(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、荷重の支持機能、接地面からの衝撃吸収能、および動力等の伝達能(加速、停止、方向転換)を有し、このため、多くの車両、特に自転車、オートバイ、自動車、トラックに採用されている。
【0003】
特に、これらの能力は自動車、その他のモーター車両の発展に大きく貢献した。更に、空気入りタイヤの衝撃吸収能力は、医療機器や電子機器の運搬用カート、その他の用途でも有用である。
【0004】
従来の非空気圧タイヤとしては、例えばソリッドタイヤ、スプリングタイヤ、クッションタイヤ等が存在するが、空気入りタイヤの優れた性能を有していない。例えば、ソリッドタイヤおよびクッションタイヤは、接地部分の圧縮によって荷重を支持するが、この種のタイヤは重くて、堅く、空気入りタイヤのような衝撃吸収能力はない。また、非空気圧タイヤでは、弾性を高めてクッション性を改善することも可能であるが、空気入りタイヤが有するような荷重支持能または耐久性が悪くなるという問題がある。
【0005】
そこで、下記の特許文献1には、空気入りタイヤと同様な動作特性を有する非空気圧タイヤを開発する目的で、タイヤに加わる荷重を支持する補強された環状バンドと、この補強された環状バンドとホイールまたはハブとの間で張力によって荷重力を伝達する複数のスポークとを有する非空気圧タイヤが提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の非空気圧タイヤは、周方向に隣り合うスポーク間に間隔が空いていることにより、そのスポーク間の領域で環状バンドの剛性が低くなるため、接地の際に環状バンドがスポーク間でバックリングを起こし、振動・騒音やトレッドの異常磨耗のほか、破壊に至るという問題がある。
【0007】
このようなスポーク間での接地部のバックリングを防止するために、下記の特許文献2には、環状の外周部材と内周部材との間を径方向に連結するフィン(スポークに相当)を周方向に間隔をあけて間欠的に配列したスポーク構造体を、タイヤ幅方向に複数の帯域に分割した単位構造体にすると共に、これら単位構造体間で前記フィンの位置を周方向に互いにずらした非空気圧タイヤが記載されている。この非空気圧タイヤは、互いに周方向にずれたフィンが、隣の帯域におけるフィン間の外周部材の剛性を向上させることにより、外周部材のバックリングを抑制するものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は非空気圧タイヤの一例を示す正面図であり、
図2は非空気圧タイヤの軸芯を含むタイヤ子午線断面図である。ここで、Oは軸芯を、H1はタイヤ断面高さを、それぞれ示している。
【0019】
本発明の非空気圧タイヤTは、車両からの荷重を支持する支持構造体SSを備えるものである。本発明の非空気圧タイヤTは、このような支持構造体SSを備えるものであればよく、その支持構造体SSの外側(外周側)や内側(内周側)に、トレッドに相当する部材、補強層、車軸やリムとの適合用部材などを備えていてもよい。
【0020】
本発明の非空気圧タイヤTは、
図1の正面図に示すように、支持構造体SSが、内側環状部1と、その外側に同心円状に設けられた中間環状部2と、その外側に同心円状に設けられた外側環状部3と、内側環状部1と中間環状部2とを連結する複数の内側連結部4と、外側環状部3と中間環状部2とを連結する複数の外側連結部5とを備えている。
【0021】
また、支持構造体SSは、タイヤ幅方向WDに複数の帯域に分割されている。本実施形態では、3つの帯域S1,S2,S3に分割されており、タイヤ幅方向WDの両外側に位置する帯域を最外側帯域S1,S3、タイヤ幅方向WDの中央に位置する帯域を内側帯域S2と称する。各帯域の幅は、タイヤ幅方向WDに等しくする必要はなく、それぞれ異ならせてもよい。ここでは、タイヤ幅方向WDに3つの帯域に分割されている例を示しているが、この分割数は3つに限られない。
【0022】
支持構造体SSのタイヤ幅方向WDの幅は、用途、車軸の長さ等に応じて適宜決定されるが、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、100〜300mmが好ましく、130〜250mmがより好ましい。
【0023】
内側環状部1は、ユニフォミティを向上させる観点から、厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。また、内側環状部1の内周面には、車軸やリムとの装着のために、嵌合性を保持するための凹凸等を設けるのが好ましい。
【0024】
内側環状部1の厚みは、内側連結部4に力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さH1の2〜7%が好ましく、3〜6%がより好ましい。
【0025】
内側環状部1の内径d1及び外径D1は、タイヤ幅方向WDに一定であり、また、すべての帯域で同じとなっている。内側環状部1の内径d1は、非空気圧タイヤTを装着するリムや車軸の寸法などに併せて適宜決定されるが、本発明では中間環状部2を備えるために、内側環状部1の内径d1を従来より大幅に小さくすることが可能である。但し、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、250〜500mmが好ましく、330〜440mmがより好ましい。
【0026】
内側環状部1のタイヤ幅方向WDの全幅は、用途、車軸の長さ等に応じて適宜決定されるが、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、100〜300mmが好ましく、130〜250mmがより好ましい。
【0027】
内側環状部1の引張モジュラスは、内側連結部4に力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、装着性を図る観点から、5〜180000MPaが好ましく、7〜50000MPaがより好ましい。なお、本発明における引張モジュラスは、JIS K7312に準じて引張試験を行い、10%伸び時の引張応力の値である。
【0028】
本発明における支持構造体SSは、弾性材料で成形されるが、支持構造体SSを製造する際に、一体成形が可能となる観点から、内側環状部1、中間環状部2、外側環状部3、内側連結部4、及び外側連結部5は、補強構造を除いて基本的に同じ材質とすることが好ましい。
【0029】
本発明における弾性材料とは、JIS K7312に準じて引張試験を行い、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが、100MPa以下のものを指す。本発明の弾性材料としては、十分な耐久性を得ながら、適度な剛性を付与する観点から、好ましくは引張モジュラスが5〜100MPaであり、より好ましくは7〜50MPaである。母材として用いられる弾性材料としては、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂が挙げられる。
【0030】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等が例示される。架橋ゴム材料を構成するゴム材料としては、天然ゴムの他、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(水添NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが例示される。これらのゴム材料は必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0031】
その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
【0032】
上記の弾性材料のうち、成形・加工性やコストの観点から、好ましくは、ポリウレタン樹脂が用いられる。なお、弾性材料としては、発泡材料を使用してもよく、上記の熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を発泡させたもの使用可能である。
【0033】
弾性材料で一体成形された支持構造体SSは、内側環状部1、中間環状部2、外側環状部3、内側連結部4、及び外側連結部5が、補強繊維により補強されていることが好ましい。
【0034】
補強繊維としては、長繊維、短繊維、織布、不織布などの補強繊維が挙げられるが、長繊維を使用する形態として、タイヤ幅方向に配列される繊維とタイヤ周方向に配列される繊維とから構成されるネット状繊維集合体を使用するのが好ましい。
【0035】
補強繊維の種類としては、例えば、レーヨンコード、ナイロン−6,6等のポリアミドコード、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維コード、カーボンファイバー、スチールコード等が挙げられる。
【0036】
本発明では、補強繊維を用いる補強の他、粒状フィラーによる補強や、金属リング等による補強を行うことが可能である。粒状フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、アルミナ等のセラミックス、その他の無機フィラーなどが挙げられる。
【0037】
中間環状部2は、内側環状部1の外側に同心円状に設けられる。本発明の中間環状部2は、帯域ごとに分割されており、両外側帯域S1,S3における中間環状部2をそれぞれ中間環状部21,23、内側帯域S2における中間環状部2を中間環状部22とする(以下、各中間環状部を識別する必要のないときは中間環状部2と表記する)。
【0038】
中間環状部21,22,23は、ユニフォミティを向上させる観点から、それぞれ厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。ただし、中間環状部21,22,23の形状は、円筒形状に限られず、多角形筒状などでもよい。
【0039】
中間環状部2の厚みは、内側連結部4と外側連結部5とを十分補強しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さH1の3〜10%が好ましく、4〜9%がより好ましい。
【0040】
中間環状部2の内径は、内側環状部1の内径d1を超えて、外側環状部3の内径d3未満となる。但し、中間環状部2の内径としては、内側連結部4と外側連結部5との補強効果を向上させる観点から、外側環状部3の内径d3から内側環状部1の内径d1を差し引いた値の20〜80%の値を、内側環状部1の内径d1に加えた内径とすることが好ましく、30〜60%の値を、内側環状部1の内径d1に加えた内径とすることがより好ましい。
【0041】
内側帯域S2における中間環状部22の内径及び外径は、タイヤ幅方向WDに一定である。また、最外側帯域S1,S3における中間環状部21,23の内径及び外径も、タイヤ幅方向WDに一定である。
【0042】
本発明では、最外側帯域S1における中間環状部21の最大外径D21
max、及び最外側帯域S3における中間環状部23の最大外径D23
maxは、内側帯域S2における中間環状部22の最大外径D22
maxよりも大きくなっている。なお、本実施形態では、最外側帯域S1,S3の外径がタイヤ幅方向WDに一定であるため、最外側帯域S1,S3内のいずれの位置における外径も最大外径D21
max、D23
maxに該当する。同様に、内側帯域S2の外径がタイヤ幅方向WDに一定であるため、内側帯域S2内のいずれの箇所の外径も最大外径D22
maxに該当する。
【0043】
中間環状部21,22,23を合わせたタイヤ幅方向WDの幅は、用途等に応じて適宜決定されるが、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、100〜300mmが好ましく、130〜250mmがより好ましい。
【0044】
中間環状部2の引張モジュラスは、内側連結部4と外側連結部5とを十分補強して、耐久性の向上、負荷能力の向上を図る観点から、8000〜180000MPaが好ましく、10000〜50000MPaがより好ましい。
【0045】
中間環状部2の引張モジュラスは、内側環状部1のそれより高いことが好ましいため、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。
【0046】
外側環状部3の形状は、ユニフォミティを向上させる観点から、厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。外側環状部3の厚みは、外側連結部5からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さH1の2〜7%が好ましく、2〜5%がより好ましい。
【0047】
外側環状部3の内径d3及び外径D3は、タイヤ幅方向WDに一定であり、また、すべての帯域で同じとなっている。外側環状部3の内径d3は、その用途等応じて適宜決定されるが、本発明では中間環状部2を備えるために、外側環状部3の内径d3を従来より大きくすることが可能である。但し、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、420〜750mmが好ましく、480〜680mmがより好ましい。
【0048】
外側環状部3のタイヤ幅方向WDの全幅は、用途等に応じて適宜決定されるが、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、100〜300mmが好ましく、130〜250mmがより好ましい。
【0049】
外側環状部3の引張モジュラスは、
図1に示すように外側環状部3の外周に補強層6が設けられている場合には、内側環状部1と同程度に設定できる。このような補強層6を設けない場合には、外側連結部5からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、5〜180000MPaが好ましく、7〜50000MPaがより好ましい。
【0050】
外側環状部3の引張モジュラスを高める場合、弾性材料を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。外側環状部3を補強繊維により補強することで、外側環状部3とベルト層などとの接着も十分となる。
【0051】
内側連結部4は、内側環状部1と中間環状部2とを連結するものであり、両者の間に適当な間隔を開けるなどして、周方向に各々が独立するように複数設けられる。内側連結部4は、ユニフォミティを向上させる観点から、一定の間隔を置いて設けることが好ましい。
【0052】
内側連結部4を全周に渡って設ける際の数(タイヤ幅方向WDに複数設ける場合は1個として数える)としては、車両からの荷重を十分支持しつつ、軽量化、動力伝達の向上、耐久性の向上を図る観点から、10〜80個が好ましく、40〜60個がより好ましい。
図1には、内側連結部4を40個設けた例を示す。
【0053】
個々の内側連結部4の形状としては、板状体、柱状体などが挙げられるが、本実施形態では板状体の例を示す。これらの内側連結部4は、正面視断面において、タイヤ径方向又はタイヤ径方向から傾斜した方向に延びている。本発明では、ブレークポイントを高くして剛性変動を生じにくくすると共に、耐久性を向上させる観点から、正面視断面において、内側連結部4の延設方向が、タイヤ径方向±30°以内が好ましく、タイヤ径方向±15°以内がより好ましい。
図1では、内側連結部4が、タイヤ径方向から角度θだけ傾斜した方向に延設されている例を示す。また、この例では、隣り合う内側連結部4は、タイヤ径方向に対して互いに反対方向に角度θだけ傾斜している。
【0054】
内側連結部4の厚みは、内側環状部1からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、横剛性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さH1の4〜12%が好ましく、6〜10%がより好ましい。
【0055】
内側連結部4の引張モジュラスは、内側環状部1からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、横剛性の向上を図る観点から、5〜50MPaが好ましく、7〜20MPaがより好ましい。
【0056】
内側連結部4の引張モジュラスを高める場合、弾性材料を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。
【0057】
外側連結部5は、外側環状部3と中間環状部2とを連結するものであり、両者の間に適当な間隔を開けるなどして、周方向に各々が独立するように複数設けられる。外側連結部5は、ユニフォミティを向上させる観点から、一定の間隔を置いて設けることが好ましい。
【0058】
なお、外側連結部5と内側連結部4とは全周の同じ位置に設けてもよく、異なる位置に設けてもよい。すなわち、外側連結部5と内側連結部4は、必ずしも
図1のように同じ方向に連続するように延設する必要はない。
【0059】
外側連結部5を全周に渡って設ける際の数(タイヤ幅方向WDに複数設ける場合は1個として数える)としては、車両からの荷重を十分支持しつつ、軽量化、動力伝達の向上、耐久性の向上を図る観点から、10〜80個が好ましく、40〜60個がより好ましい。
図1には、外側連結部5を内側連結部4と同じく40個設けた例を示す。
【0060】
個々の外側連結部5の形状としては、板状体、柱状体などが挙げられるが、本実施形態では板状体の例を示す。これらの外側連結部5は、正面視断面において、タイヤ径方向又はタイヤ径方向から傾斜した方向に延びている。本発明では、ブレークポイントを高くして剛性変動を生じにくくすると共に、耐久性を向上させる観点から、正面視断面において、外側連結部5の延設方向が、タイヤ径方向±30°以内が好ましく、タイヤ径方向±15°以内がより好ましい。
図1では、外側連結部5が、タイヤ径方向から傾斜した方向に延設されている例を示す。また、この例では、隣り合う外側連結部5は、タイヤ径方向に対して互いに反対方向に角度θだけ傾斜している。
【0061】
外側連結部5の厚みは、内側環状部1からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、横剛性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さH1の4〜12%が好ましく、6〜10%がより好ましい。
【0062】
外側連結部5の引張モジュラスは、内側環状部1からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、横剛性の向上を図る観点から、5〜50MPaが好ましく、7〜20MPaがより好ましい。
【0063】
外側連結部5の引張モジュラスを高める場合、弾性材料を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。
【0064】
本実施形態では、
図1に示すように、支持構造体SSの外側環状部3の外側に、その外側環状部3の曲げ変形を補強する補強層6が設けられている例を示す。また、本実施形態では、
図1に示すように、補強層6の更に外側にトレッド層7が設けられている例を示す。補強層6、トレッド層7としては、従来の空気入りタイヤのベルト層と同様のものを設けることが可能である。また、トレッドパターンとして、従来の空気入りタイヤと同様のパターンを設けることが可能である。
【0065】
[他の実施形態]
(1)本発明の非空気圧タイヤTでは、最外側帯域S1,S3における中間環状部2の外径は、タイヤ幅方向WD外側に向かって大きくなっていることが好ましい。具体的には、
図3Aに示すように、最外側帯域S1における中間環状部21の外径は、最小外径D21
minから最大外径D21
maxとなるようにタイヤ幅方向WD外側に向かって大きくなっている。同様に、最外側帯域S3における中間環状部23の外径は、最小外径D23
minから最大外径D23
maxとなるようにタイヤ幅方向WD外側に向かって大きくなっている。すなわち、中間環状部21と中間環状部23は、タイヤ幅方向WD外側に向かって拡径する円筒形状となっている。この場合にも、最外側帯域S1における中間環状部21の最大外径D21
max、及び最外側帯域S3における中間環状部23の最大外径D23
maxは、内側帯域S2における中間環状部22の最大外径D22
maxよりも大きくなっている。
【0066】
(2)
図3Aに示す実施形態では、最外側帯域S1,S3における最小外径D21
min、D23
minは、内側帯域S2における最大外径D22
maxよりも大きくなっているが、これに限定されるものではない。
図3Bに、最小外径D21
min、D23
minを最大外径D22
maxと等しくし、中間環状部21,22,23をタイヤ幅方向WDに連続させた例を示す。この構成によれば、最外側帯域S1,S3と内側帯域S2の境界で、支持構造体SSの剛性変化を抑制することができる。
【0067】
(3)さらに、
図3Cには、最外側帯域S1,S3における最小外径D21
min、D23
minを、内側帯域S2における最大外径D22
maxよりも小さくした例を示す。この場合であっても、最外側帯域S1における中間環状部21の最大外径D21
max、及び最外側帯域S3における中間環状部23の最大外径D23
maxは、内側帯域S2における中間環状部22の最大外径D22
maxよりも大きくなっている。
【0068】
(4)上記の実施形態では、外側連結部5はタイヤ幅方向WDに連続しているが、外側連結部5は、複数の帯域に分割され、帯域ごとにタイヤ周方向に互いにずらして設けられてもよい。
図4Aは、非空気圧タイヤTの側面図であり、外側連結部5と外側環状部3との結合部を破線で示してある。この例では、最外側帯域S1、S3のタイヤ周方向に隣り合う外側連結部5の中央部に内側帯域S2の外側連結部5が位置するように設けている。
【0069】
(5)上記の実施形態では、最外側帯域S1,S3の外側連結部5と内側帯域S2の外側連結部5の個数を同じとしているが、最外側帯域S1,S3における外側連結部5は、内側帯域S2における外側連結部5よりも多いことが好ましい。
図4Bは、最外側帯域S1、S3の外側連結部5を、内側帯域S2の外側連結部5の2倍設けた例を示す。なお、最外側帯域S1と最外側帯域S3の外側連結部5の個数は必ずしも同じとしなくともよい。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0071】
接地圧分散
初めに、縦荷重2500Nを負荷した状態にて、非空気圧タイヤを徐々に転動(回転)させながら、すなわち、外側スポーク(外側連結部5に相当)の外側端点の位置を接地面中央位置に対して徐々に変化させながら、それぞれの接地状態において、接地面の接地圧の分布を計測する。次いで、この接地圧の分布から、それぞれの接地状態における接地圧の分散を計算し、この分散の値が最大となる接地状態での接地圧分散の値を用いて評価する。さらに、同様の評価を、縦荷重3500Nを負荷した状態で行なった。比較例1での接地圧分散の最大値を100としたときの指数で示し、この値が小さい方が優れる。
【0072】
実施例1
表1に示す寸法および物性等にて、内側リング(内側環状部に相当)、中間リング(中間環状部に相当)、外側リング(外側環状部に相当)、内側スポーク(内側連結部に相当)、外側スポーク(外側連結部に相当)を備える支持構造体、その外周に設けられた3層の補強層、並びにトレッドゴムを備える非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。支持構造体は140mm幅とし、タイヤ幅方向に3つの帯域に等分割した。中間リングは、
図2に示す構成とした。また、外側スポークは、
図4Bに示すように最外側帯域では内側帯域よりも多くなるようにし、帯域ごとにタイヤ周方向に互いにずらして設けた。接地圧分散の結果を表1に併せて示す。
【0073】
実施例2
中間リングを、
図3Bに示す構成としたこと以外は、実施例1と同じとした非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。接地圧分散の結果を表1に併せて示す。
【0074】
実施例3
中間リングを、
図3Aに示す構成としたこと以外は、実施例1と同じとした非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。接地圧分散の結果を表1に併せて示す。
【0075】
実施例4
外側スポークを、
図4Aに示すように最外側帯域と内側帯域で同数としたこと以外は、実施例1と同じとした非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。接地圧分散の結果を表1に併せて示す。
【0076】
比較例1
表1に示す寸法および物性等にて、内側リング(内側環状部に相当)、中間リング(中間環状部に相当)、外側リング(外側環状部に相当)、内側スポーク(内側連結部に相当)、外側スポーク(外側連結部に相当)を備える支持構造体、その外周に設けられた3層の補強層、並びにトレッドゴムを備える非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。支持構造体は140mm幅とし、タイヤ幅方向に3つの帯域に等分割した。中間リングは、タイヤ幅方向に一定の内径及び外径とし、3つの帯域すべてで同一形状とした。また、外側スポークは、
図4Aに示すように最外側帯域と内側帯域で同数とし、帯域ごとにタイヤ周方向に互いにずらして設けた。接地圧分散の結果を表1に併せて示す。
【0077】
比較例2
外側スポークを、最外側帯域では内側帯域よりも多くなるようにしたこと以外は、比較例1と同じとした非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。接地圧分散の結果を表1に併せて示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1の結果から以下のことが分かる。
実施例1〜3の非空気圧タイヤは、比較例2の非空気圧タイヤと比較して、低荷重負荷時の接地圧分散を同程度に抑えつつ、高荷重負荷時の接地圧分散を大きく向上させることができている。同様に、実施例4の非空気圧タイヤは、比較例1の非空気圧タイヤと比較して、低荷重負荷時の接地圧分散を同程度に抑えつつ、高荷重負荷時の接地圧分散を大きく向上させることができている。制動時は本評価における高荷重が負荷された状態に近いため、本発明の非空気圧タイヤは、制動時の接地圧分散を小さくでき、すなわち制動時の接地圧分布を均一化することができ、制動性能を向上できる。また、実施例1の非空気圧タイヤは、実施例4の非空気圧タイヤに比べて、高荷重負荷時の接地圧分散が小さく、同様に、比較例2の非空気圧タイヤは、比較例1の非空気圧タイヤに比べて、高荷重負荷時の接地圧分散が小さい。これらの結果より、最外側帯域における外側連結部を、内側帯域における外側連結部よりも多くすることで、制動時の接地圧をより均一化できることが分かる。