(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775145
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】飲料において有用なエマルジョン
(51)【国際特許分類】
A23L 1/035 20060101AFI20150820BHJP
B01J 13/00 20060101ALI20150820BHJP
B01F 17/56 20060101ALI20150820BHJP
B01F 17/42 20060101ALI20150820BHJP
A23L 2/70 20060101ALN20150820BHJP
A23L 2/38 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
A23L1/035
B01J13/00 A
B01F17/56
B01F17/42
!A23L2/00 K
!A23L2/38 C
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-501275(P2013-501275)
(86)(22)【出願日】2011年2月25日
(65)【公表番号】特表2013-526847(P2013-526847A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011026265
(87)【国際公開番号】WO2011119290
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年2月6日
(31)【優先権主張番号】12/748,013
(32)【優先日】2010年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100098486
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 憲一
(72)【発明者】
【氏名】アイリーン トラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン リ
【審査官】
松田 芳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−320447(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/067734(WO,A1)
【文献】
特開2008−154577(JP,A)
【文献】
特開2006−271279(JP,A)
【文献】
特開平09−168369(JP,A)
【文献】
特開平04−051853(JP,A)
【文献】
特開2008−280256(JP,A)
【文献】
特表2010−535498(JP,A)
【文献】
特開平05−009111(JP,A)
【文献】
特表2009−523061(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0317532(US,A1)
【文献】
特表2010−502733(JP,A)
【文献】
特開2008−280257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 1/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.水含有連続相と;
b.油含有分散相と;
c.少なくとも1種のキラヤ固体抽出物およびポリソルベートである低分子量界面活性剤と
を含む水中油型エマルジョンであって、該分散相の体積分率が60%〜67%であり、該エマルジョンが0.2ミクロン未満の平均粒径を有する、水中油型エマルジョン。
【請求項2】
前記分散相の体積分率が62%〜65%である、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
前記ポリソルベートがポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween60)である、請求項1又は2に記載のエマルジョン。
【請求項4】
前記エマルジョンの平均粒径が0.15ミクロン未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項5】
前記エマルジョン粒子の少なくとも90%が0.2ミクロン以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項6】
前記エマルジョン粒子の少なくとも90%が0.15ミクロン以下である、請求項5に記載のエマルジョン。
【請求項7】
前記平均粒径が少なくとも3カ月間0.2ミクロン未満にとどまる安定性を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項8】
前記平均粒径が少なくとも6カ月間0.2ミクロン未満にとどまる安定性を有する、請求項7に記載のエマルジョン。
【請求項9】
前記平均粒径が少なくとも12カ月間0.2ミクロン未満にとどまる安定性を有する、請求項7に記載のエマルジョン。
【請求項10】
比重調整剤を含まないエマルジョンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項11】
水中油型エマルジョンの製造方法であって、
a.水、油および少なくとも1種のキラヤ固体抽出物およびポリソルベートである低分子量(LMW)界面活性剤を混合して、60%〜67%の分散相の体積分率を得るステップと;
b.17〜65.5 MPaの圧力で、10パス未満で均質化するステップと
を含み、その結果として0.2ミクロン未満の平均粒径を有する該水中油型エマルジョンを得る、方法。
【請求項12】
前記分散相の体積分率が62%〜65%である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリソルベートがポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween60)である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記エマルジョンの平均粒径が0.1〜0.2ミクロンである、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
エマルジョン粒子の少なくとも90%が0.2ミクロン以下である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記エマルジョン粒子の少なくとも90%が0.15ミクロン以下である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年3月26日出願の米国特許出願第12/748,013号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、少なくとも1種の低分子量界面活性剤を含み0.2ミクロン未満の平均粒径を有し60%〜67%の分散相体積分率を有する、飲料において有用なエマルジョン、そのエマルジョンの製造方法、およびそのエマルジョンを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
キラヤ(quillaja)は、チリやペルーを原産とする常緑樹であるシャボンノキ(soap bark trees)、Quillaja Saponaria Molinaの内皮から抽出された界面活性剤である。サポニンを含み、多くの場合石けんの代用品としておよび農業用スプレー補助剤(adjuvant)として使用される。キラヤは同様に、医薬品、食品、パーソナルケア製品、および消火泡中でも使用される。
【0004】
今日の市場では、飲料エマルジョンのかなりの部分において比重調整剤が使用されている。比重調整剤は、典型的にエマルジョンのコストの約半分を構成し、規制限度があり、天然飲料には使用できず、かつ飲料加工の複雑さおよび時間を増大させるという点において、望ましくないものである。しかしながら、比重調整剤を使用しないと、エマルジョンおよび結果として得られる飲料は、安定化させるのが非常に困難である。小さい粒径は、非比重調整エマルジョンにとって最も重要でかつ達成が困難な要因の1つである。小さい粒径は、数多くのエマルジョンにとって重要であり、透明な飲料およびアルコール含有飲料にとっては特に有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
安定性が優れ60%〜67%の分散相体積分率を有するエマルジョンが、少なくとも1種の低分子量界面活性剤を用いて調製され得ることが見出された。このようなエマルジョンは、高い油負荷および0.2ミクロン未満の小さい平均粒径を有する。さらに、このようなエマルジョンは、比重調整剤無しで生産され得てそして飲料中に使用され得る。
【0006】
本明細書中で使用する「分散相」とは、分散された、または不連続の相を意味するように意図され、かつ油相およびLMW(低分子量)界面活性剤を含むように意図されている。
【0007】
本明細書中で使用される「非比重調整」とは、本質的に比重調整剤を一切含まないことを意味するように意図されている。比重調整剤は、当該技術分野において周知であり、非限定的に、臭素化植物油、ダマールガム(damar gum)、酢酸スクロースイソブチレート(SAIB)および他のスクロースエステル、木材樹脂のグリセロールエステル(エステルガム)、コロフォニー(colophony)、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ガムエレミ(gum elemi)、およびガムロジンのグリセロールエステルを含む。
【0008】
本明細書中で使用される「キラヤ固体抽出物」とは、乳化特性を提供する表面活性サポニンを含むキラヤの固体部分を意味するように意図されている。キラヤ固体抽出物は、固体部分と水を含む液体キラヤ抽出物を意味するようには意図されていない。
【0009】
低分子量界面活性剤は、9超のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)および10,000ダルトン未満の平均分子量を有する界面活性剤を含むように意図されている。
【0010】
本明細書中で使用されるポリソルベートとは、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノ脂肪酸エステルまたはTweens、即ち以下のものとして市販されている乳化剤の一部類を意味するように意図されている:
Tween20=ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート;
Tween40=ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート;
Tween60=ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート;および
Tween80=ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート。
【0011】
ポリオキシエチレン部分に後続する数字(20)は、分子内に見られるオキシエチレン‐(CH
2CH
2O)‐基の総数を意味する。Tween部分に後続する数字は、分子のポリオキシエチレンソルビタン部分と会合した脂肪酸のタイプに関係する。
【0012】
本明細書中で使用される水中油型エマルジョンは、油が分散相にあり、水(水性)が連続相であるエマルジョンを意味するように意図されている。
【0013】
別段の明示的記載のないかぎり、全ての比率、百分率および分率は、重量/重量ベースであり、全ての温度は摂氏温度で表わされている。
【0014】
別段の明示的記載のないかぎり、全ての圧力は、実施例のセクションで規定する通り、APVホモジナイザー上で測定されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】5倍(5×)オレンジ油を48.9重量%含むエマルジョンの粒径分布を表わす。正方形(黒塗り□)を伴う曲線は、平均粒径0.142ミクロンの製造直後のエマルジョンのものである。滑らかな線を伴う曲線は、平均粒径が0.151ミクロンである製造後6カ月経ったエマルジョンのものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、60%〜67%の分散相体積分率を有し、少なくとも1種の低分子量界面活性剤を用いて調製された水中油型エマルジョンに関する。このようなエマルジョンは、優れたエマルジョン安定性、高い負荷、および0.2ミクロン未満の小さい平均粒径を有する。さらに、このようなエマルジョンは、比重調整剤無しで生産され得てそして飲料中に使用され得る。
【0017】
少なくとも1種の低分子量界面活性剤は、エマルジョンをベースとして、2%〜25%(wt/wt)の量、一実施形態においては8%〜14%の量、そしてさらに別の実施形態では12%〜14%の量で存在する。一実施形態において、低分子量界面活性剤はキラヤ固体抽出物、ポリソルベート、レシチン、糖エステル、グリセリンエステル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態において、低分子量界面活性剤は、キラヤ固体抽出物、ポリソルベート、レシチンおよびそれらの混合物からなる群から選択され、さらに別の実施形態では、それはキラヤ固体抽出物とポリソルベートとの混合物であり、さらに別の実施形態では、キラヤとポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween60)の混合物である。
【0018】
油は、エマルジョン中で、そして一実施形態では、香料、色素および/または栄養素含有油などの飲料エマルジョン中で、使用される任意の油、ならびに任意の植物油であってもよく、また天然であっても合成であってもよい。一実施形態において、油は果実油、例えばオレンジ油である。別の態様において、油はビタミンEなどの栄養素を含む。さらに別の実施形態において、油はオメガ−III脂肪酸を含む。油は、60%〜67%の分散相体積分率で存在し、一実施形態において62%〜65%の分散相体積分率で存在する。一実施形態において、LMW界面活性剤対油の体積比は1:2〜1:5である。
【0019】
分散相の体積分率は、実施例のセクションで説明される通りに計算される。
【0020】
エマルジョンは水中油型エマルジョンであり、一つの態様において、連続相対分散相の比は40:60〜33:67(v/v)であり、そして別の実施形態においては38:62〜35:65(v/v)である。エマルジョンは高い固形分レベル(分散相)を有し、一実施形態において、このような高固形分のエマルジョンはそのままの状態で保管され得て、その後に飲料などの最終用途組成物内に取込まれる直前またはその最中に、水または水性溶媒で所望の固形分レベルまで希釈され得る。代替の形態においては、安定性を増強するため、保管する前に高固形分エマルジョンを希釈させてもよい。
【0021】
本発明の一態様では、エマルジョンは本質的に比重調整剤を含まない。一実施形態においては1%未満の比重調整剤を、別の実施形態では0.5%未満の比重調整剤を、さらに別の実施形態では0.1%未満の比重調整剤を含む。そしてさらなる実施形態では、比重調整剤は0%である。ここで、これら全てはエマルジョンに基づく重量/重量百分率である。さらに別の実施形態では、エマルジョンは比重調整剤を含む。
【0022】
エマルジョンは、連続相の形で水または水溶液を含む。エマルジョンは、任意には追加の食品グレードの構成成分を含んでいてもよい。このような食品グレードの構成成分には非限定的に、糖アルコールまたは他の糖代用品、pH調整剤(pH agent)、塩分調整剤(slinity agent)、着色料および増粘剤が含まれる。一態様において、連続相は保存料を含み、別の態様では保存料は安息香酸ナトリウムである。
【0023】
エマルジョンは、当該技術分野において公知の任意の乳化方法を用いて調製され得る。しかしながら、かかるエマルジョンは、最初に成分を混合して所望の離散的体積分率を達成することによって、小さい粒径および優れた安定性が達成されるという点において、独特である。混合した成分は、次に、所望の小さな平均粒径および/または分布を達成するために、当該技術分野で公知の手段を用いて均質化される。このような均質化は、17〜65.5MPaの圧力で、一実施形態においては31〜58.6MPaの圧力で、そして別の実施形態では37.9〜58.6MPaの圧力で行なわれ、これらは全て「実施例」のセクションで詳述されているAPV圧力ホモジナイザーを用いて達成されるものをベースとしている。他のホモジナイザーについての圧力は、異なるものであってよく、当業者であれば1つのホモジナイザータイプから別のホモジナイザータイプへと容易に調整することができ、各々について等価の圧力範囲を決定することができると考えられる。さらに、このような小さい平均粒径および/または分布は、10回未満のパス、一実施形態では8回未満のパス、そして別の実施形態では6回未満のパスを用いて、このような圧力で達成され得る。
【0024】
ポリソルベートが使用される一実施形態において、ポリソルベートは、水および任意にはキラヤ固体抽出物との混合物中に溶解され、高いせん断を用いて予め均質化され、その後に、一実施形態においては17〜48MPaの圧力での2〜6回のパスの間に均質化される。
【0025】
結果として得られたエマルジョンは、一実施形態においては少なくとも40%の負荷、そして別の実施形態においては少なくとも50%の負荷という、優れた負荷を有する。負荷とは、乳化剤をベースとした油の百分率(w/w)を意味するように意図されている。
【0026】
結果として得られるエマルジョンは、良好なエマルジョン粒径分布を有する。本発明の一態様において、平均粒径は0.1ミクロンと0.2ミクロンの間にあり、別の実施形態では0.2ミクロン未満、そしてさらに別の実施形態では0.15ミクロン未満である。別の実施形態では、実施例のセクションで説明されている試験を用いて、エマルジョン粒子の少なくとも90%が、0.2ミクロン以下であり、さらなる実施形態においては0.15ミクロン以下である。さらなる実施形態において、実施例のセクションで説明されている試験を用いて、エマルジョン粒子の少なくとも95%が、0.2ミクロン以下であり、別の実施形態では0.15ミクロン以下である。
【0027】
結果として得られる飲料エマルジョンは同様に、平均粒径が、室温で、少なくとも3カ月間、別の実施形態では少なくとも6カ月間、そしてさらに別の実施形態では少なくとも12カ月間、0.1ミクロンと0.2ミクロンの間にとどまるような優れた安定性をも有している。さらに一実施形態において、実施例のセクションで説明されている試験を用いて、エマルジョン粒子の少なくとも90%がこのような期間、0.2ミクロン以下にとどまり、そして別の実施形態においては0.15ミクロン以下にとどまる。さらなる実施形態では、実施例のセクションで説明されている試験を用いて、エマルジョン粒子の少なくとも95%がこのような期間、0.2ミクロン以下にとどまり、別の実施形態においては0.15ミクロン以下にとどまる。
【0028】
結果として得られるエマルジョンは、さまざまな組成物において有用であり、本発明の一態様においてはあらゆるタイプの飲料中で使用され得る。一実施形態では、エマルジョンはアルコール飲料中で有用であり、さらに別の実施形態では、透明な飲料中で有用である。透明な飲料とは、100比濁計濁度単位(NTU)未満のあらゆる飲料を意味するように意図されている。細かい粒径および均一な分布は、沈殿物、クリーミング、リンギング(ringing)および/またはオストワルド熟成を減らすことができる。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、本発明をさらに例示し説明する目的で提示されており、いかなる点においても限定的なものと考えられてはならない。別段の指摘のないかぎり、全ての比、部分および百分率は、重量によるものとして示され、全ての温度は摂氏度(℃)単位である。
【0030】
実施例全体を通して、以下の材料が使用された。
Q−NATURALE(登録商標)200乳化剤:National Starch LLC(Bridgewater, NJ)から市販されている、約21%のキラヤ固体抽出物と14%の活性サポニンとを含む液体キラヤ抽出物
Tween60:Croda Inc.,(Edison, NJ)から市販されているポリソルベート
Givaudan(Cincinati, OH)から市販されている0.86g/mlの密度のオレンジ油5×(5倍)
密度が0.93g/mlの純粋植物油
【0031】
実施例全体を通して、以下の機器が使用された:
Rose and Co.(Long Island, NY)製の高せん断ミキサー、モデルHSM−100LC1
APV(Getzville, NY)製のホモジナイザー、モデルGaulin MR15
粒径分析装置、Beckman Coulter Inc.(Fulleton, CA)製のCoulter ounter LS320
【0032】
実施例全体を通して、以下の手順が使用された。
【0033】
粒径試験
0.04μm〜2000μmの粒径範囲を網羅する、偏光強度回折散乱(PIDS)と静的光散乱を内蔵するBeckman Coultet製のLS13320を用いて、エマルジョンの粒径を測定する。
【0034】
Beckman Coulterソフトウェア、バージョン5.01を用いて、実際の屈折率については1.5、想像上の屈折率については0といった、エマルジョンの光学パラメータを入力する。
【0035】
オフセット測定;アラインメント;背景測定;および試料装填などのステップでは、標準的手順に従う。その後、「負荷測定(Measure Loading)」における読取り値を観察しながら、希釈した試料(水で10%エマルジョンとなるまで希釈したもの)を滴下により試料容器内に導入する。不明瞭化(obscuration)が40%〜60%となった時点で、測定を開始する。
【0036】
結果を解析する場合には、粒径分布を生成するために体積分率を使用する。統計ウィンドウ内で2、0.4、0.7、1.0ミクロンを選択することにより、1ミクロン超の粒径を含む算術粒径分布が得られる。
【0037】
体積分率の決定
分散相の体積分率は、油相の体積分率と低分子量界面活性剤の体積分率の合計として計算される。油相の体積分率は、油相の密度で油相の重量分率を除したものとして推定される。LMW界面活性剤および水相の体積分率は、重量分率と同じであるものとして推定される。
【0038】
実施例1−結果として得られる平均粒径が0.15ミクロンである5倍オレンジ油のエマルジョンの調製
油とLMW界面活性剤の体積分率、全分散相の体積分率および重量百分率が表1.1に示されている。
【0039】
【表1】
【0040】
1kgのプレエマルジョンを、以下のように作製した。
【0041】
7.5%のキラヤ固体抽出物を含むキラヤ抽出物を43.6%まで添加することによって水相を調製した。LCI高せん断ミキサー(Charles Ross & Son Company製のモデルHSM−100LCI)を用いて、7500rpmで3分間、水相に対し48.9%の5倍オレンジ油をゆっくりと添加することにより、プレエマルジョンを作製した。
【0042】
上述のプレエマルジョンを、APV圧力ホモジナイザー(APV Gaulin製のモデル15M Raboratory Homogenizer)を用いて44.8MPaで3回のパスの間に均質化した。次にエマルジョンの粒径を検査した。エマルジョンの平均粒径は0.142ミクロンであった。
【0043】
6カ月の保管後、本発明の室温エマルジョンは安定しており、0.151ミクロンの平均粒径を有していた。
【0044】
実施例2−結果として得られる平均粒径が0.2ミクロン未満である植物油のエマルジョンの調製
各成分の体積分率および3つの試料全ての分散相の合計体積分率は、表2.1に示されており、3つの試料全ての重量百分率は表2.2に示されている。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
プレエマルジョン1kgを、以下の通りに作製した。
【0048】
完全に液化されるように、Tween60を65℃まで加熱した。それぞれ試料1、2および3について、39%、42%および40%の量で、60℃の水に対し12%、10%または11%の液化Tween60を添加することによって、水相を調製した。LCI高せん断ミキサー(Charles Ross & Son Company製のモデルHSM−100LCI)を用いて、10000rpmで3分間、水相に対し植物油をゆっくりと添加することによりプレエマルジョンを作製した。上述のプレエマルジョンを、APV圧力ホモジナイザー(APV Gaulin製のモデル15MR Laboratory Homogenizer)を用いて、58.6MPaで3回のパスの間に均質化した。次に、0日目とその後毎月1回、12カ月間にわたってエマルジョンの粒径を検査した。12カ月保管した後、本発明の室温エマルジョンは安定していた。平均粒径の結果は表2.3に示されている。
【0049】
【表4】
【0050】
実施例3−請求対象範囲に入らない分散相体積分率を有する5倍油のエマルジョンの比較
表3.1に、4つの試料全ての分散相の合計体積分率と成分の体積分率の両方を示す。全ての成分の重量百分率は表3.2に示されている。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
プレエマルジョン1kgを、以下の通りに作製した。
【0054】
完全に液化されるように、Tween60を65℃まで加熱した。それぞれ試料1、2、3および4について、液化Tween60(4%、12%、15%または17%)とキラヤ固体抽出物(0.84%、1.73%、0.84%または2%)を60℃の水(66.78%、53.59%、47.18%または37.14%)に対して添加することによって、水相を調製した。LCI高せん断ミキサー(Charles Rose & Son Company製のモデルHSM−100LCI)を用いて、7500rpmで3分間、水相に対して、必要とされている5倍オレンジ油(23.38%、32.68%、36.98%または43.86%)をゆっくりと添加することにより、プレエマルジョンを作製した。試料4のプレエマルジョンは、プリン様の濃厚さを有する極めて粘度の高いものであった。それは、ホモジナイザー内で適正に走らせることのできないものであった。他のプレエマルジョンを、APV圧力ホモジナイザー(APV Gaulin製のモデル15MR Laboratory Homogenizer)を用いて44.8MPaでの3回のパスの間に均質化させた。その後エマルジョンの粒径を検査した。平均粒径の結果は表3.3に示されている。
【0055】
【表7】