(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明のガラス基板研磨用磁性流動体の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の磁性流動体を用いた研磨加工の概略を示す平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図である。本実施形態では、所定のサイズに切断され、ダイヤモンドホイールによって断面形状が円弧状あるいはR形状に研削されたガラス基板の端面を研磨する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、研磨ホイール12bは、回転軸1と、磁場形成部2と、磁性流動体3とを備えている。
回転軸1は不図示の回転駆動部に接続され、軸周りに所望の回転速度で回転するように設けられている。また、回転軸1は、不図示の移動機構によりガラス基板Gに対して近接及び離反するように設けられている。
磁場形成部2は、回転軸1に固定され、回転軸1と共に回転する円盤状の第1部材2a及び第2部材2bを備えている。第1部材2a及び第2部材2bは、回転軸1の軸方向にガラス基板Gを研磨するのに適した所定の間隔で配置されている。第1部材2a及び第2部材2bは例えば永久磁石や電磁石などの磁石により構成され、第1部材2aと第2部材2bとの間に所望の強さの磁場を形成するように設けられている。
【0013】
磁性流動体3は、磁性体砥粒と液体とにより構成され、磁場形成部2の第1部材2aと第2部材2bとの間に形成される磁場によって保持されている。
磁性体砥粒は、ガラス基板Gなどの脆性材料を研磨するための研磨砥粒であり、例えば酸化鉄やフェライトなどの磁性体の粒子により構成されている。磁性体砥粒としてフェライトを用いることで、酸化防止のための添加物が不要になるか、またはその添加物を削減しつつ、磁性体砥粒の経時的な変質を抑制することができる。
【0014】
磁性体砥粒と混合される液体として、例えば、水、炭化水素、エステル類、エーテル類、フッ化水素などを用いることができる。また、水を主成分とし、炭化水素、エステル類、エーテル類、フッ化水素などを添加した液体を用いても良い。さらに、磁性体砥粒の凝集を防止するために、磁性流動体に界面活性剤を0.5wt%以下で添加しても良い。界面活性剤としては、脂肪酸エステルが例示される。また、組成変化を緩和するために、磁性流動体に水よりも沸点の高いプロピレングリコールを3%未満で添加しても良い。
【0015】
本実施形態では、磁性流動体3中の磁性体砥粒の濃度が70wt%以上になるように、磁性体砥粒と水とを混合している。磁性体砥粒の濃度は、ガラスの除去能力の観点から、80wt%以上であることが好ましく、85wt%以上であることがより好ましい。
磁性流動体3中の磁性体砥粒の濃度が70wt%以上である場合、磁性流動体3はペースト状になる。すなわち、磁性流動体3は、磁場による拘束がない状態であっても、第1部材2aと第2部材2bとの間で、ある程度、形状を保持することができる状態になる。
【0016】
磁性流動体3に含まれる磁性体砥粒の形状は、球状または角部を有する不定形状である。ここで、球状とは、断面形状が円形のものだけでなく、断面形状が楕円形、長円形などの角のない丸みを帯びた形状を含む。また、角部を有する不定形状とは、1つまたは複数の鋭い角を有する立体的な一様でない形状を含む。また、角部を有するとは、粒子が縁に向かって薄くなっていること、粒子の断面の輪郭線が1つまたは複数の鋭角または鈍角を形成すること、及び粒子の縁が尖っていることを含む。
【0017】
磁性体砥粒の平均粒子径は、例えば2μm以下であってもよい。また、磁性体砥粒の平均粒子径は、2μm以上かつ6μm以下であってもよい。さらに、磁性体砥粒の平均粒子径は、6μm以上かつ15μm以下であってもよく、15μmより大きくてもよい。
ここで、磁性体砥粒の平均粒子径は、例えば、粒子の画像解析により求めることができる。具体的には、粒子の画像を撮影し、その粒子の投影面積に等しい円形の粒子の径をその粒子の径として用いることで、不定形状の磁性体砥粒の平均粒子径を求めることができる。
【0018】
磁性体砥粒の形状が角部を有する不定形状である場合には、被研磨材であるガラスの除去能力と、研磨する面の平滑性とを両立する観点から、磁性体砥粒の平均粒子径は15μm以下であることが好ましい。すなわち、磁性体砥粒の形状が角部を有する不定形状である場合には、同じ径の球状の磁性体砥粒と比較してガラスを研削する能力が高いため、磁性体砥粒の平均粒子径が15μmを超えると、研磨するガラス基板Gの端面の平滑性を向上させることが困難になる。
【0019】
磁性体砥粒の形状が球状である場合には、被研磨材であるガラスの除去能力と、研磨する面の平滑性とを両立する観点から、磁性体砥粒の平均粒子径は2μm以上かつ20μm以下であることが好ましい。すなわち、磁性体砥粒の形状が球状である場合には、同じ径の角部を有する不定形状の磁性体砥粒と比較してガラスを研削する能力が低いため、磁性体砥粒の平均粒子径が2μm未満になると、研磨に要する加工時間がガラス基板Gの量産に適さないほど長くなる。また、磁性体砥粒の形状が球状である場合に磁性体砥粒の平均粒子径が20μmを超えると、研磨するガラス基板Gの端面の平滑性を向上させることが困難になる。
【0020】
磁性体砥粒は、最大磁束密度が1.0T以上であり、最大透磁率が3.0H/m以上であることが好ましい。また、磁性流動体3中の磁性体砥粒の濃度が85%未満の場合、最大磁束密度は1.3T以上または1.6T以上であり、最大透磁率が3.3H/m以上であることがより好ましい。磁性流動体3中の磁性体砥粒の濃度が85%未満の場合には、最大磁束密度及び最大透磁率が高い方が、磁性体砥粒に対する磁場の拘束力が増加することにより、ガラスの除去能力すなわち研磨能力が向上するためである。
【0021】
以下、上述の研磨ホイール12bを用いた本実施形態のガラスの製造方法について説明する。
図3は、本実施形態のガラス基板の製造方法の工程を説明する工程図である。
ガラス基板の製造方法は、溶解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、研削工程(ST8)と、研磨工程(ST9)と、洗浄工程(ST10)と、を主に有する。この他に、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス基板は、納入先の業者に搬送される。
【0022】
図4は、溶解工程(ST1)から切断工程(ST7)までを行う装置を模式的に示す図である。当該装置は、
図4に示すように、主に溶解装置200と、成形装置300と、切断装置400と、を有する。溶解装置200は、溶解槽201と、清澄槽202と、攪拌槽203と、第1配管204と、第2配管205と、を主に有する。
【0023】
溶解工程(ST1)では、溶解槽201内に供給されたガラス原料を、不図示のバーナーから発する火焔で加熱して溶解することで、溶融ガラスMGが作られる。この後、不図示の電極を用いて溶融ガラスMGが通電加熱される。
清澄工程(ST2)は、清澄槽202において行われる。清澄槽202内の溶融ガラスMGが加熱されることにより、溶融ガラスMG中に含まれるO
2等の気泡は、清澄剤の還元反応により生成される酸素を吸収して成長し、液面に浮上して放出される。あるいは、気泡中の酸素等のガス成分が、清澄剤の酸化反応のために溶融ガラス中に吸収されて、気泡が消滅する。
均質化工程(ST3)では、第1配管204を通って供給された攪拌槽203内の溶融ガラスMGがスターラを用いて攪拌されることにより、ガラス成分の均質化が行われる。
供給工程(ST4)では、第2配管205を通して溶融ガラスMGが成形装置300に供給される。
【0024】
成形装置300では、成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)が行われる。
成形工程(ST5)では、溶融ガラスMGがシート状ガラスに成形され、シート状ガラスの流れが作られる。本実施形態では、オーバーフローダウンドロー法を用いる。徐冷工程(ST6)では、成形されて流れるシート状ガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、熱収縮率が大きくならないように、冷却される。
切断工程(ST7)では、切断装置400において、成形装置300から供給されたシート状ガラスを所定の長さに切断することで、ガラス基板が得られる。切断されたガラス基板は、さらに所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作られる。
【0025】
ガラス基板Gを切断する際には、ガラス基板Gにスクライブ線を形成し、スクライブ線に引っ張り応力を集中させてガラス基板Gを割断する。スクライブ線は、一般に、ダイヤモンドカッターを用いて機械的に形成する方法や、レーザを利用した加熱と急冷により初期亀裂を進行させる方法によって形成される。スクライブ線が機械的に形成された場合、スクライブ線の周囲に細かなクラックが不可避的に存在する。レーザを利用してスクライブ線が形成された場合、分断されたガラス基板Gの端面と表裏面との間の角部には、非常に鋭いエッジが形成される。したがって、切断工程(ST7)において切断されたガラス基板Gは、スクライブ線の周囲に発生したクラックや鋭いエッジを除去し、端面における破壊強度を向上させるため、研削工程(ST8)及び研磨工程(ST9)を行う端面加工処理ラインに搬送される。
【0026】
図5は、本実施形態のガラス基板の端面加工の流れを示す図である。ガラス基板の端面加工処理ライン10には、第1面取り機12、第2面取り機14、および反転機18と、が設けられている。第1面取り機12、反転機18、および第2面取り機14は、搬送経路の上流側から順に配置されている。
図6は、第1面取り機12、第2面取り機14における第1の研削ホイールと第2の研削ホイールを示す斜視図である。
【0027】
研削工程(ST8)では、
図5に示すように、ガラス基板Gを搬送しながら、第1面取り機12において、矩形状のガラス基板Gの短辺の端面について、搬送経路の両側に設けられた研削用のダイヤモンドホイール12aを用いて研削が行われる。
図6に示すように、ダイヤモンドホイール12aは、回転軸Zの方向に、第1の研削ホイール12a
1と第2の研削ホイール12a
2の2段に構成されている。
【0028】
第1の研削ホイール12a
1は、ダイヤモンド砥粒を、鉄を含む金属系の結合剤で固めた研削ホイールである。第1の研削ホイールの結合剤は第2の研削ホイール12a
2の結合剤よりも硬度及び剛性が高いものが用いられる。ここで硬度とはショア硬さであり、剛性とはヤング率をいう。第1の研削ホイール12a
1の結合剤が金属系であれば、例えばコバルト系、ブロンズ系などの他の金属結合剤を用いても良い。また、第2の研削ホイールの結合剤よりも硬度及び剛性が高ければ、第1の研削ホイール12a
1の結合剤としてセラミックス質の結合剤を用いてもよい。第1の研削ホイール12a
1は、例えば、JIS R6001−1987で規定される♯300から♯400程度の粒度のダイヤモンド砥粒を用いることができる。本実施形態では、第1の研削ホイール12a
1は、♯400の粒度のダイヤモンド砥粒を用いる。砥粒はダイヤモンドに限らず、CBN(ボラゾン)であっても良い。
第1の研削ホイール12a
1の粒度は、第2の研削ホイール12a
2のダイヤモンド砥粒の粒度と等しいか又はそれよりも粗くてもよい。
【0029】
第2の研削ホイール12a
2は、ダイヤモンド砥粒を、エポキシを含む樹脂系の結合剤で固めた研削ホイールである。第2の研削ホイール12a
2の結合剤は第1の研削ホイール12a
1の結合剤よりも硬度及び剛性が低いものが用いられる。第2の研削ホイール12a
2の結合剤は、第1の研削ホイール12a
1の結合剤よりも硬度及び合成が低ければ、セラミックス質の結合剤を用いてもよい。樹脂系であれば、例えばポリイミド系の材質であってもよい。砥粒はダイヤモンドに限らず、CBNであっても良い。本実施形態では、第2の研削ホイール12a
2は、JIS R6001−1987で規定される♯400の粒度のダイヤモンド砥粒を用いる。
なお、第1の研削ホイール12a
1の砥粒の粒度は、第2の研削ホイール12a
2の砥粒の粒度と等しいか又はそれよりも粗いことが研削を効率よく行う上で好ましい。
【0030】
本実施形態の研削工程(ST8)は、第1の研削工程と第2の研削工程とを有している。第1の研削工程では、第1面取り機12において、ガラス基板Gが
図5の矢印で示される搬送方向に搬送され、第1の研削ホイール12a
1の、
図6に点線で示される研削溝Wによってガラス基板Gの端面が研削される。第1の研削ホイール12a
1は、ガラス基板Gの端面を、所定の研削量、研削する。これにより、ガラス基板Gの端面は、元の端面よりもガラス基板の中央側に後退し、端面の断面形状は、第1の研削ホイール12a
1の研削溝Wの断面形状に対応して曲率のついた凸形状、円弧状またはR形状に研削される。ここで、研削量とは、研削前の元の端面から、研削されて後退した研削後の凸形状の端面の頂点までの距離である。すなわち、ガラス基板Gの端面がガラス基板Gの主表面の方向に研削された量である。第1の研削ホイール12a
1によるガラス基板Gの研削量は、例えば40μmから60μmまでの範囲内である。第1の研削工程におけるガラス基板Gの搬送速度は、生産性を確保する観点から10m/分以上であることが好ましい。本実施形態では、ガラス基板Gの搬送速度は10m/分である。
【0031】
第1の研削工程では、ガラス基板Gの端面のJIS B 0601−1982で規定される最大高さRmaxが、少なくとも10μm以上かつ18μm以下、より好ましくは13μm以上かつ14μm以下になるように、ガラス基板Gの端面が研削される。また、ガラス基板Gの端面のJIS B 0601−1994で規定される算術平均粗さRaは、例えば0.5μm程度になる。
【0032】
その後、
図6に示すように、ダイヤモンドホイール12aは、第2の研削ホイール12a
2の研削溝Wがガラス基板Gの端面の位置に対応するように、回転軸Zの方向に移動する。第2の研削工程において、ガラス基板Gは、
図5の矢印と逆方向に搬送され、この搬送中、第2の研削ホイール12a
2の研削溝Wによって端面が研削される。これにより、ガラス基板Gの端面の断面形状は、第2の研削ホイール12a
2の研削溝Wの断面形状に対応して曲率のついた凸形状、円弧状またはR形状に研削される。
【0033】
第2の研削ホイール12a
2によるガラス基板Gの研削量は、例えば10μmから30μmまでの範囲内である。第2の研削工程におけるガラス基板Gの搬送速度は、生産性を確保する観点から10m/分以上であることが好ましく、15m/分以上であることがより好ましい。本実施形態では、ガラス基板Gの搬送速度は15m/分である。第2の研削工程におけるガラス基板Gの搬送速度は、第1の研削工程におけるガラス基板Gの搬送速度よりも大きいことが好ましい。
【0034】
第2の研削工程では、ガラス基板Gの端面のJIS B 0601−1982で規定される最大高さRmaxが、少なくとも4μm以上かつ8μm以下、より好ましくは6μm程度になるように、ガラス基板Gの端面を研削する。また、ガラス基板Gの端面の上記算術平均粗さRaは0.2μ以下、例えば0.1μmから0.2μm程度になる。
【0035】
なお、研削ホイール12aの回転方向については、ガラス基板Gと接触する点における研削ホイール12aの外周面の移動方向が、ガラス基板Gの搬送方向と同じになるように設定されてもよいし、逆の方向に設定されてもよい。本実施形態では、第1の研削工程においてガラス基板Gと接触する点における研削ホイール12aの外周面の移動方向が、ガラス基板Gの搬送方向と逆の方向になり、第2の研削工程でガラス基板Gの搬送方向と同じ方向になるように、研削ホイール12aを一方向に回転させている。
【0036】
研削工程(ST8)では、上述のようにガラス基板Gの端面の断面形状が曲率のついた凸形状、円弧状またはR形状に研削されるとともに、ガラス基板Gの端面の上記算術平均粗さRaは、0.2μm以下になるように研削される。しかしながら、ダイヤモンドホイールである研削ホイール12aによって研削されたガラス基板Gの端面には、マイクロクラックやヘアクラックと呼ばれる微小なクラックを含む層が形成される。この層は、加工変質層あるいは脆弱破壊層と呼ばれ、例えば1μmから3μm程度の厚さで存在する。このような層が存在することで、ガラス基板Gの端面における破壊強度が低下する。このような層を除去し、ガラス基板Gの端面における破壊強度を向上させるために、研磨工程(ST9)が行われる。
【0037】
研磨工程(ST9)では、ガラス基板Gの端面の加工変質層あるいは脆弱破壊層を除去し、ガラス基板Gの端面の算術平均粗さRaが、例えば0.01μm未満になるように、研磨ホイール12bによってガラス基板Gの端面を研磨する。
図5に示すように、研削ホイール12aによる端面の研削を終えたガラス基板Gは、研磨ホイール12bによる研磨を行う位置まで搬送される。その後、
図2に示すように、回転軸1を中心として研磨ホイール12bを回転させる。ガラス基板Gの端部が磁性流動体3に食い込んで、ガラス基板Gの端面が磁性流動体3と接触した状態で研磨ホイール12bが回転することで、磁性流動体3とガラス基板Gの端面とが相対的に移動する。これにより、ガラス基板Gの端面が、磁場形成部2の形成する磁場により拘束された磁性流動体3中の磁性体砥粒によって研磨される。
【0038】
なお、本実施形態ではダイヤモンドホイール12a及び研磨ホイール12bをガラス基板Gの搬送方向へ移動させずに端面の研削及び研磨を行うが、ガラス基板Gを静止させ、あるいはガラス基板Gを搬送しながら、ダイヤモンドホイール12a及び/又は研磨ホイール12bを移動させてガラス基板Gの端面を研削及び研磨してもよい。
【0039】
研磨後、
図5に示すように、反転機18は、ガラス基板Gの向きを90度回転させて、搬送経路に沿ってガラス基板Gを第2面取り機14に搬送する。第2面取り機14は、第1面取り機12のダイヤモンドホイール12aと同様のダイヤモンドホイール14aを備えている。
図6に示すようにダイヤモンドホイール14aは、第1面取り機12の第1の研削ホイール12a
1及び第2研削ホイール12a
2と同様の、第1の研削ホイール14a
1及び第2の研削ホイール14a
2と、を備えている。
【0040】
第2面取り機14においては、矩形状のガラス基板Gの長辺の端面に対して、搬送経路の両側に設けたダイヤモンドホイール14aの第1の研削ホイール14a
1により第1面取り機12と同様の第1の研削工程が行われる。その後、矩形状のガラス基板Gの長辺の端面に対して、第2の研削ホイール14a
2により第1面取り機12と同様の第2の研削工程が行われる。
【0041】
この後、研磨工程において、搬送経路の両側に設けられた研磨ホイール14bを用いて研削されたガラス基板Gの端面の研磨が行われる。研磨ホイール14bは第1面取り機12の研磨ホイール12bと同様に構成されている。この後、ガラス基板Gは洗浄工程(ST10)へ搬送される。
【0042】
洗浄工程(ST10)は、研磨工程(ST9)においてガラス基板Gの端面に付着した磁性体砥粒を除去するための端面洗浄工程を含む。具体的には、酸洗浄によりガラス基板Gの端面を洗浄する。また、アルカリ洗浄によりガラス基板Gの端面を洗浄してもよい。端面洗浄工程の後、ガラス基板Gは、通常の洗浄液によって表裏面及び端面が洗浄される。
この後、ガラス基板は、検査工程において気泡や脈理等の異常欠陥の有無が検査され、検査合格品のガラス基板が梱包工程において梱包され、製品として出荷される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、磁性流動体3中の磁性体砥粒の濃度が70wt%以上になるように、磁性体砥粒と水とを混合している。したがって、磁性体砥粒の濃度が70wt%未満の場合と比較して、ガラス基板Gの端面の加工変質層または脆弱破壊層を除去する研磨能力が向上し、研磨加工に要する時間を短縮することができる。さらに、ガラス基板Gの端面を平滑に研磨して、ガラス基板Gの端面の表面粗さを例えば算術平均粗さRaで0.01μm未満にすることができる。
【0044】
また、磁性流動体3中の磁性体砥粒の濃度が85wt%以上である場合には、ガラス基板Gの端面の加工変質層または脆弱破壊層を除去する研磨能力をさらに向上させつつ、ガラス基板Gの端面の表面粗さを例えば算術平均粗さRaが0.01μm未満となるように平滑に研磨することができる。
このようにガラス基板Gの端面を平滑に研磨することで、ガラス基板Gの端面からの径時的な発塵が抑制され、従来と比較してガラス基板Gの表裏面に付着するパーティクルの量を大幅に削減することが可能になる。そのため、TFT等の配線の低抵抗化を目的として、ガラス基板Gの表面に比較的剥がれやすいCu−Mn合金などのCu合金の配線を形成する場合であっても、配線の剥がれを効果的に防止し、フラットパネルディスプレイの歩留りを向上することが可能になる。
【0045】
また、本実施形態において、磁性流動体3中の磁性体砥粒は、最大磁束密度が1.0T以上であり、最大透磁率が3.0H/m以上である。これにより、磁場形成部2が形成する磁場による拘束力が磁性体砥粒に対して十分に作用し、磁性体砥粒がガラス基板Gの端面を研磨する際の、磁性体砥粒とガラス基板Gとの接触力を十分に大きくすることができる。これにより、磁性流動体3によるガラス基板Gの研磨能力が向上し、研磨加工に要する時間を短縮することができる。
【0046】
磁性体砥粒が角部を有する不定形状の粒子である場合には、磁性体砥粒が球状の粒子である場合と比較して、磁性流動体3によるガラス基板Gの研磨能力が向上する。この場合、磁性体砥粒は、平均粒子径を2μm以上かつ15μm以下とすることで、ガラス基板Gの研磨能力を確保しつつ、ガラス基板Gの端面の平滑性を向上させることが可能になる。
磁性体砥粒が角部のない球状の粒子である場合には、磁性体砥粒が角部を有する不定形状の粒子と比較して、ガラス基板Gに与えるダメージを抑制することができる。この場合、磁性体砥粒は、平均粒子径を6μm以上かつ20μm以下とすることで、ガラス基板Gの研磨能力を確保しつつ、ガラス基板Gの端面の平滑性を向上させることが可能になる。
【0047】
また、本実施形態では、ガラス基板Gの研磨工程(ST9)の後、端面に付着した磁性体砥粒などの磁性流動体3の組成物を除去する端面洗浄工程を備えている。したがって、後の工程に磁性体砥粒などの磁性流動体3の組成物を持ち込むことがない。
また、ガラス基板Gの端面は、研磨工程(ST9)によって平滑に研磨され、加工変質層あるいは脆弱破壊層が除去されている。したがって、ガラス基板Gの端面に対して、酸洗浄またはアルカリ洗浄を行っても、端面にマイクロクラックやヘアクラックなどの微小なクラックが存在せず、クラックを成長させることがない。よって、酸洗浄またはアルカリ洗浄を行っても、ガラス基板Gの端面における破壊強度が低下することがない。また、酸洗浄またはアルカリ洗浄により、ガラス基板Gの端面に付着した酸化鉄やフェライトの粒子からなる磁性体砥粒を効果的に除去することが可能になる。
【0048】
以上、本実施形態の磁性流動体およびガラス基板の製造方法の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよい。
例えば、本発明のガラス基板研磨用磁性流動体を用いる装置は上述の実施形態で説明した装置に限定されない。例えば、特許第4412783号公報に開示された装置に本実施形態の磁性流動体を用いることができる。この場合、周縁面に溝を形成した上で、ガラス基板の端面を沿わせて研磨加工を行ってもよい。また、国際公開第2012/067587号に開示された装置に、本実施形態の磁性流動体を用いることができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
まず、フェライト系の磁性体であり、粒子の形状が角部を有する不定形状であり、平均粒子径が2μm以上かつ6μm以下であり、最大磁束密度が1.3Tであり、最大透磁率が3.0H/mである磁性体砥粒を用意した。次に、用意した磁性体砥粒と水とを混合することで、磁性流動体を作製した。この際、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度が40%から95%になるように磁性体砥粒と水とを混合することで、表1に示す比較例1から3及び実施例1から5の磁性流動体を得た。比較例1から3の磁性流動体はほぼ液体状であったが、実施例1から5の磁性流動体はペースト状であった。
【0050】
【表1】
【0051】
なお、上記の比較例及び実施例においては、管理の容易性、量産適用性を考慮してwt%を用いて磁性流動体の濃度の管理を行ったが、磁性流動体の濃度の管理はvol%を用いて行うこともできる。wt%とvol%との換算は、磁性体砥粒のかさ比重と、水の密度1g/cm3とに基づいて算出することができる。例えば実施例2の磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度80wt%は71vol%〜72vol%に換算することできる。また、上記の比較例及び実施例においては、研磨加工中の磁性流動体からの水の蒸発を考慮して、蒸発した分の水を磁性流動体に補給するようにした。
【0052】
次に、比較例1から3及び実施例1から4の磁性流動体を、上述の実施形態の
図1及び
図2において説明した研磨ホイール12bの磁性流動体3として用い、ガラス基板の端面の研磨加工を行った。研磨するガラス基板は、上述の実施形態で説明した切断工程(ST7)、研削工程(ST8)を経たものを用い、ガラス基板の1辺に対して全長を研磨せず、1/3程度を研磨した。研磨は、ガラス基板を搬送方向に搬送しながら行った後、ガラス基板を搬送方向と反対方向に搬送しながら行うことで、ガラス基板の端面の1/3に対して一往復すなわち2回行った。研磨ホイール12bの径はφ30mm、回転数は2000rpm、ガラス基板と研磨ホイール12bとの相対移動速度は10mm/minであった。その後、ガラス基板の端面に付着した磁性体砥粒を水で洗浄して除去した後、ガラス基板の端面の研磨済みの領域と未研磨の領域とを比較して、研磨量すなわちガラスの除去量を測定した。また、ガラス基板の端面の研磨済みの領域において表面粗さを測定した。
【0053】
ガラスの除去量及び表面粗さである算術平均粗さRaの測定は、東京精密社製のサーフコムA1400を用いて、
図7に示すガラス基板Gの端面の頂点Aと、端面と表面との境界の近傍の点B及び点Cにおいて行った。ガラスの除去量の測定は、計測モードは断面計測モード、測定速度は0.6mm/s、傾斜補正は前半補正、測定距離は20mmで行った。また、表面粗さの測定は、計測モードは粗さ計測、測定速度は0.3mm/s、測定方法はJIS1994で行った。また、算術平均粗さRaの測定は、Ra<0.02のときにカットオフ0.08及び測定長さ0.4mmとし、0.02<Ra<0.2のときにカットオフ0.25及び測定長さ1.25mmとし、0.1<Ra<2のときにカットオフ0.8及び測定長さ4mmとした。得られた結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示すように、研磨によるガラス除去量に関して、加工変質層あるいは脆性破壊層を除去できる程度にガラスを除去できた場合に、ガラス除去量は「達成」されたものとし、加工変質層あるいは脆性破壊層を除去できる程度にガラスを除去できなかった場合にガラス除去量は「不十分」であるとした。ここで、加工変質層あるいは脆性破壊層の厚みは、2μmとした。
その結果、比較例1から3の磁性流動体を用いた研磨では、ガラスの除去量は不十分であったのに対し、実施例1から5の磁性流動体を用いた研磨では、ガラスの除去量を達成することができた。
【0056】
また、表2に示すように、研磨後のガラス基板の端面状態に関して、
図7に示す点A、点B、及び点Cの算術平均粗さRaが0.05μm未満である場合を「良好」とした。また、点A及び点Bの双方の算術平均粗さRaが0.05μm以上かつ0.1μm未満である場合を「やや良」とした。また、点A及び点Bの少なくとも一方の算術平均粗さRaが0.1μm以上である場合を「不良」とした。
【0057】
その結果、比較例1から3の磁性流動体を用いた研磨では、研磨された基板の端面状態は不良であった。また、実施例1、2及び5の磁性流動体を用いた研磨では、研磨された基板の端面状態はやや良であった。また、実施例3及び実施例4の磁性流動体を用いた研磨では、研磨された基板の端面状態は良好であった。また、実施例3の磁性流動体による研磨よりも、実施例4の磁性流動体による研磨の方が、ガラス基板の端面の算術平均粗さRaが小さくなった。実施例4の磁性流動体による研磨では、ガラス基板の端面の算術平均粗さRaは0.01μm未満であった。以上のことから、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度は、85wt%以上かつ95wt%未満であることが好ましいことが分かった。
【0058】
なお、実施例5の磁性流動体を用いた研磨では、研磨後のガラス基板の端面の一部でヤケが発生した。ガラス基板の端面のヤケは、実施例5の磁性流動体の磁性体砥粒の濃度管理によっては改善できなかったが、加工時間を短縮することで抑制することができた。すなわち、実施例5の磁性流動体を用いた研磨では、磁性流動体がガラス基板の端面に接触する距離及び時間を管理することで、下降中の磁性流動体の温度上昇を抑制し、ヤケの発生を抑制することができた。
【0059】
次に、フェライト系の磁性体であり、最大磁束密度が1.3Tであり、最大透磁率が3.0H/mであって、粒子の形状と平均粒子径とが異なる6種類の磁性体砥粒を用意した。磁性体砥粒は、粒子の形状が球状であるものと、角部を有する不定形状であるものについて、それぞれ平均粒子径が2μm未満のもの、平均粒子径が6μm以上かつ15μm以下のもの、および平均粒子径が15μmより大きく20μm以下のものを用意した。次に、用意した磁性体砥粒と水とを、各磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度が85%になるように混合することで、表3に示す比較例4及び5の磁性流動体と、実施例6から9の磁性流動体を得た。
【0060】
【表3】
【0061】
次に、実施例1から5の磁性流動体を用いた研磨と同様に、比較例4及び5の磁性流動体と、実施例6から9の磁性流動体を、上述の実施形態において説明した研磨ホイール12bの磁性流動体3として用い、ガラス基板の端面の研磨加工を行った。その後、実施例1から5の磁性流動体によって研磨したガラス基板と同様に、比較例4及び5の磁性流動体と、実施例6から9の磁性流動体によって研磨したガラス基板のガラス除去量と端面状態とを測定した。得られた結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
表4に示すように、比較例4及び5の磁性流動体と、実施例6から9の磁性流動体を用いて研磨したガラス基板のガラス除去量と端面状態について、実施例1から5の磁性流動体を用いて研磨したガラス基板と同様に評価した。比較例4の磁性流動体を用いた研磨では、ガラスの除去量は不十分であり、端面状態も不良であった。一方、実施例6の磁性流動体を用いた研磨では、ガラスの除去量を達成することができ、端面状態も良好であった。これは、比較例4の磁性流動体で用いた球状の磁性体砥粒よりも、実施例6の磁性流動体で用いた角部を有する不定形状の磁性体砥粒の方が、研磨能力が高いことを示している。
【0064】
表4に示すように、実施例7及び8の磁性流動体を用いた研磨では、目標のガラス除去量が達成され、端面状態も良好であった。このことから、磁性流動体に球状の磁性体砥粒を用いた場合であっても、平均粒子径を2μm以上にすることで必要な研磨能力が得られることが分かった。
【0065】
また、実施例9の磁性流動体を用いた研磨では、目標のガラス除去量が達成され、端面状態も良好であった。これに対し、比較例5の磁性流動体を用いた研磨では、目標のガラス除去量が達成されたものの、Raが研磨前よりも増加して端面状態は不良となった。このことから、磁性体砥粒の粒子形状が角部を有する不定形状である場合、磁性体砥粒の平均粒子径は15μm以下であることが好ましいことが分かった。
【0066】
また、粒子形状が球状で、平均粒子径が25μm以上かつ30μm以下の磁性体砥粒を用意して、実施例9と同様に磁性流動体を作成してガラス基板の研磨を行ったところ、端面状態は不良になった。これは、磁性体砥粒の粒子径が大きくなりすぎて、ガラス基板の端面に対する磁性体砥粒の接触にムラが生じ、研磨能力が低下したと考えられる。このことから、磁性体砥粒の形状が球状である場合、平均粒子径が20μm以下であれば、ガラスの除去量の達成と良好な端面状態を両立できることが分かった。
また、比較例4及び5と実施例6から9の磁性流動体について、磁性体砥粒の濃度を70%から95%の間で変化させて、同様にガラス基板の研磨を行ったところ、比較例4及び5と実施例6から9の磁性流動体を用いた研磨と同様の結果が得られた。
【0067】
次に、磁性体砥粒の最大磁束密度が1.6Tであり、最大透磁率が3.3H/mであること以外は実施例1から4と同じ条件で、それぞれ実施例10から13の磁性流動体を作製した。作製した実施例10から13の磁性流動体の各条件を表5に示す。さらに、実施例10から13の磁性流動体を用いて、実施例1から4の磁性流動体による研磨と同様に、ガラス基板の端面の研磨を行った。さらに、実施例10から13の各磁性流動体で研磨したガラス基板の端面におけるガラスの除去量を測定し、それぞれ実施例1から4と比較した。比較した結果を表6に示す。
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
表6に示すように、磁性体砥粒の最大磁束密度と最大透磁率とを増加させたことで、実施例10と実施例11の磁性流動体による研磨では、実施例1と実施例2の磁性流動体による研磨よりもガラスの除去量が増加した。一方、実施例12と実施例13の磁性流動体による研磨では、磁性体砥粒の最大磁束密度と最大透磁率とを増加させても、ガラス除去量は増加しなかった。
【0071】
すなわち、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度が85%未満の場合、磁性体砥粒の最大磁束密度と最大透磁率とを増加させることで、研磨能力が向上することが分かった。これは、磁性流動体中の磁性体砥粒が磁場によって拘束されることで見かけの粘度が上昇し、この状態でガラス基板を研磨することによるものと考えられる。
磁性体砥粒が磁場に拘束される前の実施例2及び実施例11の磁性流動体の粘度は、15Pa・sから20Pa・s程度であった。しかし、実施例11の磁性流動体の磁性体砥粒は、実施例2の磁性流動体の磁性体砥粒よりも磁化特性がよい。そのため、磁性流動対中の磁性体砥粒が磁場により拘束されると、実施例11の磁性流動体の見かけの粘度は、実施例2の磁性流動体の見かけの粘度よりも高くなった。また、実施例1と実施例10の磁性流動体においても同様に、実施例10の磁性流動体の見かけの粘度が実施例1の磁性流動体の見かけの粘度よりも高くなった。
このように、磁性流動体の見かけの粘度が増加することで、磁性体砥粒のガラス基板の端面への接触力が増加し、研磨能力が向上すると考えられる。
【0072】
一方、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度が85%以上である場合、磁性体砥粒の最大磁束密度と最大透磁率とを増加させても、研磨能力の向上が見られなかった。これは、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度が比較的高く、磁場による拘束を受ける前の磁性流動体の粘度が比較的高いためと考えられる。つまり、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度が85%以上である場合、磁性流動体は、磁性体砥粒の磁化特性が比較的低くても、磁場により磁性体砥粒が拘束されたときに、研磨加工に十分な見かけの粘度が得られるため、と考えられる。すなわち、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度が85%以上である場合、磁化特性の大小の影響を少なくして、ガラス基板の端面の研磨加工を行うことができる。
なお、磁性体砥粒の磁化特性が低い場合には、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度を比較的に精密に管理する必要がある。しかし、磁性体砥粒の磁化特性が高い場合には、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度の管理を比較的に緩やかに行うことができるという利点がある。
【0073】
次に、実施例1〜5と同様の磁性体砥粒を用意し、磁性流動体中の磁性体砥粒の濃度が87%以上かつ89%以下になるように磁性体砥粒と水とを混合することで、表7に示す実施例14の磁性流動体を得た。
【表7】
【0074】
次に、得られた実施例14の磁性流動体を、上述の実施形態の
図1及び
図2において説明した研磨ホイール12bの磁性流動体3として用い、ガラス基板の端面の研磨加工を行った。研磨するガラス基板は、上述の実施形態の研削工程(ST8)を経たガラス基板であり、端面の算術平均表面粗さRaは、0.17μmであった。研磨は3つの異なる条件で行った。第1の条件は、ガラス基板を5mm/minの速度で搬送しながら、ガラス基板の端面の1/3を1回だけ研磨した。第2の条件は、ガラス基板を搬送方向に10mm/minの速度で搬送しながら研磨した後、ガラス基板を搬送方向と反対方向に同じ速度で搬送しながら研磨することで、ガラス基板の端面の1/3を一往復すなわち2回研磨した。第3の条件は、ガラス基板を搬送方向に20mm/minの速度で搬送しながら研磨した後、ガラス基板を搬送方向と反対方向に同じ速度で搬送しながら研磨することを繰り返し、ガラス基板の端面の1/3に対して二往復すなわち4回研磨した。研磨ホイール12bの径はφ30mm、回転数は2000rpmであった。その後、実施例1から5と同様に、ガラス基板の端面に付着した磁性体砥粒を水で洗浄して除去した後、ガラス基板の端面の研磨済みの領域において表面粗さを測定した。
図7に示すガラス基板の点A、点B、及びC点における算術平均粗さRaは、第1の条件から第3の条件のいずれも0.01μm未満であり、より具体的には0.006μmから0.008μmまでの範囲であった。さらに継続して、同様の条件で複数のガラス基板の研磨を行ったところ、いずれの場合も、
図7に示すガラス基板の点A、点B、及びC点における算術平均粗さRaは、0.01μm未満であった。