【実施例】
【0023】
実験部
Mwを決定するためにGPC−MALLS測定を、ISO16014−1,2,4:2003にしたがうポリマーラボラトリーズPL−GPC C210装置で、下記の条件下、ポリエチレンについて高温GPCで実施した。当該条件は、スチレン−ジビニルベンゼンカラム、溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)、流速0.6ml/分、135℃、多角度光散乱(MALLS)検出器による検出だった。試料に依存して、1〜5mg/10mL濃度のポリエチレン(PE)溶液を、150℃、2〜4時間で調製してから、135℃に加熱したカロウセル(carousel)中に設定したSEC注入バイアルに移した。ポリマー濃度を、PolymerChar IR4検出器による赤外検出器を用いて検出し、光散乱を、Wyatt Dawn EOS 多角MALLS検出器(Wyatt Technology,Santa Barbara,Calf.)を用いて測定した。波長658nmの120mWのレーザー源を使用した。比屈折率は0.104ml/gとして採用した。データ評価をWyatt ASTRA4.7.3およびCORONA1.4ソフトウエアを用いて行った。
【0024】
モル質量分布幅(MWD)または分散性をMw/Mnとして定義する。Mw、Mn、Mz、MWDを「Handbook of PE」ed,A.Peacock、p.7〜10,Marcel Dekker Inc.,New York/Basel 2000に見出される。それから算出したMnおよびMw/Mn(および上述した異なる光散乱GPC法により得られたMwから)を、実質的にDIN 55672−1:1995−02(Februar1995)に記載されている方法を使用する高温ゲル透過クロマトグラフィーにより行った。前記DIN標準を行うときの修正を次のようにする:溶媒1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)、装置および溶液の温度135℃、および濃度検出器として、TCBとともに使用できる、PolymerChar(Valencia、Paterna46980、スペイン)IR4赤外検出器である。
【0025】
連続して結合した次のプレカラムSHODEX UT−Gおよび分離カラムSHODEX UT806M(3×)およびSHODEX UT807を備えたWATERS Alliance2000を使用した。溶媒を窒素下真空蒸留し、0.025重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールにより安定化させた。使用した流速は1ml/分であり、注入は500μl、およびポリマー濃度は0.01%<濃度<0.05%w/wの範囲だった。分子量較正は、580g/モル〜11600000g/モル範囲のPolymer Laboratories(現在、Varian,Inc.,Essex Road,Church Stretton,Shropshire,SY6 6AX,UK)製単分散ポリスチレン(PS)標準品および追加のヘキサデカンを使用することにより確立した。次いで、較正曲線は、Universal Calibration法(Benoit H.,Rempp P.およびGrubisic Z.著,J.Polymer Sci.,Phys.Ed.,5,753(1967))によりポリエチレンに対して採用した。ここで使用したMark−Houwingパラメーターは、PS:kPS=0.000121dl/g、αPS=0.706およびPEについてkPE=0.000406dl/g、αPE=0.725、135℃のTCB中で有効だった。記録するデータ、較正および計算は、各々、NTGPC_Control_V6.02.03およびNTGPC_V6.4.24(HS−Entwicklungsgesellschaft fur wissenschaftliche Hard−und Software mbH,HauptstraBe,D−55437 Ober−Hilbersheim)を使用して行った。円滑に関連を持たせるために、低圧で処理する都合の良い押出。好ましくは、分子量分布の標準決定のためにGPCにより決定される通りの、<1Mio.g/モルのモル質量を持つ本発明のポリエチレンの量は、好ましくは、95.5重量%を超える。これは、上述した「HS−Entwicklungsgesellschaft fur wissenschaftliche Hard−und Software mbH」およびOber−Hilbersheim/Germany会社のWIN−GPCソフトウエアを適用することにより、モル質量分布測定の通常通りの方法で決定される。
【0026】
膨潤率は、ISO 11443−1995、cpセクション7.8の「押出膨潤測定」にしたがって、決定した。
引張E−モジュラスは、反応器から採集したLDPE顆粒からISO1872−2にしたがって得た圧縮成形試料プレートを用いてISO 527−1および2(タイプ1Aのロッド、1mm/分および0.05%〜0.25%伸びの割線モジュラス)にしたがって測定した。
【0027】
密度をISO 1183にしたがって決定した。
ビカット温度をISO 306:2004、方法A50を使用して決定した。
溶融流量(MI)を、温度190℃で、示されている通りの、荷重2.16kg(MI)または21.6kg(HLMI)においてISO 1133−2004にしたがって決定した。
【0028】
DSCは、融点温度Tm(すなわち、第2加熱の溶融、Tm2)を決定するために行った。ポリマーの溶融エンタルピー(ΔHf)は、標準法(ISO 11357−3(1999))にしたがって、熱流量DSC(TA−Instruments Q2000)で示差走査熱量(DSC)により測定した。試料ホルダー(アルミニウム製パン)に5〜6mgの試験標本を装填し、密封した。次いで、試料を周囲温度から200℃まで20K/分の加熱速度(第1加熱)で加熱した。200℃で5分間保持した後、ここで、結晶が完全に溶融し、20K/分の冷却速度で試料を−10℃に冷却し、そこで2分間保持する。最後に、試料を、20K/分の加熱速度で−10℃から200℃に加熱する(第2加熱)。ベースラインの構築後、第2加熱操作のピーク下の面積を測定し、J/gの融解エンタルピー(ΔHf)を対応するISO(11357−3(1999))にしたがって、計算する。
【0029】
動的粘度測定を複素粘度η
*を決定するために行う。測定は、Anton−Paar MCR300(Anton Paar GmbH,Graz/Austria)のような二重板レオメーター中でポリマーブレンドの動的(正弦波)変形により行う。最初に、測定のため次のようにして試料(顆粒状または粉末状)を調製する:2.2gの物質を秤量し、70×40×1mmの成形板を満たすのに使用する。板をプレス中に入れ、20〜30バールの圧力下、1分間200℃まで加熱する。200℃の温度に達した後、試料を100バールで4分間圧縮する。圧縮時間の終了後、物質を室温に冷却し、板を型から取り出す。亀裂、不純物または不均質性について、圧縮板の視覚品質制御試験を行う。圧縮体から直径25mm、0.8〜1mm厚さのポリマーディスクを切り出し、動的機械分析(周波数掃引)測定のためレオメーター中に導入する。
【0030】
周波数の関数として、弾性率(G’)および粘性率(G”)および複素粘度η
*の測定を前述のAnton Paar MCR300応力制御回転レオメーターで行う。この装置はプレート−プレートジオメトリー、すなわち、間に1.000mmの標準ギャップのある各々24.975mm半径の2枚の平行ディスクを備える。このギャップについて、〜0.5mlの試料を装填し、測定温度(PE:T=190℃基準)で加熱する。溶融試料を5分間試験温度に維持して均質溶融に達成させる。その後、周波数掃引を、対数的に0.01および628ラド/秒間の点を取る装置により開始する。
【0031】
0.05(すなわち、5%)の歪み振幅を示す線状範囲の周期的変形を適用する。周波数は、628.3ラド/秒(すなわち、〜100Hz)から始め、8.55ラド/秒までであり、低周波数範囲について、より多くの点を取るように、サンプリングの増加率で4.631ラド/秒〜0.01ラド/秒(すなわち、0.00159Hz)を継続する非常に低い周波数について変動する。得られる剪断応力増幅および適用変形からの位相遅れが取得され、周波数の関数として、モジュールおよび複素粘度を計算のために使用する。
【0032】
高周波数から低周波数に対数的に減少する周波数範囲から複数点を選択し、各周波数点からの結果を少なくとも2〜3振幅後に示し、安定測定値を得る。
重合プロセスの一般的記述
本発明は、低メルトフローインデックスを有する低密度ポリエチレンLDPEの製造に関する。管状反応器中で高圧エチレン重合プロセスにより生成物を合成するが、連鎖移動剤としてプロピオンアルデヒド、およびラジカル開始剤として過酸化物カクテルを使用するが、財産権Lupotech TS
TMプロセスとして知られている。反応器は、温度を制御するため、特に、異なる反応器領域でピーク温度を制御するために水ジャケットを具備する。
【0033】
異なる実施例で使用する管状反応器は下記の特性を示す:
●3反応領域(各々の長さ:387m−413m−232m)
●反応器の全長:1032m
●パイプの内径:40mm
●管状反応器滞留時間:75秒
●ガス供給コンプレッサーから来るガス全部が予備加熱器/反応器の前部で入る
●管状反応器と並んで規則正しい間隔で設置されたサーモカップルにより反応器をモニターする。
【0034】
イソドデカン中で稀釈した、異なる過酸化物カクテルは、各反応領域の入口で調製され導入される。入口の相対位置および各領域中の最大温度を考慮して、選択使用する過酸化物をここに列挙する(Trigonox
TMブランド、源:AkzoNobel、Amerstffort/Netherlands):
TBPND:tertブチル−ペルオキシ−ネオデカノエート、脂肪族炭化水素溶媒中75%純度、CAS番号26748−41−4
TBPPI:tertブチル−ペルオキシピバレート、脂肪族炭化水素溶媒中25%純度、CAS番号927−07−1
TBPEH:tertブチル−ペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、脂肪族炭化水素溶媒中70%純度、CAS番号3006−82−4
TBPIN:tertブチル−ペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、脂肪族炭化水素溶媒中30%純度、CAS番号13122−18−4。
【0035】
反応器中の汚染を制限するために、反応気圧を定期的間隔で低下させ、降下弁により調節する。続いて、最後の反応器領域を通過させ、ポリエチレンと未変換ガス状エチレンとの混合物の双方を排出し、反応管の終点で降下弁により拡大させ、圧力レベルを、300バールにより近い熱交換機入口圧力まで減少させる。Joule Thomson効果のため、降下弁に通過と同時に、反応器圧力、反応器出口温度および生成した特定のポリマーグレードに依存して、混合物の温度が数十度減少する。降下弁通過後、次いで、混合物を熱交換機中(後冷却器と呼ぶ)で第1冷却をしてから、高圧生成物分離器(high pressure product separator:HPPS)に入れ、そこで、ポリマー溶融物を未反応エチレンから分離する。HPPSの標準圧力はおおよそ300バールである。この段階で、未反応エチレンを分離し、好ましくは、追加の精製工程を含む高圧リサイクル回路に供給するために使用する。HPPS中に残留した溶融生成物は、溶解/閉塞(occluded)エチレンを常に含有するが、低圧分離器(low pressure separator:LPPS)入口圧力に別の時間拡大され、そこで、溶融生成物が前記残留エチレンから開放される。LPPSの圧力は、0.5〜4バールの範囲であり、標準的には、0.5〜2.5バールに維持される。LPPSの溶融生成物出口は、スライド弁を介して押出機入口に直接連結される。最終ポリマーLDPE物質の排出用押出機は、Pomini一軸スクリューであり、後部脱ガス性を示す。当該押出機のダイプレートを高圧蒸気で加熱する。したがって、生成したLDPE顆粒を、下記に示す化学的および機械的試験に供した。本発明のための反応器の操作のための典型的温度プロフィールを
図1に示す。温度プローブを上述の全長にわたって、均等に分布し、それ故、反応器入口/ガス供給コンプレッサー排出からの距離に相当することに注意。比較例は、Lupolen 3220F高圧LDPE(Basell Polyolefine GmbH、ドイツより入手でき、密度0.930g/cm
3およびMI 2.16kg=0.77)であり、ラジカル重合により得られる。
図1〜4中総てで比較例として使用される。
【0036】
(実施例1)
重合を、下記に示す条件で、上記一般的記述の通り行った。
● ガス供給コンプレッサー排出時の反応器圧力:3055バール
● 予備加熱出口温度=139℃
● プロピオンアルデヒド流速=20リットル/時
● 各領域の最大温度:225℃/235℃/235℃
● 該3領域各々の過酸化物カクテルの組成を次の表Iに示す。
【0037】
【表1】
【0038】
領域2および3の入口温度を考慮すると、TBPNDおよびTBPPIは必要ない。こうして得られた生成物の特性は次の通りである。
● 密度:933.6kg/m
3
● MI:0.94g/10分(190℃/2.16kg)
● 生産速度:5.4T/時、約18%変換率になる
● Mw(重量平均分子量)=123061g/モル
● Mn(数平均分子量)=12340g/モル
● 溶融温度:119℃
● E−モジュラス:487MPa
● 膨潤比:82%。
【0039】
(実施例2)
同様に、重合を、下記に示す条件に修正して、上記一般的記述の通り行った。
● ガス供給コンプレッサー排出時の反応器圧力:3055バール
● 予備加熱出口温度=139℃
● プロピオンアルデヒド流速=18リットル/時
● 各領域の最大温度:212℃/225℃/222℃
● 該3領域各々の過酸化物カクテルの組成を次の表IIに示す。
【0040】
【表2】
【0041】
領域1の低いTmaxを考慮すると、TBPINを使用するのにそれ以上の興味はない。また、実施例1と同様、領域2および3の入口温度を考慮すると、TBPNDおよびTBPPIは必要ない。こうして得られた生成物の特性は次の通りである。
● 密度:934.5kg/m
3
● MI:0.94g/10分(190℃/2.16kg)
● 生産速度:5.1T/時、17%変換率になる
● Mw(重量平均分子量)=99365g/モル
● Mn(数平均分子量)=17959g/モル
● 溶融温度:120℃
● E−モジュラス:525MPa
● 膨潤比:80%。
【0042】
GPC、レオロジーデータおよびDSCのそれぞれを、従来品(出願人により市販しているLupolen 3220D)の既存低密度と比較した、実施例1および2の生成物双方について
図2および
図3に示す。
図2は、異なる低剪断速度の動的粘度である。
図3は、DSCからの熱量データである。
【0043】
(実施例3)
同様に、重合を、下記に示す条件に修正して、上記一般的記述の通り行った。
● ガス供給コンプレッサー排出時の反応器圧力:3055バール
● 予備加熱出口温度=139℃
● プロピオンアルデヒド流速=16リットル/時
● 各領域の最大温度:216℃/220℃/220℃
● 該3領域各々の過酸化物カクテルの組成を次の表IIIに示す。
【0044】
【表3】
【0045】
次の生成物は次の特性を示す。
● 密度:933.5kg/m
3
● MI:0.48g/10分(190℃/2.16kg)
● 生産速度:5.1T/時、17%変換率になる
● Mw(重量平均分子量)=107248g/モル
● Mn(数平均分子量)=23618g/モル
● 溶融温度:119℃
● E−モジュラス:500MPa
● 膨潤比:76%。
【0046】
(実施例4)
同様に、重合を、下記に示す条件に修正して、上記一般的記述の通り行った。
● ガス供給コンプレッサー排出時の反応器圧力:3120バール
● 予備加熱出口温度=139℃
● プロピオンアルデヒド流速=16.5リットル/時
● 各領域の最大温度:206℃/215℃/215℃
● 該3領域各々の過酸化物カクテルの組成を次の表IVに示す。
【0047】
【表4】
【0048】
次の生成物は次の特性を示す。
● 密度:934.3kg/m
3
● MI:0.51g/10分(190℃/2.16kg)
● 生産速度:4.7T/時、15.5%変換率になる
● Mw(重量平均分子量)=104608g/モル
● Mn(数平均分子量)=23856g/モル
● 溶融温度:120℃
● E−モジュラス:519MPa
● 膨潤比:75%。
【0049】
実施例3および4は、実施例1および2よりも低いMI(それ故、最適加工性がより低い)が、類似の溶融温度を得ることが可能であることを示す。本発明では、改善した溶融温度と共に組み合った相対的に高いMIの双方を示すのが最も好適である。固有溶融性および軟化温度それぞれにおいてわずかな増加があっても、連続生産において、有効殺菌時間おける影響を大きく減少させ、それ故、操作サイクル時間における影響を大きく減少させる。119〜120℃のDSC溶融温度を示す本発明の総ての実験物質は、110〜111℃の対応するVicat Aまたは軟化温度を示す。PE−BFS包装について時間のかかる殺菌手順は製造の律速段階である。物質の溶融温度のみの変化に関して、効率的な殺菌温度である110(従来技術)から115℃の変化は、本発明の物質を用いて実現可能な通り、
図4で例示したように殺菌時間を150分から49分に大きく減少させる(過剰殺菌条件、すなわち、1個も生存微生物が生き残らない−SAL=0%)。