(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隙間遮蔽装置(20)は、固定部材(21)と遮蔽部材(23)を枢結手段(22)により連結一体化したユニット(20a)を構成しており、前記固定部材(21)は、該ユニット(20a)を既設の落下物受取装置(4)に後付け可能とする着脱自在な取付手段(25a,25b)を設けて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の足場における落下物の落下防止装置。
前記枢結手段(22)を介して固定部材(21)と遮蔽部材(23)を重ね合わせたユニット(20a)の複数を平行姿勢とした状態で上下に積層したとき、上下に隣り合うユニット(20a,20a)の遮蔽部材(23,23)が相互に所定間隔(R)で配置されるように構成され、
前記遮蔽部材(23)の上下面の一方表面に前記所定間隔(R)を保持するスペーサ部材(29)を突出して設けると共に、他方表面に前記スペーサ部材を該遮蔽部材に固着する固着具(37)の頭部(37a)を突出して設け、前記スペーサ部材(29)の突出面には、前記固着具の頭部(37a)に対応する位置に嵌合凹部(38)を形成しており、
積層状態で上下に隣り合うユニット(20a,20a)の相互において、一方のユニットの遮蔽部材(23)から突出する固着具の頭部(37a)が他方のユニットの遮蔽部材(23)に設けられたスペーサ部材(29)の嵌合凹部(38)に嵌入するように構成されて成ることを特徴とする請求項3に記載の足場における落下物の落下防止装置。
【背景技術】
【0002】
足場構築体の作業空間で高所作業を行う場合、作業中に、作業空間の外側の外側空間に向けて、作業者が使用する工具や作業用機材その他の物品が誤って落下するおそれがある。このような落下物は、地上を往来する者を直撃する危険があり、人身事故を招来する可能性がある。
【0003】
このため、本出願人は、特許文献1に説明するような朝顔と称する落下物受取装置を提案している。この落下物受取装置は、足場構築体から外側空間に向けて突設され、落下物を受取りやすいように自由端部を斜め上向きとした姿勢で固定される。
【0004】
ところで、例えば、悪天候等、作業中断が必要な場合、落下物受取装置は、強風に煽られる危険があるので、格納できるように構成することが望ましい。このため、特許文献1のように、落下物受取装置は、基端部を足場構築体に横軸を介して枢結し、自由端部を外側空間に向けて突出した稼働姿勢と、該自由端部を上向きとして足場構築体の鉛直面に重ね合わせた格納姿勢との間で姿勢変更可能となるように構成されている。
【0005】
また、足場構築体の外側空間に臨む作業空間の外側面には、現場に応じて、シートや、養生枠や、防音パネル等の被覆部材が選択的に取付けられる場合がある。このため、特許文献1のように、落下物受取装置の基端部は、足場構築体に対して、外側空間に向かう複数位置から選択された位置に取付可能とすることにより取付位置変更可能となるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1により提案した落下物受取装置によれば、作業者が誤って物品を外側空間に落下した場合、落下物は、落下途中に設けられた落下物受取装置により好適に受取られるので、地上における往来者等の人身事故を未然に防止することができる。
【0008】
しかしながら、落下物受取装置は、足場構築体の支柱に対して枢結構造を有するブラケットを介して取付固定される構造上、該落下物受取装置の基端部の縁と、足場構築体の作業空間の外側面の間には、狭小な隙間を生じることが不可避である。このため、例えば、ボルト・ナットや、ビス等の小さい物品が落下すると、前記隙間を通過することにより地上に向けて落下するおそれがあり、金属製等の落下物の場合、微小な物品であっても人体を負傷する危険がある。
【0009】
しかも、上述のように、落下物受取装置は、稼動姿勢と格納姿勢の間で選択的に姿勢変更可能に構成されているので、稼働姿勢とされた落下物受取装置に前記隙間を塞ぐ板材を設ける単純な構成とする場合は、落下物受取装置を格納姿勢に姿勢変更するとき、前記板材を取外す必要がある等、姿勢変更の作業が困難となる。
【0010】
更に、上述のように、落下物受取装置は、取付位置変更可能に構成されており、基端部を足場構築体に対して最も近接位置に取付けたときに形成される狭小な隙間は、該落下物受取装置の基端部を足場構築体から離れた位置に取付けた状態として取付位置を変更すると、前記隙間を拡大するので、このような隙間の変化に対応して常に好適に隙間を塞ぐことができる装置が求められる。
【0011】
本発明は、上記のような落下物通過の危険を有する隙間を好適に遮蔽できるようにした装置を提供するものであり、特に、落下物受取装置が姿勢を変更され又は取付位置を変更されることにより隙間を拡大又は縮小する場合でも、その変更に追従して、常に隙間を確実に遮蔽できる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、上記課題解決のために、本発明が第1の手段として構成したところは、足場板を上下階層状に備えた足場構築体により作業空間を形成し、前記足場構築体から作業空間の外側空間に向けて突出する落下物受取装置を設けており、前記落下物受取装置は、基端部を前記足場構築体に横軸を介して枢結され、自由端部を前記外側空間に向けて突出する稼働姿勢と、該自由端部を上向きとして前記足場構築体に近接する格納姿勢との間で姿勢変更可能とされた構成において、前記落下物受取装置の基端部と足場構築体との間に形成される隙間を覆う隙間遮蔽装置を設け、前記隙間遮蔽装置は、前記落下物受取装置の基端部に固定される固定部材と、該固定部材に枢結手段を介して回動自在に連結された遮蔽部材を備え、前記遮蔽部材は、落下物受取装置を稼働姿勢とした状態で、前記枢結手段を介して固定部材から足場構築体に向けて角度θで起立することにより前記隙間を覆い、落下物受取装置の姿勢が変更されたとき、該姿勢変更に追従して前記角度θを変更可能とするように構成されて成る点にある。
【0013】
また、本発明が第2の手段として構成したところは、足場板を上下階層状に備えた足場構築体により作業空間を形成し、前記足場構築体から作業空間の外側空間に向けて突出する落下物受取装置を設けており、前記落下物受取装置は、基端部を前記足場構築体に横軸を介して枢結され、自由端部を前記外側空間に向けて突出する稼働姿勢と、該自由端部を上向きとして前記足場構築体に近接する格納姿勢との間で姿勢変更可能とされると共に、前記横軸を外側空間に向かう複数位置で選択的に取付可能とすることにより取付位置変更可能とされた構成において、前記落下物受取装置の基端部と足場構築体との間に形成される隙間を覆う隙間遮蔽装置を設け、前記隙間遮蔽装置は、前記落下物受取装置の基端部に固定される固定部材と、該固定部材に枢結手段を介して回動自在に連結された遮蔽部材を備え、前記遮蔽部材は、落下物受取装置を稼働姿勢とした状態で、前記枢結手段を介して固定部材から足場構築体に向けて角度θで起立することにより前記隙間を覆い、落下物受取装置の前記取付位置が変更されたとき、該取付位置変更に追従して前記角度θを変更することにより前記隙間(S)を覆うように構成されて成る点にある。
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、前記隙間遮蔽装置は、固定部材と遮蔽部材を枢結手段により連結一体化したユニットを構成しており、前記固定部材は、該ユニットを既設の落下物受取装置に後付け可能とする着脱取付手段を設けている。
【0015】
この際、前記枢結手段を介して固定部材と遮蔽部材を重ね合わせたユニットの複数を平行姿勢とした状態で上下に積層したとき、上下に隣り合うユニットの遮蔽部材が相互に所定間隔で配置されるように構成し、前記遮蔽部材の上下面の一方表面に前記所定間隔を保持するスペーサ部材を突出して設けると共に、他方表面に前記スペーサ部材を該遮蔽部材に固着する固着具の頭部を突出して設け、前記スペーサ部材の突出面には、前記固着具の頭部に対応する位置に嵌合凹部を形成することが好ましい。これにより、積層状態で上下に隣り合うユニットの相互において、一方のユニットの遮蔽部材から突出する固着具の頭部が他方のユニットの遮蔽部材に設けられたスペーサ部材の嵌合凹部に嵌入するように構成される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明によれば、隙間遮蔽装置20は、落下物受取装置4の基端部に固定される固定部材21に対して、遮蔽部材23が枢結手段22により回動自在であり、回動起立角度θを任意の角度に変更可能とするように構成されているので、落下物受取装置4を稼働姿勢とした場合には、遮蔽部材23が固定部材21から足場構築体1に向けて所定角度θで起立され、作業空間の外側面Xと落下物受取装置4の間の隙間Sを好適に塞ぐことにより落下物の通過を阻止し、落下物受取装置4を格納姿勢に向けて姿勢変更する場合には、そのような姿勢変更に追従して前記角度θを自在に変更することにより、遮蔽部材23が好適に折畳まれ、落下物受取装置4の姿勢変更を可能にする。
【0017】
請求項2に記載の本発明によれば、隙間遮蔽装置20は、落下物受取装置4が外側空間に向かう方向に関して取付位置を変更されることにより、隙間Sの大きさを変化する場合でも、そのような取付位置の変更に追従して遮蔽部材23の角度θを自在に変更することにより、常に、隙間Sを上方から塞ぎ、落下物の通過を阻止することにより、所期目的の安全を確保する。
【0018】
請求項3に記載の本発明によれば、ユニット20aとして構成した隙間遮蔽装置20を既設の落下物受取装置4に後付けすることができるので、現場ユーザのニーズに対応した装置の提供が可能になる。
【0019】
請求項4に記載の本発明によれば、前記ユニット20aを積層する作業が容易となり、しかも、積層状態からの崩壊を防止できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】落下物受取装置を設けた足場構築体の1例を示す斜視図である
【
図2】前記落下物受取装置の拡大図であり、(A)は全体を示す斜視図、(B)は枢結部分を拡大して示す斜視図である。
【
図3】前記落下物受取装置の姿勢変更の場合と取付位置変更の場合の作用を示しており、(A)は落下物受取装置を第1取付位置に取付けた状態を示す側面図、(B)は落下物受取装置を第2取付位置に取付けた状態を示す側面図である。
【
図4】本発明に係る隙間遮蔽装置の1実施形態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る隙間遮蔽装置の1実施形態に関して、着脱取付手段の第1取付手段と、固定部材及び遮蔽部材を分解した状態で示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る隙間遮蔽装置の1実施形態に関して、着脱取付手段の第2取付手段と、固定部材及び遮蔽部材を分解した状態で示す斜視図である。
【
図7】前記第1取付手段の作用を示しており、(A)は取付前の状態を示す平面図、(B)は取付作業中の状態を示す平面図である。
【
図8】前記第2取付手段の作用を示しており、(A)は取付前の状態を示す平面図、(B)は取付後の状態を示す平面図である。
【
図9】足場構築体に装備された落下物受取装置に対して本発明に係る隙間遮蔽装置を取付け、遮蔽部材を固定部材に重ね合わせた状態を示す平面図である。
【
図10】本発明の1実施形態に係る隙間遮蔽装置の作用を示しており、(A)は落下物受取装置を稼働姿勢とした状態における隙間遮蔽装置の作用を示す側面図、(B)は落下物受取装置を格納姿勢とした状態における隙間遮蔽装置の作用を示す側面図である。
【
図11】積層された隙間遮蔽装置のユニットを一部断面にて示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0022】
(足場構築体及び落下物受取装置の構成)
図1に示すように、足場構築体1は、公知の構成のものであり、図例では枠組足場を示しているが、単管足場、その他の足場でも良く、上下方向に延びる支柱2に対して、足場板3を上下階層状に設けることにより作業空間を形成する。
【0023】
足場構築体1の高所位置には、前記支柱2と足場板3により形成される作業空間の外側面Xよりも外側の外側空間Yに向けて張出状に突出するパネル状の落下物受取装置4が設けられている。
【0024】
落下物受取装置4は、足場構築体1における支柱2、2の間隔スパンLに対応する大きさに形成され、前記作業空間の外側面Xに沿って連設され、通常、朝顔と称されている。尚、図示の落下物受取装置4は、平面視を矩形パネル状に形成されているが、足場構築体1のコーナ部分においては三角形パネル状等に形成される。
【0025】
連設された落下物受取装置4の各々は、上方から落下する落下物を受取りやすくするように、基端部から自由端部に向けて上向き傾斜した姿勢(本発明において「稼働姿勢」という。)で取付けられ使用されるが、悪天候等、作業中断が必要な場合は、強風に煽られる危険があるので、
図1に矢印Uで示すように回動することにより、自由端部を直立方向に向けて移動し、該落下物受取装置4を作業空間の外側面Xに重ね合わせた姿勢(本発明において「格納姿勢」という。)で格納される。このため、
図2に示すように、落下物受取装置4の基端部の両端に回動自在な上部枢結手段5、5が設けられ、該上部枢結手段5を足場構築体1の支柱2に取付固着される。また、落下物受取装置4の自由端側の両端から下向きに延びる支持手段6、6が回動自在に設けられており、該支持手段6の先端に回動自在に設けられた下部枢結手段7が足場構築体1の支柱2に取付固着される。
【0026】
上部枢結手段5は、
図2(B)に示すように、落下物受取装置4のサイドフレーム4aから突設された枢支片8と、該枢支片8にボルト等の横軸部材9を介して枢結された支持ブラケット10を備え、前記支持ブラケット10を図例のようなクランプ金具等の固着手段
10aにより支柱2の所望個所に着脱自在に固着される。
【0027】
支持手段6は、図例のような入れ子式その他の伸縮可能なロッドにより構成され、該支持手段6の上端を前記サイドフレーム4aに回動自在に枢結し、下端に回動自在に枢結された下部枢結手段7に前記固着手段
10aと同様の固着手段を設けており、上部枢結手段5の下方で支柱2の所望個所に着脱自在に固着される。
【0028】
図2に示すように、落下物受取装置4のサイドフレーム4a、4aに設けられた前記枢支片8、8の間には、作業空間の外側面Xに向けて臨む補助板11が設けられており、該補助板11の両端縁と枢支片8の間には、前記枢支片8から延設された金具のL形片により形成された開口部12が上向きに開口され、補助板11の側縁11aが前記開口部12から前記外側面Xに向けて延びるように切欠き形成されている。
【0029】
このような補助板11により、足場構築体1の作業空間の外側面Xと落下物受取装置4の基端部の間の隙間Sは、可及的狭小となるように形成されるが、落下物受取装置4を回動自在な構成とする関係上、
図2(A)に示すような隙間Sの形成が不可避とされている。
【0030】
(姿勢変更機構)
上記の結果、落下物受取装置4は、上部枢結手段5の横軸部材9を支点として上下方向に回動可能であり、該回動に追従して支持手段6が回動すると共に伸縮し、これにより、上述のような自由端部を外側空間Yに向けて斜め上向きに突出した稼働姿勢と、該自由端部を直立方向に向けて作業空間の外側面Xに重ね合わせた格納姿勢との間で姿勢変更可能となるように構成されている。
【0031】
このため、
図3(A)に示すように、落下物受取装置4は、稼働姿勢P1に保持された状態で、作業空間の外側面Xと前記補助板11の間に隙間S1を形成するが、ほぼ直立姿勢とされる格納姿勢に姿勢変更されると、前記補助板11の先端を下向きに回動し、前記隙間S1と、足場構築体1と前記補助板11の間隔寸法を変化させる。
【0032】
(取付位置変更機構)
上述のように、足場構築体1の作業空間の外側面Xには、現場に応じて、シートや、養生枠や、防音パネル等の被覆部材が選択的に取付けられる場合がある。このため、落下物受取装置4の上部枢結手段5を構成する支持ブラケット10は、
図3に示すように、外側空間に向けて複数位置に設けられた複数の枢支孔9a、9bを有しており、横軸部材9の枢支位置を前記枢支孔9a、9bから選択することにより、落下物受取装置4の取付位置を変更可能とするように構成されている。
【0033】
図3(A)は、例えば、作業空間の外側面Xに被覆部材を設けない場合又はシート等の極薄の被覆部材が設けられる場合における落下物受取装置4の取付位置を示している。この場合、外側面Xに近い方の第1枢支孔9aが選択され、該第1枢支孔9aに横軸部材9を挿着することにより枢支片8を枢結するので、作業空間の外側面Xと前記補助板11の間に形成される隙間S1は狭小とされている。
【0034】
これに対して、
図3(B)は、例えば、養生枠や、防音パネル等の分厚い被覆部材が設けられる場合における落下物受取装置4の取付位置を示している。この場合、外側面Xから遠い方の第2枢支孔9bが選択され、該第2枢支孔9bに横軸部材9を挿着することにより枢支片8を枢結するので、作業空間の外側面Xと前記補助板11の間には拡大された隙間S2が形成されることになる。
【0035】
(隙間遮蔽装置)
本発明は、足場構築体1における作業空間の外側面Xと、落下物受取装置4の基端部(図示実施形態の場合、補助板11の先端縁)の間に形成される隙間Sを覆うことができる隙間遮蔽装置20を提供するものであり、特に、上述のように落下物受取装置4の姿勢変更や取付位置変更により隙間Sが変化する場合でも、それに追従することにより、常に確実に隙間を塞ぐことができる装置を目的としている。
【0036】
図4に示す1実施形態において、隙間遮蔽装置20は、前記落下物受取装置4の基端部(具体的には補助板11)に着脱自在に固定される固定部材21と、該固定部材21に枢結手段22を介して回動自在に連結された遮蔽部材23とを備えたユニット20aを構成している。
【0037】
前記固定部材21は、例えば、前記補助板11の上面にほぼ合致して重ねられる大きさ及び形状を有する金属板により形成され、両端に位置して、該固定部材21を補助板11に重ね合わせたとき、前記開口部12に臨まされる取付板24a、24bを固着しており、一方の取付板24aに第1取付手段25aを設け、他方の取付板24bに第2取付手段25bを設けている。尚、取付板24a、24bは、固定部材21の両端部の上面に重ねた状態で固着しても良く、反対に、下面に重ねた状態で固着しても良い。
【0038】
これに対して、前記遮蔽部材23は、落下物受取装置4の1個単位毎に前記隙間Sを完全に覆うことができるように、上部枢結手段5、5の間隔に相当する落下物受取装置4の全幅にわたる長さを有する金属板により形成されている。
【0039】
本発明の隙間遮蔽装置20は、予め固定部材21を落下物受取装置4の基端部に取付一体化することにより構成しても良いが、既設の落下物受取装置4に後付け可能なユニット20aを構成することが好ましく、
図4は、折畳まれたユニット20aとしての隙間遮蔽装置20の梱包時又は保管時の状態、その他、不使用時の状態を示している。
【0040】
ユニット20aとしての隙間遮蔽装置20は、固定部材21の上に遮蔽部材23を相互にの側縁部分がオーバラップするように重ね合わせた状態で、長手方向に間隔をあけて配置された複数の蝶番から成る枢結手段22により枢結され、図示矢印で示すように、固定部材21の上で遮蔽部材23を反転方向に回動起立可能とするように構成されている。
【0041】
固定部材21に遮蔽部材23を重ね合わせたユニット20aは、両部材21、23が平行姿勢で保持されるように、遮蔽部材23の下側に位置する固定部材21の側縁に、上向きに折曲された保持リブ26を形成している。尚、図例の場合、固定部材21の反対側の側縁には上向きリブ27が形成され、遮蔽部材23の自由端側の側縁には下向きの端縁リブ28が形成され、それぞれ固定部材21及び遮蔽部材23の強度向上に貢献する。尚、遮蔽部材23の上面には、後述するスペーサ部材29が設けられている。
【0042】
図4及び
図5に示すように、前記第1取付手段25aは、固定部材21の一方の端縁から突出する舌片部に下向きの第1ピン30を設け、固定部材21の一方の端部に位置する上向きリブ27の切欠き部から外側に突出する舌片部に前記上向きリブ27の延長方向に向けて下向き折返し状に折曲された係止爪31を設けている。
【0043】
図4及び
図6に示すように、前記第2取付手段25bは、固定部材21の他方の端縁から突出する舌片部に下向きの第2ピン32を設け、固定部材21の他方の端部に位置する上向きリブ27の切欠き部から外側に突出する舌片部に前記上向きリブ27の延長方向に進退自在な係止ロッド33を設けている。係止ロッド33は、前記取付板24bに立設された軸受部34に回動自在かつ摺動自在に支持され、前記上向きリブ27の延長方向に向けて下向き折返し状に折曲された爪33aを設けており、前記軸受部34に設けられたスプリング35により、常時は、前記爪33aが軸受部34の下側に向けて移動させられるように弾発付勢されている。
【0044】
このようなユニット20aとして構成された隙間遮蔽装置20は、前記取付手段25a、25bにより、既設の落下物受取装置4に対する後付けを可能とする。
図7ないし
図9に示すように、落下物受取装置4は、上部枢結手段5を介して足場構築体1の支柱2に装着されており、このような既設の落下物受取装置4に対して、隙間遮蔽装置20を以下の方法により後付けすることができる。
【0045】
隙間遮蔽装置20は、固定部材21に遮蔽部材23を重ね合わせた折畳み状態で、該固定部材21を落下物受取装置4の補助板11に斜交姿勢で重ね合わせ、
図7(B)に示すように、第1取付手段25aの第1ピン30をこれに対応する開口部12に挿入し、該第1ピン30を支点として図示矢印のように回動すると、係止爪31が補助板11の側縁11aを抱持係止し、これにより第1取付手段25aが補助板11に抜止め状態で取付けられる。
【0046】
上述の隙間遮蔽装置20を回動すると、
図8(A)に示すように、第2取付手段25bが補助板11の反対側の端部に重ねられるように接近するので、スプリング35に抗して係止ロッド33を摺動及び/又は回動することにより爪33aを外向きに移動させた状態で、第2ピン32をこれに対応する開口部12に挿入し、その後、係止ロッド33をスプリング33により移動復帰させると、爪33aが補助板11の側縁11aを抱持係止し、これにより第2取付手段25bが補助板11に抜止め状態で取付けられる。
【0047】
上記の作業により、
図9に示すように、隙間遮蔽装置20は、落下物受取装置4の補助板11に取付けられる。この際、遮蔽部材23は固定部材21の上に重ねられた折畳み状態とされており、第1取付手段25a及び第2取付手段25bを開放して露出させているので、隙間遮蔽装置20の後付け作業を容易に行うことができる。尚、隙間遮蔽装置20が不要な場合は、上記と逆の作業を行うことにより、隙間遮蔽装置20を簡単容易に取外すことが可能である。
【0048】
図10(A)に示すように、既設の落下物受取装置4に取付けた状態で、隙間遮蔽装置20の遮蔽部材23は、固定部材21に重ねられた不使用位置P1から、枢結手段22を支点として、角度θで示すように回動起立させられる。これにより、遮蔽部材23の自由端が支柱2及び/又はシート等の被覆部材36に当接する使用位置P2まで回動起立され、上述したような補助板11の先端縁と作業空間の外側面Xの間における隙間Sを塞ぐことができる。
【0049】
図例の場合、作業空間の外側面Xに設けられた被覆部材36が極薄のシート材から成る場合を示しているが、被覆部材36が分厚い枠材又はパネル材から成り、外側面Xから突出する場合でも、遮蔽部材23は、枢結手段22の回動により、自由端を任意の位置に移動可能とされているので、前記角度θを変更しながら回動することにより、図示の使用位置P3その他の任意位置において自由端を被覆部材36に当接させ、隙間Sを上方から確実に塞ぐことが可能である。
【0050】
そして、
図10(B)に示すように、落下物受取装置4を格納姿勢に向けて姿勢変更するため、落下物受取装置4(補助板11)を横軸部材9の廻りに回動し、該落下物受取装置4を足場構築体1に接近させると、自由端を足場構築体1及び/又は被覆部材36に当接した状態で、遮蔽部材23が前記角度θを狭めることにより、落下物受取装置4の姿勢変更に追従して回動され、最後は固定部材21に重なり合う折畳み状態とされるので、落下物受取装置4を取付けたままの状態で、落下物受取装置4の姿勢変更を可能とする。
【0051】
図示のように、使用位置P2又はP3に回動起立させられる遮蔽部材23は、自由端が枢結手段22の軸心を通る鉛直線Vを超えて移動した上向きの傾斜姿勢とされるように構成されているので、該遮蔽部材23の自重により、自由端を支柱2及び/又は被覆部材36に向けて当接方向に付勢した状態で停止保持される。しかしながら、このような自重による他、例えば、枢結手段22に鶴巻バネを介装する等、遮蔽部材23を前記当接方向に付勢する付勢手段を設けても良い。この場合、遮蔽部材23を付勢手段に抗して前記不使用位置P1に回動したとき、該遮蔽部材23を固定部材21に着脱自在に係止する係止手段を設け、これによりユニット20aとしての隙間遮蔽装置20の運搬・保管等に資するように構成することが好ましい。あるいは更に別の構成として、所定トルクの外力を与えたとき回動するが、該外力を解放すると摩擦抵抗等により任意の回動位置を保持するトルク蝶番により前記枢結手段22を構成しても良く、その場合、前述の係止手段を設けなくても遮蔽部材23を不使用位置P1に保持することが可能となる。
【0052】
このように、遮蔽部材23は、枢結手段22により回動自在であり、回動起立角度θを任意の角度に変更可能とするように構成されているので、上述のように落下物受取装置4が稼働姿勢と格納姿勢の間で姿勢変更される場合、あるいは、稼働姿勢自体を変更される場合でも、そのような姿勢変更に追従して前記角度θを自在に変更し、これにより、前記隙間Sを上方から好適に塞ぐと共に、遮蔽部材23が自動的に折畳まれるので、隙間遮蔽装置20を取付けたままの状態で、落下物受取装置4を格納姿勢に向けて姿勢変更可能とする。
【0053】
更に、上述のように落下物受取装置4が枢支孔9a、9bの選択により取付位置を変更することにより、隙間Sの大きさを変化する場合でも、遮蔽部材23は、そのような取付位置変更に追従して前記角度θを自在に変更することにより、常に、隙間Sを上方から好適に塞ぐことができる。
【0054】
その結果、上方の作業空間から外側空間Yに向けて小物等の小さな物品が落下した場合でも、落下物受取装置4のみならず隙間遮蔽装置20の遮蔽部材23により確実に落下物を受取ることが可能であり、地上に向けて落下することを好適に阻止する。
【0055】
上述のように、隙間遮蔽装置20は、既設の落下物受取装置4に後付け可能なユニット20aを構成しており、保管・運搬に際しては、
図11に示すように、複数ないし多数のユニット20aが積層可能とされるように構成されている。
【0056】
隙間遮蔽装置20は、ユニット20aの状態で、遮蔽部材23と固定部材21をほぼ平行状態に重ね合わせられ、遮蔽部材23を固定部材21の保持リブ26の上に当接する。この際、図示のように、第2取付手段25bは、係止ロッド33を軸受部材34に対して回動させることにより、固定部材21の上に移動され、これにより上下方向の嵩を低くするように構成されている。
【0057】
複数のユニット20aを上下に平行状態で積層したとき、上層のユニット20aのピン30、32が下層のユニット20aの取付板24a、24bに当接するので、上下に隣り合うユニット20a、20aの遮蔽部材23は、相互に所定間隔Rをあけて離間した状態で積層される。
【0058】
前記所定間隔Rに対応して、上記のスペーサ部材29は、該所定間隔Rを保持できる高さH(H=R)を有する角筒材により形成され、図例の場合、遮蔽部材23の上面から突出した状態で固着されている。この固着のため、遮蔽部材23を貫通して頭付き固着具37が挿着され、該固着具37により前記スペーサ部材29を遮蔽部材23の上面に固着すると共に、該固着具37の頭部37aを遮蔽部材24の下面に突出している。尚、固着具37は、図例のようなリベットの他、頭付きボルト等でも良い。
【0059】
そこで、図示のように、上層のユニット20aの遮蔽部材23の下面から突出する固着具37の頭部37aが下層のユニット20aの遮蔽部材23の上面に突設されたスペーサ部材29の突出面に対向するので、該スペーサ部材29の突出面には、前記頭部37aに対応する位置に嵌合凹部38が設けられている。
【0060】
この構成によれば、積層状態で上下に隣り合うユニット20a、20aの相互において、一方のユニット20aの遮蔽部材23から突出する固着具37の頭部37aが他方のユニット20aの遮蔽部材23に設けられたスペーサ部材29の嵌合凹部38に嵌入させられるので、多数のユニット20aを積層する際の作業が容易であり、しかも、積層状態の崩壊を防止できる。
【0061】
尚、図例の場合、スペーサ部材29を遮蔽部材23の上面に固着し、固着具37の頭部37aを遮蔽部材23の下面に突出させているが、これとは反対に、スペーサ部材29を遮蔽部材23の下面に固着し、固着具37の頭部37aを遮蔽部材23の上面に突出させても良い。また、嵌合凹部38は、図示のような孔により構成しても良く、あるいは、有底の窪みにより構成しても良く、要するに固着具37の頭部37aを嵌入することにより、遮蔽部材23の横方向の位置ずれを防止できるものであれば良い。