【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、出口を
有する本体と、出口のための密閉部
とを備えるディスペンサーに関する。
密閉部は、出口が開く開放位置と
、密閉部が出口を閉じる閉鎖位置との間
で本体に対して移動可能となるように、第1の枢
動連結部
を介して本体
に枢動可能
に連結される。更に
、密閉部及び本体は
、閉鎖位置で互いに固定
式に係合するように
構成される。密閉部
には、
第2の枢動連結部を介して固定部材
が連結され、その固定部材は、固定位置と固定解除位置との間で密閉部に対して移動可能である。固定位置は、閉鎖位置で密閉部を本体と固定するのを可能にし、一方で固定解除位置は、密閉部の固定を解除して
該密閉部が閉鎖
位置から開放位置
へ移動する
のを可能とする。したがって、固定位置に対して、固定解除位置は、密閉部及び本体が互いに対して閉鎖位置から開放位置の方に移動することを好ましくは可能にする。固定部材は、固定
位置と固定解除位置との間で
該固定部材を移動させる作動装置を有する。更に、固定部材を固定解除位
置へ移動させるため
に作動装置に加えられた力
によって密閉部を開放位
置へ付勢するように、作動装置
は、第1の枢
動連結部に対して配置される
。作動装置上に力を加えることで密閉部及び本体を開放位置の方に付勢するのに好適な回転方向を有するトルクを、本体と密閉部との間に生じさせる。
ディスペンサーは、固定部材および密閉部の一方に設けられた支持体をさらに備える。支持体は、固定部材が固定位置から固定解除位置へ移動しているときに、固定部材および密閉部の他方と当接するように配置される。固定部材は、固定位置から固定解除位置へ向かって移動しているとき、支持体が固定部材および密閉部の上記他方と当接するまでは、第2の枢動連結部に位置する第1の枢軸の周りに回動し、支持体が固定部材および密閉部の上記他方と当接した後は、支持体に位置する第2の枢軸の周りに回動する。
【0006】
本発明は従来技術の装置に比べて、ユーザーによる円滑化した操作を提供できることにおいて有利である。特に本発明は、片手だけを使ったディスペンサーの操作によって、例えば、実質的に一方向に単一の動きによって、ディスペンサーの固定を解除する及び開くことを可能にすることができる。本発明は更に、密閉部の本体からの固定を解除するのに必要な力が比較的小さくてすむ可能性がある。本発明は出口を比較的きつく封止することができることにおいても有利であり得る。その結果、分配される材料がディスペンサーの閉鎖位置で出口を通って漏れることを防止することができる。更に本発明は、密閉部を装置に固定することができるのでディスペンサーが開放位置で浪費されない。ユーザーがディスペンサーを簡単に再閉することができるので、これは分配される材料の比較的長い保管寿命の達成に役立ち得る。本発明はまた比較的安価な製造を可能にし得る。具体的には、ディスペンサーは一体成形として、又は少なくとも最低量の部品で形成され得るので、例えば、組立工程が削除されることにより、コストを最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0007】
一実施形態では、固定部材は固定位置の方へ弾力的に付勢される。例えばディスペンサーは、固定位置にある固定部材を備えて(例えば、密閉部及び本体が開放位置にある状態で)形成(例えば、プラスチック成形)されてもよい。この実施例でディスペンサーは、固定部材を固定位置以外からリセットするのに十分な、ある天然弾性を備える材料で製造されてもよい。その結果、バネ等の弾力のある更なる要素が節約され得る。固定部材は例えば、密閉部と共に1つの部品を形成してもよい。
【0008】
別の実施形態で固定部材は、第1の保持装置を有し、本体に第2の保持装置を有する。第1の保持装置及び第2の保持装置は、閉鎖位置で密閉部及び本体を固定するために互いに係合するように好ましくは適合される。したがってディスペンサーの閉鎖位置で、第1の保持装置及び第2の保持装置は、密閉部が開放位置の方へ移動するのを防止するように適合されてもよい。更にディスペンサーは、ディスペンサーの閉鎖位置で、固定部材を固定解除位置の方へ移動させることで第1の保持装置及び第2の保持装置が係合解除するように構成されてもよい。したがって密閉部の閉鎖から開放位置の方への動きを可能することができる。
【0009】
一実施形態で固定部材は、第2の枢動可能な相互連結部によって密閉部に枢動可能に相互連結される。その結果、第1の枢動可能な相互連結部は密閉部と本体との間で、相対的な回転能力を与えることができ、一方で第2の枢動可能な相互連結部は固定部材と密閉部との間で、相対的な回転能力を与えることができる。したがって、例えばディスペンサーの使用で、密閉部を閉鎖から開放位置の方へ移動させるために、密閉部は第1の回転方向で本体に対して回転可能であってもよい。更に、固定部材を固定位置から固定解除位置の方へ移動させるために、固定部材は第2の回転方向で密閉部に対して回転可能であってもよい。好ましくは第1の回転方向及び第2の回転方向は一般的に互いに対応する。その結果、密閉部及び本体の互いの固定を解除するために固定部材を操作することは、好ましくは密閉部及び本体を開放位置の方へ付勢させることにもなる。これは、ディスペンサーを片手だけで操作し得るので、歯科医術で装置を使用することにおいて特に有利であり得る。例えば歯科医は患者を治療するとき、鏡又はプローブ等の歯科用器具を保持するために片手が要る場合があり、そのため治療に必要な材料を患者の口に分配するのに片手だけしか使えない場合がある。本発明によるディスペンサーによって、歯科医は片手だけを使って装置を開け再閉することができるだけでなく、材料を分配することもできる。したがって比較的簡単にディスペンサーを使用することができ、特に歯科の使用で患者の治療時間の短縮を提供し得る。
【0010】
一実施形態で第1の枢動可能な相互連結部及び第2の枢動可能な相互連結部はそれぞれ、第1の回転軸線及び第2の回転軸線のまわりで回転能力を与える。第1の回転軸線及び第2の回転軸線は、互いに離間して配置されてもよく、一般的に互いに平行に延びてもよい。
【0011】
固定部材と密閉部との間の第2の枢動可能な相互連結部は、固定部材の第1の枢軸を形成してもよい。例えば固定部材は、作動装置を含む第1の自由端及び密閉部と連結する対向する第2の端部を有してもよい。固定部材と密閉部との間の連結部は、例えば弾性の枢軸を形成してもよく、弾性の枢軸は、固定部材を移動させることができる一方で、固定部材自体は実質的に剛性であってもよい。固定部材は支持体を更に含んでもよく、固定部材が固定位置から固定解除位置の方へ操作されるとき、支持体が密閉部に接するように配置される。支持体は固定位置で密閉部から離間して配置されてもよい。支持体は第1の枢軸と作動装置との間で、固定部材に配置されてもよい。したがって支持体は固定部材の第2の枢軸を形成し得る。例えば固定部材は、固定解除位置の方へ移動すると、支持体が密閉部に接するまで、第1の枢軸のまわりを移動し得る。一旦支持体が密閉部に接すると、固定部材は第2の枢軸の周りを移動し得る。したがって固定部材の動きは、支持体が密閉部から離間している最初のストローク及び支持体が密閉部に接する次のストロークを有し得る。以下に、より詳細に説明されるように、最初のストロークは密閉部と本体との間の前張力(例えば出口上に密閉部をしっかりと保持するために使用される)を主に取り除くことができ、一方で次のストロークは第1の保持装置及び第2の保持装置を比較的素早く係合解除することができる。したがって比較的小さい操作力でディスペンサーを比較的素早く開くことを達成できる。これは更に、装置の比較的簡単な操作を提供し得る。
【0012】
別の実施形態で第1の保持装置又は第2の保持装置はフック形状であり得る。この場合、第1の保持装置及び第2の保持装置を係合解除することで、保持装置の固定を解除するために互いに対して移動する間、密閉部が閉鎖位置の方へ付勢されることができる。これは保持装置が係合しているとき、より確実な固定を提供し得る。
【0013】
一実施形態でディスペンサーは容器から分配される材料を受け入れる入口を有する。入口は出口に対向して配置されてもよい。入口は例えば、分配される材料を貯蔵するように適合される容器に出口を連結させてもよい。ディスペンサーは長手方向軸線を有してもよい。長手方向軸線は入口及び出口を通って(例えば入口及び出口のほぼ中心を通って)延びてもよい。更に長手方向軸線は第1の回転軸線と第2の回転軸線との間に配置されてもよい。長手方向軸線は更に第1の回転軸線及び第2の回転軸線に一般的に垂直に延びてもよい。
【0014】
一実施形態で固定部材はこの長手方向軸線に一般的に平行に延びる。固定部材の作動装置は固定部材の第1の自由端を形成してもよい。この場合、固定部材は、作動装置が入口から出口に向かう方向に実質的に一致する方向に延びるように配置されてもよい。
【0015】
別の実施形態で第1の枢動可能な相互連結部はヒンジであってもよい。ヒンジは本体の第1の側に隣接して配置されてもよく、一方で固定係合は対向する本体の第2の側に隣接する固定によって施されてもよい。出口は第1の側及び第2の側との間に施されてもよい。閉鎖位置で密閉部は第1の側と第2の側との間に延在してそれによって出口を覆ってもよい。したがって密閉部は、閉鎖位置で第1の側と第2の側との間で出口を覆うように適合されてもよい。
【0016】
別の実施形態でヒンジは、本体及び密閉部を開放と閉鎖位置との間の中間位置から開放又は閉鎖位置の方へ自動的に付勢するように適合される。したがって双安定のヒンジが形成されてもよい。双安定のヒンジは、開放又は閉鎖位置のどちらかの方へ自動的に位置することはできるが、中間位置で保持することはできない。ヒンジは、更に、密閉部及び本体と共に1つの部品を形成するリビングヒンジによって形成されてもよい。これは、リビングヒンジが単一製造工程で密閉部及び本体と共に形成され得るので、コストを最小限に抑えるのに役立ち得る。ヒンジは更に密閉部及び本体と共に二段射出成形によって成形されてもよい。したがってヒンジは、やはり密閉部及び本体と共に1つの部品を形成し得るが、密閉部及び本体とは異なる材料で形成され得る。
【0017】
一実施形態で、密閉部は、閉鎖位置で出口上に偏倚される。密閉部の出口上に偏倚又は前張力は、ディスペンサーの閉鎖位置で、保持装置が係合されることによって維持することができる。前張力は、例えば、ユーザーが密閉部を閉鎖位置の方へ強いることによって蓄積することができる。
【0018】
別の実施形態で密閉部は、閉鎖位置で出口を封止する封止体を含む。したがって封止体は、材料が出口を通って分配されるのを防ぐために、出口をきつく封止することができる。封止体は、例えば、ゴム封止体であってもよい。更に封止体は、柔軟な熱可塑性材料又は熱可塑性エラストマーで製造されてもよい。したがって本発明は、容器に含まれる材料の最大限の保管寿命を提供することができる。更に閉鎖位置のディスペンサーは、材料がディスペンサーから漏れることなく密閉部を下方に容器を上方にした状態で貯蔵可能であり得る。
【0019】
一実施形態でディスペンサーは、分配される材料を受け入れる容器を含む。容器は例えば、ディスペンサーの本体の対応する連結具と嵌合する連結具を含んでもよい。連結具(単数又は複数)は、容器を本体に保持できるように、例えばねじ山、又は任意の他の構造を含んでもよい。
【0020】
別の実施形態で、親指を作動装置に置いたユーザーの手によって容器が固く握られるように、及びユーザーの手から離れた方向に親指を動かすことで作動装置が固定解除位置の方へ移動できるように、作動装置及び容器は互いに対して配置され、固定解除位置に達すると、更に親指を、手から離れた一般的に同じ方向に動かすことで、密閉部は開放位置の方へ移動することができる。
【0021】
一実施形態で容器は瓶を形成する。瓶は透明の容器壁を有してもよい。透明の容器壁は光フィルター、例えば青色光を遮断する光フィルターを含んでもよい。青色光は例えば、容器に含まれる材料の光開始剤と相互作用し、材料を硬化させる又は別の方法で変質させる可能性がある。したがって、青色光を遮断することは材料が早期に変質するのを防ぐことができ、ゆえに材料の保管寿命を最大化するのに役立ち得る。
【0022】
容器は更に分配される材料を含んでもよい。材料は例えば歯科用の接着剤であってもよい。
【0023】
別の実施形態でディスペンサーは出口を形成する滴下ノズルを含んでもよい。滴下ノズルは材料の正確な分配をすることができる。