(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結機構は、前記牽引車が旋回した際、その旋回角度の大小に応じて前記第2の作業部の移動量が変化するよう構成されている請求項1または2に記載のグラウンド整備装置。
前記連結機構は、前記牽引車が旋回した際、前記前輪と前記後輪との内輪差で生じる、前記第1の作業部で整備作業し切れなかった部分を前記第2の作業部で補完するように、該第2の作業部が移動するよう構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のグラウンド整備装置。
前記伝達機構は、筒状をなすシリンダ本体と該シリンダ本体内で摺動するピストンとを有するシリンダと、前記シリンダ本体内に連通して接続され、前記ピストンを作動させる作動流体が通過し、前記ハンドルの操作方向に応じて前記作動流体の流れる方向が異なる少なくとも1本のパイプとを有する請求項5に記載のグラウンド整備装置。
前記第1の作業部と前記第2の作業部との間に配置され、前記第1の作業部と前記第2の作業部とともに前記グラウンドに接地して、該グラウンドに対して整備作業を行なう第3の作業部をさらに備える請求項1ないし9のいずれかに記載のグラウンド整備装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、グラウンドを旋回しつつ整備作業を行なう際、牽引車の前輪と後輪との内輪差や外輪差によって生じるタイヤ跡を確実に消しつつ、その整備作業を行なうことができるグラウンド整備装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜
(12)の本発明により達成される。
(1) 前輪と後輪とを有する牽引車の進行方向後方に連結して配置され、前記牽引車で牽引してグラウンド整備に用いられるグラウンド整備装置であって、
グラウンドに接地して、該グラウンドに対して整備作業を行なう第1の作業部と、
前記第1の作業部よりも前記進行方向後方に配置され、前記第1の作業部とともに前記グラウンドに接地して、該グラウンドに対して整備作業を行なう第2の作業部と、
前記第1の作業部と前記第2の作業部とを連結し、前記第1の作業部に対し前記第2の作業部を前記進行方向左側と右側とにそれぞれ移動させる連結機構とを備え
、
前記連結機構は、前記第1の作業部を支持固定する第1の支持部と、前記第2の作業部を支持固定する第2の支持部と、前記第1の支持部と前記第2の支持部との間に配置された長尺体で構成され、その前端部が前記第1の支持部に回動可能に支持され、後端部が前記第2の支持部に回動可能に支持された少なくとも1本の連結部材とを有するリンク機構であり、前記牽引車が旋回した際、前記第2の作業部と前記グラウンドとの間に摩擦力が生じ、該摩擦力により前記第2の作業部が旋回方向と同方向に移動するよう構成されていることを特徴とするグラウンド整備装置。
【0008】
(2) 前記連結機構は、前記牽引車が旋回した際、その旋回方向と同方向に前記第2の作業部が移動するよう構成されている上記(1)に記載のグラウンド整備装置。
【0009】
(3) 前記連結機構は、前記牽引車が旋回した際、その旋回角度の大小に応じて前記第2の作業部の移動量が変化するよう構成されている上記(1)または(2)に記載のグラウンド整備装置。
【0010】
(4) 前記連結機構は、前記牽引車が旋回した際、前記前輪と前記後輪との内輪差で生じる、前記第1の作業部で整備作業し切れなかった部分を前記第2の作業部で補完するように、該第2の作業部が移動するよう構成されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のグラウンド整備装置。
【0013】
(5) 前記牽引車は、前記進行方向を変更する操作を行なうためのハンドルを有するものであり、
前記ハンドルの操作力を前記連結機構に伝達する伝達機構をさらに備え、
前記連結機構は、前記ハンドルが操作された際、その操作力が前記伝達機構により伝達されて、前記ハンドルの操作に連動して作動する
上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のグラウンド整備装置。
【0014】
(6) 前記伝達機構は、筒状をなすシリンダ本体と該シリンダ本体内で摺動するピストンとを有するシリンダと、前記シリンダ本体内に連通して接続され、前記ピストンを作動させる作動流体が通過し、前記ハンドルの操作方向に応じて前記作動流体の流れる方向が異なる少なくとも1本のパイプとを有する
上記(5)に記載のグラウンド整備装置。
【0015】
(7) 前記連結機構は、前記ハンドルの操作方向と同方向に前記第2の作業部を移動させる
上記(5)または(6)に記載のグラウンド整備装置。
【0016】
(8) 前記第1の作業部は、その前記牽引車の車幅方向の長さが該牽引車の車幅と同じものであり、
前記第2の作業部は、その前記牽引車の車幅方向の長さが前記第1の作業部の前記牽引車の車幅方向の長さの1〜1.7倍のものである
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のグラウンド整備装置。
【0017】
(9) 前記第1の作業部は、レイキであり、前記第2の作業部は、ブラシである
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のグラウンド整備装置。
【0018】
(10) 前記第1の作業部と前記第2の作業部との間に配置され、前記第1の作業部と前記第2の作業部とともに前記グラウンドに接地して、該グラウンドに対して整備作業を行なう第3の作業部をさらに備える
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のグラウンド整備装置。
【0019】
(11) 前記第3の作業部は、前記連結機構の作動により前記第2の作業部とともに移動する
上記(10)に記載のグラウンド整備装置。
【0020】
(12) 前記第3の作業部は、レベラーである
上記(10)または(11)に記載のグラウンド整備装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、グラウンドを旋回しつつグラウンド整備装置で整備作業を行なう際、第2の作業部が第1の作業部に対して左方向および右方向のいずれかの方向に移動することができ、これにより、旋回する牽引車の前輪と後輪との内輪差や外輪差によって生じるタイヤ跡を確実に消しつつ、その整備作業を行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のグラウンド整備装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明のグラウンド整備装置の第1実施形態を示す斜視図、
図2は、
図1に示すグラウンド整備装置の平面図、
図3および
図4は、それぞれ、グラウンド整備装置を牽引する牽引車が左旋回したときのグラウンド整備装置の状態を示す平面図、
図5は、グラウンド整備装置を牽引する牽引車が右旋回したときのグラウンド整備装置の状態を示す平面図、
図6は、
図2中の矢印A方向から見た図、
図9は、
図1に示すグラウンド整備装置を牽引する牽引車を示す斜視図である。なお、以下では、説明の都合上、
図1中の左上側を「前」または「前方」、右下側を「後」または「後方」と言い、
図2、
図3および
図5中(
図7および
図8についても同様)の上側を「前」または「前方」、下側を「後」または「後方」と言い、
図6および
図9中の左側を「前」または「前方」、右側を「後」または「後方」と言う。また、
図1、
図6、
図9中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、
図2〜
図5中(
図7および
図8についても同様)の左側を「左」または「左方」、右側を「右」または「右方」と言う。
【0025】
図1〜
図6に示すグラウンド整備装置(以下単に「整備装置」と言う)1は、例えば野球場、サッカー場、ラグビー場、ゴルフ場、テニスコート、校庭、公園等のような、土で覆われたグラウンドGを整備する装置である。整備装置1は、牽引車であるトラクタ10の進行方向後方に連結して配置され、トラクタ10で牽引して用いられる。以下、各部の構成について説明する。
【0026】
図4、
図9に示すように、トラクタ10は、2つの前輪102Rおよび102Lと、2つの後輪103Rおよび103Lとを有する4輪車である。前輪102Rと前輪102Lとは、車幅方向に離間して配置され、トラクタ10の進行方向に向かって右側が前輪102R、左側が前輪102Lである。これと同様に、後輪103Rと後輪103Lも、車幅方向に離間して配置され、トラクタ10の進行方向に向かって右側が後輪103R、左側が後輪103Lである。また、トラクタ10は、車体101と、車体101の上部に設置された運転席106と、運転席106に設けられたハンドル107とを有している。
【0027】
車体101の前方部分には、エンジンフード104が設けられ、該エンジンフード104内には、エンジン105が設置されている。トラクタ10は、エンジン105により後輪103Rおよび103Lを駆動して、走行する(進行する)ものである。運転席106には、作業者(人)が搭乗して着席することができる。また、運転席106に設けられたハンドル107を回転操作することにより、その回転力が各前輪102に伝達されて、進行方向を変更する操作、すなわち、操舵が行なわれる。
【0028】
また、
図1、
図9に示すように、車体101の後方部分には、当該車体101と整備装置1とを連結する連結器(牽引車側連結機構)108が設置されている。連結器108は、第1の連結部109R、第2の連結部109L、第3の連結部109Tを有している。各連結部は、それぞれ、整備装置1の異なる3箇所に連結される。
【0029】
このようなトラクタ10で整備装置1を牽引しつつグラウンドG上を走行して、当該グラウンドGを整備することができる。
【0030】
図1〜
図6に示すように、整備装置1は、第1の作業部2と、第1の作業部2よりも進行方向後方に配置された第2の作業部3と、第1の作業部2と第2の作業部3との間に配置された第3の作業部4と、第1の作業部2と第2の作業部3と第3の作業部4とを連結する連結機構(装置側連結機構)5とを備えている。
【0031】
第1の作業部2、第2の作業部3、第3の作業部4は、それぞれ、グラウンドGに接地して、グラウンドGに対して整備作業を行なうものである。また、第1の作業部2、第2の作業部3、第3の作業部4は、互いに機能(使用条件)が異なるものである。すなわち、第1の作業部2は、レイキであり、第2の作業部3は、整地ブラシ(ブラシ)であり、第3の作業部4は、レベラーである。整備装置1では、その走行中、グラウンドGの同じ箇所を、進行方向前方から順に、レイキ、レベラー、整地ブラシが通過することができる。レイキにより、グラウンドGの上層部をほぐすことができる。レベラーにより、前記レイキでほぐされた部分の表面を平滑にしつつ、所定の高さ(傾斜角度)に調整することができる。そして、整地ブラシにより、前記レベラーで平滑された表面をさらに平滑にならすことができる。このように整備装置1が互いに機能の異なる作業部を有することにより、1度の走行で、3つの種類の作業(本実施形態では「ほぐし」、「粗いならし」、「仕上げならし」)を並行して行なうことができる。これにより、整備作業における作業効率が向上する。
【0032】
第1の作業部2は、長尺な基部(ベース)21と、基部21の下面側に配置された複数のタイン22とで構成されている。なお、第1の作業部2の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。
【0033】
基部21は、板状をなす板状部211と、板状部211の上面に設けられ、連結機構5に接続される2組の接続部212と、板状部211の下面に設けられ、タイン22を支持する支持部213とで構成されている。
【0034】
板状部211は、整備装置1(トラクタ10)の進行方向に対してほぼ直行する方向に配置されている。
【0035】
各組の接続部212は、それぞれ、板状部211の上面から突出した一対の板片214で構成されている。一対の板片214は、板状部211の長手方向に平行に離間して配置されている。そして、一対の板片214の間で連結機構5の一部(鋼材612または614)を挟持し、その状態でネジ止めすることにより、第1の作業部2が連結機構5に固定される。
【0036】
支持部213は、複数のタイン22を板状部211の長手方向に沿って等間隔に配置した状態で支持固定するものである。
【0037】
各タイン22は、それぞれ、下方に向かって突出するように、例えばネジ止めにより支持部213に固定されている。そして、各タイン22は、グラウンドGに接触し、さらに整備装置1の自重によりグラウンドGに向かって押圧されることにより、地中に侵入する。この状態でトラクタ10が前進走行すると、整備装置1が牽引され、これに伴って、地中に差し込まれた各タイン22により、グラウンドGの上層部が確実に破砕される。このように、グラウンドGをほぐす(整備する)際に、タイン22がグラウンドGに確実に押し付けられるため、そのほぐし作業が確実に行なわれる。また、グラウンドGに例えばうねりがある場合でも、各タイン22が押し付けられているため、整備装置1が走行中にうねりで跳ね上がって、各タイン22がグラウンドGから離間するのが防止される。各タイン22がグラウンドGから離間すると、そのグラウンドGの離間した部分が各タイン22によりほぐされないが、前述したように各タイン22のグラウンドGからの離間が防止されているため、このような不都合が確実に防止することができる。これにより、整備装置1の1回の走行で、グラウンドG全体を確実にほぐすことができ、よって、ほぐし作業が迅速に行なわれる。
【0038】
第2の作業部3は、長尺な基部(ベース)31と、基部31の下面から突出したブラシ部32とで構成されている。
【0039】
基部31は、板状をなし、整備装置1の進行方向に対してほぼ直角方向に配置されている。基部31は、その上側から例えばネジ止めにより連結機構5に固定されている。基部31の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼や木材が挙げられる。
【0040】
ブラシ部32は、多数のブラシ毛で構成され、各ブラシ毛がそれぞれ基部31に例えば接着(接着剤や溶媒による接着)による方法で固着されている。各ブラシ毛の構成材料としては、例えば、各種金属材料、各種樹脂材料等を単独または組み合わせて用いることができ、これらの材料のうち、特に、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
【0041】
このような第2の作業部3は、整備装置1の自重により、第1の作業部2とともにグラウンドGを押圧することとなる。そして、この状態でトラクタ10が前進走行すると、第1の作業部2とともに第2の作業部3も牽引され、ブラシ部32により、グラウンドGが確実に掃きならされ(整備され)て、仕上げならし作業が行われる。
【0042】
第3の作業部4は、長尺な基部(ベース)41と、基部41の下面から突出した2枚の板片42、43とで構成されている。なお、第3の作業部4の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。
【0043】
基部41は、4本の鋼材411を枠状に組み立てたものであり、整備装置1の進行方向に対してほぼ直角方向に配置されている。基部41は、その上側から例えばネジ止めにより連結機構5に固定されている。
【0044】
基部41を構成する4本の鋼材411のうちの前方に位置する鋼材411aに板片42が固定され、後方に位置する鋼材411bに板片42が固定されている。板片42、43は、それぞれ、グラウンドGに対し直立するように配置される(
図6参照)。
【0045】
このような第3の作業部4は、整備装置1の自重により、第1の作業部2、第2の作業部3とともにグラウンドGを押圧することとなる。そして、この状態でトラクタ10が前進走行すると、第1の作業部2、第2の作業部3とともに第3の作業部4も牽引され、板片42、43により、粗いならし作業が行われる。
【0046】
図2に示すように、第1の作業部2は、そのトラクタ10の車幅方向の長さL
1がトラクタ10の車幅L
0と同じものである。
【0047】
第2の作業部3は、そのトラクタ10の車幅方向の長さL
2が長さL
1と同じかまたはそれよりも長いものである。この長さL
2としては、特に限定されず、例えば、長さL
1の1〜1.7倍であるのが好ましく、1〜1.5倍であるのがより好ましい。
【0048】
第3の作業部4は、そのトラクタ10の車幅方向の長さL
3が長さL
1と同じかまたは長さL
1と長さL
2との中間の大きさのものである。この長さL
3としては、特に限定されず、例えば、長さL
1の1〜1.5倍であるのが好ましく、1〜1.2倍であるのがより好ましい。
【0049】
車幅L
0、長さL
1、L
2、L
3の間にこのような大小関係があることにより、トラクタ10と、それに連結された整備装置1とで構成された走行体全体としての幅をできる限り抑えることができる。これにより、例えばグラウンドGがフェンス(または壁部)で囲まれている場合、フェンスに設けられた出入口を当該走行体が通過する際、出入口の大きさにもよるが、その通過を容易に行なうことができる。
【0050】
以上のような第1の作業部2と第2の作業部3と第3の作業部4とは、連結機構5を介して互いに連結されている。
【0051】
図1〜
図3、
図5、
図6に示すように、連結機構5は、第1の作業部2を支持固定する第1の支持部6と、第2の作業部3および第3の作業部4を一括して支持固定する第2の支持部7と、第1の支持部6と第2の支持部7とを連結する2本の連結部材8a、8bとを有するリンク機構である。第1の支持部6、第2の支持部7、連結部材8a、8bは、それぞれ、例えばステンレス鋼等で構成された長尺な鋼材で構成することができる。
【0052】
第1の支持部6は、平面視で四角形状をなすフレーム部61と、フレーム部61から立設して設置されたポール62、63、64とを有している。
【0053】
フレーム部61は、4本の鋼材611、612、613、614を枠状に組み立てたものである。
図2に示すように、これらの鋼材611〜614のうちの左側に位置する鋼材612には、レイキである第1の作業部2の2組の接続部212のうちの一方の接続部212が接続され、右側に位置する鋼材614には、他方の接続部212が接続されている。これにより、第1の支持部6に第1の作業部2が例えばネジ止め等の固定方法により固定されることとなる。
【0054】
また、鋼材611と鋼材614とがなす角部615には、ポール62が配設され、鋼材611と鋼材612とがなす角部616には、ポール63が配設され、鋼材611の長手方向の中央部には、ポール64が配設されている。そして、ポール62には、トラクタ10の連結器108の第1の連結部109Rが接続され、ポール63には、第2の連結部109Lが接続され、ポール64には、第3の連結部109Tが接続されている。これにより、トラクタ10と整備装置1とが連結されることとなる。
【0055】
図1、
図2、
図6に示すように、第2の支持部7は、フレーム部71と、フレーム部71の後方部に設置されたブラシキャッチャ72と、フレーム部71から懸垂して設置されたアーム73a、73b、73c、73dとを有している。
【0056】
フレーム部71は、3本の鋼材711、712、713を平面視で「H」字状に組み立てたもの、すなわち、鋼材711と、鋼材711の左端部に位置する鋼材712と、鋼材711の右端部に位置する鋼材713とで構成されたものである。
【0057】
ブラシキャッチャ72は、整地ブラシである第2の作業部3の基部31の上面が固定される固定板721を有している。これにより、第2の支持部7に第2の作業部3を例えばネジ止め等の固定方法により固定することができる。
【0058】
また、ブラシキャッチャ72は、固定板721の他に、固定板721とフレーム部71の鋼材712の後端部を接続する接続アーム722と、固定板721とフレーム部71の鋼材713の後端部を接続する接続アーム723と、接続アーム722と接続アーム723との間に架設された梁724とを有している。
【0059】
さらに、梁724は、フレーム部71の鋼材711の長手方向の異なる2箇所と、補強梁74a、74bを介して接続されている。これにより、フレーム部71とブラシキャッチャ72との接続が補強される。
【0060】
図1、
図6に示すように、フレーム部71の鋼材712の両端部には、それぞれ、アーム73a、73bの上端部が接続され、鋼材713の両端部には、それぞれ、アーム73c、73dの上端部が接続されている。そして、アーム73a、73b、73c、73dの下端部に、レベラーである第3の作業部4の基部41の上面が接続されている。これにより、第3の作業部4が第2の支持部7に支持されることとなる。
【0061】
第1の支持部6と第2の支持部7との間には、長尺体で構成された連結部材8a、8bが車幅方向に離間して配置されている。連結部材8aは、その前端部81が第1の支持部6のフレーム部61の角部615に回動可能に支持され、後端部82が第2の支持部7のフレーム部71の鋼材712の前端部に回動可能に支持されている。連結部材8bは、その前端部81が第1の支持部6のフレーム部61の角部616に回動可能に支持され、後端部82が第2の支持部7のフレーム部71の鋼材713の前端部に回動可能に支持されている。なお、連結部材8a、8bを回動可能に支持する回動支持機構としては、例えば本実施形態では、軸と軸受けとを有する機構、すなわち、ピボット接合を用いることができる。
【0062】
このような連結部材8a、8bを介して第1の支持部6と第2の支持部7とが連結されていることにより、第1の作業部2に対して、第2の作業部3および第3の作業部4を一括して進行方向左側(
図3、
図4参照)と右側(
図5参照)とにそれぞれ移動させることができる。
【0063】
次に、以上のような構成の整備装置1をグラウンドGの整備に用いた場合について説明する。なお、整備されるグラウンドGとしては、野球場のマウンドMおよびその周囲を一例に挙げる。また、整備装置1を牽引するトラクタ10は、左旋回(
図3、
図4参照)、右旋回(
図5参照)のいずれの方向にも旋回することができ、整備装置1もそのときの旋回方向に牽引されることとなるが、ここでは、左旋回したときについて代表的に説明する。
【0064】
図4に示すように、マウンドMは、通常、その平面視での形状が円形をなすものである。そして、マウンドMおよびその周囲を整備するには、マウンドMの中心側をスタート地点として、そこから螺旋を描くように(渦巻き状に)徐々に外周側に向かう方向に沿って走行していく。
【0065】
トラクタ10は、左側に旋回すると、前輪102Lと後輪103Lとに内輪差が生じ、前輪102Rと後輪103Rとに外輪差が生じる。このため、トラクタ10の後方には、グラウンドGに前輪102Lのタイヤ痕S
102L、前輪102Rのタイヤ痕S
102R、後輪103Lのタイヤ痕S
103L、後輪103Rのタイヤ痕S
103Rが残る。タイヤ痕S
102L、タイヤ痕S
102R、タイヤ痕S
103L、タイヤ痕S
103Rのうち、タイヤ痕S
103Lが最も内側に位置する。このタイヤ痕S
103Lよりも外側に位置するタイヤ痕S
102L、タイヤ痕S
102R、タイヤ痕S
103Rは、第1の作業部2、第3の作業部4、第2の作業部3で順に整備されて、消される。しかしながら、タイヤ痕S
103Lは、後輪103Lと第1の作業部2との離間距離にもよるが、第1の作業部2で整備作業し切れず、そのまま残ってしまう。
【0066】
一方、
図3、
図4に示すように、整備装置1では、トラクタ10が左側に旋回すると、第2の作業部3および第3の作業部4と、グラウンドGとの間に、旋回中心を中心とする円の接線方向に向かって摩擦力Fが生じる。この摩擦力Fの前記旋回中心に向かう、すなわち、進行方向に対し水平方向に直交する方向の成分(分力f
x)により、第2の作業部3および第3の作業部4は、内側に(その場に)残ろうとするとともに、トラクタ10が旋回し続けるため、結果、第1の作業部2に対し左側に移動することとなる。そして、このままの状態で、第2の作業部3および第3の作業部4は、牽引されるため、第1の作業部2で消し切れなかったタイヤ痕S
103Lを確実に消すことができる(
図4中の第2の作業部3の最も内側の端部33の軌跡T
3参照)。
【0067】
また、レイキである第1の作業部2の各タイン22でグラウンドGが掘り起こされるが、その掘り起こされた部分のうちの特にマウンドMの中心側(内側)の部分は、タイヤ痕S
103Lと同様に消しづらい、すなわち、掘り起こされたままとなり易い(
図4中の第1の作業部2の最も内側の端部23の軌跡T
2参照)。しかしながら、この軌跡T
2も第2の作業部3および第3の作業部4で確実に整備して、消すことができる。
【0068】
このように整備装置1は、グラウンドGの整備を行なう際、第1の作業部2で整備作業し切れなかった部分(以下「未整備部」と言う)が生じたとしても、第2の作業部3および第3の作業部4が移動して未整備部を補完することができ、よって、その整備作業を確実に行なうことができる。
【0069】
また、整備装置1の連結機構5では、前述したように連結部材8a、8bがそれぞれ第1の支持部6にピボット接合により回動可能に支持、連結されており、第2の支持部7にもピボット接合により回動可能に支持、連結されている。これにより、トラクタ10が旋回した際、その旋回角度の大小に応じて、第1の作業部2に対する第2の作業部3および第3の作業部4の移動量が変化する、すなわち、旋回角度が大きければ移動量も増大し、旋回角度が小さければ移動量も減少する。旋回角度の大小によらず、第2の作業部3および第3の作業部4で未整備部を確実に整備することができる。
【0070】
<第2実施形態>
図7は、本発明のグラウンド整備装置(第2実施形態)を牽引する牽引車が左旋回したときのグラウンド整備装置の状態を示す平面図、
図8は、本発明のグラウンド整備装置(第2実施形態)を牽引する牽引車が右旋回したときのグラウンド整備装置の状態を示す平面図である。
【0071】
以下、これらの図を参照して本発明のグラウンド整備装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0072】
本実施形態は、グラウンド整備装置が伝達機構をさらに備えること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0073】
図7、
図8に示すように、本実施形態の整備装置1は、トラクタ10のハンドル107を操作した際、その操作力を連結機構5に伝達する伝達機構9をさらに備えている。
【0074】
伝達機構9は、油圧シリンダ(シリンダ)91と、油圧シリンダ91に接続された第1のパイプ92aおよび第2のパイプ92bとを有している。
【0075】
油圧シリンダ91は、連結機構5の連結部材8aと連結部材8bとの間に、進行方向に対して傾斜するように配置されている。この油圧シリンダ91は、筒状をなすシリンダ本体911と、シリンダ本体911内で摺動するピストン912とを有している。シリンダ本体911は、その端部が連結機構5の第1の支持部6の鋼材611の長手方向の途中に、例えばピボット接合によって回動可能に支持されている。ピストン912は、その端部が第3の作業部4(または連結機構5の第2の支持部7)の長手方向の途中に、例えばピボット接合によって回動可能に支持されている。
【0076】
第1のパイプ92aおよび第2のパイプ92bは、それぞれ、ピストン912を作動させる作動流体である作動油が通過する部材である。各パイプは、それぞれ、シリンダ本体911の長手方向の途中の異なる位置に接続されており、シリンダ本体911内に連通している。
【0077】
そして、
図7に示すように、トラクタ10が左旋回するようにハンドル107を操作すると、弁(図示せず)の作動により、第1のパイプ92aからシリンダ本体911内に作動油が供給される。これにより、ピストン912がシリンダ本体911から押し出されて(突出して)、油圧シリンダ91が全体として伸長する。この伸長により、第2の作業部3と第3の作業部4とが一括して
図7中の左方向へ移動することができる。なお、このとき、シリンダ本体911内からは第2のパイプ92bを介して作動油が排出される。
【0078】
また、
図8に示すように、トラクタ10が右旋回するようにハンドル107を操作すると、弁(図示せず)の作動により、第2のパイプ92bからシリンダ本体911内に作動油が供給される。これにより、ピストン912がシリンダ本体911内に引き込まれて(没入して)、油圧シリンダ91が全体として収縮する。この収縮により、第2の作業部3と第3の作業部4とが一括して
図8中の右方向へ移動することができる。なお、このとき、シリンダ本体911内からは第1のパイプ92aを介して作動油が排出される。
【0079】
このような伝達機構9により、連結機構5は、ハンドル107が操作された際に、その操作力が伝達されて、ハンドル107の操作に連動して作動することができる。これにより、連結機構5では、例えばグラウンドGの状態によらず、ハンドル107の操作方向と同方向に第2の作業部3および第3の作業部4を確実に移動させることができる。よって、グラウンドGの未整備部を第2の作業部3および第3の作業部4で確実に整備することができる。
【0080】
以上、本発明のグラウンド整備装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、グラウンド整備装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0081】
また、グラウンド整備装置の連結機構は、前記各実施形態では2本の連結部材を有するものであるが、これに限定されず、例えば、1本の連結部材を有するものであってもよいし、3本以上の連結部材を有するものであってもよい。
【0082】
また、グラウンド整備装置の第1の作業部、第2の作業部、第3の作業部としては、それぞれ、前記前記各実施形態ではレイキ、レベラー、整地ブラシであったが、これに限定されず、例えば、レイキ、整地ブラシ、ローラであってもよいし、レイキ、レベラー、ローラであってもよい。
また、グラウンド整備装置では、第3の作業部を省略することができる。
【0083】
また、グラウンド整備装置は、前記第2実施形態では伝達機構が2本のパイプを有するものであったが、これに限定されず、例えば、伝達機構が1本のパイプを有するものであってもよい。
【0084】
また、牽引車の連結器は、グラウンド整備装置を上下方向に昇降するよう構成されていてもよい。この場合、第1の作業部、第2の作業部、第3の作業部を一括して昇降してもよいし、各作業部をそれぞれ独立して昇降してもよい。この昇降機構としては、例えば、油圧シリンダやモータ等を有する構成のものとすることができる。