(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775095
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】導電性フィルタエレメント及びフィルタエレメントを有するフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/11 20060101AFI20150820BHJP
B01D 39/08 20060101ALI20150820BHJP
B23K 26/32 20140101ALI20150820BHJP
【FI】
B01D29/10 510E
B01D29/10 510C
B01D29/10 520Z
B01D29/10 530B
B01D39/08 A
B23K26/32
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-549258(P2012-549258)
(86)(22)【出願日】2010年12月8日
(65)【公表番号】特表2013-517132(P2013-517132A)
(43)【公表日】2013年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2010007449
(87)【国際公開番号】WO2011088869
(87)【国際公開日】20110728
【審査請求日】2013年7月2日
(31)【優先権主張番号】102010005541.7
(32)【優先日】2010年1月23日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511004689
【氏名又は名称】ハイダック フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ ガリフィ
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト メース
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/113399(WO,A1)
【文献】
特開平08−323122(JP,A)
【文献】
特開2000−300917(JP,A)
【文献】
特開2005−193614(JP,A)
【文献】
特表2010−521293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/
B01D27/
B01D35/
B01D39/
C02F1/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過材(8)及び前記ろ過材(8)を部分的に覆うか又は機械的に支持する複数のその他の部材(4、14、18)を具備するフィルタエレメント構成要素(4、8、14、18)と、
前記フィルタエレメント構成要素(4、8、14、18)を互いに接合する少なくとも一つの接合構成要素(2)と、を具備するフィルタエレメント(20)であって、
前記フィルタエレメント構成要素の少なくとも一つ(4)が少なくとも部分的にレーザー光透過性の材料から作られており、前記少なくとも一つの接合構成要素(2)が、バリヤ層の様態に形成されていて、前記フィルタエレメント構成要素を接合するためのレーザー光(12)を使った透過溶接法を実行するために少なくとも部分的にレーザー光不透過性の材料から作られていて、
透過溶接工程中にレーザー光に曝される、前記フィルタエレメント構成要素及び前記接合構成要素の少なくとも一部の構成要素が、少なくとも部分的に導電性であり、
前記フィルタエレメント構成要素の少なくとも一つ(4)が、少なくとも部分的に導電性を生み出すために、カーボンナノチューブ及び/又は炭素繊維及び/又は鋼繊維を有する合成樹脂材料の形態の添加材から少なくともある領域を形成されており、
前記少なくとも部分的に導電性の少なくとも一つのフィルタエレメント構成要素(4)を形成する前記合成樹脂材料が、少なくとも部分的にレーザー光透過性であり、
前記複数のその他の部材の少なくとも一つ(4)が、エンドキャップの様態で該フィルタエレメント(20)のカバーを少なくとも一方の端に形成すると共に、少なくとも部分的にレーザー光透過性の材料から作られて、透過溶接工程中にレーザー光(12)に曝され、
前記エンドキャップが、少なくとも部分的に導電性であることを特徴とする、フィルタエレメント(20)。
【請求項2】
前記バリヤ層が、レーザー光の吸収に起因して発熱すると共に、前記フィルタエレメント構成要素(4、8、14、18)に対する接合材として少なくとも部分的に働くことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタエレメント(20)。
【請求項3】
前記バリヤ層が、少なくとも部分的に導電性であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルタエレメント(20)。
【請求項4】
前記バリヤ層は、フィルムの様態に形成されて、透過溶接法におけるレーザー光(12)によって共に接合されるべき前記フィルタエレメント構成要素(4、8)の間に挿入されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(20)。
【請求項5】
前記バリヤ層が、被膜の様態に形成されて、共に接合されるべき前記フィルタエレメント構成要素の一つの上に少なくとも部分的に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(20)。
【請求項6】
前記ろ過材(8)が、電荷の導出のために少なくとも部分的に導電性であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(20)。
【請求項7】
前記接合構成要素(2)が、合成樹脂材料から少なくとも部分的に作られており、前記合成樹脂材料は、少なくとも部分的にレーザー光不透過性の材料を形成する目的のために、ガラス繊維の形態の添加材を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(20)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(20)と、少なくとも部分的に導電性の少なくとも一つのエレメントレセプタクル(42)とを具備するフィルタ装置(44)であって、前記エレメントレセプタクルが、前記複数のその他の部材の少なくとも一つに流体密の様態で接続され得ると共に導電性の様態で接続され得る、フィルタ装置(44)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタエレメント、及びそのようなフィルタエレメントを有するフィルタ装置に関するものである。前記フィルタエレメントは、一つの構成要素としてのろ過材及びさらなるフィルタエレメント構成要素のような、個々の構成要素を具備しており、前記さらなるフィルタエレメント構成要素の少なくとも一つの構成要素が少なくとも部分的にレーザー光透過性材料から作られていて、バリヤ層の様態に形成された少なくとも一つのさらなる構成要素が、互いに結合可能なフィルタエレメント構成要素を接合するためのレーザー光を使った透過溶接法を実行するために少なくとも部分的にレーザー光不透過性の材料から作られている。
【背景技術】
【0002】
フィルタエレメントは、様々な流体の濾過技術の多くの分野で用いられている。そのような流体の例としては、油圧作動油、潤滑油、及び燃料である。流体がフィルタエレメントのろ過材を介して流れるとき、電圧が発生することがあり、最悪の場合この電圧は、ろ過材又はさらにフィルタエレメントの少なくとも部分的な破損を招く値を有することがある。この状況は、特に、電圧の形成中に生み出される電荷がフィルタエレメントから適切な様態で放散されないときに発生し得る。前述した電圧発生の問題を克服するために、例えば導電線を導入することによってろ過材に所定の導電性を与えること、及び通常は金属の適切なさらなるフィルタエレメント構成要素を使ってろ過材に蓄積された電荷の放散を引き起こすことが知られている。そのようなフィルタエレメントの他の要求事項は、それらを低コストで大量に生産することが可能でなければならないことである。後者の要求事項を満足するために、例えば接着接合によってフィルタエレメントの個々の構成要素を共に接合することが好都合であることが分かっていた。しかしながら、従来技術の解決法は、しばしば高価であり、また複数の異なる材料を使用することに起因して重大なリサイクルの問題を提起する。
【0003】
特許文献1は、最初に言及した種類のフィルタエレメントの製造方法を開示しており、この製造方法は以下の段階、即ち、内側のフィルタ空洞を取り囲むと共に熱溶着材料を含むろ過材を準備する段階と、前記フィルタ空洞の少なくとも一方の端にカバーを形成する少なくとも一つのエンドキャップであってレーザー透過性の熱可塑性材料から作られたエンドキャップを準備する段階と、エンドキャップとそれに隣接するろ過材の端との間にレーザー不透過性バリヤ層を形成する段階と、バリヤ層に隣接するレーザー透過性材料にレーザー光を照射することによってエンドキャップとろ過材とを溶接する段階であって、バリヤ層に隣接する領域を加熱することによって、レーザー透過溶接によって形成される溶接継手の接合要素として溶接体積が利用可能にされるようなレーザーエネルギーで、エンドキャップとろ過材とを溶接する段階とを含んでいる。
【0004】
フィルタエレメント構成要素は、透過溶接工程においてレーザー光によって共に接合されるので、経済的な生産が保証される。エポキシ樹脂接着剤を使ってフィルタエレメントを互いに接合することが従来技術から知られている。しかしながら、レーザー透過溶接方法とは対照的に、この方法は多くの欠点を有する。例えば、この方法は、反応タンク、接着接合されたフィルタエレメント用の貯蔵領域、及び接着剤のために必要な広いスペースを有する。加えて、この方法は、時間を非常に必要とするものであり、そのため製造コストが相応に高い。レーザー透過溶接の有利な点は、共に接合されるべき結び付け可能なフィルタエレメント構成要素に対する低い熱的及び機械的ストレス、並びにレーザー透過溶接の柔軟性の他にその自動化及び既存の製造手順への統合の可能性に存する。財務的な側面に関して、接着剤及び反応タンクのために負う出費が削除され、さらに接着の場合に発生する清掃費用又は保守費用が発生しない。さらに、レーザー透過溶接は短いサイクルタイムを生み出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007013178号明細書
【発明の概要】
【0006】
この先行技術から出発して、本発明の目的は、フィルタエレメントの経済的な生産が保証されるだけでなく、フィルタエレメントの信頼できる作用も保証され、特にフィルタエレメントの破壊をもたらすフィルタエレメント構成要素における電圧の発生が回避される、フィルタエレメント及びそのようなフィルタエレメントを有するフィルタ装置を提供することである。この目的は、独立請求項1の全体に開示された特徴を有するフィルタエレメントによって、及び請求項12の全体に記載された特徴を有するフィルタ装置によって達成される。
【0007】
透過溶接工程中にレーザー光に曝されるフィルタエレメントの少なくとも一部の構成要素が少なくとも部分的に導電性であることにより、ろ過材に発生した電荷の確実な導出が可能である。
【0008】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、バリヤ層は、レーザー光の吸収に起因して発熱し、隣接して境を接するさらなるフィルタエレメント構成要素に対する接合材として少なくとも部分的に機能する。結果は、バリヤ層が表面的に又は完全に溶融することであり、また隣接して境を接するさらなるフィルタエレメント構成要素への伝熱に起因して、これらも、少なくともある特定の領域では溶融されて、溶接によって、互いに対する接合材又はバリヤ層に対する接合材を形成することができる。
【0009】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、バリヤ層は少なくとも部分的に導電性である。バリヤ層が少なくとも部分的に導電性であるように形成されているので、電荷は、バリヤ層を介して共に接合されたフィルタエレメント構成要素から運び去られることが可能である。
【0010】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、フィルムの様態に形成されたバリヤ層は、透過溶接法におけるレーザー光によって共に接合されるべきフィルタエレメント構成要素の間に挿入されている。特に、0.2mm未満で好適には約0.05mmの厚さを有するフィルムが、バリヤ層に用いられるなら、そのようなフィルムは、該フィルムが間に挿入されるフィルタエレメント構成要素であって、共に接合されるべきフィルタエレメント構成要素の輪郭に容易に適応するだろう。
【0011】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、被膜の様態に形成されたバリヤ層が、共に接合されるべきフィルタエレメントの構成要素の一つの少なくとも部分に設けられる。そのような被膜は、例えば吹き付けによって生み出される。この実施形態では、バリヤ層を別個の部材として挿入する必要はないので、フィルタエレメントの単純化された生産とコスト低減という結果が得られる。
【0012】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、ろ過材は、電荷の導出のために少なくとも部分的に導電性である。結果として、流体がろ過材を通って流れるときろ過材に発生する電荷は、隣接する、やはり少なくとも部分的に導電性のフィルタエレメント構成要素に達することができるので、ろ過材の破壊を招くことのある電圧の生成が効果的に回避される。この目的のために、一方では従来型のろ過材に導電性ワイヤ、繊維、又は織布を混入することが可能であるが、他方ではろ過材それ自身の材料が、該ろ過材の製造中に早くも導入された適切な添加材に起因して少なくとも部分的に導電性であるように作り上げられることが可能である。
【0013】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、フィルタエレメント構成要素の少なくとも一つは、少なくとも部分的な導電性を形成するために、カーボンナノチューブ及び/又は炭素繊維及び/又は鋼繊維を有する合成樹脂材料の形態の添加材から少なくともある領域を形成される。そのような添加材は、それが、フィルタエレメント又はより具体的にはフィルタ装置の製造に使用される合成樹脂に容易に組み合せられ得るという利点を有する。そのような添加材の添加に適した出発物質は、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリエーテルスルホン(PES)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PCとABSとの組合せ、PMMAとABSとの組合せ、又はコポリメリックポリアセタール(POM)を含んでいる。効果的であることが実証されている別の添加材は、炭素繊維も含んでいる。
【0014】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、少なくとも部分的に導電性の少なくとも一つのフィルタエレメント構成要素を形成する合成樹脂材料は、少なくとも部分的にレーザー光透過性である。
【0015】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、フィルタエレメント構成要素は、エンドキャップの様態でフィルタエレメントのカバーを少なくとも一つの端に形成するとともに、少なくとも部分的にレーザー光透過性の材料から作られていて、透過溶接工程中にレーザー光に曝される。エンドキャップは、一方では、フィルタエレメントの少なくとも一方の端にフィルタエレメントのカバーを形成するが、ろ過材のためのエンクロージャもその端面に形成する。
【0016】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、エンドキャップは少なくとも部分的に導電性である。フィルタエレメントのカバーとして、エンドキャップは、一部品として又は複数部品として、特に一又は二又は三部品として作られることができ、この実施形態におけるエンドキャップの部品の少なくとも一つの部品が、少なくとも部分的に導電性であるように作られているので、ろ過材から導出された電荷がフィルタエレメントの外側カバーまで達することができる。加えて、そのようなエンドキャップの少なくとも部分が、浄化されるべき流体中への導入又は浄化された流体からの取外しに役立つ接続機構を有することが企図され得る。好適な実施形態では、そのような接続機構は、少なくとも一つの封止手段受容空間も有する。特に、そのような受容空間は、Oリング用の凹部の形態で設けることができる。
【0017】
本発明によるフィルタエレメントの一実施形態では、フィルタエレメント構成要素の少なくとも一つが、少なくともある領域では合成樹脂材料から作られ、前記合成樹脂材料は、少なくとも部分的にレーザー光不透過性の材料を形成するためにガラス繊維の形態の添加材を有している。合成樹脂材料に少量だけ混合されたガラス繊維は、そのような材料を通るレーザー光の透過の減少とレーザー光の吸収とを引き起こすので、合成樹脂材料がそのように準備されたとき、レーザー光のエネルギーは好適に熱に変換される。
【0018】
レーザー光による透過溶接法によく適したレーザーは、例えば1064nmの波長のNd:YAGレーザー及び800nmから1000nmの範囲の波長の高出力ダイオードレーザーのような固体レーザーを含んでいる。
【0019】
本発によるフィルタ装置の一実施形態では、このフィルタ装置は、独創的なフィルタエレメントと、少なくとも部分的に導電性の少なくとも一つのエレメントレセプタクルとを具備している。前記エレメントレセプタクルは、フィルタエレメントの少なくとも一つのフィルタエレメント構成要素に流体密の様態で接続されることができ、またフィルタエレメントの少なくとも一つのフィルタ構成要素に導電性の様態で接続されることができる。フィルタ装置のエレメントレセプタクルとフィルタエレメントとの間の導電性接続に起因して、フィルタエレメントから導出されるべき電荷は、エレメントレセプタクルを経由して、及び従ってフィルタ装置から導出され得る。
【0020】
本発明は、図面に示される実施例を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】レーザー光を用いた透過溶接法を示す簡略化された模式図である。
【
図2】レーザー光を用いた透過溶接法が実行される方法を説明するさらなる簡略化された模式図である。
【
図3】本発明によるフィルタエレメントの一実施形態の縦断面図である。
【
図4】本発明によるフィルタエレメントのさらなる実施形態の部分断面図である。
【
図5】本発明によるフィルタエレメントのさらなる実施形態の部分断面図である。
【
図6】本発明によるフィルタエレメントのさらなる実施形態の部分断面図である。
【
図7】本発明によるフィルタエレメントのさらなる実施形態の部分断面図である。
【
図8】本発明によるフィルタエレメントのさらなる実施形態の部分断面図である。
【
図9】本発明によるフィルタ装置のエレメントレセプタクルの第1の実施形態を示す図である。
【
図10】本発明によるフィルタ装置のエレメントレセプタクルの第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、レーザー光による透過溶接工程中に、レーザー光源10のレーザー光12が、少なくとも部分的にレーザー光不透過性の構成要素2に衝突する前に、少なくとも部分的にレーザー光透過性の構成要素4を貫通していることを示している。構成要素2の表面におけるレーザー光12の吸収によって、検討している領域内の表面が溶け始めるように熱が前記構成要素の表面に生みだされて、構成要素4の
図1の描写での下側へも熱エネルギーが伝わるので、構成要素2及び構成要素4の溶融物が凝固したとき、二つの構成要素の所望の溶接継手が所定の接合圧力Fによって生み出される。
【0023】
少なくとも部分的にレーザー光不透過性の構成要素2は、例えば、溶接工程中に表面的に又は完全に溶融される板、円板、又はフィルムであり得る。
図1の描写では、構成要素2は板状に形成されるのに対して、
図2の描写では、フィルム状に形成された構成要素2は、二つの構成要素6及び4を共に接合するために透過溶接工程中に完全に溶融される。構成要素2、4、及び6が、少なくとも部分的に導電性であるように作られている限り、電荷が、構成要素4から構成要素2へ、及び/又は構成要素6へ、及び/又はその逆に運び去られる。
【0024】
レーザー光透過性であり同時に導電性の合成樹脂材料は、例えば、合成樹脂材料の基材中の特定の量のカーボンナノチューブ(CNT)及び/又は炭素繊維の形態の添加材が十分な導電性を生み出すことにおいて、及び前記材料が特定のレーザー波長範囲において透過性であることにおいて作り出すことができる。
【0025】
図3は、本発明のフィルタエレメント20の実施形態の縦断面図であり、前記フィルタエレメント20は、中心軸線22に対して基本的に回転対称であるように構築されており、また一つの構成要素としてのろ過材8及びさらなるフィルタエレメント構成要素2、4、14、16、及び18のような、個々の構成要素を具備している。結合できるフィルタエレメント構成要素を互いに接合するためのレーザー光12による透過溶接作業を実行するために、少なくとも一つの構成要素4が、少なくとも部分的にレーザー光12に透過性の材料から作り出されており、またバリヤ層の様態で形成された少なくともさらなる構成要素2が、少なくとも部分的にレーザー光12に不透過性の材料から作られている。この場合には、透過溶接中にレーザー光12に曝されるフィルタエレメントのいくつかの構成要素は少なくとも部分的に導電性である。例えば、
図3に示される実施形態では、フィルタエレメント20の構成要素4は、少なくとも部分的に導電性であるように作られている。バリヤ層2は、レーザー光の吸収に起因して発熱し、結果として、例えば構成要素4及びろ過材8及び支持管14のような隣接して境を接するさらなるフィルタエレメント構成要素に対する接合材として少なくとも部分的に働く。
図3の方向で見たときのフィルタエレメント20の下端は、さらなる構成要素16を有しており、前記構成要素16は光に不透過性であり、またこのさらなる構成要素はさらなるバリヤ層16の形態で、支持管14及びろ過材8と下側カバー18との間に配設されている。結果として、組み込まれるフィルタエレメント構成要素はこの領域においても共に接合され得る。
【0026】
本発明によるフィルタエレメント20の実施形態では、バリヤ層2及び/又は16は少なくとも部分的に導電性であり、その結果このバリヤ層は電荷を輸送するのに適している。
【0027】
図4及び5はそれぞれ、本発明による導電性フィルタエレメント20のさらなる実施形態の部分断面図である。このフィルタエレメントは、導電性が与えられるように、及び接合部がレーザー光を使った透過溶接法によって形成可能であるように構造的に構成されている。ここに描かれる実施形態では、合成樹脂材料が、必ずしも同時に導電性とレーザー光透過性である必要のない構成要素に用いられている。
【0028】
図4によると、導電性吸収バリヤ層2が別部片として、レーザー透過性エンドキャップとろ過材8及び支持管14との間に配置されている。エンドキャップ4は二部品として構築されていて、内側リング24を有しており、前記内側リング24は導電性合成樹脂材料から作られていて、電荷をエレメントレセプタクル42(
図10参照)の導電接続部片40(
図10参照)へ導出させる。内側リング24、バリヤ層2、支持管14、及びろ過材8は導電性合成樹脂材料から作られている。
図4の方向で見たときの下端キャップ26は、原価削減の利益のために非導電性合成樹脂材料から作られ得るが、レーザー透過性でなければならない。この場合、バリヤ層2はフィルムの様態で形成されている。
【0029】
図5の実施形態によれば、好ましくは射出成形された三部品Oリングキャップがレーザー光透過性構成要素4に用いられる。Oリングキャップは、二成分射出成形法において射出吹き付けされたか、又は別部材として挿入されたバリヤ層2を備えて構築されている。内側リング24は、Oリングキャップの第3の部品を形成する。内側リング24をOリングキャップ内に挿入した結果として、受容空間28がOリングのために生み出される。ろ過材8に生成された電荷は、ろ過材8から支持管14へ、内側リング24を介してエレメントレセプタクル42(
図10参照)の導電接続部片40へ導出される。従って、構成要素2、24、14、及び8は導電性合成樹脂材料から作られている。
図5の方向で見たときのOリングキャップの上側の構成要素4は、レーザー透過性合成樹脂材料から作られており、その結果レーザー光12は、レーザー光不透過性のフィルタエレメント構成要素2に達することができる。
【0030】
図6による実施形態では、内側リング24は、レーザー光透過性のOリングキャップの構成要素4の中に挿入されている。レーザー光不透過性の構成要素2がこの内側リング24に取り付けられている。溶接工程中に、レーザーは、レーザー光透過性の構成要素4を貫通して、内側リング24の部分としての、レーザー光不透過性の構成要素としてのバリヤ層を溶融させる。結果として生じた熱的エネルギーは、Oリングキャップの形態をしたレーザー光透過性の構成要素4の表面、支持管14の表面、及びろ過材8の表面を溶かす。溶融浴の凝固中に、構成要素間に溶接継手が形成される。構成要素のこの構成では、Oリングキャップはレーザー透過性であるように作られているのに対して、内側リング24はレーザー吸収性であるように作られている。このとき電荷はろ過材8から支持管14を越えて内側リング24に到達されるので、これらの構成要素は導電性合成樹脂材料から作られている。下端キャップ26はレーザー透過性であるように作られなければならないが、必ずしも導電性である必要はない。
【0031】
図7の更なる実施形態では、内側リング24が削除される、というのもこの場合、支持管14がレーザー光透過性の構成要素4の中に挿入されるからで、その結果Oリングのための受容空間28が形成される。レーザー光不透過性の構成要素が、バリヤ層の形態で支持管14上に射出吹き付けされている。ろ過材8及び支持管14は導電性材料から作られている。電荷は、支持管14からエレメントレセプタクル42(
図9、
図10参照)の導電接続部片40へ導出される。レーザー光透過性の構成要素4としてのOリングキャップ、及びろ過材8の反対側の端面に配設された下端キャップ26は、レーザー光透過性の材料から作られている。バリヤ層が、射出成形によって支持管14上に射出吹き付けされているので、別個の部品としてのバリヤ層をさらに挿入する必要はなく、その結果
図7の描写によるフィルタエレメント20の構成は特に経済的であることが明らかにされた。
【0032】
さらに、
図8による実施形態では、バリヤ層が
図7の場合のように支持管14上に射出吹き付けされており、その結果ここでも、レーザー光不透過性のバリヤ層として別個の層を挿入する必要がない。レーザービームは、レーザー光透過性の下端キャップ26を貫通してバリヤ層を溶かす。次いで、このバリヤ層が下端キャップ26を支持管14に及びろ過材8に接合する。電荷は、ろ過材8から支持管14へ転送される。ろ過材8及び支持管14は導電性合成樹脂材料から作られている。
【0033】
様々な実施形態に描かれた変更形であって、レーザー光透過性の構成要素4としてのOリングキャップを接続すること及び/又は下端キャップ26を接続することを対象とした変更形も組合せ可能である。このために、変更形は、外側支持管(図示せず)を備えたフィルタエレメント20に適用されることも可能である。任意選択的に変更形における支持管は、ろ過材8の取り付けを保証するために二部品として構築されてもよい。このために、軸方向で二部品として支持管を構築することが特に好都合である。費用効果の観点から、支持管上に直接に射出吹き付けされたバリヤ層を有する
図7の実施形態と
図8の実施形態との組合せが特に興味深い。
【0034】
図9及び10が、本発明によるフィルタ装置44のためのエレメントレセプタクル42を示しており、どの場合も、エレメントレセプタクルは、本発明によるフィルタエレメント20の構成要素に導電様態で接続され得る導電接続部片40を有している。
【0035】
図9による実施形態では、フィルタエレメント20のろ過材8が支持管14内に配設されており、Oリングキャップ4が受容空間28を有しており、前記受容空間28内にOリング30が、エレメントレセプタクル42の導電接続部片40の方向で外周面に挿入されている。結果として、Oリングの領域内で中空の接続部片の形態で形成されているOリングキャップ4が、導電接続部片40の対応する凹部と間で封止接触させられて、同時にOリングキャップ4からエレメントレセプタクル42の導電接続部片40への電荷の移送が行われ得る。
【0036】
図10による実施形態では、ろ過材8が、その内側に同軸に位置する支持管14上に装着されており、及び一方支持管14は、接続部片40に隣接するその端に、Oリング30のための受容空間28を有する。
図9による実施形態とは対照的に、エレメントレセプタクル42の接続部片40はここではOリングキャップ4に外側から取り付けられないが、Oリング30との封止接触の様態で支持管14の内壁に接する。