特許第5774778号(P5774778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774778プラズマ発生源、スパッタリング装置、中性粒子ビーム発生源及び薄膜蒸着システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774778
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】プラズマ発生源、スパッタリング装置、中性粒子ビーム発生源及び薄膜蒸着システム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20150820BHJP
   C23C 14/35 20060101ALI20150820BHJP
   H05H 3/02 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H05H1/46 B
   C23C14/35 F
   H05H3/02
   H01L21/285 S
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-513443(P2014-513443)
(86)(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公表番号】特表2014-522551(P2014-522551A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】KR2012004345
(87)【国際公開番号】WO2012169747
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2013年11月28日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0055417
(32)【優先日】2011年6月9日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0049386
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505280369
【氏名又は名称】コリア ベーシック サイエンス インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ソク ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン ボン
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−036640(JP,A)
【文献】 特開平09−125243(JP,A)
【文献】 特開昭63−250822(JP,A)
【文献】 特開昭64−052062(JP,A)
【文献】 特開平10−259480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H05H 3/00
C23C 14/35
H01L 21/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ発生空間を形成するプラズマチャンバ;
上記プラズマチャンバの外壁を囲む形で配置された一組以上のベルト型磁石であって、上記の一組のベルト型磁石のそれぞれは、ベルトの内部と外部が相補的な磁力極性を示し、プラズマチャンバの周囲に上下平行に配列される2つのベルト型磁石の磁力の極性も、上下の位置において互いに補うよう構成されるベルト型磁石;および
上記プラズマ発生空間にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置;を含み、
上記ベルト型磁石は、隙間なく連続した磁石の配列を持ち、形成される磁場が上記プラズマ発生空間に連続して形成され、
上記マイクロ波照射装置は、環状導波管またはトーラス型導波管で形成され、上記導波管にスリットを形成したスリット型導波管を含み、
マイクロ波の電場が一組以上のベルト型磁石によって、
プラズマ発生空間に形成される磁場の方向と垂直になるようマイクロ波を照射し、マイクロ波をパルスモードまたは連続モードで照射することを特徴とするプラズマ発生源。
【請求項2】
請求項1において、上記プラズマチャンバとマイクロ波照射装置は、マイクロ波が照射される開口部において相互に疎通し、上記プラズマチャンバとマイクロ波照射装置は、共に真空化が可能であることを特徴とするプラズマ発生源。
【請求項3】
請求項1において、上記プラズマチャンバは、シリンダ型、楕円トラックの底面を持つシリンダ型、または多角形の底面の多角柱のいずれかで構成されることを特徴とするプラズマ発生源。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のプラズマ発生源のプラズマチャンバ内部に、一つ以上のターゲットを設置し、上記ターゲットにバイアス電圧を印加してスパッタリングを発生させ、
上記のターゲットは、上記ベルト型磁石によってプラズマ発生空間に形成される磁場に囲まれるようにプラズマチャンバの内側壁に沿って一つ以上付着され、
上記プラズマチャンバの上面に平行に配置される一つ以上のターゲットをさらに設置して、
一つ以上の物質を基板に同時蒸着することができることを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項5】
請求項4に記載の上記ターゲットに印加されるバイアス電圧は、直流電圧、交流電圧、パルス、またはこれらの混合からなる電圧であることを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のプラズマ発生源のプラズマチャンバ内部に、一つ以上の電気伝導性の高い物質で構成された中和プレート を設置して、上記の中和プレートにバイアス電圧を印加して中性粒子ビームを生成し、
上記の中和プレートは、上記ベルト型磁石によってプラズマ発生空間に形成される磁場に囲まれるよう、プラズマチャンバの内側壁に沿って一つ以上付着され、
上記プラズマチャンバの上面に平行に配置される一つ以上の中和プレートをさらに設置することで、中性粒子ビームを発生させることを特徴とする中性粒子ビーム発生源。
【請求項7】
請求項4に記載のスパッタリング装置を一つ以上設置し、請求項6の中性粒子ビーム発生源一つ以上を組み合わせたことを特徴とする薄膜蒸着システム。
【請求項8】
請求項7に記載の薄膜蒸着システムにおいて、上記ターゲットまたは中和プレートに印加されるバイアス電圧は、直流電圧、交流電圧、パルス、またはこれらの混合からなる電圧であることを特徴とする薄膜蒸着システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生源及びその応用に関するものであり、さらに詳細には、永久磁石の配列を用いて高密度プラズマを発生するプラズマ発生源及びこれを用いた高効率、大面積の可能なスパッタリング装置と、高フラックス中性粒子ビームを発生させる中性粒子ビーム発生源及びスパッタリング装置と、中性粒子ビーム発生源を組み合わせた薄膜蒸着システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマは、様々な用途に応用されており、特に、薄膜を形成する工程において重要な技術要素となっている。半導体、OLED、太陽電池、LED、ダイヤモンド薄膜といった先端素材分野においては、高品質の薄膜蒸着が求められており、こうした要求を満足させることのできる大面積かつ高密度プラズマの発生は、非常に重要な技術である。
【0003】
昨今、活用度が高まりつつあるフレキシブル電子デバイス、すなわちフレキシブルディスプレイ、フレキシブルライト、フレキシブル太陽電池、フレキシブル二次電池等に適用される薄膜形成においては、広い面積にわたり高密度プラズマを生成すると同時に、プラズマによって発生する高エネルギー粒子とプラズマ電子による薄膜の損傷を最小限に留めることのできる、スパッタリング技術が必要である。また、フレキシブルプラスチック基板を用いることができるよう、低温で高品質薄膜を蒸着することのできる低温工程技術が求められている。
【0004】
既存のマグネトロンスパッタリング技術は、ターゲットに−500V以上の高電圧を印加することで、プラズマ発生とイオン加速を同時に解決するプラズマ発生電力とイオン加速電圧が一元化されている技術である。このように、マグネトロンスパッタリングのプラズマ発生電力とイオン加速電圧が一元化されている従来の技術は、ターゲットに高電圧印加しなければならないため、高エネルギー粒子の発生が避けられない。もし、高エネルギー粒子の発生を最小限に留めるために、ターゲット印加電圧を減少すれば、プラズマが不安定になったり、プラズマ密度が顕著に低下して蒸着速度が大きく落ちるという問題点が発生する。
【0005】
このような問題点を解決するためには、プラズマ発生電力とイオン加速電圧を分離して、それぞれを独立的に制御する技術が必要である。プラズマ発生電力とイオン加速電圧を分離印加することができれば、ターゲット印加電圧の水準に関係なくターゲット付近に高密度プラズマの発生を望む場合その実現が可能であるが、このような目的を満足する大面積、高密度プラズマ発生源の技術開発は容易ではない。
【0006】
一方、低温で高品質薄膜を蒸着するためには、高品質薄膜を蒸着するためには、既存の基板加熱の代わりに、薄膜が蒸着されている間に薄膜表面の原子層を同時に加熱することのできる原子スケールの加熱(atomic scale heating)技術が必要である。中性粒子ビームは、原子スケールの加熱を行うことができ、低温での大面積、高品質薄膜蒸着に有利な技術ではあるものの、中性粒子ビームが原子スケールの加熱効果を発揮するためには、高フラックス中性粒子ビームを発生しなければならない。既存の中性粒子ビーム発生源は、プラズマリミッタが中性化反射板と基板の間に設置されており、中性粒子ビームが基板に到達する際、障害物の役割をするという問題点がある。
【0007】
既存の中性粒子ビーム発生源の問題点を解決するためには、プラズマリミッタがない状態で、かつプラズマと基板の相互作用を最小限に留め、高フラックス中性粒子ビームを発生することのできる高密度プラズマを発生させる技術が必要であるが、技術開発が容易ではない。
【0008】
したがって、フレキシブル電子デバイス、すなわちフレキシブルディスプレイ、フレキシブルライト、フレキシブル太陽電池、フレキシブル二次電池等の製造分野に求められる薄膜を蒸着するためには、新たなスパッタリング装置と、プラズマリミッタのない高フラックス中性粒子ビーム発生源が必要となる。このような装置は、新たな薄膜の目的に適った大面積、高密度プラズマ発生源の開発により、容易に実現することができる。そのため、大面積、高密度プラズマ発生源の開発が核心的技術ではあるものの、未だ満足できるレベルで提供されてはいない。
【0009】
一方、従来の技術においては、高真空で高密度プラズマを得るために、永久磁石または電磁石を用いて磁場を形成し、マイクロ波を照射して電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance、ECR)プラズマを発生させた。だが、従来の技術は磁場の構造のため電子サイクロトロン共鳴の領域において発生した高密度プラズマの閉じ込め(confinement)に問題点がある。例えば、複数の永久磁石を所定の間隔をおいて配列することでカップス場を形成する場合、cups field内で形成された電子サイクロトロン共鳴の領域で発生したプラズマは、曲線の磁場と電場によってExBドリフト(E−cross−B drift)、磁場勾配ドリフト(gradient B drift)、磁場の曲率ドリフト(curvature drift)等のドリフト運動(drift motion)を行うが、ドリフト運動の軌跡が一直線の発散軌跡(計曲線)を描いており、プラズマ、とりわけ電子が磁石の両端に抜けてプラズマ閉じ込めに問題が発生する。また、従来の技術の例は、cups fieldを形成することでプラズマ閉じ込めの問題を解決するために磁石の配列を補っていたが、不連続的な磁場の分布によりプラズマドリフト運動が不連続的な奇跡を描いており、プラズマ閉じ込め効果が減少する問題点がある。
【0010】
一方、従来の技術においては、マイクロ波照射装置とプラズマの間に誘導体窓を用いて真空を維持すると同時に、マイクロ波を入射していた。しかし、このようなプラズマ発生源において蒸着工程を行うと、蒸着物質が誘導体窓をコーティングすることでマイクロ波の透過率を顕著に減少させ、プラズマ密度を減少させるため、肯定の信頼性を下げるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、プラズマ閉じ込め効果を最大限に高めることができる磁気構造と、これに伴う磁場とマイクロ波を連動した設計を通して、大面積高密度プラズマを発生するプラズマ発生源の提供を試みるものである。
【0012】
また、本発明の他の目的は、プラズマを用いた蒸着工程のうち、誘電体窓のコーティング問題を解消することができる、マイクロ波照射装置を含むプラズマ発生源の提供を試みるものである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、上記のプラズマ発生源を用いたスパッタリング装置および中性粒子ビーム発生源と、これらを組み合わせた薄膜蒸着システムの提供を試みることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、プラズマ発生空間を形成するプラズマチャンバ;
上記プラズマチャンバの外壁を囲む形で配置された一組以上のベルト型磁石;および
上記プラズマ発生空間にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置;を
含み、
上記プラズマチャンバは、シリンダ型、楕円トラックの底面を持つシリンダ型、または多角形の底面の多角柱のいずれかで構成され、
上記ベルト型磁石は、連続した磁石の配列を持ち、
上記のマイクロ波照射装置は、照射方向を調節することで、マイクロ波の電場が一組以上のベルト型磁石によって、プラズマ発生領域に形成される磁場の方向と垂直になるようマイクロ波を照射し、磁場分布に沿ってプラズマ密度を高めることを特徴とするプラズマ発生源を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記プラズマチャンバとマイクロ波照射装置は、マイクロ波が照射される開口部において相互に疎通し、上記プラズマチャンバとマイクロ波照射装置は、共に真空化が可能であることを特徴とするプラズマ発生源を提供する。
【0016】
また、本発明は、上記のマイクロ波照射装置は、正方形導波管、シリンダ型導波管、環状導波管、トーラス型導波管または上記導波管にスリットを形成したスリット型導波管を含み、上記マイクロ波照射装置は、マイクロ波をパルスモードまたは連続モードで照射することを特徴とするプラズマ発生源を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記プラズマ発生源のプラズマチャンバ内部に、一つ以上のターゲットを設置し、上記ターゲットにバイアス電圧を印加してスパッタリングを発生させ、
上記のターゲットは、上記ベルト型磁石によってプラズマ発生空間に形成される磁場に囲まれるようにプラズマチャンバの内側壁に沿って一つ以上付着され、
上記プラズマチャンバの上面に平行に配置される一つ以上のターゲットをさらに設置して、
一つ以上の物質を基板に同時蒸着することができることを特徴とするスパッタリング装置を提供する。
【0018】
また、本発明は、上記ターゲットに印加されるバイアス電圧は、直流電圧、交流電圧、パルス、またはこれらの混合からなる電圧であることを特徴とするスパッタリング装置を提供する。
【0019】
また、本発明は、上記プラズマ発生源のプラズマチャンバ内部に、一つ以上の電気伝導性の高い物質で構成された中性化反射板を設置して、上記の中和プレートにバイアス電圧を印加して中性粒子ビームを生成し、
上記の中和プレートは、上記ベルト型磁石によってプラズマ発生空間に形成される磁場に囲まれるよう、プラズマチャンバの内側壁に沿って一つ以上付着され、
上記プラズマチャンバの上面に平行に配置される一つ以上の中和プレートをさらに設置することで、中性粒子ビームを発生させることを特徴とする中性粒子ビーム発生源を提供する。
【0020】
また、本発明は、
プラズマを生成するプラズマ放電空間を提供するプラズマチャンバ;
プラズマイオンを、衝突によって中性粒子に変換させるために、上記プラズマチャンバ内部に設置される中和プレート;
中性粒子以外のプラズマイオンと電子を上記プラズマ放電空間に制限するよう、上記プラズマ放電空間の下端に設置されているリミッタ;
上記プラズマチャンバに装着され、プラズマチャンバ内にマイクロ波を出射するマイクロ波照射装置、および
上記プラズマチャンバの周囲を囲む一組のベルト型の磁石;を含み、
上記の一組のベルト型磁石のそれぞれは、ベルトの内部と外部が相補的な磁力極性を示し、プラズマチャンバの周囲に上下平行に配列される2つのベルト型磁石の磁力の極性も、上下の位置において互いに補うよう構成することを特徴とする中性粒子ビーム発生源を提供する。
【0021】
また、本発明は、上記スパッタリング装置を一つ以上設置し、上記中性粒子ビーム発生源一つ以上を組み合わせたことを特徴とする薄膜蒸着システムを提供する。
【0022】
また、本発明は、上記ターゲットまたは中和プレートに印加されるバイアス電圧は、直流電圧、交流電圧、パルス、またはこれらの混合からなる電圧であることを特徴とする薄膜蒸着システムを提供する。
【0023】
また、本発明は、上記中和プレートは、金属、シリコンまたはグラファイトのうち一つで構成することを特徴とする薄膜蒸着システムを提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プラズマ発生源は、ベルト型の磁石がプラズマチャンバ内に形成される磁場と、マイクロ波の電場の相互作用により、低い運転圧力において、すなわち、高真空で高密度プラズマをチャンバ空間内に大面積にわたり均一に分布することができる。
【0025】
また、本発明によれば、ベルト型磁石は、特別に磁気構造のスキャン等の駆動を必要とせず、かつ磁場を大面積にわたって分布させることができるため、大面積基板に均一に物質を蒸着することができる。
【0026】
また、本発明は、プラズマチャンバをステンレス等の非磁性金属材料で構成し、真空シールのためにOリング等を用いず、石英やガラス等でプラズマチャンバを構成する場合に比べ、チャンバ内に高真空状態を形成することができ、これは、生成される中性粒子ビームの平均自由行程を大幅に向上させることができる。
【0027】
また、本発明によれば、上記プラズマ発生源を用いたスパッタリング装置は、プラズマ発生電力とイオン加速電圧を分離し、独立して調節することにより、高エネルギー粒子による薄膜の損傷を最小限に抑え、高品質の薄膜を蒸着させることができる。また、低い運転圧力において高密度プラズマをターゲット付近に発生させることで、スパッタリング効率、スパッタされた粒子の直進性を向上させることができる。また、ターゲットの種類及び個数を自由に選択することができ、同時蒸着(co−deposition)等、多様な工程が可能となる。
【0028】
また、本発明によれば、上記スパッタリング装置において、ターゲットを中和プレートに代替した中性粒子ビーム発生源は、高フラックス中性粒子ビームを大面積に供給することができ、とりわけプラズマリミッタがない状態でも、プラズマ−基板の相互作用を最小限に抑えることができるという特徴がある。
【0029】
また、本発明によれば、上記スパッタリング装置と、上記中性粒子ビーム発生源を一つ以上組み合わせて薄膜蒸着要素物質と薄膜蒸着に必要なエネルギーを同時に供給することにより、高品質の薄膜を形成することができる薄膜蒸着システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a】本発明のプラズマ発生源構成の概略断面図である。
図1b】上記プラズマ発生源の構成要素であるベルト型磁石を構成する磁石構造の平面図である。
図1c】上記プラズマ発生源の構成要素であるベルト型磁石を構成する磁石構造の平面図である。
図1d】本発明のプラズマ発生源の斜投影図である。
図2図1aのプラズマ発生源に適用されるマイクロ波照射装置の構成を、より明確に表現した断面図である。
図3図1aのプラズマ発生源に適用されるトーラス型マイクロ波照射装置の構成を表現した断面図である。
図4図1aのプラズマ発生源に適用される四角形またはシリンダ型マイクロ波照射装置の構成を表現した断面図である。
図5図1aのプラズマ発生源を用いたスパッタリング装置の構成を示す断面図である。
図6図5のスパッタリング装置を変形して構成した中性粒子ビーム発生源を示す断面図である。
図7図5のスパッタリング装置と、図6の中性粒子ビーム発生源を組み合わせて構成した薄膜蒸着システムの一実施例を示す断面図である。
図8】リミッタを含む本発明の中性粒子ビーム発生源の構成の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の望ましい実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1aを見ると、本発明のプラズマ発生源の構成を示されている。
【0033】
プラズマを発生する空間を提供するプラズマチャンバ(100)の側壁には、一組以上のベルト型磁石(400)が装着されており、プラズマチャンバ(100)の上端には、マイクロ波照射装置(200)(launcherともいう)が装着されており、上記マイクロ波照射装置(200)からマイクロ波をプラズマチャンバ(100)内に放出することとなる。
【0034】
特に、本発明は、上記のマイクロ波照射装置(200)から、マイクロ波がプラズマチャンバ(100)内に入射される地点を誘電体窓がない状態で、完全な開口部として構成し、蒸着工程進行中蒸着物が窓を汚染することによるマイクロ波透過率低下の問題を解決した。
【0035】
図1b及び図1cは、図1aのプラズマ発生源外壁に設置される一組のベルト型磁石(400)の平面図である。すなわち、A型のベルト型の磁石(図1b)とB型のベルト型磁石(図1c)を上下に配置し、図1aのような形状の磁場を形成することができる。このようなベルト型磁石は、一組ではなく複数組配置することができ、これによって、プラズマ発生空間内に図1aのような曲線の磁場を連続的に分布することとなる。図1b及び図1cに示したベルト型磁石は、円形や楕円形のトラック、または任意の閉多角形で構成することができることは勿論である。上記の磁場は、途切れることなく連続し、これは、ベルト型マグネット(400)そのものが連続的な構成を持つためであり、このような連続構造は、マイクロ波をプラズマチャンバ(100)の側壁ではなく上端開口部を介して入射するためである。連続的に形成された磁場は、発生したプラズマの電子を捉えプラズマチャンバ側壁に沿ってトロイダル(toroidal)型の軌跡を描き、継続的にドリフト運動(drift motion)をさせることで、プラズマ閉じ込め(plasma confinement)効果を顕著に向上させることができる。すなわち、電子の運動を平均的に見ると、図1dの射影等図のように連続的な回帰軌跡を示し、プラズマ閉じ込め効果を大幅に向上させることができるようになる。
【0036】
プラズマチャンバ(100)は、円筒形、楕円トラックの底面を持つシリンダ型、または多角形底面の多角柱である可能性があり、上記ベルト型マグネット(400)は、プラズマチャンバ(100)の構造に応じて、円、トラック、四角、それ以外のいくつかの形状でプラズマチャンバ(100)の側壁に装着され、プラズマチャンバ(100)内に電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance、ECR)磁場が形成されるよう促す。ここでは、電子サイクロトロン共鳴磁場、Bresは、次式の通りである。
【0037】
【0038】
f:マイクロ波周波数、e:電子の電荷、m:電子の質量
【0039】
また、マイクロ波照射装置(200)から照射されるマイクロ波の周波数は、プラズマイオン周波数よりも高いものを用いる。ここでは、プラズマイオン周波数、Ωiは、次式の通りである。
【0040】
【0041】
:イオン密度、Z:原子番号、e:電子の電荷、m:イオンの質量
【0042】
上記のようなプラズマ発生源は、外壁を取り囲むように設置一組以上のベルト型磁石(400)による磁場と、マイクロ波照射装置(200)に照射されるマイクロ波の電場は、互いに垂直をなしてECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマを形成し、プラズマ密度を高めることができ、また、このような高密度プラズマを大面積で発生させることができる。また、高密度プラズマを1mTorr以下の低圧高真空においても発生させることができ、粒子の平均自由行程を増加させて応用に有利である。
【0043】
一方、上記プラズマを発生させるマイクロ波照射装置(200)のマイクロ波照射モードを必要に応じてパルスモードまたは連続モードに調整することで、適用の可能性を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、上記図1aないし図1dに基づいたプラズマ発生源の変形実施例、およびその応用に基づくスパッタリング装置、中性粒子ビーム発生源と薄膜蒸着システムについて詳細に説明する。
【0045】
図1aおよび図1dのマイクロ波照射装置(200)を上から見ると、円形、楕円形、それらを利用したトラック型、または四角形等の形に見える。図2は、上記マイクロ波照射装置(200)にスリット(250)を形成した場合を示しており、図3は、トーラス型マイクロ波照射装置(200)にスリットを形成した場合を表し、図4は、四角形またはシリンダ型マイクロ波照射装置(200)を表しており、このようなマイクロ波照射装置(200)は、多数で構成されることで出力を高めることができる。
【0046】
図5を見ると、上記のプラズマ発生源を応用したスパッタリング装置(800)が示されている。上記スパッタリング装置(800)は、マイクロ波の周波数がプラズマイオン周波数よりも高いプラズマイオンの運動に影響を与えず、電子を加熱することでプラズマを発生させることができ、上記ターゲット(700、710、720)に印加するバイアス電圧は、プラズマイオン周波数よりも低い周波数で印加することでターゲットに入射するイオンのエネルギーを調節することができ、プラズマ発生電力とイオン加速電圧を分離することを特徴とする。上記スパッタリング装置(800)においてプラズマ発生電力とイオン加速電圧を二元化することで、ターゲットのバイアス電圧とは関係なく、安定した高密度プラズマが維持されることで、低いターゲット印加電圧においてプラズマが不安定になるという既存のスパッタ装置とは区別される。また、既存のスパッタリング装置は、ターゲットのバイアス電圧が高いため、高エネルギー粒子が発生して薄膜に損傷を与える一方で、本実施例のスパッタリング装置(800)は、ターゲットバイアス電圧を下げることができ上記の問題を最小限に抑えることができるという利点がある。
【0047】
プラズマチャンバの側壁に設置されたターゲット(700、710)付近の磁場に高密度プラズマを発生させることができるため、高効率のスパッタリングが期待できる。
【0048】
のみならず、ベルト型磁石(400)の磁場構造のために、ターゲット(720)付近に非常に均一な高密度プラズマが分布し、ターゲット(720)のエッチング分布が均一でターゲット(720)の使用効率を高めることができる。また、上記ターゲット(720)は、大面積での構成が可能であり、これはプラズマ分布が大面積にわたり高密度に形成されうるためである。
【0049】
一方、このスパッタリング装置(800)のターゲット(700、710、720)のバイアス電圧は、工程の目的に応じて直流電圧、交流電圧、直流パルス、交流パルスまたはこれらの混合により形成される電圧等、多様に変化させることができ、薄膜の特性を調整することができる。
【0050】
また、上面と平行に設置されたターゲット(720)の側壁に設置するターゲット(700、710)は、それぞれ異なる材料で構成され、ホスト物質とドーパント物質を同時に蒸着することができる利便性を提供する。
【0051】
具体例として、1つのターゲット(700)からZnを、異なるターゲット(710)からは、Inを、さらに別のターゲット(720)からはGaを形成することで、基板上にIGZOを形成することができる。このような配列においては、酸素陰イオン(negative ion)による薄膜の損傷を最小限に抑えることができると同時に、蒸着速度を向上させることができるという利点を持つ。
【0052】
プラズマチャンバ内壁に設置されるターゲット(700、710)は、複数の断片を放射状に配置することができ、プラズマチャンバに水平面に配置されているターゲット(720)は、プラズマチャンバ上面に付着、もしくはチャンバ内の中央部に配置することもでき、これらも多くの断片で構成することもでき、ターゲットは複数の異なる材料で構成されうるものの、高速、高効率、均一薄膜蒸着のために、配列が調節された同一の物質でもありうる。
【0053】
したがって、大面積のターゲット等、ターゲットの設定が自由でプラズマチャンバ内壁に設置されるターゲット(700、710)は、ベルト型磁石(400)による磁場に囲まれ、ターゲットの近くに高密度プラズマを発生させることができ、高効率スパッタリングが可能となる。
【0054】
また、このようにプラズマチャンバの内壁に複数のターゲット(700、710)を設置する場合、プラズマチャンバ(100)を楕円トラックの底面を持つシリンダ型あるいは多角柱に構成すれば、薄膜の構成要素の個数及び含有量に最適となるよう、多数のターゲットの設置に非常に便利であり、ベルト型磁石(400)による磁場効果も調整することができるという利点がある。
【0055】
また、本実施例のスパッタリング装置は、高真空において高密度プラズマを発生させ、スパッタされた粒子の直進性が向上し、トレンチパターンのある薄膜蒸着時、縦横比(aspect ratio)を向上させることができる。
【0056】
本実施例のスパッタリング装置は、プラズマ発生電力とイオン加速電圧を独立して調節し、ベルト型磁石(400)を用いて形成した磁場により、プラズマ荷電粒子を拘束することで、別途のプラズマリミッタがない状態でも、プラズマ−基板の相互作用を最小限に抑えることができ、プラズマによる薄膜の損傷を最小限に留めることができる。しかし、必要に応じてチャンバ境界部にプラズマリミッタをさらに設置することができる点は、当業者に明らかな事項である。
【0057】
図6は、上記スパッタリング装置(800)を変形した中性粒子ビーム発生源(900)の構成を表す。
【0058】
スパッタリング装置(800)において、ターゲット(700、710、720)を導電性の高い物質で構成された中和プレート(300)に代替すると、中性粒子ビーム発生源(900)となる。タングステン等の金属、シリコン、グラファイト等、導電性が高い物質で構成された中和プレート(300)に−100V以下の低バイアス電圧を印加することで、中性粒子ビームを発生させることができ、バイアス電圧の多様なモードもまた、上記スパッタリング装置構成において同一に適用されうる。本実施例に係る中性粒子ビーム発生源(900)は、上記スパッタリング装置(800)と同じ原理で高密度プラズマが発生し、高フラックスの中性粒子ビームを発生することができる。本実施例の中性粒子ビーム発生源は、プラズマリミッタの設置がない状態においても、プラズマ − 基板相互作用を最小限に抑えることができ、既存の中性粒子ビーム発生源と区別される。また、高真空下において高密度プラズマ発生による中性粒子ビームの高フラックスと合わせて、平均自由行程の増加による利点も同一に表われる。しかし、必要に応じてャンバ境界部にプラズマリミッタをさらに設置することができる点は、当業者に明らかな事項である。
【0059】
図7は、上記スパッタリング装置(800)と中性粒子ビーム発生源(900)を組み合わせて実装した薄膜蒸着システム(1000)の一実施例を表す。
【0060】
上記薄膜蒸着システム(1000)によると、スパッタリング装置(800)によって薄膜を構成する粒子を供給すると同時に、中性粒子ビームによる薄膜形成に必要なエネルギーを追加供給することで、低温工程においても高品質の薄膜を形成することができるという利点がある。
【0061】
上記図7では、一つのスパッタリング装置(800)を中心に、両側にそれぞれ一つずつ二つの中性粒子ビーム発生源(900)を設置することで、薄膜蒸着システム(1000)を実装したものの、スパッタリング装置(800)一つと中性粒子ビーム発生源(900)一つを組み合わせることも可能で、その組み合わせ方法は、当業者によっていくらでも多様な変形が可能なことは勿論である。
【0062】
図8は、本発明の中性粒子発生源の構成にリミッタ(500)をさらに含む構成を表す。リミッタ(500)がない状態でも、プラズマ−基板の相互作用を最小限に抑えることができるが、リミッタ(500)をさらに設置することで、中性粒子ビームがプラズマチャンバ(100)から基板(600)のある工程チャンバ(図示せず)に出射される際、荷電された粒子をさらに完全に取り除くことができる。
【0063】
一方、ベルト型磁石(400)は、永久磁石ではなく電磁石でも構成することができ、この場合マイクロ波の周波数を増加させることができ、このため、プラズマ密度を向上させることができる。
【0064】
本発明の権利は、上述した実施例に限定されず、請求範囲に記載されたところにより定義され、本発明の分野における通常の知識を有する者が、請求範囲に記載された権利の範囲内で種々の変形及び改造を行うことができるという点は明白である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、プラズマを用いて薄膜を形成する工程に広く利用することができ、とりわけ、半導体、OLED、太陽電池、LED、ダイヤモンド薄膜などの先端産業分野に、本発明のプラズマ発生源及び薄膜蒸着システムを用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
100 プラズマチャンバ
200 マイクロ波照射装置
250 スリット
300 中和プレート
400 ベルト型磁石
600 基板
700、710、720 ターゲット
800 スパッタリング装置
900 中性粒子ビーム発生源
1000 薄膜蒸着システム

図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8