(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774737
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】車両用照明装置、放熱装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/10 20060101AFI20150820BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20150820BHJP
F21W 101/10 20060101ALN20150820BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
F21S8/10 531
F21V29/70
F21W101:10
F21Y101:02
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-14401(P2014-14401)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-154554(P2014-154554A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2014年1月29日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0012308
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジフン
(72)【発明者】
【氏名】キム・スンミン
【審査官】
松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−242291(JP,A)
【文献】
特開2007−234449(JP,A)
【文献】
特開2012−209058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21V 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源モジュールから発生する熱を受ける第1の放熱モジュールと、
前記第1の放熱モジュールに延長され、前記の受けた熱を伝達する第1の部材と前記第1の部材から伝達される熱を光出射空間に放射する第2の部材とを含む第2の放熱モジュールと、を含み、前記第2の部材は、前記第1の部材の輻射放射率(Radiant Emission Characteristics)よりも高い材質である、放熱装置。
【請求項2】
前記第1の部材と前記第2の部材は、
熱伝導性が互いに異なる材質である請求項1に記載の放熱装置。
【請求項3】
前記第1の放熱モジュールと前記第1の部材は、熱伝導性金属を含む請求項1又は2に記載の放熱装置。
【請求項4】
前記第2の部材は熱伝導性材料を含む請求項3に記載の放熱装置。
【請求項5】
前記熱伝導性材料は、
PPS(Polyphenylene Sulfide)、LCP(Luquid Crystal Polymer)、PC(Polycarbonate)又はナイロンのうちいずれか1つである請求項4に記載の放熱装置。
【請求項6】
前記第1の部材の表面に輻射放射率増加用表面処理層をさらに含む請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の放熱装置。
【請求項7】
前記表面処理層は、
前記第1の放熱モジュールから遠ざかるほど輻射放射率が増加する請求項6に記載の放熱装置。
【請求項8】
前記表面処理層は、
陽極酸化(Anodizing)処理、CNT(Carbon Nanotube)やシリコンのコーティング層である請求項6又は7に記載の放熱装置。
【請求項9】
前記第1の部材及び前記第2の部材、
又は前記第1の放熱モジュール及び前記第2の放熱モジュールのうち少なくともいずれか1つはインサート射出成形による一体型構造である請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の放熱装置。
【請求項10】
前記第2の放熱モジュールは、
前記第1の部材と前記第2の部材が積層された積層部をさらに含む請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の放熱装置。
【請求項11】
前記第2の部材と前記積層部はインサート射出成形による一体型構造である請求項10に記載の放熱装置。
【請求項12】
前記第1の放熱モジュールの下部にヒートシンクをさらに含む請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の放熱装置。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の放熱装置と、
前記第1の放熱モジュール上に実装されて光を出射する光源モジュールと、
前記第2の部材の末端部に光学部材とをさらに含む照明装置。
【請求項14】
請求項13による放熱装置と、
前記第2の部材の端部に固定される車両用光学部材と、
前記第1の放熱モジュール上に実装されて前記車両用光学部材に光を出射する光源モジュールと、
を含む車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱装置とこれを含む照明装置及び車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)素子は、化合物半導体の特性を利用して電気信号を赤外線又は光に変換させる素子であって、蛍光灯とは異なり水銀などの有害物質を使用しないため、環境を汚染させる要因が少なく、従来の光源に比べて寿命が長いという利点を有している。なお、従来の光源に比べて消費電力が低く、高い色温度により視認性に優れ、眩しさが少ないという利点を有しており、近年、車両のヘッドランプの光源として多用されている。
【0003】
しかしながら、車両用ヘッドランプの場合、エンジン熱により基本的な環境温度が80℃に近く、密閉されていて放熱に脆弱であるので、内部温度の上昇はLEDの寿命に影響を及ぼすことになる。したがって、LEDから発生した熱を効果的に放出させることができる高性能の放熱システムが必要であり、LEDの放熱のためのファン(Fan)が採用されている。
【0004】
図1は、従来の車両ヘッドランプ用放熱構造を示す図である。
【0005】
従来の車両ヘッドランプ用放熱構造は、
図1に示すように、ヘッドランプハウジング10の内側に形成されるLEDモジュール20、前記LEDモジュール20の底面に形成されるヒートシンク30、及び前記ヒートシンク30の下部に設けられる冷却ファン40を含む。
【0006】
即ち、従来の車両ヘッドランプ用放熱構造は、LEDモジュール20の底面に形成されたヒートシンク30によりLEDモジュールから発生する熱を外部に放出する一方、前記冷却ファン40により前記ヒートシンク30を冷却させて放熱効率性を向上させる。
【0007】
しかしながら、従来の車両ヘッドランプ用放熱構造は、
図1に示すように、別途の冷却ファン40を取り付けることにより、コスト及び車両の重量を増加させ、スペースの活用性を低下させるのみでなく、前記冷却ファン40が長時間の使用により過熱され、これにより熱風が形成されて冷却性を低下させるという問題点があった。
【0008】
なお、LEDの寿命と共に冷却ファンの寿命も減らす恐れがあり、低消費電力を追求するLEDヘッドランプに別途の電気モータを適用しなければならないという問題点もあった。
【0009】
なお、LEDはHID(High Intensity Discharge)やハロゲン光源とは異なり、赤外線や紫外線がほとんど発生しないので、雪などによりヘッドランプが氷結する問題点もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであって、互いに異なる熱伝導性材料からなる第2の放熱モジュールを形成してファンを省略することにより、製造コストの低減、軽量化及びスペースの活用性を増加させることができるのみでなく、光出射空間への熱放射により光学部材の融雪(Snow Melting)、霜取り(Defrosting)、露取り(Demisting)、曇り防止(Defogging)効果を実現できる放熱装置及び照明装置を提供する。
【0011】
なお、第1の放熱モジュールと第2の放熱モジュールをインサート射出成形によって一体に形成することにより、放熱性を高めることができる放熱装置及び照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するための本発明の実施形態による放熱装置は、光源モジュールから発生する熱を受ける第1の放熱モジュールと、前記第1の放熱モジュールに延長され、前記の受けた熱を伝達する第1の部材および光出射空間が形成され、前記第1の部材から伝達される熱を前記光出射空間に放射する第2の部材を含む第2の放熱モジュールと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によると、互いに異なる熱伝導性材料を含む第2の放熱モジュールを備えることにより、ファンの省略が可能であり、ファンの省略によるコストの低減、軽量化及びスペースの活用性を増加させることができる効果のみでなく、第2の部材による熱放射により、光学部材の融雪、霜取り、露取り、曇り防止効果を実現することができるという利点を有する。
【0014】
なお、インサート射出成形により第1の放熱モジュールと第2の放熱モジュールを一体型に形成することにより、ファンとヒートシンクを省略しても放熱性を向上させることができる効果を有するようになる。
【0015】
なお、第1の部材の表面に表面処理層を形成することにより、第2の部材の輻射放射率(Radiant Emission Characteristics)が低くても、第1の部材により熱放射効果を極大化させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来の車両ヘッドランプ用放熱構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による放熱装置を含む照明装置の構造の一実施形態を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による放熱装置を含む照明装置の構造の一実施形態を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による放熱装置を含む照明装置の構造の一実施形態を示す図である。
【
図5】ファンが備えられた従来の車両用照明装置と本発明の実施形態による車両用照明装置の放熱性能に対する実験結果を示す図である。
【
図6】一般的なプラスチック材のベゼルが適用された車両用照明装置と本発明の実施形態による熱伝導性樹脂を適用した車両用照明装置のアウトレンズの透過シミュレーションの結果を示す図である。
【
図7】表面処理層がない放熱装置と本発明の実施形態による表面処理層が形成された放熱装置の熱抵抗に対する実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できる望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施形態により限定されるものではない。本明細書に亘って同じ構成要素に対しては同じ符号を付し、これについての重複説明は省略する。
【0018】
本発明の実施形態は、放熱装置及び照明装置に関するものであり、熱伝導性樹脂と金属からなる第2の放熱モジュールを形成することにより、放熱効果を向上させ、且つファンの省略が可能であり、光学部材の融雪(Snow Melting)、霜取り(Defrosting)、露取り(Demisting)、曇り防止(Defogging)効果を実現する放熱装置及び照明装置の構造を提供することを要旨とする。
【0019】
なお、本発明の実施形態による放熱装置及び照明装置は、照明を必要とする様々なランプ装置、例えば車両用照明装置、家庭用照明装置、産業用照明装置への適用が可能である。例えば車両用ランプに適用する場合には、ヘッドライト、後方ライトなどにも適用が可能であり、これ以外にも、現在開発されて市販されているか、今後の技術発展に伴って実現可能な全ての照明関連分野に適用可能であろう。
【0020】
図2は、本発明の放熱装置を含む照明装置の構造の一実施形態を示す図である。
【0021】
図2を参照すると、本発明による放熱装置は、光源モジュール310から発生した熱を受ける第1の放熱モジュール100と、前記第1の放熱モジュール100から伝達された熱を光出射空間に放射する第2の放熱モジュール200とを含んでなる。また、本発明による照明装置は、ハウジング330内の前記第2の放熱モジュール200の端部に固定される光学部材320と、前記第1の放熱モジュール100上に実装され、前記光学部材320に光を出射する光源モジュール310とを含んでなる。
【0022】
第1の放熱モジュール100は、上部に実装された光源モジュール310から発生した熱を受ける。そのために、第1の放熱モジュール100は、熱伝導性の高い金属、例えば、Al、Cu、Ag、Cr、及びNiなどからなることが望ましい。本発明は、
図2に示すように、第1の放熱モジュール100の下部にヒートシンクを配置しなくても優れた放熱効果を実現することができる。もちろん、放熱性をさらに増加させるためには、ヒートシンクを第1の放熱モジュール100の下部に配置できることは自明であろう。
【0023】
第1の放熱モジュール100の上部に実装される光源モジュール310は、プリント回路基板及びプリント回路基板に実装されて光を出射する発光素子を含み、前記発光素子は発光ダイオード(LED)であることが望ましい。
【0024】
第2の放熱モジュール200は、前記第1の放熱モジュール100に延長され、前記第1の放熱モジュール100から受けた熱を伝達する第1の部材210と、光出射空間を形成し、前記第1の部材210から伝達される熱を前記光出射空間に放射する第2の部材230とを含んでなる。前記第1の部材210と第2の部材230は、分離可能な構造で作製することができる。図では、第1の部材210が、第2の部材230の下部に配置されているが、これとは逆に、第2の部材が第1の部材の下部に配置されても良い。
【0025】
このとき、前記第1及び第2の部材210、230は、熱伝導性が互いに異なる材料からなることが望ましい。より具体的には、第1の部材210は、前記第1の放熱モジュール100のように熱伝導性の高い金属であるAl、Cu、Ag、Cr、及びNiなどからなることが望ましい。第2の部材230は、前記第1の部材210よりも輻射放射率の高い熱伝導性材料からなるが、より具体的には、PPS(Polyphenylene Sulfide)、LCP(Luquid Crystal Polymer)、PC(Polycarbonate)又はナイロンのうちいずれか1つからなる熱可塑性樹脂と熱伝導性フィラー(Filler)からなることが望ましい。このとき、前記熱伝導性フィラーは、例えば、金属酸化物(metal oxide)、金属炭化物(metal carbide)、金属粉末(metal powder)などの金属系、グラファイト、炭素繊維などの炭素系又はセラミック金属炭素系の混合物からなる。
【0026】
光学部材320は、前記第2の部材230の端部に固定されて光を外部に出射させる。前記光学部材320は、レンズ、透明基板又は半透明基板などのように光源から出射される光を外部に出力する全ての光学基板を含むことができる。そのために、車両用照明装置の場合、車両用光学部材は、例えば、ヘッドランプやリアランプのアウターレンズである。
【0027】
なお、本発明による放熱装置及び照明装置は、輻射放射率を高めるために、前記第1の部材210の表面に表面処理層(図示せず)を形成することができる。このとき、前記表面処理層は、陽極酸化(Anodizing)処理、CNT(Carbon Nanotube)又はシリコンのコーティング、粉体塗装により形成でき、第1の放熱モジュール100から離隔されるほど輻射放射率が増加するように形成することが望ましい。
【0028】
本発明によると、光源モジュール310から発生した熱は、熱伝導性金属からなる第1の放熱モジュール100が受けて第1の部材210によって伝達され、熱可塑性樹脂を含む第2の部材230により放出される。特に、前記第2の部材230による直接的な熱伝達は、熱伝導性の高い材料からなる第1の部材210に比べて低いが、輻射放射率の高い熱伝導性材料からなっているので、第1の部材210に比べて光出射空間へより多くの熱が放射される。これにより、光出射空間に放射される熱により光学部材320の表面温度が上昇し、光学部材320の表面に積雪した雪、凍結などを融雪(Snow Melting)したり、霜取り(Defrosting)、露取り(Demisting)、曇り防止(Defogging)などが可能になる。また、本発明は、従来のようなファンを備えなくても、放熱効果を向上させることができ、ファンの省略により製造コストを低減させ、重量を減らすことができるのみでなく、スペースの活用性も向上させることができる。
【0029】
図3及び
図4は、本発明の放熱装置を含む照明装置の構造についての他の実施形態を示す図である。以下、
図2と重複する構成要素については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0030】
図3は、第1の放熱モジュール100と第2の放熱モジュール200がインサート射出成形によって一体型に形成された構造の側断面を示す図であり、
図4は、
図3における照明装置にヒートシンク340を加えた構造の側断面を示す図である。
【0031】
図2で、第2の部材230に適用される熱可塑性樹脂の場合、熱伝導性フィラーによって異方性を有するようになるが、一般的な熱伝導性樹脂は、平面(In-Plane)方向に比べて貫通面(Through-Plane)方向の熱伝導性が相対的に小さいので、垂直方向に熱を伝達することが容易ではなく、第1の部材210と第2の部材230との接触抵抗が高くて放熱効率を低下させる可能性もある。これにより、本発明の他の実施形態では、
図3に示すように、第1の放熱モジュール100と第2の放熱モジュール200がインサート射出成形によって一体型に形成されることにより、熱伝導をより容易にし、第1の部材210と第2の部材230間の接触抵抗を減少させて放熱効果を増大させるのみでなく、組み立て性も改善させることができるようになる。
【0032】
特に、第2の放熱モジュール200には、第1の部材210と第2の部材230が積層して結合された構造の積層部220を形成できるが、前記積層部220は、第1の部材210の上部面に第2の部材230が積層して結合された構造であっても良いが、放射率の増加と外部からの眩しさを防ぐためには、
図3でのように第2の部材230の上部面に第1の部材210が積層して結合された構造であることが望ましい。これにより、熱伝導性の高い金属からなる第1の部材210が熱を主導的に伝達し、第2の部材230が光出射空間に熱を放射できるようになる。
【0033】
図3には、第1の放熱モジュール100と第2の放熱モジュール200の全てがインサート射出成形によって一体に形成されることが示されているが、必ずしもこれに限定されるのではなく、又他の実施形態として、第1の部材210と第2の部材230のみがインサート射出成形によって一体型に形成されても良く、第2の部材230と積層部220のみがインサート射出成形によって一体型に形成されても良い。
【0034】
以下の表1は、本発明による
図3の照明装置と従来の車両用照明装置の熱拡散部材に応じた熱抵抗を比較したものである。
【表1】
【0035】
前記表1でのAは、LED、電気モータ、エンジンが主な熱源であって、ヒートパイプとヒートシンクにより熱を拡散させ、Bは、LEDが主な熱源であって、ファンとヒートシンクにより熱を拡散させ、Cは、LED、電気モータ及びエンジンが主な熱源であって、ヒートシンクにより熱を拡散させ、本発明のDは、LEDとエンジンが主な熱源であって、第1及び2の放熱モジュールにより熱を拡散させる。
【0036】
前記表1から分かるように、本発明は、ファンやヒートシンクを備えなくても、最も低い熱抵抗を示しており、最も優れた放熱性能を備えていることを確認することができる。このような本発明の放熱性能により、融雪(Snow Melting)、霜取り(Defrosting)、露取り(Demisting)、曇り防止(Defogging)効果を実現することができる。
【0037】
さらに、Aは、ヒートパイプとヒートシンクを熱拡散部材として用いることにより、高重量であるという問題点を有し、Bは、ファンとヒートシンクを熱拡散部材として用いることにより、ファンの信頼性、騒音、コスト高の問題点があり、Cは、大型放熱板としてのヒートシンクのみを熱拡散部材として用いることにより、高重量であるという問題点を有するが、本発明は、ファンとヒートシンクを備えなくても、上述した優れた放熱性能の以外に、最大80%重量を減らすことができるのみでなく、騒音及び信頼性の確保問題を解決できる効果も実現することができる。
【0038】
図2で説明したように、本発明による放熱装置及び照明装置は、ヒートシンクがなくても、優れた放熱効果を実現できるが、放熱性をより増加させるために、
図4に示すように、第1の放熱モジュール100の下部にヒートシンク340を配置しても良い。また、
図2で説明した表面処理層は、
図3及び
図4の照明装置にも適用することが可能である。
【0039】
図5及び以下の表2は、ファンが備えられた従来の車両用照明装置と本発明による車両用照明装置のレンズの内部及び表面温度を比較した放熱性能の実験結果を示す。
【表2】
【0040】
図5及び表2には、ファンの省略された本発明による車両用照明装置が、ファンの備えられた従来の車両用照明装置に比べ、レンズの内部及び表面温度をより短時間内に上昇させるのみでなく、レンズの内部及び表面の最高温度もより高めることができることが示されている。これにより、本発明は、従来の車両用照明装置に比べて放熱性のみでなく、放射率もより高く、ファンの省略にも関わらず、より優れた放熱効果を実現し、光学基板に積雪した雪や氷結を溶かすことができる融雪(Snow Melting)、霜取り(Defrosting)、露取り(Demisting)、曇り防止(Defogging)効果も実現できることが分かる。
【0041】
図6は、本発明による第2の部材に熱可塑性樹脂を適用した車両用照明装置Aと一般的なプラスチック材のベゼルが適用された車両用照明装置Bのアウトレンズの透過シミュレーションの結果を示したものである。
【0042】
図6には、AとBの両方が同じ条件のアウトレンズ(屈折率:1.56、吸収係数:3.8[cm
-1]、散乱係数:12.8[cm
-1])を装着し、Aでは第2の部材として熱伝導率が5W/mKである熱可塑性樹脂を適用し、Bでは、熱伝導率が0.2W/mKであるポリカーボネートを適用した結果、AがBに比べて4Wの追加熱を放出できることが示されている。これにより、本発明での第2の部材により放射効率が向上し、レンズの外部の熱流束(Heat Flux)が増加することにより、融雪、霜取り、露取り、曇り防止効果を実現できることが分かる。
【0043】
図7は、表面処理層がない放熱装置と本発明による表面処理層が形成された放熱装置の熱抵抗に対する実験結果を示したものである。
【0044】
図7には、陽極酸化(Anodizing)処理、CNT(Carbon Nanotube)やシリコンコーティング又は粉体塗装などによって表面処理層の形成された本発明による放熱装置が、表面処理層の形成されていない放熱装置に比べ、最大20%以上の放射率を増加させることができることが示されている。これにより、第2の部材の輻射放射率が低くても、第1の部材の表面に形成された表面処理層により放射率を改善させることができることが分かる。
【符号の説明】
【0045】
10、 330 ハウジング
20 LEDモジュール
30、 340 ヒートシンク
40 冷却ファン
100 第1の放熱モジュール
200 第2の放熱モジュール
210 第1の部材
220 積層部
230 第2の部材
310 光源モジュール
320 光学部材