特許第5775133号(P5775133)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775133
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】分与ノズルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/14 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   B67D1/14 A
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-229963(P2013-229963)
(22)【出願日】2013年11月6日
(62)【分割の表示】特願2010-518254(P2010-518254)の分割
【原出願日】2008年6月26日
(65)【公開番号】特開2014-65538(P2014-65538A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】11/782,833
(32)【優先日】2007年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】ジーゼル,ローレンス,ビー.
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−537192(JP,A)
【文献】 特表2007−513838(JP,A)
【文献】 特開2006−16048(JP,A)
【文献】 特開昭62−271891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1−3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘味料ストリームおよび希釈剤ストリームを混合する分与ノズルアセンブリであって、
甘味料経路と、
希釈剤経路と、
前記甘味料経路と前記希釈剤経路との間の迂回経路であって、前記迂回経路において、前記希釈剤ストリームの一部量が前記甘味料ストリームと混合されて希釈された甘味料ストリームが形成され、これにより、前記希釈剤ストリームおよび前記希釈された甘味料ストリームが前記アセンブリから出て行く、迂回経路と、
を含む、分与ノズルアセンブリ。
【請求項2】
本体をさらに含み、前記本体は、その内部を通る前記甘味料経路および前記希釈剤経路を含む、請求項1に記載の分与ノズルアセンブリ。
【請求項3】
前記希釈剤経路は環状チャンバを含む、請求項2に記載の分与ノズルアセンブリ。
【請求項4】
流れダイレクタをさらに含み、前記流れダイレクタは、前記希釈剤ストリームおよび前記希釈された甘味料ストリームが前記アセンブリを通じて出て行くように、複数の希釈剤ストリームアパチャおよび複数の希釈された甘味料ストリームアパチャを含む、請求項1に記載の分与ノズルアセンブリ。
【請求項5】
前記流れダイレクタは混合用標的を含む、請求項4に記載の分与ノズルアセンブリ。
【請求項6】
甘味料ストリームおよび希釈剤ストリームを混合する方法であって、
前記甘味料ストリームを流すステップと、
前記希釈剤ストリームを流すステップと、
前記希釈剤ストリームの一部量を前記甘味料ストリームへと迂回させて、希釈された甘味料ストリームを形成するステップと、
前記希釈剤ストリームおよび前記希釈された甘味料ストリームを混合するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記甘味料ストリームはブドウ糖果糖液糖ストリームを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
希釈前の前記甘味料ストリーム中の前記ブドウ糖果糖液糖ストリームの濃度は、約65パーセント(%)を超える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記希釈剤ストリームの前記一部量により、前記甘味料ストリーム中の前記ブドウ糖果糖液糖ストリームの濃度は5パーセント(%)〜20パーセント(%)減少される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記希釈された甘味料ストリームは希釈されたブドウ糖果糖液糖ストリームを含み、前記希釈された甘味料ストリーム中の前記希釈されたブドウ糖果糖液糖ストリームの濃度は約65パーセント(%)未満である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、主に飲料ディスペンサ用のノズルに関し、より詳細には、マルチフレーバーまたは多流体型の分与ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
現行のポストミックス型飲料ディスペンサノズルは、概して、シロップ、濃縮物、甘味料、ボーナス香味料、他の種類の香味料、および他の成分のストリームを水または他の種類の希釈剤と混合するが、その際、前記シロップストリームが前記ノズルの中央部から流れ落ちるときに、前記水ストリームが前記シロップストリームの外周を流れるようにして混合している。これらのストリームがカップ内に落ちる際に混ざるように、前記シロップストリームが前記水ストリームと共に下方に方向付けられる。
【0003】
飲料分与システムについて、総じて、できるだけ多くの種類およびフレーバーの飲料をできるだけ小さな専有面積内において提供したいという要望がある。好適には、このような飲料分与システムは、包装済みの瓶または缶の状態で市場において利用可能なような多くの飲料を提供できるとよい。
【0004】
この多様性に対応するために、分与ノズルそのものが、異なる粘度、流量、混合比、温度および他の変数を有する流体に対応できるようにする必要がある。現行のノズルの場合、単一のノズル設計で複数の飲料に対応できず、かつ/または、当該ノズルが特定の種類の流体フローに合わせて設計されている場合がある。異なる流れ特性に対応するための1つの公知の手段が、共有されている特許文献1に記載されている。この手段は、特定の流れ特性に合わせたサイズおよび形状にされた、交換可能な流体モジュールを使用している。さらに多様な流体ストリームが、共有されている米国特許出願整理番号第11/276,551号において使用され得る。同特許出願は、複数の第3の流れアセンブリの使用について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第10/233,867号(米国公開番号U.S.2004/0040983A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、さらに多くの異なる種類の流体が内部を通過できるように対応することが可能な分与ノズルが必要とされている。前記分与ノズルは好適には、良好な混合性および洗浄容易性を提供しつつ、この多様性に対応可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本出願は、複数のミクロ成分を流体ストリーム中に分与する分与ノズルアセンブリについて記載する。前記分与ノズルアセンブリは、ミクロ成分混合チャンバと、前記ミクロ成分が前記ミクロ成分混合チャンバ内で混合されるように前記ミクロ成分混合チャンバと連通する複数のミクロ成分ラインと、混合したミクロ成分を前記流体ストリーム中に分与するための混合ミクロ成分出口とを含み得る。
【0008】
前記分与ノズルアセンブリは、複数のミクロ成分混合チャンバをさらに含み得る。前記ミクロ成分混合チャンバは、インジェクタリング内に配置され得る。前記インジェクタリングは、複数の取り外し可能な部品を含み得る。前記インジェクタリングは、前記ミクロ成分混合チャンバと連通する複数のインジェクタポートを含み得る。前記インジェクタポートは、複数の管アセンブリを介して前記ミクロ成分ラインと連通し得る。前記ミクロ成分混合チャンバは、前記ミクロ成分ラインおよび混合領域と連通する上側チャンネルを含み得る。
【0009】
本出願は、複数の飲料成分を混合する方法をさらに記載する。前記方法は、複数の飲料ベース成分を混合して混合ベースストリームを形成するステップと、希釈剤ストリームおよび甘味料ストリームを混合して希釈された甘味料ストリームを形成するステップと、前記混合ベースストリームおよび前記希釈された甘味料ストリームを混合するステップとを含み得る。前記方法は、さらなる希釈剤ストリームを前記希釈された甘味料ストリームと混合するステップをさらに含み得る。
【0010】
本出願は、甘味料ストリームおよび希釈剤ストリームを混合する分与ノズルアセンブリをさらに記載する。前記分与ノズルアセンブリは、甘味料経路と、希釈剤経路と、前記甘味料経路と前記希釈剤経路との間の迂回経路であって、前記迂回経路において、前記希釈剤ストリームの一部量が前記甘味料ストリームと混合されて希釈された甘味料ストリームが形成され、これにより、前記希釈剤ストリームおよび前記希釈された甘味料ストリームが前記アセンブリから出て行く、迂回経路とを含み得る。
【0011】
前記分与ノズルアセンブリは、本体をさらに含み得る。前記本体は、その内部を通る前記甘味料経路および前記希釈剤経路を含み得る。前記希釈剤経路は、環状チャンバを含み得る。前記分与ノズルアセンブリは、流れダイレクタをさらに含み得る。前記流れダイレクタは、前記希釈剤ストリームおよび前記希釈された甘味料ストリームが前記アセンブリを通じて出て行くように、複数の希釈剤ストリームアパチャおよび複数の希釈された甘味料ストリームアパチャを含み得る。前記流れダイレクタは、混合用標的を含み得る。
【0012】
本出願は、甘味料ストリームおよび希釈剤ストリームを混合する方法をさらに記載する。前記方法は、前記甘味料ストリームを流すステップと、前記希釈剤ストリームを流すステップと、前記希釈剤ストリームの一部量を前記甘味料ストリームへと迂回させて、希釈された甘味料ストリームを形成するステップと、前記希釈剤ストリームおよび前記希釈された甘味料ストリームを混合するステップとを含み得る。
【0013】
前記甘味料ストリームは、ブドウ糖果糖液糖ストリームを含み得る。前記ブドウ糖果糖液糖ストリームの濃度は約65パーセント(%)を超え得る。前記希釈剤ストリームの前記一部量により、前記甘味料ストリームは約5パーセント(%)〜20パーセント(%)以上だけ希釈される。前記希釈された甘味料ストリームは、希釈されたブドウ糖果糖液糖ストリームを含み得る。前記希釈されたブドウ糖果糖液糖ストリームの濃度は約65パーセント(%)未満であり得る。
【0014】
本出願は、複数のミクロ成分ストリーム、マクロ成分ストリームおよび希釈剤ストリームから飲料を形成する分与ノズルアセンブリをさらに記載する。前記分与ノズルアセンブリは、前記マクロ成分ストリームおよび前記希釈剤ストリームのためのノズル先端アセンブリを含み得る。前記ノズル先端アセンブリは、前記マクロ成分ストリームおよび前記希釈剤ストリームが標的において下方に流れるように前記標的を含み得る。前記分与ノズルアセンブリはまた、前記ノズル先端アセンブリの周囲に配置されたインジェクタリングアセンブリを含み得る。前記インジェクタリングアセンブリは、内部に複数の空洞を含み得、前記複数の空洞において、前記複数のミクロ成分ストリームのうち2つ以上が混合されて混合ストリームが形成され、かつ、前記混合ストリームが前記標的に向かって方向付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本明細書で記載されるような分与ノズルアセンブリの側面平面図である。
図2図1の分与ノズルアセンブリの上面平面図である。
図3図1の分与ノズルアセンブリの底部平面図である。
図4】ノズル先端アセンブリが図1の分与ノズルアセンブリと共に用いられる様子を示す斜視図である。
図5図4のノズル先端アセンブリの上面平面図である。
図6図4のノズル先端アセンブリの底部平面図である。
図7A図4のノズル先端アセンブリの側面断面図である。
図7B図4のノズル先端アセンブリのさらなる側面断面図である。
図8図4のノズル先端アセンブリの分解図である。
図9】上側チャンバおよび図4のノズル先端アセンブリの標的の斜視図である。
図10】インジェクタプレートアセンブリの分解図である。
図11図10のインジェクタリングアセンブリのトップインジェクタプレートの斜視図である。
図12図11のトップインジェクタプレートの底部斜視図である。
図13図10のインジェクタリングアセンブリの下側インジェクタプレートの上部斜視図である。
図14図13の下側インジェクタプレートの下部斜視図である。
図15図13の下側インジェクタプレートの側面断面図である。
図16図10のインジェクタリングアセンブリのインジェクタリングガスケットの上面平面図である。
図17図10のインジェクタリングアセンブリの下側インジェクタリングカラーの斜視図である。
図18】クワッドチューブアセンブリの斜視図である。
図19図17のクワッドチューブアセンブリの底部斜視図である。
図20図17のクワッドチューブアセンブリのクワッドチューブアダプタエラストマーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図面を参照する。図面中、いくつかの図に亘って、類似の参照符号は類似の要素を指す。図1図3は、本明細書で記載されるような分与ノズルアセンブリ100の一例を示す。分与ノズルアセンブリ100は、多くの異なる種類の飲料または他の種類の流体を分与する飲料ディスペンサの一部として使用され得る。詳細には、分与ノズルアセンブリ100は、希釈剤、マクロ成分、ミクロ成分および他の種類の流体と共に使用され得る。希釈剤としては一般的には、淡水(無発泡水または無炭酸水)、炭酸水および他の流体が含まれる。
【0017】
一般的に説明すると、前記マクロ成分の再構成比は、原液濃度(希釈無し)から約6〜1の範囲(しかし、一般的には、約10〜1未満の範囲)であり得る。前記マクロ成分は、シュガーシロップ、HFCS(「ブドウ糖果糖液糖」)、濃縮抽出物、ピューレおよび類似の種類の成分を含み得る。他の成分としては、乳製品、大豆、米濃縮物がある。同様に、マクロ成分ベースの製品を挙げると、甘味料および香味料、酸および他の一般的成分がある。同様に、マクロ成分ベースの製品を挙げると、甘味料および香味料、酸および他の一般的成分がある。砂糖、HFCSまたは他のマクロ成分ベース製品は一般的には、ディスペンサから遠隔位置にある従来のバッグインボックス容器内に保管され得る。マクロ成分の粘度は、約1〜約10,000センチポアズであり得、一般的には100センチポアズを越え得る。
【0018】
ミクロ成分の再構成比は、約10:1以上であり得る。詳細には、多くのミクロ成分の再構成比は、約20:1〜300:1以上であり得る。ミクロ成分の粘度は典型的には約1〜約6センチポアズなどであるが、この範囲から異なってもよい。ミクロ成分の例を挙げると、天然または人工香味料、香味添加物、天然または人工着色料、人工甘味料(高甘度など)、消泡剤、非栄養成分、酸味を制御するための添加物(例えば、クエン酸またはクエン酸カリウム)、機能性添加物(例えば、ビタミン、ミネラル、ハーブ抽出物、nutricutical(栄養補助食品)、および市販(などの)医薬品(例えば、偽エフェドリン、アセトアミノフェン)、および類似の種類の材料がある。多様な種類のアルコールが、マクロ成分またはミクロ成分のいずれかとして用いられ得る。ミクロ成分は、液状、ガス状または粉状(および/または多様な媒体(水、有機溶媒および油を含む)中のその組み合わせ(可溶性成分および懸濁成分を含む))であり得る。
【0019】
分与ノズルアセンブリ100は、ノズル先端アセンブリ110を含み得る。ノズル先端アセンブリ110の一例を図4図9中に示す。ノズル先端アセンブリ110は、本体120を含み得る。本体120は、おおむね円形形状であり得、かつ、内部を延びる複数の導管(この場合、第1の導管130および第2の導管140)を有し得る。本体120は、下側中央アパチャ150も有し得る。中央アパチャ150はおおむね円形形状であり得る。
【0020】
本体120は、第1の導管130および中央アパチャ150と連通する第1のポート160を含み得る。第1の導管130および第1のポート160は、マクロ成分ライン165(例えば、HFCS用のもの)と共に使用され得る。同様に、本体120は、本体120の底部を包囲する環状水チャンバ170を含み得、かつ、水チャンネル175を介して第2の導管140と連通する。また、環状チャンバ170は、中央アパチャ150内に延びる1つ以上の迂回チャンネル180を含み得る。迂回チャンネル180により、少量の流体を環状チャンバ170から中央アパチャ150およびHFCSストリーム内へと迂回させることが可能になる。第2の導管140は、本体120の上方に配置された第2のポート190を介して環状チャンバ170と連通し得る。第2の導管140および第2のポート190は、希釈剤ライン195(例えば、水または他の希釈剤に使用されるもの)と共に使用され得る。
【0021】
図7Aおよび図7Bに示すように、第1段階混合ハウジング200およびチェック弁210は、本体120の中央アパチャ150内に配置され得る。チェック弁210により、HFCSの液だれが回避され、これにより、1つの飲料から次の飲料へのキャリーオーバー(特に、HFCS飲料からダイエット飲料へのキャリーオーバー)が回避される。さらに、チェック弁210により、チェック弁210の下流にある要素を洗浄のために取り外すことが可能となるため、総じて分与ノズル100の洗浄が容易になる。迂回チャンネル180はまた、第1段階ミキサーハウジング200を通じて延び得る。一対のノズル金具220が、第1のポート160および第2のポート190内において配置され得る。
【0022】
ノズル先端アセンブリ110はまた、流れダイレクタ230を含み得る。流れダイレクタ230の一例を図9中に示す。流れダイレクタ230は、上側チャンバ240を含み得る。上側チャンバ240は、チャンバ240の内側壁部255を包囲する隆起シェルフ250を含み得る。上側シェルフ250は、チャンバ240の底部壁部270から延びる。複数のシェルフアパチャ280が、シェルフ280を通じて延びてチャンバ240の底部から延在し得る。同様に、複数のフロアアパチャ290が、底部壁部270に沿って延び得、シェルフアパチャ280と接続する。この実施形態において、シェルフアパチャ280の約半数のフロアアパチャ290のみが存在し得る。しかし、任意の数のアパチャ280および290が使用され得る。
【0023】
流れダイレクタ230は、標的300をさらに含み得る。標的300は、上側チャンバ240の下側に配置され得る。標的300は、複数の垂直方向に延びるフィン310を含み得る。これらのフィン310は、底部からみたときにおおむね星型形状を形成するように延びる。これらのフィン310は、複数のU字またはV字型形状のチャンネル320を形成し得る。これらのチャンネル320は、流体流れがその中を貫通するようにシェルフアパチャ280前記フロアアパチャ290と位置合わせし得る。
【0024】
ノズル先端アセンブリ110は、下側リング330をさらに含み得る。下側リング330は、上側チャンバ240の底部を包囲し得、かつ、その内部を通るストリームを標的300に向かって偏向させるように、部分的にシェルフアパチャ280の下側に配置され得る。
【0025】
分与ノズルアセンブリ100はまた、インジェクタリングアセンブリ400を含み得る。インジェクタリングアセンブリ400は、ノズル先端アセンブリ110の周囲に配置され得る。インジェクタリングアセンブリ400は、多数の異なる流体を分与し得る。ノズル先端アセンブリ110は、インジェクタリング400の中央アパチャ410を通じて延び得る。ここでは、他の位置も用いられ得る。
【0026】
図10図17は、インジェクタリングアセンブリ400の一例を示す。図11および図12は、トップインジェクタプレート420を示す。トップインジェクタプレート420は、おおむね円形形状であり得る。トップインジェクタプレート420は、その上面440上に配置された複数のインジェクタポート430を含み得る。この例において44個のインジェクタポート430が図示されているが、任意の数のインジェクタポート430を用いてよい。これらのインジェクタポート430は、以下により詳細に説明するように、複数の異なるミクロ成分と共に使用され得る。上面440はまた、やはり以下により詳細に説明するような、その上に配置された複数の突起部450を含む。11個の突起部450が図示されているが、任意の数を用いてよい。この例において、4個のインジェクタポート430毎に1個の突起部が設けられ得るが、他の構成も用いてよい。
【0027】
インジェクタポート430は、トップインジェクタプレート420を通じてその底部側460へと延びる。底部側460もおおむね円形形状であり、かつ、以下により詳細に説明するようにして用いられる複数の外側ネジ山470を含み得る。
【0028】
図13図14に示すように、下側インジェクタプレート480は、トップインジェクタプレート420と組み合わせ得る。下側インジェクタプレート480も、おおむね円形形状であり得る。下側インジェクタプレート480は、その上面500上に複数の分与空洞490を有し得る。これらの分与空洞490の各々またはそのうちいくつかは、各空洞490がトップインジェクタプレート420のインジェクタポート430のうちの2つ以上と組み合わせ得るように、延長され得る。これらの空洞490は、インジェクタポート430のうち所望の群からの流体が確実に組み合わされるように、構成され得る。これらの空洞490のうちのいくつかを、単一の流体および単一のインジェクタポート490とともに使用してもよい。同様に、単一の種類の流体が、複数のポート490を使用し得る。以下により詳細に説明するように、飲料の種類によってはより大きな空洞490が使用され、添加剤または他の種類の流体に対してより小さな空洞490が使用され得る。下側注入プレート420の構成は、所望の飲料に応じて変更され得る。交換用の下側インジェクタプレート420が容易に挿入され得る。
【0029】
図14はまた、キー485を含み得る下側インジェクタプレート480を示す。キー485は、前記トップインジェクタプレートなどの部分を形成し得る類似の構造と組み合わせ得る。キー485を使用することにより、対応するプレート420および480が組み立て時に適切に位置合わせされることが確実になる。
【0030】
図15に示すように、分与空洞490の各々またはそのうちいくつかは、上側チャンネル510と、下側混合領域520と、出口ポート530とを含み得る。インジェクタポート490からの流体は、上側チャンネル510を介して空洞490内に入り、その後、下側混合領域520において混合される。その後、前記混合された流体は、出口ポート530を介して空洞490から出て行く。30個の出口ポート530が図示されているが、任意の数を用いてよい。これらの出口ポート530は、下側注入プレート480の底部側540上に配置され得る。
【0031】
図16に示すように、トップインジェクタプレート320と、下側インジェクタプレート480との間にガスケット550が配置され得る。ガスケット550は、エラストマー材料で構成され得る。ガスケット550は、別個の要素であってもよいし、あるいは、トップインジェクタプレート320または下側インジェクタプレート480のいずれかと共に一体成型してもよい。ガスケット550は、複数の分与空洞アパチャ560を含み得る。これらの分与空洞アパチャ560は、下側インジェクタプレート480の分与空洞490と形状が実質的に類似しており、分与空洞490とアライメントし得る。
【0032】
インジェクタリングアセンブリ400はまた、図17に示すような下側インジェクタリングカラー580を含み得る。下側インジェクタカラー580は、その上に複数の下側インジェクタリングカラー用ネジ山590を含む。これらの下側インジェクタリングカラー用ネジ山590は、完成状態のインジェクタリングアセンブリ500を形成するように、トップインジェクタプレートネジ山470および下側インジェクタプレートネジ山550と噛み合う。インジェクタリングアセンブリ500も、同様に洗浄、交換などのためにネジを外して取り外すことができる。
【0033】
分与ノズルアセンブリ100は、複数のクワッドチューブアセンブリ600をさらに含み得る。クワッドチューブアセンブリ600の一例を図18図20中に示す。その名が示す通り、各クワッドチューブアセンブリ600は、4個の成分管610をインジェクタリングアセンブリ400の4個のインジェクタポート430と組み合わされるように組み合わせ手段を提供し得る。管610の個々の接続および/または他のグループ分け(例えば、1本の管、3本の管、5本の管)も、ここで用いられ得る。各クワッドチューブアセンブリ610は、4個のアダプタボディポート630を内部に備えたクワッドチューブアダプタボディ620を含み得る。クワッドチューブアダプタ620は、クワッドチューブリテーナ640によって包囲され得る。前記接続手段は、クワッドチューブアダプタエラストマー650によって提供され得る。クワッドチューブエラストマー650は、図19に示すように一体品として成型され得、その後、半分に切断され得る。クワッドチューブエラストマー640の半分はインジェクタポート430のためのコネクタ660を含み、他方の半分は成分管610のための上側コネクタ670を含む。ここには、他の材料も使用され得る。
【0034】
上述したように、分与ノズルアセンブリ100は、希釈剤、マクロ成分、ミクロ成分および他の材料と共に使用され得る。ノズル先端アセンブリ110の第1のポート160は、HFCSライン165と連通し得る。あるいは、シュガーシロップまたは他の種類のマクロ成分を用いてもよい。同様に、ノズル先端アセンブリ110の第2のポート190は、希釈剤ライン195と連通し得る。上記のように、希釈剤は淡水または炭酸水であり得る。淡水ラインおよび炭酸水ラインは、分与ノズルアセンブリ100の上流において合流し得る。各インジェクタポート430は、クワッドチューブアダプタ620を介して、成分管610のうちの1つと連通し得る。上述したように、各成分管610は、ミクロ成分源または他の種類の材料源と連通し得る。
【0035】
ミクロ成分は、飲料濃縮物(例えば、お茶類、清涼飲料、スポーツ飲料、フルーツ飲料および同様のもの)と、香味料(例えば、サクランボ、レモン)と、他の成分(例えば、消泡添加剤)とを含み得る。インジェクタリング400上の成分管610は好適には、より濃色のミクロ成分が分与ノズルアセンブリ100の前方に配置され、一方で実質的に透明な成分および添加剤が分与ノズルアセンブリ100の後方および側方に配置され得るように、配置構成され得る。より淡色の種類を後方に配置することにより、一般的に、多様な流体ストリームが分与ノズルアセンブリ100内を通じて消費者のカップ内に流れ落ちる際に、好ましくない色の流体ストリームが消費者の目に触れることが無くなる。
【0036】
分与ノズルアセンブリ100を通じて流れる種類の多くは、いくつかの成分の組み合わせであり得る。例えば、清涼飲料は、第1の成分および第2の成分を有し得る。これらの成分は、例えば、酸性成分および非酸性成分であり得る。このようなものの一例が、共有されている米国特許出願第11/276,553号(名称、「Methods and Apparatuses for Making Compositions Comprising an Acid and an Acid Degradable Component and/or Compositions a Plurality of Selectable Components」)中に記載されている。
【0037】
劣化を遅らせるために、これらの酸性成分および非酸性成分は一般的には、分与ノズルアセンブリ100の上流において混合すべきではない。そのため、これらの酸性および非酸性の香味料成分は、インジェクタリングアセンブリ400に到達するまで、分離され得る。これらの2つの成分は、インジェクタポート430から上側チャンネル510を介して分与空洞490内へと流れ込み、混合領域520において混合され、出口ポート530から出て行き得る。その後、前記混合ストリームは、標的300周囲において水および甘味料と混合され得る。前記ストリームはおおむね空気混合されるため、次の飲料中のキャリーオーバーはおおむね制限される。また、これら2つのストリームの使用により、出口ポート530が詰まる可能性も限定され、また、各インジェクタポート430に対して1つの出口ポート530のみを用いているため、色または香りのキャリーオーバーの可能性もやはり低減する。
【0038】
使用時において、ベース飲料の成分が、上述したようにインジェクタリングアセンブリ400内を流れる。同様に、他のインジェクタポート430も、添加剤(例えば、香味料、消泡剤、および他の種類のミクロ成分)を付加するように、起動され得る。前記ミクロ成分が流れている間、水または他の希釈剤ならびに甘味料または他のマクロ成分は、ノズル先端アセンブリ110を通じて流れ得る。例えば、HFCSは、チェック弁210を通じて第1のポート160および下側中央アパチャ150内を流れ、水は一般的には、第2の導管190内を通じて環状チャンバ170内へと流れる。
【0039】
第1のポート160内に入るHFCSストリームの濃度は一般的には約65パーセント(%)より高い。このような濃度以上にすることにより、一般的には、供給の非汚染が確保される。(防腐剤または無菌ローディングが用いられる場合、前記濃度はより低く、約50パーセント(%)でよい)。しかし、良好な混合を得るためには、少量の水ストリームを環状チャンバ170から迂回チャンネル180を介して下側中央アパチャ150およびその内部のHFCSストリームに向かって迂回させる。この迂回により、HFCSストリームは約5パーセント(%)以上(ここに示されるように約20パーセント(%)程度)だけ若干希釈され、その結果、HFCSストリームの濃度は約65パーセント(%)未満となる。その後、前記希釈されたHFCSストリームがフロアアパチャ290を介してシェルフアパチャ280内へと出て行く間、水ストリームは、シェルフアパチャ280を介してノズル先端アセンブリ110から出て行く。その後、前記水ストリームおよび前記希釈されたHFCSストリームは、標的300を下方に流れ落ちる間、前記ミクロ成分と混合される。
【0040】
前記希釈されたHFCSストリームを使用することにより、濃度65パーセント(%)未満のHFCSに露出される領域を消毒することができるため、消毒作業が容易になる。前記事前希釈により、高ブリックスHFCSを用いた場合も、良好な混合成果および良好な炭酸化も得られる。同様に、分与後にHFCSが後続飲料中に洗い流される可能性が最小になるため、キャリーオーバーも最小になる。
【0041】
よって、分与ノズルアセンブリ100は、異なりかつ変化する任意の数の飲料を小さな専有面積内で提供し得る。分与ノズルアセンブリ100は、キャリーオーバーを限定しつつ、良好な混合を提供する。分与ノズルアセンブリ100および特にノズル先端アセンブリ110は、容易に洗浄される。
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