特許第5774877号(P5774877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774877
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】折り畳み式ベビーカーの自立構造
(51)【国際特許分類】
   B62B 7/08 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   B62B7/08
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-49800(P2011-49800)
(22)【出願日】2011年3月8日
(65)【公開番号】特開2012-183968(P2012-183968A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2014年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】393022850
【氏名又は名称】株式会社ティーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(72)【発明者】
【氏名】坂西 泰彦
【審査官】 芦原 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−131018(JP,A)
【文献】 実公昭02−004002(JP,Y1)
【文献】 特開2002−114308(JP,A)
【文献】 特開2006−290213(JP,A)
【文献】 実開平05−064043(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0151348(US,A1)
【文献】 特開2011−195087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に後輪を備えた左右2本の後脚部を有し、これら後脚部をベビーカーの左右方向で互いに接近させると折り畳まれ、左右の後脚部に備えた支持脚部が接地して折り畳み状態のベビーカーを自立させる、折り畳み式ベビーカーの自立構造であって、
前記支持脚部が、長手方向の中間部において互いに交差して該交差部において回転可能に連結された2本の支持脚担体で構成され、
これら支持脚担体の上端部が、前記後脚部に対して、前後方向に傾いた状態で、左右の後脚部同士の接近と離反に伴って回転可能に枢着され、
前記2本の支持脚担体における前記交差部よりも下にのびる下端部が、ベビーカーを折り畳んで立てたときに前記後輪よりも前後方向に離れ、かつ左右方向に離れた位置でそれぞれ接地する接地部に設定された
折り畳み式ベビーカーの自立構造。
【請求項2】
前記支持脚担体の上端部が取り付け部材を介して取付けられた
請求項1に記載の折り畳み式ベビーカー。
【請求項3】
前記支持脚担体が丸パイプで形成された
請求項1または請求項2に記載の折り畳み式ベビーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折り畳み式ベビーカーを自立させるための折り畳み式ベビーカーの自立構造に関し、より詳しくは、自立させたときの安定性が極めてよく、製造コストも抑えることができるような折り畳み式ベビーカーの自立構造に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式ベビーカーの自立構造として、下記特許文献1に記載のものが提案されている。
【0003】
これは、前輪を備えた左右の前脚部と、後輪を備えた左右の後脚部を有し、前脚部を上方に引き上げると左右幅方向に縮まって折り畳まれるベビーカーにおいて、折り畳む動作によってスタンドが自動的に出てきて自立するというものである。
【0004】
そのスタンドは、前記左右の後脚部に枢着されており、棒状をなして上端が後脚部に枢着される左右の腕部と、これら左右の腕部の下端を連結する支持部とを有する構造である。左右の腕部は、ベビーカーの使用時には左右方向に直線状にのびているが、ベビーカーを折り畳むとV字状に曲がって前記支持部が降下して1点で接地する。
【0005】
左右の腕部の上端部は、左右の後脚部が相対的に近接する方向に折り畳まれる移動平面に沿って回動可能に軸支されている。
【0006】
このような自立構造では、1個の後輪を1点と考えれば、2個の後輪と前記1個の支持部との合計3点で接地することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4144786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記のように左右の腕部の上端部は、左右の後脚部が相対的に近接する方向に折り畳まれる移動平面に沿って回動可能に軸支されているので、前記支持部の位置は後輪に近い位置にある。
【0009】
そのうえ左右の腕部はそれぞれ後脚部に枢着され、これらの下端はさらに前記支持部に枢着されているので、2本の腕部も支持部も比較的自由に動く構造である。つまり支持部は、回転可能な腕部にぶら下がった状態であり、ガタガタして位置が定まらない。しかも、折り畳み時に上方へ引き上げた左右2個の前輪は後輪と同じ間隔で上方に存在するのにもかかわらず、前記のように3点で支持される。
【0010】
このため、自立状態は安定しにくく、些細な振動や軽い接触によって倒れてしまうことがある。
【0011】
また、前記支持部が必要なぶん、部品点数が多くなって、製造コストがかさむ。
【0012】
そこで、この発明は、自立させたときの安定性を高め、製造コストも抑えることができるようにすることを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのための手段は、下端に後輪を備えた左右2本の後脚部を有し、これら後脚部をベビーカーの左右方向で互いに接近させると折り畳まれ、左右の後脚部に備えた支持脚部が接地して折り畳み状態のベビーカーを自立させる、折り畳み式ベビーカーの自立構造であって、前記支持脚部が、長手方向の中間部において互いに交差して該交差部において回転可能に連結された2本の支持脚担体で構成され、これら支持脚担体の上端部が、前記後脚部に対して、前後方向に傾いた状態で、左右の後脚部同士の接近と離反に伴って回転可能に枢着され、前記2本の支持脚担体における前記交差部よりも下にのびる下端部が、ベビーカーを折り畳んで立てたときに前記後輪よりも前後方向に離れ、かつ左右方向に離れた位置でそれぞれ接地する接地部に設定された折り畳み式ベビーカーの自立構造である。
【0014】
この構成によれば、折り畳み前は角度が大きく開いていた支持脚部が、ベビーカーを折り畳む動作を行うと左右の後脚部同士の接近に伴って開き角度を小さくする方向に回転する。この回転は長手方向の中間部の交差部において行われ、上端部が後脚部に枢着された支持脚部は、交差部よりも下端側の接地部を下方に突き出すように伸びて、折り畳まれたベビーカーを自立させる姿勢で接地部が接地して、後輪を含めて少なくとも4点で支える。しかも、支持脚部の接地部は、前記後輪よりも前後方向に離れた位置において間隔を隔てた少なくとも2点で接地する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、後輪のほかに左右方向に離れた少なくとも2個の接地部が後輪から前後方向に離れた位置で接地するので、自立させたときの安定性を高めることができる。また、部品点数を抑えることができるので、製造コストの低減も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】折り畳み式ベビーカーを折り畳んで自立させた状態の斜視図。
図2】折り畳み式ベビーカーの折り畳み前の状態の斜視図。
図3】支持脚部の上端部分を示す横断面図と側面図。
図4】支持脚部の上端部分を示す正面図。
図5】他の例に係る支持脚部の上端部分を示す横断面図。
図6】作用状態を示す正面図。
図7】他の例に係る接地部の側面図。
図8】他の例に係る支持脚部の分解状態の正面図。
図9】他の例に係る支持脚部の上端部分を示す横断面図。
図10図9の支持脚部の一部断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、折り畳み式ベビーカー11(以下、「ヘビーカー」という。便宜上、フレームのみを図示している。)を折り畳んで自立させた状態の斜視図であり、図2は折り畳み前のベビーカー11の斜視図である。
【0018】
これらの図に示すようにベビーカー11は、下端に後輪12を備えた左右2本の後脚部13と、下端に前輪14を備えた左右2本の前脚部15を有し、前脚部15を上方に引き起こすと前脚部15と後脚部13がそれぞれ左右方向で互いに接近し、縦に細長いステッキ状に折り畳まれる構造である。そして、この形態で自立可能にするために後脚部13には支持脚部21が回転可能に枢着されている。
【0019】
支持脚部21は折り畳み動作に伴って自動的に下方に突き出す構造であり、ベビーカー11を立てた姿勢で前記後輪12ととともに接地して、細長いベビーカー11を支える。
【0020】
すなわち、前記支持脚部21は、適宜長さの棒状をなす2本の支持脚担体22で構成されている。これら支持脚担体22は長手方向の中間部において互いに交差し、この交差部23が回転可能に連結されて一体となっている。
【0021】
具体的には、支持脚担体22は直線状に延びる丸パイプで構成され、前記交差部23における相対向面には平坦面23aが形成されている。そして、この交差部23がリベット等の枢着軸24によって回転可能に連結される。このため支持脚部21は、全体としてX字形をなし、枢着軸24を中心に相対回転する構造である。
【0022】
前記後脚部13に対しては支持脚担体22の上端部22aが枢着される。枢着は後脚部13に直接行ってもよいが、図3図4に示したような取り付け部材25を介して行うのがよい。各支持脚担体22の下端部は、前記後輪12よりも前後方向に離れた位置でそれぞれ接地する接地部22bである。具体的には例えば、上方に跳ね上げられた前輪14と同程度に離れた位置に接地するように設定するとよい。この接地部22bは丸パイプを長手方向と直交する方向に単に切断した形状に形成されている。
【0023】
前記取り付け部材25は、支持脚部21を後脚部13に対して前後方向に傾けて取付けるためのもので、後脚部13に固定される固定部26と、支持脚担体22の上端部22aを枢着保持する保持部27を有する。前記固定部26は、後脚部13の断面形状に合わせて後脚部13を掴むような形状に形成される。
【0024】
図3図4の例では、後脚部13が前後方向に長い断面略小判形状であるため、固定部26は断面略C字形に形成される。すなわち固定部26は、後脚部13の前後両端面に当接する前面部26aと後面部26bと、後脚部13の内側面に当接する内側面部26cを有する。後脚部13に対しては、前面部26aと後面部26bを貫通するリベット等の固定具28によって一体化される。
【0025】
後脚部13が丸パイプからなる場合には、前記固定部26は、図5に示したように例えば断面円形であるとよく、前記と同様にリベット等の固定部28で回転不可に一体化するとよい。
【0026】
前記保持部27は、固定部26の内側面部26cから内側に向けて突設される2枚の保持片29からなる。これらは支持脚担体22を挟む間隔を隔てて設けられており、各保持片29の面方向が、後脚部13の長手方向から前方斜め下に向くように設けられる。これは、前脚部15を跳ね上げた姿勢に折り畳む上に、後輪12が後脚部13の後側に偏って設けられているからである。保持片29の角度は、前記固定部26の固定位置や接地部22bの所望する接地位置などに応じて適宜に定められるが、例えば30度前後であるとよい。
【0027】
このような保持部27に対して支持脚担体22の上端部22aがリベット等の枢着軸30で回転可能に一体化される。前記保持部27に保持された支持脚担体22はそれぞれ前方内側斜め下に向けて延びて、中間部で交差してX字形を形成する。
【0028】
前記のような取り付け部材25を用いるので、後脚部13自体に特別な加工を施さなくても支持脚部21を後脚部13に対して所望の向きに枢着することが容易に行える。
【0029】
このように構成されたベビーカー11では、折り畳み前の支持脚部21は、図6に仮想線で示したように、左右方向に広がっている左右の後脚部13に引っ張られて左右方向に長い形態になっている。支持脚部21が後脚部13に対して前方斜め下に向けられていることと相俟って、支持脚部21は後輪12に接触せず、走行など使用に際して一切の支障がない状態である。
【0030】
前記ベビーカー11を折り畳むべく前脚部15を上方へ引き起こすと左右の前脚部15と後脚部13がそれぞれ左右方向で互いに接近して、ベビーカー11は折り畳まれる。この折り畳み動作に伴って支持脚部21は、支持脚担体22の上端部22aと交差部23において回転する。この回転により、支持脚部21は縦方向に長い形態に変形し、交差部23とともに下端の接地部22bが下方に向かって突き出て、図6に実線で示したように、間隔が狭まった後輪12とともに接地部22bが接地して、細長いステッキ状の形態に折り畳まれたヘビーカー11を立てた状態に支える。
【0031】
このとき、接地部22bは後輪12よりも前方向に離れた位置で接地するうえに、支持脚部21の2個の接地部22bは左右方向に間隔を隔てて2点で接地する。
【0032】
前記のように支持脚部21は後脚部13に対して斜めに取り付けられているので、接地部22bが接地する位置は、各部の寸法にもよるが、後輪12から前方に比較的はなれた位置となる。
【0033】
このため、支持脚部21による支持状態は安定している。この結果、折り畳んだベビーカー11を例えば電車等に載せた場合でも自立状態を保つことができ、予期しない接触によって簡単に倒れてしまうような事態も回避できるようになる。
【0034】
また、支持脚部21を構成する支持脚担体22は丸パイプで構成されているので、接地部22bは線材を用いて構成した場合に比して強度が高く、特別の加工をせずとも安定した接地状態が得られるものとなる。
【0035】
さらに、前記支持脚担体22は後脚部13に対して枢着されているものの、各支持脚担体22が互いに枢着されているので、3点で支えられ、どのような開き角度のときでも安定した形態になる。このように、従来の自立構造とは異なってガタガタする要素はない。この結果、走行中や折り畳み動作中に雑音が生じる不都合を回避できる。そのうえ、部品点数を少なくできるので、製造コストの低減も可能である。
【0036】
図7は前記支持脚担体22の接地部22bの他の例を示す側面図である。図7(a)に示すようにゴム等からなるすべり止め部材31を取付けてもよい。また図7(b)に示したように、接地部22bがより広い面で接地するように、接地部22bの下端面を傾斜面で形成してもよい。図7(c)は下端部を下に向けて折曲した接地部22bの例を示し、接地時に接地部22bの下端部が垂直に立つようにする。図7(d)は接地部22bを前後に枝分かれさせてそれぞれの支持脚担体22において2点で接地するようにした例である。このような接地部22bを設けることで、1個の後輪を1点と考えたときに、合計6点で接地するようになる。
【0037】
図8は支持脚部21の他の例を示す分解状態の正面図であり、この支持脚部21は、前記取り付け部材25を有する一対の上部材21aと、前記枢着軸24を有する下部材21bとの2種類の部材で構成されている。
【0038】
すなわち、上部材21aは、支持脚担体上部22cと、これを枢着する前記取り付け部材25で構成され、これは後脚部13に対して一体に固定されている。下部材21bは、2本の支持脚担体下部22dで構成され、これらの交差部23は枢着軸24で枢着されてX字状に構成されている。一方の支持脚担体下部22dの上端には、厚み方向に貫通する貫通穴22eが形成され、一方の上部材21aの支持脚担体上部22cの下端には、外周方向に付勢された状態で固定された突起22fが設けられ、下部材21bを上部材21aに嵌め込むと抜け止めがなされる構造である。
【0039】
このように構成された支持脚部21を備えたベビーカー11では、梱包時には下部材21bを上部材21aから分離しておくと、下部材21bの突出がなくなって、コンパクトに箱詰めできる。このため、輸送コストや管理コストが嵩むことを防止できる。支持脚部21が輸送中に不測に損傷してしまうようなことも回避できる。また下部材21bは上部材21aに差し込むだけで結合一体化できるので、作業は容易である。
【0040】
図9図10は支持脚部21の他の例を示している。先の例では、支持脚担体22の上端部22aを枢着する保持部27が固定部26の内側(内側面部26c)、つまり後脚部13の内側に形成されていた。これに対して、図9図10の例では、後脚部13よりも前後方向に迫り出した状態で形成されている。
【0041】
具体的には支持脚部21が傾く方向と同じ前方に向けて、保持部27が突設されている。保持片29等は前記と同様である。但し、図10に示したように、保持部27が固定部26よりも前に迫り出しているので、支持脚担体の22の上端部22aは、保持部27を後脚部13の内側に位置させたときよりも前方に位置することになる。このため、保持片29の角度を先の例の場合よりも小さく設定している。
【0042】
このようにしても支持脚部21が後輪12に接することはなく、荷重を支持するに適した角度を重視して設計ができる。また、支持脚部21の長さを短くすることもできる。
【0043】
この発明の構成と、前記一形態の構成との対応において、
この発明の支持脚担体は、前記支持脚担体22、支持脚担体上部21cと支持脚担体下部21dに対応するも、
この発明は前記の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
【0044】
例えば、支持脚担体は全体的に直線状に形成せずに、湾曲部分を適宜有する形状であってもよい。
【0045】
また、支持脚担体の突出方向は、ベビーカーの形態によっては、前記のように前方ではなく後方であってもよい。
【0046】
さらに、この発明の自立構造は前脚部を上方へ引き起こさずに折り畳むベビーカーに採用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
11…折り畳み式ベビーカー
12…後輪
13…後脚部
21…支持脚部
22…支持脚担体
22a…上端部
22b…接地部
22c…支持脚担体上部
22d…支持脚担体下部
23…交差部
24…枢着軸
25…取り付け部材
30…枢着軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10