することは、前記透明な導電性材料に導電性接点を提供することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記基板は、導電的にコーティングされた基板を含み、前記半導体フィルムに電気接点を提供することは、前記導電的にコーティングされた基板上に前記半導体フィルムを形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記導電的にコーティングされた基板が、モリブデンでコーティングされたソーダ石灰ガラスを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連明細書の相互参照
本明細書は、その全てが参考文献によって本明細書に組み込まれている仮出願明細書である、2011年2月18日に申請された、米国仮出願明細書第61/444,398号明細書の出願日の優先権を主張する。
【0002】
本明細書で記述した実施例は、半導体材料、半導体材料組成物、および半導体材料を含むデバイスを作製する方法に関してよい。本明細書で記述した半導体材料には、CZTSまたはCZTSSe(例えばCuZnSnSまたはCuZnSn(S,Se))のフィルム(膜)を含むが、限定はされない、名目I−II−IV−VI化学量論を有する薄フィルム(薄膜)が含まれる。
【背景技術】
【0003】
薄フィルム半導体材料は、光起電(PV)デバイスを含む、種々の適用にて使用される。好適な効果の薄フィルム太陽電池は、CuInGaSe(CIGSe)およびCdTeから製造されてきた。しかしながら、(例えばInおよびGaでの)価格ボラティリティ論点および(レア元素である、InおよびTeでの)存在量の問題、および(Cdでの)潜在的環境問題が、これらの薄フィルムの実際の利用を制限しうる。
【0004】
CuZnSnSおよびCuZnSnSeの薄フィルムがまた、太陽電池を製造するために使用されてきた。これらのフィルムの地球上の存在量、非毒性特徴ならびにそれらの電子バンドギャップ特性が、これらを魅力的にしうる。しかしながら、CZTSおよびCZTSSeフィルムの製造は問題が多い。共蒸着および多層蒸着工程のような、真空ベースの堆積が使用されてきており、6.7%までのデバイス効率が達成されてきた。しかしながら、これらの工程は、十分大規模ではなく、コストのかかる、低スループット処理、可変空間不均一性、および低収率に悩まされる。
【0005】
いくつかの例において、乾燥金属前駆体が、基質(基板)上に堆積され、続いて硫化が起こってよい。金属前駆体のゾル−ゲルスピンコーティングと、電気堆積がこれらのアプローチにて使用されてきており、一般に1.61%および3.4%の最大デバイス効率を産出する。金属前駆体の堆積と続く硫化を包含している工程は、グレイン形成が少なく、金属からの金属硫化物の形成による堆積拡大のために剥離し、また、二元化合物を形成する。他のアプローチは、CZTSナノ結晶の層を堆積させることであり、CZTSSeを形成するために、Se大気中でアニールされてよい。
【0006】
他のアプローチは、直接CZTSSeを形成するために、ヒドラジンベースの金属カルコゲニド前駆体の溶液を利用してきた。このアプローチは、得られるデバイスの効率を改善した一方で、ヒドラジンが引火性、肝毒性および発がん性であり、ヒドラジンベースのアプローチの望ましさを制限している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、半導体フィルムを形成する方法を提供する。例示方法には、液体溶媒中、銅および銀から選択され第一元素の供給源、亜鉛およびカドミウムから選択され第二元素の供給源、スズ、ゲルマニウムおよびケイ素から選択され第三元素の供給源、セレン、硫黄およびテルから選択され第四元素の供給源を混合し、溶液を形成することが含まれてよい。混合することには、前記液体溶媒中で、前記第二または第三元素を含む少なくとも1つのハロゲン化金属塩を解離させることが含まれてよい。方法の例にはさらに、上記溶液で、基質(基板)の少なくとも一部をコーティングすること、および上記溶液をアニーリングして半導体フィルムを形成することが含まれてよい。
【0008】
いくつかの例において、第四元素は硫黄であり、方法にはさらに、半導体フィルムをセレン化することが含まれる。
【0009】
いくつかの例において、溶媒は極性溶媒を含む。いくつかの例において、溶媒は非毒性溶媒を含む。いくつかの例において、溶媒には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸プロピルまたは任意の他の酢酸塩、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、または任意の他のケトン、アセトニトリル、任意の極性非プロトン性溶媒、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、テルピネオール、または任意の他のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、または任意の他のジオール、フェノール、クレソールまたは任意の他のフェノール性溶媒から選択される溶媒が含まれる。
【0010】
いくつかの例において、溶液には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンまたは任意の他のアミン、ヘキサンチオールまたは任意の他のチオール、エタンジチオール、ヘキサンジチオール、または任意の他のジチオール、ジエチルエーテルまたは任意の他のエーテルから選択される共溶媒が含まれる。
【0011】
いくつかの例において、少なくとも1つのハロゲン化金属塩に、塩化Zn(II)および塩化Sn(II)が含まれる。いくつかの例において、第一元素は銅であり、第二元素は亜鉛であり、第三元素はスズであり、第四元素は硫黄であり、半導体フィルムはCZTSまたはCZTSSeフィルムを含む。
【0012】
いくつかの例において、混合することに、液体溶媒中酢酸Cu(II)、塩化Zn(II)、塩化Sn(II)、およびチオウレア(チオ尿素)を混合することが含まれる。
【0013】
いくつかの例において、第一元素は銅であり、混合することに、+2酸化状態での銅を有する前駆体を、溶液内に混合することが含まれ、ハロゲン化金属塩に、+2酸化状態での元素が含まれる。銅は、+1酸化状態にて、半導体フィルム内に存在してよく、ハロゲン化金属塩中に含まれる+2酸化状態での元素は、+4酸化状態にて、半導体フィルム中に存在してよい。ハロゲン化金属塩中に含まれる+2酸化状態での元素はスズであってよい。半導体フィルムには、Cu(Zn,Sn)SnSフィルムが含まれてよい。
【0014】
本発明の例には、電子デバイスを製造する方法が含まれる。例示方法には、基質上に半導体フィルムを形成することが含まれてよい。半導体フィルムを形成することには、基質の少なくとも一部を、液体溶媒中、銅、亜鉛、スズおよびセレニウムまたは硫黄いずれか、またはセレニウムおよび硫黄の組み合わせの供給源を含む溶液でコートすることが含まれてよい。液体溶媒には、ジメチルスルホキシドが含まれてよい。方法にはさらに、半導体フィルムを産するために溶液をアニーリングすること、および半導体フィルムへの電気接点を提供することが含まれてよい。
【0015】
いくつかの例において、混合することに、前記液体溶媒中、前記亜鉛またはスズを含む少なくとも1つのハロゲン化金属塩を解離させることが含まれてよい。
【0016】
いくつかの例において、混合することに、液体溶媒中、+2酸化状態の銅を含む第一前駆体と、+2酸化状態のスズを含む第二前駆体を混合することが含まれる。半導体フィルムは、+1酸化状態の銅と、+4酸化状態のスズを含んでよい。
【0017】
電子デバイスには、太陽電池が含まれてよく、方法にはさらに、半導体フィルム上に、透明な導体材料を提供することが含まれてよい。半導体フィルムへの電気接点を提供することに、透明導体材料に、導電性接点を提供することが含まれてよい。
【0018】
本発明の例において基質(基板)には、導電的にコート(コーティング)された基質が含まれてよく、半導体フィルムに電気接点を提供することに、導電的にコートされた基質上に半導体フィルムを形成することが含まれてよい。導電的にコートされた基質は、モリブデンコートされたソーダ石灰ガラスを含む。
【0019】
本発明の実施形態はさらに、半導体フィルムと電子デバイスを提供してよい。提供された半導体フィルムには、名目I−II−IV−VI化学量論を有するフィルムが含まれてよく、CZTSおよびCZTSSeフィルムを含むが、限定はしない、I−(II,IV)−IV−VIフィルムが含まれてよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態にしたがった例示方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施形態にしたがって形成された太陽電池の略図的図解である。
図3】セレン化後、(a)合成したままのCZTS/Mo/SLG、および(b)CZTSSe/Mo/SLGの結果得られる粉末x−線回析(PXRD)パターンを図解している。
図4】例示CZTSSeフィルムと、モリブデン接点上の透明な伝導性酸化物(TCO)層の走査性電子顕微鏡(SEM)イメージ。
図5】公式NREL第一参照電池でキャリブレートした結晶質性Si認証第二参照電池でキャリブレートしたような、AM1.5G照射下、例示CZTSSe太陽電池のI−V特徴のプロットである。
図6】太陽電池に関する(αhv)対hvのプロットであり、挿入図がガラス上の、以上で記述した合成されたCZTSの伝達を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ある詳細が、本発明の実施形態の十分な理解を提供するために以下で示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、種々のこれらの特定の詳細なしに実施されてもよいことが、当業者に対して明確であろう。いくつかの例において、よく公知の製造技術、化学コンポーネント、添加物、緩衝液、またはデバイスコンポーネントが、本発明の記述された実施形態を不必要に不明確にすることを避けるために、詳細にて記述されていない。
【0022】
本発明の実施形態には一般に、液体溶媒中、I、II、IVおよびVI元素の供給源の溶液を用いた、CZTSまたはCZTSSeのような、名目I−II−IV−VI化学量論を有する半導体フィルムを形成するための方法が含まれる。供給源には、前駆体化合物、中間体化合物、元素の元素的形態、溶媒または共溶媒との複合体中で結合した元素、またはそれらの組み合わせが含まれてよい。本発明の実施形態が、以下でさらに記述するように、いくつかの例において、名目I−II−IV−VIを有するフィルムを形成するための方法を含む一方で、方法は、I−(II,IV)−IV−VIとしてより正確に記述されてよい構造を有するフィルムを産出してよく、フィルムが、伝統的な名目I−II−IV−VIフィルムを記述する名目スズ石または硫錫石結晶構造の異なる部位占有を有してよい。非毒性溶媒であってよい、液体溶媒中の元素の供給源の溶液は、物質上へコートされてよい。前駆体は、溶液を形成するために溶媒中で混合されてよく、すべての前駆体を含む、1つまたはそれ以上の前駆体が可溶性であり、高価でなくてよく、簡単に市場より入手可能であってよい。例えば、ハロゲン化金属塩は、以下でさらに記述するように、前駆体として使用されてよい。アニーリングおよびセレン化が、望む半導体フィルムを形成するために続いてよい。
【0023】
本発明の実施形態にしたがって形成された半導体フィルムは一般に、ナノメートルまたはミクロンのオーダーで厚さを有してよい。例えば、いくつかの例で、フィルムは10ミクロンより薄い厚さ、9ミクロンより薄い厚さ、8ミクロンより薄い厚さ、7ミクロンより薄い厚さ、6ミクロンより薄い厚さ、5ミクロンより薄い厚さ、4ミクロンより薄い厚さ、3ミクロンより薄い厚さ、2ミクロンより薄い厚さ、1ミクロンより薄い厚さ、800ナノメートルより薄い厚さ、600ナノメートルより薄い厚さであってよい。いくつかの例において、フィルムは、400ナノメートルより厚い厚さ、600ナノメートルより厚い厚さ、800ナノメートルより厚い厚さ、1ミクロンより厚い厚さ、2ミクロンより厚い厚さ、3ミクロンより厚い厚さ、4ミクロンより厚い厚さ、5ミクロンより厚い厚さ、6ミクロンより厚い厚さ、7ミクロンより厚い厚さ、8ミクロンより厚い厚さ、9ミクロンより厚い厚さまたは10ミクロンより厚い厚さであってよい。他の厚さもまた使用されてよい。
【0024】
本発明の実施形態にしたがって形成された半導体フィルムは、半導体特性を有してよい。例えば、本発明の実施形態にしたがって形成された半導体フィルムの例は、材料の価数と伝導バンド間のバンドギャップを有してよい。本発明の実施形態にしたがって形成された半導体フィルムの例示バンドギャップには、1.45〜151eVのバンドギャップを有するCZTSを含む、太陽光供給源での励起に好適であるものが含まれる。いくつかの例において、本発明にしたがったCZTSフィルムは、1.48eVバンドギャップを有してよい。本発明の実施形態にしたがって形成されたCZTSまたはCZTSSeフィルムは、1.45〜1.51eV、1.48〜1.51eV、1.45〜1.49eV、または1.48〜1.49eVのバンドギャップを有してよい。他のバンドギャップもまた形成されてよい。
【0025】
本発明の実施形態にしたがって形成される半導体フィルムは、四級カルコゲニド化合物のフィルムであってよい。四級カルコゲニド化合物は一般に、I、II、IVおよびVI元素の−2:1:1:4比を示す化学量論にて、名目I−II−IV−VI化学量論を有してよい。しかしながら、CZTSまたはCZTSSeフィルムを含む、本明細書で形成されたフィルムは、2:1:1:4比から異なる化学量論を有してよい。表記I−II−IV−VIにおいて、「I」は周期表のグループ1Bまたは1Aから、そこでグループは、CAS周期表表記を引用している、または+1の酸化状態を有する任意のグループからの元素を意味する。「II」は、周期表のグループ2Bまたは2Aから、または+2の酸化状態を有する任意のグループからの元素を意味する。「IV」は、周期表のグループ4Aから、または+4の酸化状態を有する任意の群からの元素を意味する。「IV」は、周期表のグループ6Aから、または−2の酸化状態を有する任意のグループからの元素を意味する。以下でさらに記述するように、いくつかの例において、I−(II,IV)−IV−VIの構成を有するフィルムが形成されてよく、いくつかの元素において、「IV」は典型的には「II」元素によって占有された結晶部位上に存在してよい。すなわち、元素は典型的に、半導体フィルム中+2酸化部位にて存在してもよいスズ(Sn)のように、+4酸化状態にて存在する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態にしたがった例示方法のフローチャートである。方法100には、ブロック110が含まれ、元素の供給源が溶液を形成するために、液体溶媒中で混合されてよく、液体溶媒中の少なくとも1つのハロゲン化金属塩を解離させることが含まれる。ブロック120にて、基質の少なくとも一部が溶液でコートされてよく、ブロック130にて、溶液が半導体フィルムを形成するためにアニールされてよい。いくつかの例において、ブロック140にて、フィルムが、例えばCZTSSeフィルムを形成するためにセレン化されてよい。ブロック110、120、130および/または140がフィルムの厚さを増大させるために繰り返されてよい。
【0027】
液体溶媒中で混合された元素は一般に、以上で記述されたような、I−II−IV−VIフィルムを形成するために使用される「I」、「II」、「IV」および「VI」のそれぞれに対する元素を含んでよい。元素は、溶液溶媒中に元素形態で存在する必要はなく、前駆体または他の中間体化合物で存在しうる。液体溶液中に存在する元素の供給源には、第一、第二、第三および第四元素の供給源が含まれてよい。CZTSまたはCZTSSeフィルムの例において、第一元素(例えば「I」)には銅(Cu)が含まれてよく、第二元素(例えば「II」)には亜鉛(Zn)が含まれてよく、第三元素(例えば「IV」)にはスズ(Sn)が含まれてよく、第四元素(例えば「VI」)には硫黄(S)またはセレン(Se)が含まれてよく、またはその組み合わせであってよい。一般に、1つまたはそれ以上の元素の供給源が、溶液中で提供されてよく、または元素が溶液中で利用可能になるように、液体溶媒中で、元素を含む前駆体を混合することによって、溶液中に配置されてよい。元素はしたがって、溶液中において、前駆体化合物、中間体化合物、元素形態利用可能であってよく、または溶媒または共溶媒との複合体結合していてもよい。別々の供給源が、元素の個々に対して提供されてよく、またはいくつかの例において、単一の供給源が、2つ以上の元素に対する供給源として提供されてよい。
【0028】
液体溶媒中で混合された第一元素(例えば「I」)は、銅(Cu)および銀(Ag)から選択されてよい。選択された元素は一般に、半導体フィルム中+1の酸化状態を有することが可能金属であってよい。半導体フィルム中+1の酸化状態を有することが可能な任意の数の元素が使用されてよい。いくつかの例において、Cuのみが溶液中第一元素として利用可能でありうる。いくつかの例において、Agのみが、溶液中第一元素として利用可能でありうる。他の例において、CuおよびAg元素両方が液体溶液中で提供される。また他の例において、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)またはこれらの組み合わせを含むが限定はされない他の元素が、半導体フィルム中+1の酸化状態を有してよいように提供されてよい。一般に、半導体フィルムのためのグループまたは+1酸化状態元素の重要な供給源は、Cu、Agまたはこれらの組み合わせである。いくつかの例において、半導体フィルムの「I」部位の1パーセントまたはそれ未満が、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)またはそれらの組み合わせのような、しかしこれらの限定はされない他の元素によって供給されてよく、したがってより少ない量のこれらの要素が流体溶液中で提供されてよい。いくつかの例において、以下にさらに記述するように、溶液中1つまたはそれ以上の「I」は基質(基板)から供給されてよい。例えば、Naは基質中の供給源から、溶液中へ、または最終フィルムへ拡散してよい。
【0029】
第一元素の供給源には、酢酸銅(II)のような前駆体が含まれ、これは、水和酢酸銅(II)Cu(CHCOO)・HOとして提供されてよい。酢酸銅(II)は、+2酸化状態で銅を有する。他の供給源(例えば前駆体)もまた、液体溶媒中の第一元素を提供するために好適である。前駆体は、+1酸化状態で元素を含む必要はない。むしろ、第一元素の供給源は、異なる酸化状態にて元素を含んでよいが、それにも関わらず、元素は液体中の他の供給源と反応した後、半導体フィルム中に+1酸化状態で存在してよい。例えば、酢酸銅(II)は、+2酸化状態で銅を含むが、以下でさらに記述するように、酸化銅(II)前駆体は、半導体フィルムに組み込まれている、+1酸化状態の銅となる反応に参加してよい。
【0030】
第二元素(例えば「II」)には、亜鉛(Zn)が含まれてよい。いくつかの例において、Znは、第二元素の重要な供給源であるが、半導体フィルム中1%より少ない「II」が、カドミウム、水銀、カルシウム、マグネシウムまたはこれらの組み合わせのような、しかし限定はされない、半導体フィルム中+2の酸化状態を有することが可能な1つまたはそれ以上の元素によって提供されてよい。第二元素は一般に、周期表のグループIIから、または+2の酸化状態を有する任意の群からの元素であってよい。
【0031】
溶液中の第二元素の供給源には、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、またはハロゲン化物と有機リガンドを含む混合塩化物塩のような、ハロゲン化金属塩が含まれる。水和ハロゲン化金属塩を使用してよい。1つの例は、塩化亜鉛(II)であり、これは、ZnClとして供給されてよい。他の供給源(例えば前駆体)を、液体溶媒中で第二元素を提供するために好適に使用してよい。前駆体は、+2酸化状態で第二元素を提供する必要はないが、むしろ第二元素は、半導体フィルム中、+2酸化状態であってよい。いくつかの例において、Snが溶液中で提供されてよく、+2および+4酸化状態両方で、半導体フィルム中に含まれるように反応してよい。いくつかの例において、Snを含む供給源は、第二元素の少なくともいくつかの供給源として供給されてよく、例えばCu(Zn,Sn)Sn(S,Se)のフィルムが形成されてよい。
【0032】
第三元素(例えば「IV」)は、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)およびケイ素(Si)から選択されてよい。いくつかの例において、Snのみが第三元素として供給される。いくつかの例において、Geのみが第三元素として供給される。いくつかの例において、Siのみが第三元素として供給される。いくつかの例において、SnおよびGe両方が、液体溶液中で提供されてよい。いくつかの例において、SnおよびGe両方が液体溶液中で提供されてよい。いくつかの例において、GeおよびSi両方が液体溶液中で提供されてよい。いくつかの例において、Sn、GeおよびSiが液体溶液中で提供されてよい。他の例において、Sn、GeまたはSiまたはこれらの任意の組み合わせが、「IV」元素の重要な供給源であってよく、1パーセント未満が、周期表のグループIV中の、または半導体フィルム中+4の酸化状態を有することが可能な他の元素によって提供されてよい。第三元素は一般に、半導体フィルム中+4の酸化状態を有することが可能な金属であってよい。
【0033】
溶液中の第三元素の供給源には、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、またはハロゲン化物と有機リガンドを含む混合塩化物塩のような、ハロゲン化金属塩が含まれる。水和ハロゲン化金属塩を使用してよい。1つの例は、塩化スズ(II)であり、これは、水和塩化スズ(II)SnCl・2HOとして供給されてよい。塩化スズ(II)は、前駆体中+2酸化状態を有するスズを提供してよい。他の前駆体が、液体溶媒中、第三元素を提供するために好適に使用されてよい。前駆体は、+4酸化状態で第三元素を提供する必要はないが、むしろ第三元素は、一旦形成されたならば、半導体フィルム中+4酸化状態であってよい。
【0034】
第四元素(例えば「VI」)は、カルコゲニドであってよく、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)およびこれらの組み合わせから選択されてよい。いくつかの例において、第四元素は、硫黄(S)、セレン(Se)およびテルル(Te)から選択されてよい。第四元素は一般に、周期表のグループVIから、または半導体フィルム中−2の酸化状態を有することが可能な任意の元素から選択されてよい。第四元素を提供するために使用されてよい供給源(例えば前駆体)には、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような溶媒中に溶解したチオウレアSC(NH、チオアセトアミド、セレノウレアまたは元素Sまたは元素Seが含まれる。他の好適な溶媒は以下にさらに記述する。
【0035】
図1のブロック110でのような、元素の供給源を混合することには、元素を含む前駆体を液体溶媒に加えることが含まれる。いくつかの例において、1つの供給源が、溶液中に混合するための1つ以上の元素を含んでよい。他の例において、元素の1つまたはそれ以上の供給源が溶液中で提供されてよく、他の元素を含む供給源(例えば前駆体)がこの溶液に加えられてよい。元素を混合することには、液体溶媒中、元素の1つを含むすくなくとも1つのハロゲン化金属塩を解離させることが含まれてよい。ハロゲン化金属塩を解離させることにより、溶液中に金属元素が混合されてよい。
【0036】
溶液内で提供される元素の比は一般に、十分な量が対象の半導体フィルムの化学量論組成物を形成するために提供されるように選択されてよい。いくつかの例において、半導体フィルムの電気特性を改善するために、溶液内で利用可能とした元素の量は、半導体フィルムが、銅比が2:1:1:4名目化学量論によって指摘されたものよりも少なくてよい、銅が不足していると考慮されてよいように選択される。
【0037】
図1のブロック110にて、本発明の実施形態において、方法には、第一元素の供給源(第一元素は銅および銀から選択される)、第二元素の供給源(第二元素は亜鉛およびカドミウムから選択される)、第三元素の供給源(第三元素はスズおよびゲルマニウムから選択される)、および第四元素(第四元素はセレンおよび硫黄から選択される)を、液体溶媒中で混合して、溶液を形成することが含まれてよい。混合することには、前記液体溶媒中、前記第二および前記第三元素を含む、少なくとも1つのハロゲン化金属塩を解離することが含まれてよい。
【0038】
本発明の実施形態は、非毒性液体溶媒の利用を活用してよい。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)を液体溶媒として使用してよい。他の好適な溶媒には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、任意の酢酸塩、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトンまたは任意の他のケトン、アセトニトリル、任意の極性非プロトン性溶媒、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、テルピネオールまたは任意の他のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたは任意の他のジオール、フェノール、クレソールまたは任意の他のフェノール性溶媒が含まれるが、これらに限定はされない。これらの溶媒の組み合わせもまた使用してよい。一般に、提供された溶媒の1つが、ハロゲン化金属塩前駆体を解離させるために十分な極性を有してよい。さらに、それ自身、分解してOHまたはHを産出しない十分な極性を有する溶媒が、いくつかの実施形態において好ましい可能性がある。それら自身、OHを形成するように解離する溶媒は、OHが硫黄およびセレンと周期表の同一の列にて見られ、OHが硫黄またはセレンを含む半導体フィルムの形成を干渉しうるので、不利益となり得るために、好ましくない可能性がある。
【0039】
いくつかの例において、共溶媒が、溶媒または溶媒類とともに含まれてよい。共溶媒は、溶液中の1つまたはそれ以上の前駆体の可溶性を増加させてよい。いくつかの例において、共溶媒は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンまたは任意の他のアミン、ヘキサンチオールまたは任意の他のチオール、エタンジチオール、ヘキサンジチオールまたは任意の他のジチオール、ジエチルエーテルまたは任意の他のエーテルであってよい。共溶媒は、以上で記述した溶媒または溶媒の組み合わせに加えて提供されてよい。いくつかの実施形態において、DMSO+エタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エーテルまたはこれらの組み合わせが、液体溶媒として使用されてよい。
【0040】
図1を再び参照して、ブロック120にて、基質(基板)の少なくとも一部が溶液でコートされてよい。任意の種々の基質が使用されてよく、ガラスまたはモリブデン/ソーダ石灰ガラス(Mo/SLG)が含まれるが、限定はされない。基質は、所望の最終的に得られる電子デバイスとの適合性に関して選択されてよく、その例を以下でさらに記述する。コーティングは、スピンコーティング、または基質の少なくとも一部に溶液を塗布するために使用してよい他の溶液堆積技術によって実施されてよい。一般に、溶液は、全基質にわたってコートされてよく、またはいくつかの実施形態において、半導体フィルムの局在化形成のために、基質の特定の区画に含まれてよい。
【0041】
図1のブロック130にて、溶液が、半導体フィルムを形成するためにアニールされてよい。アニーリングには、溶液、多くの例で基質を、高温にかけ、溶液中種の少なくとも一部を用いて、半導体フィルム、例えばCZTSまたはCZTSSeを産出するための化学反応を進める、または促進することが含まれてよい。論理にとらわれずに、酢酸Cu(II)が、Cu元素の供給源を提供するための前駆体として使用され、塩化亜鉛(II)が、Zn元素の供給源を提供するための前駆体として使用され、塩化スズ(II)がSn元素の供給源を提供するための前駆体として使用され、チオウレアがS元素の供給源を提供するための前駆体として使用される1つの例において、CZTSフィルムを産するために発生しうる反応が以下のように与えられる。
2Cu(CHCOO)・HO+ZnCl+SnCl・2HO+4SC(NH→CuZnSnS(s)+4HCl(g)+4HNCN(g)+4CHCOOH (g)+3HO(g)
【0042】
しかしながら、使用される実際の反応と、産出される気体産物は様々であってよい。酢酸Cu(II)前駆体中に存在する銅は、+2酸化状態を有してよく、しかしながら、CZTSの半導体フィルム中、銅は+1酸化状態を有してよいことを留意のこと。塩化スズ(II)前駆体中に存在するスズは、+2酸化状態を有してよい。しかしながら、CZTSの半導体フィルム中、スズは+4酸化状態を有してよい。したがって、以上で提供された反応中、酸化還元反応が発生し、いくつか、または全ての銅が+2から+1酸化状態に還元されてよく、いくつかまたはすべてのスズが、+2から+4酸化状態にシフトしてよい。このようにして、最終CZTS半導体フィルムには、+2および+4酸化状態両方でスズが含まれてよい。一般に、+2酸化状態を有するグループIV元素を、+4酸化状態でグループIV元素を有する半導体フィルムを形成するために、供給源(例えば前駆体)中で使用してよい。+2から+4への酸化状態のシフトは、+2から+1酸化状態への反応の間、銅の還元を許容してよい。このようにして、+2酸化状態を有する銅は、前駆体中で使用されてよい。+2酸化状態の銅は、+1酸化状態の銅よりも、より大きな可溶性および安定性を有してよい。このようにして、酢酸銅(II)のような安定な銅前駆体の利用が、+2酸化状態でのスズを含む前駆体の利用によって促進されてよい。スズが+2から+4酸化状態にシフトするので、銅は+2から+1状態にシフトしうる。
【0043】
アニーリングは一般に、150〜800℃、いくつかの例において150℃以上、いくつかの例において200℃以上、いくつかの例において250℃以上、いくつかの例において300℃以上、いくつかの例において350℃以上、いくつかの例において400℃以上、いくつかの例において450℃以上、いくつかの例において500℃以上、いくつかの例において550℃以上、いくつかの例において600℃以上、いくつかの例において650℃以上、いくつかの例において700℃以上、いくつかの例において750℃以上およびいくつかの例において800℃以上の温度にて発生してよい。アニーリングの間溶液を加熱するためにホットプレート、ヒートランプ、火炉、または他の加熱デバイスの利用を含むが、限定はされない、任意の好適な方法を使用してよい。
【0044】
コーティングおよびアニーリング工程を、半導体フィルムのさらなる厚さを構築するために、数回繰り返してよい。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20回繰り返しを含むが、限定はされない、任意の繰り返し数を使用してよい。
【0045】
いくつかの例において、半導体フィルムは、CZTSSeフィルムを形成するために、図1のブロック140にてセレン化されてよい。セレン化は、Se蒸気下のアニーリングを含む種々の方法の任意にて発生してよく、上記アニールの間に発生してよく、または半導体フィルムを形成するための最初のアニールの後に発生してよい。Se蒸気は、例えばSeペレットを含むアニールチャンバー中でアニールすることによって産出されてよい。セレン化の間、一般にいくつかのSe原子が、CZTSフィルム中のS原子を置換してよく、CZTSSeフィルムが産出される。セレン化の後、フィルム中S/(S+Se)比は、約0.6〜0.8の間であってよい。いくつかの例において、比は約0.7であってよい。セレン化段階はまた、アニーリング工程をコーティングすることとともに、以上で記述したように繰り返してよく、またはいくつかの例において、単独のセレン化工程が、その最終の厚さにて半導体フィルムをセレン化するために、コーティングおよびアニーリング工程の数回の繰り返しの後に発生してよい。
【0046】
本発明の実施形態にしたがって形成されたフィルムは一般に、薄フィルム半導体を利用してよい任意のデバイス中で使用されてよい。デバイスの例には、太陽電池、発光ダイオード、電界効果トランジスタ、固体状態レーザー、電磁気遮蔽またはステルス技術のための照射吸収または発光層が含まれるが限定はされない。
【0047】
一般に、図2の太陽電池200を製造する方法を含む、本発明の実施形態にしたがった電子デバイスを製造する方法は、基質(基板)上に半導体フィルムを形成することを含み、以上で記述した半導体フィルムを形成するための方法の実施形態を使用する。ついで、電圧または電流が半導体フィルムに適用され、かつ、フィルムを通して検出され得るのに十分なように、半導体フィルムに電気接点が形成されてよい。このようにして、半導体フィルムの電気特性が、電子デバイス中で使用されてよい。
【0048】
図2は、本発明の実施形態にしたがって形成された太陽電池の概略図である。太陽電池200には、基質(基板)210、バック接点220、CZTSまたはCZTSSe吸収材230、半導体240、ウインドウ層250および接点260が含まれてよい。バック接点220と接点260は導電性であり、電圧および/または電流が、CZTSまたはCZTSSe吸収材層230を通して適用および/または検出されてよいように配置される。本明細書で記述された半導体フィルムを用いる電子デバイスのデザインは非常にフレキシブルであり、種々の構成が、半導体フィルムに対する電気接点のために可能であることが理解されるべきである。
【0049】
以上で言及したように、基質210は、本明細書で記述した半導体フィルムを支持するために好適な任意の基質を用いて実施されてよい。例には、ソーダ石灰ガラスを含むガラス、シリコーン、ポリマーまたは可塑性基質が含まれるが、限定はされない。基質210が平面基質として描写されている一方で、他の例において、本明細書で記述したフィルムとの統合のためにすでに基質上に組み立てられた他の機械構造または回路を有する基質を含む、パターン化された、または曲がった基質を使用してよい。
【0050】
バック接点220は、ソーダ石灰ガラス基質上のモリブデンコーティングのような、基質210への導電性コーティングとして実施されてよい。他の例において、異なる導電性材料を、アルミニウムまたは銅を含むが、限定はしない、バック接点220を実施するために使用してよい。バック接点220は、基質210にわたって伸長しているように描写されるが、他の例において、パターン化された接点であってよく、基質210と半導体フィルム230間の全境界にわたって伸長しなくてよい。他の例において、バック接点220は、「バック」ではないように、半導体フィルム230の反対の側上に形成されてよい。
【0051】
CZTSまたはCZTSSe吸収材230を、半導体フィルムを形成するために以上で記述した方法を用いて形成してよい。一般に、図2の太陽電池200、または電子デバイスの他の例において、本発明の実施形態にしたがって形成されたCZTSまたはCZTSSeフィルムは、p型半導体材料として機能してよい。
【0052】
半導体240は、CZTSまたはCZTSSeフィルム230とpn接合を形成するために、n型半導体材料として実施されてよい。半導体240は、硫化カドミウム(CdS)を含むが限定はしない、太陽電池での使用のために好適な任意の半導体材料として実施されてよい。半導体240は、化学槽堆積、ゾル−ゲル技術、有機金属化学気相成長法、スパッタリング、CZTSまたはCZTSSeフィルムの、CdS前駆体によるスプレー、スクリーン印刷またはこれらの組み合わせを含むが限定はされない、任意の製造技術を用いて、CZTSまたはCZTSSe吸収材230上で形成されてよい。
【0053】
ウインドウ層250は、透明な導電性フィルムを産する任意の好適な材料または材料組み合わせによって実施されてよい。ここで透明は、太陽電池200としてのデバイスの操作を許容するために、ウインドウ層250が、十分な量の光を、半導体240およびCZTSまたはCZTSSe吸収材230へ通過させうることを示唆するために使用する。したがって、ウインドウ層250は、100パーセント透明である必要はないが、ウインドウ層250によって通過した光の量が、太陽電池としてのデバイスの性能に関連しうる。ウインドウ層250を実施するために使用する材料には、i−ZnOのような酸化亜鉛、およびインジウムスズ酸化物(ITO)が含まれるが、限定はされない。これらの材料層の組み合わせを使用してよい。ウインドウ層250は、蒸発、物理的気相堆積、スパッタリングまたはこれらの組み合わせを含むが、限定はされない任意の好適な製造技術を用いて形成されてよい。
【0054】
接点260は、アルミニウム、銅、ニッケルまたはこれらの組み合わせを含むが、限定はされない任意の導電性材料または導電性材料の組み合わせを用いて実施されてよい。接点260は、堆積、リグラフィーおよびエッチングのための技術を含むが、限定はされない任意の好適な製造技術を用いてパターン化されてよい。例には、シャドウマスクを通した蒸発または堆積、スパッタリング、リグラフパーターン化および湿または乾エッチングが含まれる。
【0055】
本発明の実施形態のいくつかの利点が、記述された実施形態および実施例を理解することを補助するために、本明細書で議論されている。本明細書で議論された利点は、制限の意図はない。本発明のすべての実施例が、全ての記述された利点を示している訳ではなく、いくつかの実施例が、記述された利点のいくつかを示していなくてよい。それにも関わらず、本明細書で記述した発明の実施例は、高価でなく、非毒性であり、比較的豊富な開始材料からの薄フィルム半導体を提供しうる。さらに、本発明の実施例にしたがって産出された半導体フィルムの電気的品質は、比較的良好な品質のものであってよい。またさらに、本発明の例は、商業製造のために簡単にスケールアップされてよく、ほぼ全ての開始金属塩を用いて薄フィルムを産出しうる。
【0056】
実施例
半導体フィルムと、電子デバイス製造の例を、本発明の実施形態にしたがって以下で記述し、いくつかの実験結果を表す。材料および方法両方への多くの改変が、本開示物の範囲から逸脱することなしに実行されてよいことが当業者に明らかであろう。
【0057】
半導体フィルム形成
コーティング溶液を、0.8mmolのCu(CHCOO)・HO(99.99%、Aldrichより入手)、0.56mmolのZnCl(99.1%、MallinckrodtBakerより入手)、0.55mmolのSnCl・2HO(99.95%、Aldrichから入手)および2.64mmolのチオウレア(99%、Aldrichより入手)を、室温にて0.7mLジメチルスルホキシド(DMSO)(99%、Aldrichより入手)に溶解することによって、CZTSフィルムを形成するために調製した。Mo/SLG基質上にコーティング溶液をスピンコーティングし、続いてホットプレート上580℃にてアニーリングすることによって、CZTSフィルムを得た。スピンコーティングは、1500rpmにて1分間で実施した。アニーリングは、5ppmより少ないOおよびHOで、グローブボックス内部2.5分間実施した。コーティングおよびアニーリング段階を、1.4μmのCZTSフィルムを得るために、7回繰り返した。発生した総反応は以下のようでありうる。
2Cu(CHCOO)・HO+ZnCl+SnCl・2HO+4SC(NH→CuZnSnS(s)+4HCl(g)+4HNCN(g)+4CHCOOH(g)+3HO(g)
【0058】
図3は、結果的に得られた(a)合成したままのCZTS/Mo/SLGおよび(b)セレン化後のCZTSSe/Mp/SLGの粉x線(PXRD)パターンを図解している。
【0059】
太陽電池製造
r(10sccm)の流れるチューブ炉中のグラファイトボックス内500℃にて20分間、Se蒸気下アニーリングすることによって、以上で記述したCZTSフィルムをセレン化し、CuZnSn(SSe1−x(CZTSSe)吸収材を形成した。Se蒸気は、セレンペレット(99.99%、Aldrichより入手)を用いて提供した。図3(b)は、得られたセレン化半導体フィルムのPXRDパターンを図解している。
【0060】
エネルギー分散X線分光分析(EDX)を使用して、CZTSSeフィルム中のCu/(Zn/Sn)およびZn/Snの金属化学量論が、それぞれ0.79および1.13であることを推定した。
【0061】
流れているAr下室温まで冷却の後、CZTSSe/Mo/SLG基質をすぐに、CdSの化学槽堆積のための溶液中に浸した。槽は、65℃に維持されかつ、脱イオン水中183mlの脱イオンHO、31.25mLのNHOH(ACS試薬、Aldrichより入手)、25mlの0.015MCdSO(99%、Aldrichより入手)溶液、および12.5mLの1.5Mチオウレア(99%、Aldrichより入手)を含んだ。化学槽堆積を、チオウレアの添加によって開始し、そこで基質をチオウレア添加直後に中に浸した。CdSを17分間堆積させ、およそ50nm厚のCdS層を産出した。50nmのi−ZnOと続く250nmのITOを、RFマグネトロンスパッタリングによって堆積させた。Niと続いてAlを、上部電気接点を形成するために、シャドウマスクを通して熱的に蒸発させた。図4は、CZTSSeフィルムと、モリブデン接点上の透明導電性オキシド(TCO)層の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。上部接点は図4にて示されていない。
【0062】
図5、AM1.5G照射下でのCZTSSe太陽電池のI−V特性のプロットであり、これは、公式NREL一次基準電池でキャリブレートした認証済みの結晶Si二次基準電池でキャリブレートされたものである。出力変換効率(η)は、Voc=0.4V、Jsc=24.9mA/cmおよびFF=41.2%で4.1%であった。560Ωのシャント抵抗、8.3Ωの直列抵抗、および2.8のダイオード品質因子が測定された。線形外挿を用いて測定された量子効率データから推定される、CZTSSe吸収光学ギャップは1.07eVであった。
【0063】
図6は、太陽電池に関する(αhν対hνのプロットであり、挿入図がガラス上の、以上で記述した合成したままのCZTSの光透過性を示している。推定されるバンドギャップエネルギーは、1.48eVであり、無視できるほどの散乱と反射が推定される。
【0064】
以上から、本発明のある実施様態が、例示の目的のために本明細書で記述されるけれども、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに実施されてよいことが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6