(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記短手寸法が0.000508〜0.001524メートルの範囲であり、前記長手寸法が0.002032メートルよりも長い、請求項1に記載の濾過器カートリッジ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する継続的な必要性が存在する。濾過器カートリッジ全体における圧力低下を増大させずに、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。バルブ又は他の可動部品を用いずに、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。比較的製造が容易でありながらも、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、概して、使い捨て濾過器カートリッジを備えた水濾過システムに関する。本開示は、更に、防滴機構を備えた濾過器カートリッジに関する。かかるシステムは、既知の濾過器カートリッジと比較して相対的により高い比率の、水が貫流するための開放領域を提供する一方で、滴下を防止できる。水流用の相対的により広い開放領域のおかげで、本開示による濾過器カートリッジは、既知の濾過器と比較して低減された流動抵抗を有するように製造できる。本開示による防滴機構は、既知の防滴機構よりも容易に製造可能である。
【0006】
一実施形態では、本開示は、末端部と、接続端部と、長手方向軸と、を含むハウジングを備える、濾過器カートリッジを提供する。典型的には、接続端部は、流体入口と、流体出口と、を含む。濾過媒体は、ハウジング内の末端部と接続端部との間に配置される。濾過媒体は、流体入口を流体出口に流体連通させ、流体入口又は流体出口の1つは、1つ以上の防滴毛管チャネルを含み、防滴毛管チャネルの横断面は、少なくとも1つの方向に細長い。
【0007】
幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルの横断面は、長手寸法と、短手寸法と、を含み、短手寸法は約
0.000508メートル〜約
0.001524メートルの範囲であり、長手寸法は
約0.002032メートルを超える。一実施形態では、短手寸法は約
0.000635メートル〜約
0.001016メートルの範囲である。一実施形態では、短手寸法は約
0.000762メートルである。
【0008】
幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は湾曲部分を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は実質的直線を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は頂点を含む。一実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの短手寸法は、長手寸法に沿って実質的に一定である。
【0009】
幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは長手方向軸から外側に放射状に広がる。幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは互いに平行に配向される。幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは長手方向軸の周りに円周方向に配向される。
【0010】
一実施形態では、接続端部は、濾過媒体に対して封止された内側支柱と、濾過媒体の開放内芯と流体連通している中央導管と、を含む。幾つかのかかる実施形態では、ハウジングの接続端部にスリーブが形成され、内側支柱を放射状に包囲する。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルは内側支柱とスリーブとの間の環状領域に広がるフランジに配置され、防滴毛管チャネルは濾過媒体の外表面と流体連通している。
【0011】
一実施形態では、内側支柱はフランジを含む。幾つかのかかる実施形態では、フランジはスリーブに取り付けられていない。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルはフランジの半径方向外縁部を遮る。
【0012】
別の実施形態では、スリーブはフランジを備える。幾つかのかかる実施形態では、フランジは内側支柱に取り付けられていない。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルはフランジの半径方向内縁部を遮る。
【0013】
幾つかの実施形態では、中央導管は流体出口を形成し、1つ以上の防滴毛管チャネルは流体入口を形成する。
【0014】
一実施形態では、各防滴毛管チャネルは少なくとも1つのチャネル側壁を含み、少なくとも1つのチャネル側壁のRa表面粗さの高さ
は約1.626マイクロメート
ルを超える。
【0015】
幾つかの実施形態では、各防滴毛管チャネルは長手方向軸に沿って測定される奥行き寸法を更に含み、奥行き寸法は約
0.00762メートル〜約
0.0254メートルの範囲である。一実施形態では、奥行き寸法は約
0.01016メートル〜約
0.01778メートルの範囲である。
【0016】
本開示はまた、チャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成するための成形型を設計する工程と、この成形型の質感を指定して、少なくと
も1.626マイクロメート
ルのRa表面粗さの高さをチャネル側壁に付与する工程と、この質感を加えられた成形型に溶融プラスチックを注入して、少なくと
も1.626マイクロメート
ルのRa表面粗さの高さのチャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成する工程と、を含む、防滴毛管チャネルの形成方法も提供する。
【0017】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、決して、上記概要は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び2は、本開示による例示の濾過器カートリッジ100を示す。示されるように、濾過器カートリッジ100は、末端部104(
図11又は12)と、接続端部106と、長手方向軸103と、を含む、ハウジング102を備える。典型的には、接続端部106は、流体入口110と、流体出口112と、を含む。濾過媒体120は、ハウジング102内の末端部104と接続端部106との間に配置される。濾過媒体120は、流体入口110を流体出口112に流体連通させ、流体入口110又は流体出口112の1つは、1つ以上の防滴毛管チャネル130を含み、防滴毛管チャネル130の横断面は、少なくとも1つの方向に細長い。
図1及び
図2は1つ以上の防滴毛管チャネル130を含むものとして流体入口110を示しているが、示される防滴毛管チャネル130は流体出口112も形成できると想定される。流体入口110及び流体出口112の両方が1つ以上の防滴毛管チャネル130を含み得ることも想定される。
【0020】
防滴毛管チャネル130は、濾過器カートリッジ100内部に取り込まれた残留流体の滴下を少なくとも2種類の方法で低減するか、防止することができる。
【0021】
まず、
図11及び13に示されるように、残留水は、毛管現象によって防滴毛管チャネル130に引き込まれる。残留水が防滴毛管チャネル130に引き込まれると、水とチャネル側壁132との間の力の相互作用によって保持される。この毛管現象によって生じる引力は十分に強いため、濾過器カートリッジ100が横倒しになったとしても、通常重力だけでは、残留水に防滴毛管チャネル130を貫流させ、滴下又は漏出を発生させるには不十分である。
【0022】
次に、流体は、防滴毛管チャネル130内に保持される残留水によってもたらされる真空のおかげで、他方の流体口(常にではないが、通常は中央導管144を通って流体出口112)内に保持される。この状況は、流体で満たされた飲み物用ストローの一端を親指で塞ぐことに類似しており、この場合、流体はストローの自由端から流出しない。これは、反対側の端部を親指で真空密閉したために、空気侵入が妨げられるためである。ここでは、防滴毛管チャネル130内に保持された残留水がストロー上の親指に類似の役割を果たしており、真空を破壊して他方の流体口から流体を解放する空気侵入を防いでいる。
【0023】
同様の防滴現象は、これまでにFritzeに付与された、同一所有者の米国特許第6,632,355号(「Fritze‘355」)に記載されており、この開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする。しかしFritze‘355は、防滴毛管チャネルの使用を開示しておらず、むしろ小内径穴(即ち、円形横断面を有する穴)の使用を報告する。Fritze‘355には、次のように記載されている。
【0024】
濾過器の末端キャップ上の小内径穴は、水の表面張力が、水濾過器アセンブリの取り外し時の小内径穴からの水の漏出を防ぐ寸法である。これによりもたらされる真空がまた、濾過器の末端キャップ上の貫通穴からの水の漏出をも防止する。
【0025】
Fritze‘355、第8段落、44〜49行目(参照番号は省略)。
【0026】
しかし、Fritze‘355の小内径穴には、使用の際に若干の欠点が存在し得る。例えば、典型的には直径約
0.00127mの小内径穴は、一般に機械加工(即ち、ドリル加工)又は極小ピンを使用した鋳造のいずれかによらなければならない。通常、機械加工は鋳造作業よりも高価であり、時間がかかる。また、小内径穴の鋳造に用いられる極小ピンは極めて壊れやすく、損傷しやすい。したがって、いずれの製造方法も不都合であり得る。
【0027】
更に、複数のFritze‘355型の穴が1つの部品に形成されるとしても、流体流用に設けられた開放領域(横断面における開放領域)の相対量は、1つ以上の防滴毛管チャネル130が用いられる場合に設けることができる開放領域よりも著しく小さい。
【0028】
例えば、直径Dを有するFritze‘355による小内径穴を長さLの経路に沿って、中心を距離xずつ離隔して配置すると仮定すれば、水流用の総開放領域A
穴は次の式で算出できる。
【0030】
一方、幅W(即ち、短手寸法136)及び経路長L(即ち、長手寸法134)を有する防滴毛管チャネル130については、水流用の総開放領域A
チャネルは次の式で算出できる。
【0032】
その結果、A
穴に対するA
チャネルの比率は次の式で算出できる。
【0034】
この式を単純化すると次のようになる。
【0036】
実際には、小内径穴の中心間の距離xはDよりも大きくなくてはいけないことに留意されたい。これは、xよりも小さい値であれば、隣接する穴が互いに干渉するようになるためである。したがって、実際には現実的ではないが、所与の経路長Lにおける小内径穴の数は、理論的にはx=Dの場合に最大となる。したがって、A
穴が理論的に最大化された場合のA
穴に対するA
チャネルの比率は、式3でxの代わりにDを用いることによって算出でき、次のようになる。
【0038】
したがって、防滴毛管チャネル130の幅Wが各穴の直径Dと等しくなるように選択されると、A
穴に対するA
チャネルの比率は、常に次の値よりも大きくなる。
【0040】
したがって、上記のように配置される場合、防滴毛管チャネル130は、直径が防滴毛管チャネル130の幅と同じである、1列に並んだ小内径穴よりも、少なくとも27%多い水流用の開放領域を常に設けることができるはずである。当然ながら、実用においては、小内径穴をはるかに大きい間隔で離隔する必要があり、単位長さあたりの小内径穴が少なくなるため、この比率は、通常、はるかに大きくなる。1つの実際的比較例を次に示す。
【0041】
0.00127mの直径を有し、
0.0508mの経路長にわたって中心を直径2つ分(
0.00254m)の距離ずつ離隔した、Fritze‘355によって教示される小内径穴を仮定すると、水流用の総開放領域A
穴は次のように算出される。
【0043】
次に、
0.000762mの幅及び
0.0508mの経路長を有する防滴毛管チャネル130を仮定すると、水流用の総開放領域A
チャネルは次のように算出できる。
【0045】
したがって、上記の例では、A
穴に対するA
チャネルの比率は、次のとおりである。
【0047】
したがって、上記の典型的な実用では、1つの防滴毛管チャネル130は、濾過器カートリッジ100に防滴機能を提供しつつ、同じ長さに沿って配置された典型的な1列の小内径穴よりも、約53%大きい水流用の開放領域を設けることができる。したがって、防滴毛管チャネル130は、典型的な1列の小内径穴よりも相対的により大きい水流用の開放領域をもたらすことができ、防滴毛管チャネル130には、濾過器カートリッジ100の流体入口110又は流体出口112を設けることができるので、本開示による濾過器カートリッジ100は、相対的により小さな全体的圧力低下を有するように設計され得る。
【0048】
上記の例で述べたように、幅Wは、1つ以上の防滴毛管チャネル130の短手寸法136に等しくてよく、一方、経路長Lは長手寸法134に等しくてよい。
【0049】
図2及び3に示されるように、接続端部106は複数の部品で構成されてよい。示されるように、接続端部106は、スリーブ150内の長手方向軸103に沿って配置される内側支柱140を含む。必ずしもではないが、典型的には、スリーブ150はハウジング102上に一体形成される。幾つかの実施形態では、内側支柱140は、濾過媒体120の開放内芯124と流体連通している中央導管144を含む。示されるように、中央導管144は流体出口112で終結する。スリーブ150は、ハウジング102からの円筒形突出部を含んでよい。幾つかの実施形態では、内側支柱140とスリーブ150との間の空間に環状領域170が広がる。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、環状領域170に広がるフランジ160上に配置される。
【0050】
フランジ160は、
図4に示されるようにスリーブ150から内側に放射状に広がってよいか、
図3に示されるように内側支柱140から外側に放射状に広がってよい。
【0051】
防滴毛管チャネル130の横断面は、
図5〜10に示されるように閉じていてもよいし、又は、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、
図3に示されるようにフランジ160の半径方向外縁部164を遮り、若しくは
図4に示されるようにフランジ160の半径方向内縁部168を遮ってもよい。1つ以上の防滴毛管チャネル130が半径方向外縁部164又は内縁部168を遮る場合、遮られた半径方向縁部は、隣接する表面に取り付けられても取り付けられなくてもよい。
図2に示されるように、フランジ160は内側支柱140から外側に放射状に広がり、スリーブ150と密接に当接するが、取り付けられてはいない。かかる実施形態では、フランジ160とスリーブ150との間に小間隙が存在してよい。この小間隙は、流体の側路をもたらすことがあるが、この間隙が1つ以上の防滴毛管チャネル130よりも流体に対してより制限的である限り許容される。かかる構成体は、内側支柱140のスリーブ150内へのアセンブリをより速くかつ簡単にしつつ、濾過器カートリッジ100の防滴機能を維持できる。
【0052】
フランジ160が内側支柱140から外側に放射状に広がる実施形態では、防滴毛管チャネル130がフランジ160の半径方向外縁部164を遮るように構成することが有利であり得る。例えば、内側支柱140が射出成形される場合、濾過器カートリッジ100の長手方向軸103に対して平行に分かれる成形型は、長手方向軸103に直交して分かれる成形型よりも、設計及び製造が容易で、費用が安くつくことがある。成形型が長手方向軸103に対して平行に分かれる場合、成形型の各半分から突出する「指」つまり「フィン」は、溶融プラスチックで1つ以上の防滴毛管チャネル130を形成してよく、一方で、成形型の半分が引き離されると、半径方向外縁部164が遮られた状態でフランジ160が残される。
【0053】
幾つかの実施形態では、濾過媒体120は内側支柱140に取り付けられている。幾つかのかかる実施形態では、中央導管144は、濾過媒体120の開放内芯124の内部に突出する。濾過媒体120は、例えばカーボンブロック、プリーツ加工を施した複合材料、中空繊維束、逆浸透膜、又はこれらの組み合わせを含んでよい。通常、内側支柱140は、内側支柱140と濾過媒体120との間の流体側路を防ぐように濾過媒体120に取り付けられる。かかる実施形態では、濾過されるべき流体は、流体入口110に流入し、濾過媒体120の外表面128に浸透し、濾過媒体120を貫流して開放内芯124に入り、次に内側支柱140の中央導管144を通って、最終的には流体出口112から流出する必要がある。
【0054】
通常、
図11に示されるように、末端部104は、内側支柱140及び濾過媒体120のハウジング102内への配置後に、ハウジング102に封止可能に取り付けられる。
【0055】
図5〜10は、各防滴毛管チャネル130の平面図が見えるように長手方向軸103に沿って見た場合の、本開示による防滴毛管チャネル130の様々な構成を示している。
図2の断面矢印10−10は、
図5〜10の視線方向を示す。
【0056】
図5及び10は濾過器カートリッジ100を示しており、防滴毛管チャネル130は互いに平行に配向されている。
【0057】
図5、9、及び10は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法134は実質的直線を含んでいる。
【0058】
図6及び7は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130の長手寸法134は湾曲部分を含んでいる。
【0059】
図7は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130は長手方向軸103の周囲に円周方向に配向されている。
【0060】
図8は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130の長手寸法134は頂点を含んでいる。
【0061】
図6、8、及び9は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、長手方向軸103から外側に放射状に広がっている。
【0062】
本開示による例示の防滴毛管チャネル130の平面図は、
図14〜16に更に詳細に示される。これらの各図では、短手寸法136及び長手寸法134を簡単に見ることができる。
図14は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は実質的直線を含んでいる。
図15は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は湾曲部分を含んでいる。
図16は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は頂点を含んでいる。
図14〜16の各図は、短手寸法136が長手寸法134に沿って実質的に一定である防滴毛管チャネル130を示す。防滴機能が維持される限り、短手寸法136が長手寸法134に沿った1つ以上の位置において増減し得ることもまた、想定される。幾つかの実施形態では、短手寸法136は、
0.000508m、
0.000635m、
0.000762m、
0.000889m、
0.001016m、
0.001143m、
0.00127m、及び
0.001397mなど、約
0.000254m〜約
0.001524mの範囲である。一実施形態では、短手寸法136は約
0.000635m〜約
0.001016mの範囲である。相対的により小さい短手寸法136は流動制限を増す傾向にある可能性があり、その一方で、大き過ぎる短手寸法136では、毛管現象が開口部に流体を引き込むことに失敗してしまい、したがって開口部が防滴毛管チャネル130ではなくなる恐れがあることを理解されたい。
【0063】
防滴毛管チャネル130は、長手寸法134が短手寸法136よりも大きければ常に役立ち得るが、長手寸法134は、通常は短手寸法136の大きさの少なくとも約2倍である。幾つかの実施形態では、長手寸法134は、約
0.002032mを超える。所定の短手寸法136について、長手寸法は、開口部が防滴毛管チャネル130として機能し続ける限り、所与の用途に望ましい長さとなるように選択されてよいことが想定される。長手寸法134は、細長い経路、つまり防滴毛管チャネル130の軌道に沿って測定される寸法であり、必ずしも直線ではないことに留意されたい。例えば
図15では、長手寸法134は湾曲部分を含む細長い経路に沿って測定される。同様に
図16では、長手寸法134は鋭角の屈曲部を含む細長い経路に沿って測定される。
図2、3、4、5、7、10、及び12に示されるもののように、幾つかの実施形態では、長手寸法134は、所与の濾過器カートリッジ100の1つ以上の防滴毛管チャネル130によって異なってよい。
【0064】
図11は、本開示による例示の濾過器カートリッジ100の断面図を示しており、濾過器カートリッジ100には残留水が含まれており、横倒しになっている。示されるように、水は毛管現象によって防滴毛管チャネル130に引き込まれ、水の表面張力のおかげで捕捉されたまま留まることから、防滴毛管チャネル130には空気が侵入できない。したがって、残留水が防滴毛管チャネル130を貫流して濾過器カートリッジ100から滴下することが防止される。同時に、中央導管144内の残留水については、防滴毛管チャネル130内に捕捉された水によってもたらされる真空封止のおかげで、流体出口112から流出することが防がれる。
【0065】
図13は、
図5の13−13で切った詳細断面図であり、フランジ160内に形成された防滴毛管チャネル130へと毛管現象によって引き込まれた流体を示している。示されるように、各防滴毛管チャネル130は、奥行き寸法138と、短手寸法136と、長手寸法134(図示せず)と、チャネル側壁132と、を含む。示されるように、チャネル側壁132に対する流体の接触角φは、90度未満(即ち、負の接触角)であり、したがって流体は、横断面において凹状輪郭を形成する。接触角及び流体とチャネル側壁132との間の密着度は、チャネル側壁132の材料、用いられる流体、及び雰囲気(典型的には空気)の間の相互作用の性質によって決定される。比較として、水銀を充填した典型的なガラス管温度計内で、水銀とガラスを相互作用させると凸状輪郭が形成される。作動流体に応じて、防滴毛管チャネル130を構成するために選択する材料は、防滴機能を維持できるように、作動流体、チャネル側壁132、及び空気の間の適切な力の相互作用を促進するように選択する必要がある。必ずしもではないが、典型的には、作動流体は水である。
【0066】
各防滴毛管チャネル130の横断面が(円形横断面とは対照的に)少なくとも1つの方向において細長い場合、奥行き寸法138は、通常、Fritze‘355型の小内径穴を用いる場合よりも大きい。より大きい奥行き寸法138は、流体と相互作用するためのチャネル側壁132の表面積を比例的により多くもたらすため、流体は、奥行き寸法138が増加するにつれてより良好に防滴毛管チャネル130内に保持され得る。しかし、奥行き寸法138を大きくし過ぎると、流体流を制限し、したがって、濾過器カートリッジ100全体にわたって増大した圧力低下がもたらされることがある。これに関して、奥行き寸法138は、
0.00889メートル、
0.01016メートル、
0.01143メートル、
0.0127メートル、
0.01397メートル、
0.01524メートル、
0.01778メートル、
0.02032メートル、及び
0.02286メートルなど、約
0.00762メートル〜約
0.0254メートルの範囲で有利に選択され得る。
【0067】
チャネル側壁132の表面を相対的により粗くすることで、驚くほどより良好に防滴毛管チャネル130内に流体を保持できることもまた、観察されている。例えば、ステレオリソグラフィ(SLA)によって製造された防滴毛管チャネル130を含むプロトタイプのフランジ160は、典型的な型表面仕上げを用いた射出成形で製造された防滴毛管チャネル130を含むプロトタイプのフランジ160よりも粗い表面を有した。意外にも、粗いSLAプロトタイプは、より研磨された射出成形部品よりも良好に流体を保持した。より粗いチャネル側壁132の表面仕上げは、流体と相互作用するためのチャネル側壁132の表面積をより多くもたらすことができるため、表面粗さが増すにつれて、流体はより良好に防滴毛管チャネル130内に保持されることができると考えられる。射出成形部品の典型的なRa表面粗さの高さは、ASME B46.1に従って測定された場合、
約0.254マイクロメート
ル〜約0.8128マイクロメート
ルの範囲であってよい。これに関して、チャネル側壁132のRa表面粗さの高さは
、3.251マイクロメート
ル、6.502マイクロメート
ル、12.7マイクロメート
ル、25.4マイクロメート
ル、31.75マイクロメート
ル、38.1マイクロメート
ル、又は更には50.8マイクロメート
ルなど、
約1.626マイクロメート
ルを超えるように有利に設計されてよい。一実施形態では、チャネル側壁132のRa表面粗さの高さは、
約22.86
マイクロメートル〜約40.64マイクロメート
ルの範囲である。1つ以上の防滴毛管チャネル130の形成に用いる成形型部品において異なる表面仕上げ、即ちテクスチャを指定することにより、異なるRa表面粗さの高さ値が得られた。
【0068】
図12に示されるように、防滴毛管チャネル130は、Fritze‘355の
図3、9、及び10に示されるように、又はFritzeに付与された米国特許第7,481,928号(「Fritze‘928」、この開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする)に示され、記載されるように構成された濾過器カートリッジ100の接続端部106上に配置されてよいことも想定される。防滴毛管チャネル130は、Bassettらに付与された米国特許第6,949,189号及び同第7,135,113号(これらの開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする)に示され、記載されるような濾過器カートリッジに用いられてよいことも想定される。
【0069】
この発明の種々の修正及び変更が発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことは、当業者には分かるであろう。本発明は、本明細書において説明した例示の実施形態に制限されないことを理解されたい。