特許第5774885号(P5774885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774885
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-73508(P2011-73508)
(22)【出願日】2011年3月29日
(65)【公開番号】特開2012-205740(P2012-205740A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2013年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】佐々 亮
【審査官】 廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−057829(JP,A)
【文献】 特開2012−191966(JP,A)
【文献】 特開2010−273838(JP,A)
【文献】 特開2009−233209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の装飾体本体と当接部とを有し且つ昇降する昇降装飾体と、第2の装飾体本体が動作可能に配置される可動装飾体とを有し、前記可動装飾体に、前記昇降装飾体の前記当接部が当接することで前記昇降装飾体の少なくとも昇降いずれかの動きに伴う力が伝達される入力部を設け、前記可動装飾体は、前記入力部に伝達された力で第2の装飾体本体が動作されるようにし
前記可動装飾体は、第2の装飾体本体を先端部に取り付けるとともに長手方向中間位置で上下方向に揺動自在に軸支されるアームを備え、前記アームの後端部に前記入力部を形成し、当該入力部を前記当接部の下降軌道上に臨ませ、
前記昇降装飾体に上下方向に旋回可能に軸支されてなるレバーを設けてこのレバーの先端部を前記当接部とし、当該レバーの重心を軸支位置よりも後端側に設定し、前記レバーの先端部があらかじめ設定した当接位置より上方への旋回を規制するストッパを設けたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降する役物である昇降装飾体を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機においては、遊技盤の中央部付近に液晶表示器が設けられて、これにより遊技状態に合わせて種々の演出表示が行われている。また、前記の演出表示に関連してさらに演出効果を上げるために、液晶表示器の前面において昇降装飾体(役物)を昇降させる演出を行うものが、例えば特許文献1に記載されるようにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の遊技機は、前記昇降装飾体を動力によって昇降させるものであって、液晶表示装置の演出に関連させて当該昇降装飾体のみを当該動力によって昇降させるだけであった。このため、遊技盤における演出が比較的単純であるため、遊技者において短期間のうちに視覚による飽きがくるという不具合があった。一方、前記の飽きを防止して演出効果を増長させるために、さらなる移動装飾体を別に遊技盤の前面に付加すると、また別にその装飾体のための駆動源を設ける必要があるから、部品とコストが増大するという不具合がある。
そこで、この発明では、駆動源を増加させることなく、動作する装飾体を増加させて、部品数とコストを抑えながら遊技盤における演出効果を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第一の発明に係る遊技機は、第1の装飾体本体と当接部とを有し且つ昇降する昇降装飾体と、第2の装飾体本体が動作可能に配置される可動装飾体とを有し、前記可動装飾体に、前記昇降装飾体の前記当接部が当接することで前記昇降装飾体の少なくとも昇降いずれかの動きに伴う力が伝達される入力部を設け、前記可動装飾体は、前記入力部に伝達された力で第2の装飾体本体が動作されるようにしたことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、第1の装飾体本体が昇降すると、この昇降のうちいずれか一方の動き又は両方の動きが当接部から前記可動装飾体の入力部に入力されて、この力により第2の装飾体本体が動作する。このように第2の装飾体本体が動作するための動力は第1の装飾体本体の昇降から得ているため、可動装飾体のためにのみ設けられた動力源は不要となる。
【0007】
第二の発明に係る遊技機は、前記第一の発明において、前記可動装飾体は、第2の装飾体本体を先端部に取り付けるとともに長手方向中間位置で上下方向に揺動自在に軸支されるアームを備え、前記アームの後端部に前記入力部を形成し、当該入力部を前記当接部の下降軌道上に臨ませたことを特徴とする。
これによれば、第1の装飾体本体の下降により当接部が下降して前記入力部が押し下げられ、これによりアームが揺動して自重による下降状態にあった第2の装飾体本体が押し上げられる。昇降装飾体が下方に通過後は、前記入力部への押し下げ力から開放されるから、第2の装飾体本体は自重により下降する。
【0008】
第三の発明に係る遊技機は、第二の発明において、前記昇降装飾体に上下方向に旋回可能に軸支されてなるレバーを設けてこのレバーの先端部を前記当接部とし、当該レバーの重心を軸支位置よりも後端側に設定し、前記レバーの先端部があらかじめ設定した当接位置より上方への旋回を規制するストッパを設けたことを特徴とする。
当接部であるレバーの先端が前記入力部に接する位置から上がる方向には旋回できないように取付けられていることで、レバーが下降時にのみアームの入力部を押し下げるが、上昇時には入力部に当たった先端が下がる方向に旋回して入力部に入力できないことになる。このため、昇降装飾体の下降時にのみ可動装飾体が動作することになる。
【発明の効果】
【0009】
昇降装飾体の動きにより他の可動装飾体も動作することになるから、駆動源を増加させることなく移動する装飾体を増加させて、部品数とコストを抑えながら演出効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一の実施形態を示すものであって、セット板に組み付けた昇降装飾体が上死点にある状態の斜視図。
図2図1のセット板に組み付けた昇降装飾体が下死点にある状態の斜視図。
図3図1の昇降装飾体とガイドレールとラックとの関係を示す斜視図。
図4図1のセット板に昇降装飾体と固定装飾体と可動装飾体とを組み付けた状態の斜視図。
図5図4の状態のセット板に遊技盤を取り付けた状態の正面図。
図6図5の斜視図。
図7図1の昇降装飾体の背面からの斜視図
図8図1の昇降装飾体のケーシングの背面からの分解斜視図。
図9】(a)は図4の右側の固定装飾体と可動装飾体を示す背面からの斜視図。(b)は同正面からの斜視図。
図10】(a)は図4の左側の固定装飾体と可動装飾体を示す背面からの斜視図。(b)は同正面からの斜視図。
図11図4の右側の可動装飾体の背面からの分解斜視図。
図12】(a)は図4の右側の可動装飾体が自重により下降した非動作状態にある側面図。(b)は昇降部品の下降により図4の同可動装飾体が上昇した動作状態にある側面図。
図13】(a)は図12(a)の要部拡大図。(b)は図12(b)の要部拡大図。(c)は(a)の要部をさらに拡大した断面部分図。
図14】(a)は図13(a)における昇降部品が下降状態から上昇を開始した状態にある側面図。(b)は(a)の昇降部品が上昇している状態の側面図。
図15】第二の実施形態を示す側面図。
図16】第三の実施形態を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一の実施形態の構成)
図1図14は第一の実施形態であり、本発明をパチンコ機に実施した形態を示している。図1、2、4において符号2で示される部材はセット板である。図1、2は、セット板2の左右部分にガイドレール4が上下方向に延びて相互に平行に設置され、これらガイドレール4に沿ってそれぞれラック6が配置されセット板2に固定された状態を示している。これら左右のガイドレール4間には昇降装飾体8が架設されていて、昇降装飾体8はガイドレール4に沿って昇降可能になっている。昇降装飾体8は、中央の円形部分8aと、これが回転可能に支持されていて左右に伸びる梁8cとからなる第1の装飾体本体8Aを有し、図1の状態ではガイドレール4上で上死点にあり、図2の状態では同下死点にある。昇降装飾体8の前記上死点においては、図5、6に示した別の装飾体11が昇降装飾体8の前面に配置された状態になっていて、この位置にあるときには昇降装飾体8はその別の装飾体11の後ろに隠れているようになっている。図3には昇降装飾体8とガイドレール4とラック6との関係が示されているが、これらの結合は後述のようになされている。
【0012】
図4に示すように、セット板2には、左右のガイドレール4とラック6の前面に、左側では固定装飾体10が固定され、右側では固定装飾体12が固定されている。一方の固定装飾体10には、可動装飾体14が動作可能に支持され、また他方の固定装飾体12には、可動装飾体16がこれも動作可能に支持されている。これら固定装飾体10、12と昇降装飾体8の前側には、図5、6に示すように中央が大きく開けられた遊技盤9が取り付けられている。また遊技盤9は透明に近い透光性ある樹脂板によりできていて、これを透して固定装飾体10、12及び可動装飾体14、16が遊技者から見えるようになっている。図5、6では、遊技盤9に、前記の装飾体11とは別の装飾体13も付加されている。またセット板2の図1、2、4に表れた中央の四角の窓状をした大孔2aには後ろから図5、6に示した液晶表示装置15が挿入されて取り付けられ、前記遊技盤9の中央から前記液晶表示装置15の画面が見えるようになっている。さらに、前記昇降装飾体8の図2に示す下死点が前記液晶表示装置15の画面の前面になるようにしてある。
【0013】
前記遊技盤9は、セット板2に取り付けられた左右の前記ガイドレール4がなす面と平行に取り付けられ、いずれの面も大体において垂直面をなしている。このため、昇降装飾体8はガイドレール4に沿って昇降すると同時に遊技盤9に沿って昇降するものである。
図7は昇降装飾体8の背面からの斜視図であり、ここにはケーシング8bが示されている。このケーシング8bは、第1の装飾体本体8Aの円形部分8aと梁8cの骨格をなすもので、これらとともに第1の装飾体本体8Aの一部をなす。また、このケーシング8bに装着されたモータ18により駆動される歯車20と、同ケーシング8bに横架された回転軸22に固定される歯車24が噛み合い、また同回転軸22の両端に固定される歯車(ピニオン)26が前記ラック6に噛み合っている。また第1の装飾体本体8Aの梁8cの左右端部には上下に貫通する孔27が設けられていて、これらに前記ガイドレール4が通されるようになっている。
【0014】
また、昇降装飾体8を構成する第1の装飾体本体8Aの一部をなすケーシング8b内部には図示しない別のモータが設置されていて、これが図7に示された歯車28、30と、歯車30に固定された回転軸32を介して第1の装飾体本体8Aの前記円形部分8aを回転させるようになっている。円形部分8a、梁8cからなる第1の装飾体本体8Aや、詳細には後述する固定装飾体10、12や、可動装飾体14、16には、遊技機がテーマとする歴史上の人物や物語の主人公などに関連する図柄などが表示されてそれぞれの役物を構成している。
【0015】
昇降装飾体8をなす第1の装飾体本体8Aの梁8cには、先端部においてこの発明の当接部を構成するレバー34が、その先端部を前面に突出させて枢着されている。図8は第1の装飾体本体8Aのケーシング8bを分解して主要部のみを図示した斜視図であり、前記レバー34が、左右方向を向く水平な軸36により前記梁8cをなす部分に上下方向に旋回可能に枢着されている。レバー34の基端部側は先端部側より重くなっているが、その基端部側はその下側にある前記ピニオン26のボス26aの上側に乗っている。したがってレバー34は先端が下降する方向には旋回できるが、逆に先端が上昇する方向には基端部側がピニオン26のボス26aに当たっているため旋回できないようになっている。よって、ボス26aがレバー34先端を上昇させる方向へのストッパをなす。かかるレバー34は、図2、3、7に示されるように、第1の装飾体本体8Aにおける梁8cの左右において前記ピニオン26の内側にそれぞれ設けられている。
【0016】
図9、10、11には、固定装飾体10、12と、可動装飾体14、16が図示されている。固定装飾体10、12は前記したようにセット板2に固定され、これらには可動装飾体14、16が個別に動作可能に支持され、以て可動装飾体14、16は固定装飾体10、12を介してセット板2に支持されている。図9には固定装飾体12と可動装飾体16とが示され、図10には固定装飾体10と可動装飾体14とが示されている。
【0017】
2つの可動装飾体14、16は形状が異なるが、それぞれが固定装飾体10、12に動作可能に支持される構造は共通しているので、ここでは一方の装飾体16が一方の固定装飾体12に支持される状態について以下に説明する。
可動装飾体16は、提灯の一部の形状をした外殻16aと、外殻16aに固着されてその裏面を塞ぐ裏蓋16bとからなる第2の装飾体本体16Aを有する。この裏蓋16bには、図11〜14に示されるアーム38の先端が枢着される。特に、図13(c)にはアーム38を拡大して示しているが、第2の装飾体本体16Aの裏蓋16bの内側に一体成形されたブラケット16cに、当該裏蓋16bのスリットから挿入されたアーム38の先端が水平軸16dにより枢着され、以てアーム38先端に第2の装飾体本体16Aが枢着されている。
【0018】
アーム38は図示のように屈曲していて、その長手方向の中間部が固定装飾体12のスリットを経由して、その後端が固定装飾体12の後側に延びている。このアーム38の長手方向における中間部は水平軸12aにより固定装飾体12(図13(a)(b),図14(a)(b)においては模式的に図示されている)に枢着されていて、第2の装飾体本体16Aは上下2箇所において上下の各前記アーム38により前記のように固定装飾体12に平行に支持されている。よって、上下の各アーム38の前半の部分、すなわち水平軸16dと水平軸12aの間の部分により構成される平行リンク機構によって、第2の装飾体本体16Aは固定装飾体12に平行を保ったまま上下に動作可能に支持されている。しかも、この実施形態では第2の装飾体本体16Aは自重によって下降状態にある(図12(a),図13(a))。
【0019】
前記アーム38の後端は前記第2の装飾体本体16Aを動作させるための入力部38aをなす。この入力部38aは、前記昇降装飾体8の昇降時における前記レバー34先端の軌道に臨んで配置されて、前記第1の装飾体本体8Aと一体に下降するレバー34の先端が前記アーム38の入力部38aに当たってこれを押し下げるように構成される。よってレバー34の先端が昇降装飾体8の当接部をなす。
【0020】
(第一の実施形態の動作)
かかる実施形態において、スーパーリーチなどの特定の遊技状態が発生すると、図示しない演出制御装置から役物制御装置に制御信号が出力されて上死点にある昇降装飾体8のモータ18が回転する。これにより歯車20、24と回転軸22が回転して、回転軸22の両端のピニオン26を回転させる。すると、ピニオン26とこれに噛み合うラック6との作用により昇降装飾体8がガイドレール4に案内され且つ遊技盤9に沿って下降する。
【0021】
昇降装飾体8は、上死点にあるときには、その前面にあって前記セット板2に固定されている図示しない装飾部材の後ろに隠れていたが、前記の下降が開始されると、その装飾部材から下に露出される。このとき、第1の装飾体本体8Aのケーシング8b内の図示しないモータが回転して、歯車28、30と回転軸32を介して円形部分8aを回転させ、円形部分8aは内在する発光体により照明される。よって、昇降装飾体8は下降が開始されてから、円形部分8aが回転され且つ照明された前記の状態で遊技者の視界に表れることになる。勿論、これに伴い音響効果も変化したものとなる。
【0022】
昇降装飾体8が遊技盤9に沿って下降を続け、これに設けられたレバー34が可動装飾体14、16に至ると、可動装飾体14、16は次のように動作する。ここでは一方の可動装飾体16について、特に図12、13に基づいて説明するが他方の可動装飾体14も同様である。まずレバー34の先端である当接部が可動装飾体16の上側のアーム38に至り(図12(a),図13(a))、前記アーム38の後端部にある入力部38aを押し下げる。ここで、レバー34は軸36により昇降装飾体8の梁8cをなすケーシング8bに旋回自在に枢着されているが、レバー34後端の下側が前記ピニオン26のボス26aの上側に当たっているためにレバー34は前端が上方向に旋回することができない。このため、レバー34の先端の当接部の当接部がアーム38の入力部38aを押し下げつつ下降する(図12(b),図13(b))。
【0023】
これにより、アーム38は入力部38aが下がり、つまり昇降装飾体8の下降する力がアーム38に入力されて、固定装飾体12の水平軸12aを中心に図12、13において半時計回りに旋回して第2の装飾体本体16Aを押し上げる。ここで、第2の装飾体本体16Aは自重による下降状態から少しの距離だけ上昇することになる。このとき、第2の装飾体本体16Aは上下のアーム38により固定装飾体12に支持されているから、2本のアーム38による平行リンク運動をして、垂直ないしこれに近い角度にある固定装飾体12に対して平行状態を維持しつつ前記上昇をする。
【0024】
続いて昇降装飾体8に伴ってその一部をなすレバー34がさらに下降すると、レバー34先端はアーム38の入力部38aから離れるから、第2の装飾体本体16Aを押し上げる前記の力から開放されて、第2の装飾体本体16Aは自重により前記とは逆に平行リンク運動を伴いながら下降して、元の位置に復帰する。このように、可動装飾体16の運動は、上昇はレバー34により実行されるからレバー34の動きに比例した速度で上昇する一方、下降は自重による落下により実行されるから、上昇と下降の速度に変化をもたせることができる。よって、第2の装飾体本体16Aを緩い速度で上昇させ、早い速度で下降させるなどの演出を実現することができる。
レバー34がさらに降下すると、次に下のアーム38に同様に当たって第2の装飾体本体16Aを再度可動することができるし、レバー34は上のアーム38にのみ当たって、その後に上昇を開始してもよい。
【0025】
次に、昇降装飾体8の上昇時について説明する。このときは図7に示したモータ18を逆転させるものとし、従ってピニオン26も逆転して昇降装飾体8全体が上昇に転じる。このときは円形部分8aの回転やその照明、さらには音響を停止させてもよいし継続させても構わない。そこで、図14(a)に示すようにレバー34が上昇を開始して可動装飾体16の一部をなすアーム38に達すると、同図(b)に示すようにアーム38後端の入力部38aに接した後のレバー34は先端が入力部38aに押し下げられて旋回する。そこで、アーム38にこれを旋回させるための力を伝えることがなく、そのまま上昇する。このアーム38を通過した後のレバー34は、自らの前後重量のバランスにより先端が上昇して後端がピニオン26のボス26aに接した状態で第1の装飾体本体8Aと一体に上昇し、上死点に至り停止する。第1の装飾体本体8Aの下降時にレバー34が下のアーム38の下側まで下降したときには、第1の装飾体本体8Aの上昇時に、レバー34は下のアーム38と上のアーム38の両方を前記のように通過することは勿論である。
【0026】
このように、昇降装飾体8の下降により、その下降時の力を利用して可動装飾体16動作するため、昇降装飾体8を昇降させる動力により昇降装飾体8と可動装飾体16とを動作させることができる。またこの動作は、遊技盤9の中央の広く開けられた部分と、透明に近い透光性ある遊技盤9自体を透して、遊技者の視覚に訴えることになる。
【0027】
この実施形態においては、昇降装飾体8では、第1の装飾体本体8Aと一体に昇降する当接部としてのレバー34を前記のように旋回させて、その下降時にのみ可動装飾体16の第2の装飾体本体16Aを動作させるようにしたが、レバー34を固定して昇降いずれにおいても第2の装飾体本体16Aを動作させるようにしてもよいし、レバー34の上昇時にのみそれを動作させるようにしてもよい。これらの場合には、レバー34からの入力により第2の装飾体本体16Aが下降するように、その第2の装飾体本体16Aを支持しておくものとする。
また、前記実施形態においては、第2の装飾体本体16Aは自重によって下降状態に付勢されるようにしたので、これらを或る位置に静止ないし付勢させるための格別の部品や構造を採用する必要がない。
【0028】
(第二の実施形態の構成と動作)
図15は、固定装飾体12にアーム38により上下に移動可能に支持された第2の装飾体本体16Aを、それよりも上において固定装飾体12に一端を取り付けた引張ばね40によって引っ張り上げることにより。上昇状態に付勢した実施形態である。ここでは、第2の装飾体本体16Aを常時は上昇状態におき、昇降装飾体8の下降時には第2の装飾体本体16Aを動作させず、昇降装飾体8の上昇時に第2の装飾体本体16Aを動作させるもので、前記第一の実施形態とは第2の装飾体本体16Aの動作のタイミングと方向が逆になっている。
【0029】
そのために、昇降装飾体8の下降時に、当接部であるレバー34はアーム38に当たって軸36を中心にして先端が上昇する方向には旋回するが、昇降装飾体8の上昇時に、レバー34先端がアーム38に当たっても、レバー34先端は下降する方向には旋回しないようになっている。具体的には、レバー34は先端よりも後端側が軽くなっていて、後端の上側にレバー34の前下がりの旋回を防止するストッパとなる邪魔板42を配し、これを昇降装飾体8のケーシング8bに固定しておき、図12、13、14に示したピニオン26のボス26aはレバー34に当たらないようにしておく。他の構成は第一の実施形態と同一である。
これによって、昇降装飾体8の上昇通過時にのみ、引張ばね40の付勢に抗して第2の装飾体本体16Aを降下動作させ、昇降装飾体8の通過後には引張ばね40によって再度上昇させるものである。
【0030】
(第三の実施形態の構成と動作)
図16は、固定装飾体12に対して可動装飾体16の第2の装飾体本体16Aを水平方向に遠近移動可能に支持したものである。第2の装飾体本体16Aの外殻16aに裏蓋16bが固定され、この裏蓋16bの内側に固着されたブラケット16cには水平な進退ロッド44の一端を固着し、この進退ロッド44の他端を裏蓋16bと固定装飾体12を貫通させて昇降装飾体8に向けて突出させてある。
【0031】
進退ロッド44の中途にはフランジ44aを固着して固定装飾体12における第2の装飾体本体16A側の面に当て、その進退ロッド44の突出端に拡径された入力部44bを設けてある。この入力部44bと固定装飾体12との間に、進退ロッド44に緩く巻き付けた圧縮ばね46を介在させて、第2の装飾体本体16Aを常時は昇降装飾体8側に近づける方向に付勢しつつ固定装飾体12に支持させている。
【0032】
進退ロッド44の入力部44bは表面を半球面としておき、これをカム48の昇降軌道に臨ませる。カム48は、昇降装飾体8をなす第1の装飾体本体8Aの梁8cに固定されてこれと一体に昇降する当接部をなす。これにより、進退ロッド44を押して第2の装飾体本体16Aを固定装飾体12から前方に離れる方向に移動させ、カム48の通過後には圧縮ばね46により復元させるようになっている。
【0033】
このようにして、昇降装飾体8の昇降時にカム48と圧縮ばね46とにより、可動装飾体16の第2の装飾体本体16Aが遊技者の方に進退するし、この実施形態においてはカム48の往復いずれのタイミングにおいても第2の装飾体本体16Aの動作をさせるようになっている。なお、進退ロッド44の入力部44bにローラーを取り付けて、これをカム48に転がり接触させることも可能である。他に、ここで説明しない部分の構成と動作は前記第一の実施形態と同一である。
【0034】
以上の各実施形態においては、昇降装飾体8が遊技盤の中央を昇降するようにしてあるが、その昇降位置は左右に片寄っていてもよい。また、可動装飾体14、16は固定装飾体10、12を介してセット板2に取り付けられたものとしたが、これら可動装飾体14、16を直接又は他の部材を介してセット板2に取り付けることも可能である。さらに、上記の各実施形態は遊技機としてパチンコ機を例示したが、他のアミューズメントゲーム機等の遊技機にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
2 セット板
4 ガイドレール
6 ラック
8 昇降装飾体
8A 第1の装飾体本体
8a 円形部分
8b ケーシング
8c 梁
9 遊技盤
10,12 固定装飾体
14,16 可動装飾体
15 液晶表示装置
16A 第2の装飾体本体
16a 外殻
16b 裏蓋
16c ブラケット
18 モータ
26 歯車(ピニオン)
26a ボス(ストッパ)
34 レバー(当接部)
38 アーム
38a 入力部
40 引張ばね
42 邪魔板(ストッパ)
44 進退ロッド
44a フランジ
44b 入力部
46 圧縮ばね
48 カム(当接部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図16