【実施例】
【0042】
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1:石鹸組成物1の調製および特性評価]
混合脂肪酸(ラウリン酸:ミリスチン酸:パルミチン酸:ステアリン酸:イソステアリン酸:ベヘン酸(含有比(重量比)20:35:15:20:5:5)、鹸化価228.37)100kgに、34%苛性ソーダ液48.2kg(苛性ソーダ量:16.4kg、水:31.8kg)とを徐々に添加しながら攪拌し、さらに液温が70〜80℃である条件下で、完全に中和させて、石鹸素地1を得た。
【0043】
得られた石鹸素地1の液温を、65〜75℃に保ちつつ、石鹸素地1に、糖(糖系透明化剤)として白糖25kgおよびソルビット10kgと、水10kgと、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム液0.5kgとを添加しながら攪拌して、これらを溶解させた後、さらに、グルコピラノシルグリセロール(GG)10kgを添加しながら、均一になるように混合して、液状の石鹸組成物1を得た。
【0044】
この液状の石鹸組成物1を、型(7.0cm×20cm×1.0cm)に流し込み、室温(25℃)で冷却固化させた後に、切断・乾燥し、さらに、直径6.4cm×厚さ1cmの円板状に成形して、
図1(a)の付け番10aに示されるような、円板状の固形石鹸組成物1を調製した。
【0045】
得られた石鹸組成物1中のGGの含有量は、組成物100重量%あたり、4.9重量%であり、糖系透明化剤とGGとの重量比(糖系透明化剤の添加量/GGの添加量)は、3.5である。
【0046】
次いで、後述する各評価方法・基準に基づいて、固形石鹸組成物1の特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。なお、表1では、各成分の含有量を、重量部で示している。
【0047】
[実施例2:石鹸組成物2の調製および特性評価]
混合脂肪酸とともに、アルコール類(アルコール系透明化剤)としてエタノール50kgを加えたこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物2を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。なお、石鹸組成物2中のGGの含有量は、組成物100重量%あたり、3.9重量%であり、糖系透明化剤とGGとの重量比(糖系透明化剤の添加量/GGの添加量)は、3.5である。
【0048】
[実施例3:石鹸組成物3の調製および特性評価]
混合脂肪酸とともに、アルコール系透明化剤としてエタノール50kgおよびグリセリン16kgを加え、GGの添加量を10kgから26kgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物3を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。なお、石鹸組成物3中のGGの含有量は、組成物100重量%あたり、9.1重量%であり、糖系透明化剤とGGとの重量比(糖系透明化剤の添加量/GGの添加量)は、1.3である。
【0049】
[実施例4:石鹸組成物4の調製および特性評価]
GGの添加量を10kgから0.1kgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物4を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。なお、石鹸組成物4中のGGの含有量は、組成物100重量%あたり、0.05重量%であり、糖系透明化剤とGGとの重量比(糖系透明化剤の添加量/GGの添加量)は、350である。
【0050】
[実施例5:石鹸組成物5の調製および特性評価]
GGの添加量を10kgから60kgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物5を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。なお、石鹸組成物5中のGGの含有量は、組成物100重量%あたり、23.7重量%であり、糖系透明化剤とGGとの重量比(糖系透明化剤の添加量/GGの添加量)は、0.58である。
【0051】
[実施例6:石鹸組成物6の調製および特性評価]
GGの添加量を10kgから20kgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物6を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。石鹸組成物6中のGGの含有量は、組成物100重量%あたり、9.4重量%であり、糖系透明化剤とGGとの重量比(糖系透明化剤の添加量/GGの添加量)は、1.75である。
【0052】
[実施例7:石鹸組成物7の調製および特性評価]
GGの添加量を10kgから40kgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物7を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。なお、石鹸組成物7中のGGの含有量は、組成物100重量%あたり、17.1重量%であり、糖系透明化剤とGGとの重量比(糖系透明化剤の添加量/GGの添加量)は、0.88である。
【0053】
[比較例1:石鹸組成物8の調製および特性評価]
GGを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物8を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0054】
[比較例2:石鹸組成物9の調製および特性評価]
GGを加えなかったこと以外は、実施例3と同様にして、石鹸組成物9を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0055】
[比較例3:石鹸組成物10の調製および特性評価]
GGおよび糖系透明化剤を加えなかったこと以外は、実施例3と同様にして、石鹸組成物10を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0056】
[比較例4:石鹸組成物11の調製および特性評価]
糖系透明化剤を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物11を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0057】
[比較例5:石鹸組成物12の調製および特性評価]
糖系透明化剤を加えなかったこと以外は、実施例3と同様にして、石鹸組成物12を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0058】
[比較例6:石鹸組成物13の調製および特性評価]
糖系透明化剤およびGGを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、石鹸組成物13を調製し、各種特性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0059】
[評価方法・基準]
以下、石鹸組成物の各特性の評価方法を示す。また、下記評価にて使用される「石鹸組成物(調製直後)」、「石鹸組成物(保存条件下)」、「石鹸組成物(使用条件下)」は、以下に定義される。
【0060】
[各石鹸組成物の処理]
(i)「調製直後の石鹸組成物」
調製後の経過時間が24時間未満の石鹸組成物を「調製直後の石鹸組成物」とした。
【0061】
(ii)「保存条件下での石鹸組成物」
「調製直後の石鹸組成物」を恒温槽(45℃、湿度 35%RH)内に3ケ月間放置して得られた石鹸組成物。
【0062】
(iii)「使用条件下での石鹸組成物」
1日あたり、下記操作1を朝夕2回(朝1回、夕方1回)実施し、操作1を実施する時を除いては、下記操作2を実施して石鹸を保管した。この操作1〜2を3週間継続して得られた石鹸組成物を、「使用条件下での石鹸組成物」とした。
【0063】
「操作1」:石鹸組成物を40℃の温水で濡らし、両手で包むようにして20回程度手のひらに擦り付け、泡立てた後、石鹸表面の泡を軽く洗い流し、簡単に水を切る操作
「操作2」:
図1(a)に示されるような、蓋体(図示せず。)と、水抜き用開孔部12を有する中底11と、下底13とからなる石鹸トレイ20の中底11上に、「操作1」を経た石鹸組成物15を載置し(
図1(b)、(c))、石鹸組成物が載置された中底11を下底13に、さらに蓋体14を中底11に組み付けて、該石鹸組成物の水切りをするとともに、水が被らないようにして、保管した((
図1(d))(操作2)。なお、図(c)〜(d)は、図(b)の破線AA´部分での断面図を示す。
【0064】
なお、各実施例および比較例の石鹸組成物(上記(i)〜(iii))の硬度を、JIS K 7312に準拠して、硬度計(規格:アスターゴム硬度計 タイプC)を用いて測定したところ、何れも硬度値が80以上であった。
【0065】
評価1(しっとり感)
15名により、通常の洗顔において、「調製直後の石鹸組成物」を使用し、以下の基準にて、洗顔後の肌の状態(しっとり感)を評価した。
[評価基準]
◎:しっとり感が非常に高い。
○:しっとり感がある。
△:しっとり感がない。
【0066】
評価2(起泡性)
MgCl
2を使用して調製した4度硬水を用いて、「調製直後の石鹸組成物」1重量%含む水溶液(水溶液全体100重量%)を調製した。調製された水溶液を200mLのメスシリンダーに5g充填し、30℃で、50回振盪し、生じた泡の高さ(mm)を測定し、以下の基準で泡質を評価した。
なお、下記○および◎の評価を示す固形石鹸組成物では、泡質が良好である(泡立ちが良好である。)。
【0067】
[評価基準]
◎:泡の高さが25mm以上である。
○:泡の高さが20mm以上25mm未満である。
△:泡の高さが15mm以上20mm未満である。
×:泡の高さが15mm未満である。
【0068】
評価3(透明性)
目視検査により、以下基準で、「石鹸組成物(調製直後)」および「石鹸組成物(使用条件下)」の透明性を評価した。
【0069】
[評価基準]
◎:全く白化が見られず、透明である。
○:若干白化が見られるが、概ね透明である。
△:白化が見られ、部分的に不透明である。
×:著しく白化が見られ、全体的に著しく不透明である。
【0070】
なお、上記「△」〜「◎」の評価が得られた石鹸組成物においては、該石鹸組成物を
を黒色台紙の上に置き、色彩色差計(規格:CR−300、製造元:ミノルタカメラ株式会社)を用いて測定されたL
*a
*b
*におけるL*値(明度)は、何れも40以下の値をしていた。
【0071】
評価4(石鹸組成物(使用条件下)の白濁層の厚さ(mm))
石鹸組成物(調製直後)(
図2で示される付け番20a)を用いて、上記[各石鹸組成物の処理]に記載の条件にて石鹸組成物(使用条件下)(
図2で示される付け番20b)を調製する。次いで、
図2(b)および(c)に示されるように、円板状の石鹸組成物20bの中心21を通り、両端点21´が円周上にある線分22上にて、石鹸組成物20bを切断して、2つの、切断された石鹸組成物20b´を得る。図(d)に示されるように、白濁層23a(白濁した石鹸組成物からなる層)と透明層23b(白濁していない石鹸組成物からなる層)とを形成している、石鹸組成物20b´の切断面23を観察し、白濁層23aの厚さd(mm)を測定する。
【0072】
評価5(石鹸組成物(使用条件下)の減量率(%))
石鹸組成物(調製直後)(A
0(g))を用いて、上記[各石鹸組成物の処理]に記載の条件にて石鹸組成物(使用条件下)を調製し、該石鹸組成物の重量(A
1(g))を測定して、以下の式により、「使用条件下での石鹸組成物の減量率(%)」を算出した。なお、この場合の石鹸組成物の減量が小さいほど、べたつき、発汗、溶け崩れ等の外観変化も小さいことが言える。
【0073】
【数1】
評価6(石鹸組成物(保存条件下)の減量率(%))
石鹸組成物(調製直後)(A
0(g))を用いて、上記[各石鹸組成物の処理]に記載の条件にて石鹸組成物(保存条件下)を調製し、該石鹸組成物の重量(A
2)(g)を測定して、以下の式により、「石鹸組成物(保存条件下)の減量率(%)」を算出した。なお、この場合の石鹸組成物の減量は、主に乾燥による水分の蒸発量に起因する。また、石鹸組成物中の水分量の減少(蒸発量の増大)は、石鹸組成物に白化が発生し、透明性を低下させることが言える。
【0074】
【数2】
【0075】
【表1】