【課題を解決するための手段】
【0007】
一面において、本発明は以下:
i)スチレン及び2,3−ジブロモプロピルマレイミド反復単位を有するコポリマー;
ii)脂肪族的に結合した臭素を有する臭素化ポリエステル;
iii)環臭素化ノボラック樹脂のアリルエーテル;
iv)ノボラック樹脂の3−ブロモ−2−ヒドロキシルプロピルエーテル;
v)クレゾールノボラック樹脂の2,3−ジブロモプロピルエーテル;及び
vi)臭素化ROMPポリマー又はコポリマー
の1種又はそれ以上から選ばれた臭素化FR添加剤が混合された可燃性ポリマーを含んでなるポリマー組成物である。
【0008】
これらの臭素化FR添加剤は、全て、多くの場合にコストが低い又は手頃な、入手の容易な出発ポリマーから容易に製造される。これらの臭素化FR添加剤は、出発ポリマーから直接的な化学反応によって容易に製造される。これらのFR添加剤は、多くの場合、良好な熱安定性を有することが多く、従って、通常は押出発泡のようなポリマー溶融加工操作において加工できる。このFR添加剤は、適当な使用濃度で可燃性ポリマー、特にスチレンポリマー及びコポリマーにFR特性を与えるのに効果的である。
【0009】
難燃添加剤のi)型材料は、スチレン及び2,3−ジブロモプロピルマレイミド反復単位を有する有機ポリマーを含む。この型のポリマーは理想化された構造(idealized structure):
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、x及びyは各反復単位のモル分率を表す)
で表すことができる。前記構造において、各スチレン及び2,3−ジブロモプロピルマレイミド反復単位の一部又は全ては交互に存在することができ、また、各スチレン及び2,3−ジブロモプロピルマレイミド反復単位の一部又は全ては、同じ型の2つ又はそれ以上の連続単位のブロックを形成することができる。
【0012】
難燃添加剤のi)型材料は、出発スチレン−無水マレイン酸コポリマーから好都合に製造される。出発コポリマー中のスチレン対無水マレイン酸のモル比は95:5〜約40:60の範囲であることができるが、この範囲の上端(high end)の無水マレイン酸レベル(例えば無水マレイン酸30〜60モル%)が、最終製品中においてより高い臭素含量が得られるので好ましい。出発コポリマーとアリルアミンとの反応は、無水マレイン酸反復単位をN−アリルマレイミド反復単位に転化させる。次いで、アリル基の臭素化によって最終製品が得られる。
【0013】
難燃添加剤ii)は、脂肪族的に結合した臭素を有する臭素化ポリエステル、即ち臭素原子がポリエステル中の脂肪族炭素原子に直接結合した臭素化ポリエステルである。この場合、脂肪族炭素原子は直鎖、分岐鎖又は環状構造の一部であることができる。
【0014】
難燃添加剤ii)の一部の態様は、非芳香族炭素−炭素不飽和を含むポリエステルの臭素化によって製造できる。適当な種類の出発不飽和ポリエステルには、−A−B−構造(Aはジカルボン酸反復単位を表し、Bはジオール反復単位を表す)を有するものがある。臭素化前においては、A単位及び/又はB単位の一部又は全てが非芳香族炭素−炭素不飽和を含む。この型のポリエステルは、ジカルボン酸(又は対応する酸ハライド若しくは無水物)とジオールとの反応において、少なくともその一方が非芳香族炭素−炭素不飽和を有する場合に製造できる。非芳香族炭素−炭素不飽和を有するジカルボン酸及び対応する無水物の例には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、即ち
【0015】
【化2】
【0016】
などがある。これらの二酸若しくは無水物及び/又はそれらの各酸ハライドは、非芳香族炭素−炭素不飽和を有するA単位を有する出発ポリエステルの製造に使用できる。1,4−ジヒドロキシブタ−2−エンは非芳香族炭素−炭素不飽和を有するジオールの一例であり、対応する不飽和を有するB単位を有する出発コポリマーの製造に使用できる。
【0017】
難燃添加剤ii)を製造するための出発原料として有用な具体的な型の不飽和ポリエステルとしては、例えば以下のものが挙げられる:
【0018】
A.マレイン酸又はマレイン酸/フマル酸混合物と1種又はそれ以上の脂肪族ジオールとのポリエステル。脂肪族ジオールは、1,4−ジヒドロキシ−ブタ−2−エンのような、非芳香族炭素−炭素不飽和を有するものであってもよいし、或いはシクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのような、非芳香族炭素−炭素不飽和を有さないものであってもよい。ジオールの混合物、例えば非芳香族炭素−炭素不飽和を有する少なくとも1種のジオールと非芳香族炭素−炭素不飽和を有さない少なくとも1種のジオールを含む混合物も使用できる。この型のポリエステルの具体例としては、マレイン酸/シクロヘキサンジメタノールポリエステル及びマレイン酸/フマル酸/シクロヘキサンジメタノールポリエステルが挙げられる。
【0019】
B.マレイン酸又はマレイン酸/フマル酸混合物、少なくとも1種の追加二酸(又は対応する酸ハライド若しくは無水物)及び1種又はそれ以上の脂肪族ジオールのポリエステル。追加二酸は芳香族又は脂肪族であることができ、脂肪族である場合には、炭素−炭素不飽和を含んでいてもいなくてもよい。追加二酸の例としては、フタル酸又はテレフタル酸が挙げられる。脂肪族ジオールはポリエステル型Aに関して記載したものであることができる。この型のポリエステルの例はマレイン酸/テレフタル酸/シクロヘキサンジメタノールポリエステル又はマレイン酸/フマル酸/テレフタル酸/シクロヘキサンジメタノールポリエステルである。
【0020】
C.テトラヒドロフタル酸無水物と1種又はそれ以上の脂肪族ジオールとのポリエステル。脂肪族ジオールはポリエステル型Aに関して記載したものであることができる。この型のポリエステルの例はテトラヒドロフタル酸無水物/エチレングリコールポリエステルである。
【0021】
D.テトラヒドロフタル酸無水物、少なくとも1種の追加二酸(又は対応する酸ハライド若しくは無水物)及び1種又はそれ以上の脂肪族ジオールのポリエステル。追加二酸は芳香族又は脂肪族であることができ、脂肪族である場合には、炭素−炭素不飽和を含んでいてもいなくてもよい。追加二酸の例としては、フタル酸又はテレフタル酸が挙げられる。脂肪族ジオールは、ポリエステル型Aに関して記載したものであることができる。この型のポリエステルの例はテトラヒドロフタル酸無水物/テレフタル酸/エチレングリコールポリエステルである。
【0022】
E.1,4−ジヒドロキシ−ブタ−2−エンと1種又はそれ以上の二酸(又は対応する酸ハライド若しくは無水物)とのポリエステル。二酸は非芳香族炭素−炭素不飽和を含んでいてもいなくてもよく、各型又は両型の混合物を使用できる。テレフタル酸/1,4−ジヒドロキシ−ブタ−2−エンポリエステルはこの型の出発ポリエステルの例である。
【0023】
F.1,4−ジヒドロキシ−ブタ−2−エン及び少なくとも1種の追加ジオールと1種又はそれ以上の二酸(又は対応する酸ハライド若しくは無水物)とのポリエステル。追加ジオールは非芳香族炭素−炭素不飽和を含んでいてもいなくてもよい。二酸は非芳香族炭素−炭素不飽和を含んでいてもいなくてもよく、各型又は両型の混合物を使用できる。
【0024】
ii)型の難燃添加剤を製造するためには、次に、出発ポリエステル上の非芳香族炭素−炭素不飽和の位置の少なくとも一部を臭素化する。
【0025】
ii)型の難燃添加剤の別の製造方法は、最初に1種又はそれ以上の不飽和出発材料を臭素化し、次いで臭素化材料をポリエステルの製造原料として用いるものである。
【0026】
iii)型の難燃添加剤は環臭素化ノボラック樹脂のアリルエステルである。「ノボラック」樹脂とは、ホルムアルデヒドとフェノール化合物とのポリマーを意味する。ノボラック樹脂中のフェノール環の少なくとも一部は臭素置換されている(好ましくはオルト位で)。フェノール化合物は任意的に環上に1つ又は2つの置換基を含むことができる(臭素以外に)。好ましくは、フェノール化合物はこのような置換基を全く含まないか、パラ位に1つの置換基(特に低級アルキル、例えばメチル)を含む。iii)型の難燃添加剤は、理想化構造:
【0027】
【化3】
【0028】
で表されるものを含む。前記構造において、Br原子は、好ましくはオルト位(アリルエーテル基に関して)であり、nは重合度を表す。
【0029】
iii)型の難燃添加剤はノボラック樹脂から製造でき、ノボラック樹脂の多くは市販されている。臭素置換はフェノール環上に容易に導入される。水素化ナトリウムとの反応によってアリルエーテル基を導入してアルコキシ基を形成し、次に塩化アリル又は臭化アリルのようなハロゲン化アリルと反応させて、エーテルを生成させることができる。
【0030】
難燃添加剤iv)はノボラック樹脂の3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルエーテルである。これらはノボラック樹脂のグリシジルエーテルの臭素化によって容易に製造される。このような樹脂は、The Dow Chemical Companyから商品名D.E.N.(登録商標)エポキシ樹脂として商業的に容易に入手可能である。ノボラック樹脂のフェノール環は置換することができる(特に1種又はそれ以上のアルキル基、特にメチル基で)。このような樹脂のエポキシ基と臭素供給源との反応により、対応するブロモヒドリンが生成される。iv)型の難燃添加剤は、構造:
【0031】
【化4】
【0032】
[式中、Rはフェノール環上の任意的な置換基を表し、nは重合度を表す]
を有するものを含む。
【0033】
難燃添加剤v)はクレゾールノボラック樹脂の2,3−ジブロモプロピルエーテルである。これは、出発クレゾールノボラック樹脂を水素化ナトリウムと反応させて、対応するフェノキシドを形成し、次いで臭化アリルと反応させてアリルエーテルを形成し、次に臭素化反応させる操作を逐次的に行うことによって、出発クレゾールノボラック樹脂から製造できる。v)型の難燃添加剤は理想化構造:
【0034】
【化5】
【0035】
[式中、nは重合度を表し、芳香環上のメチル置換は2,3−ジブロモプロピルエーテル基に対して好ましくはオルト又はパラ位である]
を有するものを含む。
【0036】
難燃添加剤vi)は、環構造中に炭素−炭素不飽和を有する、ある種の非芳香族環状モノマーから開環メタセシス重合(ROMP)法において形成される臭素化ポリマー又はコポリマーである。vi)型の難燃添加剤を製造するための出発原料として有用なROMPポリマーの例としては、シクロペンテン、シクロオクテン、ノルボルネン、シクロヘキセニルノルボルネン、エキソ−ノルボルネンジカルボン酸無水物及びジシクロペンタジエンのホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。適当なコモノマーの例としては、シクロオクテンのような環状オレフィンが挙げられる。ROMPポリマー及びコポリマーは、ポリマー主鎖中に炭素−炭素二重結合を含み、容易に臭素化されて難燃添加剤を形成する。
【0037】
前述の種々の出発樹脂の臭素化による難燃添加剤の製造には、種々の臭素化法を使用できる。場合によっては、出発樹脂は、溶媒中で元素状臭素の供給源を臭素化剤として用いて、好都合な臭素化される。溶媒は、ポリマーと反応せず且つ臭素供給源又は臭素との遊離基反応に関与しないものである。適当な溶媒としては、例えば四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、臭化メチレン、ブロモクロロメタン(CH
2BrCl)及びn−ヘプタンが挙げられる。適当な臭素化条件はよく知られており、例えば、McCutcheon,Org.Synth.Vol.3,E.C.Horning,Ed.,John Wiley and Sons,Inc.London,1955, 526-528頁に記載されている。
【0038】
別の臭素化方法においては、出発樹脂は、臭素化剤として、第四アンモニウム三臭化物を用いて臭素化させる。適当な第四アンモニウム三臭化物の例としては、三臭化フェニルトリアルキルアンモニウム、三臭化ベンジルトリアルキルアンモニウム又は三臭化テトラアルキルアンモニウムが挙げられる。
【0039】
エポキシ基を含む出発樹脂は、臭素化剤として、臭化リチウム又は臭化水素を用いて臭素化させることができる。
【0040】
炭素−炭素不飽和及びエポキシ基を臭素化するための、当業界で知られた他の方法も有用である。
【0041】
i)型〜iv)型の前記難燃添加剤は、約500〜250,000又はそれ以上の数平均分子量を有することができ、約1000〜200,000、特に1500〜100,000の分子量が好ましい。本発明のための分子量測定はポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィーによって行う。難燃添加剤は、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%の臭素を含む。難燃添加剤は、より多い任意の量の臭素、例えば最大80重量%、最大70重量%又は最大55重量%の臭素を含むことができる。
【0042】
ほとんどの用途では、i)型〜iv)型の好ましい難燃添加剤は、少なくとも35℃、好ましくは少なくとも50℃のガラス転移温度(Tg)を有する。これより低いガラス転移温度を有する難燃添加剤も使用できるが、それらは液体又は粘着性固体である傾向があり、従って場合によっては、取扱及び可燃性ポリマーとの混合がより困難である。難燃添加剤は、溶融加工を容易にするために、200℃以下、好ましくは150℃以下のガラス転移温度を有する必要がある。
【0043】
20℃未満又は更には0℃未満のガラス転移温度を有する本発明の難燃添加剤が、懸濁重合法において、特にそれらが重合されるモノマー又はモノマー混合物に可溶である場合に、最も有用である。ガラス転移温度が低いこのような難燃添加剤は、液体又はペースト状固体である傾向がある。これらは懸濁重合法に組み入れて、難燃添加剤を含む発泡性ポリマービーズを製造することができ、次いでこれを用いてビーズ発泡体を製造できる。モノマー又はモノマー混合物中に可溶な、これよりTgが高い難燃添加剤も、懸濁重合法に使用できる。
【0044】
i)型〜iv)型の難燃性材料は、種々の可燃性ポリマーの難燃添加剤として、有用である。「可燃性(combustible)」は本明細書中では単に、ポリマーが燃焼され得ることを意味する。考えられる可燃性ポリマーとしては、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(エチレン−α−オレフィンコポリマーのようなエチレンのコポリマーを含む)、ポリプロピレンなど;ポリカーボネート及びポリカーボネートのブレンド、例えばポリカーボネートとポリエステル、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂又はポリスチレンとのブレンド;ポリアミド;ポリエステル;エポキシ樹脂;ポリウレタン;及びビニル芳香族モノマーのポリマー;並びに難燃添加剤を溶解又は分散させることができる、他の易燃性ポリマーが挙げられる。
【0045】
ビニル芳香族モノマーのポリマー及びコポリマーは、可燃性ポリマーとして、特に重要である。「ビニル芳香族」モノマーは、芳香環の炭素原子に直接結合した重合可能なエチレン性不飽和基を有する芳香族化合物である。ビニル芳香族モノマーは、スチレン、ジビニルベンゼン及びビニルナフタレンのような非置換材料並びにエチレン性不飽和基上で置換された(例えばα−メチルスチレン)且つ/又は環置換された化合物を含む。環置換ビニル芳香族モノマーは、芳香環の炭素原子に直接結合したハロゲン、アルコキシル、ニトロ又は非置換若しくは置換アルキル基を有するものを含む。このような環置換ビニル芳香族モノマーの例としては、2−又は4−ブロモスチレン、2−又は4−クロロスチレン、2−又は4−メトキシスチレン、2−又は4−ニトロスチレン、2−又は4−メチルスチレン及び2,4−ジメチルスチレンが挙げられる。好ましいビニル芳香族モノマーはスチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン及びそれらの混合物である。
【0046】
特に好ましい可燃性ポリマーはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー及びスチレン−アクリロニトリル−ブタジエン(ABS)樹脂である。ポリスチレンが特に好ましい可燃性ポリマーである。
【0047】
考えられる別の可燃性ポリマーはブタジエンと少なくとも1種のビニル芳香族モノマーのランダム、ブロック又はグラフトコポリマーである。
【0048】
これらの型の任意の発泡ポリマーに関心がある。発泡可燃性ポリマーは適当には約1〜約30ポンド/立方フィート(pcf)(16〜480kg/m
3)、特に約1.2〜約10pcf(19.2〜160kg/m
3)、最も好ましくは約1.2〜約4pcf(19.2〜64kg/m
3)の発泡体密度を有する。
【0049】
押出発泡体の製造においては、前記試験によって測定した場合に、5%重量減少温度が少なくとも180℃、好ましくは少なくとも200℃である前述のi)型〜vi)型の任意の難燃添加剤が好ましい。これは、そのような難燃添加剤は熱安定性が比較的良好なため、発泡体を製造するための発泡押出法において加工が可能となるためである。5%重量減少温度は重量熱分析によって以下のようにして測定する:約10mgの難燃添加剤を、TA InstrumentsモデルHi−Res TGA 2950又は同等の装置を用いて、気体窒素流下で、室温(名目上25℃)から600℃の範囲にわたって10℃/分の加熱速度で、分析する。サンプルによって失われる質量を、加熱工程の間中監視し、サンプルが最初の重量の5%を失った温度を5%重量減少温度(5%WLT)とする。この方法では、サンプルが、最初のサンプル重量に基づき、5重量%の累積減量損失を受けた温度が得られる。溶融加工しようとする可燃性ポリマーと共に用いる場合(可燃性ポリマーとブレンドするために又はブレンドを発泡体、押出品、成形品などのような物品に加工するために)には、難燃添加剤は、それが溶融加工操作時に遭遇する最大温度と少なくとも同程度の5%WLTを示すのが好ましい。
【0050】
前述のi)型〜vi)型の難燃添加剤を、1つ又はそれ以上の標準燃焼試験において可燃性ポリマーの性能を改善するのに充分な量で可燃性ポリマー中に組み入れる。適当な量は、典型的には、ポリマー及び難燃添加剤の重量に基づき、少なくとも1重量%又は少なくとも2重量%又は少なくとも3重量%である。難燃添加剤の量は、最大25重量%又は最大15重量%又は最大10重量%であることができる。
【0051】
難燃添加剤の使用量は、別法として(又は追加的に)、可燃性ポリマー/難燃添加剤混合物の臭素含量に換算して表すことができる。このような混合物中の、この臭素含量は適当には少なくとも0.5重量%、更に適当には少なくとも1.0重量%、更に適当には少なくとも1.5重量%であって、20重量%以下、更に適当には10重量%以下、更に適当には5重量%以下である。
【0052】
いくつかの試験のうち任意の1つ又はそれ以上を用いて、FR性能の改善を示すことができる。適当な標準化試験としては、ASTM D2863による限界酸素指数(limiting oxygen index)(LOI)測定;並びに種々の消火時間試験又は火炎伝播試験、例えばFP−7として知られるもの(以下に詳述)、ドイツ、フランス、スイス及びヨーロッパでそれぞれ使用されるDIN 4102 part 1、NF−P 92/501/4/5、SIA 183又はEN ISO 11925−2試験が挙げられる。
【0053】
押出ポリマー発泡体の限界酸素指数が、FR添加剤を含まないが他の点では同様な発泡体に比べて、少なくとも0.5単位、好ましくは少なくとも1.0単位、より好ましくは少なくとも2単位増大される場合に、LOI法において改善が立証される。LOI試験におけるFR性能は最高8単位又はそれ以上増大できる。本発明の難燃添加剤を含む押出スチレンポリマー又はコポリマー発泡体は少なくとも21%、好ましくは少なくとも22%、より好ましくは少なくとも24%のLOIを示すことができる。
【0054】
別の燃焼試験は、A.R.Ingram(J.Appl.Poly.Sci.1964,8,2485-2495)によって記載された方法に従って測定される、FP−7として知られる消火時間測定である。この試験は、ポリマーサンプルを指定条件下で点火火炎に暴露した後に点火源を除去した場合に、火災が消火するのに必要な時間を測定する。この試験における性能の改善は、火炎が消火するのに必要な時間の短縮によって示される。この試験下で消火に必要な時間は、ポリマーサンプルがi)型〜iv)型のいずれかの難燃添加剤を含む場合には、ポリマーサンプルがFR添加剤を含まない場合と比較して、好ましくは少なくとも1秒、より好ましくは少なくとも3秒、更に好ましくは少なくとも5秒短縮される。FP−7試験における消火までの時間は、望ましくは15秒未満、好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満である。
【0055】
DIN 4102 part 1、NF−P 92/501/4/5、SIA 183及びEN ISO 11925−2試験のような他の消火時間又は火炎伝播試験においては、「合格(pass)」評価によって、或いは個々の試験法において指定されたようにして、FR添加剤を含まない同様なポリマーサンプルと比較した火炎高さの減少、火炎消火時間の短縮及び/又は燃焼液滴の形成の減少によって、改善が示される。
【0056】
非多孔性(non-cellular)ポリマーは、このような種々の試験において発泡ポリマーとは異なった動作をすることがある。同様に、個々の難燃添加剤は、非多孔性ポリマー系において、多孔性ポリマーの場合よりもメリットが大きいこともあるし、逆のこともある。一つには多孔性ポリマーの表面積の方が大きいので、非多孔性ポリマーよりも多孔性ポリマーの方が困難な課題を生じることが多い。
【0057】
本発明に係るポリマーブレンドは、他の難燃添加剤(flame retardant additive)、難燃助剤(flame retardant adjuvant)、熱安定剤、紫外線安定剤、成核剤、酸化防止剤、発泡剤、酸捕捉剤及び着色剤のような他の添加剤を含むことができる。
【0058】
本発明に係る難燃添加剤を含むポリマーブレンドを溶融加工又は溶液加工することによって多種の製品を形成できる。発泡(多孔性)製品は、耐火性が問題となる種々の建築及び自動車用途に使用されるので、重要である。発泡ポリマー製品は、10pcf又はそれ以下、より典型的には1.5〜5pcf、特に1.5〜3pcfの嵩密度を有することができる。前述のようなビニル芳香族ポリマー、ブタジエンポリマー並びにビニル芳香族ポリマー及び/又はブタジエンポリマーのコポリマーが特に重要である。発泡ポリマーは、例えば建設用、家庭用及び自動車用などの断熱材及び/又は緩衝材として使用できる。本発明の発泡ポリマーはまた、カーペット用の接着緩衝物又は下敷きとして使用することもできる。非多孔性ポリマーも本発明に従って製造できる。