【実施例】
【0022】
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1−1〜1−8並びに比較例1−1及び1−2)
図1(a)〜(d)に示すように、直線状に形成された開口孔16及び四角板状に形成された封口板17を円筒状弾薬用容器10の円筒部14にそれぞれ設けた例である。弾薬用容器10は冷間圧延鋼板で形成されたスパイラル鋼管製金属容器であり、冷間圧延鋼の引張強度は270N/mm
2である。弾薬用容器10の内径は159mm、長さLは365mm、肉厚は1.2mmである。螺旋状の接合部15は、弾薬用容器10の底面11bに対する巻角度が30度に設定されている。
【0023】
前記開口孔16は、幅yが0.3mm、長さxが60〜300mmの直線形状であり、接合部15であるシーム溶接部と干渉する位置に1〜4個設けた。円筒部14の長さLに対する開口孔16の長さxの和の比率を表1に示した。封口板17として、厚み0.5mm、幅50mmで粘着力が7.9N/10mmのアルミニウムテープ、及び厚み4mm、幅50mmで引張強さ15MPaのポリエチレン樹脂板、及び厚み1.2mm、幅50mmで引張強さ105MPaのアルミニウム板を使用した。ポリエチレン樹脂板及びアルミニウム板は接着剤によって円筒部14に接合した。封口板17の長さは各開口孔16の長さxに対して30mm長くなるように、封口板17の両端を開口孔16の両端から各15mmの位置に配置した。
【0024】
容器本体11の内部には、ニトロセルロース、ニトログリセリン及びニトログアニジンを主成分とするトリプルベース発射薬を2.3kg収容した。このトリプルベース発射薬は断面六角形状に形成され、直径14mm及び長さ14mmであった。このトリプルベース発射薬の中に点火薬として黒色火薬0.002kgを配置して発火試験を実施した。このとき、円筒部14の長さLに対する開口孔16の長さxの和の比率によって容器本体11に被せられた蓋体12が離脱するか否か、又は容器本体11が破壊して破片が飛散するか否かを下記の評価基準に従って評価した。それらの発火試験結果を表1に示した。
(評価基準)
○は封口板17が開放して容器本体11の蓋体12が離脱しなかったことを示す。
【0025】
×は容器本体11の蓋体12又は容器本体11の破片が飛散したことを示す。
【0026】
【表1】
表1に示したように、実施例1−1〜1−8では円筒部14の長さLに対する開口孔16の長さxの和の比率が0.25〜3.0の範囲内に設定されているため、いずれも発火試験の結果は良好であることが明らかになった。その一方、上記比率が0.25を下回る比較例1−1又はその比率が3.0を上回る比較例1−2では、発火試験の結果が不良となる結果を招いた。
(実施例2−1〜2−3)
図2(a)〜(d)に示すように、開口孔16を正面長方形状とし、その幅yを変更して比較した例である。前記実施例1−1と同一の円筒状弾薬用容器10において、開口孔16を円筒部14に設け、その形状が長さx200mm、幅y0.3〜7mmの長方形状であり、接合部15であるシーム溶接部と干渉する位置に1個設けた。円筒部14の外径Dに対する開口孔16の幅yの比率を表2に示した。封口板17として、厚み0.5mmで粘着力が7.9N/10mmのアルミニウムテープを使用した。封口板17の長さ及び幅は各開口孔16の長さx及び幅yに対して30mm長く設定し、封口板17の両端及び両側縁を開口孔16の両端及び両側縁から各15mmの位置に配置した。
【0027】
そして、この円筒状弾薬用容器10に関して取扱性を評価するため、落下試験を実施した。弾薬用容器10の内部には前記実施例1−1と同一のトリプルベース発射薬を2.3kg収容し、弾薬用容器10の円筒部14を地面に対して平行にした状態で2.1mの高さから落下させた。このとき、弾薬用容器10が変形又は破壊するか否かを下記の評価基準に従って評価した。それらの落下試験結果を表2に示した。
(取扱性試験の評価基準)
◎:2.1m落下試験後、弾薬用容器10に変形が生じなかったことを示す。
【0028】
○:2.1m落下試験後、弾薬用容器10に変形が生じたことを示す。
×:2.1m落下試験後、弾薬用容器10が破損して内容物が漏出したことを示す。
【0029】
【表2】
表2に示したように、実施例2−1〜2−3では円筒部14の外径Dに対する開口孔16の幅yの比率が0.001〜0.05の範囲内に設定されているため、落下試験の結果は良好であることが示された。
【0030】
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記開口孔16の延びる方向を接合部15の延びる方向と直交するように設定したり、円筒部14の軸線方向に延びるように設定したりすることができる。
【0031】
・ 前記開口孔16を、正面正方形状に形成したり、正面楕円形状に形成したりすることも可能である。その場合、封口板17を開口孔16より大きく、開口孔16の形状に対応した形状に形成することができる。
【0032】
・ 容器本体11や蓋体12を構成する金属板として、熱間圧延鋼板、ステンレス鋼板等を使用することもできる。