特許第5775061号(P5775061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5775061-圧縮装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775061
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】圧縮装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/02 20060101AFI20150820BHJP
   F04B 39/08 20060101ALI20150820BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20150820BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   F04B39/02 W
   F04B39/08 B
   F04B39/00 C
   F04C29/02 351D
   F04C29/02 361Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-284665(P2012-284665)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-139817(P2013-139817A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2013年10月29日
(31)【優先権主張番号】201110453601.4
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512070355
【氏名又は名称】神鋼圧縮機製造(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−196577(JP,A)
【文献】 特開2001−065459(JP,A)
【文献】 特開平06−307371(JP,A)
【文献】 実開昭57−025191(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00−39/04
F04B 39/08
F04C 29/02
B01D 29/08
B01D 45/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油を混合した気体を圧縮する圧縮機本体(1)と、
前記圧縮機本体(1)が圧縮した前記気体から前記油を分離する油分離器(2)と、
前記油分離器(2)の前記油を分離した前記気体の出口に接続され、前記気体の温度を検出する温度センサ(16)が設けられた検出流路(14)と、
前記温度センサ(16)の下流側で前記検出流路(14)から分岐し、放気弁(21)を介して前記気体を放出する放気流路(20)とを有し、
前記放気弁(21)は、前記検出流路(14)の圧力が所定の放気圧力に達すると開放され
前記油分離器(2)は、
前記気体から分離された前記油を貯留するバッファ部(10)と、
前記バッファ部(10)の上方に設けられ、内部に油分離フィルタ(13)を収容するデミスタ部(11)と、油分離フィルタ(13)を前記バッファ部(10)に接続する中間流路(12)と、前記中間流路(12)から分岐した非常流路(15)とを備え、
前記非常流路(15)は、安全弁(23)を介して外部に開放されており、
前記安全弁(23)は、前記バッファ部(10)の圧力が前記放気圧力以上の所定の限界圧力に達すると開放されることを特徴とする圧縮装置。
【請求項2】
前記検出流路(14)の末端に、前記検出流路(14)の圧力を所定の維持圧力以上に保持するように開度変化する保圧弁(17)が設けられ、
前記維持圧力は、前記放気圧力よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の圧縮装置。
【請求項3】
前記限界圧力は、前記油分離器(2)と前記保圧弁17の耐用圧力の中で最も低い圧力に設定されてなることを特徴とする請求項2に記載の圧縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油冷式圧縮機、すなわち、冷却・潤滑・シール等の効果を得るために、圧縮する気体(空気など)に油を混合する形式の圧縮機が広く知られている。なお、気体の需要設備には、混合された油を除去して気体のみを供給することが求められることが多い。そのため、油冷式圧縮機を使用する圧縮装置には、圧縮された流体(気体と油の混合流体)から油を分離するための油分離器が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、油分離器を備える圧縮装置が開示されている。さらに付言すると、特許文献1には、圧縮機本体1の吸込流路に吸込フィルタおよび吸気調節弁と、吐出流路に油分離器および保圧弁と、電磁弁である放気弁および消音器を備え、油分離回収器の上部に接続した放気流路を備える圧縮装置が開示されている。
【0004】
多くの圧縮装置では、気体の需要設備での気体の消費量が少なくなる場合には、圧縮機本体の吸込み側に設けられた吸気調節弁(特許文献1に開示のものでいえば、吸気調節弁4)を閉じるか、その開度を減少して、圧縮機本体が吸い込む気体の量を減らすと共に、油分離器や吐出流路に存在する高圧の流体を外部へ放出する(特許文献1に開示のものでいえば、放気弁8を開く)制御が行われている。この制御により、圧縮機本体から吐出される流体の圧力が上昇しすぎることを防止すると共に、消費電力を減らすことが可能となる。
【0005】
ここで、油分離器を備える圧縮装置では、運転時に、油分離器より下流の圧力が急に低下すると、油分離器の内部上方に設けられた油分離フィルタ(デミスタ:demister)を通過する流体の流速が急に上がる可能性がある。その場合、油分離の効率の悪化、それに伴う油の流出、油分離フィルタ自体の故障といった問題が生じる懸念がある。それらの懸念を解消するために、油分離器の下流側に保圧弁を設けることが多い。
【0006】
例えば、特許文献1には、保圧弁7が設けられた圧縮装置が開示されている。油分離器の下流側に設けられた保圧弁は、圧力が予め定められた所定の設定圧力以上の場合に開くように構成されている。この保圧弁を設けることによって、(起動時の任意の時間を除く)通常の運転時には、油分離器の直後の流路の圧力が設定圧力以上に維持される。従って、油分離器直後の流路の圧力が急に減少することがなく、上述した種々の懸念も解消される。
【0007】
ところで、圧縮機本体から吐出される流体の温度は、流体の圧縮(主に流体の断熱圧縮)に伴って、圧縮機本体によって吸い込まれた時点の温度に比して、かなり高温にまで上昇される。温度の上昇は、油の潤滑の能力の低下、それに伴う圧縮機本体の異常・故障の要因となりうる。従って、吐出される流体の温度が規定の温度(例えば、110℃)以上になるのを防止しなければならない。
【0008】
吐出される気体の温度の上昇を抑制するには、その温度を検知したうえで、温度の上昇を抑制する制御を行うことが有効である。しかしながら、従来の圧縮装置では、油分離器より下流の流路の油分離器から遠く離れた位置に、気体の温度を検知する温度センサが設けられていたり、油分離器の内部上方の油分離フィルタより上流である、油分離器のタンク(以下、「バッファ部」とも呼称する)に温度センサが付設されていたりしていた。
【0009】
油分離器、特に、油分離フィルタには油と異物が混合したスラッジ(泥状の物質)が溜まりやすい。油分離フィルタにスラッジが溜まると、スラッジの酸化、摩擦などで、そのスラッジ、ひいては油分離フィルタが発熱する場合がある。上述した従来の圧縮装置では、油分離フィルタに溜まったスラッジに起因する温度の上昇を的確に検知することが難しい。特に、上述した、放気弁や、保圧弁を備えた圧縮装置では、スラッジに起因する温度の上昇の的確な検知は、一層、困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−66284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、圧縮機本体から吐出される流体の温度の上昇(主に流体の断熱圧縮に伴う温度の上昇)と共に、油分離器に溜まったスラッジに起因する温度の上昇を的確に検知することができる圧縮装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するためには、本発明による圧縮装置は、油を混合した気体を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体が圧縮した前記気体から前記油を分離する油分離器と、前記油分離器の前記油を分離した前記気体の出口に接続され、前記気体の温度を検出する温度センサが設けられた検出流路と、前記温度センサの下流側で前記検出流路から分岐し、放気弁を介して前記気体を放出する放気流路とを有し、前記放気弁は、前記検出流路の圧力が所定の放気圧力に達すると開放され、前記油分離器は、前記気体から分離された前記油を貯留するバッファ部と、前記バッファ部の上方に設けられ、内部に油分離フィルタを収容するデミスタ部と、油分離フィルタを前記バッファ部に接続する中間流路と、前記中間流路から分岐した非常流路とを備え、前記非常流路は、安全弁を介して外部に開放されており、前記安全弁は、前記バッファ部の圧力が前記放気圧力以上の所定の限界圧力に達すると開放されるものとする。
【0013】
この構成によれば、温度センサを油分離器の出口に接続した検出流路に設けたので、油分離器に溜まったスラッジに起因する温度上昇を感度よく検出できる。また、温度センサの下流に放気流路を設けたことで、検出流路の圧力が放気圧力以上に上昇せず、油分離器における気体の流速変動を抑制できるので、油のキャリーオーバーが防止され、温度センサの検出誤差が小さい。
この構成によれば、油分離器等の機器に仕様上の上限圧力を超えた圧力が加わらないようにして、機器の損傷を防止できる。
【0014】
また、本発明の圧縮装置は、前記検出流路の末端に、前記検出流路の圧力を所定の維持圧力以上に保持するように開度変化する保圧弁が設けられ、前記維持圧力が前記放気圧力よりも低くてもよい。
【0015】
この構成によれば、検出流路の圧力が維持圧力以上に低下せず、油分離器における気体の流速変化をさらに抑制できるので、油のキャリーオーバーが防止され、温度センサの検出誤差をより小さくできる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、圧縮機本体から吐出される流体の温度の上昇(主に流体の断熱圧縮に伴う温度の上昇)と共に、油分離フィルタに溜まったスラッジに起因する温度の上昇を的確に検知することができる圧縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態である圧縮装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明の第1実施形態の圧縮装置の構成を示す。本実施形態の圧縮装置は、油を混合して空気を圧縮する圧縮機本体1と、圧縮機本体が圧縮した空気から油を分離する油分離器2と、油分離器2が油を分離した空気を冷却するアフタークーラ3と、油分離器2が分離した油を冷却する油クーラ4とを有する。
【0021】
圧縮機本体1は、互いに咬合し、モータ5によって回転駆動される雌雄一対のスクリュロータ(図示せず)を収容し、スクリュロータの回転に伴って空気を圧縮する。圧縮機本体1の吸込口には、エアフィルタ6と吸込調整弁7とが設けられた吸込流路8が接続され、吐出口には、油分離器2に連通する吐出流路9が接続されている。
【0022】
油分離器2は、空気から分離した油を貯留できる圧力容器からなるバッファ部10と、バッファ部10の上部に設けられた圧力容器からなるデミスタ部11とからなる。デミスタ部11の中には、バッファ部10の上端の開口に連通し、垂直に延伸する中間流路12と、中間流路12の上端に配設された油分離フィルタ13とが収容されている。
【0023】
油分離器2において、バッファ部10内の空気は、油のミストを含んだ状態で中間流路12を通って上方に移動し、油分離フィルタ13を通過する際に油分離フィルタ13によって油のミストが分離される。油分離フィルタ13が分離した油のミストは、互いに凝集して大きな油滴になり、中間流路12の内壁を伝って、バッファ部10内に落下し、バッファ部10の下方に油溜まりを形成する。
【0024】
バッファ部10に貯留された油は、油クーラ4を通って圧縮機本体1に環流され、圧縮機本体1の油を必要とする箇所に供給される。
【0025】
油分離器2のデミスタ部11の出口開口には、検出流路14が接続されており、中間流路12から油分離フィルタ13を通過した空気は、検出流路14に流出するようになっている。また、油分離器2の中間流路12からは、デミスタ部11の外側に延伸する非常流路15が分岐している。
【0026】
検出流路14には、油分離器2の直後に、空気の温度を検出する温度センサ16が設けられ、末端に、保圧弁17が設けられている。そして、検出流路14から保圧弁17を介してアフタークーラ3に接続する冷却流路18に空気を送出するように構成されている。保圧弁17は、検出流路14の圧力が予め設定した維持圧力以上になると開き、圧力に応じて開度が大きくなることで、検出流路14の圧力を維持圧力以上に保持する。
【0027】
冷却流路18には、アフタークーラ3に供給される空気の圧力を検出する吐出圧力センサ19が設けられている。
【0028】
さらに、本実施形態の圧縮装置は、温度センサ16と保圧弁17との間において、検出流路14から分岐した放気流路20をさらに有する。放気流路20には、吐出圧力センサ19の検出値が予め設定した放気圧力に達すると開放される放気弁21が設けられており、その放気流路20の末端は大気開放している。放気弁21の放気圧力は、保圧弁17の維持圧力よりも高い圧力に設定される。検出流路14と放気流路20との間には殆ど流路抵抗がないため、放気流路20の圧力は検出流路14の圧力と等しい。よって、保圧弁17が開放されている際には、吐出圧力センサ19は検出流路14の圧力を検出しているものとみなすことができる。
【0029】
検出流路14の圧力が保圧弁17の維持圧力より高いとき、保圧弁17は開放されている。このため、冷却流路18の圧力が放気圧力になったとき、つまり、吐出圧力センサ19の検出値が放気圧力であるとき、検出流路14の圧力も、略放気圧力である。従って、放気弁21は、検出流路14の圧力が放気圧力に達したときに開放されると解釈することができる。
【0030】
このように、保圧弁17および放気弁21の作用により、検出流路14の圧力は、維持圧力以上、放気圧力以下に維持される。当然ながら、吐出圧力センサ19は、検出流路14に設けてもよい。
【0031】
以上のように、検出流路14の圧力は、維持圧力以上、放気圧力以下に維持され、圧力変動が小さいので、油分離フィルタ13を通過する空気の流速に急な変動が生じず、油分離フィルタ13に補足されている油が空気に随伴して下流側に流出しない。また、急な圧力変動による油分離フィルタ13の破損や、油分離効率の低下等も防止できる。なお、保圧弁17および放気弁21のいずれかを省略しても、油分離フィルタ13を通過する空気の流速変動をある程度小さくすることは可能である。
【0032】
このように、空気の流速変動による検出流路14への油の流出を防止するように圧力制御したことによって、温度センサ16を保圧弁17の直後に設けても、温度センサ16に油が付着して検出精度が損なわれることがない。温度センサ16を油分離フィルタ13の直後に配置可能としたことで、圧縮機本体1から吐出される空気の主に断熱圧縮に起因する温度上昇だけでなく、油分離フィルタ13に捕捉されている油(スラッジ)の酸化等によって油分離フィルタ13が発熱した場合に、この発熱による空気の温度変化を即座に検出できる。
【0033】
温度センサ16が検出した温度は、不図示のコントローラ等に入力される。この温度は、不図示のモニタ等の表示手段に表示してもよい。また、温度センサ16の検出温度が予め設定した上限温度に達した場合には、警告を発するように構成することが好ましい。
【0034】
さらに、非常流路15には、内部の圧力を検出する非常圧力センサ22が設けられている。その非常流路15は、非常圧力センサ22の検出値が予め設定した限界圧力に達すると開放される安全弁23を介して大気開放されている。非常流路15、中間流路12、バッファ部10および吐出流路9には殆ど流路抵抗がないため、非常圧力センサ22は、中間流路12、バッファ部10または吐出流路9の圧力を検出しているとみなすことができる。また、非常圧力センサ22は、中間流路12、バッファ部10または吐出流路9に設けてもよい。
【0035】
安全弁23を開放する限界圧力は、油分離器2、保圧弁16等の耐用圧力(仕様上の上限圧力)の中で最も低い値に設定する。つまり、非常流路15は、圧縮装置の各機器の損傷を防止する役目を果たす。当然ながら、維持圧力および放気圧力は、この上限圧力よりも低い値でなければならない。
【符号の説明】
【0036】
1…圧縮機本体
2…油分離器
8…吸込流路
9…吐出流路
10…バッファ部
11…デミスタ部
12…中間流路
13…油分離フィルタ
14…検出流路
15…非常流路
16…温度センサ
17…保圧弁
19…吐出圧力センサ
20…放気流路
21…放気弁
22…非常圧力センサ
23…安全弁
図1