(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774816
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】リン脂質含有機能性素材の製造方法およびプラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法
(51)【国際特許分類】
C11B 11/00 20060101AFI20150820BHJP
C11B 1/00 20060101ALI20150820BHJP
A23L 1/315 20060101ALI20150820BHJP
A23J 7/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
C11B11/00
C11B1/00
A23L1/315
A23J7/00
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2009-516384(P2009-516384)
(86)(22)【出願日】2008年5月27日
(86)【国際出願番号】JP2008060120
(87)【国際公開番号】WO2008146942
(87)【国際公開日】20081204
【審査請求日】2011年5月10日
(31)【優先権主張番号】特願2007-140046(P2007-140046)
(32)【優先日】2007年5月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599046254
【氏名又は名称】有限会社梅田事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】312014797
【氏名又は名称】株式会社藤野ブレインリサーチ
(73)【特許権者】
【識別番号】591105801
【氏名又は名称】丸大食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080850
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 静男
(72)【発明者】
【氏名】名達 義剛
(72)【発明者】
【氏名】藤野 武彦
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 志郎
(72)【発明者】
【氏名】久木野 修
(72)【発明者】
【氏名】梅田 圭司
【審査官】
安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−273096(JP,A)
【文献】
特開平09−308459(JP,A)
【文献】
特開平07−250614(JP,A)
【文献】
特開平11−103766(JP,A)
【文献】
特開平02−145156(JP,A)
【文献】
特開平01−179667(JP,A)
【文献】
特開昭53−050358(JP,A)
【文献】
特開2004−141146(JP,A)
【文献】
特開2004−008188(JP,A)
【文献】
特表2004−522426(JP,A)
【文献】
特開平09−275947(JP,A)
【文献】
特開平09−070239(JP,A)
【文献】
特開昭59−220168(JP,A)
【文献】
特開2004−154028(JP,A)
【文献】
特開2002−045155(JP,A)
【文献】
特開2003−102436(JP,A)
【文献】
特公昭63−060979(JP,B1)
【文献】
Int J Food Sci Technol, (1991), ,Vol.26, No.4,, P.363-371
【文献】
Int J Food Sci Technol, (1990), ,Vol.25, No.3, ,P.304-312
【文献】
日本食品科学工学会大53回大会講演集, (2006), ,P.77
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B1/00〜C11B15/00
A23J1/00〜A23L7/00
A23L1/00〜A23L1/48
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成鶏または廃鶏から選ばれるニワトリの皮剥ぎムネ肉を、低温・低酸素雰囲気下でのミンチ化工程及び低温乾燥での粉末化工程によって形状変換して得られるリン脂質含有機能性素材から総脂質を抽出し、乾燥処理する工程、
(B)前記(A)工程で得られた乾燥総脂質を、脂肪族炭化水素系溶剤と水溶性ケトン系溶剤との混合溶剤で抽出処理し、不溶部と、プラズマローゲン型グリセロリン脂質を主体とする可溶部とに分離する工程、
(C)前記(B)工程で得られた可溶部を乾燥処理後、水溶性ケトン系溶剤で抽出処理し、プラズマローゲン型グリセロリン脂質を主体とする不溶部を分離回収する工程、
を含むことを特徴とするプラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法。
【請求項2】
(B)工程における混合溶剤が、n−ヘキサンとアセトンとを容量比4:6〜6:4の割合で含み、かつその使用量が、乾燥総脂質1g当たり、10〜30mLである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(C)工程における水溶性ケトン系溶剤がアセトンであり、その使用量が、(B)工程で得られた可溶部の乾燥処理物1g当たり、10〜30mLである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法を用いて得られ、プラズマローゲン型ホスファチジルコリンを50〜75質量%含有することを特徴とするプラズマローゲン型グリセロリン脂質。
【請求項5】
成鶏または廃鶏から選ばれるニワトリの皮剥ぎムネ肉を、低温・低酸素雰囲気下でのミンチ化工程および低温乾燥での粉末化工程によって形状変換することにより、請求項1に記載の方法で用いられるリン脂質含有機能性素材を製造する方法であって、プラズマローゲン型グリセロリン脂質とスフィンゴミエリンとの合計量中の前者の含有割合が85質量%以上であり、かつ総脂質中の全リン脂質の含有割合が40質量%以上である、請求項1に記載の方法で用いられるリン脂質含有機能性素材の製造方法。
【請求項6】
ニワトリがブロイラー種鶏雌雄の成鶏である、請求項1又は5に記載の方法。
【請求項7】
ニワトリが採卵廃鶏である、請求項1又は5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家禽、特にニワトリのムネ肉から、機能性食品素材、医薬品素材、化粧品素材などとして有用なリン脂質含有機能性素材とプラズマローゲン型グリセロリン脂質を、簡単な操作で収率よく製造する方法、並びにプラズマローゲン型グリセロリン脂質に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂質とは、分子中に長鎖脂肪酸または類似の炭化水素鎖をもち、生体内に存在するか、生物に由来する物質を指す。この脂質は、単純脂質と複合脂質に分類することができる。単純脂質は、C、HおよびOより構成され、一般にアセトンに可溶で、単純脂質のトリアシルグリセロールは動物体では、脂肪組織にエネルギーの貯蔵体として存在する。一方、複合脂質は、リン酸のPや塩基のNなどを含む脂質群である。したがって、複合脂質は、疎水性部分(脂肪酸部分)と親水性部分(リン酸や塩基の部分)からなり、両親媒性を示し、一般的には、前記単純脂質がアセトンに可溶であるのに対し、複合脂質はアセトンに不溶である。このような複合脂質は生体膜の構成成分となっている。
前記複合脂質は、(1)グリセロリン脂質[ホスファチジルコリン(別名レシチン)、ホスファチジルエタノールアミンなどが属する。]、(2)スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン、セラミドシリアチンなどが属する。)、(3)スフィンゴ糖脂質(セレブロシド、スルファチド、ガングリオシドなどが属する。)、および(4)グロセロ糖脂質(微生物や高等植物に存在するジアシルグリセロールに種々の糖が結合したものなどがある。)に大別することができる。なお、前記(2)スフィンゴリン脂質および(3)のスフィンゴ糖脂質を総称してスフィンゴ脂質と呼ばれる。
前記グリセロリン脂質は、グリセロリン酸を骨格にもつリン脂質の総称で、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ジホスフィチジルグリセロールなどがある。このグリセロリン脂質は、非極性部分が脂肪酸のエステルであるものが多いがビニルエーテル結合をもつプラズマローゲン型のものもある。
このグリセロリン脂質は、生体膜の構成成分として重要であるが、中でもプラズマローゲン型のグリセロリン脂質は、ビニルエーテル結合のラジカル感受性が高いため、抗酸化性を有するリン脂質として、近年注目されている。最近、プラズマローゲン型グリセロリン脂質が、細胞膜の抗酸化性分であるα−トコフェロール(ビタミンE)とは異なった機構により、コレステロールを含むリン脂質膜の酸化安定性に寄与していることが報告されており(例えば、「J.Lipid Res.」、第44巻、第164〜171頁(2003年)参照。)、またプラズマローゲン型グリセロリン脂質は、細胞膜やリポタンパク質の抗酸化性に関与するだけでなく、細胞の情報伝達システムに重要な役割を有することが指摘されている(例えば、「J.Mol.Neurosci.」、第16巻、263〜272頁;discussion 279〜284頁(2001年)参照)。
このようなプラズマローゲン型グリセロリン脂質は、痴呆症における脳の神経細胞死を防止する作用が期待されているが、安全で大量に入手可能な供給源は見当たらないのが実状である。
ところで、食品、動物組織などの総脂質から比較的多量のスフィンゴミエリンを製造するためには、ケイ酸などを使用したカラムクロマトグラフィーで段階的に溶出して製造するか、あるいは、溶媒分画法で段階的に分画して製造されている。いずれも、複雑な手順が必要である。溶媒分画法では総脂質にアセトンを加えて複合脂質(リン脂質)を沈殿させ(不溶部)、その不溶部をエーテルで洗ってグリセロリン脂質を除いたものを粗スフィンゴ脂質画分とする方法が一般的である。この画分にはスフィンゴミエリンだけでなくセレブロシドなどのスフィンゴ糖脂質も含まれる。
鶏皮のリン脂質には、ヒト型スフィンゴミエリンおよびプラズマローゲン型グリセロリン資質が多く含まれていることが知られている。
鶏皮は、従来の原料源に比べ、ヒト型スフィンゴミエリンの原料としてその有用性が高いが、皮下脂肪が極めて多く、場合によっては70質量%を超え、この除去が煩雑を極めるという問題がある。又、鶏皮にはヒト型スフィンゴミエリンと同レベルのプラズマローゲン型グリセロリン脂質が含まれ、そのホスファチジルコリン(レシチン)とホスファチジルエタノールアミンの割合は、後者が顕著に高いのが特徴である。
本発明者らは、鶏皮を凌ぐ原料の開発に鋭意取り組み、鶏肉、特にムネ肉中に中性脂質含量が鶏皮に比べ30〜70分の1レベルと極小で、ヒト型スフィンゴミエリンとプラズマローゲン型グリセロリン脂質合計の含有量が数倍の著量で、然も、プラズマローゲン型グリセロリン脂質とヒト型スフィンゴミエリンの割合が、前者が85質量%強で、更に、プラズマローゲン型グリセロリン脂質の構成比が、成鶏では50〜75質量%がホスファチジルコリン、若鶏では逆に6割程度がホスファチジルエタノールアミンであり、成鶏中のプラズマローゲン型ホスファチジルコリン含有量は鶏皮の30倍以上、若鶏中のプラズマローゲン型ホスファチジルエタノールアミンは鶏皮の2倍弱という、プラズマローゲン型グリセロリン脂質(2種混合)、プラズマローゲン型ホスファチジルコリン単体、及びプラズマローゲン型ホスファチジルエタノールアミン単体、各々の抽出原料として、従来その例を見ない費用対効果に優れた家禽肉のムネ肉を見出すことに成功した。
成鶏ムネ肉は、総脂質が1質量%と僅少で、その8割がリン脂質(中性脂質は0.2質量%と極小)であって、その内プラズマローゲン型グリセロリン脂質は45質量%(その内の7割がプラズマローゲン型ホスファチジルコリン)で、生ムネ肉中の含有率は0.36質量%(ヒト型スフィンゴミエリンは僅かに0.03質量%)と高く、これを主材として加工するだけで付加価値の高い機能性食品を調製出来る。因みに、家禽ムネ肉は、もも肉と並んで採肉率が高いが、硬くてパサ付く食感とジューシー感に欠ける食味性のため、ヘルシーにも拘わらず長い間現在まで食肉としては低利用の扱いを受けている。年間間引かれる採卵廃鶏1億羽、20万トンから採肉されるムネ肉は15千トンに上り、国産畜肉として大事に利用することが強く求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、家禽、特にニワトリのムネ肉から、プラズマローゲン型グリセロリン脂質を多く含有する機能性素材を製造する方法、及び家禽ムネ肉粉末、好ましくは上記機能性素材から純度の高いプラズマローゲン型グリセロリン脂質を、簡単な操作で収率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、家禽、特に鶏のムネ肉に特定の工程を施すことにより、プラズマローゲン型グリセロリン脂質を多く含有する機能性素材が効率よく得られること、そして家禽ムネ肉粉末に特定の工程を施すことにより、純度の高いプラズマローゲン型グリセロリン脂質が効率よく得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 家禽ムネ肉を、(a)低温・低酸素雰囲気下でのミンチ化工程、(b)乳化分散剤を用いた低温下でのペースト化工程および(c)低温乾燥での粉末化工程の中から選ばれる少なくとも一つの工程によって形状変換することにより、リン脂質含有機能性素材を製造する方法であって、プラズマローゲン型グリセロリン脂質とスフィンゴミエリンとの合計量中の前者の含有割合が85質量%以上であり、かつ総脂質中の全リン脂質の含有割合が40質量%以上であるリン脂質含有機能性素材を得ることを特徴とする、リン脂質含有機能性素材の製造方法、
(2) 家禽ムネ肉が皮剥ぎムネ肉である上記(1)項に記載の方法、
(3) 家禽が成鶏(以下、廃鶏ということがある)であり、かつプラズマローゲン型グリセロリン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの構成比率において、前者が40質量%以上である、上記(1)または(2)項に記載の方法、
(4)家禽がブロイラー種鶏雌雄の成鶏であり、かつプラズマローゲン型グリセロリン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの構成比率において、前者が50質量%以上である、上記(1)または(2)項に記載の方法、
(5) 家禽がブロイラーであり、かつプラズマローゲン型グリセロリン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの構成比率において、後者が50質量%以上である、上記(1)または(2)項に記載の方法、
(6) (A)家禽ムネ肉粉末から総脂質を抽出し、乾燥処理する工程、(B)前記(A)工程で得られた乾燥総脂質を、脂肪族炭化水素系溶剤と水溶性ケトン系溶剤との混合溶剤で抽出処理し、不溶部と、プラズマローゲン型グリセロリン脂質を主体とする可溶部とに分離する工程、(C)前記(B)工程で得られた可溶部を乾燥処理後、水溶性ケトン系溶剤で抽出処理し、プラズマローゲン型グリセロリン脂質を主体とする不溶部を分離回収する工程、を含むことを特徴とするプラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法、
(7) (B)工程における混合溶剤が、n−ヘキサンとアセトンとを容量比4:6〜6:4の割合で含み、かつその使用量が、乾燥総脂質1g当たり、10〜30mLである上記(6)項に記載の方法、
(8) (C)工程における水溶性ケトン系溶剤がアセトンであり、その使用量が、(B)工程で得られた可溶部の乾燥処理物1g当たり、10〜30mLである上記(6)または(7)項に記載の方法、
(9) 上記(6)〜(8)項のいずれか1項に記載の方法を用いて得られたことを特徴とするプラズマローゲン型グリセロリン脂質、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、家禽、特にニワトリのムネ肉から、機能性食品素材、医薬品素材、化粧品素材などとして有用な、プラズマローゲン型グリセロリン脂質とスフィンゴミエリンの構成比で前者が8割以上で、総脂質中の全リン脂質の割合が4割以上占めるリン脂質含有機能性素材を製造する方法、及び家畜ムネ肉粉末あるいは当該リン脂質含有機能性素材からプラズマローゲン型グリセロリン脂質、プラズマローゲン型ホスファチジルコリン単体、及びプラズマローゲン型ホスファチジルエタノールアミン単体を、簡単な操作で収率よく製造する方法、並びにこの方法で得られたプラズマローゲン型グリセロリン脂質、プラズマローゲン型ホスファチジルコリン単体、及びプラズマローゲン型ホスファチジルエタノールアミン単体を提供することができる。
本発明の家禽ムネ肉の形状変換技術、乳化分散天然製剤によるペースト化技術は、加熱処理で硬くならず、冷凍・解凍処理でも副生ドリップがなくジューシー感を保つ副次的機能を有する故、当該ムネ肉ペーストはムネ肉の高付加価値化食材として極めて有用であり、本発明がムネ肉の高付加価値化の端緒となって、その消費が拡大される結果として人々の健康増進に貢献するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】廃鶏ムネ肉から各操作で得られた物質のELSD検出クロマトグラムである。
【
図2】有機農法育成採卵鶏(地鶏)の廃鶏ムネ肉から各操作で得られた物質のELSD検出クロマトグラムである。
【
図3】市販若鶏のムネ肉から各操作で得られた物質のELSD検出クロマトグラムである。
【
図4】半揚げ状態のミートボールのhi−LOHS115℃5.5分間加熱/5分間余熱加熱の時間・温度チャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のリン脂質含有機能性素材の製造方法は、以下に示す(a)工程、(b)工程および(c)工程の中から遺ばれる少なくとも一つの工程から構成されており、プラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法は、(A)工程、(B)工程および(C)工程から構成されている。
まず、本発明のリン脂質含有機能性素材の製造方法について説明する。
[(a)工程]
この(a)工程は、低温・低酸素雰囲気下でのミンチ化工程である。
当該(a)工程では、家禽ムネ肉、特に鶏ムネ肉、皮付きの場合には先ずスキナー処理で皮を剥いた後、常法通りミンチ化するが、その際に、ムネ肉の品温を低く、好ましくは5℃以下に冷却し、ミンチ化サイズとミンチ化速度も細断部の局所的な発熱を回避することを優先させて設定することが望ましい。又、ミンチ化後のミンチ肉と空気暴露を最少化させ、更に、空気酸化と雑菌感染を抑制するため空気清浄化装置付きの、室温を低く、好ましくは15℃以下の準密閉空間内で当該処理とその密封包装を実施することが好ましい。得られたミンチは、ハイバリアー性フィルムで真空包装し、冷蔵保存するのがよい。
[(b)工程]
この(b)工程は、乳化分散剤を用いた低温下でのペースト化工程である。
当該(b)工程では、皮剥きムネ肉、好ましくは、上記(a)工程でミンチ化処理後真空包装冷蔵保管された肉に、好ましくは非酵素系の蛋白質食材用乳化分散化天然製剤を適量の水で溶解させた水溶液を添加して、適宜なカッターやミキサー乃至はプロセッサーで均一に混合してペースト化(ストレートタイプ)後、場合により適量の香辛料等を加えて分散混合させて調味済みタイプとし、このペーストをハイバリアー性のフィルムで真空包装後冷却して、低温、好ましくは冷蔵保管するのがよい。長期間保管には冷凍も可能である。
[(c)工程]
この(c)工程は、低温乾燥での粉末化工程である。
当該(c)工程では、皮剥きムネ肉、好ましくは上記(a)工程で真空包装冷蔵保管されたミンチ肉、場合によっては、上記(b)工程のストレートタイプペーストの何れかを常法に従い市販の凍結乾燥装置で適宜に低侵襲的に乾燥し、必要により低温粉砕により粉末化し、この粉末をハイバリアー性フィルム真空包装後遮光下で冷蔵保管するのがよい。
このようにして得られたリン脂質含有機能性素材においては、プラズマローゲン型グリセロリン脂質とスフィンゴミエリンとの合計量中の前者の含有割合が85質量%以上であり、かつ総脂質中の全リン脂質の含有割合が40質量%以上である。
また、家禽が成鶏である場合、プラズマローゲン型グリセロリン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの構成比率は、前者が50質量%以上であり、ブロイラー種鶏雌雄の成鶏である場合、プラズマローゲン型グリセロリン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの構成比率は、前者が50質量%以上であり、ブロイラーである場合、プラズマローゲン型グリセロリン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの構成比率は、後者が50質量%以上である。
次に、本発明のプラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法について説明する。
[(A)工程]
この(A)工程は、家禽ムネ肉粉末、好ましくは鶏ムネ肉粉末から総脂質を抽出し、乾燥処理する工程である。当該(A)工程においては、まず、家禽ムネ肉粉末を調製するが、その場合、ニワトリムネ肉をそのまま乾燥・粉末化してもよいし、必要に応じ、ミンチ化、及びペースト化処理して、乾燥・粉末化してもよい。好ましくは、前記[(c)工程]で得られるハイバリアー性フィルム真空包装後遮光下で冷蔵保管した粉末を使う。
次いで、このようにして得られた家禽ムネ肉粉末から、溶剤を用いて、総脂質を抽出し、乾燥処理して、乾燥総脂質を得る。総脂質の抽出に用いる溶剤としては、食品衛生上安全であって、かつ抽出効率のよいものが用いられる。このような溶剤としては、特にエタノールが好適である。この抽出処理は、常法に従って行うことができる。ただし、この抽出工程ではエタノール可溶の非脂質成分も抽出される。
抽出液は、常法に従い、ロータリエバポレーターなどを用いて溶剤を留去させることにより、あるいは窒素ガスを導入することなどにより、乾燥総脂質が得られる。
[(B)工程]
この(B)工程は、前記(A)工程で得られた乾燥総脂質を、脂肪族炭化水素系溶剤と水溶性ケトン系溶剤との混合溶剤で抽出処理し、不溶部と、可溶部とに分離する工程である。
当該(B)工程において、乾燥総脂質の抽出処理に用いられる混合溶剤の一成分である脂肪族系炭化水素系溶剤としては、例えばn−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、これらの中でn−ヘキサンが好適である。
また、前記混合溶剤の他方の成分である水溶性ケトン系溶剤としては、例えばアセトンおよび/またはメチルエチルケトンなどを用いることができるが、これらの中でアセトンが好適である。
混合溶剤として、n−ヘキサンとアセトンとの混合物を用いる場合、その割合は、容量比で4:6〜6:4が好ましく、4.5:5.5〜5.5:4.5がより好ましい。
また、この混合溶剤の使用量は、乾燥総脂質1g当たり、通常10〜30mL程度である。
[(C)工程]
この(C)工程は、前記(B)工程で得られた可溶部を乾燥処理後、水溶性ケトン系溶剤で抽出処理し、プラズマローゲン型グリセロリン脂質を主体とする不溶部(以下、粗プラズマローゲン型グリセロリン脂質と称することがある。)を分離回収する工程である。
当該(C)工程においては、まず、前記(B)工程で得られた可溶部を、常法に従って乾燥処理する。例えばロータリエバポレーターを用いて、前記可溶部中の混合溶剤を留去させる方法などを用いることができる。次いで、このようにして得られた乾燥処理物を、水溶性ケトン系溶剤により、常法に従って抽出処理する。この際使用する水溶性ケトン系溶剤としては、アセトンおよび/またはメチルエチルケトンを挙げることができるが、アセトンが好適である。
抽出溶剤としてアセトンを使用する場合、乾燥処理物1g当たり、通常10〜30mL程度である。溶剤の使用量が10mL未満では、抽出処理を十分に行うことができず、不溶部中のプラズマローゲン型グリセロリン脂質の純度低下や回収率の低下を招くおそれがある。一方30mLを超えると、その量の割にはプラズマローゲン型グリセロリン脂質の純度や回収率の向上効果が発揮されにくい。溶剤の好ましい使用量は、乾燥処理物1g当たり、15〜25mLである。
抽出処理液は、遠心分離処理を施すことにより、可溶部とプラズマローゲン型グリセロリン脂質を主体とする不溶部(粗プラズマローゲン型グリセロリン脂質)に分離することができる。不溶部におけるプラズマローゲン型グリセロリン脂質の量は、通常40質量%以上である。
このような本発明の方法によれば、家禽ムネ肉、好ましくは鶏ムネ肉の総脂質から、簡単な手段によって、プラズマローゲン型グリセロリン脂質を、高い純度で収率よく製造することができる。
本発明の方法によれば、鶏ムネ肉の乾燥粉末から、通常、粗プラズマローゲン型グリセロリン脂質を0.1〜3質量%程度の割合で得ることができる。
本発明の方法で得られる粗プラズマローゲン型グリセロリン脂質には、主としてホスファチジルコリン(PC)が含まれており、一部ホスファチジルエタノールアミン(PE)が含まれている。前記PCは、約30質量%がプラズマローゲン型であり、またPEには約65質量%のプラズマローゲン型が含まれている。
下記の式(II)および式(III)に、それぞれジアシル型グリセロリン脂質およびプラズマローゲン型グリセロリン脂質の構造を示す。
通常のグリセロリン脂質(レシチン)は、式(II)で示されるようにグリセロールのsn−1(1位)に脂肪酸アシル基とのエステル結合をもつが、プラズマローゲン型は、式(III)で示されるようにグリセロールのsn−1にアルケニル基をもつビニルエーテル結合を有している。
なお、Xがアミノエチル基である場合、ホスファチジルエタノールアミンであり、Xがトリメチルアミノエチル基である場合、ホスファチジルコリンである。
前記プラズマローゲン型グリセロリン脂質は、ビニルエーテル結合のラジカル感受性が高いため抗酸化性リン脂質として注目されており、コレステロールを含むリン脂質膜の酸化安定性に寄与していることが知られている。またプラズマローゲン型グリセロリン脂質は、細胞膜やリポタンパク質の抗酸化性に関与するだけでなく、細胞の情報伝達システムに重要な役割を有することが指摘されている。このようなプラズマローゲン型グリセロリン脂質は、痴呆症における脳の神経細胞死を防止する作用や、アテローム性動脈硬化症の発症予防効果などが期待されている。
本発明はまた、前述した本発明の方法を用いて得られたことを特徴とするプラズマローゲン型グリセロリン脂質をも提供する。
【実施例】
【0008】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
1.
高次機能性リン脂質含有機能性ミンチ
1)有機農法育成採卵鶏の廃鶏のムネ肉
有機農法育成採卵鶏の廃鶏から採肉された新鮮な脱気包装冷蔵ムネ肉(農事組合法人エヌチキン(鹿児島県南九州市知覧町)製)(以下、「有機ムネ肉」と言うことがある。)1kgを、工程中の空気暴露を最少化しながら空冷室内に設置した市販ミンチ装置でその装置内温度を10℃以下に保持しながら数mmサイズのミンチ処理を行い、95質量%収率で得られたミンチを高バリア性フィルム包材に取り、直ちに脱気包装して冷蔵保管する。
該冷蔵ミンチを以下の成分分析に供した。
常法により該ミンチ10gをBligh & Dyer法で抽出した総脂質206.2mgをアセトン10mlで沈殿させて99mgの総リン脂質(含有率0.99質量%)を得た。これをHPLCで分析し、蒸発光散乱法(ELSD)でそのピーク面積比から構成リン脂質の構成比を計算した。これを基にリン脂質分子の含有率とその含有量を求めて結果を表1に示した。
【表1】
有機農法育成採卵鶏の廃鶏のムネ肉リン脂質の特徴は、先ず、含有率が2.1質量%しかない総脂質中に、その5割を占めていること、その半分以上がPCで圧倒的に多く、これを反映して高次機能型ではPL−PCが、次いでPL−PEが多いが、SMが極めて少ない。なお、高次機能型とは、生命の恒常性(ホメオスタシス)に直接的に関与する機能;例えば、脳神経細胞のアポトーシスの抑制や、心筋の恒常性に関与する機能を有するものを指称する。更に、総PCは実に7割弱に上る。これに次いで総PEは2割弱であるが、その内、6割がPL−PEで、総PC中のPL−PCが僅かに2割強であることと対照的である。SM含有量が、後述する表皮中と比較しても、2質量%と極めて低いことも注目される。
2)採卵廃鶏のムネ肉
1.1)と同様に、脂質分析を実施した。その結果を纏めて表2に示した。
【表2】
採卵鶏の廃鶏のムネ肉リン脂質の特徴は、先ず、含有率が僅かに1質量%弱しかない総脂質中に、その実に8割以上を占めていることである。更に、その7割弱が総PCで圧倒的に多く、これを反映して高次機能型ではPL−PCが30質量%以上と多いが、SMが極めて少ない。これに次いで総PEは17質量%強であるが、その内、75質量%強がPL−PEで、総PC中のPL−PCが45質量%強であることと対照的である。SM含有量が、後述する表皮中と比較しても、3.2質量%と極めて低いことも注目される。
3)ブロイラー種鶏雌雄の成鶏
(1)ブロイラー種鶏雄の成鶏
チャンキー種5羽(平均質量5.9kg)から採肉された脱気包装冷蔵の新鮮な皮剥きムネ肉((農事組合法人)エヌチキン製)各々から20gのサンプルを採取し、前記1)と同様に総脂質平均0.2g(平均収率1%)を抽出した。各々の総脂質から平均75質量%のリン脂質画分0.15gを分離した。該リン脂質のHPLC/ELSD分析による組成は、plPC(28.7%),plPE(11.2%),PC(43.7%),PE(3.2%),SM(5.1%)で、pl型合計の構成比は39.9%(ムネ肉中の含有率0.28%)を示した。
(2)ブロイラー種鶏雌の成鶏
チャンキー種5羽(平均質量3.8kg)から採肉された脱気包装冷蔵の新鮮な皮剥きムネ肉((農事組合法人)エヌチキン製)各々から20gのサンプルを採取し、前記1)と同様に総脂質平均0.47g(平均収率2.35%)を抽出した。各々の総脂質から平均65質量%のリン脂質画分0.3gを分離した。該リン脂質のHPLC/ELSD分析による組成は、plPC(21.4%),plPE(13.4%),PC(50.3%),PE(4.8%),SM(1.3%)で、pl型合計の構成比は35%(ムネ肉中の含有率0.54%)を示した。
4)若鶏のムネ肉
市販のブロイラーを調達して1.1)と同様に、脂質分析を実施した。その結果を纏めて表3に示した。若鶏(ブロイラー)のムネ肉リン脂質の特徴は、前2例の成鶏の場合と同様に、僅かに1質量%強の総脂質に占める割合が2/3と多く、総PCが7割弱と最大,次いで総PEが2割強である。高次機能型では、SMが2質量%と低く、総PEの7割弱がPL−PEである点は成鶏と類似しているが、総PCの組成が前2例の成鶏の場合と異なり、PL−PCの占める割合は13質量%台と著減し、その含有率も1/3と低下している。
【表3】
5)比較対照;採卵廃鶏表皮
後述の実施例3で調製した脱油ミンチ皮を1.1)と同様に、脂質分析を実施した。その結果を纏めて表4に示した。
【表4】
上記3例のムネ肉と決定的に異なる点は、半分以上脱油処理済みにも拘わらず、総脂質が10倍以上多く、含有率は同レベルであるが総リン脂質の占める割合が1割以下に激減していること、高次機能型では、SM含有量が6倍程度に激増し、総PL型ではPL−PEが同レベルにあるのに対してPL−PCが3質量%台に激減していることで、ムネ肉とは顕著に異なった結果であり、組織特異性が極めて明瞭に出ていることが注目される。
生表皮では、総脂質含有量が、少なくともこの3倍程度に跳ね上がるので、リン脂質類の含有率は一様に数分の一に著減する。
2.
高次機能性リン脂質含有機能性ペーストの調製
採卵鶏の廃鶏から採肉された脱気包装冷蔵の新鮮なムネ肉(農事組合法人エヌチキン製)、好ましくは上記1.2)記載ミンチ350gに、蛋白質処理天然製剤KO−X(久木野修(いちき串木野市下名1126−1)調製)50gを250mlの冷水に溶解させて、冷蔵ミンチに加えて市販家電のフードプロセッサーで手早く混合し、均一なペースト状態になったら調味料・香辛料合わせて34.3gを加えて良く混合して調味済みムネ肉ミンチ650g(歩留り95質量%)を得た。これを脱気密封して冷蔵庫内で数時間静置した。
3.
ムネ肉の凍結乾燥
1.2)で調製・包装・保存した採卵廃鶏のムネ肉ミンチ100gを常法通り、市販の凍結乾燥装置で凍結乾燥を施して、乾燥粉末ムネ肉31.5g(収率98質量%)を得た。
実施例2 プラズマローゲン型グリセロリン脂質の濃縮と分離
1.
廃鶏ムネ肉
廃鶏ムネ肉の実施例1−3.記載の方法で凍結乾燥した粉末400gを、抽出溶剤としてエタノール1000mLを用いて抽出処理したのち、抽出液をロータリエバポレーターにより乾燥して、総脂質12gを得た。
次いで、この乾燥総脂質に、その1g当たり、20mLのn−ヘキサン/アセトン(容量比1/1)混合溶剤を加え、氷冷下に1時間抽出処理した。その後、抽出処理液を、1000Gにて10分間遠心処理して上清の可溶部と沈殿物(不溶部)を分離した。 次に、可溶部をロータリエバポレーターにより乾燥して得られた乾燥物に、その1g当たり、20mLのアセトンを加えて抽出処理した。その後、抽出処理液を、1000Gにて10分間遠心処理して、上清の可溶部と沈殿物(不溶部)を分離した。不溶部として、スフィンゴミエリンが除かれたリン脂質画分8.6gが得られ、その大部分はプラズマローゲン型グリセロリン脂質(45質量%)とPC・PEの混合物(45質量%)であった。そのHPLCチャートを
図1に示した。
2.
有機育成採卵廃鶏のムネ肉
同上1.と同様に凍結乾燥粉末400gを供試し、分離総脂質25gから10.8gのリン脂質画分を得た。そのHPLC測定結果(
図2)から主要成分はPL−PC+PL−PE(28質量%)とPC(53質量%)であることが示された。
3.
ブロイラー種鶏雌雄の成鶏
1)ブロイラー種鶏雄の成鶏
実施例1 1.3)(1)で得られた総脂質2gを用いて、実施例2 1.と同様に濃縮・分離処理を行って濃縮リン脂質画分1.4g(収率70%)を調製した。このHPLC/ELSD分析の結果、[plPC(70%)+plPE(30%)]0.59g(収率42%)及び[PC(94%)+PE(6%)]0.69g(収率49.5%)であることが判明した。
2)採卵鶏種鶏の廃鶏雌
実施例1 1.3)(2)で得られた総脂質2gを用いて、実施例2 1.と同様に濃縮・分離操作を行って濃縮リン脂質画分1.27g(収率63.7%)を調製した。このHPLC/ELSD分析の結果、[plPC(60%)+plPE(40%)]0.45g(収率35.3%)及び[PC(90%)+PE(10%)]0.71g(収率55.7%)であることが判明した。
4.
若鶏(ブロイラー)のムネ肉
同上1.と同様に凍結乾燥粉末400gを供試し、分離総脂質13.5gから8.7gのリン脂質画分を得た。そのHPLC測定結果(
図3)から主要成分はPC(60質量%)とPL−PC+PL−PE(23質量%)であることが示された。
実施例3 高次機能性リン脂質含有機能性チキンミートボールの調製
1)ミンチ化脱油した採卵鶏廃鶏表皮の調製
採卵鶏の廃鶏から採取された新鮮表皮500g冷蔵品を前述装置で低温下8mmミンチ化し470g(収率94質量%)の鶏皮ミンチを得た。これを高バリア性フィルム包材で真空パックして冷蔵保管した。この鶏皮ミンチ300gを低酸素ハイブリッドスチーム加熱装置((株)タイヨー製作所(北斗市清水川)製;hi−LOHS装置)で105℃15分間低侵襲的に加熱脱油して脱油鶏皮8mmミンチ145g(収率48質量%)を得、高バリア性フィルム包材で真空パックして冷蔵保管した。
2)チキンミートボールの調製
冷蔵調味済みムネ肉ミンチ450gに冷蔵脱油鶏皮ミンチ50gを加えて混合後に、ミートボール成型装置付きフライヤー(170℃/3分間)に供給して、半揚げ状態の約30gのミートボール450g(収率90質量%)を得た。この半揚げ状態のミートボール前記hi−LOHS115℃5.5分間加熱後に5分間静置して余熱加熱を施して(
図4)、調理チキンミートボール420g(収率93質量%)を得た。これを室温で放冷後に、脱気包装冷凍保管した。
該冷凍調理済みチキンミートボール10個295gを電子レンジ解凍・加温しドリップの副生なく292g(収率99質量%)のホットチキンミートボールが得られた。
3)冷凍・解凍チキンミートボールの官能試験
上記で得られたホットチキンミートボールを成人男女12名で2択形式の官能試験を実施した。表2に示した様に、高いスコアが得られた。揚げ物にしては油っぽくなくさっぱりとして、歯ざわりがソフトでジューシー、鶏の味と香りがあって美味しいという感想が多かった。
【表5】
4)冷凍チキンミートボールの成分分析
冷凍チキンミートボールの脂質成分分析を行った。
表6に示した様に使用原料由来のヒト型スフィンゴミエリンとプラズマローゲン型グリセロリン脂質のラズマローゲン型ホスフィチジルコリン及びラズマローゲン型ホスファチジルエタノールアミンが損耗せずに冷凍チキンミートボール中に残存していることが明らかにされた。
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明のリン脂質含有機能性素材及びプラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法によれば、機能性食品素材、医薬品素材、化粧品素材などとして有用なリン脂質含有機能性素材及びプラズマローゲン型グリセロリン脂質を、簡単な操作で収率よく製造することができる。