特許第5774802号(P5774802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5774802
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】輸液セット
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20150820BHJP
   A61M 5/162 20060101ALI20150820BHJP
   A61M 5/38 20060101ALI20150820BHJP
   A61J 1/14 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   A61M5/14 582
   A61M5/162 500V
   A61M5/38 500
   A61J1/00 390Z
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-526077(P2015-526077)
(86)(22)【出願日】2015年2月9日
(86)【国際出願番号】JP2015053565
【審査請求日】2015年5月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591161623
【氏名又は名称】株式会社コバヤシ
(74)【代理人】
【識別番号】100101085
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 健至
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100185258
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 宏理
(72)【発明者】
【氏名】福岡 幸治
(72)【発明者】
【氏名】川生 剛
(72)【発明者】
【氏名】大澤 一幸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 伊万里
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−108908(JP,A)
【文献】 特開2003−320029(JP,A)
【文献】 特開2014−200415(JP,A)
【文献】 特表2003−549163(JP,A)
【文献】 特開2010−18539(JP,A)
【文献】 特開2004−267377(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/001939(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14
A61J 1/14
A61M 5/162
A61M 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
瓶針又は点滴針接続用コネクタの挿入口からキャップ内に挿入された瓶針又は点滴針接続用コネクタの先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部と、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋とを配設した瓶針又は点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップと、瓶針と、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓と、雄コネクタと、点滴筒と、クレンメと、点滴針接続用コネクタと、輸液チューブと、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプと、任意にフィルターバッグとを有し、
輸液セットの最上流部に瓶針が備えられ、該瓶針は、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプを備えた輸液チューブの一端に接続され、該輸液チューブの他端は、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓の主管上流側コネクタに接続され、該三方活栓の側管側コネクタには、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプを備えた輸液チューブの一端と、該輸液チューブの他端に前記キャップを被せた瓶針を接続し、該三方活栓の主管下流側コネクタには、任意で、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有しかつ側管側コネクタに前記瓶針に装着するためのキャップを被せた瓶針を接続した押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプを備えた輸液チューブの一端を接続せしめた三方活栓をさらに1以上接続し、
さらに、前記下流側に位置する三方活栓の主管下流側コネクタには、雄コネクタが接続され、さらに、押圧して輸液チューブ流路を開閉するためのクランプを備えた輸液チューブの一端が接続され、該輸液チューブの他端には点滴筒が接続され、該点滴筒は、クレンメを装着した輸液チューブの一端に接続され、該輸液チューブの他端は、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓の主管上流側コネクタに接続され、該三方活栓の主管下流側コネクタは、雄コネクタに接続され、さらに輸液チューブの一端に接続され、該輸液チューブの他端には、任意でフィルターバッグとその下流に輸液チューブが接続され、さらに、該輸液チューブの他端に、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓の主管上流側コネクタが接続され、該三方活栓の主管下流側コネクタには、雄コネクタが接続され、さらに輸液チューブの一端が接続され、該輸液チューブの他端には、前記点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップを被せた点滴針接続用コネクタを接続せしめたことを特徴とする、輸液セット。
【請求項2】
前記瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、気体を透過可能とし、固体および液体を通過不能とした開口部と、該開口部を閉鎖するための蓋を該開口部の外側に配設した、瓶針に装着するためのキャップが、瓶針に配設された鍔への掛止部を備えたクリップを有していることを特徴とする、請求項1に記載の輸液セット。
【請求項3】
前記瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、気体を透過可能とし、固体および液体を通過不能とした開口部と、該開口部を閉鎖するための蓋を該開口部の外側に配設した、瓶針に装着するためのキャップが、該キャップを輸液チューブに係留するためのフックを有していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の輸液セット。
【請求項4】
前記キャップを輸液チューブに係留するためのフックが、C字型、O字型またはU字型の形状を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の輸液セット。
【請求項5】
前記瓶針に被せた、瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、気体を透過可能とし、固体および液体を通過不能とした開口部と、該開口部を閉鎖するための蓋を該開口部の外側に配設した、瓶針に装着するためのキャップが、前記フックにより、輸液セットの最上流部に備えられた瓶針に接続された輸液チューブに係留されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の輸液セット。
【請求項6】
輸液チューブが側管側コネクタに接続されている前記三方活栓と、該輸液チューブ、それに繋がるクランプ、瓶針および瓶針に装着するためのキャップを1グループとして、そのうち1以上を同一色に着色せしめ、側管に瓶針が接続されている三方活栓が複数ある場合には、隣接する三方活栓に属するグループがそれぞれ異なる色となるように着色せしめ、任意に、該輸液チューブに同一色の着色テープを貼付せしめ、さらに任意に、三方活栓、輸液チューブ、クランプ、瓶針、瓶針に装着するためのキャップおよび着色テープのいずれかに投与順番を示す数字を表示させたものとすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の輸液セット。
【請求項7】
前記着色された輸液セットが、さらに、表面に複数のイラストを一部重なるようにずらして表示したパッケージに封入され、各イラストは、封入された輸液セットにおける、輸液チューブが側管側コネクタに接続されている前記三方活栓と、該輸液チューブ、それに繋がるクランプ、瓶針および瓶針に装着するためのキャップからなるグループにおいて着色されている色と同色に着色されていることを特徴とする、請求項6に記載の輸液セット。
【請求項8】
前記イラストに、さらに投与順番を示す数字が記載されていることを特徴とする、請求項7に記載の輸液セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液容器への初回の刺針のみで汚染のないプライミング操作が可能であり、接続する側管の向きを回転変更でき、投与時の安定性が保たれ、投与手順の誤認を生じない輸液セット及びパッケージに封入された輸液セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、治療用医薬を輸液として調合し、静脈内に投与する治療が行われている。治療用医薬として抗癌剤や栄養剤などを用いる輸液は、一般に、必要とされる投与量が多い。また、複数の医薬を組み合わせる場合は各輸液を順に投与しなければならず、総投与量がとても多くなる。一方で、輸液投与が続くことで血中薬剤濃度の急激な上昇が起こると、アナフィラキシーショックや不整脈などの副作用が生じる危険性が高まるため、医師および看護師は、患者の状態を確認しながら慎重に輸液の投与量を調節し続けることが求められている。しかし、注射により量を調節しながら投与することは難しく、投与時間並びに投与回数が増えると、患者の肉体的苦痛が高まり、負担が増す。そこで、患者の静脈内に、輸液を簡便かつ連続的に投与するための手法として、点滴静脈注射が広く採用されている。点滴静脈注射においては、輸液が封入された容器と患者の血管に挿入した点滴針とを接続するための医療器具として、輸液セットが利用されている。
【0003】
輸液セットとしては、従来より、輸液が封入された容器と点滴針との間を軟質チューブで連結し、当該軟質チューブの途中に点滴筒とクレンメを用いた機構とを備えたものが汎用されている。これは、点滴筒において輸液の時間当たりの注入量を計測しながら、クレンメにおいて軟質チューブを適宜圧迫することによって、輸液の投与量を調節できるようにしたものである。そして、さらに、軟質チューブを途中でY字管や混注部により分岐させたものとすることにより、輸液が封入された容器を複数連結できるようにした輸液セットが提案されており、複数の輸液を順次投与し続ける治療に対応させている(特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
上記提案された輸液セットは、複数の容器を連結して点滴スタンドに吊るし、患者のベッドサイドにて使用するものである。しかし、そのような輸液セットは、投与により輸液が減ると重量バランスが崩れるものであるため、点滴スタンドを転倒させる危険性を有しており、輸液セットを吊す位置をベッドサイドにて随時調節するという慎重な配慮が求められるものであったため、改善が望まれていた。
【0005】
また、複数の抗癌剤を輸液にて投与する場合には、投与順序を守るとともに、配合禁忌の溶液の混合を避ける特別な配慮が求められる。患者毎に治療薬の種類や数が異なるため、それに併せて輸液セットを組み換えたものを準備する必要がある。しかし、輸液に用いる容器は、外観が類似していることが多い。そのため、容器に挿す瓶針の順番の取り違えや異なる抗癌剤溶液の輸液ライン中での混合、及び投与順序の間違いなどの事故が生じ易い。そこで、輸液調製時に各容器にラベルを貼付したり注意書きを行う等によって投与手順を明示し、各容器を識別可能としたり、構成が様々に異なる輸液セット毎に標準的な使用手順を定めて事前に周知し教育するなど、ヒューマンエラーによる事故を防止するための努力がされているが、依然として操作者における誤認が生じ得る現状があり、改善が望まれていた。
【0006】
また、点滴静脈注射中は輸液が血管外へ漏出しないよう、患者は、なるべく静止した状態を維持することが求められている。しかし、抗癌剤溶液の場合、点滴静脈注射は少なくとも3〜5時間、長い場合には48時間程度という、極めて長時間を要するものであるため、患者は、途中でトイレや食事などの生理的作業を行わざるを得ない。そこで、患者は、点滴針を腕に刺し点滴静脈注射を続けながら、又は、クレンメを閉じて点滴量を減らしたり、閉鎖して一時的に点滴を中断するなどし、輸液が封入された容器を連結した輸液セットを吊した点滴スタンドごと移動することとなる。
【0007】
しかし、従来提案されている輸液セットは、バランスが崩れやすくチューブ等にねじれが生じることも避けられない構造であるため、患者、医師および看護師が十分配慮をしても、輸液セットや点滴針に張力がかかると、点滴刺入部に痛みを生じるなど患者の肉体的苦痛が生じやすく、かつ、刺入した点滴針がずれて抗癌剤溶液が血管外へ漏出し、さらに張力や強いねじれが作用すると、点滴針が患者の腕から外れてしまう事故が発生する危険性があり、使用時の負担が非常に大きいものであった。
【0008】
さらに、点滴静脈注射に用いるための輸液セットは、予め輸液により軟質チューブ中の空気を予め十分に除去するプライミング操作を行い、患者血管中にそれら空気に由来する気泡が進入しないよう十分配慮する必要がある。しかし、これら従来の点滴セットは、プライミング時に輸液が、輸液セット下流側端の針の先端から漏出する場合があり、劇薬や放射性同位体を用いることのある抗癌剤などの危険性がある薬剤を用いた輸液を使用する場合に、医師又は看護師がそれら危険性薬剤にて被爆し、さらには、病室及び病棟が汚染される事故が発生する可能性があるため、それら事故を防止するための工夫が求められていた。
【0009】
そこで、点滴筒上流を分岐し、切り替え可能なプライミング流路を2つ設け、点滴筒の下方にクランプを配設し、一方のプライミング流路を用いて、危険性薬剤が相対的に低い輸液にて初回プライミングを行い、その後プライミング流路を切り替え、点滴筒の下方のクランプを閉鎖後、もう一方のプライミング流路を用いて、危険性薬剤が相対的に高い輸液にて残りのプライミング流路のプライミングを行い、危険性薬剤が外界に漏出する可能性を低減するように工夫した輸液セットが提案されている(特許文献3参照。)。
【0010】
しかし、上記提案された輸液セットは、初回プライミング時に、汚染の危険性が相対的に低いとはいえ、危険性薬剤を下方から漏出させる構造となっており、危険性薬剤の外界への漏出を十分に防ぐ点においては、工夫が求められるものであった。また、上記提案された輸液セットは、輸液セットの末端部が開放されている構造を有することから、当該末端部から排水されてくる生理食塩水などのプライミング時に用いる溶液の処理に配慮する必要があり、また、複数の作業工程からなるプライミングを少なくとも2回繰り返す必要があるなど、操作が煩雑なものとなっていた。そして、上記提案された輸液セットは、排水処理に十分配慮していても、排水されてくる生理食塩水が、意図せず、輸液セット、スタンド、点滴静脈注射に使用する機器や、病室の床にこぼれることにより、病室内の汚染や機器の障害が発生する危険性があり、さらなる工夫が求められるものであった。
【0011】
さらに、上記提案された輸液セットでは、点滴静脈注射に用いるための輸液が2種よりも多くなる場合には、上流の瓶針に刺した輸液が封入された容器を取り外し、新たな輸液が封入された容器に差し替えるか、輸液セットを点滴針から外し、別の輸液セットに交換する必要がある。しかし、差し替え時に汚染が生じたり、差し替え又は交換作業時に点滴針に張力がかかり、点滴針のずれが生じるなどにより、抗癌剤溶液が血管外へ漏出する危険性が増す。そして、点滴部に痛みを生じるなど、患者の肉体的苦痛が高まるとともに、さらには、点滴針が外れてしまうなどの事故が発生する可能性が増大し、患者、医師および看護師の負担が増すものとなっており、更なる工夫や配慮が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−336601号公報
【特許文献2】特開2003−265622号公報
【特許文献3】国際公開第2014/021390号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、点滴静脈注射時の、輸液容器内の液量減少、輸液容器の追加・交換作業および患者移動に伴って生じる輸液セットの重量バランスの変化や輸液チューブのねじれに対応して、輸液容器や輸液チューブの位置調整作業やねじれ解消作業を、輸液セットの安定性を保持しつつ容易に行うことが可能とし、輸液セットを吊した点滴スタンドの転倒事故が惹起される危険性を低減しつつ、点滴針や輸液セットへかかる張力やねじれに起因する液漏れと患者の肉体的苦痛を防止することができる、新たな輸液セットを提供することである。
【0014】
また、本発明が解決しようとする課題は、上記に加え、輸液セットの使用前に行うプライミングおよびバックプライミング作業が、より単純な工程で、容易、簡便かつ確実に実施できるとともに、プライミングおよびバックプライミングの作業中および作業後の輸液セットからの意図せぬ液の漏出による病室内汚染や機器障害が生じるリスクを極力低減した、新たな輸液セットを提供することである。
【0015】
そして、本発明が解決しようとする課題は、さらに上記に加え、輸液容器に挿す際に、輸液セットに複数備えられた瓶針の使用する順番を取り違ることにより、輸液の投与順序が誤ったものとなったり、輸液セットにおける輸液ルートの変更時に異なる薬剤を含む輸液が輸液チューブ内で混合されてしまうなどの、人的ミスに起因する事故の発生を防ぎ、標準的な使用手順を定めることも容易な、新たな輸液セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、瓶針又は点滴針接続用コネクタの挿入口からキャップ内に挿入された瓶針又は点滴針接続用コネクタの先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部と、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋とを配設した瓶針又は点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップと、瓶針と、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓と、雄コネクタと、点滴筒と、クレンメと、点滴針接続用コネクタと、輸液チューブと、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプと、任意にフィルターバッグとを有し、
輸液セットの最上流部に瓶針が備えられ、該瓶針は、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプを備えた輸液チューブの一端に接続され、該輸液チューブの他端は、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓5の主管上流側コネクタに接続され、該三方活栓の側管側コネクタには、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプを備えた輸液チューブの一端と、該輸液チューブの他端に前記キャップを被せた瓶針を接続し、該三方活栓の主管下流側コネクタには、任意で、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有しかつ側管側コネクタに前記瓶針に装着するためのキャップを被せた瓶針を接続した押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプを備えた輸液チューブの一端を接続せしめた三方活栓をさらに1以上接続し、
さらに、前記下流側に位置する三方活栓の主管下流側コネクタには、雄コネクタが接続され、さらに、押圧して輸液チューブ流路を開閉するためのクランプを備えた輸液チューブの一端が接続され、該輸液チューブの他端には点滴筒が接続され、該点滴筒は、クレンメを装着した輸液チューブの一端に接続され、該輸液チューブの他端は、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓の主管上流側コネクタに接続され、該三方活栓の主管下流側コネクタは、雄コネクタに接続され、さらに輸液チューブの一端に接続され、該輸液チューブの他端には、任意でフィルターバッグとその下流に輸液チューブが接続され、さらに、該輸液チューブの他端に、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓の主管上流側コネクタが接続され、該三方活栓の主管下流側コネクタには、雄コネクタが接続され、さらに輸液チューブの一端が接続され、該輸液チューブの他端には、前記点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップを被せた点滴針接続用コネクタを接続せしめたことを特徴とする、輸液セットである。
【0017】
上記の課題を解決するための本発明の第2の手段は、前記瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、気体を透過可能とし、固体および液体を通過不能とした開口部と、該開口部を閉鎖するための蓋を該開口部の外側に配設した、瓶針に装着するためのキャップが、瓶針に配設された鍔への掛止部を備えたクリップを有していることを特徴とする、本発明の第1の手段の輸液セットである。
【0018】
上記の課題を解決するための本発明の第3の手段は、前記瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、気体を透過可能とし、固体および液体を通過不能とした開口部と、該開口部を閉鎖するための蓋を該開口部の外側に配設した、瓶針に装着するためのキャップが、該キャップを輸液チューブに係留するためのフックを有していることを特徴とする、本発明の第1または第2に記載の手段の輸液セットである。
【0019】
上記の課題を解決するための本発明の第4の手段は、前記キャップを輸液チューブに係留するためのフックが、C字型、O字型またはU字型の形状を有していることを特徴とする、本発明の第1〜第3のいずれか1に記載の手段の輸液セットである。
【0020】
上記の課題を解決するための本発明の第5の手段は、前記瓶針に被せた、瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、気体を透過可能とし、固体および液体を通過不能とした開口部と、該開口部を閉鎖するための蓋を該開口部の外側に配設した、瓶針に装着するためのキャップが、前記フックにより、輸液セットの最上流部に備えられた瓶針に接続された輸液チューブに係留されていることを特徴とする、本発明の第3または第4に記載の手段の輸液セットである。
【0021】
上記の課題を解決するための本発明の第6の手段は、輸液チューブが側管側コネクタに接続されている前記三方活栓と、該輸液チューブ、それに繋がるクランプ、瓶針および瓶針に装着するためのキャップを1グループとして、そのうち1以上を同一色に着色せしめ、側管に瓶針が接続されている三方活栓が複数ある場合には、隣接する三方活栓に属するグループがそれぞれ異なる色となるように着色せしめ、任意に、該輸液チューブに同一色の着色テープを貼付せしめ、さらに任意に、三方活栓、輸液チューブ、クランプ、瓶針、瓶針に装着するためのキャップおよび着色テープのいずれかに投与順番を示す数字を表示させたものとすることを特徴とする、本発明の第1〜第5のいずれか1に記載の手段の輸液セットである。
【0022】
上記の課題を解決するための本発明の第7の手段は、前記着色された輸液セットが、さらに、表面に複数のイラストを一部重なるようにずらして表示したパッケージに封入され、各イラストは、封入された輸液セットにおける、輸液チューブが側管側コネクタに接続されている前記三方活栓と、該輸液チューブ、それに繋がるクランプ、瓶針および瓶針に装着するためのキャップからなるグループにおいて着色されている色と同色に着色されていることを特徴とする、本発明の第6の手段の輸液セットである。
【0023】
上記の課題を解決するための本発明の第8の手段は、前記イラストに、さらに投与順番を示す数字が記載されていることを特徴とする、本発明の第7の手段の輸液セットである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の輸液セットは、使用する準備が出来ている輸液セットとして提供されることで、薬剤師、医師または看護師が、治療対象となる患者に合わせてその都度組み上げる必要がない。そして、点滴スタンドに吊した生理食塩水が封入された輸液容器に、該輸液セットの最上流部にある瓶針を差し込むという1工程のみで、輸液セットの内部にある空気が主管側のみならず側管側も含めて速やかに排出され、同時に生理食塩水で満たされることにより、プライミング及びバックプライミングが極めて容易かつ速やかに完了するという効果が得られる。
【0025】
また、生理食塩水は、疎水性フィルターが配設された瓶針及び点滴針接続用コネクタに装着したキャップからは一切排出されず、汚染や機器障害を引き起こさない。該キャップに、瓶針に配設された鍔への掛止部を備えたクリップを設けることで、プライミング及びバックプライミングの作業中にキャップが外れるリスクが低減される。プライミング及びバックプライミング後は、疎水性フィルターが配設されたキャップに備えられた蓋を閉じるので、キャップ内部の疎水性フィルター周辺にある生理食塩水がキャップの挿入口からこぼれ出ることがない。そして、生理食塩水の使用量が最小限に留められ十分な残量が保持されているので、輸液容器の交換をすることなく、その後の治療においても有効に使用することが可能となる。
【0026】
また、本発明の輸液セットは、点滴スタンドを移動させたり患者の態勢が変化するなどして、輸液チューブにねじれの力が加わったとしても、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓が、様々な位置に複数配設されていることから、輸液チューブをそれぞれの三方活栓の下方において自在に回動させることで、無理なくねじれを解消できる。
【0027】
さらに、上記キャップが輸液チューブに係留するためのC字型、U字型又はO字型のフックを有するものとし、該フックを主管ルートの輸液チューブに係留させることによって、輸液セットの重心を主管のチューブ側に移動させ、プライミング及びバックプライミング時や、輸液投与時における輸液スタンドの安定性を高めることができる。
【0028】
その結果、点滴針に異常な力がかかることがなく、液漏れや点滴針が外れるような事故が生じるリスクが大きく低減される。
【0029】
加えて、本発明の輸液セットは、輸液チューブが側管側コネクタに接続されている前記三方活栓と、該輸液チューブ、それに繋がるクランプ、瓶針および瓶針に装着するためのキャップを1グループとして、そのうち1以上を同一色に着色せしめる。特に、該三方活栓を複数有するものである場合には、隣接する三方活栓に属するグループがそれぞれ異なる色となるように着色せしめたものとする。これにより、色の順番を、輸液セットの使用手順や輸液の投与順番に連動させ、異なるグループの側管ルートの識別を容易できるという効果が得られる。
【0030】
さらに、本発明の輸液セットは、上記色とその順番を、親しみのある童謡の歌詞や詩から採用し、さらに、輸液セットを封入しているパッケージに、上記採用した童謡の歌詞や詩にちなむ、色が塗られた絵柄を重ねたイラストを表示させたものとすることで、より自然にかつ正確に、色の順番すなわち輸液セットの使用手順や輸液の投与順番を認識し、それら親しみのあるものに関連づけて容易に覚えることができるようになり、投与手順の誤認を、より効果的に防止できるようになる。そして、それを目にする患者、看護師並びに医師の緊張をほぐし、治療現場の空気を和ませる心理的効果をも、同時に得ることが可能となる。
【0031】
そして、本発明の輸液セットを提供することで、輸液セットの使用に関する作業手順の標準化が円滑に進み、薬剤師、医師または看護師の誤認などの人的ミスから生じる誤投与などの医療事故を防止する効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の輸液セットを示した説明図である。
図2】本発明の輸液セットを示した説明図である。
図3】本発明の輸液セットを示した説明図である。
図4】本発明の輸液セットにおいて、三方活栓の主管下流側コネクタを回動させた状態を示した説明図である。
図5】本発明の輸液セットにおけるプライミング及びバックプライミングの方法を説明する図である。
図6】本発明の輸液セットにおけるバックプライミング時の状態を説明する図である。(a)は瓶針2に、瓶針装着するためのキャップ6が装着される前の状態を説明する図である。(b)は、瓶針2に、瓶針装着するためのキャップ6を装着した状態を説明する図である。(c)は、バックプライミングを開始し、生理食塩水14が輸液チューブ4、瓶針2および瓶針装着するためのキャップ6内に流入した状態を説明する図である。(d)は、バックプライミング完了後、該キャップの蓋6dを閉めた状態を説明する図である。(e)は、バックプライミング完了後、蓋6dを閉めた状態のキャップ6を、瓶針2から外す時の方法を説明する図である。
図7】本発明の輸液セットにおけるプライミング及びバックプライミングが完了し、キャップ6,7の蓋6d,7dをしめた状態を説明する図である。
図8】本発明の輸液セットに用いる、瓶針2に配設された鍔2aへの掛止部6eを備えたクリップ6fを有しているキャップ6を、瓶針2に装着する方法を説明する図である。(a)は、該キャップを瓶針に装着する前の状態を説明する図である。(b)は、該キャップを瓶針に装着した後の状態を説明する図である。
図9】本発明の輸液セットに用いる、フックを有しているキャップ6を、瓶針2に装着し、それを輸液チューブに固定する方法を説明する図である。(a)は、C字型フックを有するキャップを瓶針に装着する前の状態を説明する図である。(b)は、O字型フックを有するキャップを説明する図である。(c)は、U字型フックを有するキャップを説明する図である。(d)は、C字型フックを有するキャップを瓶針に装着した後の状態を説明する図である。
図10】本発明の輸液セットにおいて、フックを有しているキャップ6を装着した瓶針2を、輸液チューブに横向きに固定した状態を説明する図である。
図11】本発明の、表面に複数のイラスト16を一部重なるようにずらして表示したパッケージに封入された輸液セットを説明する図である。(a)はパッケージの外観を示した説明図である。(b)は、イラストの着色状態を説明する図である。(c)は、イラストに、さらに投与順番を示す数字が記載された状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施するための形態について、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。
【0034】
(本発明の輸液セットの形状・構成について)
本発明の輸液セットは、部材として、瓶針又は点滴針接続用コネクタの挿入口6a,7aからキャップ内に挿入された瓶針又は点滴針接続用コネクタの先端部より奥側の部位に疎水性フィルター6b,7bを配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部6c,7cと、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋6d,7dとを配設した瓶針又は点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップ6,7と、瓶針2と、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有する三方活栓5と、雄コネクタ8と、点滴筒9と、クレンメ10と、点滴針接続用コネクタ12と、輸液チューブ4と、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプ3と、任意にフィルターバッグ11とを、有している(図1図2及び図3)。
【0035】
そして、それらの各部材が、以下に示す構成を有するものとなるように接続されている。すなわち、本発明の輸液セットは、輸液セットの最上流部に瓶針2が備えられ、該瓶針は、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプ3を備えた輸液チューブ4の一端に接続され、該輸液チューブ4の他端は、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有する三方活栓5の主管上流側コネクタ5aに接続されている。そして、該三方活栓5の側管側コネクタ5cには、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプ3を備えた輸液チューブ4の一端と、該輸液チューブ4の他端に前記キャップ6を被せた瓶針2が接続されている。また、該三方活栓5の主管下流側コネクタ5bには、任意で、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有しかつ側管側コネクタ5cに前記瓶針に装着するためのキャップ6を被せた瓶針2を接続した押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプ3を備えた輸液チューブ4の一端を接続せしめた三方活栓5をさらに1以上接続する。そして、さらに、前記下流側に位置する三方活栓5の主管下流側コネクタ5bには、雄コネクタ8が接続され、さらに、押圧して輸液チューブ流路を開閉するためのクランプ3を備えた輸液チューブ4の一端が接続され、該輸液チューブ4の他端には点滴筒9が接続される。そして、該点滴筒9は、クレンメ10を装着した輸液チューブ4の一端に接続され、該輸液チューブ4の他端は、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有する三方活栓5の主管上流側コネクタ5aに接続される。そして、該三方活栓5の主管下流側コネクタ5bは、雄コネクタ8に接続され、さらに輸液チューブ4の一端に接続され、該輸液チューブ4の他端には、任意でフィルターバッグ11とその下流に輸液チューブ4が接続される。さらに、該輸液チューブ4の他端に、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有する三方活栓5の主管上流側コネクタ5aが接続される。そして、該三方活栓5の主管下流側コネクタ5bには、雄コネクタ8が接続され、さらに輸液チューブ4の一端が接続され、該輸液チューブ4の他端には、前記点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップ7を被せた点滴針接続用コネクタ12を接続せしめた構成を有している。そして各部材があらかじめ接続され一体化され、即使用可能な輸液セットとして提供される(図1図2及び図3)。
【0036】
上記フィルターバッグ11は、瓶針2を輸液容器13に刺針した際に生じ得るゴミなど、輸液中に存在し得る固形物を取り除く必要がある場合に輸液セットに組み込んで、各部材があらかじめ接続され一体化された即使用可能な輸液セットとして提供する。目詰まりを起こす可能性のあるフィルターバッグ禁忌製剤を用いる場合、輸液中の固形物がない場合、及び、点滴静脈注射時の輸液の滴下速度を十分に確保することが困難な粘性が高い製剤を用い場合には、該フィルターバッグ11を省いた構成のものとして、各部材があらかじめ接続され一体化された即使用可能な輸液セットとして提供する。
【0037】
本発明の輸液セットにおける瓶針に装着するためのキャップ1,6は、気密性を保持しつつ嵌合するように成型される。そして、該キャップは、さらに、瓶針に配設された2aへの掛止部を備えたクリップ6fを有するものとすることができる。好ましくは、該クリップ6は、瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針又は点滴針接続用コネクタの先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、気体を透過可能とし、固体および液体を通過不能とした開口部と、該開口部を閉鎖するための蓋を該開口部の外側に配設した、瓶針に装着するためのキャップ6に設ける(図8)。
【0038】
本発明の輸液セットにおける瓶針に装着するためのキャップ1,6は、該キャップを輸液チューブに係留するためのフックを有するものとすることができる。該フックは、好ましくは、C字型の形状を有するフック6g、O字型の形状を有するフック6hまたはU字型の形状を有するフック6iとすることができる。(図9(a)、図9(b)、図9(c))。該フックは、任意の位置と向きで該キャップに配設せしめることができるが、主管側の最上流部に備えられた瓶針に接続する輸液チューブに前記キャップを係留した時に、該キャップが横向きまたは瓶針の挿入口が斜め上方向きになるように該キャップに配設せしめたものとすることが好ましい。そして、本発明の輸液セットにおいて、側管側の瓶針に被せたフックを有するキャップは、前記フックにより、輸液セットの最上流部に備えられた瓶針に接続された輸液チューブに係留したものとすることが好ましく、複数ある場合には、上から下にかけて使用順に係留したものとすることが望ましい。
【0039】
本発明の輸液セットは、輸液チューブ4が側管側コネクタ5cに接続されている前記三方活栓5と、該輸液チューブ4、それに繋がるクランプ3、瓶針2および瓶針に装着するためのキャップ6を1グループとして、そのうち1以上を同一色に着色せしめたものとすることができる。さらに、該輸液セットが、側管に瓶針2が接続されている三方活栓5を複数有するものである場合には、隣接する三方活栓5に属するグループがそれぞれ異なる色となるように着色せしめたものとすることができる。着色を行う場合には、輸液を投与する順番に合わせて、各グループが異なる色で着色し、識別できるようにする。
【0040】
ところで、定められる単なる色の順番を覚えようとしても、色の種類や順番そのものには深い意味がないために、色の種類や順番を誤認してしまうリスクがあり、看護師や医師においては、特別慎重な配慮が求められる。
【0041】
そこで、誤認するリスクを避けるため、上記各グループを識別するための色とその順番として、多くの人が年少の頃から親しみ知っている童謡の歌詞や詩において登場する色とその順番を採用することが、より好ましい。たとえば、日本で提供するものであれば、童謡のチューリップの歌詞に出てくる「赤、白、黄」という色の種類及び順番を採用し、英語圏で提供するものであれば、マザーグースに由来する、バラは赤い、スミレは青い、お砂糖は甘い、貴方も素敵という詩における「赤、青、白」という色の種類及び順番を採用して、各グループを、使用する順番にて異なる色に着色して識別できるようにする。
【0042】
このように、歌詞や詩などの親しみのあるものに関連付けながら色の種類や順番を覚えることが出来るような構成の彩色を行った輸液セットとすることで、看護師や医師は、標準化された投与手順において定められた単なる色の順番を覚えるよりも、より自然にかつ正確に、色の順番すなわち輸液セットの使用手順や輸液の投与順番を認識し、それら親しみのあるものに関連づけて容易に覚えることが容易となり、投与手順の誤認を、より効果的に防止できるようになる。さらに、多くの看護師や医師が携わる治療現場において、投与手順の誤認を防止するための作業手順の標準化が円滑に進むこととなる。
【0043】
上記の着色にくわえ、さらに任意に、三方活栓、輸液チューブ、クランプ、瓶針、瓶針に装着するためのキャップおよび着色テープのいずれかに、投与順番の番号を表示させたものとし、標準化された投与手順の誤認を、さらにより効果的に防止できるようにしても良い。
【0044】
上記のようにして着色し、任意に投与順番の番号を表示させた輸液セットは、袋などのパッケージ15に封入され、治療現場に提供される。そこで、着色及び投与順番の番号表示による標準化された投与手順の誤認防止効果をよりさらに高めたものとするため、表面に複数のイラストを一部重なるようにずらして表示したパッケージに封入されたものとする(図11(a))。好ましくは、上記イラストは、それぞれ、輸液セットを、輸液セットにおける、輸液チューブが側管側コネクタに接続されている前記三方活栓と、該輸液チューブ、それに繋がるクランプ、瓶針および瓶針に装着するためのキャップからなるグループにおいて着色されている色と同色になるようにし、かつ、使用順番に合わせて、最前面のイラストから最背面のイラストへと順番に着色されたものとなるようにする(図11(b))。より好ましくは、前記着色されたイラストは、投与順番を示す数字が、最前面のイラストから最背面のイラストにかけて昇順にて表示されたものとする(図11(c))。
【0045】
上記パッケージのイラストには、最前面から最背面にかけて、輸液セットを着色する際に参照した親しみのある童謡の歌詞や詩にちなむ絵柄を登場順で採用し、それぞれ彩色したものとすると良い。このようにしてイラストを表示させたパッケージに封入された輸液セットとして提供することにより、看護師や医師は、開封前及び開封後のパッケージを見ただけで、歌詞や詩などの親しみのあるものに関連付けながら覚えた色の種類とその順番、すなわち、投与順番を無理なく、ごく自然に把握することが可能となり、標準化された投与手順の誤認が、より効果的に防止される。さらに、各々の着色されたイラストに、投与順番を示す数字を表示させたものとし、輸液セットにおける各輸液ルートの使用順番を、色に結び付けて確実に認識させ、ヒューマンエラーが発生する可能性を大きく減らすことができる。
【0046】
さらに、上記親しみのある童謡の歌詞や詩にちなむ絵柄などのイラストが表示されたパッケージに封入された輸液セットは、それを目にする患者、看護師並びに医師の緊張をほぐし、治療現場の空気を和ませる心理的効果をも、同時に得ることが可能となる。
【0047】
(素材について)
本発明の輸液セットの部材を形成するために用いる材料は特に限定されないが、輸液セット並びに医療機器の部材において一般的に用いられる材料を使用することができ、例えば、ナイロン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂材料およびステンレス鋼などの金属を用いることができ、輸液チューブには、ポリオレフィン系樹脂などの軟質なチューブ用の材料を用いることができる。抗癌剤など、使用する薬剤の種類によっては、ポリ塩化ビニル(PVC)から可塑剤であるポリエチレンテレフタレート(PEHP)が溶出する場合があるため、本発明の輸液セットの部材を形成するために用いる樹脂材料は、ポリ塩化ビニルは用いないものとし、好ましくは、ナイロンやポリカーボネートを用いるものとする。疎水性フィルターには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ニトロセルロースなどを用いることができ、好ましくは、ポリエチレン(PE)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いるものとする。上記の各種樹脂材料は着色されたものを用いることができる。また、ステンレス鋼などの金属は、表面を発色処理したものを用いることができ、その場合は、耐腐食性の高い発色処理がされたものを用いることが好ましい。
【0048】
(製造工程について)
本発明の輸液セットは、各部材を確実に接続し、一体化された輸液セットとなるように製造する。各部材を確実に接続するための方法は特に限定されないが、輸液セットや医療機器を一体化する方法として一般に用いれる方法を用いることができ、たとえば、輸液セットなどの医療機器に一般に使用される接着剤を用いた接着や、熱や超音波などによる融着などの手法を採用することができる。一体化した輸液セットとして提供することにより、接合部が外れる危険性がなくなり、不意の液漏れが生じることによる病室内汚染や機器障害などの医療事故が、より確実に防止されることとなる。
【0049】
さらに、パッケージを開封し取り出し、即プライミング及びバックプライミングの工程を開始することが出来るよう、本発明の輸液セットは予め滅菌されたものとして提供され得る。輸液セットを滅菌する方法は特に限定されないが、輸液セットや医療機器を滅菌する方法として一般に用いられる方法が採用され、例えば、エチレンオキサイドガス滅菌、γ線照射滅菌、電子線滅菌、放射線滅菌、紫外線照射滅菌、過酸化水素滅菌、エタノール滅菌の方法を用いることができる。そして、製造の容易性やコスト低減を考慮し、該滅菌方法として、好ましくは、エチレンオキサイドガス滅菌、電子線滅菌又はγ線照射滅菌を用いる。電子線滅菌は輸液セットを劣化させない程度にて行い、また、γ線照射滅菌におけるγ線の照射エネルギーは、輸液セットを劣化させない程度にて滅菌することができるよう、5kGy〜30kGy程度の範囲までとすることが好ましい。
【0050】
(本発明の輸液セットの使用手順について)
本発明の輸液セットは、まず、プライミング及びバックプライミングの作業を行い、輸液セット内部にある空気を排気し、生理食塩水などの溶液にて満たした状態にする。
【0051】
輸液セットが封入されたパッケージ15を開封し、輸液セットにおける、蓋付きの瓶針に装着するためのキャップ6と蓋付きの点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップ7とが確実に装着され、各キャップの蓋6d,7dが開放されていることを確認する。また、クランプ3が全て開放モードになっていることを確認する。側管側に瓶針が接続された輸液チューブが接続されている三方活栓のコック5dについては、三方向全てが開放モードとなり、緊急ポートとして使用するため、側管側に接続された輸液チューブや瓶針などがない三方活栓のコック5dについては、主管上流及び主管下流が開放モード、側管が閉鎖モードとなっていることを確認する。また、クレンメ3が開放モードとなっていることを確認する(図5図6(a)、図6(b))。
【0052】
次に、点滴スタンドに、プライミング及びバックプライミングに用いるための生理食塩水14が封入された輸液容器13を吊す。そして、本発明の輸液セットの最上流部に配された瓶針2に装着された、瓶針に装着するためのキャップ1を外し、点滴スタンドに吊した該輸液容器13の栓に、輸液セットの最上流部に配された瓶針2を刺し、プライミング及びバックプライミングの作業を開始する(図5)。点滴スタンドに点滴筒9固定用ステーなどの固定用器具が備えられている場合には、それを用いて固定しても良い。なお、プライミング及びバックプライミング時に固定をしなくても、点滴静脈注射開始時には、固定用器具に点滴筒9を固定し、点滴針接続用コネクタ12及び点滴針に輸液セットの重量が全てかけず、点滴針を穿刺する部位に負担がかからないようにすることが好ましい。
【0053】
最上流部に配された瓶針2にセットされた輸液容器13からは、生理食塩水14が輸液チューブ4内へと流れ込み、プライミング作業が開始される。生理食塩水14は、輸液チューブ14の中にある空気を押し出しながら、下流側に配された三方活栓5の主管上流側コネクタ5aから、三方活栓5内へと流れ込む。該三方活栓5のコック5dは、三方全てが解放モードとなるようにセットされているため、流れ込んだ生理食塩水14は、三方活栓5内部の空気を押し出しながら、三方活栓の側管側コネクタ5c及び主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bへと、さらに流れ込んでいく。
【0054】
また、上記三方活栓の側管側コネクタ5c内へと流れ込んだ生理食塩水14は、バックプライミングのための生理食塩水として、さらに接続された輸液チューブ4内を、中にある空気を押し出しながら、その先に接続された瓶針2内へと流れ込んでいく。流れ込んだ生理食塩水14は、瓶針2の内部にある空気を押し出しながら、該瓶針2の先から、該瓶針に装着した、瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部と、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋とを配設した瓶針に装着するためのキャップ6の内部へと流入する。そして、瓶針の先端部の周辺から疎水性フィルター6bのキャップ内側面までに存在していた空気が、流入した生理食塩水14によって押し出され、疎水性フィルター6bを通してキャップ開口部6cから外に排出され、その部分が生理食塩水14で満たされた状態となる。ここで、疎水性フィルター6bは生理食塩水14を透過させない。また、キャップ内部の、生理食塩水14が流出する瓶針2の先端部よりも根元側の部分には、空気が残った状態となる(図6(c))。
【0055】
一方、上記三方活栓5の主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5b内へと流れ込んだ生理食塩水14は、さらに、接続された輸液チューブ4内を、中にある空気を下流側へと押し出す。
【0056】
該輸液チューブ4の先に、さらに三方活栓5が接続されている場合には、流れ込んだ生理食塩水14は、バックプライミングのための生理食塩水14として、先に説明したのと同様に、三方活栓の側管側コネクタ5c〜輸液チューブ4内部〜瓶針2内部〜該瓶針に装着した、瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部と、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋とを配設した瓶針に装着するためのキャップ6の内部へと順に流入する。そして、生理食塩水14が流入する瓶針の先端部の周辺から疎水性フィルター6のキャップ内側面までに存在していた空気は、流入した生理食塩水14によって疎水性フィルターを通してキャップ開口部から外に押し出され、その部分が生理食塩水で満たされた状態となる。ここで、疎水性フィルター6は生理食塩水14を透過させない。また、キャップ6内部の、生理食塩水14が流出する瓶針2の先端部よりも根元側の部分には、空気が残った状態となる。
【0057】
そして、上記三方活栓5の主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5b内へと流れ込んだ生理食塩水14は、さらに接続された輸液チューブ4内を、中にある空気を下流側へと押し出しながら、その先に接続された点滴筒9へと流入する。流入した生理食塩水14は、さらに接続された輸液チューブ4内を、中にある空気を下流側へと押し出しながら、その先に接続された三方活栓5やフィルターバッグ11の内部に流入し、さらに接続された輸液チューブ4内を、その中にある空気を下流側へと押し出しながら流れていき、点滴針接続用コネクタ12内へと流入する。
【0058】
点滴針接続用コネクタ12内へと流入した生理食塩水14は、その中にある空気を下流側へと押し出しながら、点滴針接続用コネクタ12の先端部より、点滴針接続用コネクタの挿入口からキャップ内に挿入された点滴針接続用コネクタの先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部と、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋とを配設した点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップ7の内部へと流入する。そして、流入した生理食塩水14は、その周辺にある空気を、さらに、疎水性フィルター7bを通してキャップ開口部7cから外に押し出し、その周辺は、生理食塩水14で満たされた状態となる。ここで、疎水性フィルター7bは生理食塩水14を透過させない。また、キャップ7内の、生理食塩水14が流出する点滴針接続用コネクタ12の先端部よりも根元側の部分には、空気が残った状態となる。
【0059】
このように、本発明の輸液セットは、「点滴スタンドに吊したプライミング及びバックプライミングに用いるための生理食塩水14が封入された輸液容器13に、該輸液セットの最上流部にある瓶針2を差し込む」という1工程のみで、該輸液セット内の空気が、主管側のみならず側管側も含め速やかに排出され、同時に該輸液セットが生理食塩水で満たされることにより、プライミング及びバックプライミングが完了する(図7)。また、本発明の輸液セットは、三方活栓を複数連結し側管が複数設けられている場合であっても、同様に、上記1工程のみで、該輸液セットの内部の空気が、主管側のみならず、複数ある側管側も含めて速やかに排出され、同時に内部が生理食塩水で満たされ、プライミング及びバックプライミングが完了する(図7)。そして、何れの場合においても、瓶針に装着したキャップ6及び点滴針接続用コネクタに装着したキャップ7には、疎水性フィルター6b,7bが存在するため、蓋が開放されていても液漏れは発生しない。
【0060】
上記プライミング及びバックプライミング作業では、疎水性フィルター6b,7bが存在するために、不要な液は一切排出されず、病室内汚染や機器障害が発生しない。さらに、最上流部の瓶針に接続されている輸液容器に封入された生理食塩水の使用量は最小限に留められ、十分な残量が保持されるため、その後の治療において輸液容器を交換することなく、有効に使用することができる。また、本発明の輸液セットは予め組み上げられ一体化されていることから、プライミング及びバックプライミングの作業において、不意の液漏れが生じることはなく、病室内汚染や機器障害が発生しない。
【0061】
プライミング及びバックプライミングが完了した後、瓶針に装着するためのキャップ及び点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップの蓋6d,7dを閉じる(図6(d)、図7)。そして、各輸液チューブに配されたクランプ3を押し、クレンメ10を閉鎖側に操作して、各輸液チューブ4を閉鎖する。また、三方活栓5のコック5dのモードを、開始する点滴静脈注射に合わせてセットし直す。
【0062】
治療薬を接続する瓶針2から、装着されているキャップ6を外す(図6(e)も参照)。また、点滴針接続用コネクタ12から、装着されているキャップ7を外す。該瓶針2を治療用溶液が封入された輸液容器13に刺し、点滴針接続用コネクタ12を点滴針に接続する。上記作業を行っても、輸液セットのチューブは閉鎖モードに設定されているため、外した瓶針2及び点滴針接続用コネクタ12からは、プライミング及びバックプライミングに用いた生理食塩水14が漏れ出すことはなく、病室内汚染や機器障害が発生しない。また、上記キャップ6,7は、蓋を閉めたため空気が流入せず疎水性フィルター6b,7bから空気が再び透過することもなく、さらに、生理食塩水による表面張力とキャップの開口部6c,7cからの大気圧とが作用することによって、内部の疎水性フィルター周辺にある生理食塩水14はキャップの挿入口6a,7aからはこぼれ出ることがなく、病室内汚染や機器障害が発生しない(図6(e)も参照)。
【0063】
輸液容器を複数用いる場合は、重量バランスの変化による点滴スタンドの転倒事故や輸液チューブにねじれの力が加わることによる点滴針を刺針した部位の液漏れや点滴針が外れる事故を防ぐことが要請される。また、抗癌剤などを点滴静脈注射する場合は、特に長時間を要するため、患者が移動することに対応して、前記同様の事故防止策を講じることが要請される。
【0064】
上記要請に対し、本発明の輸液セットは、三方活栓として、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有する三方活栓5を用いたものとなっていることから、治療用溶液が封入された輸液容器13を複数用いる場合であっても、輸液セットの該主管下流側コネクタ5bより下流側の部材を自在に回動させることにより、バランスを保持することが可能となる(図4)。
【0065】
特に、本発明の輸液セットは、点滴筒9の下方に、さらに主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有する三方活栓5を複数配設したものとすることができる(図1図2)。そこで、点滴静脈注射における使用時には、輸液セットの該主管下流側コネクタ5bの下方と、点滴筒9の下方に配設した緊急ポートとして用いるための三方活栓よりも上方の部位を自在に回動させることで、輸液容器13の位置のみを変化させる。このようにすると、点滴筒9の下方に配設した三方活栓よりも上方の部位が回動するに留まり、該三方活栓よりも下方のチューブは回動しないままで済むため、点滴針に異常な力がかかることがなく、液漏れや点滴針が外れるような事故が生じるリスクが大きく低減される。
【0066】
さらに、本発明の輸液セットを使用する際に、点滴スタンドを移動させたり、患者の態勢が変化するなどして、輸液チューブにねじれの力が加わったとしても、本発明の輸液セットには、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有する三方活栓5が、様々な位置に複数配設されていることから、輸液チューブがそれぞれの三方活栓の下方において自在に回動し、無理なくねじれを解消する。その結果、点滴針に異常な力がかかることがなく、液漏れや点滴針が外れるような事故が生じるリスクが大きく低減される。
【0067】
本発明の輸液セットを用いて点滴静脈注射を行う場合は、輸液を自然落下させ、点滴筒9とクレンメ10により滴下速度を調節するか、さらに輸液モニターを点滴筒9に組み合わせて滴下速度を調節すると良い。そして、点滴スタンドに備えられている固定用ステーなどの固定用器具に、点滴筒9や、輸液モニターを固定し、点滴針接続用コネクタ12及び点滴針に、輸液セットの重量全てがかからないようにする。また、さらに輸液ポンプを組み合わせて、滴下速度を調節しても良い。粘度の高い治療用の輸液を用いたり、フィルターバッグ11を用いることで、流量が少なくなる時に、有用である。重量がある輸液モニターや輸液ポンプを併用しても、本発明の輸液セットの様々な位置に複数配設されている主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ5bを有する三方活栓5の下方を自在に回動させることで、バランスの調節やチューブのねじれの解消が容易に行える。その結果、点滴針に異常な力がかかることがなく、液漏れや点滴針が外れるような事故が生じるリスクが大きく低減される。
【0068】
また、本発明の別の態様では、上記瓶針に装着するためのキャップ6が、プライミング及びバックプライミングの作業中に万が一外れることを防ぐため、瓶針2に配設された鍔2aへの掛止部6eを備えたクリップ6fを有しているものとなっている。使用する際は、瓶針2に配設された鍔2aに、キャップ6が有するクリップ6fの掛止部6eを引っ掛けることにより固定する(図8(a)、図8(b))。
【0069】
さらに、本発明の別の態様では、上記瓶針に装着するためのキャップ6に、該キャップを輸液チューブに係留するためのフックが備えられている。C字型フック6gまたはU字型フック6iを有するキャップの場合には、該フックのC字型またはU字型の部分で輸液チューブ4を所望の位置で挟み込むようにして固定する(図9(a)、図9(b)、図9(d)も参照)。O字型フック6hの場合には、製造時にフックのO字型の穴に輸液チューブを通してあるため、フックを所望の位置にずらし、固定する(図9(b)も参照)。主管側の輸液チューブ4にフックを備えたキャップ6を固定する。複数連結した三方活栓5により側管が複数設けられている場合には、各フックを備えたキャップ6を、主管側の輸液チューブ4に固定すると良い。さらに、任意で、輸液チューブを紙テープなどで纏めておく。上記のように固定することで、キャップ6及び側管側に接続されている輸液ラインの重心が主管のチューブ側に移動し、プライミング及びバックプライミング時や、輸液投与時における輸液スタンドの安定性が高まる。
【0070】
上記のようにして、フックを備えたキャップ6を用いると、キャップを輸液チューブに係留されたままにすることができるので、バックプライミングの後に取り外したキャップを手から滑らすなどして落下させ、キャップ内部に残る生理食塩水を飛散させてしまうことによる病室内汚染や機器障害の危険性から、開放される。
【0071】
また、複数連結した三方活栓5により側管が複数設けられている場合には、側管の使用順を混同しないように十分に配慮する必要がある。特に、異なる薬剤との配合が禁忌とされる抗癌剤などの薬剤を用いる場合には、下流側の三方活栓に接続される側管ルートを最初に用い、順次それよりも上流側の三方活栓に接続される側管ルートを用いるようにする必要がある。そこで、それぞれのフックを備えたキャップ6を、使用する順に並べて主管側の輸液チューブ4に固定する(図10)。このようにすると、順番を誤認することなく、確実に使用すべき側管側チューブを選び出すことが可能となり、人為的なエラーが発生する危険性から、開放される。
【実施例】
【0072】
以下に、本発明の輸液セットを製造し使用した実施例を示す。本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
【0073】
本発明の輸液セットを構成するための部材として、瓶針の挿入口からキャップ内に挿入された瓶針の先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部と、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋とを配設した瓶針に装着するためのキャップと、瓶針と、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタを有する三方活栓と、雄コネクタと、点滴筒と、クレンメと、点滴針接続用コネクタと、輸液チューブと、押圧して輸液チューブ内の流路を開閉するためのクランプと、任意にフィルターバッグと、点滴針接続用コネクタの挿入口からキャップ内に挿入された点滴針接続用コネクタの先端部より奥側の部位に疎水性フィルターを配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部と、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋とを配設した点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップとを用意する。
【0074】
本発明の輸液セットの形状・構成についての項、製造工程についての項における記載のようにして、上記各部材を接続し、一体化させた。そして、蓋付きの瓶針に装着するためのキャップと蓋付きの点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップとが確実に装着され、各キャップの蓋を開放し、クランプを全て開放モードに設定し、側管側に瓶針が接続された輸液チューブが接続されている三方活栓のコックを、三方向全てが開放モードとなるように設定し、緊急ポートとして使用するための側管側に接続された輸液チューブや瓶針などがない三方活栓のコックを、主管上流及び主管下流が開放モードとなり、側管が閉鎖モードとなるように設定し、さらに、クレンメ3を開放モードに設定して、本発明の輸液セットを製造する。実施例1として、図1のように、側管ルートを4つ備えた輸液セットを製造した。
【0075】
実施例1として、図1のように、側管ルートを4つ備えた輸液セットを製造した。
【0076】
実施例2として、実施例1の瓶針に装着するための疎水性フィルターを有するキャップに換えて、該キャップに、さらに瓶針の鍔への掛止部を備えたクリップが配されたものを用い、それ以外の点は実施例1と同様にして、輸液セットを製造した。
【0077】
実施例3として、実施例1の瓶針に装着するための疎水性フィルターを有するキャップに換えて、該キャップに、輸液チューブに係留するためのC字型の形状を有しているフックが配されたものを用い、図10のようにキャップを輸液チューブに係留し、それ以外の点は実施例1と同様にして、輸液セットを製造した。
【0078】
実施例4として、側管側に輸液チューブを有する三方活栓が3つ有するものとし、側管側の輸液チューブに備えられるクランプを、下から赤色、白色、黄色の順にそれぞれ着色されたものを用いて、それ以外の点は実施例1と同様にして、輸液セットを製造した。
【0079】
実施例5として、図11に示すような、チューリップの絵柄で、最前面の花を赤色、それに重なる背面の花を白色、さらにそれに重なる最背面の花を黄色に彩色したイラストを、表面に表示させたパッケージを用意し、その中に実施例4の輸液セットを滅菌して封入し、輸液セットとした。
【0080】
比較例1として、実施例1の疎水性フィルターと蓋を有するキャップに換えて、開口部を閉鎖するための蓋を配設していない点のみが異なっているキャップを用い、それ以外の点は実施例1と同様にして、輸液セットを製造した。
【0081】
比較例2として、実施例1で用いた三方活栓に換えて、回動する機構を有しない三方活栓を用い、それ以外の点は実施例1と同様にして、輸液セットを製造した。
【0082】
比較例3として、実施例1で用いた側管側に輸液チューブを有する三方活栓に換えて、Y字管を用い、実施例1で用いた緊急ポート用の回動する機構を有する三方活栓に換えて、回動する機構を有しない三方活栓を用い、それ以外の点は実施例1と同様にして、輸液セットを製造した。
【0083】
輸液スタンドに、生理食塩水が封入された輸液容器を吊るし、該輸液容器のゴム栓に、輸液セットの最上流部に備えられた瓶針を刺し、プライミング及びバックプライミングの作業を開始した。実施例1〜実施例5及び比較例1〜3の各輸液セットを用いて、それぞれ検討を行った。
【0084】
その結果、いずれの輸液セットを用いても、瓶針を輸液容器の栓に刺すという1工程のみで、輸液セットの内部が生理食塩水で満たされ、かつ、該生理食塩水により押し出された輸液セット内部の空気のみが、瓶針に装着するためのキャップ及び点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップにそれぞれ配設された疎水性フィルターより排気され、輸液セットのプライミングおよびバックプライミングが完了されたことを確認した。各部材の接続部からの生理食塩水の漏出はなかった。実施例2のものは、瓶針の鍔への掛止部を備えたクリップがキャップに配されているため、キャップが他のものよりも瓶針にしっかりと装着されていた。
【0085】
次に、プライミングおよびバックプライミングが完了した上記各輸液セットの瓶針に装着されている疎水性フィルターが配されたキャップの、開口部を閉鎖するための蓋を閉じた(実施例1〜5、比較例2及び比較例3)。なお、比較例1のキャップには、蓋がない。そして、各輸液チューブに配されたクランプ3を押し、クレンメ10を閉鎖側に操作して、各輸液チューブ4を閉鎖した。また、三方活栓を有するものについては、コックモードを、開始する点滴静脈注射に合わせてセットし直した。
【0086】
実施例1〜5及び比較例1〜3の瓶針に装着されている疎水性フィルターが配されたキャップを、瓶針及び点滴針接続用コネクタから外した。
【0087】
その結果、実施例1〜5、比較例2及び比較例3のキャップは、蓋を閉じられたため、疎水性フィルターを透過して空気がキャップ内に再流入することはなく、生理食塩水による表面張力とキャップの開口部からの大気圧とが作用するため、内部の疎水性フィルター周辺にある生理食塩水がキャップの挿入口からこぼれ出ることがなかった。実施例3のものは、キャップがC字型のフックによって輸液チューブに係留されているため、瓶針及び点滴針接続用コネクタを外す際に、キャップを取り落とす心配が無かった。また、取り外した瓶針及び点滴針接続用コネクタからは、生理食塩水がこぼれ落ちることはなかった。
【0088】
しかしながら、蓋がない比較例1では、瓶針及び点滴針接続用コネクタからキャップを外すと、それらのキャップに備えられた疎水性フィルターを透過してキャップ内に空気が再び進入し、キャップ内部に残っていた生理食塩水が、キャップの瓶針又は点滴針接続用コネクタの挿入口から漏れ出して外部にこぼれてしまった。
【0089】
次に、上記作業に引き続いて、新たに複数の生理食塩水が封入された輸液容器を用意し、上記各輸液セットの取り外した瓶針を、それぞれ異なる輸液容器のゴム栓に刺し、それら輸液容器を、輸液スタンドに吊り下げた。
【0090】
実施例1〜5及び比較例1のものは、回動可能な機構を有している三方活栓を使用したものであったため、各輸液容器が繋がる輸液チューブを回動させながら、輸液スタンドにバランス良く吊り下げ配置することが可能であった。また、輸液容器内の生理食塩水の量を変動させると、輸液スタンドのバランスが崩れたが、各輸液容器が繋がる輸液チューブを回動させながら、再度バランス良く吊り下げて配置することが可能であった。また、その際に、輸液セットの最下流に配される点滴針接続用コネクタが引っ張られるなど、不要な力がかかることはなかった。
【0091】
しかしながら、比較例2及び比較例3の輸液セットは、三方活栓が回動する機構を有していないため、製造時に設定された向きを換えられず、輸液スタンドにバランス良く吊り下げて配置することは、困難であった。また、輸液容器内の生理食塩水の量を変動させると、輸液スタンドのバランスがさらに崩れた。そこで、敢えて、バランスを調節するようにして配置すると、輸液チューブにねじれが生じ、それに伴い、輸液セットの最下流に配される点滴針接続用コネクタが引っ張られ、不要な力がかかっていることが確認された。
【0092】
実施例4及び実施例5の輸液セットは、側管側のルートを構成する部材の一部に彩色が施されているため、各側管側のルートやその先にある瓶針を一見で識別することが可能であった。
【0093】
また、実施例5の輸液セットは、パッケージの表面に描かれたイラストがまず目に入り、最前面に描かれた絵から背面に描かれた絵にかけて、赤、白、黄の順番に彩色が施されていることが、自然に識別された。そして、パッケージを開けた際に、封入されていた輸液セットにおける側管側のルートを構成する部材の一部に、同様の色の彩色が施されていることを、一見して識別することができた。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の手段により、瓶針を生理食塩水の入った輸液容器の栓に刺すという1工程のみでプライミングおよびバックプライミング作業が実施でき、作業中および作業後に意図せぬ液の漏出がなく病室内汚染や機器障害が生じるリスクが極力低減され、生理食塩水を後の治療においても有効に活用できる。また、輸液容器や輸液チューブの位置調整作業やねじれ解消作業を、輸液セットの安定性を保持しつつ容易に行うことができ、輸液セットを吊した点滴スタンドの転倒事故が惹起される危険性を低減しつつ、点滴針や輸液セットへかかる張力やねじれに起因する液漏れと患者の肉体的苦痛を防止した、新たな輸液セットを提供することができる。さらに、輸液容器に挿す際に、輸液セットに複数備えられた瓶針の、使用する順番を取り違ることにより、輸液の投与順序が誤ったものとなったり、輸液セットにおける輸液ルートの変更時に異なる薬剤を含む輸液が、輸液チューブ内で混合されてしまうなどの、人的ミスに起因する事故の発生を防ぎ、さらに、標準的な使用手順を定めることが容易な、新たな輸液セットを提供することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 瓶針に装着するためのキャップ
2 瓶針
2a 鍔
3 クランプ
4 輸液チューブ
4a 輸液チューブ(断面)
5 三方活栓
5a 主管上流側コネクタ
5b 主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ
5c 側管側コネクタ
5d コック
6 瓶針に装着するためのキャップ(疎水性フィルター及び蓋有り)
6a 瓶針の挿入口
6b 疎水性フィルター
6c 開口部
6d 蓋
6e 掛止部
6f クリップ
6g C字型フック
6h O字型フック
6i U字型フック
7 点滴針接続用コネクタに装着するためのキャップ
7a 点滴針接続用コネクタの挿入口
7b 疎水性フィルター
7c 開口部
7d 蓋
8 雄コネクタ
9 点滴筒
10 クレンメ
11 フィルターバッグ
12 点滴針接続用コネクタ
13 輸液容器
14 生理食塩水
15 パッケージ
16 イラスト
【要約】
本発明は、瓶針(2)又は点滴針接続用コネクタ(12)に、挿入口からキャップ内に挿入された瓶針又は点滴針接続用コネクタの先端部より奥側の部位に疎水性フィルター(6b,7b)を配設して、キャップ内の気体を透過させ液体および固体を透過させないようにせしめた開口部と、該開口部の外側に該開口部を閉鎖するための蓋(6d,7d)とを配設したキャップ(6,7)を被せ、主管を軸として回動可能に接続する機構を備えた主管下流側コネクタ(5a)を有する三方活栓(5)を備え、任意に彩色を施すことで、液の漏出がない簡便な工程でプライミングおよびバックプライミングができ、輸液セット及び点滴スタンドの安定性の保持と、点滴針を刺した部位における液漏れと患者の肉体的苦痛の防止と、投与手順の人的ミスに起因する事故の発生の防止ができる、標準的な使用手順を定めることの容易な、新たな輸液セットを提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11