(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リファレンス画像生成手段は、前記超音波画像の視野領域を抽出し、互いに直交する各リファレンス画像において視野外領域に対応する領域の輝度を低下させる機能を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
前記リファレンス画像生成手段は、前記超音波画像の視野領域を抽出し、互いに直交する各リファレンス画像において視野外領域に対応する領域を非表示にする機能を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
被検体の3次元ボリュームデータを用いて、任意断面のリファレンス画像を生成するステップと、リファレンス画像に超音波探触子の位置を示す超音波探触子マークを重畳表示するステップと、超音波探触子から受信した反射波に基づく超音波画像とリファレンス画像とを表示手段に表示させるステップとを含み、
前記リファレンス画像を生成するステップは、異なる断面からなる複数の前記リファレンス画像を生成し、一のリファレンス画像に、他のリファレンス画像のスライスピッチを示すマークを重畳表示し、前記表示手段に表示されている他のリファレンス画像のスライスピッチを示すマークを強調表示する
ことを特徴とする超音波画像表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を基に説明をする。なお、以下の説明では、同一機能部分については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0012】
まず、
図1に基づいて本発明の実施形態に係る超音波診断装置の概略構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る超音波診断装置の全体概略構成を示す模式図である。超音波診断装置10は、主に超音波診断装置本体1、超音波探触子2、位置センサ4、ソース発生源5、及びモニタ15を有して構成されている。超音波診断装置本体1は、概ね、超音波画像を生成する系統と、超音波画像を診断するときに参照するリファレンス画像を生成する系統に分けられる。超音波画像を生成する系統は、超音波探触子2からの反射エコー信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成部6と、複数枚の超音波画像を一時的に記憶するシネメモリ7と、複数枚の超音波画像を基に3次元の超音波ボリュームデータを生成する超音波ボリュームデータ生成部8と、を含む。リファレンス画像を生成する系統は、例えばMRI装置、CT装置、他の超音波診断装置等の医療用画像診断装置17が撮像した3次元ボリュームデータを格納するボリュームデータ記録部9と、位置センサ4及びソース発生源5の信号を基に、超音波探触子2の位置及び姿勢を検出するスキャン面取得部11と、超音波画像を診断する際に参照する参照画像であって、ボリュームデータ記憶部9に記憶された被検体の3次元ボリュームデータや超音波ボリュームデータを基にリファレンス画像を生成するリファレンス画像生成部12と、リファレンス画像の断面位置を示すガイド画像を生成するガイド画像生成部13と、リファレンス画像の移動/回転の種別、移動量/回転量、移動方向/回転方向の入力を受け付ける移動・回転信号入力部16と、を備える。更に、超音波診断装置本体1は、超音波画像とリファレンス画像との断面位置を対応付けて表示処理を行う画像処理部14を含む。
【0013】
更に、超音波診断装置本体1は、経路算出部53を備える。この経路算出部53は、穿刺針51の進入経路を算出するものである。また位置センサ固定機構
54により穿刺針51に固定された位置センサ52とソース発生源5との出力信号を基に、穿刺針51の現在位置、傾きを算出し、その芯線の延長を穿刺針51の進入経路として算出してもよい。穿刺針51、位置センサ52、経路算出部53、及び位置センサ固定機構54は、第二実施形態で用いるものである。
【0014】
なお、図示を省略するものの、超音波診断装置本体1は、医療用画像診断装置17で撮像した被検体の3次元ボリュームデータや別の超音波診断装置で撮像した超音波ボリュームデータ等を入力するインターフェイスを具備している。そして、超音波診断装置本体1を、インターフェイスを介して医療用画像診断装置17に直接接続し、3次元ボリュームデータを受け取り、ボリュームデータ記録部9に保存する。更に、ネットワーク経由又はUSBメモリ等の持ち運び可能な記録媒体を経由し、3次元ボリュームデータを超音波診断装置本体1内のボリュームデータ記録部9に保存することも可能である。以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0015】
超音波探触子2は、超音波を超音波放射面から送波するとともに、超音波の反射波を受信し、反射エコー信号を超音波画像生成部6に出力する。
【0016】
超音波画像生成部6は、超音波探触子2の進退方向(超音波探触子2が被検体の体腔内への挿入するものにあっては、挿入方向に相当)の各位置において、1フレーム分の超音波画像を生成する。そして、超音波探触子2の位置の移動に伴って、複数の位置から複数フレーム分の超音波画像を生成する。シネメモリ7は、複数フレーム分の超音波画像を一時記憶する。超音波ボリュームデータ生成部8は、シネメモリ7に一時記憶された超音波画像に基づいて一方向(超音波探触子2の進退方向)に沿った複数フレームの超音波画像を積み上げた3次元の超音波ボリュームデータを生成する。ボリュームデータ記録部9は、生成された3次元の超音波ボリュームデータを記録したり、すると共に、医療用画像診断装置17が撮像した3次元ボリュームデータを記録したりする。
【0017】
超音波探触子2には、超音波探触子2の位置及び姿勢を検出するための磁気センサ等の位置センサ4が、超音波探触子2に取り付けた位置センサ固定機構3によって固定されている。また、被検体を含む座標系に磁界等のソースを発生させるソース発生源5が、例えば、被検体の横たわるベッドの傍ら等に配置される。これら位置センサ4及びソース発生源5は、スキャン面取得部11と電気的に接続され、位置センサ4とソース発生源5からの出力信号は、スキャン面取得部11に出力される。
【0018】
スキャン面取得部11は、位置センサ4やソース発生源5からの出力信号に基づいて、超音波探触子2の位置・傾斜角度等の位置情報を取得し、超音波探触子2の3次元的な位置及び傾斜角等を演算し、超音波探触子2のスキャン面(超音波画像の断面)の座標を算出するスキャン面演算部11aと、算出されたスキャン面の座標を記録するスキャン面記録部11bと、を有する。本実施形態では、超音波探触子2の位置検出の例として磁界による位置検出を例示したが、これに限定されるものではなく、種々の公知の位置検出方法を用いることが可能である。算出されたスキャン面の座標は、リファレンス画像生成部12及び画像処理部14に出力される。
【0019】
リファレンス画像生成部12は、スキャン面取得部11で算出された座標を用いて、ボリュームデータ記録部9に記録されている3次元ボリュームデータから、超音波画像と同一断面となるリファレンス画像(以下、第一リファレンス画像という。)や第一リファレンス像の深度方向を回転軸として、90°もしくは270°回転させたリファレンス画像(以下、第二リファレンス画像という。)及び、超音波探触子2の超音波放射面に対し、平行なリファレンス画像(以下、第三リファレンス画像)、また任意断面のリファレンス画像を生成する。更にリファレンス画像生成部12は、生成した各リファレンス画像上に、他のリファレンス画像の位置を示す点線を重畳表示したり、それらの点線を非表示にしたりする処理を行う。
【0020】
リファレンス画像生成部12は、スキャン面座標を基に、超音波画像内における超音波の放射領域(視野領域ともいう)の座標を演算し、第一、第二、第三リファレンス画像に対し、超音波の放射領域外の領域の輝度を落としたり、放射領域外の領域を非表示にしたりする処理を行う。
【0021】
更に、リファレンス画像生成部12は、超音波探触子2の動きに応じて、リファレンス画像の画像サイズ及びフレームレートを変更することでリファレンス画像を再構成する速度を変更することが可能である。つまり、超音波探触子2の進退方向への動きが速い場合、画質よりもフレームレートを優先し、リファレンス画像を高速に描画する。逆に超音波探触子2の動く速度が遅い場合は、フレームレートより画質を優先し、リファレンス画像を再構成して描画する。これにより、超音波探触子2の動きに追従してリファレンス画像を表示することができる。
【0022】
リファレンス画像生成部12は、各リファレンス画像の断面位置を示す位置情報と生成されたリファレンス画像とを画像処理部14に出力する。各リファレンス画像の断面位置を示す位置情報は、ガイド画像生成部13にも出力される。つまり、リファレンス画像生成手段(リファレンス画像生成部12)は、異なる断面からなる複数のリファレンス画像を生成し、一のリファレンス画像に、他のリファレンス画像のスライスピッチを示すマークを重畳表示し、表示手段(モニタ15)に表示されている他のリファレンス画像の断面位置を示すスライスピッチを示すマークを強調表示する。
【0023】
また、超音波画像に、リファレンス画像のスライスピッチを示すマークを重畳表示し、表示手段(モニタ15)に表示されているリファレンス画像の断面位置を示すスライスピッチを示すマークを強調表示する第一画像処理手段(ガイド画像生成部13)を更に備える。
【0024】
ガイド画像生成部13は、ボリュームデータ記録部9に記録された被検体の3次元ボリュームデータとリファレンス画像生成部12から得たリファレンス画像の断面位置情報とを用い、被検体の3次元可視画像にリファレンス画像の断面を半透明カラーで重畳表示したガイド画像を生成する。ガイド画像に用いる被検体の3次元画像の作成手法としては、例えば、ボリュームレンダリングやサーフェスレンダリング等の周知の方法を適用できる。生成されたガイド画像は画像処理部14に出力される。
【0025】
なお、医療用画像断装置17により取得された被検体の3次元ボリュームデータと、超音波探触子2の位置との対応付けは、例えば、被検体の3次元ボリュームデータからなる被検体画像と、超音波探触子2で得た超音波画像と、をモニタ15に表示し、上記被検体画像に含まれる特徴的な部位と、上記超音波画像に含まれる同一の特徴的な部位と、を操作者にポインティングデバイスで指示させる等、周知の手法を適用して実現することができる。また、超音波画像は、それが取得された時の進退方向の位置情報を関連づけて記憶する。
【0026】
画像処理部14は、スキャン面取得部11、シネメモリ7、リファレンス画像生成部12、ガイド画像生成部13に接続される。そして、シネメモリ7からは超音波画像、リファレンス画像生成部12からはリファレンス画像、ガイド画像生成部13からはガイド画像を取得する。そして、スキャン面取得部11が算出したスキャン面の座標とリファレンス画像の断面位置情報とを用いて、超音波画像上にリファレンス画像の位置を示す点線を重畳表示/非表示の処理を行う。更に、超音波画像、リファレンス画像、及びガイド画像の位置を対応付けて、モニタ15に表示させるための処理を行う。
【0027】
例えば、超音波画像とリファレンス画像を並べて表示してもよいし、リファレンス画像を半透明化し、超音波画像に重畳上表示してもよい。重畳した場合、1つの画像で超音波画像とリファレンス画像との比較が容易に可能となる。その他、シネメモリ7、リファレンス画像生成部12、ガイド画像生成部13で生成される画像を適宜合成して表示させることが可能である。
【0028】
更に、画像処理部14は、ガイド画像にスキャン面を半透明カラーで重ね合わせる画像処理を行う。これによって、術者は被検体と超音波探触子2のスキャン面との位置関係を3次元的に把握することができる。なお、本実施形態では、第一リファレンス画像の位置と超音波画像のスキャン面の位置とは一致するので、以下の説明では、第一リファレンス画像の位置をガイド画像に表示する例を取り上げるが、第一リファレンス画像を超音波画像のスキャン面に読み替えてもよい。
【0029】
また、後述する第二実施形態では、画像処理部14は、経路算出部53にも接続され、経路算出部53から取得した穿刺針51の経路や位置、又はその芯線の延長線の位置を、超音波画像に重畳表示することも可能である。
【0030】
移動・回転信号入力部16には、マウスやトラックボール等のポインティングデバイスやキーボードなどの入力装置が接続される。そして、術者がこれらの入力装置を操作して、移動又は回転の種別、及び移動方向又は回転方向を選択し、更に移動量及び回転角度を入力すると、移動・回転信号入力部16はそれらの入力値を取得し、リファレンス画像生成部12に出力する。また、移動・回転信号入力部16は、移動又は回転の対象となる画像の選択入力を受け付けてもよい。
【0031】
リファレンス画像生成部12は、入力値に従ってリファレンス画像を移動、回転し、ガイド画像生成部13は、リファレンス画像生成部12から取得したリファレンス画像の位置情報を基に、ガイド画像上のリファレンス画像の位置を移動する。これに追従して画像処理部14は、超音波画像に重畳したリファレンス画像の位置を示すマークを移動する。
【0032】
又は、ガイド画像に重畳されたリファレンス画像の位置や、超音波画像に重畳されたリファレンス画像の位置を、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス等からなる操作装置を用いて移動・回転させると、この移動量・回転量を移動・回転信号入力部16が検出し、リファレンス画像生成部12は、検出された入力値に従って新たなリファレンスが画像を生成し、モニタ15のリファレンス画像も更新表示される。
【0033】
更に超音波診断装置10には、観察部位をズームイン・アウトする操作入力装置を備える。観察部位をズームイン・アウトすると、超音波画像生成部6で生成される超音波画像では、観察部位の表示倍率が変更される。これに追従して、リファレンス画像生成部12は、新たな超音波画像の表示倍率と一致するように、リファレンス画像の表示倍率を変更させる(新たに生成する)。表示倍率が変更された超音波画像やリファレンス画像は、モニタ15において更新表示される。
【0034】
次に、
図2に基づいて超音波探触子2について説明する。
図2は、超音波探触子2の概略構成を示す説明図である。
【0035】
超音波探触子2として、二つの超音波放射面から同時に二つの超音波画像を取得するバイプレイン形式の超音波探触子Aと、二つの超音波放射面を切り替えて一つの超音波画像を取得する非バイプレイン形式の超音波探触子Bと、一つの超音波放射面を備える超音波探触子Cとを用いることができる。
【0036】
超音波探触子Aは、前立腺領域を含む被検体の体腔内に挿入され、体腔内で超音波を送受信するものである。超音波探触子Aは、二つの超音波放射面20、21を備える。超音波放射面20は、超音波探触子Aの先端部に備えられる。そして、超音波放射面20から放射される超音波の深度方向dp1は、超音波放射面20に垂直となる。超音波放射面20から放射される超音波により撮像される画像は、第一断面画像22となる。超音波放射面21は、超音波放射面20よりも超音波探触子Aの中央寄りに備えられる。そして、超音波放射面21から放射される超音波の深度方向は、超音波放射面21に垂直となる。超音波放射面21から放射される超音波により撮像される画像は、第二断面画像23となる。
【0037】
超音波探触子Bは、二つの超音波放射面24、25を備え、各超音波放射面24、25を切り替えてどちらか一方の超音波放射面からの超音波画像を取得する非バイプレイン超音波探触子である。超音波放射面24から得られる画像は第三断面画像26であり、超音波放射面25から得られる画像は第四断面画像27である。各超音波放射面24、25の深度方向は、各超音波放射面に対して垂直になる。
【0038】
超音波探触子Cは、一つの超音波放射面28を備える超音波探触子である。超音波放射面28から得られる画像は第五断面画像29である。
【0039】
本実施形態に用いる超音波探触子2は、超音波探触子A、B、Cのいずれでもよい。また、被検体の体腔内に挿入するものに限らず、例えば腹部エコーに用いるような、体表面から体内に向けて超音波を送受信する超音波探触子にも、本発明を適用することができる。
【0040】
<第一実施形態>
第一実施形態の超音波診断装置10は、直交3断面のリファレンス画像と、これらリファレンス画像の断面位置を3次元被検体画像に重畳表示したガイド画像と、を表示し、リファレンス画像上に超音波探触子2の位置を示すマークを重畳表示する実施形態である。
【0041】
より具体的には、第一実施形態は、ボリュームデータ記録部9に記録されている3次元ボリュームデータより、超音波画像と同一断面の画像からなる第一リファレンス画像、第一リファレンス画像を超音波の深度方向に沿って90°又は270°回転させた第二リファレンス画像、また超音波放射面と平行な断面からなる第三リファレンス画像を生成し、これらのリファレンス画像上に、超音波探触子の位置を示すマークを重畳表示する。
【0042】
本実施形態では、上記の如く、超音波画像の断面と同一断面及び超音波画像の断面と直交する2軸の断面のリファレンス画像を表示する場合を例に説明するが、リファレンス画像は、これらの3軸断面に限らず、これらの3軸断面を任意の位置に移動・回転してなる任意の断面からなる画像でもよい。また、本実施形態では、超音波ボリュームデータを基にリファレンス画像を生成するが、ボリュームデータ記録部9に記録されたMRI装置やX線CT装置により得られた3次元ボリュームデータに基づいてリファレンス画像を生成してもよい。
【0043】
以下、
図3乃至
図10に基づいて、第一実施形態について説明する。
図3は、超音波放射面と超音波画像、及び第一リファレンス画像、第二リファレンス画像及び第三リファレンス画像の位置関係を示す説明図であって、(a)は超音波放射面とそこから放射される超音波による超音波画像との位置関係を示し、(b)は、各リファレンス画像、及びそれらの位置関係を示す。
図4は、第一実施形態における画面表示例を示す説明図である。
【0044】
図5は、第三リファレンス画像を選択した状態でトラックボールを上方向に回転させた場合に、第三リファレンス画像が深度方向へ連続的に切り替わる概念を示す説明図であって、(a)はトラックボールの操作とそれに伴う画面遷移を示し、(b)は、トラックボールの操作に伴う第三リファレンス画像の位置及びそれを示すマークの移動を示す。
図6は、第三リファレンス画像を選択した状態でトラックボールを下方向に回転させた場合に、第三リファレンス画像が深度方向と反対方向へ連続的に切り替わる概念を示す説明図であって、(a)はトラックボールの操作とそれに伴う画面遷移を示し、(b)は、トラックボールの操作に伴う第三リファレンス画像の位置及びそれを示すマークの移動を示す。
【0045】
図7は、第二リファレンス画像を選択した状態でトラックボールを右方向に回転させた場合に、第二リファレンス画像が深度方向に対し直交する方向(
図7の紙面上における右方向)へ連続的に切り替わる概念を示す説明図であって、(a)はトラックボールの操作とそれに伴う画面遷移を示し、(b)は、トラックボールの操作に伴う第二リファレンス画像及びそれを示すマークの位置の移動を示す。
図8は、第三リファレンス画像33を選択している状態で、トラックボールを右に回転させたときの画面遷移を示す説明図であって、(a)は第三リファレンス画像を含む画面遷移を示し、(b)は第三リファレンス画像の位置の移動を示す。
【0046】
図9は、第三リファレンス画像を超音波放射面内の複数の方向に移動させた状態を示す説明図であって、(a)はトラックボールの操作方向を示し、(b)は各操作方向に対応する移動後の第三リファレンス画像を示す。
図10は、第二リファレンス画像を選択している状態で、回転方向切替えボタン49によって、回転方向を「奥行き・手前・左・右」に設定した上で、トラックボール16tを上下、左右方向に回転させた場合に表示される第二リファレンス画像を示す説明図であって、(a)は第二リファレンス画像の回転方向及びトラックボールの操作方向を示し、(b)は回転後の第二リファレンス画像を示す。
【0047】
まず、超音波放射面と超音波画像、及び第一リファレンス画像、第二リファレンス画像及び第三リファレンス画像の位置関係について説明する。以下の説明では、超音波探触子2として
図2の超音波探触子Cを用いた例を説明するが、超音波探触子A、Bの各超音波放射面から取得される超音波画像にも本発明を適用することができる。
【0048】
図3の(a)に示すように、超音波探触子Cの先端部に備えられた超音波放射面28から放射される超音波より生成される超音波画像29は、深度方向dp1に向かって広がる扇状の領域となる。
【0049】
図3の(b)の(b-1)に示す3次元ボリュームデータ30において、超音波画像29と同一の断面から抽出した画像を、第一リファレンス画像31という。第一リファレンス画像31は、後述の超音波放射面28と平行な第三リファレンス画像33と直交する(
図3の(b)の(b-2)参照)。
【0050】
また、第一リファレンス画像31を、深度方向dp
1を回転軸として90°若しくは270°回転させた画像を本実施形態では第二リファレンス画像32という。第二リファレンス画像32と第一リファレンス画像31とは直交する。また、第二リファレンス画像32は、後述の超音波放射面28と平行な第三リファレンス画像33とも直交する(
図3の(b)の(b-3)参照)。
【0051】
更に、超音波放射面28に対して平行な断面から抽出した画像を本実施形態では第三リファレンス画像33という。第三リファレンス画像33は、第一リファレンス画像31及び第二リファレンス画像32のそれぞれと直交する(
図3の(b)の(b-3)参照)。
【0052】
なお、
図3から
図10において、超音波画像29及び第一リファレンス画像31の視野領域、及び後述するガイド画像における第一リファレンス画像31の位置を示すマーク31mを白地に黒点のドットで描出する。なお、黒字に白点のドットは、視野領域内にあり、かつ被検体の腸内が撮像された領域を示すものである。第二リファレンス画像32の視野領域、及び後述するガイド画像における第二リファレンス画像32の位置を示すマーク32mを右下斜線のハッチングで描出し、第三リファレンス画像33の視野領域、及び後述するガイド画像における第三リファレンス画像33の位置を示すマーク33mを左下斜線のハッチングで描出する。さらに、視野外領域は右下及び左下斜線の格子状のハッチングを用いて描出する。また、超音波画像29及び第一リファレンス画像の視野外領域内にある白丸は、超音波画像29及び第一リファレンス画像の視点位置を示す目印(オリエンテーションマーク)である。第二実施形態の説明で用いる
図11、
図12についても同様である。
【0053】
リファレンス画像生成部12は、超音波探触子2より得られた超音波画像29の視野領域(又は視野外領域)を抽出し、各リファレンス画像(第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32、第三リファレンス画像33)において視野外領域に対応する領域の輝度を低下させる機能を有している。また、リファレンス画像生成部12は、各リファレンス画像(第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32、第三リファレンス画像33)において視野外領域に対応する領域を非表示にする機能を有している。各リファレンス画像(第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32、第三リファレンス画像33)は互いに直交している。
【0054】
つまり、リファレンス画像生成手段(リファレンス画像生成部12)は、超音波画像の視野領域を抽出し、互いに直交する各リファレンス画像において視野外領域に対応する領域の輝度を低下させる機能を有している。また、リファレンス画像生成手段(リファレンス画像生成部12)は、超音波画像の視野領域を抽出し、互いに直交する各リファレンス画像において視野外領域に対応する領域を非表示にする機能を有している。
【0055】
また、術者の設定によって、各リファレンス画像(第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32、第三リファレンス画像33)の視野外領域に対応する部分を表示又は非表示を選択することも可能とする。これらの機能により、超音波画像と各リファレンス画像(第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32、第三リファレンス画像33)との対応関係が明確となり、術者は両画像の対応関係を容易に把握することができる。
【0056】
図3の(b)の(b-4)に示す画像は、3次元ボリュームデータ30から抽出して生成した第一リファレンス画像31である。また、第一リファレンス画像31内の点線34は、第二リファレンス画像32の位置を示し、点線35は、第三リファレンス画像33の位置を示す。これにより、表示されている第一リファレンス画像31と、第二、第三リファレンス画像32、33との位置関係を把握しやすくなる。また、超音波画像29にも、第二リファレンス画像32及び第三リファレンス画像33の位置を示す点線34、35をそれぞれ表示させる。
【0057】
図3の(b)の(b-5)に示す画像は、3次元ボリュームデータ30から抽出して生成した第二リファレンス画像32である。第二リファレンス画像32には、超音波探触子2の位置を示すイラスト37が重畳表示される。イラスト37は、第二リファレンス画像32における超音波探触子2の断面形状を領域37rで示し、第二リファレンス画像32から見た超音波探触子2の輪郭を点線37lで示したものである。換言すると、点線37lは、超音波探触子2を第二リファレンス画像32に平行投影したときの輪郭線である。つまり、超音波探触子マークは、超音波探触子2をリファレンス画像の断面に投影した形状を示す輪郭線を用いて表示される。超音波探触子マークは、超音波探触子2の断面における断面形状を示す領域を用いて表示される。
【0058】
よって、超音波探触子2の超音波放射面28が第二リファレンス画像32内にある場合には、イラスト37内には矩形領域37r(その縁どりが点線37lとなる)が描出され、第二リファレンス画像32内にない場合には、イラスト37内に矩形領域37rは描出されず、輪郭線37lのみが描出される。
図3の第二リファレンス画像32の場合、超音波探触子2の超音波放射面28の一部が第二リファレンス画像32に含まれるため、矩形領域37rを含んだイラスト37が描出されている。
【0059】
更に、第二リファレンス画像32には、第一リファレンス画像31上に表示されている視野外領域38が表示されている。視野外領域38は、視野領域よりも低下させて表示される。更に、第二リファレンス像画像32は、第一リファレンス画像31の位置を示す点線36及び、第三リファレンス画像33の位置を示す点線35が重畳表示される。
【0060】
図3の(b)の(b-6)に示す画像は、3次元ボリュームデータ30から抽出して生成した第三リファレンス画像33である。第三リファレンス画像33には、超音波探触子2の位置を示すイラスト39が重畳表示される。イラスト39は、第三リファレンス画像33における超音波探触子2の断面形状を領域39rで示し、第三リファレンス画像33から見た超音波探触子2の輪郭を点線39lで示したものである。換言すると、点線39lは、超音波探触子2を第三リファレンス画像33に平行投影したときの輪郭線である。
【0061】
よって、超音波探触子2の超音波放射面28が第三リファレンス画像33内にある場合には、イラスト39内には矩形領域39rが描出され、第三リファレンス画像33内にない場合には、イラスト39内に矩形領域39rは描出されず、輪郭線39lのみが描出される。
図3の第三リファレンス画像33の場合、超音波探触子2の超音波放射面28の一部が第三リファレンス画像33に含まれるため、矩形領域39rを含んだイラスト39が描出されている。
【0062】
更に、第三リファレンス画像33には、第一リファレンス画像31上に表示されている視野外領域40が表示されている。視野外領域40は、視野領域よりも輝度を低下させて表示される。更に、第三リファレンス像画像33は、第一リファレンス画像31の位置を示す点線36及び、第二リファレンス画像32の位置を示す点線34が重畳表示される。
【0063】
上記点線34〜36は、例えば、断面毎に点線の色を変えたり、点線の種類を一点鎖線や二点鎖線、破線などの表示態様で区別したり、点線の色と種類の2種類を用い、リファレンス画像毎に区別したりしても良い。また、点線の色でリファレンス画像を区別する場合には、その点線に対応するリファレンス画像との対応関係を明確にするため、リファレンス画像の表示エリアを対応する点線の色で縁取ったり、同色又は同一の表示態様からなる画像識別マークを付けてもよい。これら点線34〜36をリファレンス画像に重畳表示する処理は、リファレンス画像生成部12により実行される。また、本実施形態では、超音波探触子2を示すイラスト37、39において、矩形状領域37r、39rと輪郭線37l、39lとを併用したが、どちらか一つのみを用いてもよい。
【0064】
次に
図4乃至
図9に基づいて、第一実施形態の表示画面を説明する。
【0065】
図4に示すように、本実施形態に係る画面41には、超音波画像29、超音波画像29と同一断面からなる第一リファレンス画像31、第一リファレンス画像31を90°または270°回転させた第二リファレンス画像32、超音波放射面と平行な第三リファレンス画像33、及びガイド画像42が表示される。更に、画面41には、各種機能を実行させるソフトボタンが備えられる。これらソフトボタンには、超音波画像上のガイド線のON/OFF切替ボタン43、リファレンス画像上のガイド線のON/OFF切替ボタン44、リファレンス画像上に超音波探触子の位置を示すイラスト表示のON/OFF切替ボタン45、ナビゲーション機能のON/OFF切替ボタン46、移動又は回転する画像として、第二リファレンス画像又は第三リファレンス画像のいずれかを選択する画像選択ボタン47、移動方向(奥行き・手前方向/同一平面内の任意方向)切替ボタン48、及び回転方向(奥行き・手前方向・左・右/上下方向)切替ボタン49が含まれる。
【0066】
ガイド画像42は、MRI装置やCT装置で撮像された被検体の3次元のボリュームデータを基に、例えばボリュームレンダリングを施すことで、被検体の3次元の内部構造を可視化した3次元可視化画像に、第一リファレンス画像の位置を示すマーク31mと第二リファレンス画像の位置を示すマーク32mと第三リファンレス画像の位置を示すマーク33mとを重畳表示したものである。
【0067】
術者が超音波画像上のガイド線のON/OFFの切替ボタン43を押し下げると、超音波画面上にも対応する点線34、35の表示/非表示を選択することができる。なお、超音波画像29上に点線34、35を重畳表示する処理は、画像処理部14が行う。
【0068】
術者がリファレンス画像上のガイド線のON/OFFの切替ボタン44を押し下げると、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32、第三リファレンス画像33に重畳表示された他のリファレンス画像の位置を示す点線34、35、36の表示/非表示を選択することができる。
【0069】
術者が、超音波探触子の位置を示すイラスト表示のON/OFF切替ボタン45を押し下げると、第二リファレンス画像32、第三リファレンス画像33に重畳表示された超音波探触子の位置を示すイラスト37、39の表示/非表示を選択することができる。
【0070】
術者が、ナビゲーション機能のON/OFF切替ボタン46を押し下げると、ナビゲーションモードに切り替わり、予め、デフォルトとして設定されている第二リファレンス画像32又は第三リファレンス画像33を強調表示する。ナビゲーションモードの機能の詳細については、後述する。
【0071】
術者が、画像選択ボタン47を押し下げると、第二リファレンス画像32又は第三リファレンス画像33の何れか一方を選択することができる。画像選択方法は、モニタ15上に搭載されたスクリーンボタンで構成される画像選択ボタン47の他、図示されていない超音波診断装置10のコンソール上の画像選択ボタンを用いてもよい。更に、図示されていない超音波診断装置10のコンソール上にあるポインタ表示ボタンを押し、モニタ15上にポインタを表示させた後、そのポインタで直接、第二リファレンス画像32又は第三リファレンス画像33を選択してもよい。
【0072】
また、ナビゲーションモードに入る前に、予め、画像選択ボタン47によって、ナビゲーションモードに入った際に選択される画像をデフォルト設定として設定しておくことも可能である。
【0073】
術者が、移動方向切替ボタン48を押し下げると、選択された画像(画面41では第三リファレンス画像33)を
図4の紙面上における奥行き・手前方向に沿って移動させるか、又は同一平面内の任意の方向に移動させるかを選択することができる。
【0074】
術者が、回転方向切替ボタン49を押し下げると、選択された画像(画面41では第三リファレンス画像33)を
図4の紙面上における左右方向若しくは、
図4の紙面上における上下方向を回転軸とする回転のどちらかを選択することができる。
【0075】
上記ナビゲーションモードでは、予め、デフォルトとして設定されているリファレンス画像が強調表示されるが、それに伴ういくつかの強調表示がある。以下では、第二リファレンス画像32がデフォルトとして設定されている場合を例に説明する。
【0076】
第二リファレンス画像32がデフォルト画像として選択されている状態で画像選択ボタン47を押し下げて、第三リファレンス画像33をナビゲーションモードに使用する画像として選択できる。ナビゲーションモードによる強調表示は、例えば、画像の周りを色や太い線などで縁取るなど、強調表示の有無によって異なる表示形態を用いることで実現できる。画面41は、第三リファレンス画像33が表示枠50を重畳表示することで強調表示されると共に、第二リファレンス画像32の強調表示を解除した状態を示す。
【0077】
また、ナビゲーションモードでは、超音波画像29上及び強調されていないリファレンス画像、即ち第一リファレンス画像31及び第二リファレンス画像32上に表示されている、強調されたリファレンス画像、即ち第三リファレンス画像33の表示位置を示す点線35が強調表示される。
【0078】
更に、ガイド画像42上に表示している強調させたリファレンス画像、即ち第三リファレンス画像33の位置を示すマーク33mも合わせて強調表示される。
【0079】
またナビゲーションモードでは、強調表示されていない画像(即ち画面41では、超音波画像29、第一リファレンス画像31、及び第二リファレンス画像32)に表示されている、強調されたリファレンス画像(即ち画面41では、第三リファレンス画像33)の現在の表示位置を示す点線35が表示される。点線35は、第三リファレンス画像33の移動ピッチに応じて、点線35A、35B、35C…、35a、35b、35c…と移動しながら、常時表示される。なお、点線35の添え字のうち、大文字は深度が深くなる方向に向かって現在の表示位置から離れていく順にA、B、C…と描出し、小文字は深度が浅くなる方向に向かって現在の表示位置から離れていく順にa、b、c…と描出する。
【0080】
図4の状態で、移動方向切替ボタン48を押し下げ、移動方向として奥行き・手前方向を選択した後、
図5の(a)の(a-1)に示すように超音波診断装置10上のトラックボール16tを上方向に回転させる、若しくは、超音波診断装置10に接続可能な図示されていないポインティングデバイス、例えば、マウスのマウスホイールを上方向に回転させると、第三リファレンス画像33は、超音波の深度方向に沿って深い方向(超音波探触子2から遠ざかる方向:
図5の(b)の(b-5)における矢印B方向)に移動する。
【0081】
よって
図5の(a)の(a-2)に示す第三リファレンス画像33は、
図5の(a)の(a-3)に示すように、
33A、33B、33C…に切り替わると共に、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32上に表示されている点線35の強調表示が、順に35A、35B、35C…へ連続的に移動する。この時、第三リファレンス画像33に表示されている超音波探触子2の位置を示すイラスト39は、第三リファレンス画像が、深度方向dp1に沿ってより深い方へ移動すると、矩形状領域39rが徐々に小さくなり点線39lのみを残す表示に変わる。また、
図5の(b)の(b-3)に示す第三リファレンス画像33が、深度方向dp1に沿ってより深い方向へ移動し、同(b-4)に示す第三リファレンス画像33Cに遷移すると、ガイド画像42に表示される断面のマーク33mも深度方向dp1に沿って移動する(
図5の(b)の(b-1)のマーク33mから同(b-2)の33mCへ移動する)。
【0082】
反対に、
図4の状態で、移動方向切替ボタン48を押し下げ、移動方向として奥行き・手前方向を選択した後、
図6の(a)の(a-1)に示すように超音波診断装置10上のトラックボール16tを下方向に回転させる、若しくは、超音波診断装置10に接続可能な図示されていないポインティングデバイス、例えば、マウスのマウスホイールを下方向に回転させると、第三リファレンス画像33は、超音波の深度方向dp1に沿って浅い方向(超音波探触子2に近くなる方向:矢印C方向)に移動する。
【0083】
よって
図6の(a)の(a-2)に示す第三リファレンス画像33は、
図6の(a)の(a-3)に示すように、順に
33a、33b、33c…に切り替わると共に、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32上に表示されている点線35の強調表示も、順に35a、35b、35c…へ連続的に移動する。この時、第三リファレンス画像33に表示されている超音波探触子2の位置を示すイラスト39は、第三リファレンス画像33が、深度方向dp1に沿ってより浅い方へ移動するにつれて、イラスト39内のうち、第三リファレンス画像33の第三リファレンス画像33に含まれる部分を示す矩形状領域39rの面積は、徐々に大きく表示される。
【0084】
また、
図6の(b)の(b-3)に示す第三リファレンス画像33が、深度方向dp1に沿って移動し、同(b-4)に示す第三リファレンス画像33cに遷移すると、ガイド画像42に表示される第三リファレンス画像33の位置を示すマーク33mも深度方向dp1に沿って移動する(
図6の(b)の(b-1)のマーク33mから同(b-2)の33mcへ移動する)。
【0085】
次に
図7に基づいて、第二リファレンス画像32を移動する処理について説明する。第二リファレンス画像32を選択した状態で移動方向選択ボタン48により移動方向として「奥行き・手前方向」を選択した後、
図7の(a)の(a-1)に示すようにトラックボール16tを右方向に回転させると、第二リファレンス画像32は、
図7の(b)の(b-3)に示すように、超音波ボリュームデータ30内において基準位置から矢印D方向へ沿って移動し、同(b-4)に示す第二リファレンス画像32Cへ遷移する。すなわち、超音波探触子2との位置関係では、
図7の(b)の(b-5)に示すように、基準位置は超音波探触子2から放射される超音波の中心軸の位置にあるが、トラックボール16tの回転に伴って矢印D方向に沿って移動し、第二リファレンス画像32Cへと遷移する。これに伴い、
図7の(b)の(b-1)に示すガイド画像42の位置を示すマーク32mは、同(b-2)に示すマーク32mCへ遷移する。
【0086】
更に、トラックボール16tの右方向の回転に伴って、
図7の(a)の(a-2)に示す第二リファレンス画像32は、同(a-3)に示すように、順に32A、32B、32C…に切り替わると共に、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第三リファレンス画像33上に表示されている点線34はそれぞれ、順に34A、34B、34C…へ連続的に移動する。この時、第二リファレンス画像32に表示されている超音波探触子2の位置を示すイラスト37は第二リファレンス画像32の表示断面が切り替わる毎に徐々に矩形状領域37rが小さくなり、やがて点線37lのみの表示に変わる。これは第二リファレンス画像32の断面が切り替わる毎に視野が更新されるため、超音波探触子2と第二リファレンス画像32との位置関係が変化するためである。
【0087】
次に
図8に基づいて超音波放射面内における移動について説明する。
図8に示すように、モニタ15には、初期状態では
図8の(a)の(a-1)に示すように、超音波画像29と基準位置における第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32、第三リファレンス画像33が表示されているとする。超音波画像29、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32上には、第三リファレンス画像33の位置を示す点線35が表示されている。
【0088】
ここで、移動方向選択ボタン48により移動方向として「同一平面」を選択した後、トラックボール16tを右方向に回転させると、第三リファレンス画像33は、超音波ボリュームデータ30内において、基準位置から第三リファレンス画像33Rへ遷移する(
図8の(b)参照)。その結果、モニタ15には、第三リファレンス画像33Rが更新表示される(
図8の(a)の(a-2)参照)。なお、第三リファレンス画像33が第三リファレンス画像33Rに移動しても、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32上での第三リファレンス画像33を示す点線35の位置は変化しないので、これらの画像は変化しない。
【0089】
また
図9の(a)に示すように、トラックボール16tをa1〜a8の各方向に回転操作すると、第三リファレンス画像33を抽出する断面位置は、トラックボール16tの回転方向及び回転量に従って移動する。
図9の(a)において、トラックボール16tを回転方向a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8のそれぞれに回転すると、第三リファレンス画像33は、
図9の(b)に示すように、第三リファレンス画像33から第三リファレンス画像33Front、33FrontR、33R、33BackR、33Back、33BackL、33L、33FrontLのそれぞれに遷移する。これら遷移後の画像には、移動の超音波探触子の位置を示すマーク39が表示される。
【0090】
a1、a5方向は、深度方向に沿った移動である。a1方向に沿って移動した場合、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像35に重畳表示した点線35は、例えば
図8の(a)の(a-2)に示すように35A、35B、35Cへと移動する。
【0091】
a3、a7方向は、超音波の放射面内において、深度方向に直交する方向に沿った移動である。この場合、第三リファレンス画像33の深度方向における位置は変化しないので、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32上での第三リファレンス画像33を示す点線35の位置は変化しない。
【0092】
a2、a8方向は、深度方向に沿って深い方向と深度方向に直交する方向に沿って右又は左移動を伴った移動である。この場合、第三リファレンス画像33の深度方向に沿った移動分だけ、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32上での第三リファレンス画像33を示す点線35の位置が変化する。
【0093】
a4、a6方向は、深度方向に沿って浅い方向と深度方向に直交する方向に沿って右又は左移動を伴った移動である。この場合、第三リファレンス画像33の深度方向に沿った移動分だけ、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第二リファレンス画像32上での第三リファレンス画像33を示す点線35の位置が変化する。
【0094】
次に、
図10に基づいて回転移動について説明する。
図10に示すように、画像選択ボタン47により第二リファレンス画像32を選択している状態で、回転方向切替ボタン49によって、回転方向を「奥行き・手前・左・右」に設定した上でトラックボール16tを上方向に回転させると、基準位置にある第二リファレンス画像32(
図10の(a)の(a-1)参照)は、第二リファレンス画像32の左右方向を回転軸Ax2として、モニタ15に対し、奥行き方向に回転し(
図10の(a)の(a-2)参照)、第二リファレンス画像32s3へ遷移する(
図10の(b)参照)。
【0095】
同様にトラックボール16tを下方向に回転させると、第二リファレンス画像32はモニタ15に対し、回転軸Ax2として手前方向に回転し(
図10の(a)の(a-3)参照)、第二リファレンス画像32s4へ遷移する(
図10の(b)参照)。
【0096】
トラックボール16tを左方向に回転させると、第二リファレンス画像32の奥行き・手前方向を回転軸Ax1として、第二リファレンス画像32は左に回転し(
図10の(a)の(a-5)参照)、第二リファレンス画像32s2へ遷移する(
図10の(b)参照)。同様にトラックボール16tを右方向に回転させると、第二リファレンス画像32の奥行き・手前方向を回転軸Ax1として、第二リファレンス画像32は右に回転し(
図10の(a)の(a-4)参照)、第二リファレンス画像32s1へ遷移する(
図10の(b)参照)。
【0097】
これらの回転に伴い、ガイド画像42上に表示している第二リファレンス画像32の位置を示すマーク32mも、トラックボール16tの動きに追従して回転する。
【0098】
本実施形態によれば、超音波を放射すると共に、超音波の反射波を受信する超音波探触子2と、超音波探触子2の位置を検出する第一位置検出手段(位置センサ4)と、反射波に基づく反射エコー信号を用いて超音波画像を生成する超音波画像生成手段(超音波画像生成部6)と、被検体の3次元ボリュームデータを用いて、任意断面のリファレンス画像を生成し、当該リファレンス画像に、超音波探触子の位置を示す超音波探触子マークを重畳表示するリファレンス画像生成手段(リファレンス画像生成部12)と、超音波画像とリファレンス画像とを表示する表示手段(モニタ15)を備える。
【0099】
被検体の3次元ボリュームデータを用いて、任意断面のリファレンス画像を生成するステップと、リファレンス画像に超音波探触子2の位置を示す超音波探触子マークを重畳表示するステップと、超音波探触子2から受信した反射波に基づく超音波画像とリファレンス画像とを表示するステップとを含む超音波画像表示方法である。よって、リファレンス画像上に表示される超音波探触子2の位置を示すマークにより、リファレンス画像と超音波探触子2との位置関係が把握しやすくなる。
【0100】
特に、体腔内に挿入する超音波探触子の場合、超音波探触子の位置を目視できないため、リファレンス画像との位置関係を把握しやすくすることにより、診断能の向上に寄与することができる。
【0101】
また、リファレンス画像や超音波画像、またガイド画像上に、各リファレンス画像の位置を示すマークを表示することで、これらの画像の相互の位置関係が把握しやすくなり、更なる診断能の向上に起用することができる。
【0102】
<第二実施形態>
第二実施形態は、穿刺を行う際に、穿刺針の進入経路も合わせて表示する実施形態である。以下、
図11及び
図12に基づいて第二実施形態について説明する。
図11は、第二実施形態に係る表示画面の一例を示す説明図であって、
図2の超音波探触子Cを用いた場合の表示例を示す。
図12は、第二実施形態に係る表示画面の一例を示す説明図であって、
図2の超音波探触子Aの超音波放射面21を用いた場合の表示例を示す。
【0103】
本実施形態に係る表示を行う場合には、操作者が、図示されていない超音波診断装置のコンソール上の「穿刺ガイド」ボタンを押す。これに応じて、経路算出部53は、超音波診診断装置に接続している超音波探触子の形状及び穿刺針51が出入りする物理的位置の情報に基づいて穿刺針51の芯線の延長線を穿刺針51の経路として穿刺針51の進入経路を算出し、その経路を示すデータをリファレンス画像生成部12、ガイド画像生成部13、及び画像処理部14に出力する。リファレンス画像生成部12は、各リファレンス画像に穿刺針51の経路を重畳表示し、ガイド画像生成部13は、ガイド画像42上に穿刺針51の経路を重畳表示し、画像処理部14は、超音波画像29に穿刺針51の経路を重畳表示する。または、本実施形態に用いる穿刺針51には、位置センサ52を備え、経路算出部53は、ソース発生源5及び位置センサ52からの出力に基づいて、穿刺針51の現在位置と傾きとを算出し、穿刺針51の芯線の延長線を、穿刺針51の経路として算出する機能を有し、重畳表示をしてもよい。
【0104】
図11に示すように、超音波画像29上には、穿刺を行う際に使用する穿刺針51の進入経路を示す穿刺ガイドライン(以下「ガイドライン」と略記する。)55が表示される。その際、第一リファレンス画像31上には、超音波画像29上に表示されているガイドライン55と同位置、同じ大きさでガイドライン55が表示される。第二リファレンス画像32にはガイドライン55が重畳表示される。第三リファレンス画像33上において、穿刺針51が通過する位置にガイドラインマーク56が重畳表示される。
【0105】
ガイド画像42上には、ガイドライン55の位置を示す矢印57が表示される。第一リファレンス画像31上に表示したガイドライン55の位置を、第二、第三リファレンス画像32、33上で確認する場合には、ナビゲーション機能のON/OFF切替ボタン46を押して、ナビゲーションモードに入る。
【0106】
次いで画像選択ボタン47を押し、第二リファレンス画像32もしく第三リファレンス画像33を選択した上で、トラックボール16tを回転させ、ガイドライン55が表示されている断面を表示し、ガイドライン55の位置を確認する。ナビゲーションモードへの切替えは、「穿刺ガイド」ボタンを押した時点で自動的に切替えるような仕組みとしても良い。
図11には、第二リファレンス画像32上でガイドライン55の位置を確認した例を示しているので、第二リファレンス画像32上では、ガイドライン55が第二リファレンス画像32の中央、かつ表示画面の上下方向に沿って表示されている。
【0107】
また、第三リファレンス画像33上でガイドライン55が通過する軌跡、つまりガイドラインマーク56の位置を確認することもできる。この場合には、画像選択ボタン47を押し、第三リファレンス画像33に選択を切替えた上で、トラックボールを回転させ、ガイドラインマーク56が表示されている断面を表示させることによって、第三レファレンス画像33上のガイドラインマーク56の位置を確認することができる。
【0108】
次に、
図12に基づいて、
図2の超音波探触子Aを用いた場合について説明する。
図2に示すように超音波探触子Aは超音波放射面20、21を搭載しているので、以下では、超音波放射面21を使用した場合について説明するが、超音波放射面20及び
図2の超音波探触子Bについても、以下に説明する実施形態を適用することができる。
【0109】
図12に示すように、超音波探触子Aを用いた場合、超音波放射面21の深度方向が超音波探触子Aの進行方向に対して傾いているという特徴上、ガイドライン55は斜め方向に引かれる。
【0110】
したがって、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第三リファレンス画像33上には、超音波画像29、第一リファレンス画像31、第三リファレンス画像33上で穿刺針51が通過する位置にガイドラインマーク56を重畳表示し、第二リファレンス画像32上には、穿刺針51の進入経路を示すガイドライン55を表示する。この時、第二リファレンス画像32上に表示される超音波探触子2の位置を示すマーク37および第三リファレンス画像33上に表示される超音波探触子2の位置を示すマーク39は超音波探触子Bの各リファレンス画像における断面形状に合わせて表示する。ガイドライン55およびガイドラインマーク56の位置の確認は、超音波探触子
Cの場合と同様にナビゲーションモードに入り、トラックボールで行う。
【0111】
本実施形態によれば、被検体に穿刺する穿刺針51の位置及び姿勢を検出する第二位置検出手段(位置センサ52)と、検出された穿刺針51位置及び姿勢に基づき、穿刺針51の芯線の延長線の位置を算出する経路算出手段(経路算出部53)とを備え、リファレンス画像生成手段(リファレンス画像生成部12)は、算出された穿刺針51の芯線の延長線を示すマークを、リファレンス画像に重畳表示する。また、リファレンス画像生成手段(リファレンス画像生成部12)は、穿刺針51の芯線の延長線を含み、当該延長線と平行な断面からなるリファレンス画像を生成する。
【0112】
被検体に穿刺する穿刺針51の位置及び姿勢を検出する第二位置検出手段(位置センサ52と、検出された穿刺針51の位置及び姿勢に基づき、穿刺針51の芯線の延長線の位置を算出する経路算出手段と、算出された穿刺針51の芯線の延長線を示すマークを超音波画像に重畳表示する第二画像処理手段(画像処理部14)と、を更に備える。
【0113】
第一、第二、第三リファレンス画像31、32、33の互いの位置関係および穿刺針51が通過する位置を把握し易くなる。特に、被検体の体腔内で超音波探触子2を用いた穿刺を実施した場合、超音波探触子2の位置を目視することができないが、その場合であっても、穿刺針51が通過する部位を第一、第二、第三リファレンス画像31、32、33、超音波画像29及びガイド画像42で確認することが可能となるので、より安全に穿刺を実施することが可能となる。更に、超音波探触子の位置を示す表示も行うことで、超音波探触子の現在位置を基準とした穿刺針の進入経路を確認することもできる。