(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封止部材を設けて前記複数の発光素子を封止部材によって封止する際に、複数の四角格子を有する反射枠を、各四角格子が各発光素子の周りを囲むように配置し、各発光素子を複数の四角格子を有する反射枠の各四角格子内で封止すること、
前記反射枠上を切断することで前記封止部材を分割すること、を含む請求項1に記載の発光装置の製造方法。
前記封止部材を設けて前記複数の発光素子を封止部材によって封止する際に、各発光素子の周りに四角格子形状を有する溝を形成するために、封止部材を縦横にハーフダイシングし、この溝に反射枠を形成すること、
前記反射枠上を切断することで前記封止部材を分割すること、を含む請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード素子(以下発光素子と略称する)は小型で発光効率が良く、鮮やかな発光色を有し、しかも長寿命で優れた駆動特性などを備えることなどから、近年ではカラー表示装置のバックライトの光源や照明等に広く利用される。そこで、本発明における発光装置も発光素子を備えた発光装置を実施形態として説明する。
【0003】
近年、基板に実装した発光素子を透明樹脂や透明ガラス、または蛍光樹脂等を含む封止部材で、基板上に発光素子を被覆することにより構成した白色発光装置やカラー発光装置が提供されており、このような構成からなる発光装置を、複数の発光素子を一括して集合基板上に搭載させて量産化する方法が知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0004】
図41には特許文献1における発光素子を備えた従来の発光装置が示されている。この発光装置100は、樹脂基板102の上面に発光素子103が直接搭載される上面電極102aと、ワイヤ104により発光素子103と電気的に接続される上面電極102aからなる一対の上面電極102aが、また樹脂基板102の下面には、出力用の下面電極102bが設けられ、一対の上面電極102aと外部接続電極である一対の下面電極102bとが一対のスルーホール電極102cによってそれぞれ電気的に接続されたものである。そして、この発光素子103は基板上で透明樹脂105により封止されている。なお、一対の上面電極102a上には、ワイヤのボンディングに必要な部分を除いた部分に発光効率を高めるための反射部材106が設けられている。
【0005】
図42には特許文献2における従来の発光素子を備えた発光装置が示されている。この発光装置200は、セラミック基板202の上面側に発光素子が直接搭載されて電気的に接続される一対の上面電極202aが、またセラミック基板202の下面側に出力用の一対の下面電極202bが設けられ、一対の上面電極202aと一対の下面電極202bとが一対のスルーホール電極202cによってそれぞれ電気的に接続されたものである。そして、セラミック基板202の上面側に設けられた上面電極202aに、発光素子203の下面に形成された一対のボンディング電極203aもしくはバンプなどを介してフリップチップ実装される。なお、発光素子203は低融点ガラス205で封止されている。
【0006】
ところで、上記特許文献1,2における発光素子を備えた発光装置100,200は、樹脂基板102やセラミック基板202などの電極を有する基板を用いて、基板上に発光素子を搭載し、発光素子を封止する樹脂を基板上に設けて発光素子を封止しているため、この基板が発光装置100,200の薄型化を妨げ、また放熱特性を低下させる一因ともなっていた。さらに、この基板によって部品点数が増加するため、コストアップの原因にもなっていた。
【0007】
そこで、従来にあっては、上記の問題を回避するため、最終的に基板を除去した発光装置が提案されている(特許文献3)。
【0008】
図43に示したように、この発光装置300は、金属、プラスチック、シリコーンなどから成る基板302の上面に、発光装置300と電気的に接続される一対の電極303a,303cと、発光素子304が搭載される電極303bとが形成され、発光素子304が接着剤により電極303bの上に固定され、ワイヤ305a,305bにより、発光素子304の一対の素子電極と接続された後、発光素子304が封止部材306によって封止されたのち、基板302を機械的あるいは化学的な方法によって除去し、最終的には電極303a,303b,303cを封止部材306の一面に露出させて、発光装置300の電極を構成したものである。
【0009】
しかしながら、上記従来の発光装置300にあっては、基板302を最終的に除去するので発光装置全体の薄型化が図られるものの、基板302にしっかりと固定された複数の電極303a,303b,303cを封止部材306側に固着して残した状態で基板302のみを剥がす必要があり、その剥離を機械的あるいは化学的な方法によるため、基板302の除去作業が困難であると共に作業効率も悪く、また基板302を剥がした後の発光装置300の品質を一定に保つのが難しいといった問題があった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態における発光装置の断面図である。
【
図2】
図1に示す発光装置の下面側の平面図である。
【
図3】
図1に示す発光装置を外部基板に実装した状態を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す発光装置の集合基板による製造方法を示すもので、複数の発光装置を搭載するための大判の治具板に剥離性の粘着シートを被着した状態を示す断面図である。
【
図5】
図4に示す治具板を上から見た平面図である。
【
図6】
図5に示す治具板の上面に被着した粘着シート上に複数の発光素子を所定の間隔に配置した状態を示す断面図である。
【
図7】
図6に示す治具板を上面側から見た平面図である。
【
図8】治具板の上面の粘着シート上に複数の四角格子を有する反射枠を配設して、複数の四角格子のそれぞれが各発光素子の周りに配置された状態を示す断面図である。
【
図9】
図8に示す治具板を上面側より見た平面図である。
【
図10】
図8の反射枠の内部に封止部材を充填してそれぞれの発光素子の上面側及び側面側を封止した状態を示す断面図である。
【
図11】樹脂で封止され、それぞれが四角格子形状の枠に囲まれた複数の発光素子を上面側から見た平面図である。
【
図12】治具板と粘着シートとを剥離して、集合的に封止部材で封止された複数の発光素子を有する封止部材を形成した状態を示す断面図である。
【
図13】
図12に示す集合的に封止部材で封止された複数の発光素子を有する封止部材から粘着シートを剥離した状態を下面側から見た平面図である。
【
図14】
図12に示す集合的に封止部材により封止された複数の発光素子を有する封止部材の下面全体と、複数の発光素子のそれぞれが有する一対の素子電極の下面が封止部材の下面と面一になっており、封止部材の下面と各発光素子が有する一対の素子電極の下面とを被覆する下地電極膜が形成された状態を示す断面図である。
【
図15】
図14に示す集合的に樹脂封止された複数の発光素子を下面側からみた平面図である。
【
図16】
図14に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材の下面に設けられた下地電極膜の下面に、レジストマスクを形成した状態を示す断面図である。
【
図17】
図16に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材を下面側からみた平面図である。
【
図18】
図16に示すレジストマスクの開口に外部接続電極用金属をメッキ形成した状態を示す断面図である。
【
図19】
図18に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材を下面側からみた平面図である。
【
図20】
図18に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材の下面のレジストマスクを除去した状態を示す断面図である。
【
図21】
図20に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材を下面側からみた平面図である。
【
図22】
図20に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材にメッキ形成された外部接続電極用金属をマスクとしてN外部接続電極とP外部接続電極間の下地電極膜を除去した状態を示す断面図である。
【
図23】
図22に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材を下面側からみた平面図である。
【
図24】
図22に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材を切断分離して、個々の発光装置を構成する状態を示す断面図である。
【
図25】
図24に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材を下面側からみた平面図である。
【
図26】本発明の第2実施形態における発光装置の断面図である。
【
図27】
図26に示す発光装置の製造方法を示すもので、粘着シートを剥離した複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材の底面に保護膜を形成した状態を示す断面図である。
【
図28】
図27に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材の下面に形成された保護膜の下面上に下地金属膜を形成した状態を示す断面図である。
【
図29】
図28に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材の下地金属膜上にレジストマスクを形成した状態を示す断面図である。
【
図30】
図29に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材のレジストマスクの開口に外部接続電極用金属をメッキ形成した状態を示す断面図である。
【
図31】
図30に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材のレジストマスクを除去した状態を示す断面図である。
【
図32】
図31に示す複数の発光素子を集合的に樹脂封止する封止部材の外部接続電極用金属をマスクとしてN外部接続電極とP外部接続電極間の下地電極膜を除去した状態を示す断面図である。
【
図33】本発明の第3実施形態に係る発光装置の断面図である。
【
図35】本発明の第4実施形態に係る発光装置の断面図である。
【
図36】本発明の第5実施形態に係る発光装置の断面図である。
【
図37】
図36に示した発光装置の製造方法の前段部分を示す工程図である。
【
図38】
図36に示した発光装置の製造方法の後段部分を示す工程図である。
【
図39】本発明の第6実施形態に係る発光装置の断面図である。
【
図40】
図39に示した発光装置の製造方法の特徴的な部分を示す工程図である。
【
図41】従来の発光装置の一例を示す断面図である。
【
図42】従来の発光装置の他の例を示す断面図である。
【
図43】発光素子が搭載される基板が除去された従来の発光装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1乃至
図3には本発明の第1実施形態に係る製造方法によって製造された発光装置が示され、
図4乃至
図25には第1実施形態に係る製造方法の工程が示されている。
【0024】
図1及び
図2において発光装置10は、一対の素子電極であるN電極3aおよびP電極3bを有する発光ダイオード素子(以下、発光素子)3と、この発光素子3の一対の素子電極のそれぞれが、少なくとも一面である下面を露出した状態で発光素子3を封止する透明な封止樹脂又は蛍光粒子が混入された透光性の封止樹脂5(以下封止部材)と、封止部材5から露出された一対の素子電極の少なくとも一面上に形成され、発光素子3の一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bと電気的に接続される一対の外部接続電極と、を有する発光装置である。封止部材5の外周側面には反射枠15が設けられて、この反射枠15が発光素子3の周囲を囲っている。発光素子3の上面及び側面は封止部材5によって封止され、封止部材5は直方体の形状を有する。封止部材5の周側面に設けられた反射枠15は四角枠形状を有している。また発光素子3の下面に設けられた一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bとの間の隙間にも封止部材5が入り込む。なお、封止部材5の下面5aは発光素子3の一対の素子電極であるN電極3a及びP電極3bの下面と面一の同一面になっている。そして、封止部材5の下面5aと発光素子3の一対の素子電極であるN電極3a及びP電極3bの下面には、後述する下地電極膜6が設けられている。この下地電極膜6は、下地電極と反射膜の機能を兼ね備えており、銀(Ag)等の導電性と反射性に優れた金属膜が望ましい。また、下地電極膜6は下地電極膜6を発光素子3の一対の素子電極3aおよび3bに電気的に接続されるようにN電極下地膜6aとP電極下地膜6bとに分離する切断部8を有する。
【0025】
また、N電極下地膜6aには全面にニッケル(Ni)層11a、金(Au)層12aが順にメッキされ、3層構造のN外部接続電極13nが形成される。同様にP電極下地膜6bの下面全体にニッケル(Ni)層11b、ニッケル層11bの下面全体に金(Au)層12bが順にメッキされ、3層構造のP外部接続電極13pが形成される。これにより、一対の外部接続電極が形成され、発光素子3の一対の素子電極と、電気的に接続される。なお、封止部材5の周側面上に形成され、四角格子の枠形状を有する反射枠15は反射率の高い白色樹脂で形成されるのが好ましい。
【0026】
次に、前記発光装置10の発光動作を説明する。
図3に示したように、発光装置10は、発光装置10が搭載される外部基板70の配線電極71,72に、発光装置10の一対の外部接続電極であるN外部接続電極13n及びP外部接続電極13pが半田付けされることにより、外部基板70の配線電極71、72に電気的に接続されて実装される。そして、外部基板70の配線電極71,72および発光装置10の外部接続電極を通じて、発光素子3の素子電極であるN電極3aとP電極3b間に所定の電力が供給されて発光素子3が発光する。
【0027】
前記発光装置10は発光素子3が搭載される基板を有していないため、外部基板70に実装した状態での薄型化が図られる。また、発光素子3が搭載される基板を有していないので、発光素子3から発した熱をN外部接続電極13n及びP外部接続電極13pを通じて直接外部基板70の配線電極71,72に放熱することができ、放熱効果が極めて高いものになる。また、発光装置10はN外部接続電極13n及びP外部接続電極13pを封部材止5の下面5a全体に形成しているため、外部基板70の配線電極71,72とは広い接触面積で電気的な接続を行うことができる。
【0028】
次に、
図4乃至
図25に基づいて上記発光装置10の製造方法を説明する。ここでは治具板を用いた製造方法の工程について説明する。
図4及び
図5には複数の発光装置10を搭載するための大判の治具板80と、この治具板80の上面に被着する剥離性の粘着シート81が示されている。この粘着シート81は、治具板80の略全面に被着される。
【0029】
図6及び
図7には治具板80の上面に被着された粘着シート81上に複数の発光素子3を実装する工程が示されている。それぞれの発光素子3は、発光素子の下面に形成された一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bを下側に向けた状態で、粘着シート81上に所定間隔ごとに配列される。なお、
図7において治具板80及び粘着シート81を縦横方向に点線で仕切っている各四角の範囲が1つの発光装置10となること示す。また、
図7において左上隅の発光素子3には発光素子3の下面に形成された一対の素子電極であるN電極3a及びP電極3bの位置が点線で示されている。
【0030】
図8及び
図9には前記治具板80の上面に複数の四角格子を有する反射枠5を配設する工程が示されている。各反射枠15は、
図7において発光装置10の範囲を示した点線上に格子状に配設され、この反射枠15によって各発光素子3の周りが囲まれる。治具板80に反射枠15を配設する手段としては、例えば反射枠15を予め複数の四角格子を有する形に組んでおき、そのまま粘着シート81上に、各反射枠15が各発光素子3の回りを囲むようにその反射枠15を配置してもよく、又は複数の発光素子3を封止部材5によって集合的に封止し、各発光素子3の周りに四角格子形状を有する溝を形成するために、封止部材5を縦横にハーフダイシングして、溝に樹脂を注入し硬化させることによって、複数の四角格子を有する反射枠15を直接形成することもできる。なお、この反射枠15は反射率の高い樹脂、例えば白色の樹脂材によって形成されることが好ましい。
【0031】
図10及び
図11には反射枠15によって囲まれた内部に封止部材5(本実施形態では蛍光剤含有樹脂)を充填して発光素子3の上面及び周側面を覆って樹脂封止する過程が示されている。また、この封止部材5は、発光素子3の下面に、発光素子の下面から突出形成された一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bとの間にも流れ込む。なお、
図11には発光素子3の位置が点線で示されている。
【0032】
図12及び
図13にはそれぞれが四角格子の有する反射枠15の中で樹脂封止された複数の発光素子3から治具板80と粘着シート81とを除去する剥離工程が示されている。この剥離工程では前記樹脂封止工程の後に熱を加え、先ず治具板80を外したのち、次いで粘着性が弱められた粘着シート81を引き剥がす。このとき、封止部材5の下面5aと、発光素子3の一対の素子電極であるN電極3a及びP電極3bの下面とは面一な同一平面になっている。また、発光素子3の下面側において、素子電極であるN電極3aとP電極3bとの間に充填された封止部材5もN電極3a及びP電極3bの下面と同一平面となっている。なお、本実施形態においては反射枠15の下面も封止部材および一対の素子電極と同一平面である。
【0033】
なお、剥離工程後において、複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lの下面側には粘着シート81の残渣等が付着していることがある。そこで、次工程に悪影響を及ぼさないように、クリーン化処理することが望ましい。クリーン化処理の方法としては、アルゴンガス等によるプラズマ処理がある。
【0034】
図14及び
図15には前記複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lの下面全体に下地電極膜6を形成するメタル層形成工程が示されている。前記したように、複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lの下面側では、各発光素子3の一対の素子電極であるN電極3a及びP電極3bの下面と封止部材5の下面5aとが同一平面となっている。複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lの下面全面に平面状の下地電極膜6を形成することで、全ての発光素子3が有する一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bとが電気的に短絡状態となる。なお、この下地電極膜6は反射膜としての機能も備えるため、例えば銀(Ag)など導電性と反射性の良い金属を用いて形成することが望ましい。
【0035】
図16及び
図17には前記下地電極膜6の上面に各発光素子3の素子電極であるN電極3a及びP電極3bと電気的に接続される一対の外部接続電極を形成するためのレジストマスクを形成する工程を示している。下地電極膜6の上面に接して、各発光素子3の一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bが設けられているが、レジストマスクを形成する場合、素子電極であるN電極3aとP電極3bとの間に対応する位置で、下地電極膜6の下面に電極分離用の第1レジストマスク63を、また各反射枠15に対応する位置に第2レジストマスク64をそれぞれ設ける。なお、これらレジストマスク63,64の形成方法としては、例えば全面にレジスト膜を形成したのち、格子状のマスクを用いて露光するフォトリソグラフィがある。
【0036】
図18及び
図19には前記下地電極膜6の上面に形成されたレジストマスク63,64のマスク開口部に外部接続電極用金属をメッキ形成するメッキ工程が示されている。この工程ではマスク開口部にニッケル層11及び金層12をこの順序で層状にメッキ形成する。
【0037】
図20及び
図21には前記レジストマスク63,64を除去するマスク除去工程が示されている。この工程では複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lを有機溶剤や有機アルカリなどの水溶液などに浸してレジストマスク63,64を溶解することで除去することができる。第1レジストマスク63が除去された部分では下地電極膜6cが露出し、第2レジストマスク64が除去された部分では下地電極膜6dがそれぞれ露出する。
【0038】
図22及び
図23には前記のマスク除去工程で露出した下地電極膜6c,6dをエッチングする電極分離工程が示されている。この工程ではニッケル層11と金層12とによって形成された外部接続電極用金属をマスクとして公知の方法でエッチングすることにより、露出している下地電極膜6c,6dが除去される。
【0039】
この工程により、下地電極膜6は発光素子3の素子電極であるN電極3aとP電極3bとの間で分離されることになる。そして、N電極3a側にはN電極下地膜6a、ニッケル層11a、金層12aの3層構造からなるN外部接続電極13nが、またP電極3b側にはP電極下地膜6b、ニッケル層11b、金層12bの3層構造からなるP外部接続電極13pがそれぞれ形成される。
【0040】
図24及び
図25には複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lを切断分離して、個々の発光装置10を構成する切断分離工程が示されている。この工程では四角格子からなる反射枠15に沿ってX方向及びY方向の切断線X,Yを設定し、この切断線X,Yに沿って複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lを切断する。この切断によって、
図1に示したような形状の発光素子3を備えた発光装置10に分離されて量産される。なお、本実施形態では切断線X,Yは反射枠15の略中心線上に設けられている。
【0041】
上述したように、本実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、治具板80及び粘着シート81を用いた仮基板の上に複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lを形成し、仮基板を除去した後の複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3Lの底面が同一平面になることを利用して、メッキ及びフォトレジスト技術によって外部接続電極を形成することにより、発光素子が搭載される基板を必要としない発光素子を備えた発光装置10を形成することができる。なお、上記各工程のうち反射枠15を設ける工程を省略しても発光素子発光装置10を形成することができる。また一対の外部接続電極13n,13pを形成するのに用いた電解メッキ法以外に、無電解メッキ法、蒸着法、スパッタリング法など他のメッキ法を用いても良い。この場合は、下地電極膜6が不要となる。
【0042】
(第2実施形態)
図26には本発明の第2実施形態に係る製造方法によって製造された発光装置が示され、
図27乃至
図32には第2実施形態に係る製造方法の工程が示されている。
【0043】
この実施形態に係る発光装置20は、その基本的構成が
図1に示した第1実施形態に係る発光装置10と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0044】
この発光装置20は、発光素子3を樹脂封止する封止部材5の下面5aの略全面に保護膜25が形成されている点で、先の発光装置10の構成とは異なる。前記保護膜25は、シリコーン樹脂で形成された柔軟性のある封止部材5を補強する目的で形成され、この保護膜25によって封止部材5の下面に形成されるN外部接続電極23nとP外部接続電極23pを安定化させることができる。また、保護膜25は発光装置20の発光効率を向上させる目的も持っているため反射性を有する必要がある。これらの条件を満足させるために、保護膜25としてはシリコーン樹脂またはエポキシ樹脂にガラスフィラーを混入して強度を高め、また酸化チタンを混入させて反射率を高めている。なお、保護膜25の形成方法としては、スクリーン印刷や、金属マスクを用いたマスク印刷等により、必要な部分に広く形成することが望ましい。
【0045】
前記保護膜25の下面には下地電極膜26が設けられている。また、下地電極膜26の端部が発光素子3の素子電極であるN電極3a及びP電極3bの下面に届く位置まで延びており、保護膜25から素子電極であるN電極3a及びP電極3bに移る位置には段差部27a,27bが設けられている。また、下地電極膜26は、前記発光素子3のN電極3a側のN電極下地膜26aと、P電極3b側のP電極下地膜26bとに切断部分8で分離されている。なお、下地電極膜26に用いられる材料は、下地電極としての機能を備えていれば良いので、導電性が良く、またエッチング性の良いチタン・タングステン合金(TiW)が好ましい。
【0046】
前記N電極下地膜26aには全面にニッケル(Ni)層21aと金(Au)層22aがメッキ形成され、3層構造のN外部接続電極23nを形成している。同様にP電極下地膜26bの全面にもニッケル(Ni)層21bと金(Au)層22bがメッキ形成され、3層構造のP外部接続電極23pを形成している。なお、本実施形態ではP外部接続電極23pが発光素子3のP電極3bと広い面積で接続しているので、P外部接続電極23pからの放熱効果が大きい。
【0047】
次に、
図27乃至
図32に基づいて上記発光装置20の製造方法を説明する。この実施例形態に係る製造方法は、基本的には第1実施形態における発光装置10の製造方法と同一である。したがって、同一工程については発光装置10の製造方法を引用し、重複する説明は省略する。また、第1実施形態における発光装置10の製造方法と同様に大判の治具板を用いて発光装置20を大量生産するものではあるが、説明を簡素化するために単個の中間状態を図示して製造方法を説明する。
【0048】
治具板の上面に粘着シートを被着し、その上に複数の発光素子を実装する工程から樹脂封止された発光素子から治具板と粘着シートとを除去する剥離工程までは、前記第1実施形態に係る製造方法と同一なので説明を省略する。
【0049】
図27には粘着シートを剥離した後の、複数の発光素子3を集合的に樹脂封止する封止部材3L(図示は単個だが集合体と同じ名称とする)に対して、封止部材5の下面5aに保護膜を形成する工程が示されている。この保護膜形成工程では発光素子3の下面に形成された素子電極であるN電極3a及びP電極3bが対応する部分に開口部25aを設けた状態で、封止部材5の下面5aの略全面に保護膜25が形成される。この保護膜25は、発光素子3の下面に形成された素子電極であるN電極3a及びP電極3bの一部に届く位置まで延びている。この保護膜25にはシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが用いられ、強度を得るためにその中にガラスフィラーが混入され、また反射率を高めるために酸化チタンが混入されている。保護膜25は、スクリーン印刷や、金属マスクを用いたマスク印刷等によって形成することができる。
【0050】
図28には前記発光素子3を樹脂封止する封止部材5の下面全体に下地電極膜26を形成するメタル層形成工程が示されている。このメタル層形成工程では保護膜25及び開口部25a内に露出する一対の素子電極であるN電極3a、P電極3bの下面にも連続した下地電極膜26を形成する。この下地電極膜26には、保護膜25の開口部25aの端部に段差部27a,27bが設けられる。なお、下地電極膜26はメッキ用の下地電極としての機能のみを必要とするので、導電性が良く、またエッチング性の良いTiW(チタン・タングステン合金)が望ましい。
【0051】
図29には前記下地電極膜26の下面に発光素子3の一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bとを分離するためのレジストマスクを形成するマスク工程が示されている。このマスク工程では下地電極膜26の下面において、各発光素子3の一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bとの間に対応する位置に電極分離用の第1レジストマスク83を、また各反射枠15に対応する位置に第2レジストマスク84をそれぞれ設けている。なお、これらレジストマスク83,84の形成方法は、第1実施形態での製造方法と同様、フォトリソグラフィを利用することができる。
【0052】
図30には前記下地電極膜26の下面に形成されたレジストマスク83,84のマスク開口部(レジストマスク83、84から露出している前記下地電極膜26の下面部分)に外部接続電極用金属をメッキ形成するメッキ工程が示されている。この工程ではマスク開口部の全体にニッケル層11及び金層12をこの順序で層状にメッキ形成する。その際、保護膜25の開口部25aにおいて下地電極膜26にニッケル層11を充填することでニッケル層11の下面を平らに調整し、その後ニッケル層11の下面に形成される金メッキ層12の厚みを均一にしている。
【0053】
図31にはレジストマスクを除去するマスク除去工程が示されている。この工程では第1の実施形態と同様な方法で第1レジストマスク83及び第2レジストマスク84を除去することができる。第1レジストマスク83が除去された部分では下地電極膜26cの下面が露出し、第2レジストマスク84が除去された部分では下地電極膜26dの下面が露出する。
【0054】
図32には前記のマスク除去工程で露出した下地電極膜26c,26dをエッチングする電極分離工程が示されている。この工程ではニッケル層11と金層12とによって形成された外部接続電極用金属をマスクとして、公知の方法で露出している下地電極膜26c、26dをエッチングすることにより、露出している下地電極膜26c,26dをそれぞれ除去する。
【0055】
この工程により、下地電極膜26は発光素子3の素子電極であるN電極3aに電気的に接続されるN電極下地膜26aと、P電極3bに接続されるP電極下地膜26bとに分離されることになる。そして、素子電極であるN電極3a側にはN電極下地膜26a、ニッケル層11a、金層12aの3層構造からなるN外部接続電極23nが、また素子電極であるP電極3b側にはP電極下地膜26b、ニッケル層11b、金層12bの3層構造からなるP外部接続電極23pがそれぞれ形成されることになり、
図26に示すような発光装置20が完成する。
【0056】
上記発光装置20の外部基板70への実装手段及び動作は
図3に示した発光装置10と同一である。この発光装置20が第1実施形態に係る発光装置10と異なるところは、下地電極膜を直接反射部材とせずに、反射部材を兼ねた保護膜25を形成し、その上に下地電極膜を形成して、N外部接続電極23n及びP外部接続電極23pを保護膜25を介して封止部材5上に延在させたことである。
【0057】
図26に示したように、この実施形態に係る発光装置20も発光素子が搭載される基板を有していないため、外部基板70に実装された状態での薄型化が得られる。また、発光素子が搭載される基板を用いていないことによって、発光素子3からの発熱がN外部接続電極23n及びP外部接続電極23pを通じて直接外部基板70の配線電極71,72に放熱されるため、放熱効果が極めて大きい。さらに、保護膜25に反射性を持たせることができることから、下地電極膜にはエッチング性の良いTiWを使用することができる。
【0058】
(第3実施形態)
図33には本発明の第3実施形態に係る製造方法によって得られた発光装置が示され、
図34には第3実施形態に係る製造方法の特徴的な工程が示されている。なお、第1実施形態における部材と同等の部材には同一の符号を付すことで、詳細な説明を省略する。
【0059】
図33に示されるように、この実施形態に係る発光装置30は、上面と、下面と、上面と下面の間の周面を有し、下面に一対の素子電極を有する発光素子3と、発光素子3の一対の素子電極を露出させるように配置され、発光素子3を封止する封止部材と、発光素子3の一対の素子電極に電気的に接続され、前記封止部材上に設けられた一対の外部接続電極とを備える。そして、封止部材は、素子電極の周囲に配置された第1封止部材31と、発光素子3の上面と周側面を封止する第2封止部材32とを備えている。詳細には、一対の素子電極であるN電極3aとP電極3bを下面に有する発光素子3と、この発光素子3を封止する封止部材とを備えている。発光素子3の素子電極であるN電極3aとP電極3bは金バンプなどの突起電極からなり、封止部材は第1封止部材31と第2封止部材32との2層構造からなる。少なくとも素子電極であるN電極3aとP電極3bの周囲を封止する第1封止部材31には例えば白色セラミックインクが用いられ、また少なくとも発光素子3の周側面と上面を封止する第2封止部材32には蛍光剤含有樹脂が用いられる。なお、金バンプの突出高さは例えば30μm程度である。また、第1封止部材31の下面には一対の外部接続電極からなるN外部接続電極13nとP外部接続電極13pが形成され、さらに第2封止部材32の外周は四角格子からなる反射枠15によって囲まれている。
【0060】
第1封止部材31を構成する白色セラミックインクは、一例ではオルガノポリシロキサン等のバインダ中に触媒や溶媒と共に二酸化チタン等の反射性粒子を混練し、その混合物を焼結したものである。焼結後の白色セラミックインクの厚さは30〜50μm程度が好ましい。焼結後の白色セラミックインクはガラス質(無機質)となる。第2封止部材32を構成する蛍光剤含有樹脂は、一例ではYAG等の蛍光体を含有したシリコーン樹脂である。反射枠15は第1実施形態と同様、反射性の微粒子を含有するシリコーン樹脂であり、また、N外部接続電極13nとP外部接続電極13pも、第1実施形態と同様に電解メッキ法で形成した金属パターンである。
【0061】
次に、
図34に基づいて上記発光装置30の製造方法を説明する。
図34は、第1実施形態の工程と異なる封止工程を中心に図示したもので、前記実施形態と同様、説明を簡素化するために単個の発光装置30について図示する。
図34(a)には治具板80上に被着された粘着シート81上に発光素子3を素子電極(N電極3a、P電極3b)が下向きとなるよう配置する発光素子配置工程が示されている。粘着シート81は、治具板80の上面を被覆する基材層81bと、その基材層81bの上面に積層される粘着糊層81aとで構成され、この粘着糊層81aに上から発光素子3を押し付けて、発光素子3のN電極3aとP電極3bが粘着糊層81aの中に隠れるまで沈み込ませる。
【0062】
図34(b)〜(c)には発光素子3の封止工程が示されている。本実施形態では発光素子3の素子電極であるN電極3aとP電極3bが粘着糊層81aに沈み込んでいるので、発光素子3の下面側の封止が課題となる。そこでまず(b)に示すように、粘着糊層81aより上の部分に第2封止部材32を充填して発光素子3を封止する。充填する際には、第1実施形態と同様に四角格子に組んだ反射枠15を用いるか、または金型を使って反射枠を直接樹脂成形する。また、複数の発光素子3を透明な樹脂又は透光性を有する樹脂から成る第2封止部材32により封止し、各発光素子3の周りに四角格子形状を有する溝を形成するために、第2封止部材32を縦横にハーフダイシングして、溝に白色樹脂など反射効果を有する樹脂を注入して反射枠を樹脂形成することも可能である。次いで、第2封止部材32に封止された発光素子3から治具板80及び粘着シート81を剥離し、第2封止部材32の下面及び発光素子3の素子電極であるN電極3a及びP電極3bを露出させる。次に
図34(c)に示すように、第2封止部材32の下面及び露出した素子電極であるN電極3a及びP電極3bが隠れるように第1封止部材31を形成する。形成方法としては、先ず第2封止部材32の下面に白色セラミックインクを厚めに塗布し、素子電極であるN電極3a及びP電極3bの全体が隠れるように下面側にも塗布する。次いで、白色セラミックインクを約150℃で硬化させてから下面を研磨し、素子電極であるN電極3a及びP電極3bの下面を露出させる。なお、白色セラミックインクを塗布・研磨する代わりに、白色セラミックインクを印刷したのち焼結させても良い。
【0063】
図34(d)には第1封止部材31の下面に外部接続電極が形成された工程が示されている。この工程では前記のように発光素子3が封止された第1封止部材31の下面に第1実施形態と同様の方法で、発光素子3の素子電極であるN電極3aに接続されるN外部接続電極13nと、発光素子3の素子電極であるP電極3bに接続されるP外部接続電極13pをそれぞれ形成する。N外部接続電極13n及びP外部接続電極13pの構造は、前記実施形態と同様、それぞれ下地電極膜、ニッケル層、金層の3層構造からなる。
【0064】
この実施形態では第1封止部材31を白色セラミックインクで、第2封止部材32を蛍光剤含有樹脂で構成してあるが、第1封止部材31及び第2封止部材32がこれらの部材に限定されないことは勿論である。例えば、第1封止部材31を散乱粒子が混練された樹脂層で構成しても良いし、第2封止部材32をセラミックインクで構成しても良い。このセラミックインクは蛍光体を含有していても含有していなくてもよい。
【0065】
(第4実施形態)
図35は本発明の第4実施形態における発光装置40の断面図を示したものである。この発光装置40は、前記第3実施形態における発光装置30の第2封止部材32が発光素子3の上面及び周側面を被覆する蛍光剤含有樹脂体42aと、その外側を封止する透明樹脂体42bとで構成されている点が第3実施形態の発光装置30と異なる以外は同一の構成からなる。したがって、第3実施形態における発光装置30の部材と同等の部材には同一の符合を付して詳細な説明は省略する。なお、蛍光剤含有樹脂体42aは、約100μm程度の均一な厚みで発光素子3の下面を除く全体を被覆している。
【0066】
前記蛍光剤含有樹脂体42aは、例えば治具板80上に被着された粘着シート81上に多数の発光素子3を所定の間隔で配列したのち、この発光素子3にスキージ等で蛍光剤含有ペーストを塗布・硬化させることで得られる。このように蛍光剤含有樹脂体42aで発光素子3を均一な厚みで被覆すると、発光素子3から上方向に出射された光も横方向に出射された光も蛍光剤含有樹脂体42aの中を同じ距離(均一な蛍光剤含有樹脂の厚み)を通過することとなり、発光方向の違いによる色むらを低減することができる。また、発光装置から出射して見える光も発光素子3周辺すなわち、蛍光剤含有樹脂体42aの表面から出射される光に限定されるため、封止樹脂全体に混ざるように蛍光剤が配置されている場合に比べて、より小さな点光源としてレンズなどによる配光性制御が容易になる。外部接続電極(N及びP外部接続電極13n,13p)と素子電極(N電極3a,P電極3b)とをメッキで接続させていることを始めとして、本実施形態の製造工程には高温処理がないため蛍光体ペーストに無機樹脂だけでなく有機樹脂も使用することができる。
【0067】
(第5実施形態)
図36には本発明の第5実施形態に係る製造方法によって製造された発光装置が示され、
図37及び
図38には第5実施形態に係る製造方法の工程が示されている。
【0068】
この実施形態に係る発光装置50は、上面と、下面と、上面と下面の間の周面を有し、下面に一対の素子電極を有する発光素子3と、発光素子3の上面に設けられた蛍光剤含有樹脂体である蛍光体層52と、蛍光体層52の上面に設けられた透明基材53と、発光素子3の一対の素子電極を露出させるように配置され、発光素子3の周側面を封止する封止部材51と、発光素子3の一対の素子電極3a,3bと電気的に接続され、封止部材51上に設けられた一対の外部接続電極13n,13pを有している。透明樹脂から成る封止部材51によって周側面が封止される発光素子3の上面に蛍光体層52が設けられ、蛍光体層52の上面にガラス基材などの透明基材53を積層した点に特徴がある。封止部材51の周側面は反射枠15によって囲まれており、封止部材51の下面および発光素子3の素子電極3a,3bの下面には外部接続電極13n,13pが形成されている。なお、この実施形態において、素子電極3a,3bは金バンプからなり、外部接続電極13n,13pは上記第1実施形態における発光装置10の外部接続電極と同一の3層構造からなるものである。
【0069】
次に、上記発光装置50の製造方法を
図37及び
図38に基づいて説明する。この実施例形態に係る製造方法は、大判のガラス基材の上に多数の発光素子を配列して一度に大量の発光装置50を生産するものではあるが、説明を簡素化するために2個の発光素子を配列した例を示して説明する。
【0070】
図37(a)、(b)に示したように、まず、厚さ数100μm程度の透明基材53を準備し、その上面に蛍光体層52を形成する。蛍光体層52は、バインダであるシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの中に蛍光剤を混入させたものであり、約100μm程度の厚さに形成する。
図37(c)に示されるように、次いで、この蛍光体層52の上面に素子電極3a,3bを上向きにした状態で複数の発光素子3を配列し、さらに
図37(d)に示されるように、透明基材53上に配列された発光素子3を封止部材51で封止する。この封止部材51にはシリコーン樹脂が用いられる他、オルガノポリシロキサンのように焼結することでガラス化する材料であっても利用できる。また、発光素子3の素子電極3a,3bは金バンプなどからなり、その突出高さは約10〜30μmが好ましい。
【0071】
次に、前記封止部材51に縦溝を切り、この縦溝に白色ペーストを流し込んだ後、これを硬化させて
図38(e)に示すような反射枠15を形成する。次いで、
図38(f)に示したように、素子電極3a,3bの下面が現われるまで封止部材51及び反射枠15を研磨して均一な平面を形成する。さらに、
図38(g)に示したように、発光素子3の素子電極3a,3bの下面及び封止部材51の下面に、第1実施形態と同様の方法で、外部接続電極13n,13pをそれぞれ形成する。この外部接続電極13n,13pの構造は、前記実施形態と同様、それぞれ電極下地膜、ニッケル層、金層の3層構造からなる。外部接続電極13n,13pを形成したのち、
図38(h)に示すように、反射枠15の中心線を切断し、個々の発光装置50に分離することで完成する。
【0072】
上記第5実施形態に係る発光装置50は、発光素子3の上部にガラス基材などの透明基材53を備えているので、装置全体の剛性が高いものとなる。また、蛍光体層52をガス透過性の低いガラス基材で覆っているので、装置全体の信頼性が高くなると共に製品寿命が長くなる。
【0073】
(第6実施形態)
図39には本発明の第6実施形態に係る発光装置60が示されている。この発光装置60は、上面と、下面と、上面と下面の間の周側面を有し、下面に一対の素子電極を有する発光素子3と、発光素子3の上面に設けられた蛍光剤含有樹脂体である蛍光体層52と、発光体層52の上面に設けられたガラス基材などの透明基材53と、発光素子3の一対の素子電極3a,3bを露出させるように配置され、発光素子3の周側面を封止する封止部材と、発光素子3の一対の素子電極3a,3bと電気的に接続され、封止部材上に設けられた一対の外部接続電極13n,13pを有している。この発光装置60が、先の第5実施形態に係る発光装置50と異なるのは、発光素子3を封止している封止部材が2層構造からなる透明樹脂体61と白色反射体62とで構成されている点である。透明樹脂体61は発光素子3の外周側面を覆うように設けられ、白色反射体62は発光素子3の下面に形成されている一対の素子電極3a,3bの周囲に設けられて素子電極を封止している。この白色反射体62は、第3実施形態における発光装置30と同様、発光素子3の素子電極3a,3bを白色セラミックインクによって封止するものであるが、白色セラミックインクのような無機材料に限られず、酸化チタン等の反射性微粉末を含むシリコーン樹脂やエポキシ樹脂を用いても良い。なお、その他の構成は第5実施形態における発光装置50と同一なので、同一の符合を付すことで詳細な説明を省略する。
【0074】
この第6実施形態における発光装置の製造方法は、先の第5実施形態における発光装置の製造方法において、透明基材53の上面に蛍光体層52を形成し、その上に発光素子3を配列するまでの工程は同じである。発光素子3を透明樹脂体61で封止する工程では、
図40(a)に示したように、透明樹脂体61を発光素子3の素子電極3a,3bが露出する程度の高さに留め、透明樹脂体61を仮硬化させた後、
図40(b)に示したように白色反射体62を素子電極3a,3bの上方まで塗布し、透明樹脂体61と共に硬化させる。硬化後、白色反射体62を研磨し、発光素子3の素子電極3a,3bの下面を露出させる。反射枠15及び外部接続電極13n,13pの形成手段は、第5実施形態の場合と同様の工程で行なうことができるので説明を省略する。
【0075】
上記第1〜6実施形態に係る発光装置では、発光素子3の素子電極3a,3bが金バンプなど凸部を有する突起電極からなる場合を説明したが、このような突起電極のみに限定されるものではなく、例えば発光素子の半導体層に形成されるn電極及びp電極(カソードとアノード)を素子電極とし、これに外部接続電極を直接接続することもできる。