(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
本発明は、表面及び裏面を有する第1裏打ち材料、第1裏打ち材料に付着し、第1裏打ち材料の表面から伸び、第1裏打ち材料の裏面に露出した複数の繊維、任意のプレコート、接着性裏打ち材料、任意の寸法安定層、任意のキャップコート材料、並びに寸法安定層又は接着性裏打ち材料に隣接した任意の第2裏打ち材料を含み、複数の繊維、第1裏打ち材料、任意のプレコート層、接着性裏打ち材料、任意の寸法安定層、又は任意の第2裏打ち材料の少なくとも1つが、40℃での増大張力約25psi未満、及び25%歪み(strain)での残留応力約63%未満を有する、少なくとも1種の非塩素系、非ポリビニルブチラールである熱可塑性のポリマー又は組成物を含み、好ましくは、少なくとも1種の非塩素系、非ポリビニルブチラールである熱可塑性のポリマー又は組成物が、40℃
で約20psi未満
の増大膨張力を有する、カーペット又はカーペットタイルを提供する。少なくとも1種の非塩素系、非ポリビニルブチラールである熱可塑性のポリマー又は組成物は、25%歪み
で約60%未満、より好ましくは約55%未満
の残留応力、及び/又は40℃
で約10psi以下
の増大膨張力を有することができる。
【0004】
少なくとも1種の非塩素系、非ポリビニルブチラールである熱可塑性のポリマー又は組成物は、エチレン/ビニルアセタート(EVA)ポリマー、エチレンメチルアクリラート(EMA)ポリマー、非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)ポリマー、オレフィンブロックコポリマー(OBC)、及び均一に分枝したエチレンポリマーからなる群から選択できる。少なくとも1種の非塩素系、非ポリビニルブチラールである熱可塑性のポリマー又は組成物は、70℃での貯蔵弾性率(G’)4.3MPa超を有することができる。少なくとも1種の非塩素系、非ポリビニルブチラールである熱可塑性のポリマー又は組成物は、少なくとも1種の粘着付与剤をさらに含むことができる。
【0005】
カーペット又はカーペットタイルは、以下の少なくとも1つ又はそれ以上の特徴を有することを特徴とするエチレンブロックインターポリマーを含むオレフィンブロックコポリマーを有することができる:
(a)Mw/Mn約1.7から約3.5、少なくとも1つの融点Tm(℃)、及び密度d(g/cm
3)を有し、Tm及びdの数値は、下記の関係に対応し、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
2、又は
(b)Mw/Mn約1.7から約3.5を有し、融解熱ΔH(J/g)、及び最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量ΔT(℃)によって特徴づけられ、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有し、
ΔHが0超から130J/gまでの場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
ΔHが130J/gを超える場合、ΔT≧48℃、
ここでCRYSTAFピークは、少なくとも5%の累積ポリマーを用いて求められ、5%未満のポリマーが識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であり、又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される300%歪み及び1サイクルでの弾性回復率Re(%)によって特徴づけられ、密度d(g/cm
3)を有し、Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まないとき、下記の関係を満たし、
Re>1481−1629(d)、又は
(d)TREFを用いて分画したとき、40℃から130℃で溶出する分子画分を有し、該画分が、同じ温度の間に溶出する同等のランダムエチレンインターポリマー画分より少なくとも5%高いコモノマーモル含量を有し、ここで前記の同等のランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー、並びにエチレン/α−オレフィンインターポリマーの10%以内のメルトインデックス、密度、及びコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有することを特徴とし、又は
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)によって特徴づけられ、G’(25℃)とG’(100℃)の比は、約1:1から約10:1であり、好ましくは、エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマーは中間相分離しており、例えばマルチブロックに関しては、PCT/US09/032699及び米国特許仮出願第61/024674号に記載されており、制御配列分布例(ジブロック)は、PCT/US09/032705及び米国特許仮出願第61/024688号である。
【0006】
カーペット又はカーペットタイルのプレコートは、好ましくは任意ではない。
【0007】
(i)繊維、第1裏打ち、接着性裏打ち、及び任意の第2裏打ちがすべて、ポリオレフィンマルチブロックポリマーを含み、(ii)接着性裏打ちのオレフィンモノマーの化学的性質が、繊維及び第1裏打ちとは異なり、(iii)カーペットが、カーペット成分を分離することなく再生利用可能であることを示すラベル又は印刷物を販売時に含む、本発明のカーペットが開示される。
【0008】
キャップコート材料又は接着性裏打ち材料がさらに、
(a)材料の総重量に対して0重量%超から約90重量%の量の少なくとも1種の充填剤であって、充填剤が、石炭フライアッシュ、ATH、CaCO
3、タルク、再生ガラス、水酸化マグネシウム、粉砕(ground up)タイヤ、及び粉砕カーペットからなる群から選択される充填剤、
(b)場合により、MAH−g−HDPE、EEA、及びEAAからなる群から選択された少なくとも1種の他のポリマー、
(c)場合により、少なくとも1種の油、
(d)場合により、着色添加剤、例えばカーボンブラック、並びに
(e)0から約15重量パーセントの少なくとも1種の粘着付与剤を含む、本発明のカーペット又はカーペットタイルが開示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カーペット及びカーペットの製造方法に関し、それぞれカーペットは、少なくとも1種の可撓性エチレンポリマー裏打ち材料を含む。特定の例において、本発明は、カーペット及び押出しコーティング技法によるカーペットの製造方法に関し、それぞれカーペットは、少なくとも1種のオレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックコポリマーからなる裏打ち材料を含む。
【0010】
本発明は、第1裏打ち材料を用いて構成された任意のカーペットに関し、タフテッドカーペット、及び非タフテッドカーペット、例えばニードルパンチカーペットを含む。具体的な実施形態は、タフテッド及び非タフテッドカーペットに従うが、タフテッドカーペットが好ましい。
【0011】
カーペット裏打ち配合物、特にエチレンブロックコポリマーを用いるものは、より高い充填剤負荷量と共に改善された持続可能性を有する。
【0012】
プレコート裏打ち材料、接着性裏打ち材料、又はキャップコート裏打ち材料は、少なくとも1種のオレフィンブロックコポリマーを含むことができる。
【0013】
プレコートは、ポリオレフィン分散体として、ホットメルト接着剤ポリオレフィン分散体として、ホットメルト接着剤として、粉末コーティングとして、単層又は多層押出しとして適用されたかどうかにかかわらず押出しコーティングとして適用されたオレフィンブロックコポリマーを含むことができる。
【0014】
オレフィンブロックコポリマーを含む接着層は、単層若しくは多層押出しとして適用されるかどうかにかかわらず押出しコーティングとして、又はホットメルトとして適用できる。
【0015】
オレフィンブロックコポリマーを含むキャップコート又は第2裏打ち層は、単層若しくは多層押出しとして適用されるかどうかにかかわらず押出しコーティングとして、又はホットメルトとして適用できる。
【0016】
タフテッドカーペットは、ヤーン(繊維束(fiber bundle)としても公知である)、表面及び裏面を有する第1裏打ち材料、接着性裏打ち材料、並びに任意の第2裏打ち材料を含む、複合構造物である。タフテッドカーペットの表面を形成するために、各ステッチの長いほうの長さが第1裏打ち材料の表面から伸びるように、第1裏打ち材料を通してタフトされる。典型的に、第1裏打ち材料は、織布又は不織布材料、例えば熱可塑性ポリマー、最も一般的にはポリプロピレン又はポリエステルで製造される。
【0017】
タフテッドカーペットの表面は、一般に3つの方法で製造することができる。第1に、ループパイルカーペットの場合、タフティング工程で形成されたヤーンループをそのまま残す。第2に、カットパイルカーペットの場合、タフティング中又はその後にヤーンループを切断して、ループの代わりに多数の単一ヤーン末端を作製する。第3に、一部のカーペットスタイルは、ループとカットパイルの両方を含む。このハイブリッドの1つの種類は、先端せん断(tip-sheared)カーペットと呼ばれ、異なる長さのループをタフトし、その後、非切断、部分切断、及び完全切断ループの混合物が生じるように、ある長さでカーペットをせん断する。あるいは、タフティング機を、一部のループのみが切断され、それによって切断及び非切断ループのパターンが残るように設定することができる。ループ、切断、又はハイブリッドであるかにかかわらず、第1裏打ち材料の裏側のヤーンは、緊密な非伸長ループを含む。
【0018】
接着性裏打ち材料又は第2裏打ち材料を適用しない、タフテッドヤーンと第1裏打ち材料との組み合わせは、カーペット業界において、生タフテッドカーペット又はグレイグッズ(greige goods)と称される。
【0019】
グレイグッズは、第1裏打ち材料の裏側に接着性裏打ち材料及び任意の第2裏打ち材料を適用することによって、完成タフテッドカーペットとなる。完成タフテッドカーペットは、典型的には幅6又は12フィートの広幅織カーペットとして調製できる。
【0020】
あるいは、カーペットは、典型的には米国で18平方インチ及びその他の国では50平方センチのカーペットタイルとして調製することができる。
【0021】
接着性裏打ち材料は、ヤーンを第1裏打ち材料に付着させるために、第1裏打ち材料の裏面に適用される。典型的に、接着性裏打ち材料は、ローラを用いるパンアプリケータ、ローラ若しくはベッド上のローラ、又はローラ若しくはベッド上のナイフ(ドクターブレードとも称される)によって適用される。適切に適用された接着性裏打ち材料は、第1裏打ち材料を実質的に貫通しない。
【0022】
最も頻繁には、接着性裏打ち材料は、単一コーティング又は単層として適用される。ヤーンが付着される程度又は強さは、タフトロック又はタフト結合強度と称される。十分なタフト結合強度を有するカーペットは、良好な耐摩耗性を示し、そのため長い耐用年数を有する。また、接着性裏打ち材料は、第1裏打ち材料の裏面に露出するヤーン(繊維束)に実質的に浸透するべきであり、ヤーン内の個々の繊維を実質的に統合(consolidate)するべきである。
【0023】
ヤーンの良好な浸透及び繊維の統合は、良好な耐摩耗性をもたらす。さらに、良好なタフト結合強度及び耐摩耗性に加えて、接着材料は、カーペットの容易な設置を促進するために、カーペットに良好な可撓性を付与するか、又はそれを可能にするべきである。第2裏打ち材料は、典型的には織布又は不織布材料、例えば熱可塑性ポリマー、最も一般的にはポリプロピレンで製造された軽量スクリムである。第2裏打ち材料は、カーペットの裏面の接着性裏打ち材料上に場合により適用され、主として強化された寸法安定性をカーペット構造に提供し、並びに直接グルーダウン(glue-down)接着剤を適用するためのより広い表面積を提供する。
【0024】
代替裏打ち材料も、存在するならば、接着性裏打ち材料の裏面及び/又は第2裏打ち材料の裏面に適用することができる。
【0025】
代替裏打ち材料は、発泡緩衝材(例えば、発泡ポリウレタン)及び感圧床接着剤を含むことができる。代替裏打ち材料はまた、例えば直接グルーダウン接着剤設置を(例えば、緩衝材の必要性が最小限度であることが多い契約商業用敷物類、自動車用カーペット、及び航空機用カーペットにおいて)容易にするために、増大した表面積を有するウェビングとして適用することもできる。代替裏打ち材料は、湿分、昆虫、及び食料品に関するバリア保護を強化するために、並びにカーペットの鎮火性、断熱性、及び消音性を提供又は強化するために、場合により適用することもできる。
【0026】
公知の接着性裏打ち材料には、硬化性ラテックス、ウレタン、又はビニル系が含まれるが、ラテックス系が最も一般的である。従来のラテックス系は、高いカーペット生産速度で適用され、良好な繊維と裏打ちの接着、タフト結合強度、及び適切な可撓性を提供する、低粘度水性組成物である。一般に、過剰の水は排除され、ラテックスは乾燥オーブンを通過することによって硬化される。スチレンブタジエンゴム(SBR)は、ラテックス接着性裏打ち材料に用いられる最も一般的なポリマーである。典型的には、ラテックス裏打ち系は、無機充填剤、例えば、炭酸カルシウム又はアルミニウム三水和物で多量に充填され、他の成分、例えば抗酸化剤、抗菌剤、難燃剤、防煙剤、湿潤剤、及び発泡助剤を含む。
【0027】
従来のラテックス接着性裏打ち系は、いくつかの欠点を有することがある。1つの重要な欠点として、典型的なラテックス接着性裏打ち系は、湿分バリアを提供しない。可能性のある別の欠点は、特にポリプロピレンヤーン、並びにポリプロピレン第1及び第2裏打ち材料を有するカーペットの場合、無機充填剤を伴うラテックス系の異種ポリマーは、カーペットの再生利用可能性を低減する可能性のあることである。
【0028】
これらの欠点を考慮して、カーペット業界の一部は、従来のラテックス接着性裏打ち系の適切な代替物を探し始めた。1つの別法は、ウレタン接着性裏打ち系を使用することである。カーペットを統合するために十分な接着性を提供することに加えて、ウレタン裏打ちは一般に、良好な可撓性及びバリア特性を示し、発泡時、別個の下地パディングの必要性を排除できる(すなわち、直接グルーダウン単一裏打ち系を構成できる)。しかしながら、ウレタン裏打ち系も重要な欠点を有し、これには比較的高いコスト、及びラテックス系と比較して遅いカーペット生産速度での適用を必要とする厳しい硬化要件が含まれる。
【0029】
熱可塑性ポリオレフィン、例えばエチレンビニルアセタート(EVA)コポリマー及び低密度ポリエチレン(LDPE)もまた、部分的にはそれらの低コスト、良好な湿分安定性、及び硬化要件のないことから、接着性裏打ち材料として提案されてきた。ポリオレフィン裏打ち材料を適用するために、種々の方法が利用可能であり、これには粉末コーティング、ホットメルト適用、及び押出しフィルム又はシート積層が含まれる。
【0030】
しかしながら、ラテックス接着性裏打ちに取って代わるポリオレフィンの使用にも困難が伴うことがある。例えば、米国特許第5240530号、表Aの10列は、通常のポリオレフィン樹脂がカーペット構成に用いるには不適切な接着性を有することを示している。加えて、ラテックス及び他の硬化系と比べて、通常のポリオレフィンは、比較的高い適用粘度、及び比較的高い熱的要件を有する。すなわち、通常の熱可塑性ポリオレフィンは、ラテックス及び他の硬化(熱硬化)系に特徴的である典型的な水性粘度及び硬化温度要件に比べて、比較的高い溶融粘度、及び高い再結晶又は固化温度を特徴とする。
【0031】
通常のエラストマーポリオレフィン、すなわち低い結晶化度を有するポリオレフィンでさえ、一般に比較的高い粘度及び比較的高い再結晶温度を有する。高い再結晶温度は、加工中、比較的短い溶融時間をもたらし、高い溶融粘度と相まって、特に従来の接着性裏打ち適用速度において、ヤーンの適切な浸透の達成を困難にすることがある。通常のポリオレフィンの粘度及び再結晶の欠陥を克服するための1つの方法は、ポリオレフィン樹脂をホットメルト接着剤として配合することであり、これには通常、低分子量ポリオレフィンを、ワックス、粘着付与剤、種々の流れ調整剤、及び/又は他のエラストマー材料と配合することを伴う。例えば、エチレン/ビニルアセタート(EVA)コポリマーは、配合されたホットメルト接着性裏打ち組成物に用いられており、他のポリオレフィン組成物も、ホットメルト裏打ち組成物として提案されている。例えば、Taft等の米国特許第3982051号は、エチレン/ビニルアセタートコポリマー、アタクチックポリプロピレン、及び加硫ゴムを含む組成物が、ホットメルトカーペット裏打ち接着剤として有用であることを開示している。
【0032】
残念ながら、ホットメルト接着剤系は一般に、従来のラテックス接着性裏打ちの完全には適切な代替物とはみなされない。EVA、及び他のエチレンと不飽和コモノマーのコポリマーをベースとする典型的なホットメルト系は、考慮すべき配合を必要とすることがあり、多くの場合、不適切なタフト結合強度を生じる。しかしながら、典型的なホットメルト系の最も重要な欠陥は、一般に低すぎて直接押出しコーティング技法によって適用することができないそれらの溶融強度である。そのため、ポリオレフィンホットメルト系は、典型的に、比較的遅く、効率の劣る技法、例えば加熱したドクターブレード又は回転溶融移送ローラ(rotating melt transfer roller)の使用によって、第1裏打ちに適用される。
【0033】
配合されていない高圧低密度ポリエチレン(LDPE)は、従来の押出しコーティング技法によって適用できるが、LDPE樹脂は典型的に、不十分な可撓性を有し、それが過剰なカーペット剛性をもたらすことがある。
【0034】
一方、改善された可撓性を有する通常のポリオレフィン、例えば超低密度ポリエチレン(ULDPE)及びエチレン/プロピレンインターポリマーは、依然として十分な可撓性を持たず、過度に低い溶融強度を有し、且つ/又は押出しコーティング中に延伸共鳴する(draw resonate)傾向がある。押出しコーティングの問題を克服するため、十分な可撓性を有する通常のポリオレフィンは、積層技法によって適用して、適切なヤーンと裏打ちの接着を確保することができるが、しかしながら、積層技法は典型的に高価であり、直接押出しコーティング技法と比べて、延長された生産速度をもたらすことがある。
【0035】
可撓性ポリオレフィン裏打ち材料の公知の例は、米国特許第3390035号、同第3583936号、同第3745054号、及び同第3914489号に開示されている。一般に、これらの開示は、エチレンコポリマー、例えばエチレン/ビニルアセタート(EVA)、及びワックスをベースとするホットメルト接着性裏打ち組成物を記載している。ヤーンを貫通するホットメルト接着性裏打ち組成物の浸透を増強するための公知の技法には、例えば米国特許第3551231号に記載のとおり、グレイグッズを回転溶融移送ローラに接触させながら、圧力を加えることが含まれる。
【0036】
ホットメルト系の有効性を強化するための別の公知の技法は、プレコート系の使用を伴う。例えば、米国特許第3684600号、同第3583936号、及び同第3745054号は、ホットメルト接着組成物の適用前に、第1裏打ち材料の裏面に低粘度水性プレコートを適用することを記載している。
【0037】
これらの特許に開示されているホットメルト接着性裏打ち系は、機能性エチレンポリマー、例えばエチレン/エチルアクリラート(EEA)及びエチレン/ビニルアセタート(EVA)コポリマーをベースとする多成分配合物に由来する。
【0038】
カーペット裏打ち分野で公知の様々な系が存在するが、硬化ラテックス裏打ち系に取って代わる、十分なタフト結合強度、良好な耐摩耗性、及び良好な可撓性を提供する熱可塑性ポリオレフィンカーペット裏打ち系が依然として求められている。良好なタフト結合強度、耐摩耗性、バリア特性、及び可撓性の所望の特徴を達成しながら、高いカーペット生産速度を可能にする適用方法も依然として求められている。最後に、カーペット成分材料を広範に操作及び分離する必要なしに、容易に再生利用可能である、繊維及び裏打ち材料を有するカーペット構造を提供することも求められている。本発明の一態様によれば、カーペットは、複数の繊維、表面及び裏面を有する第1裏打ち材料、接着性裏打ち材料、及び任意の第2裏打ち材料を含み、複数の繊維は、第1裏打ち材料に付着し、第1裏打ち材料の表面から突出し、第1裏打ち材料の裏面に露出しており、接着性裏打ち材料は、第1裏打ち材料の裏面に配置されており、任意の第2裏打ち材料は、接着性裏打ち材料に隣接しており、複数の繊維、第1裏打ち材料、接着性裏打ち材料、又は任意の第2裏打ち材料の少なくとも1つは、少なくとも1種のオレフィンブロックコポリマーからなる。本発明の別の態様は、カーペットを製造する方法であって、カーペットは、複数の繊維、表面及び裏面を有する第1裏打ち材料、接着性裏打ち材料、及び任意の第2裏打ち材料を含み、複数の繊維は、第1裏打ち材料に付着し、第1裏打ち材料の表面から突出し、第1裏打ち材料の裏面に露出しており、該方法は、接着性裏打ち材料又は任意の第2裏打ち材料を第1裏打ち材料の裏面に押出しコーティングするステップを含み、押出し被覆接着性裏打ち材料又は任意の第2裏打ち材料は、少なくとも1種のオレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーからなり、インターポリマーが、平均ブロック指数0超から約1.0まで、及び分子量分布M
w/M
n約1.3超によって特徴づけられることを特徴とする。別の態様において、本発明は、エチレン及びα−オレフィンの重合単位を含むエチレン/α−オレフィンインターポリマーに関し、平均ブロック指数は0超であるが、約0.4未満であり、分子量分布M
w/M
nは約1.3超である。好ましくは、インターポリマーは、少なくとも3ブロックを有する線状マルチブロックコポリマーである。同様に好ましくは、インターポリマーのエチレン含量は、少なくとも50モルパーセントである。
【0039】
本発明の別の態様は、カーペットを製造する方法であって、カーペットは、崩壊した非膨脹接着性裏打ち材料マトリクスを有し、第1裏打ち材料に付着したヤーンを含み、接着性裏打ち材料は、少なくとも1種のエチレンポリマーを含み、第1裏打ち材料と密接に接触しており、実質的にヤーンに浸透し、実質的にヤーンを統合しており、該方法は、有効量の少なくとも1種の内破剤(implosion agent)を接着性裏打ち材料に添加し、その後、溶融又は半溶融ポリマーが第1裏打ち材料の裏面に露出したヤーンの空間に入るように、押出しコーティングステップ中に内破剤を活性化するステップを含む。
【0040】
本発明の別の態様は、カーペットを製造する方法であって、カーペットは、表面を有し、ヤーン、第1裏打ち材料、接着性裏打ち材料、及び任意の第2裏打ち材料を含み、第1裏打ち材料は、カーペットの表面の反対の位置に裏面を有し、ヤーンは、第1裏打ち材料に付着しており、接着性裏打ち材料は、第1裏打ち材料の裏面に適用され、任意の第2裏打ち材料は、接着性裏打ち材料に適用され、該方法は、接着性裏打ち材料の適用前に、蒸気、溶媒、及び/又は熱を用いて、第1裏打ち材料の裏面を精錬、洗浄、又はフラッシュして、加工材料を実質的に除去又は排除するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書では、用語「密接な接触」、「実質的な封入」、及び/又は「実質的な統合」は、1種又はそれ以上のカーペット成分が別のカーペット成分と化学的に相互作用できるかどうかにかかわらず、異種カーペット成分間の機械的接着又は機械的相互作用(化学結合の対語として)を指す。本発明の機械的接着又は機械的相互作用に関して、ポリマー材料のいくらかの有効量の相互混合又は相互溶融が存在する可能性があるが、しかしながら、種々のカーペット界面の顕微鏡写真(倍率20×)の目視検査から判定されるように、種々の成分の連続又は一体融解は存在しない。この意味の範囲内で、ヤーン若しくは繊維束の融解、又は繊維束中の個々の繊維の相互融解は、本明細書では繊維は1つのカーペット成分と称されるため、それ自体で一体融解とはみなされない。
【0042】
用語「密接な接触」は、第1裏打ち材料の裏面と接着性裏打ち材料との間の機械的相互作用を指す。
【0043】
用語「実質的な封入」は、第1裏打ち材料の裏面と接着性裏打ち材料との間の界面又はその直近において、ヤーン又は繊維束を著しく包囲する接着性裏打ち材料を指す。用語「実質的な統合」は、ヤーン又は繊維束を実質的に封入し、第1裏打ち材料の裏面を接着性裏打ち材料と密接に接触させることによって達成される、カーペットの全体的な完全性及び寸法安定性を指す。実質的に統合されたカーペットは、種々のカーペット成分に関して、良好な成分凝集性及び良好な耐剥離性を有する。
【0044】
本明細書では、用語「一体融解」は、当分野で公知であるものと同じ意味で用いられ、接着性裏打ち材料の融点より高い温度を用いる、カーペット成分の熱結合を指す。一体融解は、接着性裏打ち材料が、繊維若しくは第1裏打ち材料、又はその両方と同じポリマーを含むときに起こる。
【0045】
しかしながら、一体融解は、接着性裏打ち材料が、繊維及び第1裏打ち材料とは異なるポリマーを含むときには起こらない。用語「同じポリマー」は、ポリマーのモノマー単位が同じ化学的性質のものであることを意味するが、それらの分子又は形態的属性は異なっていてもよい。反対に、用語「異なるポリマー」は、分子又は形態的相違にかかわらず、ポリマーのモノマー単位が異なる化学的性質のものであることを意味する。したがって、本発明の種々の定義によれば、ポリプロピレン第1裏打ち材料とポリエチレン接着性裏打ち材料は、これらのカーペット成分が異なる化学的性質のものであるため、一体に融解しないであろう。本明細書では、用語「カーペット成分」は個別に、カーペット繊維束、第1裏打ち材料、接着性裏打ち材料、及び任意の第2裏打ち材料を指す。
【0046】
本明細書では、用語「押出しコーティング」は、従来の意味で用いられ、通常はペレット形態であるポリマー組成物を、その溶融温度より高い温度に押出し機で加熱し、次いで、スロットダイから押し出して、半溶融又は溶融ポリマーウェブを形成する押出し技法を指す。半溶融又は溶融ポリマーウェブは、連続的に供給されるグレイグッズ上に連続して引き出され、グレイグッズの裏面をポリマー組成物で被覆する。押出し工程は、ニップ(nip)において、グレイグッズの表面は冷却ロールに向かって配向され、接着性裏打ち材料の裏面はニップ圧力ロールに向かって配向される本発明において有用で有り得る。押出しコーティングは、積層技法とは異なる。
【0047】
本明細書では、用語「積層技法」は、従来の意味で用いられ、最初に接着性裏打ち材料を固化又は実質的に固化したフィルム又はシートとして形成し、その後、別個の加工ステップにおいて、フィルム又はシートを再加熱するか、又は温度を上昇させ、その後、それを第1裏打ち材料の裏面に適用することによる、接着性裏打ち材料のグレイグッズへの適用を指す。本明細書では、用語「熱含量」は、充填剤の熱容量と比重の積を指す。接着性裏打ち材料の固化又は溶融時間を延長するために、高い熱含量を有することを特徴とする充填剤が、本発明の特定の実施形態において用いられる。The Handbook for Chemical Technicians, Howard J. Strauss及びMilton Kaufmann, McGraw Hill Book Company, 1976, Sections 1-4及び2-1は、選択された無機充填剤の熱容量及び比重に関する情報を提供している。本発明での使用に適した充填剤は、本発明の押出しコーティング加工温度範囲を通じて、それらの物理的状態が変化しない(すなわち、固体材料のままである)。
【0048】
好ましい高熱含量充填剤は、高い比重と高い熱容量の組み合わせを有する。
【0049】
本明細書では、用語「内破剤」は、通常はある特定の活性化温度で、加熱により活性化されたとき、ガス放出するか、又はガス放出の原因となる従来の発泡剤又は他の化合物の使用を指す。本発明において、内破剤は、ヤーン又は繊維束の空間に接着性裏打ち材料を内破するか、又は送り込むために用いられる。
【0050】
本明細書では、用語「加工材料」は、接着性裏打ち材料の接着又は物理的界面相互作用を妨げることができる物質、例えばろくろ研磨ワックス(spin finishing wax)、機器の油、サイジング剤などを指す。加工材料は、本発明の精錬又は洗浄技法によって除去又は排除することができ、それによって向上した機械的結合が得られる。本明細書では、用語「ポリプロピレンカーペット」及び「ポリプロピレングレイグッズ」は、カーペット又はグレイグッズの第1裏打ち材料がポリプロピレン又は他の物質からなっているかどうかにかかわらず、実質的にポリプロピレン繊維からなるカーペット又はグレイグッズを意味する。
【0051】
本明細書では、用語「ナイロンカーペット」及び「ナイロングレイグッズ」は、カーペット又はグレイグッズの第1裏打ち材料がナイロン又は他の物質からなっているかどうかにかかわらず、実質的にナイロン繊維からなるカーペット又はグレイグッズを意味する。
【0052】
エチレンポリマーを記載するために用いられる用語「線状」は、本明細書では、測定可能又は実証可能な長鎖分枝を持たないエチレンポリマーのポリマー骨格を意味し、例えば、ポリマーは平均0.01長分枝未満/1000炭素で置換されている。
【0053】
エチレンポリマーを記載するために用いられる用語「均一なエチレンポリマー」は、Elstonによる米国特許第3645992号の最初の開示に従って、従来の意味で用いられ、コモノマーが所与のポリマー分子内にランダムに分布し、実質的にすべてのポリマー分子が実質的に同じエチレン対コモノマーモル比を有するエチレンポリマーを指す。本明細書に定義されるとおり、実質的に線状のエチレンポリマー及び均一に分枝した線状エチレンは、いずれも均一なエチレンポリマーである。
【0054】
オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーは、様々な特許出願に記載及び請求されており、これには参照により本明細書に組み入れる米国特許第7355089号(Chang等)、並びに国際公開第2005/090425号、同第2005/090426号、及び同第2005/090427号が含まれる。
【0055】
本出願人等は、オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーが、押出し被覆カーペット裏打ち適用例、特に商業用及び住宅用カーペット市場に独特の利点をもたらすことを見出した。オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーは、従来のエチレンポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、不均一に分枝した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び不均一に分枝した超低密度ポリエチレン(ULDPE)と比べて、低い固化温度、良好なポリプロピレンとの接着、及び低い弾性率を有する。そのため、オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーは、カーペット繊維、第1裏打ち材料、接着性裏打ち材料、及び任意の第2裏打ち材料の製造に有用である。しかしながら、オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーは、タフテッドカーペット及び非タフテッドカーペット(例えば、ニードルパンチカーペット)の接着性裏打ち材料として特に有用であり、タフテッドカーペットに特に有用である。
【0056】
本発明では、接着性裏打ち材料を適用するためのカーペット裏面の押出しコーティング中、適切に選択されたエチレンブロックインターポリマーは、カーペットヤーン(繊維束)の良好な浸透を示し、さらにヤーン内の繊維の良好な統合を可能にする。
【0057】
タフテッドカーペットに用いられるとき、カーペットのタフト結合強度及び耐摩耗性は、エチレンブロックインターポリマーのヤーンへの浸透によって増大する。好ましくは、タフト結合(又はタフトロック)強度3.25ポンド(1.5kg)以上、より好ましくは5ポンド(2.3kg)以上、最も好ましくは7.5ポンド(3.4kg)以上が達成される。ヤーンへの浸透の向上に加えて、タフト結合強度は、ポリマーの分子量の増加によっても増大できる。しかしながら、タフト結合強度の向上のために選択されたより高いポリマー分子量は、一般に良好なヤーン浸透及び良好な押出し被覆性に必要とされるより低いポリマー分子量の要件に反する。また、より高いポリマー密度は、化学耐性及びバリア耐性の向上には望ましいが、より高い密度は常により硬いカーペットを生じる。そのため、ポリマーの特性は、押出し被覆性と耐摩耗性との間のバランス、並びに化学耐性とカーペット可撓性との間のバランスが維持されるように選択されなければならない。
【0058】
カーペットグレイグッズが、適切に選択されたエチレンブロックインターポリマーで裏打ちされるとき、これらのポリマーの低い曲げ弾性率は、カーペットの設置及び一般的なカーペットの取り扱いの容易さに利点をもたらす。
【0059】
エチレンブロックインターポリマーは、特に接着性裏打ち材料として用いられるとき、ポリプロピレンへの増強された機械的接着を示し、これにより種々のカーペット層及び成分、すなわち、ポリプロピレン繊維、繊維束、第1裏打ち材料、及び場合により適用されるときには第2裏打ち材料の統合及び耐剥離性が改善される。その結果、並はずれて良好な耐摩耗性及びタフト結合強度を得ることができる。良好な耐摩耗性は一般にカーペットの耐久性を改善するため、良好な耐摩耗性は商業的カーペットクリーニング作業に特に重要である。
【0060】
適切に選択されたエチレンブロックインターポリマーは、第2裏打ち材料の排除を可能にすることができ、そのため、著しい製造コストの削減をもたらすことができる。加えて、接着によってエチレンブロックインターポリマーで裏打ちされたカーペットは、カーペットの衛生的特性を増強する実質的に流体及び粒子のバリアを提供できる。エチレンブロックインターポリマー接着性裏打ち材料は、特にカーペットがポリプロピレン繊維を含む場合、完全に再生利用可能なカーペット製品を可能にできる。
【0061】
加えて、エチレンブロックインターポリマーと繊維グレードのポリプロピレン樹脂の混合物は、射出成形及び他の成形適用例に有用である耐衝撃性改質再利用組成物を生じることができ、さらに、例えば第1裏打ち材料として、又は接着性裏打ち材料ポリマー組成物のブレンド成分として、カーペット構成に再利用できる。すなわち、ポリオレフィンポリマー混合物は、一体融解するほど十分な類似性を有することなく、良好な再生利用性を可能にする十分に類似したポリマーの化学的性質、適合性、及び/又は混和性を伴うことができる。
【0062】
好ましいオレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーは、示差走査熱量測定法を用いて求められた、−30℃から150℃の間の単一溶融ピークを有する。好ましくは、エチレンをベースとするブロックインターポリマーは、−30℃から150℃、通常約100から約130℃の間の単一示差走査熱量測定(DSC)溶融ピークを有する。本発明に用いられるエチレンをベースとするブロックインターポリマーは、単一DSC溶融ピークを特徴とする。単一溶融ピークは、インジウム及び脱イオン水で標準化した示差走査熱量計を用いて求められる。この方法は、5〜7mgのサンプルサイズ、4分間保持される約140℃への「第1加熱」、3分間保持される−30℃への10℃/分の冷却、及び「第2加熱」の150℃への10℃/分の加熱を伴う。単一溶融ピークは、「第2加熱」熱流量対温度曲線から得られる。ポリマー融解の総熱量は、曲線下面積から算出される。
【0063】
全ポリマー製品サンプル及び個々のポリマー成分は、系温度140℃で操作する、3つの混合多孔性カラム(Polymer Laboratories10
3、10
4、10
5、及び10
6A)を備えたWaters150高温クロマトグラフィ装置でゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって分析される。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンであり、この溶媒からサンプルの0.3重量パーセント溶液を注入のために調製する。流量は1.0ml/分であり、注入サイズはマイクロリットルである。分子量の決定は、狭い分子量分布のポリスチレン標準(Polymer Laboratories)をそれらの溶出体積と併せて用いることによって推論される。当量ポリスチレン分子量は、ポリエチレン及びポリスチレンに適切なMark−Houwink係数を用い(Williams及びWard, Journal of Polymer Science, Polymer Letters, Vol.6, p.621, 1968に記載)、下式を誘導することによって決定される:M
ポリエチレン=a(M
ポリスチレン)
b。この式において、a=0.4316であり、b=1.0である。重量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mnは、次式:M
w=Σw
i*(M
i)(式中、w
i及びM
iは、GPCカラムから溶出されるi番目の画分の重量画分及び分子量である)に従って、通常の方法で算出される。ブロック指数、及びハード/ソフトセグメント分割は、米国特許第11/376835号及び欧州特許第1716190B1号に従って測定できる。
【0064】
本発明に用いるのに適したオレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーには、溶液、気相、若しくはスラリー重合法、又はそれらの組み合わせによって調製されたエチレンと少なくとも1種のα−オレフィンのインターポリマーが含まれる。適切なα−オレフィンは、次式:CH
2=CHR*(式中、Rはヒドロカルビル基である)によって表される。さらに、Rは、1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であることもでき、そのため該式には、C
3−C
20α−オレフィンが含まれる。コモノマーとして用いるのに適したα−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、及び1−オクテン、並びに他のコモノマー型、例えば、スチレン、ハロ−又はアルキル−置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、及びシクロアルケン、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、及びシクロオクテンが含まれる。より高級なα−オレフィンからなる接着性裏打ち材料は、特に改善された靱性を有するため、好ましくは、コモノマーは1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、又はそれらの混合物となる。用語「インターポリマー」は、主たる(支配的)モノマーが少なくとも1種の他のコモノマーと共重合されていることを意味する。したがって、用語インターポリマーは、コポリマー、並びにターポリマー(3種のモノマー)などを指すことができる。しかしながら、最も好ましくは、コモノマーは1−オクテンであり、エチレンポリマーは、溶液法で調製される。
【0065】
ASTM D−792に従って測定される、エチレンをベースとするブロックインターポリマーの密度は、一般に0.92g/ccを超えず、一般に約0.85g/ccから約0.92g/cc、好ましくは約0.86g/ccから約0.91g/cc、特に約0.86g/ccから約0.90g/ccの範囲内である。エチレンをベースとするブロックコポリマーの分子量は、好都合にはASTM D−1238、条件190℃/2.16kg(以前は「条件(E)」として公知であり、I
2としても公知である)による、メルトインデックス測定を用いて示される。メルトインデックスは、ポリマーの分子量に反比例する。したがって、分子量が高いほど、メルトインデックスは低くなるが、その関係は線形ではない。エチレンをベースとするブロックインターポリマーのメルトインデックスは、一般に1グラム/10分(g/10分)から約500g/10分、好ましくは約2g/10分から約300g/10分、より好ましくは約5g/10分から約100g/10分、特に約10g/10分から約50g/10分、最も特には約25から約35g/10分である。エチレンをベースとするブロックインターポリマーの分子量を特徴づけるのに有用な別の測定は、好都合にはASTM D1238、条件190℃/10kg(以前は「条件(N)」として公知であり、I
10としても公知である)による、メルトインデックス測定を用いて示される。I
10とI
2メルトインデックス項の比は、メルトフロー比であり、I
10/I
2と表される。エチレンをベースとするブロックインターポリマーのI
10/I
2比は、少なくとも6.5、好ましくは少なくとも7、特に少なくとも8である。
【0066】
本発明で用いるのに好ましいエチレンポリマーは、比較的低い弾性率を有する。すなわち、エチレンポリマーは、ASTM D790に従って測定される、2%割線弾性率24000psi(163.3MPa)未満、特に19000psi(129.3MPa)未満、最も特には14000psi(95.2MPa)未満を有することを特徴とする。
【0067】
本発明で用いるのに好ましいエチレンポリマーは、実質的に非晶質であるか、又は完全に非晶質である。すなわち、エチレンポリマーは、式結晶化度率=(Hf/292)*100(式中、Hfは融解熱ジュール/グラムである)を用いて、示差走査熱量測定法によって測定された、結晶化度率40%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満を有することを特徴とする。オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーは、単独で用いることができ、又は1種若しくはそれ以上の合成若しくは天然ポリマー材料とブレンド若しくは混合することができる。本発明で用いられるオレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーとブレンド又は混合するのに適したポリマーには、これに限定されるものではないが、別のオレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマー、低密度ポリエチレン、不均一に分枝したLLDPE、不均一に分枝したULDPE、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、グラフト化ポリエチレン(例えば、無水マレイン酸押出しグラフト化不均一分枝線状低ポリエチレン、又は無水マレイン酸押出しグラフト化(MAH−g)均一分枝超低密度ポリエチレン)、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンビニルアセタートコポリマー、エチレンエチルアクリラートコポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリブチレン、ポリアミド、ポリカルボナート、ゴム、エチレンプロピレンポリマー、エチレンスチレンポリマー、スチレンブロックコポリマー、及び加硫物(vulcanate)が含まれる。種々のポリマーの実際のブレンド又は混合は、当分野で公知の任意の技法によって好都合に達成することができ、これに限定されるものではないが、溶融押出し配合、乾式ブレンド、ロールミリング、溶融混合、例えばBanburyミキサでの混合、及び複数反応器重合が含まれる。好ましいブレンド又は混合物には、オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマー、及びα−オレフィンが各反応器で異なる触媒系を用い、並列又は直列で操作される2つの反応器を用いて調製されたC
3−C
8である不均一に分枝したエチレンα−オレフィンインターポリマーが含まれる。
【0068】
現在用いられているラテックス及びポリウレタン系と同様の性能又はより良好な性能を実現する押出しコーティング可能なカーペット裏打ち系のための樹脂特性、加工条件、及び機器構成の範囲は、すでに見出されている。ポリウレタンプレコート、積層コート、及び発泡コートは、そのような裏打ちの調製の当業者に公知の方法によって調製できる。分散体から調製されるプレコート、積層コート、及び発泡コートは、P. L. Fitzgerald, 「Integral Dispersion Foam Carpet Cushioning」, J. Coat. Fab. 1977, Vol.7(pp.107-120)及びR. P. Brentin, 「Dispersion Coating Systems for Carpet Backing」, J. Coat. Fab. 1982, Vol. 12(pp.82-91)に記載されている。
【0069】
好ましくは、各層が異なる樹脂を含む2つの樹脂層が押出され、第1裏打ち材料の裏面に直接適用される層(第1層)は、第1層の裏面に適用される第2層より高いメルトインデックスを有する。ヤーンの封入及び浸透は第1層に依存するため、この層は、ヤーンの封入及び浸透を促進するのに十分に高いメルトインデックス(十分に低い溶融粘度)を有するべきである。一般にヤーンの封入及び浸透に依存されることのない第2層は、カーペットの底面として、又は任意の第2裏打ち材料の適用を容易にするために用いることができる。これら両方の用途では、冷却後により高い強度を提供するために、より低いメルトインデックスを有することが好ましい。加えて、繊維束の封入又は浸透に依存されないため、第2層には品質が低く且つ/又は特性が厳格に制御されていない樹脂を用いることができる。好ましい実施形態において、第2層は再生原料である。
【0070】
また、第1層及び第2層は、異なるポリマー化学又は組成からなることができる。例えば、第1層は、接着性ポリマー(添加剤として、又は層全体の組成物として)、例えば、これに限定されるものではないが、エチレンビニルアセタートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、又は無水マレイン酸/エチレンポリマーグラフト(好ましくは、エチレンブロックインターポリマー/無水マレイン酸押出しグラフト、又は高密度ポリエチレン/無水マレイン酸押出しグラフト)からなることができ、第2層は、非極性ポリマー、例えばオレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックコポリマー、低密度ポリエチレン、又は超低密度ポリエチレンからなることができる。あるいは、第1層は、非極性ポリマーからなることができ、第2層は、接着性ポリマーからなることができる。好ましくは、第1層は、I
2メルトインデックス約5から約175g/10分を有し、第2層は、I
2メルトインデックス約1から約70g/10分を有する。最も好ましくは、第1層は、I
2メルトインデックス約30から約70g/10分を有し、第2層は、I
2メルトインデックス約10から約30g/10分を有する。カーペットに適用される樹脂の厚さ又は重量がより良く制御されるように、単一のポリマー組成の2層を押出すことも好ましい。
【0071】
別の実施形態において、3層以上の樹脂を第1裏打ち材料の裏面に押し出して、さらに大きいコート重量を達成し、且つ/又は適用される第1層と最終層との間により段階的な遷移を得ることができる。好ましくは、デュアルリップダイを用いて2層を適用する。あるいは、2つ以上の押出しステーション、又はシングルリップ共押出しダイを用いて、これら2つ以上の層を適用することができる。本発明の別の態様は、改質オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーの使用である。適切なグラフト技法は、米国特許第4762890号、同第4927888号、同第4230830号、同第3873643号、及び同第3882194号に記載されており、それぞれの開示を全体として本明細書に組み入れる。
【0072】
本発明で用いるのに好ましい接着性ポリマー添加剤は、無水マレイン酸が約0.1から約5.0重量%、好ましくは約0.5から約1.5重量%の濃度でエチレンポリマーにグラフト化されている、無水マレイン酸グラフトである。本発明において、接着性ポリマー添加剤としてのエチレンポリマー/無水マレイン酸グラフトの使用は、特に極性ポリマー、例えば、これに限定されるものではないが、ナイロン及びポリエステル表面カーペットの接着性裏打ち材料として、押出し被覆オレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーの性能及び操作ウィンドウを著しく改善する。この改善は、実質的に高い比較耐摩耗性及びタフト結合強度に関係した。グラフト接着剤は、性能を改善するために延長された溶融又は半溶融接触時間を必要とし、カーペット構成に存在する不連続な界面と対照的に、連続的な基体が存在するフィルム及びコーティングの中間層接着剤として機能することが一般に知られている点で、この改善は驚くべきことであった。グラフト化ホストポリマーとして用いるのに好ましいエチレンポリマーには、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、不均一に分枝した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、均一に分枝した線状エチレンポリマー、及び実質的に線状のエチレンポリマーが含まれる。好ましいホストエチレンポリマーは、ポリマー密度0.915g/cc以上、最も好ましくは0.92g/cc以上を有する。エチレンをベースとするブロックインターポリマー及び高密度ポリエチレンは、好ましいホストエチレンポリマーである。
【0073】
本発明のこの態様において、接着性ポリマー添加剤は、ポリマーの総重量に対して約0.5から約30重量%、好ましくは約1から約20重量%、より好ましくは約5から約15重量%の範囲のレベルでオレフィンブロックコポリマー、特にエチレンをベースとするブロックインターポリマーに添加される。好ましいエチレンポリマー無水マレイン酸グラフトの場合、添加によって、ポリマーの総重量に対して約0.01から約0.5重量%、好ましくは約0.05から約0.2重量%の範囲の最終無水マレイン酸濃度が提供されるべきである。押出しポリマーはニートであることができ、又は1種又はそれ以上の添加剤を含むことができる。好ましい添加剤は、無機充填剤であり、より好ましくは高い熱含量を有する無機充填剤である。そのような充填剤の例には、これに限定されるものではないが、石炭フライアッシュ、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、バライトが含まれる。高い熱含量の充填剤は、押出し物が高温でより長く残存することを可能にし、増強された封入及び浸透を提供する有益な結果を伴うため、そのような充填剤は本発明に有利であると考えられている。すなわち、通常、充填剤はカーペット裏打ち材料に添加され、単にバルクを増すか(すなわち、増量剤として)、又は絶縁及び消音特性を付与する。しかしながら、本出願人等は、高い熱含量を有する無機鉱質充填剤が、驚くべきことにヤーンの封入及び浸透を改善し、それが延いては押出し被覆カーペットサンプルの耐剥離性及びタフト結合強度の性能を改善することを見出した。
【0074】
好ましくは、高熱含量充填剤は、全押出し物の約1から約75重量%、より好ましくは約15から約重量%、最も好ましくは約20重量%から50重量%のレベルで添加される。そのような充填剤は、比熱含量0.4cal−cc/℃(1.8ジュール−cc/℃)以上、好ましくは0.5cal−cc/℃(2ジュール−cm
3/℃)以上、より好ましくは0.6cal−cc/℃(2.5ジュール−cm
3/℃)以上、最も好ましくは約0.7cal−cc/℃(2.9ジュール−cm
3/℃)以上を有することになる。本発明で用いられる高熱含量充填剤の代表的な例には、これに限定されるものではないが、石灰石(主としてCaCO
3)、大理石、石英、シリカ、及びバライト(主としてBaSO
4)が含まれる。高熱含量充填剤は、押出しコーティング溶融流に好都合に混入できるサイズに粉砕又は沈澱されるべきである。適切な粒径範囲は、約1から約100ミクロンの範囲である。カーペットに発泡裏打ちが所望である場合、接着性裏打ち材料及び/又は任意の第2裏打ち材料に発泡剤を添加できる。用いられる場合、発泡剤は、好ましくは従来の熱活性化発泡剤、例えばアゾジカルボンアミド、トルエンスルホニルセミカルバジド、及びオキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジドである。添加される発泡剤の量は、求められる発泡の程度によって決まる。典型的な発泡剤のレベルは、約0.1から約1.0重量%である。
【0075】
他の添加剤も、出願人等によって見出された増強された特性を妨げない範囲で、接着性裏打ち材料に含むことができる。例えば、抗酸化剤、例えば立体障害フェノール、立体障害アミン、及び亜リン酸塩(phospite)を用いることができる。適切な抗酸化剤には、ヒンダードフェノールであるCiba−GeigyのIrganox(商標)1010、亜リン酸塩であるCiba−GeigyのIrgafos(商標)168が含まれる。他の可能な添加剤には、抗ブロック添加剤、顔料及び着色剤、帯電防止剤、抗菌剤(例えば、第4級アンモニウム塩)、並びに冷却ロール剥離添加剤(例えば、脂肪酸アミド)が含まれる。上記のとおり、本発明のカーペットは、好ましくは第2裏打ち材料も含む。好ましくは、第2裏打ち材料は、押出しコーティング後、押出し物が依然として溶融している間に、押出し層に直接積層される。この技法によって、押出しコーティングの第1裏打ちへの浸透が改善され得ることが見出された。
【0076】
あるいは、第2裏打ち材料は、押出し層の少なくとも最外部を再加熱及び/又は再溶融することによって、又は少なくとも2つの専用押出し機を用いる共押出しコーティング技法によって、後のステップで積層することができる。また、第2裏打ち材料は、いくつかの他の手段、例えば、接着性裏打ち材料と第2裏打ち材料との間にポリマー接着性材料の層を挿入することによっても積層できる。
【0077】
適切なポリマー接着性材料には、これに限定されるものではないが、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、アイオノマー、及び無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン組成物が含まれる。本明細書に記載した押出し裏打ちカーペット構成及び方法は、特にカーペットタイルの製造に適している。カーペットタイルの好ましい実施形態において、カーペットは、約5から約200OSY(約176.8から約7074cm
3/m
2)の押出し接着性裏打ちを含んだ。より好ましくは、タイル用のカーペットは、約30から約80OSY(約1061から約2830cm
3/m
2)、最も好ましくは50OSY(1768cm
3/m
2)の押出し裏打ちを含む。好ましくは、カーペットタイル用のカーペットは、2つの経路、すなわち2層の押出し裏打ちを適用するための2つの経路で、押出し裏打ちを受け入れる。押出し裏打ちを2つの経路で適用することによって、異なる物理的及び/又は化学的特性を有する第1層及び第2層を適用する機会が与えられる。上記のとおり、第1裏打ちに隣接して、より高いメルトインデックスを有するポリマーを適用し、その下により低いメルトインデックスを有するポリマーを適用するのが好ましいことがある。加えて、好ましくは、第1裏打ちの次の層により低い充填剤含量を有する押出し物を用い、その下の層により高い充填剤含量を有する押出し物を用いることもできる。好ましい一実施形態において、第1裏打ちの次の層は、30重量%の充填剤負荷量を含み、その下の層は、60重量%の充填剤負荷量を含む。より低い充填剤含量は、押出し物によるカーペットの第1裏打ち及びバックステッチのより良好な浸透をもたらすと考えられている。
【0078】
カーペットタイルは、押出し裏打ちの第2層の下に第2裏打ち布を含むことができる。第2裏打ち布に適した材料には、上に記載したものが含まれる。しかしながら、現在、カーペットタイル上に第2裏打ち布を含むことは好ましくない。カーペットタイルは、典型的にある長さの裏打ちカーペットを作製し、次いでそのカーペットを適切な大きさの正方形に切断することによって製造される。米国では、最も一般的なサイズは18平方インチ(45.7平方センチ)である。世界の他の国では、最も一般的なサイズは50平方センチである。
【0079】
カーペットタイルは、高温多湿の環境で増大する傾向がある。タイルは、膨脹のためのゆとりなしに端を合わせて設置されるため、これは著しい問題である。タイル系の歪み(buckling)は、膨脹が0.08%ほどに小さい場合でも起こり得る。タイルの増大量は、タイルの種々の層に固有の増大に関連する。ヤーンは多くの場合、湿潤環境に暴露されると膨脹することが知られているナイロンで製造される。この膨脹は多くの場合、適用例でみられるほとんどの温度において、プレコートされたカーペット複合体を所定の位置に保持できるプレコートによって阻止される。しかしながら、裏打ち又は接着性若しくはキャップコート層が、熱への暴露によって膨張する場合、問題が起こることがある。このため多くの場合、ガラス繊維不織布を接着性コート層とキャップコート層の間に組み込む。しかしながら、そのような努力にもかかわらず、タイルはそのポリマーの固有の増大のため、増大することが知られている。線熱膨張係数(CLTE又はCTE)は、この増大傾向の尺度である。
【0080】
CLTEは、カーペットタイルにおけるポリマー裏打ち層の増大の予測の一部に過ぎない。これはCLTEの典型的な測定が、サンプルにほとんど又はまったく力を加えずに行われるためである。特にカーペット裏打ちに用いられるもののような軟質の材料の場合、試験装置、例えば膨脹計及びTMA装置によってサンプルに加えられる小さな力であっても、測定される増大を変える可能性がある。増大は、X(横)、Y(縦)、又はZ(厚さ)方向に起こり得る。実際のカーペットタイルの場合、X及びY方向の増大は、プレコートされたカーペット、組み込まれたガラス層、及びカーペットタイルが付着している床によって限定される。これらの制限は、接着性コート及びキャップコートの熱膨張を、「最小抵抗経路」であるZ方向に押し進める傾向がある。これが起こる程度は、それによって材料が増大する力の量と関係しており、以下「増大
膨張力」と称する。高い増大
膨張力を有するそのような軟質材料は、低い増大
膨張力を有する材料より、X及びY方向により膨脹することになる。
【0081】
増大
膨張力測定
増大
膨張力は、TA Instrument RSA III(RheometricSolids Analyzer III)を用いて測定する。厚さ0.8〜1mmの各サンプルの圧縮成形シートを、幅12.7mmの長方形に切断し、計器に装填する。試験中、クランプの距離(長さ)が20mmに固定されるように、歪み(strain)及び張力(tension)を設定する。温度傾斜は、室温から溶融まで20℃/分で動くようにプログラムする。温度傾斜中の力を記録し、式1に従ってそこから増大
膨張力を算出する。
【数1】
式中、σは増大
膨張力であり、Fは増大力であり、Areaはフィルム断面積であり、tはフィルム厚さであり、Wはフィルム幅である。40℃での増大
膨張力の値を、異なるサンプル間の比較に用いる。各サンプルに関して、この手順を3回行い、平均増大
膨張力を報告する。
【0082】
残留応力測定
残留応力特性は、Instronを用い、ASTM D1708サンプル形状の小引張試験片を用いて測定する。サンプルは、100%/分で25%まで引き、25%で30分間保持し、その間、応力を時間と共に記録する。試験は環境室で行い、設置により経験する可能性のある極端な温度に対応するため40℃に設定する。30分後の残留応力率を、異なるサンプル間の比較に用いる。各サンプルに関して、この手順を2回行い、平均残留応力を報告する。
【表1】
【0083】
比較例1は、24重量%の実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(メルトインデックス約30g/10分及び密度約0.885g/cm
3を有する)、約4重量%のAMPLIFY GR204(後に約1.2重量%の無水マレイン酸及び最終メルトインデックス約12g/10分となるように無水マレイン酸とグラフト化した、メルトインデックス65g/10分及び密度約0.952g/cm
3を有するエチレンポリマーである)、約60重量%の充填剤、約1重量%の油(Chevron/Phillips Paralux6001)、及び約11重量%の粘着付与剤(米国特許第7338698号の59欄の上部参照)を含む配合物である。この比較例1の配合物は、70℃での貯蔵弾性率(G’)約7.8MPaを有する。G’は、圧縮成形複合フィルムの動的機械分光法(Dynamic Mechanical Spectroscopy)データから得る。これはRheometrics ARES動的機械分析器をねじれ(torsion)モードで用いて測定する。試験は、振動数10rad/s、温度T
g未満から200℃で行う。70℃でのG’値を報告する。
【0084】
実施例1は、24重量%のエチレン/1−オクテンマルチブロックコポリマー(メルトインデックス約15g/10分、密度約0.877g/cm
3、約25%のハードセグメント、約75%のソフトセグメント、及びブロック指数約0.4から約0.6を有する)、約4重量%のAMPLIFY GR204(後に約1.2重量%の無水マレイン酸及び最終メルトインデックス約12g/10分となるように無水マレイン酸とグラフト化した、メルトインデックス65g/10分及び密度約0.952g/cm
3を有するエチレンポリマーである)、約60重量%の石炭灰、約1重量%の油(Chevron/Phillips Paralux6001)、及び約11重量%の粘着付与剤Eastotac H115Rを含む配合物である。
エチレン/1−オクテンマルチブロックコポリマーの他の特性には、下に記載したものが含まれる。
【表2】
【表3】
比較例1は上記と同じ配合である。
実施例1は上記と同じ配合である。
【0085】
低い増大
膨張力と低い残留応力の組み合わせは、弾性率の非常に低い材料を用いることによって得ることができる。これらの低い弾性率は、可塑化によって、例えばPVCを用いる場合など、又は非常に結晶化度の低い材料、例えばエチレンコポリマーを高ポリマーレベルで用いることによって達成できる。しかしながら、これらの非常に結晶化度の低い材料は、典型的に低温で溶融する。カーペット及びカーペットタイル適用例の場合、輸送温度が80℃ほどの高さに達することがある。したがって、裏打ち材料の融点は、この範囲以上に保たなければならない。
【0086】
低い融点を有するポリマーの場合、好ましくは増大
膨張力及び残留応力特性に著しく影響を及ぼすことなく、高温でのポリマーフローを防ぐために、硬化又は架橋を用いて分子量を増すことができる。これは、過酸化物架橋、電子ビーム、及び他の類似の方法で達成できる。
【0087】
さらに別の実施形態においては、感圧接着剤が裏打ちカーペットの底面に適用され、剥離シートが含まれる。この方法では、「剥がして貼る(Peel and stick)」カーペットが製造される。これは、カーペットがタイルに切断されるとき、特に有益である。適切な感圧接着剤の例には、粘着付与剤及びポリマーワックスと配合された、エチレンビニルアセタートコポリマー、及び実質的に線状のエチレンポリマー、及びエチレンをベースとするマルチブロックポリマーが含まれる。剥離シートは、従来のポリマー及び/又は紙製品から製造できる。好ましくは、剥離シートはポリエステル/ワックス配合物で製造される。感圧接着剤は、接着性裏打ち材料が押出しコーティング工程によって依然として高温である間に、接着性裏打ち材料に直接適用されるのが最良であることが見出されている。好ましい技法は、感圧接着剤を接着性裏打ち材料と押出し積層することであり、すなわちニップで感圧接着剤を適用することである。別法として、感圧接着剤を適用する前に、接着性裏打ち材料を再加熱することができる。
【0088】
OBCは、分子量2500g/mol(Mz)未満を有する完全に水素化された粘着付与剤と最も適合性である。OBCと用いるのに最良の粘着付与剤は、1)水素化芳香族、例えばRegalite R1090及びR1100(Eastman Chemical製)、2)完全水素化炭化水素、例えばEastotac H100L及びEscorez5600シリーズ、3)部分水素化炭化水素、例えばEscorez5400シリーズ、及び4)水素化純モノマー樹脂、例えばRegalrez1085及び1094である。
【0089】
適切な油:選択した一連の鉱油及びナフテン油をOBC粘着付与剤と配合した。最良の候補には、Chevron−PhillipsのParalux6001(パラフィン系)、Ergon−West VirginiaのHyprene P100N(水素化パラフィン系)、及びCrompton−WitcoのKaydol、及びSonnebornのHydrobrite550鉱油(62〜67.5%パラフィン系)が含まれる。
【0090】
適切なワックス:原油精製から製造されたワックス、例えばパラフィンワックス、微結晶性ワックス、及び合成ワックス、例えばFischer−Tropschワックスを含むワックス。
【0091】
適切な充填剤
ガラス充填剤:ガラス粉末は、典型的に使用済みガラス製品、具体的には厚板ガラスとして公知である自動車用及び建築用ガラスを再生利用することによって生成される。しかしながら、他の種類のガラス、例えばフリントガラス、Eガラス、ホウケイ酸ガラス、茶ガラス(瓶ガラス)、及び緑ガラス(瓶ガラス)、及びそれらの組み合わせもガラス粉末を形成するために用いることができる。したがって、適切な粘度を維持しながら、充填剤中にガラス粉末の適切な分散を確実に得るために、ガラス粉末の平均サイズは、約100メッシュから400メッシュであることができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、ガラス粉末の平均サイズは、約200メッシュであることができる。
【0092】
他の充填剤:ガラス粉末は、充填剤の100%を占めることができる。さらに、ガラス粉末は、通常の充填剤と併せて用い、複合充填剤を形成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、ガラス粉末は、炭酸塩、例えば炭酸カルシウム(CaCO
3)、炭酸セシウム(CsCO
3)、炭酸ストロンチウム(StCO
3)、及び炭酸マグネシウム(MgCO
3)、硫酸塩、例えば硫酸バリウム(BaSO
3)、酸化物、例えばフライアッシュ、酸化鉄(Fe
2O
3)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化タングステン(Tg
2O
3)、酸化チタン(Ti
2O
3)、及び酸化ケイ素(Si
2O
3)、ケイ酸塩、例えば粘土、金属塩、フライアッシュなどと混合することができる。
【0093】
界面活性剤:接着剤化合物は、追加の添加剤も含むことができる。例えば、これらの添加剤には、接着剤中の充填剤の均一な分散を保つのを助けるために、界面活性剤を含むことができる。適切な界面活性剤には、非イオン、アニオン、及びフルオロ界面活性剤を含むことができる。接着剤化合物全体にわたる充填剤の均一な分散に加えて、界面活性剤は、接着剤の乳化を増進するために、発泡助剤として用いることもできる。
【0094】
抗酸化剤:ポリマー接着剤、特にホットメルト接着剤が加熱されたとき、それらの接着剤は、熱−酸化分解を受けやすくなる可能性がある。したがって、熱−酸化分解の可能性を低減するために、本発明の接着剤化合物は、抗酸化剤、例えばIrganox1010、1092なども含有することができる。
PSA及びHMA組成物の適切な範囲は、以下のとおりである。
充填剤:40〜70%
粘着付与樹脂 20〜40%
油 0〜10%
OBC 100%となる残量
【0095】
本発明の実施形態において有用なワックスには、Fischer−Tropschワックス、石油由来ワックス、及び合成ワックスが含まれる。これらのワックスは、例えばSasol社から市販され入手可能である。大手石油会社、例えばShell Oil、ExxonMobil、及び他の精油業者が、これらの適用例に用いるのに適した石油ワックスを供給している。モンタンワックスは、別の種類の適切なワックスである。これらのワックスの大部分は、潤滑油を精製する過程で得られ、ここでワックスは潤滑油原料から分離され、パラフィン及び微結晶性ワックスを含むワックスの種々の画分に精製される。配合業者、例えばAstor Wax、IGI、及びMoore & Mungerもこれらの適用例に適したワックスを供給している。これらのワックスは石油会社からそのまま転売され、且つ/又は消費者の特定のニーズを満たすように配合及び再包装される。
【0096】
合成及び/又は石油由来ワックスに加えて、他のいくつかの「天然」ワックスを用いることができ、例えばカルナウバワックス、並びに天然油含有産物、例えばダイズ、ヤシ、及び油を得ることのできる他の作物の加工から誘導される市販の高トリグリセリドワックスである。
【0097】
適切なワックスは、Archer Daniels Midland(Decatur Ill.)から製品番号86−197−0として、Cargill Incorporated(Wayzata,Mn)から製品番号800mrcs0000uとして、及び一般名称「水素添加ダイズ油」で他の供給源から得ることができる。ヤシ油ワックスは、Custom Shortenings & Oils(Richmond,Va)から得ることができ、Master Chef Stable Flake−Pと称される。ダイズワックスもMarcus Oil and Chemical Corp.(Houston,Tex)によって、「Marcus Nat 155」として配給されている。これらのワックスは、食品添加物として用いることもできる。PSAを含む実施形態において、上記のワックスを油(同様に構成され得る)と置き換えることができる。
【0098】
本発明に有用な粘着付与樹脂には、脂肪族、脂環式、及び芳香族炭化水素、及び改質炭化水素、及び水素化型、テルペン、及び改質テルペン、及び水素化型、並びにロジン、及びロジン誘導体、及び水素化型、並びにそれらの混合物が含まれる。これらの粘着付与樹脂は、環球式軟化点70℃から150℃を有し、典型的に、Brookfield粘度計を用いて測定される350°F(177℃)での粘度2000センチポアズ以下を有する。これらの樹脂は、異なる水素化レベル、又は飽和レベル(一般に用いられる別の用語である)で入手することもできる。
【0099】
特に全組成物の約15重量%までのレベルで組み入れられるとき、有用な例には、Eastman Chemical Co.(Kingsport,TN)のEastotac(商標)H−100、H−115、及びH−130が含まれ、これはそれぞれ100℃、115℃、及び130℃の軟化点を有する部分水素化脂環式石油炭化水素樹脂である。これらの樹脂はEグレード、Rグレード、Lグレード、及びWグレードで入手可能であり、これらは異なる水素化のレベルを示し、Eが最も水素化が少なく、Wが最も水素化されている。Eグレードは臭素価15を有し、Rグレードは臭素価5を有し、Lグレードは臭素価3を有し、Wグレードは臭素価1を有する。Eastman Chemical Co.のEastotac(商標)H−142Rは、軟化点約140℃を有する。他の有用な粘着付与樹脂には、Exxon Chemical Co.(Houston,Tex)から入手可能である、Escorez(商標)5300、5400、及び5637、部分水素化脂環式石油炭化水素樹脂、並びにEscorez(商標)5600、部分水素化芳香族改質石油炭化水素樹脂、並びにGoodyear Chemical Co.(Akron,Ohio)から入手可能な脂肪族、芳香族石油炭化水素樹脂であるWingtack(商標)Extraが含まれる。
【0100】
異なる水素化のレベルで入手可能な数多くの種類のロジン及び改質ロジンがあり、これにはガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、二量体ロジン、及び重合ロジンが含まれる。いくつかの具体的な改質ロジンには、ウッドロジン及びトール油ロジンのグリセロール及びペンタエリスリトールエステルが含まれる。市販され入手可能なグレードには、これに限定されるものではないが、Arizona Chemical Co.(Jacksonville,FL)から入手可能なSylvatac(商標)1103、ペンタエリスリトールロジンエステル、Union Camp(Wayne,NJ)から入手可能なUnitac(商標)R−100Lite、ペンタエリスリトールロジンエステル、Hercules Inc.(Brunswick,GA)から入手可能なPermalyn(商標)305、エリスリトール改質ウッドロジン、並びに同じくHercules Inc.(Brunswick,GA)から入手可能な、高度に水素化されたペンタエリスリトールロジンエステルであるForal 105が含まれる。Sylvatac(商標)R−85及び295は、Arizona Chemical Co.から入手可能な融点85℃及び95℃のロジン酸であり、Foral AXは、Hercules Inc.から入手可能な融点70℃の水素化ロジン酸である。Nirez V−2040は、Arizona Chemical Co.から入手可能なフェノール改質テルペン樹脂である。
【0101】
別の代表的な粘着付与剤であるEastman Chemical Co.から入手可能なPiccotac(商標)115は、350°F(177℃)での粘度約1600センチポアズを有する。他の典型的な粘着付与剤は、1600センチポアズよりはるかに小さい、例えば50から300センチポアズの350°F(177℃)での粘度を有する。
【0102】
代表的な脂肪族樹脂には、Eastotac(商標)、Escorez(商標)、Piccotac(商標)、Mercures(商標)、Wingtack(商標)、Hi−Rez(商標)、Quintone(商標)、Tackirol(商標)などの商品名で入手可能なものが含まれる。代表的なポリテルペン樹脂には、Nirez(商標)、Piccolyte(商標)、Wingtack(商標)、Zonarez(商標)などの商品名で入手可能なものが含まれる。代表的な水素化樹脂には、Escorez(商標)、Arkon(商標)、Clearon(商標)などの商品名で入手可能なものが含まれる。これらの粘着付与剤は、適合可能なレベルで用いられるならば、本発明のポリマーと共に用いることができる。
【0103】
本発明のいくつかの適用例では、粘着付与剤を用いずに、又は最小量の粘着付与剤を用いて接着剤を調製できることが予期される。接着剤はワックスを用いずに調製することもでき、例えばポリマーと粘着付与樹脂のブレンドである。
【0104】
接着剤に添加される粘着付与剤は、パラメータ、例えばそれらの軟化点、比重、又は酸価によって特徴づけることができる。粘着付与剤は、これに限定されるものではないが、上に記載した種々の粘着付与剤から、及び酸価の範囲、例えば酸価0から100、より好ましくは酸価0から25.8によって特徴づけられる粘着付与剤から、最も好ましくは酸価3から10を有する粘着付与剤から選択できる。
【0105】
本発明の実施形態において、ポリマー及び/又はワックス、粘着付与樹脂、油、及び分散剤は、典型的に全分散体の約1から約74体積パーセントを占める。したがって、水は、典型的に約26から99体積パーセントを占める。しかしながら、数パーセントの分散剤、添加剤、殺生剤、及び以下に説明する他の化合物も存在できる。すべての中間範囲、例えば5から50体積パーセントのポリマー/ワックス/粘着付与樹脂/油は、本開示の範囲内に含まれる。具体的な範囲には、全分散体の50から60パーセントのポリマー及び/又はワックス、粘着付与樹脂、油、及び分散剤が含まれる。
【0106】
本発明の接着剤は、いくつかのさらなる成分、例えば安定化剤、可塑剤、顔料、充填剤、又は抗酸化剤も含有することができる。本発明の接着剤組成物に含むことのできる適用可能な安定化剤及び抗酸化剤には、高分子量ヒンダードフェノール、及び多官能性フェノール、例えば硫黄含有及びリン(phosphorous)含有フェノールがある。当業者に公知であるヒンダードフェノールは、フェノール化合物と説明することができ、フェノール性ヒドロキシル基の近傍に立体的に嵩高い基をさらに含有する。具体的には、ターシャリーブチル基は一般に、フェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つでベンゼン環上に置換される。ヒドロキシル基近傍におけるこれらの立体的に嵩高い置換基の存在は、その伸縮振動数を減じ、それに応じて反応性を減じる役目を果たす。これらのフェノール化合物の安定化特性をもたらすのは、この障害である。
【0107】
代表的なヒンダードフェノールは、これに限定されるものではないが、2,4,6−トリアルキル化モノヒドロキシフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、ペンタエリストールテトラキス−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオナート(IGRANOX(登録商標)1010の商標で市販され入手可能である)、n−オクタデシル−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオナート、4,4’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−tertブチルフェノール、6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチル−チオ)−1,3,5トリアジン、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾアート、ジ−n−オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホナート、及びソルビトールヘキサ(3,3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオナートが含まれる。酸化防止剤には、これに限定されるものではないが、ブチル化ヒドロキシアニソール(「BHA」)又はブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)が含まれ、これらは配合物を熱的により安定にするために用いることもできる。これらの安定化剤及び抗酸化剤は、配合物の約0.01重量%から約5重量%の範囲の量で添加することができる。接着剤業界で公知の他の添加剤を本発明の実施形態と併せて用いることもできる。本発明の範囲は、上記又は下記の任意の特定の配合物に限定することを意図しておらず、その代わりとして特許請求の範囲によって定められる。他の典型的な添加剤には、これに限定されるものではないが、核形成剤、結晶化を遅延するために用いられる化学物質、増粘剤、レオロジー調整剤、抗ブロック剤、油、及び他の添加剤が含まれる。