特許第5774779号(P5774779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774779静電アクチュエーターおよび可変容量デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774779
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】静電アクチュエーターおよび可変容量デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02N 13/00 20060101AFI20150820BHJP
   H02N 1/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H02N13/00 D
   H02N1/00
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-514227(P2014-514227)
(86)(22)【出願日】2012年5月8日
(86)【国際出願番号】JP2012003004
(87)【国際公開番号】WO2013168191
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503213291
【氏名又は名称】パイオニア・マイクロ・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】特許業務法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】埴原 甲二
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−181038(JP,A)
【文献】 特開2008−171586(JP,A)
【文献】 特開2009−48875(JP,A)
【文献】 特開平9−55337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 13/00
H02N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対し固定的に設けられた固定電極と、
前記固定電極に表裏一方の面で対面し、前記固定電極との間の静電気力により、前記固定電極に近接する可動電極と、
前記可動電極の表裏他方の面に対面し、前記可動電極との間の静電気力により、前記可動電極を前記固定電極から引き離す引離し電極と、を備え、
前記引離し電極は、前記可動電極を部分的に固定し、
前記可動電極および前記引離し電極は、相互の固定部分を中心に拡開するように、前記可動電極および/または前記引離し電極が変形して、前記可動電極の前記固定電極に対する離接可動を受容することを特徴とする静電アクチュエーター。
【請求項2】
前記可動電極および/または前記引離し電極は、弾性を持って変形すると共に、当該変形の復元力を、前記可動電極の引離し力として作用させることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
【請求項3】
前記固定電極は、近接時の静電気力を生じさせるための所定のプルイン動作電圧を印加する第1の印加電源に接続され、
前記可動電極は、基準電位点に接続され、
前記引離し電極は、引離し時の静電気力を生じさせるための所定のプルアウト動作電圧を印加する第2の印加電源に接続されることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
【請求項4】
前記引離し電極から、前記可動電極の引離し方向に連結したn(n≧1)個の追加引離し電極を、更に備え、
連結した前記引離し電極および前記n個の追加引離し電極は、連結した前後の電極が相互に対面し、相互間の静電気力を、前記引離し電極を介した前記可動電極の引離し力として作用させると共に、前記可動電極と合わせて蛇腹状に変形して、前記可動電極の前記固定電極に対する離接可動を受容することを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
【請求項5】
連結した前記引離し電極および前記n個の追加引離し電極は、弾性を持って変形すると共に、当該変形の復元力を、前記可動電極の引離し力として作用させることを特徴とする請求項4に記載の静電アクチュエーター。
【請求項6】
請求項1に記載の静電アクチュエーターと、
前記静電アクチュエーターを駆動源として駆動する静電容量を可変する可変容量素子と、を備えたことを特徴とする可変容量デバイス。
【請求項7】
前記静電アクチュエーターは、前記可変容量素子に電圧を印加した状態で、前記可動電極の離接動作を行うことを特徴とする請求項6に記載の可変容量デバイス。
【請求項8】
前記可変容量素子は、
直列に接続され、静電容量が可変の2個の可変容量部と、
前記2個の可変容量部の上下流側のそれぞれに直列に接続され、静電容量が固定の2個の固定容量部と、を備え、
前記各可変容量部は、
前記基板に固定的に設けられた固定容量電極と、
前記固定容量電極に対面し、前記可動電極と一体に変位して前記固定容量電極に対し離接する可動容量電極と、を有することを特徴とする請求項6に記載の可変容量デバイス。
【請求項9】
基板に対し固定的に設けられた固定電極と、
前記固定電極に表裏一方の面で対面し、前記固定電極との間の静電気力により、前記固定電極に近接する可動電極と、
前記可動電極の表裏他方の面に対面し、前記可動電極との間の静電気力により、前記可動電極を前記固定電極から引き離す引離し電極と、を備え、
前記引離し電極は、前記可動電極を部分的に固定し、
前記可動電極および前記引離し電極は、相互の固定部分を中心に拡開するように、前記可動電極および/または前記引離し電極が変形して、前記可動電極の前記固定電極に対する離接可動を受容する静電アクチュエーターの駆動方法であって、
前記固定電極に、近接時の静電気力を生じさせるための所定のプルイン動作電圧を印加し、
前記可動電極に、基準電位点を接続し、
前記引離し電極に、引離し時の静電気力を生じさせるための所定のプルアウト動作電圧を印加することを特徴とする静電アクチュエーターの駆動方法。
【請求項10】
基板に対し固定的に設けられた平面状の固定電極と、
前記固定電極に表裏一方の面で対面する平面状の可動電極と、
前記可動電極の表裏他方の面に対面する平面状の対面電極と、
前記基板に立設されると共に、前記対面電極を支持する電極支持部と、を備え、
前記対面電極は、前記可動電極を部分的に固定し、
前記可動電極および前記対面電極は、相互の固定部分を中心として拡開変形自在に構成されていることを特徴とする静電アクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定電極とこれに対面する可動電極とを有し、静電気力を利用して、固定電極に対し可動電極を離接させる静電アクチュエーターおよび可変容量デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、可変容量コンデンサー(可変容量デバイス)として、シグナル線とこれに対向する電極とからなる可変容量部と、可変容量部の両側に連なるブリッジ構造の一対のアクチュエーター部と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。各アクチュエーター部は、可動側の上部電極と、これに対向する固定側の下部電極と、上部電極に接続されたばね構造部と、を有している。そして、上部電極および下部電極間に電圧を印加することで、上部電極と下部電極との間に電位差を与える。その結果、上部電極および下部電極との間に静電気力が生じ、上部電極および下部電極を近接させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−278634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の可変容量コンデンサーでは、ホットスイッチング(可変容量部に電圧を印加した状態でアクチュエーター部を駆動する駆動方法)等により、下部電極から上部電極を引き離すときに、高い引離し力を必要とする場合がある。上記従来の構成では、ばね構造部の復元力により、可動電極を引き離す構成であるため、ばね構造部のバネ定数を高くすることが考えられるが、これでは、可動電極を近接させるのに高い静電気力を必要とするため、近接時に高い電圧を印加するか、両電極の対面面積を広くしなければならないという問題があった。
これに対し、単に、上部電極の上方に第3の電極を追加し、上部電極と当該第3の電極との間に静電気力を生じさせて可動電極を引き離す構成を考えた。しかしながら、この構成では、上部電極の支持部材(梁やアンカー)とは別に、第3の電極の支持部材が必要である上、離間動作の開始時に、効果的に静電気力が発生しないという問題が想定される。すなわち、静電気力が、上部電極および第3電極の離間距離の2乗に反比例するのに対し、離間動作の開始時には、上部電極が下部電極に近接した状態であり、上部電極が第3の電極から最大限離れた状態になっている。そのため、離間動作の開始時に強い静電気力が生じない。これによって、初動が遅く離間動作全体の動作速度が遅くなるので、静電アクチュエーターの動作を安定的に行うことができないという問題が生じる。
【0005】
本発明は、引離し時の静電気力を効果的に発生させることができ、簡単な構成で高い引離し力を得ることができる静電アクチュエーターおよび可変容量デバイスを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の静電アクチュエーターは、基板に対し固定的に設けられた固定電極と、固定電極に表裏一方の面で対面し、固定電極との間の静電気力により、固定電極に近接する可動電極と、可動電極の表裏他方の面に対面し、可動電極との間の静電気力により、可動電極を固定電極から引き離す引離し電極と、を備え、引離し電極は、可動電極を部分的に固定し、可動電極および引離し電極は、相互の固定部分を中心に拡開するように、可動電極および/または引離し電極が変形して、可動電極の固定電極に対する離接可動を受容することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第1に、引離し電極が、可動電極を部分的に固定しているので、引離し電極を支持する支持部材を設ければ、可動電極に特段の支持部材を設ける必要がない。第2に、固定部分を中心に拡開するように変形して、可動電極の離接可動を受容するため、固定部分近傍において、常に可動電極および引離し電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。その結果、離間動作の開始時にも引離し時の静電気力を効果的に発生させることができ、簡単な構成で高い引離し力を得ることができる。ゆえに、初動が速く離間動作全体の動作速度が速くなるので、静電アクチュエーターの動作を安定的に行うことができる。なお、当該構成において、可動電極と引離し電極とは非導通になるように構成されている。
【0008】
この場合、可動電極および/または引離し電極は、弾性を持って変形すると共に、当該変形の復元力を、可動電極の引離し力として作用させることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、弾性変形の復元力と、引離し電極による静電気力とで、可動電極を引き離すため、より高い引離し力を得ることができる。
【0010】
また、固定電極は、近接時の静電気力を生じさせるための所定のプルイン動作電圧を印加する第1の印加電源に接続され、可動電極は、基準電位点に接続され、引離し電極は、引離し時の静電気力を生じさせるための所定のプルアウト動作電圧を印加する第2の印加電源に接続されることが好ましい。
【0011】
近接時に、可動電極と引離し電極との間に電位差が生じていると、その静電気力が近接動作の妨げになる。また、引離し時に、固定電極と可動電極との間に電位差が生じていると、その静電気力が離間動作(引離し)の妨げになる。よって、近接時には、可動電極および引離し電極が同一の電位を有している必要があり、離間時には、固定電極および可動電極が同一の電位を有している必要がある。そのため、例えば、可動電極にプルアウト動作電圧を印加して可動電極の離間動作を行うと、それに合わせて、固定電極および引離し電極にプルアウト動作電圧とGND電圧(基準電圧)を印加する必要があり、電位制御が煩雑になってしまう。
これに対し、上記構成によれば、固定電極にプルイン動作電圧を印加し、引離し電極にプルアウト動作電圧を印加して、可動電極を離接することで、可動電極にプルイン動作電圧やプルアウト動作電圧を印加する必要がなく、電位制御を簡単な構成で行うことができる。なお、「所定のプルイン動作電圧」は、静電気力により可動電極の近接移動(プルイン)が生じる電圧(いわゆるプルイン電圧)以上の電圧である。また、「所定のプルアウト動作電圧」は、静電気力により可動電極の離間移動(プルアウト)が生じる電圧(いわゆるプルアウト電圧)以上の電圧である。
【0012】
さらに、引離し電極から、可動電極の引離し方向に連結したn(n≧1)個の追加引離し電極を、更に備え、連結した引離し電極およびn個の追加引離し電極は、連結した前後の電極が相互に対面し、相互間の静電気力を、引離し電極を介した可動電極の引離し力として作用させると共に、可動電極と合わせて蛇腹状に変形して、可動電極の固定電極に対する離接可動を受容することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、n個の追加引離し電極を設けることで、より高い引き離し力を得ることができる。また、n個の追加引離し電極が、引離し電極に連結されているため、最端の追加引離し電極を支持する支持部材を設ければ、(n−1)個の追加引離し電極、引離し電極および可動電極に特段の支持部材を設ける必要がない。さらに、連結した引離し電極およびn個の追加引離し電極が、蛇腹状(ベローズ状)に変形するため、連結部分を中心に拡開するように変形する構成となる。そのため、可動電極および引離し電極間と同様、連結部分近傍において、常に前後の電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。
【0014】
この場合、連結した引離し電極およびn個の追加引離し電極は、弾性を持って変形すると共に、当該変形の復元力を、可動電極の引離し力として作用させることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
【0015】
この構成によれば、連結した引離し電極およびn個の追加引離し電極の弾性変形による復元力を引離し力として作用させるため、より高い引離し力を得ることができる。
【0016】
本発明の可変容量デバイスは、上記の静電アクチュエーターと、静電アクチュエーターを駆動源として駆動する静電容量を可変する可変容量素子と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、動作を安定的に行うことができる静電アクチュエーターを用いることで、安定性の高い可変容量デバイスを提供することができる。なお、ここにいう「可変容量デバイス」は、可変容量コンデンサーおよび可変容量型のスイッチ等を含んでいる。
【0018】
この場合、静電アクチュエーターは、可変容量素子に電圧を印加した状態で、可動電極の離接動作を行うことが好ましい。
【0019】
可変容量素子に電圧を印加した状態で可動電極の離接動作を行う、いわゆるホットスイッチングを行うと、可変容量素子を構成する一対の電極間で静電気力が生じ、可動電極の引離しを妨げる。
これに対し、上記構成によれば、高い引離し力を得ることができる静電アクチュエーターを用いることで、ホットスイッチングを安定的に行うことができる。
【0020】
また、可変容量素子は、直列に接続され、静電容量が可変の2個の可変容量部と、2個の可変容量部の上下流側のそれぞれに直列に接続され、静電容量が固定の2個の固定容量部と、を備え、各可変容量部は、基板に固定的に設けられた固定容量電極と、固定容量電極に対面し、可動電極と一体に変位して固定容量電極に対し離接する可動容量電極と、を有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、2個の可変容量部と2個の固定容量部とを直列に接続することで、RF電圧(Radio Frequency Voltage)のホットスイッチングを行った場合に、RF電圧が分圧される。これによって、可動電極の引離しを妨げる静電気力、すなわち固定容量電極と可動容量電極との間の静電気力を全体として小さくすることができる。また、固定容量電極および可動容量電極を、フローティング状態にすることができる。
【0022】
本発明の静電アクチュエーターの駆動方法は、基板に対し固定的に設けられた固定電極と、固定電極に表裏一方の面で対面し、固定電極との間の静電気力により、固定電極に近接する可動電極と、可動電極の表裏他方の面に対面し、可動電極との間の静電気力により、可動電極を固定電極から引き離す引離し電極と、を備え、引離し電極は、可動電極を部分的に固定し、可動電極および引離し電極は、相互の固定部分を中心に拡開するように、可動電極および/または引離し電極が変形して、可動電極の固定電極に対する離接可動を受容する静電アクチュエーターの駆動方法であって、固定電極に、近接時の静電気力を生じさせるための所定のプルイン動作電圧を印加し、可動電極に、基準電位点を接続し、引離し電極に、引離し時の静電気力を生じさせるための所定のプルアウト動作電圧を印加することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、第1に、引離し電極が、可動電極を部分的に固定しているので、引離し電極を支持する支持部材を設ければ、可動電極に特段の支持部材を設ける必要がない。第2に、固定部分を中心に拡開するように変形して、可動電極の離接可動を受容するため、固定部分近傍において、常に可動電極および引離し電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。その結果、離間動作の開始時にも引離し時の静電気力を効果的に発生させることができ、簡単な構成で高い引離し力を得ることができる。ゆえに、初動が速く離間動作全体の動作速度が速くなるので、静電アクチュエーターの動作を安定的に行うことができる。さらに、固定電極にプルイン動作電圧を印加し、引離し電極にプルアウト動作電圧を印加して、可動電極を離接することで、可動電極にプルイン動作電圧やプルアウト動作電圧を印加する必要がなく、電位制御を簡単な構成で行うことができる。
【0024】
本発明の静電アクチュエーターは、基板に対し固定的に設けられた平面状の固定電極と、固定電極に表裏一方の面で対面する平面状の可動電極と、可動電極の表裏他方の面に対面する平面状の対面電極と、基板に立設されると共に、対面電極を支持する電極支持部と、を備え、対面電極は、可動電極を部分的に固定し、可動電極および対面電極は、相互の固定部分を中心として拡開変形自在に構成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、第1に、引離し電極が、可動電極を部分的に固定しているので、可動電極に特段の支持部材を設ける必要がない。第2に、固定部分を中心に拡開するように変形して、可動電極の離接可動を受容するため、固定部分近傍において、常に可動電極および引離し電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。その結果、離間動作の開始時にも引離し時の静電気力を効果的に発生させることができ、簡単な構成で高い引離し力を得ることができる。ゆえに、初動が速く離間動作全体の動作速度が速くなるので、静電アクチュエーターの動作を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る可変容量コンデンサーの断面図である。
図2】可変容量コンデンサーの平面図である。
図3】可変容量コンデンサーの分解図である。
図4】静電アクチュエーターの断面図である。
図5】静電アクチュエーターにおける両駆動電極の近接動作および離間動作を示した説明図である。
図6】静電アクチュエーターの第1変形例を示した断面図である。
図7】可変容量素子の変形例を示した可変容量コンデンサーの断面図である。
図8】(a)および(b)は、静電アクチュエーターの第2変形例を示した平面図であり、(c)は、静電アクチュエーターのA‐A´線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照し、本発明の一実施形態に係る静電アクチュエーターおよび可変容量デバイスについて説明する。本実施形態では、静電アクチュエーターを用いた可変容量コンデンサー(可変容量デバイス)を例示する。この可変容量コンデンサーは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスであり、半導体集積回路作製技術を用いて、シリコン基板(半導体基板)上に、電子回路および機械構造を作りこむことで構成されている。なお、本可変容量コンデンサーは、静電気力により可動駆動電極を固定駆動電極から引き離す引離し電極と、可動駆動電極の可動構造とにより、高い引離し力を得る構成を有している。
【0028】
図1および図2に示すように、可変容量コンデンサー1は、シリコン基板(基板)2と、シリコン基板2上に配設された可変容量素子3と、シリコン基板2上に配設され、可変容量素子3の両側に連なる一対の静電アクチュエーター4と、を備えている。すなわち、可変容量コンデンサー1は、一対の静電アクチュエーター4を駆動源として可変容量素子3の静電容量を可変する。また、シリコン基板2の表面には、絶縁層5が形成されており、この絶縁層5上に、可変容量素子3および一対の静電アクチュエーター4が配設されている。なお、本実施形態では、一対の静電アクチュエーター4が可変容量素子3に連なる方向を、X軸方向とし、それに直交する方向を、Y軸方向とする。また、シリコン基板2の厚さ方向を上下方向とする。
【0029】
可変容量素子3は、シリコン基板2上に敷設した固定側の固定容量電極11と、固定容量電極11に上方から対面する可動側の可動容量電極12と、を備えている。また、両容量電極11、12には、可変容量素子3の電気接点(入力端子)をそれぞれ配しており、電圧印加により両容量電極11、12上に電荷が蓄積される。なお、符号14は、可動容量電極12の取出し部である。そして、静電アクチュエーター4によって、固定容量電極11に対し、可動容量電極12を近接・離間させることで、可変容量素子3の静電容量を2段階で可変する。また、固定容量電極11は、絶縁膜13で覆われており、両容量電極11、12の近接状態においては、当該絶縁膜13を介して、固定容量電極11と可動容量電極12とが接触する。なお、本実施形態では、両容量電極11、12の近接状態において、絶縁膜13を介して、固定容量電極11と可動容量電極12とが接触するものを示したが、近接状態において、エアギャップを介して、固定容量電極11と可動容量電極12とが対面する構成であっても良い。
【0030】
図2ないし図4に示すように、各静電アクチュエーター4は、シリコン基板2上に敷設した固定側の固定駆動電極(固定電極)21と、固定駆動電極21に上方から対面する可動側の可動駆動電極(可動電極)22と、可動駆動電極22に上方から対面しつつ、絶縁体の連結部23を介して可動駆動電極22と連結する引離し電極(対面電極)24と、シリコン基板2上に立設され、連結した可動駆動電極22および引離し電極24を支持する電極支持部25と、を備えている。各静電アクチュエーター4は、連結した可動駆動電極22および引離し電極24が拡開様に変形することで、可動駆動電極22が固定駆動電極21に離接する。
【0031】
固定駆動電極21は、平面状に電極であり、シリコン基板2上に敷設されると共に、可動駆動電極22(後述の扁平部31)に対面している。固定駆動電極21は、所定のプルイン動作電圧(所定の駆動電圧)を印加する第1の印加電源W1に接続されており、当該所定のプルイン動作電圧の印加により、可動駆動電極22との間に静電気力(静電吸引力)を生じさせる。固定駆動電極21は、この静電気力により可動駆動電極22を近接させる。また、固定駆動電極21は、絶縁膜26で覆われており、両駆動電極21、22の近接状態においては、当該絶縁膜26を介して、固定駆動電極21と可動駆動電極22とが接触する。なお、当該所定のプルイン動作電圧は、静電気力により可動駆動電極22の近接移動(プルイン)が生じる電圧(いわゆるプルイン電圧)以上の電圧である。
【0032】
可動駆動電極22は、平面状の電極であり、表裏一方の面(下面)で固定駆動電極21に対面し、表裏他方の面(上面)で引離し電極24に対面している。また、可動駆動電極22は、連結部23を介してX軸方向一端部(可変容量素子3側に対する逆側)が引離し電極24に固定されており、一方、X軸方向他端部(可変容量素子3側)で、絶縁体の接合部27を介して可動容量電極12を接合している(図1参照)。すなわち、可動容量電極12は、一対の静電アクチュエーター4の一対の可動駆動電極22にX軸方向両側で接合されている。これにより、可動容量電極12が、一対の可動駆動電極22と一体に変位して離接する。なお、可動駆動電極22は、グラウンド(基準電位点)Gに接続されており、常に基準電位(ゼロ電位)を有している。符号34は、可動駆動電極22の取出し部である。
【0033】
また、可動駆動電極22は、固定駆動電極21に対面する扁平部31と、基端部が引離し電極24に固定されると共に扁平部31を所定の弾性を持って支持するビーム部32(変形部)とを有し、一体の電極を成している。すなわち、ビーム部32は、引離し電極24に固定された部分を中心に回動するように弾性変形して、扁平部31を上下動する。なお、図示省略するが、厳密には、扁平部31自体も弾性により一部変形する。
【0034】
引離し電極24は、平面状の電極であり、X軸方向一端部(可変容量素子3側に対する逆側)で可動駆動電極22を部分的に固定し、X軸方向他端部(可変容量素子3側)で電極支持部25に支持されている。厳密には、引離し電極24は、X軸方向他端部に形成された左右一対の被支持部24aを有し、当該一対の被支持部24aが電極支持部25に支持されている。また、引離し電極24は、所定の弾性を持って形成されており、電極支持部25に支持された端部を中心に回動するように弾性変形する。その結果、連結した可動駆動電極22および引離し電極24は、相互の固定部分を中心に拡開するように(横「V」字状に)、変形する。これによって、可動駆動電極22および引離し電極24は、扁平部31の上下動を受容して、固定駆動電極21に対する可動駆動電極22の離接可動を受容している。
【0035】
また、引離し電極24は、ビーム部32を含む可動駆動電極22全域に対面している。そして、引離し電極24は、所定のプルアウト動作電圧(所定の駆動電圧:直流電圧)を印加する第2の印加電源W2に接続されており、当該所定のプルアウト動作電圧の印加により、可動駆動電極22との間に静電気力(静電吸引力)を生じさせる。引離し電極24は、上記両電極22、24の弾性変形における復元力に加え、この両電極22、24の静電気力により、可動駆動電極22を固定駆動電極21から引き離し、可動駆動電極22を固定駆動電極21から離間させる。なお、当該所定のプルアウト動作電圧は、静電気力により可動駆動電極22の離間移動(プルアウト)が生じる電圧(いわゆるプルアウト電圧)以上の電圧である。
【0036】
なお、図1ないし図3の例では、一対の静電アクチュエーター4の一対の引離し電極24が、相互の左右一方の被支持部24aで連なり、導通可能に一体形成されている。そのため、一対の引離し電極24は、個々に第2の印加電源W2に接続されている必要はなく、一方の引離し電極24が、第2の印加電源W2に接続されていれば、これに導通した他方の引離し電極24も、第2の印加電圧Wに接続された状態となる。
【0037】
電極支持部25は、引離し電極24の一対の被支持部24aを支持する左右一対の第1アンカー部46および第2アンカー部47を有している。また、一対の静電アクチュエーター4の2個の第1アンカー部46は、一体に形成されており、一対の静電アクチュエーター4の2個の第2アンカー部47は、可動容量電極12の取出し部14を避けるように離間して別体で形成されている。
【0038】
ここで図5を参照して静電アクチュエーター4における両駆動電極21、22の近接動作および離間動作について説明する。なお、本近接動作および離間動作は、可変容量素子3にRF電圧が印加された状態で行うものとする(いわゆるホットスイッチング)。また、近接動作は、両駆動電極21、22が離間した定常状態から開始し、離間動作は、両駆動電極21、22が近接したプルイン状態から開始するものとする。図5(a)に示すように、定常状態(両駆動電極21、22の離間状態)では、プルイン動作電圧およびプルアウト動作電圧を印加しておらず、固定駆動電極21、可動駆動電極22および引離し電極24は、同一の電位(基準電位)を有している。
【0039】
図5(b)に示すように、近接動作では、静電アクチュエーター4は、第1の印加電源W1を制御して固定駆動電極21に所定のプルイン動作電圧を印加する。プルイン動作電圧を印加すると、固定駆動電極21および可動駆動電極22に正負相違の電荷が蓄積し、その電圧差で両駆動電極21、22の間に静電気力が生じる。ここで生じた静電気力により、可動駆動電極22および引離し電極24が、自身の復元力に逆らって開くように変形していく。すなわち、可動駆動電極22および引離し電極24が、電極支持部25に支持された部分を固定として、両電極22、24間の固定部分(連結部23周り)を中心に拡開するように変形する。当該変形によって、可動駆動電極22の扁平部31が下降し、当該扁平部31が固定駆動電極21に対する離間位置から近接位置に移動する。すなわち、可動駆動電極22が、固定駆動電極21に近接する。これにより、静電アクチュエーター4が、定常状態からプルイン状態に移行する。
【0040】
図5(c)に示すように、プルイン状態(両駆動電極21、22の近接状態)では、可動駆動電極22の扁平部31が絶縁膜26を介して、固定駆動電極21に接触する。このとき、可動駆動電極22および引離し電極24は、同一の電位(基準電位)を有し、固定駆動電極21は、所定のプルイン動作電圧が印加され続けているため、プルイン動作電圧に伴う所定の電位を有している。なお、プルイン状態を維持するのに必要なプルイン維持電圧は、扁平部31を近接移動させるのに必要なプルイン電圧よりも低い。そのため、プルイン状態では、プルイン動作電圧よりも低い所定の電圧(ただしプルイン維持電圧以上の電圧)を印加する構成であっても良い。
【0041】
図5(d)に示すように、離間動作では、静電アクチュエーター4は、第1の印加電源W1を制御してプルイン動作電圧の印加を停止すると共に、第2の印加電源W2を制御して引離し電極24にプルアウト動作電圧を印加する。プルイン動作電圧の印加を停止すると、両駆動電極21、22が同一の電位となり、両駆動電極21、22間の静電気力が解除される。一方、プルアウト動作電圧を印加すると、可動駆動電極22および引離し電極24に正負相違の電荷が蓄積し、その電圧差で両電極22、24の間に静電気力が生じる。特に、相互の固定部分付近は、離間動作の開始時でも近接した状態にあるので強い静電気力が生じる。その結果、可動駆動電極22(ビーム部32)および引離し電極24の復元力と、両電極22、24間の静電気力とにより、可動駆動電極22および引離し電極24が閉じるように変形していく。この変形によって、可動駆動電極22の扁平部31が上昇し、当該扁平部31が固定駆動電極21から引き離される。そして、扁平部31が近接位置から離間位置に移動する。すなわち、可動駆動電極22が、固定駆動電極21から離間する。その後、プルアウト動作電圧の印加を停止する。これにより、静電アクチュエーター4が、プルイン状態から定常状態に移行する。
【0042】
次に図6を参照して、静電アクチュエーター4の変形例について説明する。図6に示すように、変形例の静電アクチュエーター4は、図1に記載の各電極に加え、引離し電極24に上方から対面しつつ、引離し電極24から上方に連結した追加引離し電極51を備えている。追加引離し電極51は、X軸方向一端部(可変容量素子3側)の被支持部51aで電極支持部25に支持され、X軸方向他端部(可変容量素子3側に対する逆側)で絶縁体の連結部52を介して引離し電極24に連結されている。また、追加引離し電極51は、引離し電極24と同様、所定の弾性を持って形成されている。そして、連結された引離し電極24および追加引離し電極51は、可動駆動電極22と合わせて、蛇腹状(ベローズ状)に弾性変形して、可動駆動電極22の離接可動を受容している。さらに、追加引離し電極51は、グラウンドGに接続されている。
【0043】
両駆動電極21、22の離間動作時には、引離し電極24にプルアウト動作電圧を印加すると、引離し電極24および追加引離し電極51の間にも、正負相違の電荷が蓄積し、その電位差で静電気力が生じる。この静電気力と、追加引離し電極51における弾性変形の復元力とが可動駆動電極22の引離し力として作用し、可動駆動電極22の引離しに寄与する。
【0044】
本変形例によれば、追加引離し電極51を設けることで、より高い引き離し力を得ることができる。また、追加引離し電極51が、引離し電極24に連結されているため、追加引離し電極51を支持する支持部材(電極支持部25)を設ければ、可動駆動電極22および引離し電極24に特段の支持部材を設ける必要がない。さらに、連結した引離し電極24および追加引離し電極51が、蛇腹状(ベローズ状)に変形するため、連結部分を中心に拡開するように変形する構成となる。そのため、可動駆動電極22および引離し電極24間と同様、連結部分近傍において、常に前後の電極が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。またさらに、追加引離し電極51の弾性変形による復元力を引離し力として作用させることで、より高い引離し力を得ることができる。
【0045】
なお、本変形例では、引離し電極24から上方に1個の追加引離し電極51を連結する構成であったが、n(n≧1)個の追加引離し電極51を連結する構成であれば、複数の追加引離し電極51を連結する構成であっても良い。すなわち、第1の追加引離し電極51は、引離し電極24に上方から対面しつつ、引離し電極24を端部で固定し、それ以降の追加引離し電極51は、連結した一つ前の追加引離し電極51に対面しつつ、当該追加引離し電極51を端部で固定する。すなわち、連結した引離し電極24およびn個の追加引離し電極51は、連結した前後の電極が相互に対面した構成となる。そして、前後の電極間に静電気力を生じさせ、その静電気力を引離し電極24を介した可動駆動電極22の引離し力として作用させる。なお、この場合、前後の電極で電位差が生じるように、連結した順序で、奇数番目の追加引離し電極51は、グラウンドGに接続され、偶数番目の追加引離し電極51は、プルアウト動作電圧を印加する第2の印加電源W2に接続され、離間動作時にプルアウト動作電圧が印加される。また、本構成において、連結部分が、X軸方向一端部と他端部とで交互位置することが好ましい。
【0046】
次に図7を参照して、可変容量素子3の変形例について説明する。なお、本変形例では、シリコン基板2に代えて絶縁性基板6を用いる。図7に示すように、変形例の可変容量素子3は、絶縁性基板6に敷設された一対の固定容量電極11と、一対の固定容量電極11に上方から対面する可動容量電極12と、絶縁性基板6内に埋め込まれ、一対の固定容量電極11の下面に絶縁層5を介して対面する一対の埋込容量電極60と、を備えている。そして、一対の固定容量電極11および可動容量電極12は、静電容量が可変の2個の可変容量部61を構成し、一対の固定容量電極11および一対の埋込容量電極60は、静電容量が固定の2個の固定容量部62を構成している(図7(c)参照)。そして、一対の埋込容量電極60には、可変容量素子3の電気接点(入力端子)をそれぞれ配しており、一対の固定容量電極11、可動容量電極12および一対の埋込容量電極60は、上流側から、一方の固定容量部62、2個の可変容量部61、他方の固定容量部62の順で直列した電気回路を構成している。なお、一対の固定容量電極11および一対の可動容量電極12は、フローティング状態になっている。
【0047】
本変形例によれば、2個の可変容量部61と2個の固定容量部62とを直列接続することにより、ホットスイッチング時のRF電圧が分圧されるので、可動駆動電極22の引離しを妨げる静電気力、すなわち固定容量電極11と可動容量電極12との間の静電気力を全体として小さくすることができる。また、一対の固定容量電極11および可動容量電極12を、フローティング状態にすることができる。なお、本変形例では、隣接する一対の埋込容量電極60間が非導通となるように絶縁性基板6を用いたが、絶縁性基板6に代えてシリコン基板2を用いても良い。ただし、隣接する埋込容量電極60間の絶縁性を確保するにはシリコン基板2のPN接合では十分とは言えないので、絶縁性基板6を用いるほうが好ましい。
【0048】
なお、本変形例では、2個の可変容量部61の可動容量電極12を、一体に形成する構成であったが、2個の可変容量部61の可動容量電極12を、別体で形成する構成であっても良い。
【0049】
以上の実施形態によれば、第1に、引離し電極24が、可動駆動電極22を部分的に固定しているので、引離し電極24を支持する支持部材(電極支持部25)を設ければ、可動駆動電極22に特段の支持部材を設ける必要がない。第2に、固定部分を中心に拡開するように変形して、可動駆動電極22の離接可動を受容するため、固定部分近傍において、常に可動駆動電極22および引離し電極24が近接した状態となっており、高い静電気力が生じさせることができる。その結果、離間動作の開始時にも引離し時の静電気力を効果的に発生させることができ、簡単な構成で高い引離し力を得ることができる。ゆえに、初動が速く離間動作全体の動作速度が速くなるので、静電アクチュエーター4の動作を安定的に行うことができる。
【0050】
例えば、離間動作の開始時に、プルアウト動作電圧Vを印加する場合の両電極22、24間の静電気力F1を計算すると、以下のようになる。すなわち、可動駆動電極22の幅をW、可動駆動電極22の固定部分から先端部分までの距離をL、固定部分での引離し電極24との離間距離をG0、先端部分での引離し電極24との離間距離をG1とする。そして、固定部分から先端部分まで引離し電極24との離間距離f(x)を、一次線形近似で計算すると、
f(x)=(G1−G0)×x/L+G0
となる。ここで、xは、固定部分をゼロとした位置座標とする。
これを利用して上記静電気力F1を計算すると、
F1=(1/2)×ε0×W×L×V/(G0×G1)
となる。一方、引離し電極24を、可動駆動電極22の上方に且つ平行に対面して配設させた構成では、引離し電極24との離間距離が全域でG1となり、プルアウト動作電圧Vを印加した場合の両電極22、24間の静電気力F0を計算すると、
F0=(1/2)×ε0×W×L×V/(G1)
となる。G1がG0より格段に高い数値であることを考慮すれば、前者の静電気力F1が、後者の静電気力F0より格段に高い数値であることがわかる。
【0051】
また、可動駆動電極22および引離し電極24が、弾性を持って変形することで、弾性変形の復元力と、引離し電極24による静電気力とで、可動駆動電極22を引き離すため、より高い引離し力を得ることができる。なお、これを考慮しないのであれば、可動駆動電極22および/または引離し電極24が、弾性(バネ性)を持たずに変形する構成であっても良い。すなわち、静電気力のみで可動駆動電極22を引き離す構成であっても良い。
【0052】
さらに、固定駆動電極21にプルイン動作電圧を、引離し電極24にプルアウト動作電圧を印加して、可動駆動電極22を離接することで、可動駆動電極22にプルイン動作電圧やプルアウト動作電圧を印加する必要がなく、電位制御を簡単な構成で行うことができる。
【0053】
なお、本実施形態においては、可動駆動電極22および引離し電極24が共に変形して、可動駆動電極22の離接可動を受容する構成であったが、可動駆動電極22および引離し電極24のいずれか一方のみが変形して、可動駆動電極22の離接可動を受容する構成であっても良い。
【0054】
また、本実施形態においては、固定駆動電極21、可動駆動電極22および引離し電極24を、シリコン基板2に対し平行に配設する構成であったが、固定駆動電極21、可動駆動電極22および引離し電極24を、シリコン基板2に対し垂直に配設する構成であっても良い(図8(a)、(b)の平面図および図8(c)のA‐A´線断面図参照)。かかる場合、電極支持部25は、固定駆動電極21、可動駆動電極22および引離し電極24を囲う角筒型(上下面がない箱型)に形成されている。そして、電極支持部25は、シリコン基板2に絶縁部71を介して立設され、引離し電極24のX軸方向一端部および固定駆動電極21を、絶縁部71を介して支持する。
【0055】
また、本実施形態においては、可変容量デバイスとして、可変容量コンデンサー1に本発明を適用したが、可変容量素子3を用いた可変容量型のスイッチに本発明を適用しても良い。
【0056】
なお、本実施形態においては、ホットスイッチング対策として、すなわち、ホットスイッチングを安定させる構成として本発明を適用する構成であったが、高い引離し力を必要とするものであれば、ホットスイッチングを行う場合に限るものではない。例えば、両駆動電極21、22の固着(スティクション)対策として、本発明を適用する構成であっても良いし、近接時の静電気力を低減する方法として、ばね構造部(ビーム部32等)のばね定数を低くしつつ(もしくはゼロにしつつ)、本発明を適用する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1:可変容量コンデンサー、 2:シリコン基板、 3:可変容量素子、 4:静電アクチュエーター、 11:固定容量電極、 12:可動容量電極、 21:固定駆動電極、 22:可動駆動電極、 24:引離し電極、 25:電極支持部、 51:追加引離し電極、 61:可変容量部、 62:固定容量部、 G:グラウンド、 W1:第1の印加電源、 W2:第2の印加電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8