【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の静電アクチュエーターは、基板に対し固定的に設けられた固定電極と、固定電極に表裏一方の面で対面し、固定電極との間の静電気力により、固定電極に近接する可動電極と、可動電極の表裏他方の面に対面し、可動電極との間の静電気力により、可動電極を固定電極から引き離す引離し電極と、を備え、引離し電極は、可動電極を部分的に固定し、可動電極および引離し電極は、相互の固定部分を中心に拡開するように、可動電極および/または引離し電極が変形して、可動電極の固定電極に対する離接可動を受容することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第1に、引離し電極が、可動電極を部分的に固定しているので、引離し電極を支持する支持部材を設ければ、可動電極に特段の支持部材を設ける必要がない。第2に、固定部分を中心に拡開するように変形して、可動電極の離接可動を受容するため、固定部分近傍において、常に可動電極および引離し電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。その結果、離間動作の開始時にも引離し時の静電気力を効果的に発生させることができ、簡単な構成で高い引離し力を得ることができる。ゆえに、初動が速く離間動作全体の動作速度が速くなるので、静電アクチュエーターの動作を安定的に行うことができる。なお、当該構成において、可動電極と引離し電極とは非導通になるように構成されている。
【0008】
この場合、可動電極および/または引離し電極は、弾性を持って変形すると共に、当該変形の復元力を、可動電極の引離し力として作用させることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、弾性変形の復元力と、引離し電極による静電気力とで、可動電極を引き離すため、より高い引離し力を得ることができる。
【0010】
また、固定電極は、近接時の静電気力を生じさせるための所定のプルイン動作電圧を印加する第1の印加電源に接続され、可動電極は、基準電位点に接続され、引離し電極は、引離し時の静電気力を生じさせるための所定のプルアウト動作電圧を印加する第2の印加電源に接続されることが好ましい。
【0011】
近接時に、可動電極と引離し電極との間に電位差が生じていると、その静電気力が近接動作の妨げになる。また、引離し時に、固定電極と可動電極との間に電位差が生じていると、その静電気力が離間動作(引離し)の妨げになる。よって、近接時には、可動電極および引離し電極が同一の電位を有している必要があり、離間時には、固定電極および可動電極が同一の電位を有している必要がある。そのため、例えば、可動電極にプルアウト動作電圧を印加して可動電極の離間動作を行うと、それに合わせて、固定電極および引離し電極にプルアウト動作電圧とGND電圧(基準電圧)を印加する必要があり、電位制御が煩雑になってしまう。
これに対し、上記構成によれば、固定電極にプルイン動作電圧を印加し、引離し電極にプルアウト動作電圧を印加して、可動電極を離接することで、可動電極にプルイン動作電圧やプルアウト動作電圧を印加する必要がなく、電位制御を簡単な構成で行うことができる。なお、「所定のプルイン動作電圧」は、静電気力により可動電極の近接移動(プルイン)が生じる電圧(いわゆるプルイン電圧)以上の電圧である。また、「所定のプルアウト動作電圧」は、静電気力により可動電極の離間移動(プルアウト)が生じる電圧(いわゆるプルアウト電圧)以上の電圧である。
【0012】
さらに、引離し電極から、可動電極の引離し方向に連結したn(n≧1)個の追加引離し電極を、更に備え、連結した引離し電極およびn個の追加引離し電極は、連結した前後の電極が相互に対面し、相互間の静電気力を、引離し電極を介した可動電極の引離し力として作用させると共に、可動電極と合わせて蛇腹状に変形して、可動電極の固定電極に対する離接可動を受容することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、n個の追加引離し電極を設けることで、より高い引き離し力を得ることができる。また、n個の追加引離し電極が、引離し電極に連結されているため、最端の追加引離し電極を支持する支持部材を設ければ、(n−1)個の追加引離し電極、引離し電極および可動電極に特段の支持部材を設ける必要がない。さらに、連結した引離し電極およびn個の追加引離し電極が、蛇腹状(ベローズ状)に変形するため、連結部分を中心に拡開するように変形する構成となる。そのため、可動電極および引離し電極間と同様、連結部分近傍において、常に前後の電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。
【0014】
この場合、連結した引離し電極およびn個の追加引離し電極は、弾性を持って変形すると共に、当該変形の復元力を、可動電極の引離し力として作用させることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
【0015】
この構成によれば、連結した引離し電極およびn個の追加引離し電極の弾性変形による復元力を引離し力として作用させるため、より高い引離し力を得ることができる。
【0016】
本発明の可変容量デバイスは、上記の静電アクチュエーターと、静電アクチュエーターを駆動源として駆動する静電容量を可変する可変容量素子と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、動作を安定的に行うことができる静電アクチュエーターを用いることで、安定性の高い可変容量デバイスを提供することができる。なお、ここにいう「可変容量デバイス」は、可変容量コンデンサーおよび可変容量型のスイッチ等を含んでいる。
【0018】
この場合、静電アクチュエーターは、可変容量素子に電圧を印加した状態で、可動電極の離接動作を行うことが好ましい。
【0019】
可変容量素子に電圧を印加した状態で可動電極の離接動作を行う、いわゆるホットスイッチングを行うと、可変容量素子を構成する一対の電極間で静電気力が生じ、可動電極の引離しを妨げる。
これに対し、上記構成によれば、高い引離し力を得ることができる静電アクチュエーターを用いることで、ホットスイッチングを安定的に行うことができる。
【0020】
また、可変容量素子は、直列に接続され、静電容量が可変の2個の可変容量部と、2個の可変容量部の上下流側のそれぞれに直列に接続され、静電容量が固定の2個の固定容量部と、を備え、各可変容量部は、基板に固定的に設けられた固定容量電極と、固定容量電極に対面し、可動電極と一体に変位して固定容量電極に対し離接する可動容量電極と、を有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、2個の可変容量部と2個の固定容量部とを直列に接続することで、RF電圧(Radio Frequency Voltage)のホットスイッチングを行った場合に、RF電圧が分圧される。これによって、可動電極の引離しを妨げる静電気力、すなわち固定容量電極と可動容量電極との間の静電気力を全体として小さくすることができる。また、固定容量電極および可動容量電極を、フローティング状態にすることができる。
【0022】
本発明の静電アクチュエーターの駆動方法は、基板に対し固定的に設けられた固定電極と、固定電極に表裏一方の面で対面し、固定電極との間の静電気力により、固定電極に近接する可動電極と、可動電極の表裏他方の面に対面し、可動電極との間の静電気力により、可動電極を固定電極から引き離す引離し電極と、を備え、引離し電極は、可動電極を部分的に固定し、可動電極および引離し電極は、相互の固定部分を中心に拡開するように、可動電極および/または引離し電極が変形して、可動電極の固定電極に対する離接可動を受容する静電アクチュエーターの駆動方法であって、固定電極に、近接時の静電気力を生じさせるための所定のプルイン動作電圧を印加し、可動電極に、基準電位点を接続し、引離し電極に、引離し時の静電気力を生じさせるための所定のプルアウト動作電圧を印加することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、第1に、引離し電極が、可動電極を部分的に固定しているので、引離し電極を支持する支持部材を設ければ、可動電極に特段の支持部材を設ける必要がない。第2に、固定部分を中心に拡開するように変形して、可動電極の離接可動を受容するため、固定部分近傍において、常に可動電極および引離し電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。その結果、離間動作の開始時にも引離し時の静電気力を効果的に発生させることができ、簡単な構成で高い引離し力を得ることができる。ゆえに、初動が速く離間動作全体の動作速度が速くなるので、静電アクチュエーターの動作を安定的に行うことができる。さらに、固定電極にプルイン動作電圧を印加し、引離し電極にプルアウト動作電圧を印加して、可動電極を離接することで、可動電極にプルイン動作電圧やプルアウト動作電圧を印加する必要がなく、電位制御を簡単な構成で行うことができる。
【0024】
本発明の静電アクチュエーターは、基板に対し固定的に設けられた平面状の固定電極と、固定電極に表裏一方の面で対面する平面状の可動電極と、可動電極の表裏他方の面に対面する平面状の対面電極と、基板に立設されると共に、対面電極を支持する電極支持部と、を備え、対面電極は、可動電極を部分的に固定し、可動電極および対面電極は、相互の固定部分を中心として拡開変形自在に構成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、第1に、引離し電極が、可動電極を部分的に固定しているので、可動電極に特段の支持部材を設ける必要がない。第2に、固定部分を中心に拡開するように変形して、可動電極の離接可動を受容するため、固定部分近傍において、常に可動電極および引離し電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。その結果、離間動作の開始時にも引離し時の静電気力を効果的に発生させることができ、簡単な構成で高い引離し力を得ることができる。ゆえに、初動が速く離間動作全体の動作速度が速くなるので、静電アクチュエーターの動作を安定的に行うことができる。