(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1種類の剥離剤は、ポリオレフィン、シリコーン、フルオロシリコン、パーフルオロエーテル、フルオロカーボン、長鎖アルキル側鎖を有するポリマー、及びそれらのうちの2種類以上の組合わせからなる群から選択された材料を含む、請求項2に記載の剥離ライナー。
【発明を実施するための形態】
【0022】
特に明記しない限り、本明細書及び「特許請求の範囲」において用いられる、特徴要素の大きさ、数量、及び物理特性を表すすべての数値は、いかなる場合にも「約」という用語で修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでない旨を明記しない限り、先の明細書及び添付の「特許請求の範囲」に記載された数値的指標は、本願において開示される教示を利用する当業者が得ようと求める所望の特性に応じて変化し得る概算値である。
【0023】
数値の範囲を端点によって列挙したものは、その範囲に包含されるすべての数値(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0024】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用するとき、その内容に別段の明確な指示がない限り、「a」、「an」、及び「その(the)」という単数形には、複数の指示物を有する実施形態が包含される。本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するとき、その内容に別段の明確な指示がない限り、「又は」という用語は概して、「及び/又は」を含めた意味で用いられている。
【0025】
各種の実施形態において、本発明は、レーザーマーキングされた多層物品及びレーザーを用いてそのような物品を作製する方法を提供する。本明細書に記載する各種の実施形態において、レーザーマーキングは、1つ以上のマーキング領域を作成することによって、視覚的に認知可能な画像(例えば、ロゴ、商標、会社名など)を多層物品の少なくとも1枚の層内に設けるものであり、そのマーキング領域は、レーザー感応性の顔料とその顔料が分散されたポリマーとの間におけるレーザー誘起の相互作用によって得られる。特定の実施形態において、この方法は、レーザーを用いて多層物品内の内部ポリマー層にマーキングするものであり、物品の少なくとも1枚の外部層は剥離剤を含有する。そのような実施形態において、レーザーは、剥離剤の剥離特性を実質的に損なうことなく、剥離剤を貫通して上記のポリマー層にマーキングする。
【0026】
いくつかの実施形態において、物品の最外層は剥離剤であり、結果として得られるレーザーマーキング物品は剥離ライナーである。そのような実施形態において、剥離ライナーは、視覚的に認知可能な供給元のしるし(例えば、ロゴ、商標、会社名など)、空想的なデザイン、広告、製品の指示書、バーコードなどを含むようにマーキングされる。感圧性接着剤(PSA)の層に施される場合、剥離ライナー上のレーザーマーキング領域は依然として視認可能である。
【0027】
ここで図を参照すると、
図1は本発明によるレーザーマーキングの方法の実施形態を概略的に示している。レーザーマーキング可能なシート又は物品10が、レーザー光源20の下方で単一の方向(例えば矢印で示す)に搬送され、レーザー光源20は、所望のマーキングを作成するのに効果的な波長の光を含んだレーザー光線22の放射線を放出する。いくつかの実施形態において、物品10は、例えば、巻出しロール(図示せず)からレーザー光源20に搬送される材料の連続シートである。他の実施形態において、物品10は、離散的又は不連続的な材料片を含んでもよい。連続的なシートかあるいは不連続的な材料片かにかかわらず、物品10は、有機ポリマーとレーザー感応性の顔料とからなる少なくとも1層のレーザーマーキング可能な層を含んだ多層シートである。レーザー光線22は、物品10のレーザーマーキング可能な層14に方向付けられ、それによって、有機ポリマーとレーザー感応性の顔料との間の相互作用が開始されてレーザーマーキング領域16が生成される。理論に束縛されるものではないが、上記の相互作用は、人間の目で認識可能なしるしの形態をなすレーザーマーキング領域16を有する製品が結果として得られる、顔料と周囲のポリマーとの間の化学反応であってもよいと考えられる。レーザーマーキング領域は通常、同じ層のうちの非還元/未反応の顔料とポリマーを含んだ周囲部分と比べて、外観はより暗いものとなる。染料又は着色剤及びレーザー光に感応すると見なされない他の構成成分など、他の添加剤又は構成成分がレーザーマーキング可能な層14に存在してもよい。
【0028】
多層物品10は、下位のレーザーマーキング可能層14の上にコーティングされた少なくとも1枚の最上層12を有し、最上層12は、書き込み波長のレーザー光線22に対して実質的に透明である。この文脈で用いる「透明」とは、レーザーとの間の相互作用がわずかであるかあるいは最小限である材料を指す。レーザー光線(例えば光線22)は、観測可能な損傷を材料にほとんどあるいは全く与えることなく、透明材料を通過する。
【0029】
いくつかの実施形態において、任意の第3層又は底層18が含められる。底層18は剥離剤の層を備えてもよく、その剥離剤は、最上層12の剥離剤と同じであっても、異なっていてもよい。剥離剤及びレーザーは、剥離剤の機能する能力にレーザーへの暴露が実質的に影響を与えないという点で適合するように選択される。換言すれば、剥離剤は、レーザー光線に暴露されても機能的に損なわれない。本明細書の実施例で説明する引き剥がし試験は、レーザーへの暴露の後に剥離剤の剥離特性が相当に変化したか否かを判定するための一方法である。上記の引き剥がし試験が利用される場合、本発明の実施形態で使用される剥離剤は、レーザーへの暴露の後に引き剥がし強さにおいて穏やかな初期変化を伴うことがあるが、当業者に許容される方式で依然として機能する。剥離剤からの引き剥がし強さの変化が観察される実施形態において、この変化は通常、約500%以下、又は約100%以下、あるいはいくつかの実施形態において約10%以下となる。換言すれば、レーザー光線に暴露された後の剥離剤からの引き剥がし強さは、初期値の約600%以下、いくつかの実施形態において約200%以下、いくつかの実施形態において約110%以下である。
【0030】
別の構成において、レーザーマーキング可能な層14は、多層物品10の下方に装置され任意選択の底層18を貫くように方向付けられたレーザーを使用してマーキングされてもよい。そのような構成において、任意選択の底層18(例えば剥離剤)は、前述したように、レーザーに対して透明となるように選択される。
【0031】
図2〜4を参照すると、レーザーマーキング多層物品110が概略的に示されている。図示の実施形態において、多層物品110は
図1の物品10と類似し、多層シートを備えており、その多層シートは、3枚の層、つまり、最上層又は第1の層112と、複数のレーザーマーキング領域116を有するレーザーマーキング可能な層114と、第3の層又は底層118とを有している。マーキング領域116の各々は、レーザーマーキング可能な層114内で材料がレーザー誘起の相互反応を起こした結果として得られるものである。
図2において、レーザーマーキング領域116は、ミネソタ州セントポール(St.Paul)のスリーエム社(3M Company)が所有するブランド「3M」の形態をなして示されている。最上層112(例えば
図3を参照)は、前述したように、レーザー光線に対して透明な材料を含んでいる。更に、最上層112は、レーザーマーキング可能な層114内のマーキング領域116が最上層112を通じて識別可能であるという意味で、視覚的にあるいは光学的に透明である。
【0032】
物品110内の層の各々は、第1及び第2の主表面を有している。最上層112は、第1の表面又は上部表面112aと第2の表面又は下部表面112bとを有している。同様に、レーザーマーキング可能な第2の層114は、第1の表面又は上部表面114aと第2の表面又は下部表面114bとを有している。底層118は、第1の表面又は上部表面118aと第2の表面又は下部表面118bとを有している。様々な実施形態において、物品110の種々の層112、114及び118は、異なる材料を含んでいる。いくつかの実施形態において、最上層112は、レーザーマーキング可能な層114の第1の主表面114aに塗布された剥離剤を含んでいる。層114は有機ポリマーとレーザー感応性の顔料とを含んでおり、そのレーザー感応性の顔料はポリマー中に配合され、実質的に均一に分散されている。
【0033】
任意選択の底層118は第2の剥離剤を含んでいてもよく、その第2の剥離剤は、最上層112の剥離剤と同じであっても、異なっていてもよい。そのような実施形態において、底層118は、レーザーマーキング可能な層114が底層118を通じてマーキングされ得るように、レーザーに対して透明となるように選択されてもよく、底層はまた、マーキング領域116が底層を通じて識別可能であるという意味で、視覚的にあるいは光学的に透明である。
【0034】
最上層112と底層118の両方が剥離剤を含む実施形態において、物品110は、感圧性接着剤(PSA)の層に取外し可能に取り付けられる剥離ライナーとして使用されてもよい。物品110が材料の連続シートである場合、PSAの層は、層118の第2の表面又は下表面118bに貼り付けられてもよい。
図7を参照すると、連続的な物品710が示されており、剥離剤118に貼り付けられたPSA層720と共に3枚の層を備えている。連続的な物品710は、最上層112の上部表面112a(剥離剤)がPSA層720の下表面720bに接着されるように、曲線をなす矢印の方向に物品の端部を巻き取るか又は丸めることによってロールの形態へと構成されてもよい。連続的な物品710の全長は、ロール722へと巻回されてもよく、ロール722は次いで保管されてもよく、あるいは更なる処理のために別の場所へ移送されてもよい。そのような実施形態において、層112及び118の剥離剤は、巻かれた物品を後に巻き出すことができる引き剥がし強さを有するように選択され、そのため、PSA層720は好ましくは、まず剥離剤の表面又は最上層112の表面112aから剥離する。次いで、PSA層720の露出表面720bは別の表面に貼り付けられ、またそのように貼り付けられたとき、レーザーマーキング領域116は、最上層112を通じて観察者によって依然として視認可能となる。底層118は剥離剤を含んでおり、したがって、レーザーマーキング可能な層114を後にPSA層720の表面720aから比較的容易に引き剥がすことが可能となる。
【0035】
別の実施形態において、PSAの層が最上層と底層の一方又は両方で剥離剤全体に塗布され、レーザーマーキング可能な層は、複数の層のPSAと複数の層の剥離剤の両方を通じてレーザーでマーキングされてもよい。
【0036】
更に別の実施形態において、多層物品は剥離剤の底層を有さず、PSAの層は、レーザーマーキング可能な層の底層に直接貼り付けられ、それによって、基材を裏打ちした接着テープをなす。次いで、PSA層の露出表面は、別の表面に接着されてもよく、そのように接着されると、レーザーマーキング領域は、物品の最上層を通じて依然として視認可能となる。
【0037】
図5及び6を参照すると、多層レーザーマーキング物品210の別の実施形態が示されている。物品210は前述した物品110と類似しているが、更なる材料層を組み込んでいる。物品210は、5層のシート状材料を有している。レーザーマーキング可能な層214は、前述した層114及びマーキング領域116と類似したマーキング領域216を有し、層214は上部表面214aと下部表面214bとを有している。加えて、物品210の最上層212及び底層218はそれぞれ、最上層112及び底層118と類似している。最上層212は上部表面212aと下部表面212bとを有し、底層218は上部表面218aと下部表面218bとを有している。更に、前述したように、最上層212と底層218の一方又は両方が剥離剤を含んでいてもよい。
【0038】
物品210はまた、レーザーマーキング可能な層214の両側に中間層222及び224を有している。中間層222は、物品210内の最上層212とレーザーマーキング可能な層214との間に配設されている。層222は、上部表面222aと下部表面222bとを有している。中間層224は、底層218とレーザーマーキング可能な層214との間に配設されている。中間層224は、上部表面224aと下部表面224bとを有している。様々な実施形態において、中間層222及び/又は224の一方又は両方が有機ポリマーを含んでいる。いくつかの実施形態において、いずれかの層の有機ポリマーは、レーザーマーキング可能な層214において使用される有機ポリマーと同じである。
【0039】
明らかなことに、本明細書で前述した層よりも更に多数の材料層を有する複数の層を多層物品が備えることが企図される。前述したように、物品がレーザーマーキング可能な層を備え、そのレーザーマーキング可能な層の全体にコーティングされた材料層が、物品をマーキングするために用いられるレーザーに対して透明である限り、望まれる特性及び物品の最終用途に応じて、任意の枚数のそのような層が物品に含められてよい。
【0040】
レーザーマーキング可能な層における使用に好適な材料には、レーザー感応性の顔料と相溶性のある種々の皮膜形成ポリマーが挙げられる。本発明の様々な実施形態において、少なくとも1種類のレーザー感応性の顔料が、レーザーマーキング可能な層の有機ポリマー中に、実質的に均質に分散される。好適なレーザー感応性の顔料には、結晶性(例えばルチル形)二酸化チタン(TiO
2)などの1種類以上の金属酸化物が挙げられる。デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のイーアイデュポンドゥヌムールアンドカンパニー社(E.I Du Pont de Nemours and Company)(「デュポン(DuPont)」)から入手可能なものを含め、商業的に入手可能な二酸化チタンが、本発明の様々な実施形態における使用に好適である。具体的には、「タイピュアR−902+(Ti-Pure R-902+)」と称される製品など、デュポン社から「タイピュア(Ti-Pure)」の商標で入手可能な二酸化チタンが使用されてもよい。少量のシリカ(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)及び/又は水酸化アルミニウムが二酸化チタン中に存在してもよい。通常、シリカ、アルミナ及び/又は水酸化アルミニウムは、TiO
2の各粒子を囲む外側コーティングの形態で存在する。二酸化チタンがレーザー感応性の顔料として使用される実施形態において、二酸化チタンは通常、レーザーマーキング可能な層の全重量を基準として約10重量%未満の濃度で有機ポリマー中に存在する。いくつかの実施形態において、二酸化チタンは、約5重量%未満又は約1重量%未満の濃度で有機ポリマー中に存在する。更なる他の実施形態において、二酸化チタンは、レーザーマーキング可能な層の全重量を基準として約0.5重量%未満の濃度で存在する。また、それよりも高い濃度又は低い濃度の二酸化チタンが好適となることもある。
【0041】
有機ポリマー材料に関して言えば、種々の熱硬化性有機ポリマー並びに熱可塑性有機ポリマーが好適となり得ると共に、本発明の範疇にあると企図される。使用に好適な高分子材料については以下で議論するが、明らかなことに、そのような材料は多くの場合、可塑剤、劣化防止剤、染料など種々の添加剤及び/又は充填剤を配合される。本発明の様々な実施形態において、レーザーマーキング可能な層を形成するために使用される高分子材料は、前述したように、一定量のレーザー感応性の顔料(例えば二酸化チタン)を配合される。
【0042】
好適な有機ポリマーの例には、ポリエチレンなどのポリオレフィン材料が挙げられる。好適なポリエチレンポリマーには、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及びそれらのうちの2種類以上の組合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、レーザーマーキング可能な層はHDPEを含み、最上層及び底層は剥離剤を含む。いくつかの実施形態において、レーザーマーキング可能な層はここでも、剥離剤を含んだ最上層及び底層、並びに、LDEP、MDPE、又はそれら両方を含んだ中間層(例えば、
図5〜6の層222及び224と類似)にHDPEを含む。いくつかの実施形態において、1つの中間層はLDPEであり、他の中間層はMDPEである。
【0043】
いくつかの実施形態において、レーザーマーキング可能な層における使用に好適な有機ポリマーには、剥離剤の層を支持できる限り、任意の皮膜形成ポリマーが挙げられる。好適な高分子フィルムには、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネートなどから作られたものが挙げられ、この用途に好適である。ポリエチレンテレフタレートは最も一般的な熱可塑性ポリエステルであり、一般に「ポリエステル」と呼ばれている。ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの変種、及びポリエチレンテレフタレートイソフタレートなどのコポリエステルもまた、本発明の様々な実施形態における使用に好適である。広義には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、マロン酸、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸、スベリン酸、コハク酸、又はそれらのうちの2種類以上の混合物など、グリコール又はジオールとジカルボン酸(又はエステル等価体)との重縮合の結果として得られるポリマーをベースとした任意のポリエステルフィルムが、本発明における使用に好適である。好適なグリコールには、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びブタンジオールなどのポリオール、並びにそれらのうちの2種類以上の混合物が挙げられる。
【0044】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、2軸配向され熱的に安定化されたフィルムの形態で広く知られており、マイラー(Mylar)(登録商標)(バージニア州チェスター(Chester)23836のデュポン・テイジン・フィルムU.Sリミテッド・パートナーシップ社(Dupont Teijin Films U.S.Limited Partnership))、メリネックス(Melinex)(登録商標)(バージニア州チェスター23836のデュポン・テイジン・フィルムU.Sリミテッド・パートナーシップ社)、テイジン(Teijin)(登録商標)(バージニア州チェスター23836のデュポン・テイジン・フィルムU.Sリミテッド・パートナーシップ社)、ルミラー(Lumirror)(登録商標)(ロードアイランド州ノースキングスタウン(North Kingstown)02852のトーレ・プラスチックス(アメリカ)社(Toray Plastics(America),Inc.))又はホスタファン(Hostaphan)(登録商標)(サウスカロライナ州グリーア(Greer)29652のミツビシ・ポリエステル・フィルム社(Mitsubishi Polyester Film,Inc.))などの主な商品名で呼ばれ、商業的に入手可能である。
【0045】
押出しなどによってフィルム又は層を形成する前に、添加剤がポリマー樹脂中にブレンドされてもよい。押出し操作において、添加剤は直接、押出し機に加えられてもよい。例示的な添加剤には、シリカ、炭酸カルシウム、カオリンなどの充填剤、着色剤(例えば、染料又は顔料)、スリップ剤、粘着防止剤、加工助剤、酸化防止剤、帯電防止剤、レーザー感応性の顔料(例えば二酸化チタン)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態において、ポリマーフィルム以外の材料が、レーザーマーキング可能な層における使用に望ましいものとなり得る。そのような材料の例には、不織布基材、織布基材、セルロース系材料(例えば紙)などが挙げられる。そのような織布及び不織布材料に含めるのに好適な繊維には、上記のポリマー並びに紙などのセルロース系材料が挙げられる。
【0047】
上述の基材はすべて、剥離剤を塗布する前に処理され得る。
【0048】
1枚以上の中間層(例えば
図5の層222及び224)を備える実施形態において、中間層は、物品をマーキングするために用いられるレーザーの書込み波長に対して透明な材料を含む。レーザーマーキング可能な層はレーザー感応性の顔料を含むが、中間層は通常、レーザー感応性の顔料を含まない。いくつかの例において、中間層は、レーザーマーキング可能な層と最外層内の剥離剤との間に熱的な障壁又は熱の壁を設けることができる。いくつかの方法において、レーザーマーキング可能な層のマーキングにより、顔料と有機ポリマーとのレーザー誘起の相互作用の間に過剰な熱が生成されることがあり、中間層が存在することにより、物品の外層内の剥離剤又は接着剤の熱劣化に対して保護するための熱的な障壁を設けることができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、レーザーマーキング物品内の層のうちの1枚以上の層に好適な有機ポリマーが、熱可塑性エラストマーオレフィン(TEO)を含み得る。熱可塑性エラストマーオレフィン(TEO)は、当該技術分野において熱可塑性ポリオレフィン(TPO)としても知られ、これらは共に、性質上、熱可塑性でありかつ弾性である。TEOは通常、例えば、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、もしくはポリ塩化ビニル)と化合した、エチレンポリエチレンゴム(エチレン−プロピレンモノマー[EPM]又はエチレン−プロピレン−ジエンモノマー[EPDM]など)、ニトリルゴム、又はスチレンブタジエンゴムなどのゴム材料のブレンドであり、可塑剤、劣化防止剤、充填剤、染料などの多様な添加剤及び/又は充填剤を配合されてもよい。
【0050】
TEOは、一般にはポリプロピレンとEPDMのブレンドとして商業的に入手可能である。別法として、TEOは、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂をエチレン−プロピレンゴムなどのゴム系材料と共重合させることによって形成されてもよい。ゴム系材料は、所望により加硫されてもよい。
【0051】
TEO中の熱可塑性樹脂とゴム系材料との相対的比率はそれぞれ、熱可塑性樹脂が約15重量%〜約85重量%、そしてゴム系材料が約85重量%〜約15重量%の範囲に及び得る。TEOは通常、所望の最終用途の特性が得られるように配合される。より多量の熱可塑性樹脂を有するTEOほど、より脆弱となり得る。多量のゴム系材料を有するTEOは、純粋なゴムとより類似した特性を有する傾向がある。レーザーマーキング物品が剥離ライナーとして使用される本発明の実施形態において、PSAが基材に接着された後に、PSAの層からライナーを引き剥がすことを可能にするのに好適な物理特性をライナーに与えるように、各種のTEOが選択され得る。いくつかの実施形態において、TEOは、約30重量%〜約70重量%の熱可塑性樹脂と、約70重量%〜約30重量%のゴム系材料とを、あるいは、約40重量%〜約60重量%の熱可塑性樹脂と、約60重量%〜約40重量%のゴム系材料とを含む。
【0052】
商業的に入手可能な好適なTEOには、D & Sプラスチックス・インターナショナル(D & S Plastics Intl.)(ミシガン州オーバーンヒルズ(Auburn Hills))からDEXFLEXの商用名で入手可能なもの、デュポン社(DuPont Co.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))からALCRYNの商用名で入手可能なもの、マルチベース社(Multibase)(オハイオ州コプリー(Copley))からMULT−FLEXの商用名で入手可能なもの、及びA.シュルマン社(A.Schulman)(オハイオ州アクロン(Akron))からPOLYTROPE TPPの商用名で入手可能なものが挙げられる。TEOのグレードは、剥離ライナーを作成するために用いられる処理の種類に合わせて選択され、好ましくは、D & Sプラスチックス・インターナショナル(D & S Plastics Intl.)から入手可能なDEXFLEX SB−814など、押出し用のグレードである。商業的に入手可能なTEOは、充填剤、加工助剤、可塑剤など、他の添加剤を含んでもよい。
【0053】
本発明による多層物品は、複数の層を有するフィルム用のインフレートフィルム押出し又は共押出し、及びシート押出し又は共押出しなどの既知のプロセスで作製され得る。このフィルムは、約0.0005インチ(0.013mm)〜約0.010インチ(0.25mm)の厚さに、好ましくは約0.001インチ(0.025mm)〜約0.008インチ(0.2mm)の厚さに作製され得る。コストの問題に対しては、より薄いフィルムが望ましいものとなり得るが、より厚いフィルムは、引き裂き抵抗、引張り強度などを高め得る。いくつかの実施形態において、多層物品は、まず押出し又は共押出しによって作製されてよく、結果として得られる押出し物品の表面が、それに続いて、1枚以上の更なる材料層でコーティングされてもよい。
【0054】
剥離剤の層は、剥離剤が加熱硬化される前のフィルム製造プロセス中に、また、既知のインラインコーティングによって、あるいはオフラインプロセス(フィルムの製造及び加熱硬化の後)によって塗布され得る。通常のオフラインコーティングプロセスには、ロールコーティング、リバースロールコーティング、グラビアロールコーティング、リバースグラビアロールコーティング、ブラシコーティング、巻き線ロッド(メイヤーロッド)コーティング、スプレーコーティング、エアナイフコーティング、又は、ディッピングが挙げられ、そのディッピングは、溶剤型溶液、無溶剤又は水性エマルジョンによるものであってよい。
【0055】
コーティング前のベースポリマーフィルムの表面改質は必須ではないが、ベースポリマーフィルムの表面は、本発明のコーティングの実施前に改質されてもよい。通常の表面改質技術には、コーティングの密着性を向上させるためのコロナ処理が挙げられる。コロナ処理又は他の表面改質は、コーティングを湿潤させるのに十分なものであるべきである。加えて、下塗り又は他の中間層が、ポリマーフィルムと剥離コーティングとの間に所望により使用されてもよい。
【0056】
添加剤が、押出しに先立ってポリマー樹脂の中にブレンドされてもよく、あるいは直接、押出し機に加えられてもよい。例示的な添加剤には、充填剤、着色剤(例えば染料又は顔料)、スリップ剤、粘着防止剤、加工助剤、レーザー感応性の顔料(例えば二酸化チタン)などが挙げられる。着色剤は通常、フィルム組成物の約0.1重量%〜約5重量%、いくつかの実施形態では約0.3重量%〜約3重量%の量で用いられる。
【0057】
粘着防止剤は好ましくは、押出しされたフィルムがロールの上に巻回されるときにポリエチレンの層同士の他着又は粘着を防止するために、ポリエチレンの外層に有用となる。有用な材料には、単独の珪藻土又は低密度のポリエチレン結合剤に含めた珪藻土が挙げられる。粘着防止剤は、ポリエチレン樹脂の約1重量%〜約20重量%の量で、好ましくは約3重量%〜約8重量%の量で含められてよい。
【0058】
ポリエチレンは、本明細書で説明する物品のレーザーマーキング可能な層におけるポリマー主成分として有用であるが、TEO樹脂の押出し及びフィルム平面度を向上させるための加工助剤としても有用である。結果として得られるフィルムに所望の剥離特性を与えるために、様々なポリエチレンが所望によりTEOとブレンドされ得る。そのような用途において、低密度ポリエチレン及び直鎖低密度ポリエチレンを含めて、任意の種類のポリエチレンが使用されてよい。ポリエチレンは、約1重量%〜99重量%の量で、またいくつかの実施形態においては約15重量%以上の量で使用され得る。
【0059】
一実施形態において、レーザーマーキング可能な物品が、TEO及び二酸化チタンのレーザーマーキング可能な層を備える剥離ライナーとして提供され、このレーザーマーキング可能な層に、剥離コーティング又は層が貼り付けられるか、あるいは貼り付けられ得る。レーザーマーキング可能な層内のTEOは、ポリエチレンなどの1種類以上の他のポリマーと混合又はブレンドされ得る。そのような実施形態において、TEOは、レーザーマーキング可能な層内に、TEOの約5重量%〜約100重量%、より好ましくはTEOの約10重量%〜約100重量%の濃度で存在する。TEO及び他のポリマーの相対量の選択は、剥離ライナーに求められる最終特性、例えば引張り強度、引裂き抵抗などを知ることで、当業者によって決定されてもよい。剥離コーティング(以下で更に詳細に説明する)は、使用目的及び所望の剥離特性に応じて、TEOフィルムコアの片側又は両側に施されるか、あるいは施され得る。剥離剤の層が含まれる場合、その剥離剤の層は、剥離ライナーの全体的な厚さの約7%〜約15%を構成し得る層の形態をなす。
【0060】
PEOに含められる場合、ポリエチレンは、LDPE、MDPE、HDPE、又はそれらのうちの2種類以上のブレンドを含んでもよい。材料の選択は、所望の剥離特性に依存する。種々の密度のポリエチレンが互いにブレンドされてもよく、あるいは、所望の特性を与えるようにエチレンコポリマーとブレンドされてもよい。例えば、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドは、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの間の中間的な剥離値を有する中密度ポリエチレンを作製するために用いられ得る。
【0061】
TEOで使用するのに好適な別のポリエチレンは、メタロセン重合触媒を使用して、エチレンと、約3個〜約10個の炭素原子を有するαオレフィンとのコポリマーとして形成される超低密度ポリエチレンである。好適なαオレフィンには、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、及びそれらの組合わせが挙げられる。これらのコポリマーは、約0.90g/cc未満、好ましくは約0.89g/cc未満、より好ましくは0.88g/ccの密度を有する。これらのコポリマーはまた、約1〜約4、好ましくは約1.5〜約3.5の多分散性を有することによって規定される、狭い分子量分布を有する。この多分散性は、量平均分子量と数平均分子量との比として定義されている。加えて、これらのコポリマーは、組成分布幅指数(composition distribution breadth index)(本明細書では「CDBI」と呼ばれる)によって特徴付けられ得る。CDBIは、メジアン総コモノマーモル含有率(median total molar co-monomer content)の50パーセント以内(すなわち±50%)のコモノマー含有率を有するコポリマー分子の重量パーセントとして定義される。CDBI及びCDBIを決定するための方法は、米国特許第5,206,075号に記載されている。好適なコポリマーのCDBIは、好ましくは70%超、より好ましくは80%超である。好適なコポリマーが、エクソンケミカル社(Exxon Chemical Co.,)からEXACTの商用名で、またダウケミカル社(Dow Chemical Co.)からENGAGEの商用名で商業的に入手可能である。
【0062】
多層レーザーマーキング物品をPSAなどの粘着性材料から「剥離」又は分離するための手段を設けるために、剥離剤が本発明の物品内に含められる。剥離をもたらす剥離剤の能力は、本明細書の実施例で説明する引き剥がし試験法などの既知の試験法で決定され得る。様々な実施形態における使用に好適な剥離剤は、レーザーマーキング可能な層にマーキングするために用いられるレーザー光線に暴露された後も剥離をもたらす能力を維持するものである。好適な剥離剤は、特許文献を含めた様々な情報源にて記載されているものなど、種々の既知の剥離剤のいずれかを含んでよい。剥離剤には、ポリオレフィン(例えば、米国特許第6,982,107号に記載されているようなポリエチレン又はポリプロピレン)、シリコーン(例えばポリシロキサン)、フルオロシリコン(例えば、ケンドジオルスキ(Kendziorski)に付与された米国特許第4,968,766号に記載されているようなもの)、パーフルオロエーテル(例えば、ラーソン(Larson)に付与された米国特許第4,830,910号、オルソン(Olson)に付与された米国特許第4,472,480号)、フルオロカーボン(例えば、クマール(Kumar)に付与された米国特許第7,345,123号)、長鎖アルキル側鎖を有するポリマー(スワ(Suwa)に付与された米国特許第6,660,354 B2号)などが挙げられる。
【0063】
前述したものを含めて剥離剤は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社(Momentive Performance Materials)(ニューヨーク州アルバニー(Albany))、SYL−OFF(登録商標)ブランドを展開するダウ・コーニング社(Dow Corning)、ワッカーシリコーン(ミシガン州エイドリアン(Adrian)のワッカーケミカル社(Wacker Chemical Corporation))、エボニック・ゴールドシュミット社(Evonik Goldschmidt Corporation)(バージニア州ホープウェル(Hopewell))、及びブルースター・シリコーンズUSA社(Bluestar Silicones USA Corp.)(サウスカロライナ州ロックヒル(Rock Hill))などを含む供給業者から商業的に入手可能である。剥離コーティングライナーが、ロパレックス社(Loparex)(イリノイ州ウィローブルック(Willowbrook))、モンジ・アクロシル社(Mondi Akrosil, LLC.)(ウィスコンシン州メナシャ(Menasha))、ミツビシ・ポリエステル・フィルム社(Mitsubishi Polyester Film, Inc.)(サウスカロライナ州グリーア(Greer))、フッタマキ社(Huhtamaki)(ドイツ国フォークハイム(Forchheim))、シリコンネイチャー社(Siliconature)(イリノイ州シカゴ(Chicago))、及び他社から商業的に入手可能である。
【0064】
剥離剤は、溶剤型又は水性コーティング、無溶剤コーティング、ホットメルトコーティングとして、レーザーマーキング可能な層に塗布されてよく、あるいは、通常のプロセスを用いてレーザーマーキング可能な層と共に共押出しされてもよい。溶剤型及び水性コーティングは通常、ロールコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、グラビアコーティング、巻き線ロッドコーティングなどのプロセスによって施される。溶媒又は水は、オーブン中で乾燥させることによって除去され、コーティングは所望によりオーブン中で硬化される。無溶剤型コーティングは、シリコーン又はエポキシシリコーンなどの100%固体の組成物を含むものであり、これらの組成物は、溶剤型コーティングに用いられるプロセスと同じ種類のプロセスを用いて塗布される。コーティングは、紫外光に暴露することによって硬化されてもよい。
【0065】
レーザーマーキング可能な層の下塗り又は表面改質(例えばコロナ処理)を含めて、任意選択の工程が剥離剤の塗布に先立って望まれることもある。ポリエチレン又はパーフルオロエーテルなどのホットメルトコーティングは通常、100%固体のコーティングであり、このコーティングは、加熱され、次いでダイを通じてあるいは加熱されたナイフを用いて塗布される。ホットメルトコーティングは、剥離材料をレーザーマーキング可能な層と共に共押出しすることによって塗布されてもよい。
【0066】
レーザーマーキング可能な層は、物品110の構造(
図2〜4)を有する剥離ライナーが得られるように、片側又は両側に剥離剤をコーティングされ得る。剥離ライナーとして、接着剤(例えばPSA)が剥離剤の片側又は両側に塗布される。剥離力の大きさ、例えばライナーを接着剤から取り外すのに必要な力は、本明細書の実施例1〜4にて説明する引き剥がし試験法で測定して1センチメートル当たり約0〜500グラム以上の範囲に及び得る。剥離力が、この範囲の上限側、すなわち1センチメートル当たり約300グラム超であるとき、ライナーの取外しを開始すること、及び、一部が接着剤から取り外された後にライナーの取外しを継続することが困難となり得る。取外し力の下限は、例えば1センチメートル当たり約50グラム未満であるが、これはシリコーンコーティングにおいて、より一般的である。本発明による剥離ライナーの剥離面は、幅1センチメートル当たり約500グラム未満、幅1センチメートル当たり約100グラム未満、又は幅1センチメートル当たり約20グラム未満の剥離力値を呈する。
【0067】
多層レーザーマーキング物品の両側が剥離剤でコーティングされる場合、物品の両側の剥離剤は同じであってもよく、あるいは異なる剥離をもたらすために異なるものであってもよい。差動的な剥離のためには、剥離剤が、一方の側でもう一方の側よりも高い剥離力を有することになる。例えば、物品の一方の側は、感圧性接着剤からの剥離力が幅1センチメートル当たり100グラム以下であるシリコーン剥離剤でコーティングされてもよく、もう一方の側は、1センチメートル当たり300グラム/インチ(1.16N/cm)の剥離力を有するシリコーン剥離剤を有してもよい。いくつかの用途において、差動的な剥離により、PSAはライナーの一方の側に他方の側よりも堅固に接着し、そのため、多層レーザーマーキング物品のロールが巻き出されるとき、接着剤は物品の同じ側に一貫して残存する。
【0068】
本明細書で説明する多層レーザーマーキング物品は、いかなる種類のPSAにも有用である。これには、アクリレート又はアクリル樹脂、ポリエステル、シリコーン、ブロックコポリマー、エチレン酢酸ビニルなどに基づくPSAが挙げられる。剥離剤の選択は、剥離剤が接着されるPSAの種類に依存し得る。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、パーフルオロエーテル、及びシリコーンの剥離面は、アクリレート感圧性接着剤に有用であり、パーフルオロエーテルはシリコーン感圧性接着剤に有用である。
【0069】
有用なPSAには、アクリル接着剤、天然ゴム接着剤、粘着性ブロックコポリマー接着剤、ポリ酢酸ビニル接着剤、エチレン酢酸ビニル接着剤、シリコーン接着剤、ポリウレタン接着剤、エポキシアクリレート又はエポキシポリエステル感圧性接着剤などの熱硬化型感圧性接着剤が挙げられる。これらの種類の感圧性接着剤は、当該技術分野において周知であり、本発明の文献に記載されているだけでなく、「粘着技術ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)」、サタス(Satas)ドナタス(Donatas)著、1989年、第2版(2nd edition)、バン・ノストランド・レインホルド(Van Nostrand Reinhold)にも記載されている。PSAはまた、架橋剤、充填剤、気体、膨張剤、ガラス又は高分子微小球、シリカ、炭酸カルシウム繊維、界面活性剤などを含んでもよい。これらの添加剤は、所望の特性を実現するのに十分な量で含められる。
【0070】
いくつかの実施形態において、熱安定性のPSAが使用されてもよく、本発明の多層レーザーマーキング物品は、例えば米国再発行特許第24906(ウルリッヒ(Ulrich))、米国特許第4,181,752号(マルテンス(Martens)ら)、米国特許第4,818,610号(チンメルマン(Zimmerman)ら)に記載されているものなどのアクリレート感圧性接着剤を含む。いくつかの実施形態において、シリコーン感圧性接着剤が使用されてもよい。接着剤は商業的に購入されてもよく、あるいは、エマルジョン重合、溶媒重合、電子放射線重合、紫外光重合などを含めた既知の方法を用いて調製されてもよい。通常、アクリレート接着剤は、約1個〜約20個の炭素原子、好ましくは約4個〜約12個の炭素原子を有する、非第三アルコールの一官能価不飽和アクリル又はメタクリル酸エステルモノマーのホモポリマー及びコポリマーである。接着剤の凝集力を改善するために、所望によりコモノマーが含められてもよい。コポリマーを作製するのに有用な、そのような補強用のコモノマーは通常、アクリル酸エステルホモポリマーのガラス転移温度よりも高いホモポリマーガラス転移温度を有する。
【0071】
好適なアクリル酸エステルモノマーには、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−ブチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。有用な補強用のコモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、置換アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、イソボルニルアクリレート、及びシクロヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0072】
感圧性接着剤の転写テープを作製する通常のプロセスにおいて、前述したように、接着剤組成物がレーザーマーキング物品の上にコーティングされる。接着剤は硬化されて、レーザーマーキング物品上にゲル化フィルムを形成し、接着剤を含んだ物品は丸められて大型のロールとなる。別法として、接着剤は1枚のライナー上でコーティングされ硬化され、次いで加工前の別のライナーの上に転写される。次接着剤をコーティングされたシートは次いで、大型のロールを細長く切断し、幅狭のテープを巻回して、顧客が利用するためのコアにすることによって、幅狭ロールへと加工される。本発明のライナーはまた、スリーエム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール(St.Paul))から入手可能な5605及び5344アクリルフォームテープ(Acrylic Foam Tapes)などのフォームテープ、並びに両面テープと共に使用され得る。
【0073】
レーザーに関して言えば、商業的に入手可能なレーザーが、本明細書で説明する方法に好適である。いくつかの実施形態において、紫外光(UV)又は可視光の電磁放射線を放出する好適なレーザー装置が使用される。様々な実施形態において、約550nm未満、いくつかの実施形態においては約360nm未満の波長を有する放射線を放出するレーザーが好適である。
【実施例】
【0074】
以下の非限定的な実施例により、本発明の実施形態について更に説明する。これらの実施例に記載する特定の使用材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、狭義に、あるいは本発明の範囲を限定する形で解釈されるべきではない。実施例におけるすべての部、百分率、比率などは、特に明記しない限り重量を基準としている。
【0075】
材料
PT1100:ミネソタ州セントポール(St.Paul)のスリーエム社(3M Company)から入手可能なGL−1剥離ライナーを有する、1.14mm(45ミル)厚のアクリルフォームテープ。
【0076】
GL−1:共押出しされたポリエチレンの3層、つまり第1の外層、第2の外層、及び内部層を備えた0.114mm(4.5ミル)厚の赤色剥離ライナー。第1の外層は第1のシリコーンコーティングを有し、第2の外層は第2のシリコーンコーティングを有する。内部層は約0.4%の二酸化チタンを含有するが、第1及び第2の外層は二酸化チタンを含有しない。GL−1剥離ライナーは、ミネソタ州セントポール(St.Paul)のスリーエム社(3M Company)からPT1100の構成要素として入手可能である。
【0077】
AFT 5344:ミネソタ州セントポール(St.Paul)のスリーエム社(3M Company)から入手可能なアクリルフォームテープ(Acrylic Foam Tape)5344。
【0078】
AFT 5605:ミネソタ州セントポール(St.Paul)のスリーエム社(3M Company)から入手可能なロパレックスPE(Loparex PE)剥離ライナーを有するアクリルフォームテープ(Acrylic Foam Tape)5605。
【0079】
ロパレックスPE(Loparex PE):中央層内の二酸化チタンと共に、共押出しされたポリエチレンの3層を備える白色剥離ライナー。このライナーは、第1のシリコーンでコーティングされた第1の外層と、第2のシリコーンでコーティングされた第2の外層とを有する。このライナーは、アイオワ州アイオワシティ(Iowa City)のロパレックス社(Loparex LLC)からHDPE 0.005 SILICONE C2S(8100A/8250)WHITEとして入手可能であり、8100Aは第1のシリコーンを指し、8250は第2のシリコーンを指す。剥離ライナーもまたAFT 5605の構成要素として入手可能である。
【0080】
(実施例1〜4)
PT1100アクリルフォームテープからアクリルフォーム層を手で引き剥がすことによって、GL−1剥離ライナーを得た。
【0081】
355nmレーザー(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のコヒーレント社(Coherent,Inc.)からCoherent Aviaとして商業的に入手可能)を使用して、第1のシリコーン層を通じてライナーにマーキングした。レーザーのパルス幅は約30nsであり、レーザーの平均出力電力を1ワット(実施例1)に設定した。レーザーのパルスレートを20KHz、速度を1m/s、レーザースポットサイズを約30マイクロメートルとして、直径が約30マイクロメートルの隣接するドットで線を作成することにより、内部のポリエチレン層内にマークを作成した。線の中心間隔が100マイクロメートルである線で、10cm×10cmの領域をマーキングした。レーザーの平均出力を0.28ワットの出力(実施例2)に低減して更なるサンプルを作製し、また、第2のシリコーン層を通じてマーキングを施してサンプルを作製した(実施例3及び4)(実施例3では平均レーザー出力を1ワットに、実施例4では0.28ワットに設定した)。
【0082】
レーザーマークが剥離層の剥離機能に及ぼす影響を試験するために、引き剥がし試験を以下のように実施した。ハンドローラーを使用してエアポケットを除去して、ライナーの剥離側又は表面を感圧性接着剤テープ(AFT 5344)の接着側に積層することによって、サンプルを調製した。テープのもう一方の側を、標準的なポリエチレン剥離ライナーで保護した。幅1.27cm(0.5インチ)、長さ17.8cm(7インチ)のストリップを切断し、室温(約20〜25℃)にて7日間にわたって経時変化させ試験し、70℃にて3日間わたってあるいは7日間にわたって経時変化させ試験した。試験を実施するために、標準的なポリエチレンライナーを取り外し、接着テープをIMASS Adhesion Tester(マサチューセッツ州ヒンガム(Hingham)のアイマス社(Imass Inc.))のベッドに積層した。次いで、角度180度、速度30cm/分で、ライナーを接着剤から引き離した。引き剥がし方向は、剥離ライナー内でレーザーマーキングされたラインの方向と平行であった。ライナーを取り外すのに必要な力は、1.27cm幅(g/0.5インチ当たり)の単位で記録し、次いでグラム毎cmにスケール変換した。また、レーザーマーキングを持たない対照サンプルを作製した。いずれの場合も、接着剤は、検出可能な接着剤を剥離ライナー上に残すことなく、剥離面にてライナーから分離された。引き剥がし試験の結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
(実施例5〜9)
355nmレーザー(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のコヒーレント社(Coherent,Inc.)からCoherent Aviaとして商業的に入手可能)を使用して、ロパレックスPE(Loparex PE)及びGL−1剥離ライナーにマーキングした。レーザーのパルス幅は約30nsであり、集束したレーザースポットサイズは約30マイクロメートルであった。レーザーパルス繰返し率は20KHzであり、1m/sの操作速度を用いた。
【0084】
1ワット(実施例5)、0.5ワット(実施例6)、及び0.28ワット(実施例7)の平均レーザー出力の設定を用いて、ATF 5605テープに貼り付けられたロパレックスPE剥離ライナーの8100Aの側を通じてマークを作成した。PT1100アクリルフォームテープからアクリルフォーム層を手で引き剥がすことによって、GL−1剥離ライナーを得た。1ワットの平均レーザー出力を用いて、GL−1剥離ライナーの第1のシリコーンコーティングを通じて(実施例8)、またGL−1剥離ライナーの第2のシリコーンコーティングを通じて(実施例9)マークを作成した。レーザーマーキングによって生じたラインパターンは、ロパレックスPE及びGL−1ライナーの双方に関して、実施例1〜4で同じであった。
【0085】
マーキングした剥離ライナーを有するAFT 5605テープをアルミニウムパネルに接着することによって、実施例5〜7の引き剥がし試験を実施した。インストロン(Instron)5565(マサチューセッツ州ノーウッド(Norwood)のインストロン社(Instron)から入手可能)を使用して試験を実施した。AFT 5344テープの2.54cm(1インチ)幅の別々のストリップ3枚を、AFT 5344の接着側を剥離ライナーのレーザーマーキング側と接触させて、剥離ライナーに貼り付けた。2.04kg(4.5ポンド)のローラに4回、通すことによって、ATF 5344テープ及び剥離ライナーを同時にプレスした。ATF 5344テープの各ストリップを90度の角度で剥離ライナーから引き離し、各AFT 5344テープをライナーから取り外すのに必要な力を、グラム毎2.54cm(g/インチ幅)の単位で測定し、3枚のストリップの各々に対する力を平均し、次いでグラム毎cmにスケール変換した。いずれの場合も、接着剤は、検出可能な接着剤を剥離ライナー上に残すことなく、剥離面にてライナーから分離された。
【0086】
2.54cm(1インチ)幅のストリップを使用し、テープを90度の角度でライナーから引き離したことを除き、実施例8及び9の引き剥がし試験を実施例1〜4の通りに実施した。いずれの場合も、接着剤は、検出可能な接着剤を剥離ライナー上に残すことなく、剥離面にてライナーから分離された。
【0087】
すべての引き剥がし試験のデータを表2に示す。
【0088】
【表2】
引き剥がし試験の間にロパレックスPE及びGL−1剥離ライナーから取り外された接着テープ(AFT 5344)上に、実質的にシリコーンの残渣が存在しないことを確認するために、再接着試験を実施して、ステンレス鋼基材への接着テープの接着力を測定した。
【0089】
剥離ライナーから取り外したAFT 5344テープをステンレス鋼板に積層することによって、再接着試験を実施した。2.04kg(4.5ポンド)のローラに4回、通すことによって、ATF 5344テープ及び鋼板を同時にプレスした。AFT 5344の裏材を取り外し、0.127mm(0.005インチ)厚のアルミニウム裏材料と交換した。インストロン(Instron)5565を使用して、アルミニウム裏材を備えたATF 5344を90度の角度でステンレス鋼板から引き離し、引き剥がし強さを測定した。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
(実施例10及び11)
355nmレーザー(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のコヒーレント社(Coherent,Inc.)からCoherent Aviaとして商業的に入手可能)を使用して、共押出し3層ポリオレフィンフィルムにマーキングした。各層は順に、約25マイクロメートルのDow 640i低密度ポリエチレン(LDPE)(シガン州ミッドランド(Midland)のダウケミカル社(Dow Chemical Company)から入手可能)、8重量%のStandridge 11937の白色濃縮物(ジョージア州ソーシャルサークル(Social Circle)のスタンドリッジ・カラー社(Standridge Color Corporation)から入手可能)を有する50マイクロメートルのDow 640i LDPE、及び25マイクロメートルのDow DMDH 6400高密度ポリエチレン(HDPE)であった。レーザーのパルス幅は約40nsであり、集束したレーザースポットサイズは約100マイクロメートルであった。レーザーパルス繰返し率は180KHzであり、11.6m/sの走査速度を用いた。
【0091】
11.5ワットの平均レーザー出力設定、例えばそれぞれ10ワット及び11ワットを用いて、LDPE側及びHDPE側を通じてマークを作成した。レーザーマーキングによって生成されたラインパターンは、LDPE側とHDPE側のいずれに関してもラインの間隔が1.0mmであったことを除き、実施例1〜4と類似したものとなった。
【0092】
360 Black Doublecoatテープ(ミネソタ州セントポール(St.Paul)のスリーエム社(3M Company)から入手可能)を備えたアルミニウムパネルに、マーキングしたサンプルを接着することによって、実施例10及び11に対する引き剥がし試験を実施した。インストロン(Instron)5565を使用して試験を実施した。4枚の別個の2.54cm(1インチ)幅のAFT 5344テープのストリップを、サンプルのレーザーマーキング側に貼り付けた。2.04kg(4.5ポンド)のローラに4回、通すことによって、ATF 5344テープ及びマーキングしたサンプルを同時にプレスした。ATF 5344テープの各ストリップを90度の角度で剥離ライナーから引き離し、各AFT 5344テープをライナーから取り外すのに必要な力を、重量ポンド毎インチ(ニュートン毎センチメートル)の単位で測定し、4枚のストリップの各々に対する力を平均し、次いでグラム毎cmにスケール変換した。いずれの場合も、接着剤は、検出可能な接着剤を剥離ライナー上に残すことなく、剥離面にてライナーから分離された。実施例10及び11に対する引き剥がし試験のデータを表4に示す。
【0093】
【表4】
引き剥がし試験の間にAFT 5344テープに変化がなかったことを確認するために、マーキングしたサンプルから取り外したAFT 5344テープをクリアコートスチールパネル(RK8148パネル)(ミシガン州ヒルズデール(Hillsdale)のACTテストパネル社(ACT Test Panels,LLC)から入手可能)に積層することによって、再接着試験を実施した。インストロン(Instron)5565を使用して、スチールパネルを90度の角度で引き離すことによってAFT 5344テープを取り外した。上記と同じ方式で引き剥がし強さを測定し、4枚のサンプルの読みを平均し、グラム毎センチメートルの単位で記録した。再接着試験の結果を表5に示す。
【0094】
【表5】
(実施例12及び13)
355nmレーザー(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のコヒーレント社(Coherent,Inc.)からCoherent Aviaとして商業的に入手可能)を使用して、ControlTac(商標)Removable Graphic Film 3545Cにマーキングし、スコッチカル(Scotchcal)(商標)ElectroCut(商標)Graphic Film 7725−14(いずれのフィルムもミネソタ州セントポール(St.Paul)のスリーエム社(3M Company)から入手可能)にマーキングした。レーザーのパルス幅は約40nsであり、集束したレーザースポットサイズは約100マイクロメートルであった。レーザーパルス繰返し率は180KHzであり、11.6m/sの走査速度を用いた。
【0095】
実施例12及び13に対し、11.5ワットの平均レーザー出力設定を用いてマークを作成した。これらの例において、レーザーはライナー側に入射し、剥離表面を貫いて下方の層へと進んだ。これらのサンプルの接着剤層からライナーを取り外したとき、ライナー材料にマークは存在しなかった。レーザーで作られたマークは、下方のフィルム層内の透明な接着剤を通じて視認可能であった。
【0096】
(実施例14)
532nmレーザー(ドイツ国ウェルゼレン(Wurselen)のエッジウェーブ社(Edgewave)から商業的に入手可能)を使用して、実施例10及び11で使用したものと類似した材料にマーキングした。実施例14のフィルム内の3枚の層は、約25マイクロメートルのDow 640i LDPE、2重量%のStandridge 11937の白色濃縮物を有する50マイクロメートルのDow 640i LDPE、及び、約25マイクロメートルのExact 5181(テキサス州ヒューストン(Houston)のエクソンモービル(ExxonMobil)から入手可能なエチレン系ポリマー)であった。レーザーのパルス幅は約8nsであり、集束したレーザースポットサイズは約60マイクロメートルであった。レーザーパルス繰返し率は4KHzであり、0.2m/sの走査速度を用いた。
【0097】
実施例14に対し、0.8ワットの平均レーザー出力設定を用いてマークを作成した。この例において、レーザーはLDPEに入射し、LDPE表面を不変のままに、フィルム内に視認可能なマークを生成した。
【0098】
本発明の様々な実施形態について詳細に説明した。当業者であれば、説明した実施形態に対する変更又は修正を、それらが予測可能であろうとも予測不可能であろうともなし得るが、そのような変更及び修正は、本発明の範囲及び趣旨から外れるものと見なされるべきではない。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[31]に記載する。
[1]
少なくとも1種類の有機ポリマー及び少なくとも1種類の感光性の顔料からなるレーザーマーキング可能な層、並びに前記レーザーマーキング可能な層に付随する少なくとも1種類の剥離剤を備える多層物品を供給する工程と、
前記感光性の顔料と前記有機ポリマーとの間の相互作用を誘起して、視覚的に認知可能なマーキングを前記物品内に形成するために、前記少なくとも1種類の剥離剤であって、該少なくとも1種類の剥離剤は前記レーザー光線に対して透明である剥離剤を通じて前記多層物品の中へとレーザー光線を方向付けることによって、前記レーザーマーキング可能な層にレーザーマーキングする工程と、
を含む方法。
[2]
前記多層物品を供給する工程は、前記有機ポリマーと前記レーザー感応性の顔料とを混合してブレンドを形成し、前記ブレンドを押出しして、第1の主表面と第2の主表面とを有する前記レーザーマーキング可能な層を供給し、それと同時に、前記レーザーマーキング可能な層の前記第1の主表面の全体に前記少なくとも1種類の剥離剤を共押出しすることを更に含む、項目1に記載の方法。
[3]
前記多層物品を供給する工程は、まず、第1及び第2の主表面を有する前記レーザーマーキング可能な層を形成し、その後に、前記第1及び第2の主表面の一方又は両方に前記剥離剤を塗布することを更に含む、項目1に記載の方法。
[4]
前記多層物品を供給する工程は、第1及び第2の主表面を有する前記レーザーマーキング可能な層を形成し、前記剥離剤と前記レーザーマーキング可能な層との間に接着剤層が存在するように前記第1及び第2の主表面の一方又は両方に接着剤層を貼り付けることを更に含む、項目1に記載の方法。
[5]
前記多層物品を供給する工程は、少なくとも、(i)前記レーザー光線に対して基本的に透明であるポリマーを備える第1の押出し層であって、前記多層物品の第1の主表面を形成する第1の押出し層と、(ii)前記レーザーマーキング可能な層と、(iii)前記材料の第2の主表面を提供する第3の押出し層と、を備えるように複数の押出し層を有する多層シートを押出しすることを含み、前記レーザーマーキング可能な層は、前記第1の押出し層と第3の押出し層との間に配設される、項目1に記載の方法。
[6]
前記少なくとも1種類の剥離剤は、前記多層物品の前記第1の主表面に塗布される、項目5に記載の方法。
[7]
前記少なくとも1種類の剥離剤は前記第1の押出し層を構成する、項目6に記載の方法。
[8]
前記少なくとも1種類の剥離剤は第1の剥離剤と第2の剥離剤とを含み、前記第1の剥離剤は前記第1の押出し層を構成し、前記第2の剥離剤は前記多層物品の前記第3の押出し層を構成し、前記第3の押出し層は、前記レーザー光線に対して基本的に透明であるポリマーを含む、項目6に記載の方法。
[9]
前記第1の押出し層及び前記第3の押出し層はポリエチレンを含む、項目8に記載の方法。
[10]
前記少なくとも1種類の剥離剤は、前記多層物品の前記第1の主表面に塗布された第1の剥離剤と、前記多層物品の前記第2の主表面に塗布された第2の剥離剤とを含み、前記第3の押出し層は、前記レーザー光線に対して基本的に透明であるポリマーを含む、項目5に記載の方法。
[11]
前記第1の押出し層は低密度ポリエチレンを含み、前記レーザーマーキング可能な層の前記有機ポリマーは高密度ポリエチレンを含み、前記第3の押出し層は中密度ポリエチレンを含み、前記少なくとも1種類の感光性の顔料は二酸化チタンを含む、項目10に記載の方法。
[12]
前記レーザーマーキング可能な層の前記有機ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーオレフィン、及びそれらの組合わせからなる群から選択され、前記少なくとも1種類の感光性の顔料は二酸化チタンを含む、項目10に記載の方法。
[13]
前記第2の剥離剤の上に感圧性接着剤を塗布する工程と、
前記感圧性接着剤が前記第1の剥離剤に剥離可能に接着され、該感圧性接着剤は、前記第2の剥離剤に前記第1の剥離剤よりも堅固に接着されるように前記多層物品をロール状の形状に丸める工程と、
を更に含む、項目10に記載の方法。
[14]
前記レーザー光線は、約355nmの波長を有する電磁放射線を含む、項目1に記載の方法。
[15]
前記レーザー光線は、約532nmの波長を有する電磁放射線を含む、項目1に記載の方法。
[16]
前記視覚的に認知可能なマーキングは供給元のしるしであり、前記多層物品は剥離ライナーとして有用である、項目1に記載の方法。
[17]
第1の主表面及び第2の主表面を備え、少なくとも1種類の有機ポリマー並びに少なくとも1種類の感光性の顔料を含むレーザーマーキング可能な層と、
前記レーザーマーキング可能な層の前記第1の主表面に付随する第1の剥離剤と、
前記第1の剥離剤を通じて視認可能な前記レーザーマーキング可能な層内のマーキングであって、前記少なくとも1種類の感光性の顔料及び前記有機ポリマー間のレーザー誘起の相互作用の結果として生じるマーキングと、
を備える物品。
[18]
剥離ライナーである、項目17に記載の物品。
[19]
前記少なくとも1種類のポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーオレフィン、及びそれらの組合わせからなる群から選択され、前記感光性の顔料は二酸化チタンを含む、項目17に記載の物品。
[20]
前記レーザーマーキング可能な層は、不織布材料、織布材料、セルロース系材料、フィルム、及びそれらのうちの2つ以上の組合わせからなる群から選択された材料を含む、項目17に記載の物品。
[21]
前記感光性の顔料は、前記レーザーマーキング可能な層の重量を基準として約10重量%未満の濃度で存在する、項目17に記載の物品。
[22]
基材が、少なくとも、(i)前記レーザー光線に対して基本的に透明であるポリマーを備える第1の押出し層であって、前記多層物品の第1の主表面を形成する第1の押出し層と、(ii)前記レーザーマーキング可能な層と、(iii)前記材料の第2の主表面を提供する第3の押出し層と、を有する複数の層を備える多層シートであって、前記レーザーマーキング可能な層は、前記第1の押出し層と第3の押出し層との間に配設される、項目17に記載の物品。
[23]
前記第1の押出し層は低密度ポリエチレンを含み、前記中央の押出し層は高密度ポリエチレンを含み、前記第2の押出し層は中密度ポリエチレンを含み、前記少なくとも1種類の感光性の顔料は二酸化チタンを含む、項目22に記載の物品。
[24]
前記第1の剥離剤は前記多層物品の前記第1の主表面上に配設され、第2の剥離剤は前記多層物品の前記第2の主表面上に配設される、項目23に記載の物品。
[25]
前記第2の剥離剤上に配設された感圧性接着剤を更に含む、項目24に記載の物品。
[26]
前記感圧性接着剤が前記第1の剥離剤と前記第2の剥離剤の両方に剥離可能に接着されるようにロールに形成され、前記第1及び第2の剥離剤は、前記感圧性接着剤に対して異なる剥離特性を与えるように選択される、項目25に記載の物品。
[27]
前記少なくとも1種類の剥離剤は、ポリオレフィン、シリコーン、フルオロシリコン、パーフルオロエーテル、フルオロカーボン、直鎖アルキル側鎖を有するポリマー、及びそれらのうちの2種類以上の組合わせからなる群から選択された材料を含む、項目17に記載の物品。
[28]
前記基材が、少なくとも、(i)前記レーザー光線に対して基本的に透明であるポリマーを備える第1の層であって、前記多層物品の第1の主表面を形成する第1の層と、(ii)前記レーザーマーキング可能な層と、(iii)前記材料の第2の主表面を提供する第3の層と、を有する複数の層を備える多層シートであり、前記レーザーマーキング可能な層は、前記第1の層と第3の層との間に配設される、項目17に記載の物品。
[29]
前記第1の層はポリオレフィン剥離剤であり、前記物品は、前記第1の層と前記レーザーマーキング可能な層との間に配設された接着剤を更に含む、項目28に記載の物品。
[30]
前記ポリオレフィン剥離剤はポリエチレンである、項目29に記載の物品。
[31]
前記第1の層は第1のポリオレフィン剥離剤であり、前記第2の層は第2のポリオレフィン剥離剤である、項目27に記載の物品。