(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774841
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】列車の運行管理システムおよび列車の運行管理方法
(51)【国際特許分類】
B61L 27/00 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
B61L27/00 H
B61L27/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-251449(P2010-251449)
(22)【出願日】2010年11月10日
(65)【公開番号】特開2012-101665(P2012-101665A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2013年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】井堀 真二郎
【審査官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−222004(JP,A)
【文献】
特開2003−261028(JP,A)
【文献】
特開2007−062554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ダイヤをバージョン情報とともに記憶する自動進路制御装置と、
前記制御ダイヤを修正する複数のダイヤ修正手段と、を備え、
前記自動進路制御装置は、前記バージョン情報を前記複数のダイヤ修正手段に定期的に送信し、前記複数のダイヤ修正手段を構成する各ダイヤ修正手段は、記憶しているバージョン情報と前記自動進路制御装置からのバージョン情報とが不一致である場合前記自動進路制御装置に新たな制御ダイヤを要求する、列車の運行管理システム。
【請求項2】
前記複数のダイヤ修正手段を構成する各ダイヤ修正手段は、前記制御ダイヤを修正したときに、前記自動進路制御装置に修正したダイヤとバージョン情報とを送信し、
前記自動進路制御装置は、現在記憶しているバージョン情報と前記修正したダイヤを送信したダイヤ修正手段からのバージョン情報とを比較し、両バージョン情報が一致している場合にのみ前記修正したダイヤを受け付けるとともに、バージョンを「+1」にすることを特徴とする請求項1に記載の列車の運行管理システム。
【請求項3】
前記複数のダイヤ修正手段は、列車の発車時間の修正を含むダイヤの修正をするダイヤ修正卓と、列車の運休及び着発番線変更を含む運転整理を行う運転整理卓とであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の列車の運行管理システム。
【請求項4】
自動進路制御装置に制御ダイヤをバージョン情報とともに記憶させ、複数のダイヤ修正手段に前記制御ダイヤを修正させ、
前記自動進路制御装置により、前記バージョン情報を前記複数のダイヤ修正手段に定期的に送信し、前記複数のダイヤ修正手段を構成する各ダイヤ修正手段により、記憶しているバージョン情報と前記自動進路制御装置からのバージョン情報とが不一致である場合前記自動進路制御装置に新たな制御ダイヤを要求する、列車の運行管理方法。
【請求項5】
前記複数のダイヤ修正手段を構成する各ダイヤ修正手段により、前記制御ダイヤを修正したときに、前記自動進路制御装置に修正したダイヤとバージョン情報とを送信し、
前記自動進路制御装置により、現在記憶しているバージョン情報と前記修正したダイヤを送信したダイヤ修正手段からのバージョン情報とを比較し、両バージョン情報が一致している場合にのみ前記修正したダイヤを受け付けるとともに、バージョンを「+1」にすることを特徴とする請求項4に記載の列車の運行管理方法。
【請求項6】
前記複数のダイヤ修正手段は、列車の発車時間の修正を含むダイヤの修正をするダイヤ修正卓と、列車の運休及び着発番線変更を含む運転整理を行う運転整理卓とであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の列車の運行管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は列車の運行管理システムおよび列車の運行管理方法に係り、特に、システム内の制御ダイヤを常に同一の制御ダイヤとすることができるとともに、複数のダイヤ修正手段によるダイヤ修正があった場合でも、適正に1つの制御ダイヤを有効とすることを可能とした列車の運行管理システムおよび列車の運行管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、列車の運行管理システムにおいては、1日分の全列車を1つの単位とした制御ダイヤが記憶された自動進路制御装置を備えており、自動進路制御装置により、記憶された制御ダイヤと、各駅から入力した在線情報、信号機現示情報などとから自動進路制御を行うようになっている。そして、自動進路制御装置以外の、ダイヤ修正卓、運転整理卓、旅客案内装置などの制御ダイヤを使用する各装置においては、自動進路制御装置と同じダイヤを記憶しているものとして動作しているのが一般的である。
【0003】
この場合に、従来から、各種運行管理システムが開発されているが、例えば、入力手段より等時隔運転条件が入力されると、等時隔ダイヤ作成手段により等時隔運転条件に応じて等時隔ダイヤを作成するとともに、ダイヤ接続処理手段により、列車削除手段が記憶手段に記憶された実施ダイヤのうちの等時隔運転開始時刻から等時隔運転終了時刻までの間のダイヤを削除し、接続列車設定手段により削除後の実施ダイヤに等時隔ダイヤを接続して、実行ダイヤを作成し、作成された実行ダイヤに基づいて、管理手段が列車の運行を管理するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−119779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、列車運行が乱れた時など当初計画した制御ダイヤと異なる運用が必要になることがあり、ダイヤ修正機能を有するダイヤ修正手段により該当する列車の制御ダイヤを修正した場合に、修正した結果を自動進路制御装置が各装置に出力するようになっている。このとき、各装置に出力する制御ダイヤの単位は、全列車分ではなく、修正した列車分のみであり、入力した装置がそれまで記憶している制御ダイヤの該当列車部分を入れ替えるようになっている。
【0006】
しかしながら、制御ダイヤを新たに修正された制御ダイヤに入れ替える場合に、自動進路制御装置に記憶されている修正される元となった制御ダイヤと、各装置に記憶されている制御ダイヤとが異なっていると、修正された列車分のダイヤを適正に入れ替えることができなくなってしまい、自動進路制御装置が記憶している制御ダイヤと、各装置が記憶している制御ダイヤとが一致しないという問題が生じてしまう。
【0007】
また、ダイヤ修正手段が複数あるシステムにおいて、同じ列車の制御ダイヤを同時に変更した場合に、複数の異なる制御ダイヤが存在してしまい、列車の運行に支障をきたすおそれがあるという問題を有している。そのため、いずれの制御ダイヤを有効とする手段として、従来から、例えば、後から変更した制御ダイヤが有効とする手段や、同時修正の操作を禁止する手段などが採用されているが、いずれも制約がある中での操作となり、制御ダイヤを効率よく修正することができないという問題を有している。
【0008】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、システム内の制御ダイヤを常に同一の制御ダイヤとすることができるとともに、複数のダイヤ修正手段によるダイヤ修正があった場合でも、適正に1つの制御ダイヤを有効とすることのできる列車の運行管理システムおよび列車の運行管理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る列車の運行管理システムは、
制御ダイヤ
をバージョン情報
とともに記憶
する自動進路制御装置と、
前記制御ダイヤを修正する
複数のダイヤ修正手段と、を備え、
前記自動進路制御装置は、前記バージョン情報を前記
複数のダイヤ修正手段に
定期的に送信し、前記
複数のダイヤ修正手段を構成する各ダイヤ修正手段は、
記憶しているバージョン情報と前記自動進路制御装置から
のバージョン情報と
が不一致である場合前記自動進路制御装置に新たな制御ダイヤを要求する。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記
複数のダイヤ修正手段を構成する各ダイヤ修正手段は、前記制御ダイヤを修正したときに、前記自動進路制御装置に修正したダイヤとバージョン情報とを送信し、
前記自動進路制御装置は、現在記憶
しているバージョン情報と
前記修正したダイヤを送信したダイヤ修正手段から
のバージョン情報とを比較し、両バージョン情報が一致している場合にのみ
前記修正したダイヤを受け付けるとともに、バージョンを「+1」にすることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記
複数のダイヤ修正手段は、
列車の発車時間の修正を含むダイヤの修正をするダイヤ修正卓
と、列車の運休及び着発番線変更を含む運転整理を行う運転整理卓
とであることを特徴とする。
【0012】
本発明は前記目的を達成するために、請求項4に記載の発明に係る列車の運行管理方法は、自動進路制御装置
に制御ダイヤ
をバージョン情報
とともに記憶させ
、複数のダイヤ修正手段
に前記制御ダイヤを修正させ、
前記自動進路制御装置により、前記バージョン情報を前記
複数のダイヤ修正手段に
定期的に送信し、前記
複数のダイヤ修正手段を構成する各ダイヤ修正手段により、
記憶しているバージョン情報と前記自動進路制御装置から
のバージョン情報と
が不一致である場合前記自動進路制御装置に新たな制御ダイヤを要求する。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記
複数のダイヤ修正手段を構成する各ダイヤ修正手段により、前記制御ダイヤを修正したときに、前記自動進路制御装置に修正したダイヤとバージョン情報とを送信し、
前記自動進路制御装置により、現在記憶
しているバージョン情報と前記
修正したダイヤを送信したダイヤ修正手段から
のバージョン情報とを比較し、両バージョン情報が一致している場合にのみ
前記修正したダイヤを受け付けるとともに、バージョンを「+1」にすることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項4または請求項5において、前記
複数のダイヤ修正手段は、
列車の発車時間の修正を含むダイヤの修正をするダイヤ修正卓
と、列車の運休及び着発番線変更を含む運転整理を行う運転整理卓
とであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、自動進路制御装置によりバージョン情報をダイヤ修正手段に送信し、ダイヤ修正手段により現在記憶されているバージョン情報と自動進路制御装置から送られたバージョン情報とを比較して、両バージョン情報が一致していない場合には、自動進路制御装置に新たな制御ダイヤを要求するようにしているので、自動進路制御装置が記憶している制御ダイヤと同じ制御ダイヤを、常にダイヤ修正手段が記憶することができ、制御ダイヤの修正があった場合でも、ダイヤ修正手段において適正に修正したダイヤに書き換えることができ、常に自動進路制御装置と同じ制御ダイヤによる処理を行うことができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、ダイヤ修正手段により制御ダイヤを修正したときに、自動進路制御装置に修正したダイヤとバージョン情報とを送信し、自動進路制御装置により、現在記憶されているバージョン情報とダイヤ修正手段から送られたバージョン情報とを比較し、両バージョン情報が一致している場合にのみ修正したダイヤを受け付けるとともに、バージョンを「+1」にするようにしているので、ダイヤ修正手段から同時に複数のダイヤ修正があった場合でも、バージョン情報が一致した場合にのみダイヤの修正を受付けることができ、異なるバージョンの制御ダイヤの不用意な書き換えを防止することができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、
複数のダイヤ修正手段をダイヤ修正卓
及び運転整理卓としているので、ダイヤ修正卓または運転整理卓によるダイヤ修正を行うことができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、自動進路制御装置によりバージョン情報をダイヤ修正手段に送信し、ダイヤ修正手段により現在記憶されているバージョン情報と自動進路制御装置から送られたバージョン情報とを比較して、両バージョン情報が一致していない場合には、自動進路制御装置に新たな制御ダイヤを要求するようにしているので、自動進路制御装置が記憶している制御ダイヤと同じ制御ダイヤを、常にダイヤ修正手段が記憶することができ、制御ダイヤの修正があった場合でも、ダイヤ修正手段において適正に修正したダイヤに書き換えることができ、常に自動進路制御装置と同じ制御ダイヤによる処理を行うことができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、ダイヤ修正手段により制御ダイヤを修正したときに、自動進路制御装置に修正したダイヤとバージョン情報とを送信し、自動進路制御装置により、現在記憶されているバージョン情報とダイヤ修正手段から送られたバージョン情報とを比較し、両バージョン情報が一致している場合にのみ修正したダイヤを受け付けるとともに、バージョンを「+1」にするようにしているので、ダイヤ修正手段から同時に複数のダイヤ修正があった場合でも、バージョン情報が一致した場合にのみダイヤの修正を受付けることができ、異なるバージョンの制御ダイヤの不用意な書き換えを防止することができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、
複数のダイヤ修正手段をダイヤ修正卓
及び運転整理卓としているので、ダイヤ修正卓または運転整理卓によるダイヤ修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る列車の運行管理システムの実施形態を示す概略構成図である。
【
図2】本発明に係る列車の運行管理システムを用いた通常状態における運行管理方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明に係る列車の運行管理システムを用いたダイヤ修正における運行管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る列車の運行管理システムの実施形態を示す概略構成図であり、本実施形態においては、列車の運行管理システム1は、始業から終業までの1日分の制御ダイヤおよびこの制御ダイヤのバージョン情報が記憶される自動進路制御装置2を備えている。自動進路制御装置2は、記憶された制御ダイヤと、各駅から入力した在線情報、信号機現示情報などとから自動進路制御を行うように構成されている。
【0024】
また、自動進路制御装置2には、列車の運転、列車の運休、着発番線変更などの各種運転整理を行うためのダイヤ修正手段としての運転整理卓3および列車の発車時間などのダイヤを修正するためのダイヤ修正手段としてのダイヤ修正卓4がそれぞれ接続されており、ダイヤ修正卓4および運転整理卓3は、自動進路制御装置2から入力した制御ダイヤおよびこの制御ダイヤのバージョン情報を記憶するように構成されている。また、自動制御装置には、自動進路制御装置2から送られる制御ダイヤに基づいて所定の旅客案内表示などを行うための旅客案内装置5が接続されており、自動進路制御装置2には、バージョン毎の制御ダイヤを蓄積するためのデータ蓄積装置6が接続されている。旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6は、自動進路制御装置2から入力した制御ダイヤおよびバージョン情報を記憶するように構成されている。
【0025】
自動進路制御装置2は、始業時に自動進路制御装置2が起動された場合に、制御ダイヤのバージョン情報を、例えば、「0」に設定するものであり、自動進路制御装置2は、この制御ダイヤのバージョン情報を記憶するものである。そして、制御ダイヤは、自動進路制御装置2から、運転整理卓3、ダイヤ修正卓4、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6にそれぞれ送信され、運転整理卓3、ダイヤ修正卓4、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6は、自動進路制御装置2から送られた制御ダイヤに基づいて、運転整理の修正、ダイヤ修正、旅客案内あるいはテータの蓄積を行うように構成されている。
【0026】
そして、ダイヤ修正卓4によりダイヤの修正が行われた場合や運転整理卓3により運転整理が行われた場合には、修正されたダイヤおよび運転整理が行われたダイヤと、ダイヤ修正卓4または運転整理卓3に記憶されているバージョン情報とがそれぞれ自動進路制御装置2に送られるように構成されている。そして、自動進路制御装置2は、修正されたダイヤが送られてきた場合には、ダイヤ修正卓4または運転整理卓3から送られるバージョン情報と、自動進路制御装置2に記憶されているバージョン情報とを比較し、バージョン情報が一致していない場合には、変更ダイヤを受け付けないように構成されている。また、バージョン情報が一致している場合には、自動進路制御装置2は、修正されたダイヤを既に記憶されている制御ダイヤに置き換えるとともに、新たな制御ダイヤのバージョン情報を「+1」とする。その後、自動進路制御装置2は、新たなバージョンとなった制御ダイヤをバージョン情報ととともに、運転整理卓3、ダイヤ修正卓4、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6にそれぞれ送信するように構成されている。
【0027】
さらに、本実施形態においては、自動進路制御装置2は、運転整理卓3、ダイヤ修正卓4、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6に定期的にバージョン情報を送信するように構成されており、運転整理卓3、ダイヤ修正卓4、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6が記憶しているバージョン情報と、自動進路制御装置2から送られたバージョン情報とを比較し、バージョン情報が一致していない場合は、運転整理卓3、ダイヤ修正卓4、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6から新しいバージョンの制御ダイヤを要求するように構成されている。
【0028】
次に、前記列車の運行管理システム1を用いた通常状態における運行管理方法について、
図2に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態においては、ダイヤ修正卓4における動作について説明する。
【0029】
本実施形態においては、一定の周期で自動進路制御装置2からダイヤ修正卓4にバージョンの情報を送信する(ST1)。ダイヤ修正卓4により、自動進路制御装置2から送られたバージョン情報と、現在記憶しているバージョン情報とを比較し(ST2)、一致していない場合は(ST3:NO)、ダイヤ修正卓4から自動進路制御装置2に最新の制御ダイヤを要求し(ST4)、自動進路制御装置2からダイヤ修正卓4に最新の制御ダイヤをバージョン情報とともに送信する(ST5)。そして、ダイヤ修正卓4により、受信したダイヤを記憶するとともに、バージョン情報を記憶する(ST6)。これにより、ダイヤ修正卓4には、常に最新のバージョンの制御ダイヤが記憶されることになる。
【0030】
なお、自動進路制御装置2から送られたバージョン情報と、ダイヤ修正卓4が現在記憶しているバージョン情報とが一致している場合は(ST3:YES)、ダイヤ修正卓4は、何も行わない。
【0031】
次に、前記列車の運行管理システム1を用いたダイヤ修正時における運行管理方法について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態においても、ダイヤ修正卓4により修正が行われた場合について説明する。
【0032】
まず、ダイヤ修正卓4でダイヤ修正を行うと(ST10)、ダイヤ修正卓4から修正したダイヤと、ダイヤ修正卓4で現在記憶しているバージョン情報とが自動進路制御装置2に送られる(ST11)。そして、自動進路制御装置2により、現在記憶されているバージョン情報とダイヤ修正卓4から送られたバージョン情報とを比較し(ST12)、一致している場合には(ST13:YES)、自動進路制御装置2により、今まで記憶されていた制御ダイヤをダイヤ修正卓4から送られた修正ダイヤに書き換えて記憶し、バージョンを「+1」とする(ST14)。その後、自動進路制御装置2からダイヤ修正卓4、運転整理卓3、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6に、新たな制御ダイヤを新しいバージョン情報とともに送信する(ST15)。
【0033】
また、自動進路制御装置2に現在記憶されているバージョン情報とダイヤ修正卓4から送られたバージョン情報とが一致していない場合には(ST13:NO)、ダイヤ修正卓4から送られた制御ダイヤを受付ないで、廃棄する(ST16)。この場合は、ダイヤ修正卓4から新たなバージョンの制御ダイヤを要求し、新たなバージョンの制御ダイヤに基づいてダイヤの修正を行う。
【0034】
以上述べたように、本実施形態においては、自動進路制御装置2が記憶している制御ダイヤと同じ制御ダイヤを、運転整理卓3、ダイヤ修正卓4、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6が常に記憶するようにしているので、制御ダイヤの修正があった場合でも、運転整理卓3、ダイヤ修正卓4、旅客案内装置5およびデータ蓄積装置6において適正に修正したダイヤに書き換えることができ、常に自動進路制御装置2と同じ制御ダイヤによる処理を行うことができる。
【0035】
また、ダイヤ修正卓4または運転整理卓3により制御ダイヤの修正があった場合に、ダイヤ修正卓4または運転整理卓3から修正ダイヤとともにバージョン情報を送ることにより、自動進路制御装置2により修正されたダイヤのバージョン情報を確認するようにしているので、ダイヤ修正卓4または運転整理卓3から同時に複数のダイヤ修正があった場合でも、バージョン情報が一致した場合にのみダイヤの修正を受付けることができ、異なるバージョンの制御ダイヤの不用意な書き換えを防止することができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 列車の運行管理システム
2 自動進路制御装置
3 運転整理卓
4 ダイヤ修正卓
5 旅客案内装置
6 データ蓄積装置