【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の水質改良装置は、
対象水域に設置され、上記対象水域の水を取り入れる取水手段を有する貯水槽と、
水と気体の混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部と、上記複数の旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させる衝突室とを有し、上記気体の微細気泡が水に分散してなる微細気泡水を生成する微細気泡生成手段と、
上記微細気泡水が添加された上記貯水槽の水を対象水域に排出する排出手段と
を備えることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、水質改良を行う対象水域に貯水槽が設置され、この対象水域の水が、取水手段によって貯水槽内に取り入れられる。微細気泡生成手段によって、気体の微細気泡が水に分散してなる微細気泡水が生成され、上記貯水槽内の水に添加される。微細気泡水が添加された貯水槽内の水が、排出手段によって対象水域に排出される。排出手段によって排出された水は微細気泡を含むので、対象水域の酸素濃度を安定して向上させて、この水域の水質を改良することができる。ここで、上記微細気泡生成手段は、複数の旋回流形成部で水と気体の混合流体の旋回流を形成し、この旋回流を衝突室で互いに衝突させて微細気泡を生成するので、可動部品が存在しない。したがって、構造が比較的簡易であるので、故障が生じ難い。その結果、製造費用を削減でき、また、メンテナンスの手間と費用を削減できる。
【0011】
また、取水手段で貯水槽内に取り入れた水に、微細気泡生成手段で生成した微細気泡水を添加し、この微細気泡を含んだ貯水槽内の水を排出手段で対象水域に排出することにより、対象水域に滞留した水中に微細気泡を添加するよりも、広範囲に微細気泡を拡散させることができる。
【0012】
ここで、本明細書において、微細気泡とは、直径が1μ以下の気泡をいい、特に好ましくは、直径が10nm以上数10μm以下のマイクロナノバブルであり、さらに好ましくは、直径が10nm以上500nm以下のナノバブルである。また、微細気泡を形成する気体は、少なくとも酸素を含んでいればよく、例えば空気や高濃度酸素を採用することができる。
【0013】
一実施形態の水質改良装置は、上記貯水槽の下部に形成された開口と、この開口を開閉する開閉機構とを有し、
上記取水手段及び排出手段は、上記開口と開閉機構を含んで形成されている。
【0014】
上記実施形態によれば、貯水槽内の水位が低いときや、実質的に零のときに、開閉機構で貯水槽の開口を開くことにより、この開口を通して対象水域の水が貯水槽内に取り入れられ、取水手段として機能する。一方、貯水槽内の水位が高いときに、開閉機構で貯水槽の開口を開くことにより、貯水槽内の水が対象水域に排出され、排出手段として機能する。このように、開口及び開閉機構によって取水手段と排出手段を兼ねることにより、水質改良装置の構成を簡易にできる。
【0015】
一実施形態の水質改良装置は、上記微細気泡生成手段に関し、
上記旋回流形成部は、中心軸が互いに一直線上に位置し、互いに近い部分の内径が互いに遠い部分の内径よりも小さく形成されて、上記中心軸と直交する面に関して対称の回転体形状を有する2つの旋回室で構成された旋回室対を有し、
上記2つの旋回室の互いに遠い部分に、各旋回室の内周面の接線を描くように混合流体の供給路が夫々接続され、
上記2つの旋回室の互いに近い部分が、これら旋回室の中心軸に対して略直角に延在して形成された直角通路に連なり、この直角通路の旋回室の間の部分に上記衝突室が形成され、この直角通路の衝突室に連なる部分が微細気泡水の排出路に形成されている。
【0016】
上記実施形態によれば、微細気泡生成手段で、混合流体が旋回室の内周面の接線を描く供給路を通して旋回流形成部の2つの旋回室に夫々供給されて、各旋回室に混合流体の旋回流が形成される。2つの旋回室で形成された混合流体の旋回流は、これらの旋回室の中心軸と直角をなす直角通路中の衝突室に導かれることにより、旋回流が効果的に衝突して、混合流体中の気体が効果的に微細化される。気体が微細化されてなる微細気泡水は、直角通路中の衝突室に連なる排出路に導かれることにより、迅速に排出される。これらにより、混合流体中の気体の微細化を効率良く行うことができる。また、旋回室の形状を、中心軸を一直線上に配して面対称の回転体形状とすると共に、衝突室と排出路を直角通路が兼ねることにより、微細気泡生成手段を効果的に小型にできる。
【0017】
ここで、上記回転体形状の旋回室は、例えば、円錐型、半球型、又は、半回転楕円体型、若しくは、円筒の端面に円錐、半球及び半回転楕円体等を連ねた形状に形成することができる。
【0018】
一実施形態の水質改良装置は、上記微細気泡生成手段は、上記旋回室対を2つ有し、これら2つの旋回室対は、各旋回室対の2つの旋回室が有する中心軸が互いに直交するように配置されている。
【0019】
上記実施形態によれば、微細気泡生成手段の2つの旋回室対を、各旋回室対の2つの旋回室が有する中心軸が互いに交差するように配置することにより、衝突室に4つの旋回室からの旋回流を導いて、旋回流を効果的に衝突させることができる。したがって、混合流体中に含まれる気体等を効果的に微細化できる。また、4つの旋回室を衝突室の周りに等角度間隔で配置することにより、微細気泡生成手段の小型化を行いながら微細化能力の拡大を図ることができる。
【0020】
一実施形態の水質改良装置は、上記微細気泡生成手段は、
混合流体の入口と微細気泡水の出口を有するケーシングと、
上記ケーシング内に収容され、少なくとも1つの上記旋回室対と、上記供給路と、上記直角通路とが形成された少なくとも1つのブロックとを有する。
【0021】
上記実施形態によれば、ケーシング内に収容するブロックの個数を調節することにより、混合流体中の気体に対する微細化の程度を調整することができる。したがって、気体の種類や、単位時間に生成すべき混合流体の量や、微細気泡を含有させるべき濃度に応じて、微細気泡生成手段の微細化の能力を調節することができる。また、主要な部品として、ケーシングとブロックを準備し、ブロックの個数を調整するのみにより、少ない部品の種類によって多様な種類の微細気泡生成手段を製造できる。したがって、微細気泡生成手段の製造コストを低減できる。
【0022】
一実施形態の水質改良装置は、対象水域の水位を検出する外部水位検出手段と、
上記貯水槽内の水位を検出する内部水位検出手段と、
上記内部水位検出手段が貯水槽内の水位が高位に達したことを検知すると、上記取水手段による貯水槽内への取水を停止し、この後、上記外部水位検出手段が対象水域の水位が低位に達したことを検知すると、上記排出手段に貯水槽内の水を排出させる制御部と
を備える。
【0023】
上記実施形態によれば、内部水位検出手段により、貯水槽内の水位が高位に達したことが検知されると、制御部は、取水手段による貯水槽内への取水を停止する。これにより、貯水槽内に高水位の水が貯留される。この後、外部水位検出手段により、対象水域の水位が低位に達したことが検知されると、制御部は、排出手段に貯水槽内の水を排出させる。上記貯水槽内の高水位の水に、微細気泡生成手段で生成される微細気泡を添加しておくことにより、微細気泡を含んだ水を、排出手段を通して対象水域に拡散することができる。対象水域の水位が低位に達したときに、貯水槽内の高水位の水を排出するので、貯水槽内の水の位置エネルギーを利用して、微細気泡を含んだ水を対象水域に広範囲に拡散することができる。
【0024】
一実施形態の水質改良装置は、対象水域の風を検出する風検出手段を備え、
上記制御部は、上記風検出手段により検出された風の風下方向が、上記排出手段が水を排水する方向と一致する場合、上記排出手段に貯水槽内の水を排出させる。
【0025】
上記実施形態によれば、風検出手段により検出された風の風下方向が、上記排出手段から水を排水する方向と一致する場合、制御部の制御により、排出手段から貯水槽内の水が排出される。これにより、貯水槽内の水を、貯水槽から排出される方向と一致する風下の方向に、風によって運ぶことができるので、微細気泡を含んだ水を対象水域に効果的に拡散することができる。ここで、風の風下方向が、排出手段が水を排出する方向と一致するとは、風下方向と、排出された水の方向とが、0°以上90°未満の角度をなすことをいい、特に、0°以上45°未満の角度をなすのが好ましく、さらに、0°以上30°未満の角度をなすのが好ましい。
【0026】
一実施形態の水質改良装置は、上記貯水槽内に、微生物担持体を備える。
【0027】
上記実施形態によれば、貯水槽内の微生物担持体に担持された微生物の作用により、対象水域から導かれた水に含まれる汚染物質を分解することができる。汚染物質を分解した水を対象水域に戻すことにより、対象水域の水質を改善することができる。ここで、微生物担持体としては多孔質の物質を用いることができ、例えば、セラミック多孔体や、樹脂多孔体で形成することができる。また、微生物担持体の形状は、岩石状の塊体、ブロック、繊維及び布等の種々のものを採用することができる。セラミック多孔体としては、例えば、セラミック成分にオガ粉を練り込んで成型し、焼成して作製したものが好ましい。オガ粉の燃焼により、セラミック本体に微細孔が形成されると共に、オガ粉が燃焼されてなる灰成分により、微生物を効果的に培養することができる。
【0028】
本発明の水質改良方法は、対象水域の水を取り入れる取水手段と貯水層内の水を排出する排出する排出手段とを有する貯水槽と、微細気泡水を生成する微細気泡生成手段とを備えた水質改良装置を用いて対象領域の水質を改良する方法であって、
対象水域に上記水質改良装置を設置する工程と、
上記取水手段から、対象水域の水位の増大によって貯水槽内に水を流入させる工程と、
上記取水手段を停止して貯水槽内に水を貯留する工程と、
上記微細気泡生成手段で微細気泡を生成して貯水槽内の水に添加する工程と、
対象水域の水位が低下した後、上記排水手段を動作させて、微細気泡が添加された水を貯水槽から対象水域へ排出する工程と
を備えることを特徴としている。
【0029】
上記構成によれば、まず、例えば海浜や河川の浅瀬のような対象水域に、水質改良装置を設置する。対象水域に水質改良装置を設置すると、取水手段から、対象水域の水位の増大によって貯水槽内に水を流入させる。例えば、海の満ち潮や河川の増水により、取水手段から貯水槽内に水を流入させることができる。貯水槽内の水位が所定の高さに達すると、上記取水手段を停止して貯水槽内に水を貯留する。この貯水槽内の水に、微細気泡生成手段で微細気泡を生成して添加する。引き続いて、例えば、海の引き潮や河川の増水の解消により、対象水域の水位が低下すると、この後、排水手段を動作させて、微細気泡が添加された水を貯水槽から対象水域へ排出する。ここで、対象水域は、水位が低下しているので、貯水槽内に所定の高さに貯留した水を、位置エネルギーによって効果的に対象水域に拡散させることができる。このように、海浜や河川の浅瀬のような溶存酸素濃度が低下しやすい水域に対して、海浜の潮汐や河川の増減水を利用して、効果的に微細気泡を含んだ水を拡散させることができ、対象水域の水質を効果的に改良することができる。
【0030】
一実施形態の水質改良方法は、上記対象水域は海浜の浅瀬であり、潮汐による海水位の増大により貯水槽内に海水を取り入れる一方、潮汐による海水位の低下の後に、貯水槽内の微細気泡が添加された海水を浅瀬へ排出する。
【0031】
上記実施形態によれば、溶存酸素濃度が減少しやすい海浜の浅瀬に、潮汐のエネルギーを用いて、微細気泡を含む海水を拡散することができる。したがって、海浜の浅瀬の水質を、電力等の人為的なエネルギーの消費を抑制しながら、効果的に改良することができる。
【0032】
一実施形態の水質改良方法は、上記水質改良装置を、上記対象水域の設置位置に曳航する工程を備える。
【0033】
上記実施形態によれば、対象水域の水位が比較的高いときに、水質改良装置の貯水槽内を実質的に空にして浮力を作用させることにより、水質改良装置を対象水域まで曳航することができる。これにより、水質改良装置を陸上輸送よりも容易に運搬することができる。
【0034】
一実施形態の水質改良方法は、上記水質改良装置は、上記貯水槽内に微生物担持体が投入されており、
上記微細気泡が添加された水を貯水槽から対象水域へ排出する工程で、上記微生物担持体に担持された好気性微生物を含む水が、上記対象水域に拡散する。
【0035】
上記実施形態によれば、微生物担持体が投入された貯水槽内に、対象水域の水が流入し、流入した水に、微細気泡生成手段で生成された微細気泡が添加される。この微細気泡により、微生物担持体に担持された好気性微生物が活性化し、貯水槽内の水に好気性微生物が繁殖すると共に、貯水槽内の水が浄化される。この貯水槽内の水を対象水域へ排出する工程で、上記好気性微生物を含む水が対象水域に拡散する。その結果、対象水域に好気性微生物を効率的に供給することができ、対象水域を効果的に浄化することができる。
【0036】
ここで、微生物担持体としては多孔質の物質を用いることができ、例えば、セラミック多孔体や、樹脂多孔体で形成することができる。また、微生物担持体の形状は、岩石状の塊体、ブロック、繊維及び布等の種々のものを採用することができる。セラミック多孔体としては、例えば、セラミック成分にオガ粉を練り込んで成型し、焼成して作製したものが好ましい。オガ粉の燃焼により、セラミック本体に微細孔が形成されると共に、オガ粉が燃焼されてなる灰成分により、微生物を効果的に培養することができる。