特許第5775026号(P5775026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775026
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ダイナミックダンパ
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   H05B37/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-129715(P2012-129715)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-149593(P2013-149593A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2012年6月8日
【審判番号】不服2014-4977(P2014-4977/J1)
【審判請求日】2014年3月14日
(31)【優先権主張番号】101102620
(32)【優先日】2012年1月20日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501271516
【氏名又は名称】聚積科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】張隆國
(72)【発明者】
【氏名】劉興富
(72)【発明者】
【氏名】顏立維
(72)【発明者】
【氏名】陳俊吉
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 櫻田 正紀
【審判官】 平田 信勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−364484(JP,A)
【文献】 特開平10−108358(JP,A)
【文献】 特開2005−287268(JP,A)
【文献】 特開2009−100639(JP,A)
【文献】 特開2003−348747(JP,A)
【文献】 特開平1−248958(JP,A)
【文献】 特開昭63−64524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/00-39/10, H05B 41/24-41/298, H02M 7/00-7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突入電流を制限するためのダイナミックダンパであって、
第1コンデンサと第1端が当該第1コンデンサの第1端に接続され且つ第2端が負荷回路に接続されて当該ダイナミックダンパに対する入力電圧の印加を受ける電流源とを含む充電ループと、ダイオードを含む放電ループと、を有するタイミング回路であって、前記電流源は、直列接続された第1抵抗及び第2抵抗と、カソード端が当該第1抵抗及び当該第2抵抗の接続点に接続され且つアノード端が接地されたツェナーダイオードとを有するとともに、当該第1抵抗及び当該第2抵抗が前記放電ループにおける前記ダイオードに並列に接続されているタイミング回路と、
前記第1コンデンサの第1端に対し前記ダイオードのアノード端及び前記充電ループとともに接続されているゲートと、前記第1コンデンサの第2端とともに接地されているソースと、一端に前記ダイオードのカソード及び前記充電ループが接続された前記負荷回路の他端に接続されているドレインと、を有するトランジスタを含むダンパ回路と、
を備え、
当該ダイナミックダンパに印加される入力電圧がゼロでないときには常時、前記第1コンデンサに対し前記充電ループを通じて充電が行われるとともに、前記トランジスタは、前記第1コンデンサの容量電圧がゼロより大なる第1閾値電圧より小さい場合には、前記ダンパ回路がダイナミックダンパ抵抗値を有する遮断状態にあり、前記第1コンデンサの容量電圧が前記第1閾値電圧より大きく且つ第2閾値電圧より小さい場合には、前記ダイナミックダンパ抵抗値が減少する線形領域で動作し、前記第1コンデンサの容量電圧が前記第2閾値電圧より大きい場合には、前記ダイナミックダンパ抵抗値がゼロである飽和領域で動作し、
当該ダイナミックダンパに印加される入力電圧がゼロのときには常時、前記第1コンデンサから前記放電ループの前記ダイオードを通じて放電が行われる
ことを特徴とするダイナミックダンパ。
【請求項2】
前記ダンパ回路は、前記トランジスタの前記ソースと前記ドレインとの間に配置された抵抗を更に有することを特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパ。
【請求項3】
前記トランジスタが前記遮断状態から前記線形領域を経て前記飽和領域まで動作するダンパ期間長は固定値であることを特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックダンパ、より具体的には、突入電流を制限するためのダイナミックダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
照明要素を駆動するための照明駆動回路において、照明要素の輝度を調節するために調光器が一般に使用される。調光器は、例えば交流三極管(トライアック)やシリコン制御整流器(SCR)等である。この場合、入力AC電源の電流、電圧、又は位相を調節することで照明要素の輝度を調節する。
【0003】
図1は従来の調光器を備えた照明駆動回路のシステムブロック図である。同図の照明駆動回路100は、AC電源110、調光器120、整流回路130、電磁障害(EMI)フィルター140、及び変換器150を備える。この照明駆動回路100は、照明要素160を駆動するべく電流を供給するよう構成されている。しかし、調光器120を使用すると、AC電源110が印加するAC電圧の立ち上がり、又は立ち下がりがカットオフされる結果、次段の素子には急な立ち上がり電圧が印加されるおそれがある。また、EMIフィルター140により、入力電流に突入振動電流が発生するおそれがある。入力電流が振動すると、調光器120が異常な遮断状態になるために、照明要素160が明滅する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様では、突入電流を制限するためのダイナミックダンパは、第1コンデンサを有するタイミング回路と、タイミング回路に接続されたダンパ回路とを備えている。入力電圧がダイナミックダンパに印加されるとき、第1コンデンサは充電され、この入力電圧がゼロのとき、第1コンデンサは放電を開始する。第1コンデンサが充電され始めると、ダンパ回路は第1動作状態に入って、ダイナミックダンパ抵抗値を生成する。第1コンデンサの容量電圧が第1閾値電圧より大きくなると、ダンパ回路は第2動作状態に入って、ダイナミックダンパ抵抗値は減少を開始する。容量電圧が第2閾値電圧より大きくなると、ダンパ回路は短絡状態に入って、ダイナミックダンパ抵抗値は減少してゼロとなる。
【0005】
本発明は、以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。但し、この詳細な説明は、本発明の例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】従来の調光器を備えた照明駆動回路のシステムブロック図である。
図2】本実施形態に係る調光器を備えた照明駆動回路のシステムブロック図である。
図3A】本実施形態に係るダイナミックダンパの構成図である。
図3B】本実施形態に係るダイナミックダンパの構成図である。
図4A】本実施形態に係るダイナミックダンパの動作時のタイミング図である。
図4B】本実施形態に係るダイナミックダンパの動作時の各パラメータの波形である。
図5】本実施形態に係る照明駆動回路のシステムブロック図である。
図6】本実施形態に係るダイナミックダンパの構成図である。
図7】本実施形態に係るダイナミックダンパの動作時の各パラメータの波形である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係るダイナミックダンパは、突入電流を制限するために様々な照明駆動回路において使用される。一実施形態として、ダイナミックダンパは照明要素を駆動するための照明駆動回路に組み込まれているが、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0008】
図2は、本実施形態に係る調光器を備えた照明駆動回路のシステムブロック図である。同図の照明駆動回路200は照明要素270を駆動するために使用される。この照明駆動回路200は、交流(AC)電源210、調光器220、整流回路230、ダイナミックダンパ240、電磁障害(EMI)フィルター250、及び変換器260を備える。
【0009】
AC電源210はAC電力を調光器220に供給し、調光器220はユーザの要求に応じて照明要素270に供給される電力を調節して照明要素270の輝度及び彩度を調節する。本発明では、調光器220は、これらに限定されるものではなく、例えばトライアックや他の電子素子等でもよい。ここで、トライアックとは、AC電源210が供給する電力の位相を調節するものである。整流回路230は、位相調節後の電力に基づいて直流(DC)電力を生成し、このDC電力を、整流回路230に接続されたダイナミックダンパ240に供給する。
【0010】
図2に例示するように、ダイナミックダンパ240は、タイミング回路241とダンパ回路242とを備える。タイミング回路241は、ダンパ回路242のダンパ期間を制御して、ダンパ回路242による過剰なエネルギー消費を防ぐ。また、ダンパ回路242のダイナミックダンパ抵抗値をダンパ期間に応じて調節できる。従って、ダンパ回路242は、この照明駆動回路への損傷を低減するために、整流回路230が供給する電力(即ち、突入電流)を制限することが出来る。
【0011】
タイミング回路241は、充電ループ及び放電ループ(図2では不図示)を備える。充電及び放電の期間は、整流回路230が供給する電力により決定される。整流回路230が次段の部品への電力供給を開始すると、タイミング回路241の充電ループによりタイミングが開始される。充電ループ及び放電ループに制御されることによって、タイミング回路241に接続されたダンパ回路242の状態は、短絡状態、第1動作状態、第2動作状態の間で切り替えられる。ダンパ期間が始まると、ダンパ回路242はダイナミックダンパ抵抗値を生成して突入電流を制限する。そして、ダンパ期間が終了する前に、ダイナミックダンパ抵抗値は減少を始め、ダンパ期間終了時にゼロになる。ここでダンパ期間とは、ダンパ回路242の前の短絡状態から次の短絡状態までの期間、又は第1動作状態から第2動作状態を経て短絡状態に至る期間を意味する。
【0012】
最後に、DC電力はEMIフィルター250によるフィルタリングと変換器260による変換とを経て出力されて、照明要素270に供給される。
【0013】
図3Aは、ダイナミックダンパ240の詳細な実施形態を説明するために、本実施形態に係るダイナミックダンパの構成を例示している。ダイナミックダンパ240の端子A及びBは入力回路に接続され、端子C及びDは負荷回路に接続され、端子Bは接地され得る。従って、ダイナミックダンパ240は、任意の駆動回路において、入力回路からの突入電流を制限するために使用できる。
【0014】
ダイナミックダンパ240は、電流源IS、一方向導電(one-way conductive)素子D1、コンデンサC1、スイッチ素子M1、及び抵抗R1を備える。電流源ISの第1端はコンデンサC1の第1端に接続され、電流源ISの第2端は端子Aに接続され、コンデンサC1の第2端は接地されている。従って、電流源ISとコンデンサC1とは接続されて充電ループを形成する。
【0015】
一方向導電素子D1は電流源ISに平行に接続されている。即ち、一方向導電素子D1の第1端は、スイッチ素子M1の第1端、電流源ISの第1端、及びコンデンサC1の第1端に接続されている。一方向導電素子D1の第2端は端子Aに接続されている。一方向導電素子D1とコンデンサC1とは接続されて放電ループを形成する。すなわち、ダンパ回路242の第1端が一方向導電素子D1の第1端に接続され、ダンパ回路242の第2端がコンデンサC1の第2端とともに接地されている。
【0016】
スイッチ素子M1の第2端は接地されている。抵抗R1はスイッチ素子M1の第2端と第3端との間に接続されている。スイッチ素子M1の第3端は端子Dに接続されている。このように、スイッチ素子M1と抵抗R1とは接続されてダンパ回路を形成する。スイッチ素子M1はNチャネル金属酸化膜半導体(NMOS)トランジスタ、又は閾値電圧と導電特性を有する他の電子素子でもよい。もう一つ実施形態として、ダンパ回路はスイッチ素子M1だけを備えていてもよい。
【0017】
EMIフィルター250はインダクタL1とコンデンサC2とを使用してインダクタ・コンデンサ(LC)フィルターループを構成する。インダクタL1の第1端は、端子A、一方向導電素子D1の第2端、及び電流源ISの第2端に接続されている。インダクタL1の第2端は、コンデンサC2の第1端及び端子Cに接続されている。コンデンサC2の第2端は、端子D、スイッチ素子M1の第3端、及び抵抗R1に接続されている。
【0018】
電流源ISの詳細な実施形態は、図3Bに例示している。更に図4A及び図4Bを参照しつつ、ダイナミックダンパ240の動作について説明する。図3Bは本実施形態に係るダイナミックダンパの構成図である。図4Aは本実施形態に係るダイナミックダンパの動作時のタイミング図である。図4Bは本実施形態に係るダイナミックダンパの動作時の各パラメータの波形である。
【0019】
電流源ISは、ツェナーダイオードD2、抵抗R2、及び抵抗R3からなる。しかし、本発明はこれに限定されない。電流源ISは、例えば電圧分割により電流を生成できる任意の回路により実現されてもよい。本実施形態では、抵抗R2の第1端は、抵抗R3の第1端とツェナーダイオードD2のカソード端とに接続されている。抵抗R2の第2端は、端子AとダイオードD1の第2端とに接続されている。ツェナーダイオードD2のアノード端と、コンデンサC1の第2端とは、ともに接地されている。抵抗R3の第2端は、コンデンサC1の第1端、ダイオードD1の第1端、及びスイッチ素子M1(NMOSトランジスタ)の第1端に接続されている。
【0020】
一実施形態として、正半サイクル正弦波形の入力電圧Vin1が端子Aと端子Bとの間に印加された時に、入力電流Iin1が生成される。この入力電流Iin1は、EMIフィルター250のLCフィルターループにダイナミックダンパ240を介して供給される。
【0021】
ノード電圧VZ1が入力電圧Vin1に基づいてツェナーダイオードD2の逆降伏電圧特性を利用して抵抗R2とツェナーダイオードD2との接続点に生成される。ノード電圧VZ1はツェナーダイオードD2の降伏電圧に等しい。ノード電圧VZ1は時間とともに変わらない固定値である。容量電圧Vgs1は、抵抗R3を通してコンデンサC1を充電することで、スイッチ素子M1の第1端と第2端との間に得られる。
【0022】
容量電圧Vgs1が第1閾値電圧Vth1(スイッチ素子M1の閾値電圧)より低い時、スイッチ素子M1はオフ状態であり、ダンパ回路は第1動作状態にある。この時、抵抗R1に印加される電圧Vds1は、入力電流Iin1が抵抗R1を流れることで生成される。スイッチ素子M1と抵抗R1との間の等価抵抗は可変ダンパ抵抗である。この可変ダンパ抵抗は、抵抗R1の内部抵抗とスイッチ素子M1の内部抵抗との並列接続により形成されるダイナミックダンパ抵抗値RD1を有する。結果として、入力電流Iin1中の突入電流を効果的に制限できる。
【0023】
充電中のコンデンサC1の容量電圧が第1閾値電圧Vth1に等しくなると、電圧Vds1は最大値まで上昇する。また、ダンパ回路は第1動作状態に留まり、ダイナミックダンパ抵抗値RD1は安定な値を維持する。コンデンサC1の容量電圧が第1閾値電圧Vth1より大きくなると、スイッチ素子M1はピンチオフ状態になってスイッチ素子の内部抵抗は減少し、ダンパ回路は第2動作状態に入って、ダイナミックダンパ抵抗値RD1は減少を始める。
【0024】
コンデンサC1の容量電圧が上昇を続け第2閾値電圧Vth2より大きくなると、スイッチ素子M1はリニア状態に入って、導通する。スイッチ素子M1の内部抵抗は低導電抵抗まで減少する。低導電抵抗は小さいのでスイッチ素子M1は電流の通路を提供する短絡スイッチと見なすことが出来る。この時、ダイナミックダンパ抵抗値RD1はゼロまで減少し、従って、電圧Vds1もゼロまで減少する。ダンパ回路は短絡状態に入る。即ち、スイッチ素子M1が提供する通路を通して電流はアースへ流れる。従って、抵抗R1はエネルギーを消費しない。
【0025】
入力電圧Vin1が時間とともにゼロまで減少すると、コンデンサC1の容量電圧は入力電圧Vin1より大きくなり、一方向導電素子D1は導通する。従って、電圧Vgs1は一方向導電素子D1を通してVin1まで放電され始める。ダンパ回路は短絡状態に留まり、コンデンサC1の放電により生じた電流は、コンデンサC1の容量電圧がゼロに減少するまでEMIフィルター250のLCフィルターループとスイッチ素子M1とを通ってアースへ流れる。
【0026】
コンデンサC1の容量電圧がゼロまで減少すると、スイッチ素子M1は再びオフ状態になる。この時、ダイナミックダンパ抵抗値RD1は抵抗R1に等しくなる。その結果、ダイナミックダンパ回路は再びリセットされる。入力端子AとBに入力電圧Vin1が再び印加されると、コンデンサC1は充電され始め、ダンパ回路は再び第1動作状態に入る。
【0027】
ダイナミックダンパ240の充電ループと放電ループとがインタラクティブに動作する時、タイミング機能が開始される。ダンパ回路の状態は、短絡状態、第1動作状態、第2動作状態の間を切り替えられる。ダンパ期間はダンパ回路が動作し第1動作状態の開始から第2動作状態を経て短絡状態の開始へ至る期間を指す。
【0028】
充電ループが充電を開始するたびに、ダンパ期間が始まる。この時、ダンパ回路は安定状態のダイナミックダンパ抵抗値RD1を生成する。ダンパ期間が終わる前、即ち、電圧Vgs1が第1閾値電圧Vth1より大きくなると、ダイナミックダンパ抵抗値RD1は減少し始める。ダンパ期間が終わる時、即ち、電圧Vgs1が第1閾値電圧Vth1より大きく、電圧Vds1がゼロに減少する(電圧Vgs1は第2閾値電圧Vth2より大きい)時、ダイナミックダンパ抵抗値RD1もゼロに減少する。
【0029】
図5は本実施形態に係る駆動回路のシステムブロック図である。本実施形態の照明駆動回路300は照明要素370を駆動するために使用される。照明駆動回路300は、AC電源310、調光器320、整流回路330、ダイナミックダンパ340、EMIフィルター350、及び変換器360を備える。AC電源310、調光器320、整流回路330、ダイナミックダンパ340、EMIフィルター350、及び変換器360の機能は、図1の対応する構成要素の機能と同じであるので、その説明を省略する。図5の実施形態と図1の実施形態との唯一の違いは、タイミング回路341とダンパ回路342とを有するダイナミックダンパ340がEMIフィルター350と変換器360との間に配置されている事である。
【0030】
本実施形態に係るダイナミックダンパの構成図である図6を参照しながら、ダイナミックダンパ340の詳細な実施形態を説明する。ダイナミックダンパ340の端子EとFは図5の整流回路330の出力に接続される。端子GとFは負荷端において回路に接続される。端子FとHは接地されている。従って、ダイナミックダンパ340は任意の照明駆動回路において端子Eからの突入電流を制限するために使用されうる。
【0031】
EMIフィルター350はインダクタL2とコンデンサC3とを使用してLCフィルターループを構成する。インダクタL2の第1端は端子Eに接続されている。インダクタL2の第2端はコンデンサC3の第1端及び端子Gに接続されている。コンデンサC3の第2端は接地されている。
【0032】
ダイナミックダンパ340はEMIフィルター350に接続され、タイミング回路341とダンパ回路342とを有する。タイミング回路341は電流源IS、一方向導電素子D3、及びコンデンサC5を備える。ダンパ回路342はコンデンサC4、スイッチ素子M2、及び抵抗R4を備える。
【0033】
本実施形態において、コンデンサC3とC4の総容量は、図3AのコンデンサC2の容量に等しいが、本発明はこれに限定されない。コンデンサC3の容量は、これに限定されないがコンデンサC4の容量の16倍になるよう設計してもよい。
【0034】
一実施形態として、電流源ISは、これに限定されないがツェナーダイオードD4、抵抗R5、及び抵抗R6により構成してもよい。一方向導電素子D3は、これに限定されないがダイオードでもよい。スイッチ素子M2は、これに限定されないがNMOSトランジスタでもよい。
【0035】
一方向導電素子D3は電流源ISに並列に接続され、一方向導電素子D3の第1端(カソード端)はインダクタL2の第1端と抵抗R5の第1端とに接続されている。抵抗R5の第2端は抵抗R6の第1端とツェナーダイオードD4の第1端(カソード端)とに接続されている。ツェナーダイオードD4の第2端(アノード端)は接地されている。抵抗R6の第2端はコンデンサC5の第1端、一方向導電素子D3の第2端(アノード端)、及びスイッチ素子M2の第1端(ゲート)に接続されている。すなわち、ダンパ回路342の第1端が一方向導電素子D3の第1端に接続され、ダンパ回路342の第2端がコンデンサC5の第2端とともに接地されている。
【0036】
コンデンサC4の第1端はインダクタL2の第2端、コンデンサC3の第1端、及び端子Gに接続されている。コンデンサC4の第2端はスイッチ素子M2の第2端(ドレイン)と抵抗R4の第1端とに接続されている。抵抗R4の第2端とスイッチ素子M2の第3端(ソース)は両方とも接地されている。
【0037】
従って、電流源ISとコンデンサC1は接続されて充電ループを形成する。一方向導電素子D3とコンデンサC5は接続されて放電ループを形成する。
【0038】
図6図7を参照する。図7は本実施形態に係るダイナミックダンパの動作時の各パラメータの波形である。
【0039】
一実施形態として、入力不完全正弦波形電圧Vin2が端子Eと端子Fとの間に印加される。ノード電圧VZ2は入力電圧Vin2に基づいてツェナーダイオードD4の逆降伏電圧特性を使用して抵抗R5とツェナーダイオードD4との接続点に生成される。ノード電圧VZ2はツェナーダイオードD4の降伏電圧に等しい。ノード電圧VZ2は時間とともに変わらない固定電圧値である。コンデンサC5は固定電圧VZ2を使用して抵抗R6を通して充電される。
【0040】
コンデンサC5の容量電圧がスイッチ素子M2の第1端と第3端との間のVgs2を生成する。コンデンサC5の容量電圧が上昇すると、電圧Vgs2も上昇する。電圧Vgs2が第1閾値電圧Vth3(スイッチ素子M2の閾値電圧)よりまだ低いと、スイッチ素子M2はオフ状態で、ダンパ回路342は第1動作状態で動作する。
【0041】
スイッチ素子M2がオフ状態であるので、電流が抵抗R4を通って流れると、電圧Vds2がスイッチ素子M2の第2端と第3端との間(即ち、抵抗R4の両端間)に生成される。等価抵抗はスイッチ素子M2と抵抗R4とにより形成される。等価抵抗は可変ダンパ抵抗である。この可変ダンパ抵抗は、ダンパ抵抗R4の内部抵抗とスイッチ素子M2の内部抵抗との並列接続により形成されるダイナミックダンパ抵抗値RD2を有する。結果として、突入電流を効果的に制限できる。
【0042】
コンデンサC5の容量電圧が第1閾値電圧Vth3に等しくなる時、ダンパ回路342は第1動作状態を維持し、ダイナミックダンパ抵抗値RD2は安定な値を維持する。充電中のコンデンサC5の容量電圧が第1閾値電圧Vth3より大きくなると、スイッチ素子M2はピンチオフ状態になる。このように、スイッチ素子M2の内部抵抗は減少を始め、ダンパ回路342は第2動作状態に入って、ダイナミックダンパ抵抗値RD2は減少を始める。
【0043】
コンデンサC5の容量電圧が第2閾値電圧Vth4より大きくなると、スイッチ素子M2はリニア状態に入って導通する。スイッチ素子M2の内部抵抗は低導電抵抗まで減少する(この時、ダイナミックダンパ抵抗値RD2はスイッチ素子M2の導電抵抗にほぼ等しい)。低導電抵抗は小さいのでスイッチ素子M2は電流のアースへの通路を提供する短絡スイッチと見なすことが出来る。また、電圧Vds2もゼロまで減少する。ダンパ回路342は短絡状態に入る。従って、抵抗R4はエネルギーを消費しない。
【0044】
入力電圧Vin2が時間とともにゼロまで減少すると、コンデンサC5の容量電圧は入力電圧Vin2より大きくなって一方向導電素子D1は導通する。従って、コンデンサC5に蓄積された電気エネルギーは一方向導電素子D3を通して端子Eへ放電される。コンデンサC5の容量電圧が減少し第1閾値電圧Vth3より低くなるまでダンパ回路342は短絡状態に留まる。
【0045】
コンデンサC5の容量電圧が減少し第1閾値電圧Vth3より低くなると、スイッチ素子M2は再びオフ状態で動作する。ダイナミックダンパ抵抗値RD2は抵抗R4に等しい。従って、ダンパ回路342は再びリセットされる。入力端に入力電圧Vin2が再び印加されると、コンデンサC5は充電され始め、ダンパ回路342は再び第1動作状態に入る。
【0046】
ダイナミックダンパ340の充電ループと放電ループがインタラクティブに動作する時、タイミング機能が動作し始める。ダンパ回路342の状態は、短絡状態、第1動作状態、第2動作状態の間を切り替えられる。ダンパ期間とは、ダンパ回路342が動作し第1動作状態の開始から第2動作状態を経て短絡状態の開始へ至るまでの期間を意味する。
【0047】
特に、ダンパ期間はダイナミックダンパ340の入力電圧Vin2に依らない固定値である。ダンパ期間は充電電流(電流源IS)にのみ関係し、EMIフィルター350の共振周期の半分より大きい。
【0048】
本発明の全ての実施形態において、整流回路はブリッジ整流器、又はAC電力をDC電力に整流する他の回路でもよい。しかし、本発明はこれらに限定されない。
【0049】
本発明の全ての実施形態において、一方向導電素子はダイオード、又は一方向の電流を許す他の電子素子でもよい。
【0050】
本発明の全ての実施形態において、スイッチ素子はNMOSトランジスタ、又は閾値電圧と導電特性を有する他の電子素子でもよい。
【0051】
本発明の全ての実施形態において、ダンパ回路はスイッチ素子だけを備えていてもよい。
【0052】
本発明の全ての実施形態において、ダンパ期間は固定値でダイナミックダンパの入力電圧に依存しない。ダンパ期間は充電電流(即ち、電流源IS)にのみ関係する。
【0053】
本開示におけるダイナミックダンパは、入力電圧が電源変換器に入力された時だけ動作する(エネルギーを消費する)。しばらくして、ダイナミックダンパは短絡状態に入る。従って、照明駆動回路の電力供給時のエネルギー損失は大幅に減少し、電力供給の安定性が大幅に向上する。
【符号の説明】
【0054】
200 照明駆動回路
240 ダイナミックダンパ
241 タイミング回路
242 ダンパ回路
C1 第1コンデンサ
D1 一方向導電素子
S 電流源
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7