特許第5774762号(P5774762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5774762
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/68 20060101AFI20150820BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20150820BHJP
   C11D 3/382 20060101ALI20150820BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20150820BHJP
   B08B 1/00 20060101ALI20150820BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20150820BHJP
   C11D 1/88 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   C11D1/68
   C11D3/20
   C11D3/382
   B08B3/08
   B08B1/00
   C11D1/04
   C11D1/88
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-230899(P2014-230899)
(22)【出願日】2014年11月13日
【審査請求日】2014年11月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守屋 貴弘
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−018952(JP,A)
【文献】 特開2009−173641(JP,A)
【文献】 特開平10−158690(JP,A)
【文献】 特開2014−031334(JP,A)
【文献】 特開平09−048999(JP,A)
【文献】 特開2003−284489(JP,A)
【文献】 特開2000−129287(JP,A)
【文献】 特開2000−129292(JP,A)
【文献】 特開2009−173768(JP,A)
【文献】 特開2001−011496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノールと、
ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステルを含む少なくとも2種の界面活性剤とを含有し、
エタノール含有量が37.88〜85.70重量%であり、
ショ糖脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルの合計量が1.7重量%以下であり、
食品添加物であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤が、さらに、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択された少なくとも1種の界面活性剤を含む請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記ショ糖脂肪酸エステルのHLBが10.5〜20であり、
前記グリセリン脂肪酸エステルのHLBが3〜10である請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8〜18であるショ糖脂肪酸エステルを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、及び、ショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種を含有する請求項4に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステルを含有する請求項5に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステルと他の種類のショ糖脂肪酸エステルとを含有し、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ラウリン酸エステルの割合が70重量%以上、100重量%未満である請求項4〜6のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の洗浄剤組成物を洗浄対象物の表面に塗布し、布で拭き取りを行うことにより洗浄対象物の表面を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食堂のテーブルやトレー等の拭き掃除は、水拭きで行われる他、洗浄剤組成物を用いて行われることもある。このような用途に用いられる洗浄剤組成物としては、掃除する対象物(テーブルやトレー等)に残留しても支障のない成分で構成されている組成物が好ましい。
【0003】
食品を扱う業者にとっては、取り扱う組成物に含まれる成分が食品添加物として認められているかは重大な関心事である。食品添加物として認められている成分のみを配合する洗浄剤組成物であれば、食品添加物からできた洗浄剤組成物であると表示しても差し支えなく、食品添加物であれば掃除する対象物に多少残留したとしても支障がないと考えられる場合が多い。そのため、洗浄剤組成物が「食品添加物」として認められていれば、食品を扱う環境で使用する組成物として適しているといえる。また、洗浄剤組成物の製品に「食品添加物」と表示することができれば使用者に安心感を与えることができるという点でも有用である。
【0004】
特許文献1には、食品添加物成分である界面活性剤を配合したハンドスプレー形態の洗浄剤組成物が開示されている。具体的には、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルと、10〜30重量%のエタノールと他の成分を含む組成物が開示されている。
また、特許文献2には、ショ糖脂肪酸エステルとエタノールを配合したエアゾール用の洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−24303号公報
【特許文献2】特開平9−3488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、食品添加物成分に加えてエタノールを含む組成物が開示されているが、この文献におけるエタノールの含有量は10〜30重量%である。
ここで、エタノールを主成分とするアルコール製剤は、ミンチ肉などの食品に混ぜ込んだり、食品容器や食品を加工する器具、機械などに噴霧することで鮮度保持剤や除菌剤として使用されている。そして、このような用途に使用されるアルコール製剤のうち、食品添加物として認められているものがある。
エタノールを主成分とするアルコール製剤が食品添加物となるためには、製剤中のエタノールの濃度が45度(37.88重量%)以上で90度(85.70重量%)未満であることが必要となる[アルコール製剤(食品添加物)自主基準 日本食品洗浄剤衛生協会 制定]。
【0007】
上記基準に照らすと、特許文献1に記載されたようなエタノール含有量が低い組成物は、仮に食品添加物成分である界面活性剤とエタノールからなる組成物であっても、組成物全体としては食品添加物であるとはいえない。
組成物全体として「食品添加物である」と表示するためにはエタノールの含有量を37.88〜85.70重量%の範囲内とすることが必要であるが、このような高いエタノール濃度とした場合に、鮮度保持剤や除菌剤としての効能とは別に洗浄剤としての効能がどの程度あるかについては把握されていなかった。
【0008】
特許文献2には、6〜60重量%のエタノールと0.5〜60重量%のショ糖脂肪酸エステルを含有する洗浄剤組成物が開示されており、エタノール濃度が50重量%である組成物が実施例として開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の組成物は洗浄力の観点では不充分であった。
【0009】
以上のことから、本発明は、エタノールを主成分とした食品添加物としての表示が可能であり、かつ、洗浄剤として優れた性能を有する洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、エタノールの含有量が食品添加物として認められる37.88〜85.70重量%の範囲内となる組成物を調製し、そのような組成物が洗浄剤組成物として使用可能であるか検討した。
その結果、エタノールの含有量を37.88〜85.70重量%として、食品添加物として認められている界面活性剤を少なくとも2種配合した洗浄剤組成物が油汚れ等の汚れに対する洗浄性も有することを見出し、本発明に想到した。
【0011】
すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、エタノールと、
グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択された少なくとも2種の界面活性剤とを含有し、
エタノール含有量が37.88〜85.70重量%であることを特徴とする。
【0012】
本発明の洗浄剤組成物は、エタノール含有量が37.88〜85.70重量%であり、エタノールの他に含まれる界面活性剤はいずれも食品添加物として認められる成分であるため、組成物全体が食品添加物と表示して差し支えない組成となっている。
そして、上記界面活性剤を少なくとも2種含む洗浄剤組成物は、洗浄力に優れる。
【0013】
本発明の洗浄剤組成物においては、上記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステルを少なくとも含み、さらに、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択された少なくとも1種の界面活性剤を含むことが好ましい。
また、本発明の洗浄剤組成物においては、上記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステルを少なくとも含むことが好ましい。
【0014】
ショ糖脂肪酸エステルは、食品添加物成分として認められている界面活性剤であり、ショ糖脂肪酸エステルを含み、さらに他の界面活性剤と組み合わせた組成とすることによって洗浄力がより効果的に発揮される。そして、ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステルをともに含むと洗浄力がさらに効果的に発揮される。
【0015】
さらに、本発明の洗浄剤組成物においては、上記ショ糖脂肪酸エステルのHLBが10.5〜20であり、上記グリセリン脂肪酸エステルのHLBが3〜10であることが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルのHLBとグリセリン脂肪酸エステルのHLBとの組み合わせを上記範囲とすることにより、油脂汚れ等の溶解性に優れ、保管時に沈殿物や濁りの生じにくい透明度の高い洗浄剤組成物となる。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物において、上記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、及び、ショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種を含有することが好ましい。
また、本発明の洗浄剤組成物において、上記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステルを含有することが好ましい。さらに、上記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステルと他の種類のショ糖脂肪酸エステルとを含有し、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ラウリン酸エステルの割合が70重量%以上、100重量%未満であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の洗浄剤組成物は、食品添加物であることが好ましい。
洗浄剤組成物が食品添加物であれば、洗浄剤組成物の製品に「食品添加物」と表示することができ、使用者に安心感を与えることができる。
【0018】
また、本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物を洗浄対象物の表面に塗布し、布で拭き取りを行うことにより洗浄対象物の表面を洗浄することを特徴とする。
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄力に優れるため洗浄対象物の表面に付着した汚れを洗浄することができる。そして、組成物全体が食品添加物と表示して差支えない組成であるため、仮に洗浄対象物の表面に洗浄剤組成物が多少残留したとしても支障がない。
そのため、洗浄剤組成物を洗浄対象物の表面に塗布し、布で拭き取るという単純な工程によって洗浄作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の洗浄剤組成物は、エタノールを主成分とした食品添加物としての表示が可能であり、かつ、洗浄剤として優れた性能を有する洗浄剤組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例1における洗浄力試験の結果をそれぞれ示す写真である。
図2図2は、実施例4における洗浄力試験の結果をそれぞれ示す写真である。
図3図3は、実施例5における洗浄力試験の結果をそれぞれ示す写真である。
図4図4は、比較例1における洗浄力試験の結果をそれぞれ示す写真である。
図5図5は、比較例3における洗浄力試験の結果をそれぞれ示す写真である。
図6図6は、比較例4における洗浄力試験の結果をそれぞれ示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の洗浄剤組成物について、詳しく説明する。
本発明の洗浄剤組成物は、エタノールと、
グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択された少なくとも2種の界面活性剤とを含有し、
エタノール含有量が37.88〜85.70重量%であることを特徴とする。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物はエタノールを主成分として含んでおり、エタノール含有量が37.88〜85.70重量%(45度〜90度)であるため、アルコール(エタノール)を主剤とし食品添加物を副剤とするアルコール製剤(食品添加物)に該当する。
また、エタノールは、一般社団法人アルコール協会が制定したアルコール協会規格 JAAS001:2012「エタノール」記載の発酵アルコールの品質規格に適合するエタノールであることが好ましい。
【0023】
本発明の洗浄剤組成物は、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択された少なくとも2種の界面活性剤を含有する。
これらの界面活性剤は、食品添加物として認められた添加物である。
また、界面活性剤がショ糖脂肪酸エステルを少なくとも含み、さらに、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択された少なくとも1種の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0024】
洗浄剤組成物に占める界面活性剤の割合は、洗浄剤組成物に対して0.05〜20重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましく、0.2〜10重量%であることがさらに好ましい。
また、界面活性剤の割合は、エタノール含有量に対して50重量%以下であることが好ましく、かつ、洗浄剤組成物に対して20重量%以下であることが好ましい。
また、「食品衛生法」及び「食品、添加物等の規格基準」で使用基準が定められている食品添加物については、それらの基準に従う量を配合することが好ましい。
界面活性剤を複数種類含む場合は、界面活性剤の含有量はそれらの合計量として定める。
【0025】
グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンに脂肪酸が1つ結合したエステルであるモノグリセリド、グリセリンに脂肪酸が2つ結合したエステルであるジグリセリド、グリセリンに脂肪酸が3つ結合したエステルであるトリグリセリド、及び、モノグリセリドとジグリセリドの混合物(モノ・ジグリセリド混合物)が挙げられる。
モノグリセリドとしては、グリセリンカプリル酸エステル、グリセリンカプリン酸エステル、グリセリンラウリン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、グリセリン12−ヒドロキシステアリン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステル等が挙げられる。また、ジグリセリド、トリグリセリドとしては、上記モノグリセリドの脂肪酸が2つ又は3つ結合したジグリセリド、トリグリセリドが挙げられ、モノ・ジグリセリド混合物としては上記モノグリセリドとジグリセリドの混合物が挙げられる。
【0026】
また、グリセリン脂肪酸エステルの他の例としては、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。
グリセリン有機酸脂肪酸エステルとしては、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステル類としては、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ジグリセリンカプリル酸エステル、ジグリセリンラウリン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステル、テトラグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンカプリン酸エステル等が挙げられる。
【0027】
これらのグリセリン脂肪酸エステルの中では、グリセリンカプリル酸エステル、グリセリンカプリン酸エステル、グリセリンラウリン酸エステル、ジグリセリンカプリル酸エステルが好ましい。
【0028】
グリセリン脂肪酸エステルは、これらのうちから1種又は複数種を組み合わせて用いることができる。
洗浄剤組成物におけるグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜5重量%であることがより好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルを複数種類含む場合、その含有量はそれらの合計量として定める。
また、グリセリン脂肪酸エステルのHLBは3〜10であることが好ましい。
なお、本明細書におけるHLBはグリフィン法により定められる値である。
グリセリン脂肪酸エステルを複数種類含む場合のHLBは、各グリセリン脂肪酸エステルのHLBに重量比を乗じた平均値として定める。
【0029】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖べヘン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。
これらの中では、脂肪酸の炭素数が8〜18であるショ糖脂肪酸エステルが好ましく、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、及び、ショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種を含有することがより好ましい。
【0030】
また、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステルを含有することが好ましい。
また、ショ糖ラウリン酸エステルと他の種類のショ糖脂肪酸エステルを含有することが好ましく、この場合、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ラウリン酸エステルの割合が70重量%以上、100重量%未満であることが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルは、主成分としてのショ糖脂肪酸エステルと他のショ糖脂肪酸エステルの混合物として流通していることがある。
主成分としてのショ糖脂肪酸エステルがショ糖ラウリン酸エステルである場合、入手可能なショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ラウリン酸エステルの割合が約99重量%であり、ほぼショ糖ラウリン酸エステルの純品とみなせる製品(リョートー(登録商標)シュガーエステル L−1695 三菱化学フーズ株式会社製)や、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ラウリン酸エステルの割合が約70重量%であり、残り約30重量%は他の種類のショ糖脂肪酸エステル(ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル等)である混合物としての製品(リョートー(登録商標)シュガーエステル LWA−1570 三菱化学フーズ株式会社製)がある。
【0031】
また、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖の持つ8個の水酸基に脂肪酸がエステル結合する数を調整することによりモノエステル、ジエステル、トリエステル、ポリ(結合数4以上)エステルが得られる。(モノエステル含量):(ジ、トリ、ポリエステルの合計含量)の比率を調整することによってHLBの異なる界面活性剤となる。
本明細書において、単にショ糖脂肪酸エステルという場合は、特別に記載がなければ、モノエステル、ジエステル、トリエステル、ポリ(結合数4以上)エステル等を区別せず、1種類のエステルのみの場合、及び、複数種類のエステルの混合物の両方を含むものとする。
一般に入手可能なショ糖脂肪酸エステルは、(モノエステル含量):(ジ、トリ、ポリエステルの合計含量)の比率が所定の範囲に調整され、HLBが異なる製品として販売されている。一般的にモノエステル含量が多いとHLBが大きくなり、ジ、トリ、ポリエステルの合計含量が多いとHLBが小さくなる。
ショ糖脂肪酸エステルのHLBは10.5〜20であることが好ましく、ショ糖脂肪酸エステルを複数種類含む場合のHLBは、各ショ糖脂肪酸エステルのHLBに重量比を乗じた平均値として定める。
【0032】
ショ糖脂肪酸エステルは、これらのうちから1種又は複数種を組み合わせて用いることができる。
洗浄剤組成物におけるショ糖脂肪酸エステルの含有量は、0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルを複数種類含む場合、その含有量はそれらの合計量として定める。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物は、グリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルを少なくとも含むことが好ましい。この2種類の界面活性剤の併用により洗浄力がさらに効果的に発揮される。そして、洗浄剤組成物中にグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルを含む場合には、HLBの高いショ糖脂肪酸エステルとHLBの低いグリセリン脂肪酸エステルを併用することが好ましく、ショ糖脂肪酸エステルのHLBを10.5〜20とし、グリセリン脂肪酸エステルのHLBを3〜10とすることにより、油脂汚れ等の溶解性に優れ、保管時に沈殿物や濁りの生じにくい透明度の高い洗浄剤組成物となる。
また、グリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルを含む場合に、その重量比率が、(ショ糖脂肪酸エステル/グリセリン脂肪酸エステル)=1/2以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましい。
また、その重量比率が、(ショ糖脂肪酸エステル/グリセリン脂肪酸エステル)=100以下であることが好ましい。
【0034】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンラウリン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステル等のソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジステアリン酸エステル等のソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル、ソルビタントリべへン酸エステル等のソルビタントリ脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0035】
プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、脂肪酸とプロピレングリコールのエステル又は油脂とプロピレングリコールのエステル交換物が挙げられる。
具体的には、プロピレングリコールラウリン酸エステル、プロピレングリコールパルミチン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコールオレイン酸エステル、プロピレングリコールベヘン酸エステル等が挙げられる。
【0036】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリソルベート20(Tween20)、ポリソルベート60(Tween60)、ポリソルベート65(Tween65)、ポリソルベート80(Tween80)等のポリソルベート類が挙げられる。
ポリソルベート類は、ソルビトールと脂肪酸をアルカリ触媒下で加熱反応させることによって生成するソルビタン脂肪酸エステルに、エチレンオキシドを縮合反応させることによって得られるソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテルである。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物には、エタノールと上記界面活性剤の他に、食品添加物として認められているその他の食品添加物成分を配合してもよい。また、残部としての水を配合してもよい。
その他の食品添加物成分としては、有機酸及び有機酸塩が挙げられる。
有機酸としてはリンゴ酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸、グルコン酸、アジピン酸、フィチン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、安息香酸、プロピオン酸、及び、マレイン酸からなる群から選択された少なくとも1種が挙げられる。
また、有機酸塩としてはリンゴ酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸、グルコン酸、アジピン酸、フィチン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、安息香酸、プロピオン酸、及び、マレイン酸からなる群から選択された少なくとも1種の有機酸の塩が挙げられる。塩としてはアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。
これらの有機酸及び/又は有機酸塩を配合した本発明の洗浄剤組成物は洗浄効果だけでなく、ノロウイルスを原因とした食中毒対策にも有用となる。
また、ノロウイルス以外の他のウイルスや細菌を原因とした食中毒対策にも有用となる。
【0038】
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の洗浄方法に使用することができる。
本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物を洗浄対象物の表面に塗布し、布で拭き取りを行うことにより洗浄対象物の表面を洗浄することを特徴とする。
洗浄対象物としては食堂のテーブル、椅子、床、ショーケース、厨房部材等が挙げられ、特に限定されるものではない。
本発明の洗浄剤組成物をハンドスプレーガンにより洗浄対象物に吹き付けて塗布してもよい。ハンドスプレーガンで使用するためには洗浄剤組成物の粘度を適当な範囲にすることが好ましく、E型粘度計により測定した粘度が、回転数20rpm、20℃において0〜300mPa・sであることが好ましい。
なお、粘度が0mPa・sであるとは粘度計での測定の下限値以下の粘度であることを意味する。
また、洗浄剤組成物に増粘剤を添加することによりその粘度を調整することができる。増粘剤として食品添加物である増粘剤が好ましく、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
また、本発明の洗浄剤組成物を布に含浸させた布を用いて洗浄対象物の表面に洗浄剤組成物を塗布して拭き上げる洗浄方法も本発明の洗浄方法に含まれる。洗浄剤組成物を塗布する布と、拭き上げる布は同じ布であっても異なる布であってもよい。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、エタノール、界面活性剤及びその他の食品添加物成分を混合し、ミキサーを用いて撹拌する方法などによって製造することができる。
【実施例】
【0040】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において洗浄剤組成物の調製に使用した原料は以下のとおりである。
(1)エタノール
エタノール(95度発酵アルコール1級 第一アルコール株式会社製)
(2)界面活性剤
(a)グリセリン脂肪酸エステル
グリセリン脂肪酸エステル(1):グリセリンカプリル酸エステル[ポエム(登録商標)M−100 理研ビタミン株式会社製]、HLB=7
グリセリン脂肪酸エステル(2):グリセリンカプリン酸エステル[サンソフト(登録商標)No.760−C 太陽化学株式会社製]、HLB=6.8
グリセリン脂肪酸エステル(3):ジグリセリンカプリル酸エステル[SYグリスター(登録商標)MCA−150 阪本薬品工業株式会社製]、HLB=8.7
グリセリン脂肪酸エステル(4):デカグリセリンカプリン酸エステル[SYグリスター(登録商標)MCA−750 阪本薬品工業株式会社製]、HLB=16.1
(b)ショ糖脂肪酸エステル
ショ糖脂肪酸エステル(1):ショ糖ラウリン酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステル LWA−1570 三菱化学フーズ株式会社製)、HLB=15、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ラウリン酸エステルの割合が約70重量%であり、残り約30重量%は他の種類のショ糖脂肪酸エステル(ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル等)である混合物、(モノエステル含量):(ジ、トリ、ポリエステルの合計含量)=約70:約30、ショ糖脂肪酸エステルの濃度が40重量%、エタノール4重量%、水56%の混合物
ショ糖脂肪酸エステル(2):ショ糖ラウリン酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステル L−1695 三菱化学フーズ株式会社製)HLB=16、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ラウリン酸エステルの割合が約99重量%、(モノエステル含量):(ジ、トリ、ポリエステルの合計含量)=約80:約20
ショ糖脂肪酸エステル(3):ショ糖ミリスチン酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステル M−1695 三菱化学フーズ株式会社製)HLB=16、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ミリスチン酸エステルの割合が約99重量%、(モノエステル含量):(ジ、トリ、ポリエステルの合計含量)=約80:約20
ショ糖脂肪酸エステル(4):ショ糖ステアリン酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステル S−1170 三菱化学フーズ株式会社製)HLB=11、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ステアリン酸エステルの割合が約70重量%であり、残り約30重量%はショ糖パルミチン酸エステルである混合物、(モノエステル含量):(ジ、トリ、ポリエステルの合計含量)=約55:約45
ショ糖脂肪酸エステル(5):ショ糖ステアリン酸エステル(DKエステルSS 第一工業製薬株式会社製)HLB=19、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ステアリン酸エステルの割合が約99重量%、(モノエステル含量):(ジ、トリ、ポリエステルの合計含量)=約100:約0
(3)その他の成分
(a)リンゴ酸ナトリウム(リンゴ酸ソルト 扶桑化学工業株式会社製)
(b)リンゴ酸(リンゴ酸フソウ 扶桑化学工業株式会社製)
(c)水:イオン交換水
各表における各原料の配合量は、いずれの原料についても純分重量%で表示している。
ショ糖脂肪酸エステル(1)はショ糖脂肪酸エステルの濃度が40重量%であるので、表中1.0%と記載している場合、ショ糖脂肪酸エステル(1)の製品を2.5重量%配合していることになる。
【0041】
[洗浄剤組成物の調製]
(実施例1〜10、比較例1〜5)
表1及び2に示すように洗浄剤組成物の原料を混合し、各実施例及び比較例に係る洗浄剤組成物を調製した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
[食品添加物への該当の判定]
表1及び2に示す組成から、洗浄剤組成物が食品添加物に該当するかを判定した。
表1及び2に示す組成のうち、比較例1の組成はエタノールの含有量が少ないため洗浄剤組成物全体としては食品添加物に該当しない。
表1及び2には、食品添加物に該当するものを○、該当しないものを×で示している。
【0045】
[洗浄力試験]
洗浄力の試験は、JIS K3362 7.2 「台所用合成洗剤の洗浄力評価方法」に規定の方法に従ったリーナッツ試験法に準じた試験によって行った。本試験では、牛脂と大豆油各10g、モノオレイン0.25g、オイルレッド0.1gを60gのクロロホルムに溶解し、汚こう浴を調製した。この汚こうをスライドガラスに付着させ、試験片を作製した。スライドガラス6枚1組とし、洗浄剤組成物を用いてリーナッツ試験洗浄力試験機による洗浄を行い、次式により洗浄率を算出した。
洗浄率=(洗浄前の汚こう付着量−洗浄後の汚こう付着量)/洗浄前の汚こう付着量
6枚のスライドガラスの洗浄率の平均値をもって、洗浄試験の洗浄率とした。
洗浄力の評価基準は以下のとおりである。
◎:洗浄率90%以上
○:洗浄率70%以上90%未満
△:洗浄率50%以上70%未満
×:洗浄率50%未満
図1〜6は、実施例1、4、5及び比較例1、3、4における洗浄力試験の結果をそれぞれ示す写真である。
【0046】
[ウイルスの感染力価測定によるネコカリシウイルスに対する効果測定]
ノロウイルスは、培養細胞を用いても増殖させることができない。そのため、ノロウイルスの不活化に対する各種消毒剤等の消毒効果の検証には、代替ウイルスとして同じカリシウイルス科に属するネコカリシウイルスが広く用いられている。ネコカリシウイルスは、形態的特徴やゲノムの構造から、ノロウイルスに近縁なウイルスであることが明らかにされている。
試験で用いたネコカリシウイルスはF4株を用いた。宿主細胞にはネコ腎由来株化細胞であるCRFK細胞(ATCC CCL−94)を用いた。
各試料原液900μLにウイルス試験液を100μL加え、30秒間接触後、反応液をOPTI−MEM培地で200倍又は300倍希釈し、エタノールの作用を不活化させた。なお、バックタイトレーションはエタノール製剤の代わりにOPTI−MEM培地にウイルス試験液を接種し、すぐにOPTI−MEM培地で200倍又は300倍希釈した。各洗浄剤組成物不活化液およびFCVバックタイトレーションを10倍段階希釈した。各液につき、96wellマルチプレートの6環を使用した。サブコンフルエント〜コンフルエントになったCRFK細胞の培地を捨て、PBS(−)100μLで細胞を1回洗浄し、上記段階希釈液をCRFK細胞に100μLずつ接種した。COインキュベーター(37℃、5%CO)にて、3〜4日間培養し、CPEを確認した。TCID50法(Behrens−Karberの式)により、FCVの感染力価を求めた。
評価基準は以下のとおりである。
〇:感染力価3log以上の減少
×:感染力価3log未満の減少
【0047】
実施例1〜10の洗浄剤組成物は、食品添加物に該当する組成であり、洗浄力に優れていた。また、リンゴ酸ナトリウム及びリンゴ酸を含む場合にはネコカリシウイルスに対する消毒効果も発揮された。
一方、比較例1の洗浄剤組成物はエタノールの含有量が低くて食品添加物に該当しない組成であった。また、比較例2〜5の洗浄剤組成物は界面活性剤を1種しか含まないため洗浄性に劣っていた。
【要約】
【課題】エタノールを主成分とした食品添加物としての表示が可能であり、かつ、洗浄剤として優れた性能を有する洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】エタノールと、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択された少なくとも2種の界面活性剤とを含有し、エタノール含有量が37.88〜85.70重量%であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6