【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、純粋なロミデプシン(特に、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンのような夾雑物を含まないロミデプシン)を再現可能に生成しないという認識に基づいている。この認識に基づくと、本発明は、これら夾雑する副生成物のレベルを減少させる条件下で、ロミデプシンを再現可能に調製するためのシステムを提供する。約6.5未満の、より好ましくは、約6.0未満の見かけのpHで、ロミデプシンを生成、精製および/または貯蔵することによって、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンの形成が妨げられることが見いだされた。ロミデプシンの精製プロセスにおけるこの改善は、公知のプロセスによって提供されるものより、高い収量のロミデプシンおよび/または高い純度のロミデプシンを可能にする。このような改善は、ヒトにおける使用のための製薬グレードのロミデプシンを調製するのに特に有用である。
【0010】
ロミデプシンは、代表的には、天然の生成物を生成する微生物(例えば、Chromobacterium violaceum)の培養物からロミデプシンを精製することによって生成される。本発明は、その後に、ダイマー化、オリゴマー化、またはポリマー化して、望ましくない夾雑物を形成し得る、減少したロミデプシンの形成を排除もしくは低下させるために、上記精製工程のうちの少なくともいくつかの間に、低い見かけのpHを維持することが必要であることを実証する。
【0011】
上記精製工程のうちの1つ以上は、6.5未満の見かけのpH、またはさらには6.0未満の見かけのpHにおいて行われる。特定の実施形態において、1つ以上の精製工程は、4.0〜6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。特定の実施形態において、上記精製工程のうちのすべてが、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。望ましくない夾雑物の形成を妨げるために、ロミデプシンを含む溶液の見かけのpHは、約7.0を上回るか、またはより好ましくは約6.0を上回る見かけのpHに達することを許容しない。すべての生成プロセスの見かけのpHは、好ましくは、モニターされ、かつその後に、必要であれば、約6.0未満の見かけのpHに調節される。特定の実施形態において、それは、約4.0〜約6.0の見かけのpH範囲内で維持される。水溶液を使用して上記プロセスもしくは工程の最後近くに、精製工程における見かけのpHの制御は、望ましくない夾雑物の形成を減少もしくは排除することにおいて特に有用であることが見いだされた。任意の酸もしくは緩衝剤が、pHを制御するために使用され得る。特定の実施形態において、有機酸(例えば、酢酸もしくはギ酸)は、上記精製工程のうちの1つ以上においてpHを制御するために使用される。特定の実施形態において、無機酸(例えば、リン酸もしくは塩酸)が使用される。
【0012】
ロミデプシンを精製するための任意のプロセスは、発酵からであろうと、半合成であろうと、全合成であろうと、見かけのpHをモニターし、必要であれば、見かけのpHを低下させることによって、望ましくない副生成物の形成を妨げるように、本発明に基づいて改変され得る。
【0013】
一局面において、本発明は、Chromobacterium violaceumの培養物からロミデプシンを調製するためのプロセスを提供する。その発酵ブロスは、上記培養物中の微生物を不活性化もしくは死滅させるために、酸性化される。上記酸性化された発酵ブロスは、予備的に、バッチまたはカラムクロマトグラフィーによって精製される。その後、複数のカラムクロマトグラフィー工程が、所望のレベルの純度を達成するために使用され得る。特定の実施形態において、上記第1のクロマトグラフィーは、Sepabeads SP850(非イオン性吸着樹脂)を利用する。上記ロミデプシンは、さらなるカラムクロマトグラフィー工程によってさらに精製され得る。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、その後、Diaion HP20SS樹脂を使用するカラムクロマトグラフィー、続いて、Diaion HP20樹脂を使用するカラムクロマトグラフィー、そして最後に、アルミナ上でのカラムクロマトグラフィーによって、精製される。特定の実施形態において、上記カラムクロマトグラフィーは、約4〜約6の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。特定の具体的な実施形態において、上記第2のカラムクロマトグラフィー工程は、低下した見かけのpH(例えば、約4〜6の見かけのpH)において行われる。上記ロミデプシンは、必要に応じて、結晶化によってさらに精製される。1つ以上の結晶化工程が、行われ得る。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、まず、メタノールを使用して結晶化され、次いで、85% アセトン水溶液を使用して結晶化される。その得られたロミデプシンは、次いで、必要に応じて、濾過され、洗浄され、乾燥される。特定の実施形態において、上記結晶化工程または任意のその後の工程は、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ、低下した見かけのpHにおいて行われる。最後の工程は、低下した見かけのpHにおいて行われることが特に重要である。なぜなら、その後のいかなる精製工程も、望ましくない夾雑物を除去するために利用しないからである。発酵および/もしくは精製プロセスにおいて使用される任意の設備(例えば、管系、ポンプ、フィルター、乾燥機など)は、水もしくは酸性溶液(例えば、酢酸)で洗浄して、上記設備上の任意のアルカリ性残渣も除去もしくは中和する。
【0014】
さらに、ロミデプシンの薬学的投与形態の調製(賦形剤、溶媒、共溶媒、および/もしくはロミデプシンの薬理学的活性を増強するために使用される他の薬剤と混ぜ合わせる工程を包含する)は、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンの形成を最小にするために、低下した見かけのpH(例えば、約4.0未満の見かけのpH)において行われ得る。
【0015】
別の局面において、本発明は、夾雑するダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンを実質的に含まない、ロミデプシンの組成物を提供する。本発明によって提供されるロミデプシンは、98%より多くがモノマー性であるか、99%より多くがモノマー性であるか、99.95%より多くがモノマー性であるか、または99.9%より多くがモノマー性である。いくつかの実施形態において、上記ロミデプシンは、すべての夾雑物に関して、好ましくは、98%より高い純度であるか、99%より高い純度であるか、99.95%より高い純度であるか、または99.9%より高い純度である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、1.0%未満、0.5%未満、0.2%未満、または0.1%未満のすべての他の未知の物質を含む。ロミデプシンの組成物は、好ましくは、検出可能な、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化した物質を含まない。上記ロミデプシンの純度は、代表的には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外線分光法、粉末x線回折(XRPD)分析、ガスクロマトグラフィー(GC)、比旋光度、またはNMR分光法によって決定される。特定の実施形態において、上記純度は、ロミデプシンのクロロホルム溶液の比旋光度を測定することによって決定される。本発明はまた、約6.0未満、好ましくは、約4.0〜約6.0の間の上記調製物の見かけのpHを維持する、ロミデプシンの緩衝化調製物を提供する。このような調製物は、代表的には、長期化した貯蔵寿命を有する。
【0016】
(定義)
特定の官能基および化学用語の定義は、以下でより詳細に記載される。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表(CASバージョン,Handbook of Chemistry and Physics,第75版,表紙の裏側)に従って同定され、そして特定の官能基は、一般に、本明細書に記載されるように定義される。さらに、有機化学の一般原理、ならびに特定の官能部分および反応性は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999(その全体は、本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0017】
本発明の特定の化合物は、特定の幾何形態(geometric form)または立体異性形態において存在し得る。本発明は、すべてのこのような化合物(cis−異性体およびtrans−異性体、E−異性体およびZ−異性体、R−鏡像異性体およびS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、(−)−異性体および(+)−異性体、それらのラセミ混合物、ならびにそれらの他の混合物を含む)を、本発明の範囲内に入るものとして企図する。さらなる不斉炭素原子は、置換基(例えば、脂肪族(例えば、アルキル)またはヘテロ脂肪族基)中に存在し得る。すべてのこのような異性体、およびこれらの混合物は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0018】
任意の種々の異性体の比を含む異性体混合物は、本発明に従って利用され得る。例えば、2種のみの異性体が合わされる場合、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、もしくは100:0の異性体比を含む混合物は、本発明によってすべて企図される。当業者は、類似の比が、より複雑な異性体混合物について企図されることを容易に認識する。
【0019】
上記化合物は、本明細書に記載されるように、任意の数の置換基もしくは官能部分で置換され得ることが認識される。一般に、用語「必要に応じて」が先行していようといまいと、用語「置換された」、および本発明の式に含まれる置換基は、所定の構造中の水素ラジカルが、特定の置換基のラジカルで置換されていることをいう。特定の実施形態において、所定の構造中の1つの水素ラジカルのみが、特定の置換基のラジカルで置換される。他の実施形態において、所定の構造中の1個、2個、または3個の水素ラジカルは、特定の置換基の同じもしくは異なるラジカルで置換される。任意の所定の構造において、1個より多くの位置が、特定の基から選択される1個より多い置換基で置換され得る場合、上記置換基は、あらゆる位置で同じであってもよいし、異なっていてもよい。本明細書で使用される場合、用語「置換された」とは、すべての許容可能な置換基もしくは有機化合物を含むことが企図される。広い局面において、上記許容可能な置換基としては、有機化合物の、非環式および環式、分枝状および非分枝状、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の置換基が挙げられる。本発明の目的のために、窒素のようなヘテロ原子は、水素置換基および/または上記ヘテロ原子の結合価を満たす、本明細書に記載される有機化合物の任意の許容可能な置換基を有し得る。さらに、本発明は、有機化合物の上記許容可能な置換基によって、いかなる様式でも制限されることを意図しない。本発明によって想定される置換基と変数との組み合わせは、好ましくは、上記処置において有用な、例えば、増殖性疾患(例えば、癌)の処置において有用な安定な化合物の形成を生じるものである。用語「安定な」とは、本明細書で使用される場合、好ましくは、製造を可能にするに十分な安定性を有し、かつ検出されるのに十分な期間にわたって、好ましくは、本明細書に記載される目的に有用であるに十分な期間にわたって、上記化合物の完全性を維持する化合物に言及する。
【0020】
用語「脂肪族」とは、本明細書で使用される場合、飽和および不飽和両方の、直鎖状(すなわち、分枝していない)、分枝状、非環式、環式、もしくは多環式の脂肪族炭化水素を含み、これらは、必要に応じて、1個以上の官能基で置換される。当業者によって認識されるように、「脂肪族」とは、以下を含むがそれらに限定されないことが本明細書で意図される:アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニルの部分。従って、本明細書で使用される場合、用語「アルキル」とは、直鎖状、分枝状、および環式のアルキル基を含む。類似の慣習は、他の包括的な用語(例えば、「アルケニル」、「アルキニル」など)に適用する。さらに、本明細書で使用される場合、用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、置換された基および置換されていない基の両方を包含する。特定の実施形態において、本明細書で使用される場合、「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有するそれらのアルキル基(環状、非環状、置換された、置換されていない、分枝状、または非分枝状)を示すために使用される。
【0021】
特定の実施形態において、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、本明細書中において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜4個の炭素原子を含む。従って、例示的な脂肪族基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、−CH
2−シクロプロピル、ビニル、アルキル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、−CH
2−シクロブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、シクロペンチル、−CH
2−シクロペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、シクロヘキシル、−CH
2−シクロヘキシル部分などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、繰り返すと、1個以上の置換基を含んでいてもよい。アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアルキニル基としては、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の化合物の上記の脂肪族(および他の)部分の置換基のいくつかの例としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO
2;−CN;−CF
3;−CH
2CF
3;−CHCl
2;−CH
2OH;−CH
2CH
2OH;−CH
2NH
2;−CH
2SO
2CH
3;−C(O)R
x;−CO
2(R
x);−CON(R
x)
2;−OC(O)R
x;−OCO
2R
x;−OCON(R
x)
2;−N(R
x)
2;−S(O)
2R
x;−NR
x(CO)R
xが挙げられるが、これらに限定されない。ここでR
xの各出現は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルが挙げられるが、これらに限定されず、上記および本明細書中の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキル置換基のうちのいずれかは、置換されていても置換されていなくてもよいし、分枝状であっても分枝状でなくてもよいし、環状であっても非環状であってもよいし、そして上記および本明細書中のアリールまたはヘテロアリール置換基のうちのいずれかは、置換されていてもよいし、置換されていてもよい。一般に適用可能である置換基のさらなる例は、本明細書に記載される実施例に示される具体的実施形態によって例示される。
【0023】
一般に、用語「アリール」および「ヘテロアリール」とは、本明細書で使用される場合、好ましくは、3〜14個の炭素原子を有する、安定な単環式または多環式の、複素環式の、多環式の、および複素多環式(polyheterocyclic)の不飽和部分であって、それらの各々は、置換されていても置換されていなくてもよいものをいう。置換基としては、上記で言及した置換基(すなわち、脂肪族部分、または本明細書において定義される他の部分に関して記載される置換基)のうちのいずれかが挙げられるが、これらに限定されず、安定な化合物の形成を生じる。本発明の特定の実施形態において、「アリール」とは、1個もしくは2個の芳香族環(フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられるが、これらに限定されない)を有する単環式もしくは二環式の炭素環式環系をいう。本発明の特定の実施形態において、用語「ヘテロアリール」とは、本明細書で使用される場合、5〜10個の環原子を有する環式の芳香族ラジカルであって、上記環原子のうちの1つの環原子は、S、O、およびNから選択され;0個、1個、または2個の環原子が、S、O、およびNから独立して選択されるさらなるヘテロ原子であり;その残りの環原子が炭素であり、上記ラジカルは、上記環原子のうちのいずれかを介して上記分子の残りに結合されるもの(例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなど)をいう。
【0024】
アリールおよびヘテロアリール基が置換されていなくてもよいし、置換されていなくてもよく、ここで置換は、その上の水素原子の1個、2個、3個以上は、以下の部分のうちのいずれか1個以上での独立した置換を含むことが認識される。上記部分としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;−F;−Cl;−Br;−I;−OH;−NO
2;−CN;−CF
3;−CH
2CF
3;−CHCl
2;−CH
2OH;−CH
2CH
2OH;−CH
2NH
2;−CH
2SO
2CH
3;−C(O)R
x;−CO
2(R
x);−CON(R
x)
2;−OC(O)R
x;−OCO
2R
x;−OCON(R
x)
2;−N(R
x)
2;−S(O)
2R
x;−NR
x(CO)R
x,が挙げられるが、これらに限定されない。ここでR
xの各出現は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、もしくはヘテロアリールアルキルが挙げられるが、これらに限定されず、上記および本明細書に記載される脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、もしくはヘテロアリールアルキル置換基のうちのいずれかは、置換されていても、置換されていなくてもよいし、分枝状であっても分枝していなくてもよいし、環式であっても非環式であってもよいし、上記および本明細書に記載されるアリールもしくはヘテロアリール置換基のうちのいずれかは、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。一般に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書に記載される実施例に示される具体的な実施形態によって例示される。
【0025】
用語「ヘテロ脂肪族」とは、本明細書で使用される場合、例えば、炭素原子の代わりに、1個以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素原子を含む脂肪族部分をいう。ヘテロ脂肪族部分は、分枝状であっても、非分枝状であっても、環式であっても、非環式であってもよく、飽和および不飽和の複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジニルなど)を包含する。特定の実施形態において、ヘテロ脂肪族部分は、その上の水素原子のうちの1個以上を、1個以上の以下の部分で独立して置換することによって、置換されており、上記1個以上の部分としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;−F;−Cl;−Br;−I;−OH;−NO
2;−CN;−CF
3;−CH
2CF
3;−CHCl
2;−CH
2OH;−CH
2CH
2OH;−CH
2NH
2;−CH
2SO
2CH
3;−C(O)R
x;−CO
2(R
x);−CON(R
x)
2;−OC(O)R
x;−OCO
2R
x;−OCON(R
x)
2;−N(R
x)
2;−S(O)
2R
x;−NR
x(CO)R
xが挙げられるが、これらに限定されず、ここでR
xの各出現は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルが挙げられるが、これらに限定されず、上記および本明細書に記載される脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキル置換基のうちのいずれかは、置換されていても置換されていなくてもよく、分枝状であっても非分枝状であってもよく、環式であっても非環式であってもよく、そして上記または本明細書に記載されるアリールもしくはヘテロアリール置換基のうちのいずれかは、置換されていても置換されていなくてもよい。一般に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書に記載される実施例に示される具体的実施形態によって例示される。
【0026】
用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子をいう。
【0027】
「独立して選択される」:用語「独立して選択される」とは、R基が同一であり得るかまたは異なり得ることを示すために、本明細書で使用される。
【0028】
本明細書を通じて使用される他の用語の定義は、以下を包含する:
「酸」:用語「酸」は、本明細書で使用される場合、無機酸および有機酸をいう。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、およびリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。任意の酸が、上記緩衝剤またはロミデプシンの溶液またはロミデプシンの精製において使用されるもののpHを調節するために使用され得る。特定の実施形態において、酢酸が使用される。特定の実施形態において、塩酸が使用される。特定の実施形態において、クエン酸が使用される。特定の実施形態において、硫酸が使用される。
【0029】
「デプシペプチド」:用語「デプシペプチド」とは、本明細書で使用される場合、エステル結合およびアミド結合の両方を含むポリペプチドをいう。天然に存在するデプシペプチドは、通常は環状である。いくつかのデプシペプチドは、強力な抗菌活性を有することが示された。デプシペプチドの例としては、アクチノマイシン、エニアチン、バリノマイシン、およびロミデプシンが挙げられる。
【0030】
「ペプチド」または「タンパク質」:本発明によれば、「ペプチド」または「タンパク質」とは、ペプチド結合によっていっしょに連結される少なくとも3個のアミノ酸のつながりを含む。用語「タンパク質」および「ペプチド」は、交換可能に使用され得る。ペプチドは、好ましくは、天然のアミノ酸のみを含むが、天然でないアミノ酸(すなわち、天然には存在しないが、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る化合物)および/または当該分野で公知のアミノ酸アナログが、代わりに使用され得る。また、ペプチド中のアミノ酸のうちの1個以上は、例えば、化学的実体(例えば、炭水化物基、ホスフェート基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、結合、官能化、もしくは他の改変のためのリンカーなど)の付加によって改変され得る。特定の実施形態において、上記ペプチドの改変は、より安定なペプチド(例えば、インビボでのより長い半減期)をもたらす。これら改変としては、上記ペプチドの環化、D−アミノ酸の組み込みなどが挙げられ得る。上記改変はいずれも、上記ペプチドの望ましい生物学的活性を実質的に妨害するべきでない。特定の実施形態において、ペプチドとは、デプシペプチドをいう。
【0031】
「ロミデプシン」:用語「ロミデプシン」とは、以下の化学構造:
【0032】
【化2】
の天然の生成物をいう。ロミデプシンは、強力なHDACインヒビターであり、そしてまた、名称FK228、FR901228、NSC630176、またはデプシペプチドによって当該分野で公知である。ロミデプシンの同定および調製は、米国特許第4,977,138号(これは、本明細書に参考として援用される)に記載される。その分子式は、C
24H
36N
4O
6S
2である;そしてその分子量は、540.71である。ロミデプシンは、化学名(1S,4S,10S,16E,21R)−7−[(2Z)−エチリデン]−4,21−ジイソプロピル−2−オキサ−12,13−ジチア−5,8,20,23−テトラアザビシクロ[8.7.6]トリコス−16−エン−3,6,9,19,22−ペンタノンである。ロミデプシンは、CAS番号128517−07−7を割り当てられた。結晶形態において、ロミデプシンは、代表的には、白色から淡黄白色の結晶または結晶様粉末である。用語「ロミデプシン」とは、この化合物およびその任意の薬学的に受容可能な塩形態を包含する。特定の実施形態において、上記用語「ロミデプシン」はまた、そのプロドラッグ、エステル、保護された形態、および誘導体を含み得る。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、
ロミデプシン;および
薬学的に受容可能な賦形剤
を含み、ここで該ロミデプシンのうちの少なくとも98%は、モノマー性である、薬学的組成物。
(項目2)
上記ロミデプシンのうちの少なくとも99%は、モノマー性である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目3)
上記ロミデプシンのうちの少なくとも99.5%は、モノマー性である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目4)
上記ロミデプシンのうちの少なくとも99.95%は、モノマー性である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目5)
上記組成物は、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンを実質的に含まない、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目6)
上記組成物は、1.0%以下の総不純物および0.2%以下の個々の不純物を含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目7)
上記組成物は、新生物を処置するために有効な量のロミデプシンを含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目8)
上記新生物は癌である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目9)
上記新生物は、血液性悪性疾患である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目10)
上記新生物は、白血病またはリンパ腫である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目11)
上記新生物は、ホジキンリンパ腫である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目12)
上記新生物は、非ホジキンリンパ腫である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目13)
上記新生物は、多発性骨髄腫である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目14)
上記新生物は、皮膚性T細胞リンパ腫である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目15)
上記新生物は、末梢性T細胞リンパ腫である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目16)
上記新生物は、慢性リンパ性白血病(CLL)である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目17)
上記新生物は、慢性骨髄性白血病(CML)である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目18)
上記新生物は、急性骨髄性白血病(AML)である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目19)
上記新生物は、骨髄異形成症候群である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目20)
上記新生物は膵臓癌である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目21)
上記新生物は前立腺癌である、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目22)
上記組成物は、1〜56mgのロミデプシンを含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目23)
経口投与のために処方されている、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目24)
非経口投与のために処方されている、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目25)
静脈内投与のために処方されている、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目26)
別の細胞傷害性薬剤をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目27)
上記細胞傷害性薬剤は、ゲムシタビンまたはデシタビンである、項目26に記載の薬学的組成物。
(項目28)
上記細胞傷害性薬剤は、フラボピリドールである、項目26に記載の薬学的組成物。
(項目29)
抗炎症剤をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目30)
鎮痛剤をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目31)
制吐剤をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目32)
解熱剤をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目33)
電解質補充物をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目34)
カリウム補充物をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目35)
マグネシウム補充物をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目36)
不整脈治療剤をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目37)
血小板ブースターをさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目38)
エリスロポエチンをさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目39)
抗高血糖剤(anti−hyperglycemic agent)をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目40)
ステロイド剤をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目41)
上記ステロイド剤はデキサメタゾンである、項目40に記載の薬学的組成物。
(項目42)
上記組成物は、ロミデプシン以外には、別のHDACインヒビターを含まない、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目43)
ロミデプシンの薬学的組成物を調製するための方法であって、該方法は、少なくとも98%の純度のロミデプシンと薬学的に受容可能な賦形剤とを組み合わせる工程を包含する、方法。
(項目44)
項目1〜42のいずれか1項に記載の、少なくとも1種の薬学的組成物および該組成物を投与するための指示書を含む、キット。