特許第5774938号(P5774938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774938
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/12 20060101AFI20150820BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150820BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20150820BHJP
   H05B 33/24 20060101ALI20150820BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20150820BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20150820BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20150820BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H05B33/12 B
   H05B33/14 A
   H05B33/22 Z
   H05B33/24
   H05B33/04
   H05B33/26 Z
   H05B33/28
   G09F9/30 365
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-173135(P2011-173135)
(22)【出願日】2011年8月8日
(65)【公開番号】特開2012-94489(P2012-94489A)
(43)【公開日】2012年5月17日
【審査請求日】2014年6月9日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0103501
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】金 泰 坤
(72)【発明者】
【氏名】鄭 哲 宇
(72)【発明者】
【氏名】安 致 旭
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/068910(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0137074(US,A1)
【文献】 特開2004−063359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び第2領域を有する基板と、
前記基板上の前記第1領域及び前記第2領域の全域にわたって連続して形成される、または、前記基板上の前記第1領域及び前記第2領域に互いに分離されて形成される第1電極と、
前記第1領域に位置する前記第1電極上に形成される反射電極と、
前記反射電極と前記第2領域に位置する前記第1電極との上に形成される有機発光層と、
前記有機発光層上に形成される第2電極と、
前記第2領域に位置する前記第2電極の上方に、前記第2電極から離隔して形成される反射層と、
前記基板上に形成されて、前記反射電極を内部に含む前記第1領域に位置する第1開口部と、前記反射層を上部に有する前記第2領域に位置する第2開口部とを有する隔壁と、
を含むことを特徴とする、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記第1領域の前記有機発光層は、前記第2電極の位置する方向に前面発光し、前記第2領域の前記有機発光層は、前記第1電極の位置する方向に背面発光することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第1開口部は、前記第1領域に位置する前記反射電極を露出し、前記反射層は、前記第2領域に位置する前記第2開口部上及び前記第2領域に隣接する領域に位置する前記隔壁上にわたって形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1領域及び第2領域は、一つの画素の内部に形成され、ここで、当該一つの画素は、一つの薄膜トランジスタによって駆動され、当該薄膜トランジスタは、前記第1領域及び前記第2領域の全域にわたって形成される前記第1電極に接続されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第1開口部及び第2開口部は、前記一つの画素の内部に形成されることを特徴とする、請求項4に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第1領域は前面発光画素の内部に形成され、前記第2領域は背面発光画素の内部に形成され、ここで、当該前面発光画素及び当該背面発光画素は、二つの異なる薄膜トランジスタによってそれぞれ駆動され、当該二つの異なる薄膜トランジスタは、前記第1領域及び前記第2領域に互いに分離されて形成される二つの異なる前記第1電極にそれぞれ接続されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記前面発光画素及び前記背面発光画素は、同色に発光することを特徴とする、請求項に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第1開口部は前記前面発光画素の内部に形成されており、前記第2開口部は前記背面発光画素の内部に形成されることを特徴とする、請求項6または7に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記反射層上に形成される封止部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第1電極は半透過物質を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記第1電極は、3重層に形成され、下部層はITOまたはIZO、中間層はAg、上部層はITOまたはIZOから形成され、前記中間層の厚さは200Åより小さいことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記反射電極は、3重層に形成され、下部層はITOまたはIZO、中間層はAg、上部層はITOまたはIZOから形成され、前記中間層の厚さは1000Åより大きいことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記第2電極は半透過物質を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記反射層は、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)の中から選択されたいずれか一つから形成されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記隔壁は樹脂またはシリカ系の無機物から形成される、ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記隔壁は半円筒形状に形成される、ことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面発光型の有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、二つの電極と、その間に位置する有機発光層とを含み、一つの電極から注入された電子(electron)と他の電極から注入された正孔(hole)とが有機発光層で結合して励起子(exciton)を形成し、励起子がエネルギーを放出しながら発光する。
【0003】
このような有機発光表示装置は、有機発光層から光が放出される方向により前面発光型、背面発光型、及び両面発光型に区分され、各々の発光類型により有機発光表示装置の画素電極の材質などが異なる。ここで、両面発光型有機発光表示装置は、前面発光及び背面発光を同時に実現することができる装置であって、輝度を向上させることができ、各々異なる映像を同時に実現することができる。
【0004】
しかし、両面発光型有機発光表示装置は、前面発光型基板及び背面発光型基板をそれぞれ完成体として全て形成しなければならないため、その製造工程が複雑で、製品の厚さが厚くなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第0874458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した上述の問題を解決するためのものであって、本発明の目的は、製造工程が単純な薄型の両面発光型有機発光表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る有機発光表示装置は、第1領域及び第2領域を有する基板と、前記基板上の前記第1領域及び前記第2領域に形成される第1電極と、前記第1領域に位置する前記第1電極上に形成される反射電極と、前記基板上に形成されて、前記反射電極と前記第2領域に位置する前記第1電極とを露出する開口部を有する隔壁と、前記反射電極と前記第2領域に位置する前記第1電極との上に形成される有機発光層と、前記有機発光層上に形成される第2電極と、前記第2領域に位置する前記第2電極上に形成される反射層と、を含む。
【0008】
前記第1領域の前記有機発光層は、前記第2電極の位置する方向に前面発光し、前記第2領域の前記有機発光層は、前記第1電極の位置する方向に背面発光する。
【0009】
前記第1領域及び第2領域は、一つの画素の内部に形成される。
【0010】
前記隔壁の開口部は、前記反射電極を露出する第1開口部と、前記第2領域に位置する第1電極を露出する第2開口部とを含む。
【0011】
前記第1開口部及び第2開口部は、前記一つの画素の内部に形成される。
【0012】
前記反射層上に形成される封止部材をさらに含む。
【0013】
前記第1電極は、半透過物質を含む。
【0014】
前記第1電極は3重層に形成され、下部層はITOまたはIZO、中間層はAg、上部層はITOまたはIZOからなり、前記中間層の厚さは200Åより小さい。
【0015】
前記反射電極は3重層に形成され、下部層はITOまたはIZO、中間層はAg、上部層はITOまたはIZOからなり、前記中間層の厚さは1000Åより大きい。
【0016】
前記第2電極は、半透過物質を含む。
【0017】
前記反射層は、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)の中から選択されたいずれか一つで構成される。
【0018】
また、本発明の他の実施形態に係る有機発光表示装置において、前記画素は、前面発光する前面発光素子と、背面発光する背面発光素子とを含み、前記第1領域は前記前面発光画素の内部に形成され、前記第2領域は前記背面発光画素の内部に形成される。
【0019】
前記第1領域及び第2領域は、各々同色の前面発光画素及び背面発光画素の内部に形成されている。
【0020】
前記隔壁の開口部は、前記反射電極を露出する第1開口部と前記第2領域の第1電極を露出する第2開口部とを含む。
【0021】
前記第1開口部は前面発光画素の内部に形成されており、前記第2開口部は背面発光画素の内部に形成されている。
【0022】
前記反射層上に形成される封止部材をさらに含む。
【0023】
前記第1電極は、半透過物質を含む。
【0024】
前記第1電極の下部層はITOまたはIZO、中間層はAg、上部層はITOまたはIZOからなり、前記中間層の厚さは200Åより小さい。
【0025】
前記反射電極の下部層はITOまたはIZO、中間層はAg、上部層はITOまたはIZOからなり、前記中間層の厚さは1000Åより大きい。
【0026】
前記第2電極は、半透過物質を含む。
【0027】
前記反射層は、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)の中から選択されたいずれか一つで構成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、前面発光型基板及び背面発光型基板をそれぞれ完全体として全て形成することなく、いずれか一つの基板の一つの画素に前面発光領域及び背面発光領域を形成することによって、単純な製造工程により薄型の両面発光型有機発光表示装置を製造することができる。
【0029】
また、半透過物質からなる第1電極及び第2電極を前面発光領域及び背面発光領域の全域に亘って形成し、反射電極を前面発光領域の第1電極上に形成し、反射層を背面発光領域の第2電極上に形成することによって、微細共振効果による高い発光効率及び高い色純度の表示品質を示す有機発光表示装置を製造することができる。
【0030】
また、一つの基板に同色の前面発光画素及び背面発光画素を形成することによって、単純な製造工程で薄型の両面発光型有機発光表示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の一つの画素の配置図である。
図2図1の有機発光表示装置をII−II線に沿って切断した断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の複数の画素の配置図である。
図4図3の有機発光表示装置をIV−IV’及びIV”−IV’’’線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して、本発明の多様な実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様な異なる形態に具現され、ここで説明する実施形態に限られない。
【0033】
また、多様な実施形態において、同一構成からなる構成要素については同一符号を使用して代表的に第1実施形態で説明し、その他の実施形態では第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0034】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似する構成要素については同一参照符号を付けた。
【0035】
また、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明が必ずしも示されたとおりであるとは限らない。
【0036】
図面においては、複数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。また、図面においては、説明の便宜のために、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分がある部分の「上」にまたは「上部」にあるとする時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0037】
本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置について、図1及び2を参照して詳細に説明する。
【0038】
図1は本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置における一つの画素を示した配置図であり、図2図1の有機発光表示装置をII−II線に沿って切断した断面図である。
【0039】
図1及び図2に示したように、有機発光表示装置は、一つの画素毎に各々形成されたスイッチング薄膜トランジスタ10、駆動薄膜トランジスタ20、キャパシタ80、及び有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)70を含む。また、有機発光表示装置は、一方向に沿って配置されるゲート線121と、ゲート線121と絶縁されて交差するデータ線171と、共通電圧線172とをさらに含む。ここで、一つの画素は、ゲート線121、データ線171、及び共通電圧線172を境界として定義されるが、必ずしもこの形態に限定されるものではない。
【0040】
有機発光素子70は、第1電極710、第1電極710上に形成された有機発光層720、及び有機発光層720上に形成された第2電極730を含む。ここで、第1電極710は正孔注入電極の正(+)極となり、第2電極730は電子注入電極の負(−)極となる。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、有機発光表示装置の駆動方法により、第1電極710が負極となり、第2電極730が正極となってもよい。第1電極710及び第2電極730から各々正孔及び電子が有機発光層720の内部に注入される。注入された正孔及び電子が結合した励起子(exciton)が励起状態から基底状態に落ちる時に発光する。
【0041】
一つの画素は、有機発光層720で発光した光が第2電極730の位置する方向である前面方向に発光する第1領域、つまり前面発光領域(F)と、有機発光層720で発光した光が第1電極710の位置する方向である背面方向に発光する第2領域、つまり背面発光領域(R)とを含む。
【0042】
キャパシタ80は、層間絶縁膜160を間において配置された第1蓄電板128及び第2蓄電板178を含む。ここで、層間絶縁膜160は誘電体である。キャパシタ80により蓄電された電荷と両蓄電板128、178間の電圧とによって蓄電容量が決定される。
【0043】
スイッチング薄膜トランジスタ10は、スイッチング半導体層131、スイッチングゲート電極122、スイッチングソース電極173、及びスイッチングドレイン電極174を含む。駆動薄膜トランジスタ20は、駆動半導体層132、駆動ゲート電極125、駆動ソース電極176、及び駆動ドレイン電極177を含む。
【0044】
スイッチング薄膜トランジスタ10は、発光させる画素を選択するスイッチング素子として使用される。スイッチングゲート電極122は、ゲート線121と接続される。スイッチングソース電極173は、データ線171と接続される。スイッチングドレイン電極174は、スイッチングソース電極173から離隔配置されて、第1蓄電板128と接続される。
【0045】
駆動薄膜トランジスタ20は、選択された画素内の有機発光素子70の有機発光層720を発光させるための駆動電圧を第1電極710に印加する。駆動ゲート電極125は、第1蓄電板128と接続される。駆動ソース電極176及び第2蓄電板178は、各々共通電圧線172と接続される。駆動ドレイン電極177は、電極コンタクト孔(contact hole)182を介して有機発光素子70の第1電極710と接続される。
【0046】
このような構造によって、スイッチング薄膜トランジスタ10は、ゲート線121に印加されるゲート電圧によって作動して、データ線171に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスタ20に伝達する役割を果たす。共通電圧線172から駆動薄膜トランジスタ20に印加される共通電圧と、スイッチング薄膜トランジスタ10から伝達されたデータ電圧との差に相当する電圧がキャパシタ80に保存され、キャパシタ80に保存された電圧に対応する電流が、駆動薄膜トランジスタ20を介して有機発光素子70に流れて、有機発光素子70が発光する。
【0047】
以下、図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の構造について、積層順序に従って具体的に説明する。
【0048】
また、以下では、駆動薄膜トランジスタ20を中心に薄膜トランジスタの構造について説明する。そして、スイッチング薄膜トランジスタ10については、駆動薄膜トランジスタと異なる点のみ簡略に説明する。
【0049】
基板110上には、駆動半導体層132が形成される。基板110は、ガラス、石英、セラミック、プラスチックなどからなる絶縁性基板から形成される。しかし、これに限定されない。基板110は、ステンレス鋼などからなる金属性基板から形成されてもよい。
【0050】
駆動半導体層132は、多結晶シリコン膜から形成される。また、駆動半導体層132は、不純物がドーピングされないチャンネル領域135と、チャンネル領域135の両側にp+ドーピングされて形成されたソース領域136及びドレイン領域137とを含む。この時、ドーピングされるイオン物質は、ホウ素(B)などのP型不純物であり、主にBが使用される。このような不純物は、薄膜トランジスタの種類によって異なる。
【0051】
本実施形態においては、駆動薄膜トランジスタ20としてP型不純物を用いたPMOS構造の薄膜トランジスタが使用されたが、これに限定されない。駆動薄膜トランジスタ20として、NMOS構造またはCMOS構造の薄膜トランジスタも全て使用されうる。
【0052】
また、図1及び2に示した駆動薄膜トランジスタ20は、多結晶シリコン膜を含む多結晶薄膜トランジスタであると述べた。図2に示されてないスイッチング薄膜トランジスタ10についても、多結晶薄膜トランジスタまたは非晶質シリコン膜を含む非晶質薄膜トランジスタであってもよい。
【0053】
駆動半導体層132上には、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiO)などから形成されたゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140上には、駆動ゲート電極125を含むゲート配線が形成される。また、ゲート配線は、ゲート線121、第1蓄電板128、及びその他の配線をさらに含む。そして、駆動ゲート電極125は、駆動半導体層132の少なくとも一部、特にチャンネル領域135と重なるように形成される。
【0054】
ゲート絶縁膜140上には、駆動ゲート電極125を覆う層間絶縁膜160が形成される。ゲート絶縁膜140及び層間絶縁膜160は、駆動半導体層132のソース領域136及びドレイン領域137を露出する複数の貫通孔を共に有する。層間絶縁膜160は、ゲート絶縁膜140と同様に、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiO)などのセラミック(ceramic)系の素材から形成される。
【0055】
層間絶縁膜160上には、駆動ソース電極176及び駆動ドレイン電極177を含むデータ配線が形成される。また、データ配線は、データ線171、共通電圧線172、第2蓄電板178、及びその他の配線をさらに含む。そして、駆動ソース電極176及び駆動ドレイン電極177は、各々層間絶縁膜160及びゲート絶縁膜140に形成された複数の貫通孔を通して、駆動半導体層132のソース領域136及びドレイン領域137と接続される。
【0056】
このように、駆動半導体層132、駆動ゲート電極125、駆動ソース電極176、及び駆動ドレイン電極177を含む、駆動薄膜トランジスタ20が形成される。駆動薄膜トランジスタ20の構成は前述した例に限定されず、当該技術分野の専門家が容易に実施できる公知された構成に多様に変形可能である。
【0057】
層間絶縁膜160上には、データ配線172、176、177、178を覆う平坦化膜180が形成される。平坦化膜180は、その上に形成される有機発光素子70の発光効率を向上させるために、段差をなくして平坦化する役割を果たす。また、平坦化膜180は、ドレイン電極177の一部を露出する電極コンタクト孔182を有する。
【0058】
平坦化膜180は、アクリル系樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド系樹脂(polyamides resin)、ポリイミド系樹脂(polyimides rein)、不飽和ポリエステル系樹脂(unsaturated polyesters resin)、ポリフェニレン系樹脂(polyphenylenethers resin)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(polyphenylenesulfidesresin)、及びベンゾシクロブテン(benzocyclobutene、BCB)を含む一つ以上の物質などから構成される。
【0059】
また、本実施形態は、前述した構造に限定されない。場合によっては、平坦化膜180及び層間絶縁膜160のうちのいずれか一つが省略されてもよい。
【0060】
平坦化膜180上には、有機発光素子70の第1電極710が形成されている。第1電極710は、前面発光領域(F)及び背面発光領域(R)の全域にわたって形成されている。第1電極710は、平坦化膜180の電極コンタクト孔182を介してドレイン電極177と接続される。
【0061】
第1電極710は、半透過物質から形成されてもよい。このために、第1電極710は、三重層に形成される。この場合、第1電極710の下部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)で形成し、第1電極710の中間層はリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの物質から形成し、第1電極710の上部層は、ITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成する。第1電極710の中間層を銀(Ag)から形成した場合、中間層の厚さは200Åより小さく形成することが望ましい。中間層の厚さが200Åより大きい場合には、光が第1電極710を透過し難い。
【0062】
さらに、前面発光領域(F)に位置する第1電極710上には、反射電極715が形成されている。このような反射電極715は、三重層に形成される。この場合、反射電極715の下部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)より形成し、反射電極715の中間層はリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの物質より形成し、反射電極715の上部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)より形成する。反射電極715の中間層を銀(Ag)から形成した場合、中間層の厚さは1000Åより大きく形成することが望ましい。中間層の厚さが1000Åより小さい場合には、反射電極715で光が反射し難い。この時、第1電極710の上部層が反射電極715の下部層と同一物質であるITOまたはIZOから形成される場合、第1電極710上に形成される反射電極715の下部層は形成しなくてもよい。
【0063】
平坦化膜180上には、反射電極715を露出する第1開口部191fと、背面発光領域(R)に位置する第1電極710を露出する第2開口部191rとを有する隔壁191が形成される。つまり、反射電極715は、隔壁191の第1開口部191fに対応するように配置され、背面発光領域(R)に位置する第1電極710は、第2開口部191rに対応するように配置される。このような第1開口部191f及び第2開口部191rは、一つの画素の内部に形成されている。隔壁191は、ポリアクリル系樹脂(polyacrylates resin)及びポリイミド系(polyimides)などの樹脂またはシリカ系の無機物などから形成される。また、隔壁191は、たとえば、半円筒形状に形成される。このように形成することによって、直四角形の場合より薄膜カソードの連結が切れることを防止するのに有利であると同時に、OLED製造工程でマスクと基板の接触面積を減らすことができる。
【0064】
前面発光領域(F)に位置する反射電極715及び背面発光領域(R)に位置する第1電極710上には、有機発光層720が形成されている。前面発光領域(F)に位置する反射電極715上に形成されている有機発光層720及び背面発光領域(R)に位置する第1電極710上に形成されている有機発光層720は、隔壁191によって互いに分離されている。
【0065】
有機発光層720は、低分子有機物またはPEDOT(Poly3、4−ethylenedioxythiophene)などの高分子有機物からなる。
【0066】
また、有機発光層720は、発光層、正孔注入層(hole−injection layer、HIL)、正孔輸送層(hole−transporting layer、HTL)、電子輸送層(electron−transporting layer、ETL)、及び電子注入層(electron−injection layer、EIL)のうちの一つ以上を含む多重膜に形成されてもよい。これら全てを含む場合、正孔注入層が正極の第1電極710及び反射電極715上に配置され、その上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順に積層される。
【0067】
前面発光領域(F)の有機発光層720及び背面発光領域(R)の有機発光層720上には、第2電極730が形成されている。
【0068】
第2電極730は、半透過物質から形成されてもよい。このために、第2電極730は、三重層に形成される。この場合、第2電極730の下部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成し、第2電極730の中間層はリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの物質から形成し、第2電極730の上部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成する。第2電極730の中間層を銀(Ag)から形成した場合、中間層の厚さは200Åより小さく形成することが望ましい。中間層の厚さが200Åより大きい場合には、光が第2電極730を透過し難い。
【0069】
このように、第1電極710、有機発光層720、及び第2電極730を含む有機発光素子70が形成される。
【0070】
第2電極730上には、封止部材210が基板110に対向して配置される。封止部材210は、ガラス及びプラスチックなどの透明な物質から形成される。
【0071】
背面発光領域(R)には、封止部材210と第2電極730との間に、反射層740が形成されている。反射層740は、第2電極730と所定の間隔で離隔して形成されてもよく、第2電極730と接触して形成されてもよい。
【0072】
反射層740は、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの反射型物質から形成される。
【0073】
従って、前面発光領域(F)では、反射電極715によって有機発光層720で発光した光が前面に発光し、背面発光領域(R)では反射層740によって有機発光層720で発光した光が背面に発光する。このように、一つの画素内に前面発光領域(F)及び背面発光領域(R)を全て形成することによって、単純な製造工程で薄型の両面発光型有機発光表示装置を製造することができる。
【0074】
また、前面発光領域(F)に形成されている反射電極715は、半透過物質からなる第2電極730と共に微細共振効果(micro cavity effect)を奏する。このような微細共振効果は、光が所定の距離だけ離れている反射電極715及び半透過物質からなる第2電極730により繰り返し反射されることによって、補強干渉して特定の波長の光を増幅させる効果を奏する。また、背面発光領域(R)に形成されている反射層740は、半透過物質からなる第1電極710と共に微細共振効果を奏するため、本願の第1実施形態に係る有機発光表示装置は、高い光効率及び高い色純度の表示品質を示すことができる。
【0075】
一方、第1実施形態では、一つの画素の内部に前面発光領域及び背面発光領域の全てを形成することによって、単純な製造工程により薄型の両面発光型有機発光表示装置を製造することができたが、同色に発光する互いに異なる各々の画素の内部に前面発光領域及び背面発光領域を形成してもよい。
【0076】
図3は本発明の第2実施形態による有機発光表示装置の複数の画素の配置図であり、図4図3の有機発光表示装置をIV−IV’及びIV”−IV’’’線に沿って切断した断面図である。
【0077】
次に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。本発明の第2実施形態は、図1及び図2に示した第1実施形態と比較して、同色光を発光するように構成された前面発光画素及び背面発光画素を形成したことを除いて画素の構成は実質的に同一であるため、共通する構成要素およびその作用についてはその説明を省略する。
【0078】
図3及び図4に示したように、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置は、同色光を発するように構成される前面発光画素(Pf)及び背面発光画素(Pr)を含む。前面発光画素(Pf)は、有機発光層720で発光した光が第2電極730の位置する方向である前面方向に発光する第1領域、つまり前面発光領域(F)を含む。背面発光画素(Pr)は、有機発光層720で発光した光が第1電極710の位置する方向である背面方向に発光する第2領域、つまり背面発光領域(R)を含む。すなわち、図3において、画素70は同色光を発するPfおよびPrとして構成され、当該PfおよびPrは相互に隣接して配設されうる。
【0079】
前面発光画素(Pf)及び背面発光画素(Pr)の平坦化膜180上には、第1電極710が形成されている。前面発光画素(Pf)の第1電極710及び背面発光画素(Pr)の第1電極710は、互いに分離されている。
【0080】
第1電極710は、半透過物質から形成されてもよい。このために、第1電極710は、三重層に形成される。この場合、第1電極710の下部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成し、第1電極710の中間層はリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの物質から形成し、第1電極710の上部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成する。第1電極710の中間層を銀(Ag)から形成した場合、中間層の厚さは200Åより小さく形成することが望ましい。中間層の厚さが200Åより大きい場合には、光が第1電極710を透過し難い。
【0081】
そして、前面発光画素(Pf)の前面発光領域(F)に位置する第1電極710上には、反射電極715が形成されている。反射電極715は、三重層に形成される。この場合、反射電極715の下部層は、ITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成し、反射電極715の中間層はリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの物質から形成し、反射電極715の上部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成する。反射電極715の中間層を銀(Ag)から形成した場合、中間層の厚さは1000Åより大きく形成することが望ましい。中間層の厚さが1000Åより小さい場合には、反射電極715で光が反射し難い。この時、第1電極710の上部層が反射電極715の下部層と同一物質であるITOまたはIZOから形成される場合、第1電極710上に形成される反射電極715の下部層は形成しなくてもよい。
【0082】
平坦化膜180上には、前面発光画素(Pf)の反射電極715を露出する第1開口部191fと、背面発光画素(Pr)の第1電極710を露出する第2開口部191rとを有する隔壁191が形成される。つまり、反射電極715は、隔壁191の第1開口部191fに対応するように配置され、第1開口部191fは前面発光画素(Pf)に位置し、第2開口部191rは背面発光画素(Pr)に位置する。
【0083】
前面発光画素(Pf)に位置する反射電極715、及び背面発光画素(Pr)に位置する第1電極710上には、有機発光層720が形成されている。前面発光画素(Pf)に位置する反射電極715上に形成されている有機発光層720、及び背面発光画素(Pr)に位置する第1電極710上に形成されている有機発光層720は、隔壁191によって互いに分離されている。
【0084】
前面発光画素(Pf)に形成されている有機発光層720、及び背面発光画素(Pr)に形成されている有機発光層720上には、各々第2電極730が形成される。
【0085】
第2電極730は、半透過物質から形成されてもよい。このため、第2電極730は、三重層に形成される。この場合、第2電極730の下部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成し、第2電極730の中間層はリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの物質から形成し、第2電極730の上部層はITO(酸化インジウムスズ)またはIZO(酸化インジウム亜鉛)から形成する。第2電極730の中間層を銀(Ag)から形成した場合、中間層の厚さは200Åより小さく形成することが望ましい。中間層の厚さが200Åより大きい場合には、光が第2電極730を透過し難い。
【0086】
このように、第1電極710、有機発光層720、及び第2電極730を含む有機発光素子70が形成される。
【0087】
第2電極730上には、封止部材210が基板110に対向して配置される。封止部材210は、ガラス及びプラスチックなどの透明な物質から形成される。
【0088】
背面発光画素(Pr)には、封止部材210と第2電極730との間に反射層740が形成されている。反射層740は、第2電極730と所定の間隔で離隔して形成されてもよく、第2電極730と接触して形成されてもよい。
【0089】
反射層740は、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの反射型物質から形成される。
【0090】
従って、前面発光画素(Pf)では、反射電極715によって有機発光層720で発光した光が前面に発光し、背面発光画素(Pr)では、反射層740によって有機発光層720で発光した光が背面に発光する。このように、一つの基板に同色の画素を前面発光画素(Pf)及び背面発光画素(Pr)として形成することによって、単純な製造工程で薄型の両面発光型有機発光表示装置を製造することができる。
【0091】
また、前面発光画素(Pf)に形成されている反射電極715は、半透過物質からなる第2電極730と共に微細共振効果を奏する。また、背面発光画素(Pr)に形成されている反射層740は、半透過物質からなる第1電極710と共に微細共振効果を奏するため、本願の第2実施形態による有機発光表示装置は、高い光効率及び高い色純度の表示品質を示すことができる。
【0092】
本実施形態では、一つのスイッチング薄膜トランジスタ(Qs)及び一つの駆動薄膜トランジスタ(Qd)だけを示したが、これら以外に、少なくとも一つの薄膜トランジスタ及びこれを駆動するための複数の配線をさらに含んでもよい。
【0093】
以上で、本発明を望ましい実施形態を通して説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲の概念及び範囲を逸脱しない限り、多様な修正及び変形が可能であることを本発明が属する技術分野に従事する者は簡単に理解することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 スイッチング薄膜トランジスタ、
20 駆動薄膜トランジスタ、
70 有機発光素子、
80 キャパシタ、
110 基板、
121 ゲート線、
140 ゲート絶縁膜、
171 データ線、
172 駆動電圧線、
191 隔壁、
191f 第1開口部、
191r 第2開口部、
710 第1電極、
715 反射電極、
720 有機発光層、
730 第3電極、
740 反射層。
図1
図2
図3
図4