(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775168
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】粉末薬物用のマウスピースおよび応用例
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-543515(P2013-543515)
(86)(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公表番号】特表2014-502522(P2014-502522A)
(43)【公表日】2014年2月3日
(86)【国際出願番号】CN2011084070
(87)【国際公開番号】WO2012079524
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2013年11月22日
(31)【優先権主張番号】201010596111.5
(32)【優先日】2010年12月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513152687
【氏名又は名称】▲陳▼▲慶▼堂
【氏名又は名称原語表記】CHEN, Qingtang
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲慶▼堂
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼欣
【審査官】
安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−507876(JP,A)
【文献】
特開2005−265428(JP,A)
【文献】
特開2004−290491(JP,A)
【文献】
特開平11−089935(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/014827(WO,A2)
【文献】
国際公開第02/089875(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入管(1)とフィルタ部(2)とを備える粉末薬物用のノズルであって、中空の吸入管(1)の少なくとも一部分を備え、前記吸入管(1)の一方の端部は入口として構成され、他方の端部(16a)は出口として構成され、フィルタ部(2)は前記吸入管(1)内に設けられ、前記フィルタ部(2)は、少なくとも2層の中空カップを含み、若干大きなカップ(a)はより小さなカップ(b)を覆い、一方のカップの縁にある凸状ポイント(91)は他方のカップの凹状ポイント(92)と整合し、それによって2つのカップのオーバラップしている位置が固定され、一方のカップの中空構造(93)と他方のカップの中空構造(94)は2つの部分に分けられるが、前記2つのカップは前記2つのカップのオーバラップしている位置の間にある間隙を介して連通する、粉末薬物用のノズル。
【請求項2】
前記吸入管(1)はそれに連続的に続く吸入管の少なくとも一部分と整合し、前記吸入管によって形成される出口通路にある前記フィルタ部(2)はフィルタカップであり、前記フィルタ部(2)はシルクスクリーン、メッシュ、布、フィルム、若しくはバッグを含み、前記フィルタ部(2)は前記出口通路のどこかに配置される、または同じ仕様の1つ以上のフィルタ部(2)は異なる場所に配置される、または異なる仕様の1つ以上のフィルタ部(2)は別々に配置される、請求項1に記載の粉末薬物用のノズル。
【請求項3】
前記間隙の幅を10ミクロンとすると、10ミクロン未満の粒子は前記間隙を通ることができ、手で触ることによるカップの汚染を防止するために、最も外側のカップの壁部にはくぼみがなく、前記壁部の内側にあるいくつかの溝は前記カップの底部のくぼみ部(96)に直結する、請求項1または請求項2に記載の粉末薬物用のノズル。
【請求項4】
前記フィルタ部(2)のバッグは、前記フィルタカップ(a)内に存在し、支持部はバッグ口部にひっかける若しくは固定することによって前記バッグ内に配置され、または前記支持部は前記フィルタカップ(a)の口部上に固定する若しくはそこから離すことができる、請求項2に記載の粉末薬物用のノズル。
【請求項5】
前記フィルタ部(2)のメッシュ数、形状、寸法、および層は、5ミクロンよりも小さい粒子が通過でき、6ミクロンよりも大きい賦形剤が遮断されるように設定される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の粉末薬物用のノズル。
【請求項6】
前記ノズルは、様々なタイプの乾燥粉末吸入器と接続し、または少なくとも2つの前記ノズルは、様々なタイプの乾燥粉末吸入器と並列に接続する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の粉末薬物用のノズル。
【請求項7】
前記ノズルは、乾燥粉末吸入器、粉末薬物用のノズルを装着するボックス、受容デバイス、およびTurbuhaler(登録商標)などの様々なタイプの乾燥粉末吸入器と接続する、請求項6に記載の粉末薬物用のノズル。
【請求項8】
前記吸入管(1)と吸入器の出口の間に存在する接続用の基部(3)は、中央管状本体(31)とコネクタ(5)とを備え、前記中央管状本体(31)は前記吸入器の前記出口に挿入され、前記中央管状本体(31)の突起(32、33)は前記出口の内壁にひっかけられ、前記コネクタ(5)は前記吸入管(1)と接続し、または前記コネクタ(5)は少なくとも2つの吸入管(1)と並列に接続する、請求項6または請求項7に記載の粉末薬物用のノズル。
【請求項9】
整合用の内管(8)は、中空管であり、前記整合用の内管(8)の前方端部はテーパ状にされ、後方端部はトランペット状のチャンバであり、前記チャンバ内にて球状体(8a)はチャンバポート付近においてフェンス(8b)により遮られ、前記整合用の内管(8)の前記前方端部は前記吸入器の前記出口に直接挿入でき、または前記接続用の基部(3)の前記中央管状本体(31)に挿入できる、請求項8に記載の粉末薬物用のノズル。
【請求項10】
前記整合用の内管(8)の突起(8d)を前記接続用の基部(3)上のノッチ(5a)と整列させ、前記整合用の内管(8)を前記中央管状本体(31)に挿入し、位置を固定し、前記整合用の内管(8)の前方の弓形が前記吸入器の前記出口の弓形と嵌合できるようにし、それによって空気の漏れが防止され粉末薬物を適時に容易に吸入できるようになる、請求項8または請求項9に記載の粉末薬物用のノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関し、詳細には、他の乾燥粉末吸入器と別々または一緒に使用される粉末薬物用のノズルおよびその応用例に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の乾燥粉末吸入器を使用した喘息の吸入療法のGINA治癒率は5%と低い。吸入される粉末薬物の粒子は、集まる傾向にあり引き離すのが難しく、また十分な量の薬物の充填および分散が難しく、結果的に乾燥粉末中のラクトース含有量が98.8%と高くなってしまう。しかし、ラクトースを長期間吸入することにはいくつかの副作用がある。一方、ラクトースの摂取を楽にするために乾燥粉末の吸入を減らすことは、粉末薬物の減少につながり、それによって結果的に治療効果が低くなってしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許第ZL200510038681.1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、粉末薬物をろ過することができるノズルによって治療効果を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、吸入管(1)とフィルタ部(2)とを備える粉末薬物用のノズルであって、中空の吸入管(1)の少なくとも一部分を備え、吸入管(1)の一方の端部は入口として構成され、他方の端部(16a)は出口として構成され、フィルタ部(2)は吸入管(1)内に設けられる粉末薬物用のノズルによって達成される。
【0006】
本発明において、吸入管(1)はそれに連続的に続く吸入管の少なくとも一部分と整合し、吸入管によって形成される出口通路にあるフィルタ部(2)はフィルタカップである、またはシルクスクリーン、メッシュ、布、フィルム、若しくはバッグを含み、またはフィルタ部(2)は出口通路のどこかに配置される、または同じ仕様の1つ以上のフィルタ部(2)は異なる位置に配置される、または異なる仕様の1つ以上のフィルタ部(2)は別々に配置される。
【0007】
本発明において、フィルタ部(2)は、少なくとも2層の中空カップを備え、若干大きなカップ(a)はより小さなカップ(b)を覆い、一方のカップの縁にある凸状ポイント(91)は他方のカップの凹状ポイント(92)と整合し、それによって2つのカップのオーバラップしている位置が固定され、一方のカップの中空構造(93)と他方のカップの中空構造(94)は2つの部分に分けられるが、2つのカップは2つのカップのオーバラップしている位置の間にある間隙を介して連通している。間隙の幅を10ミクロンとすると、10ミクロン未満の粒子は間隙を通ることができる。手で触ることによるカップの汚染を防止するために、最も外側のカップの壁部にはくぼみ(hollow)がなく、壁部の内部にあるいくつかの溝はカップの底部のくぼみ部(96)に直結する。
【0008】
本発明において、フィルタバッグ(2)は、フィルタカップ(a)内に存在し、支持部はバッグ口部にひっかける若しくは固定することによってバッグ内に配置される、または支持部はフィルタカップ(a)の口部上に固定する若しくはそこから離すことができる。
【0009】
本発明において、フィルタ部(2)のメッシュ数、形状、寸法、および層は、必要に応じて、例えば、5ミクロンよりも小さい粒子が通過でき、6ミクロンよりも大きい賦形剤が遮断されるように設定される。
【0010】
本発明において、ノズルは、様々なタイプの乾燥粉末吸入器と接続する、または少なくとも2つのノズルは、様々なタイプの乾燥粉末吸入器と並列に接続する。
【0011】
本発明において、ノズルは、乾燥粉末吸入器、粉末薬物用のノズルを装着するボックス、受容デバイス、Turbuhaler(登録商標)、および特許文献1の吸入器などの様々なタイプの乾燥粉末吸入器と接続する。
【0012】
本発明において、吸入管(a)と吸入器の出口の間に存在する接続用の基部(3)は、中央管状本体(31)およびコネクタ(5)を備え、中央管状本体(31)は吸入器の出口に挿入され、中央管状本体(31)の突起(32、33)は出口の内壁にひっかけられ、コネクタ(5)は吸入管(1)と接続する、またはコネクタ(5)は少なくとも2つの吸入管(1)と並列に接続する。
【0013】
本発明において、整合用の内管(8)は中空管であり、整合用の内管(8)の前方端部はテーパ状にされ、後方端部はトランペット状のチャンバであり、チャンバ内にて球状体(8a)はチャンバポート付近においてフェンス(8b)により遮られ得る。整合用の内管(8)の前方端部は、吸入器の出口に直接挿入され得る、または接続用の基部(3)の中央管状本体(31)に挿入され得る。
【0014】
本発明において、接続用の基部(3)を吸入器の出口に挿入し、整合用の内管(8)の突起(8d)を接続用の基部(3)上のノッチ(5a)と整列させ、整合用の内管(8)を中央管状本体(31)内に挿入し、位置を固定し、整合用の内管(8)の前方の弓形が吸入器の出口の弓形と嵌合できるようにし、それによって空気の漏れが防止され、粉末薬物を適時に容易に吸入できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明には、粉末用のノズルが様々な乾燥粉末吸入器と接続でき、補完性効果があり有意な効果を達成することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による吸入管(1)およびフィルタ部(2)を示す断面図である。
【
図3】本発明による、整合用の内管(8)、球状体(8a)、およびフェンス(8b)を示す断面図である。
【
図4】(a)はフィルタ部(2)の外側中空カップの概略図であり、(b)はフィルタ部(2)の内側中空カップの概略図である。
【
図5】ジャケット管(jacket tube)(111)と共に吸入器に接続している、吸入管(1)および吸入管(11)を備えるノズルを示す断面図である。
【
図6】本発明のノズルと粉末薬物用のノズルを装着するボックスの底部の片側にある突起(45)との間における接続を示す図である。
【
図7】吸入管(1)、吸入管(11)、ジャケット管(111)の接続用の基部(3)との接続を示す図である。
【
図8】ノズル、ジャケット管(111)および接続用の基部(3)と受容デバイス(103)の接続を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、添付の図面と併せて、本発明の実施形態をさらに説明する。
【0018】
(実施例1)
粉末薬物用のノズル(
図1参照)。吸入管(1)の入口を上向きに配置してフィルタ部(2)を取り付け、粉末薬物を入口に注ぎ、吸入管(1)の出口(16a)を口に斜めに挿入し薬物を吸い込む。製造の際、吸入管(1)の入口を上向きにカーブするように作れば、薬物を注ぎ易くなり、また溢れ難くなる。出口(16a)の一端部を8cmまで長くすると、吸引率を向上させることができる。出口(16a)を2つにすれば、鼻からの使用が可能になる。使用後、吸入器を取り外して洗浄し、次に使用するために送風乾燥させる。
【0019】
(実施例2)
粉末薬物吸入器と粉末薬物用のノズルを接続する(
図5参照)。フィルタカップ(2)を吸入管(1)のチャンバ内に配置し、管(11)と管(1)とを接続してノズルを形成する。球状体(8a)を接続用の内管(8)内に配置し、球状体(8a)をフェンス(8b)によりトランペット状の口部に固定する。接続用の内管(8)を粉末薬物吸入器の出口(19a)内に配置し、ノズルと粉末薬物コネクタ(10)を接続し、ジャケット管(111)でノズルを覆い、コネクタ(10)に接続して新しい粉末薬物吸入器を形成する。吸入器の上側基部を開け、吸入用のカプセルをカプセルチャンバ内に配置し、押して破裂させてカプセルを壊す。薬物を出口から吸い込むと、球状体(8a)が振動し、それによって粉末薬物が賦形剤から分離されてフィルタカップ(2)を通過する。賦形剤はフィルタカップ(2)で遮断される。フィルタを通った粉末薬物は、すぐに人間の気道に入る。この吸入器から不用意に吸い込むと、球状体(8a)が管の細い部分を遮断し、それによって、吸入器からの粉末薬物の吸引を防止する。
【0020】
(実施例3)
Seretide(103)を吸入状態に回転させて出口を露出させ、出口に接続用の基部(3)上の中央管状本体(31)を挿入し、整合用の内管(8)上の突起(8d)を接続用の基部(3)上のノッチ(5a)と整列させ、中央管状本体(31)中に挿入する。ノズルと接続用の基部(3)上のコネクタ(5)を接続し、最後に使用のためにジャケット管(111)をつける(
図7、8参照)。
【0021】
本実施形態において、本発明に関与する部分は、プラスチック射出、金属、または新材料で作ることができる。諸部分は、個々に製造して接続することで互いに組み合わせることができる。