(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775178
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】N−置換ピリジニウム化合物の調製のための方法および物質
(51)【国際特許分類】
C07D 213/50 20060101AFI20150820BHJP
C07C 225/14 20060101ALI20150820BHJP
C07H 19/207 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
C07D213/50
C07C225/14CSP
C07H19/207
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-550851(P2013-550851)
(86)(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公表番号】特表2014-511360(P2014-511360A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】EP2012050996
(87)【国際公開番号】WO2012101095
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2014年1月24日
(31)【優先権主張番号】11152201.7
(32)【優先日】2011年1月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ゲバウアー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ハインドル,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ホルン,カリーナ
【審査官】
伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/012271(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/012270(WO,A1)
【文献】
特開昭64−026560(JP,A)
【文献】
Wypych, Jean-Charles; Nguyen, Tuan Minh; Benechie, Michel; Marazano, Christian,Reaction of Aldimine Anions with Vinamidinium Chloride: Three-Component Access to 3-Alkylpyridines and 3-Alkylpyridinium Salts and Access to 2-Alkyl Glutaconaldehyde Derivatives,Journal of Organic Chemistry,2008年,73(3),1169-1172
【文献】
Sanchez-Salvatori, Maria del Rayo; Lopez-Giral, Angela; Ben Abdeljelil, Kamel; Marazano, Christian,3-Substituted pentadienals derivatives from condensation of imines anions to malonaldehyde equivalents. A C-C-C+C-C+N type entry to 3-alkyl substituted pyridinium salts,Tetrahedron Letters,2006年,47(31),5503-5506
【文献】
ARNOLD Z,THE PREPARATION OF SUBSTITUTED PENTAMETHINIUM SALTS,COLLECTION OF CZECHOSLOVAK CHEMICAL COMMUNICATIONS,CZ,INSTITUTE OF ORGANIC CHEMISTRY & BIOCHEMISTRY,1965年 1月 1日,V30 N1,P40-46
【文献】
Nguyen, Tuan Minh; Sanchez-Salvatori, Maria del Rayo; Wypych, Jean-Charles; Marazano, Christian,Aminopentadiene Imines from Zincke Salts of 3-Alkylpyridines. Application to a Synthesis of Pyridinium Salts from Amino Acids,Journal of Organic Chemistry,2007年,72(15),5916-5919
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
C07H
CAPLUS/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)式Iに示すペンタメチニウム塩を提供する工程、
【化1】
式中、
X
−は対イオンであり、
R1は
C1〜C10アルキル、C6〜C30アリールおよび6〜30原子を有するヘテロアリールからなる群から選択され、そして
R2〜R5は独立してメチルまたはエチルであり、
b)工程(a)のペンタメチニウム塩を式IIの第1級アミンと反応させる工程、
【化2】
式中、R6は線状、分枝状、または環状の、場合により置換されたアルキルであり、
c)それにより式IIIのN−置換ピリジニウム化合物を得る工程、
【化3】
式中、X
−、R1、およびR6は上記で定義された通りである;
を含む、N−置換3−アルキルカルボニル、3−アリールカルボニルまたは3−ヘテロアリールカルボニルピリジニウム化合物の合成方法。
【請求項2】
R1がメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはイソプロピルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R2〜R5がメチルである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式IIに示す第1級アミンが3−アミノ−5−[(ホスホノオキシ)メチル]−1,2−シクロ−ペンタンジオールである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
式IIに示す第1級アミンが(1R,2S,3R,5R)−3−アミノ−5−[(ホスホノ−オキシ)メチル]−1,2−シクロ−ペンタンジオールである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
式IIに示す第1級アミンが(1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−1−アミノシクロペンタンである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
式Iの化合物であって、
【化4】
式中、
X
−は対イオンであり、
R1はC1〜C10アルキル、C6〜C30アリールおよび6〜30原子を有するヘテロアリールからなる群から選択され、そして
R2〜R5は独立してメチルまたはエチルである、前記化合物。
【請求項8】
R1がC1〜C10アルキルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R1がメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびイソプロピルからなる群から選択される、請求項7または8に記載の化合物。
【請求項10】
R1がメチルである、請求項9に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンタメチン前駆体を第一級アミンと反応させることによるN−置換3−アシル化ピリジニウム化合物の合成のための方法に関する。この反応において、N−置換3−アシル化ピリジニウム複素環が形成される。
【背景技術】
【0002】
ピリジニウム化合物は、例えば薬物設計において、または有機合成のための、特に天然産物合成における一般的な中間体として、特別に興味深い(Cheng, W.-C. and Kurth, M.J., Organic Preparations and Procedures International 34 (2002) 585-608)。本発明に従う置換ピリジニウム化合物のあるものは、NADおよびその誘導体の合成において、ならびにNAD類似体およびその誘導体の合成において、それぞれ非常に有用である。
【0003】
置換ピリジニウム化合物の生成における標準的な合成経路は、ピリジン誘導体のアルキル化による。しかし、この反応は第1級アルキルハライドを用いる場合にのみ好都合である。第2級または第3級アルキルハライドを用いる場合、望まれない副反応として脱離が起き、収率は一般に低い。さらに、アルキル化がハロゲン原子が不斉炭素原子に結合したアルキルハライドを用いて実施される場合、求核置換反応の間にラセミ化が起こり得る。
【0004】
全てのこれらの限界は“Zincke反応”を用いることにより克服され、それはZincke塩類のアルキルまたはアリールアミン類との反応に基づいている。Zincke塩類は活性化されたピリジニウム塩類であり、それは第1級アミン(R−NH2)と反応することができ、ここで2または6位それぞれの窒素において開環が誘導され、今度はそれに続いて閉環が起きてR−置換ピリジニウム化合物になる。そのZincke反応はヒドラジン類、ヒドロキシルアミン類およびカルボン酸ヒドラジド類を用いて実施することもできる。これらのタイプのZincke反応は、溶液中での有機合成のために、または固相有機合成のために用いられる(Eda, M. et al., J. Org. Chem. 65 (2000) 5131-5135)。
【0005】
当技術において、望まれるZincke塩類を調製するための主な方法は、ピリジン誘導体を2,4ジニトロハロベンゾール、好ましくは2,4ジニトロクロロベンゾールおよび2,4ジニトロブロモベンゾールと反応させることによる。
【0006】
上記の現状技術のプロセスの記述から明らかであるように、現在用いられている活性化試薬は、毒性であるか、爆発性であるか、または他の点で危険であるかのいずれかであり、従って小規模の研究での適用に限られている。Zincke反応を自然にやさしい様式で、例えばマイクロ波に支援される合成を用いることにより実施する散発的試みが存在する。しかし、この試みはまだ爆発性のジニトロフェニル化合物に頼っており、爆発予防手段を取らずにこの方法をスケールアップすることは不可能である(Vianna, G.H.R. et al., Letters in Organic Chemistry 5 (2008) 396-398)。
【0007】
Zincke法の別の主な限界は、3−アシル置換ピリジン類のような電子不足反応物は2,4−ジニトロハロゲン化ベンゼン類と反応して対応するZincke塩類になることがほとんどないという事実である(Genisson, Y. et al., Synlett. 5 (1992) 431-434)。
【0008】
従って、N−置換アシルピリジニウム化合物の合成を、例えば危険な活性化試薬を避けることにより向上するかなりの必要性が存在する。新規のより危なくない方法は、そのような化合物のはるかに大きな規模でのより安全な生産手順を、そしてより容易でより危険性が低くより効率的な生産を可能にするはずである。
【0009】
様々な2−アルキルアミノペンタジエンイミン誘導体が酸性条件下でNH4OAcまたは第1級アミン(R−NH2)と反応してそれぞれ対応する3−アルキル化ピリジン類、1−R−3−アルキル置換ピリジニウム化合物になることが知られている。必要とされる2−アルキルアミノペンタジエンイミン化合物は、アルデヒド類のN−tertブチルイミノ誘導体をLDAを用いて脱プロトン化して塩化ビナミジニウムと反応させることから入手可能である(Wypych, J.C. et al., J. Org. Chem. 73 (2008) 1169-1172)。
【0010】
しかし、この方法の有用性は残念ながら限られている。反応性の基、例えばアシル官能基はアミノペンタジエンイミン系の2位において導入することができず、それは例えば1−R−3−アシル置換ピリジニウム化合物の合成に関する必要条件であろう。
【0011】
驚くべきことに、先行技術の手順の不都合のかなり多くを本発明により開示されるような物質および方法の使用により克服することができることが分かっている。本発明に従う方法において、まずアミノペンタジエンイミニウム化合物が提供される。第1級アミン(R6−NH2)を用いたこの化合物のその次の反応が、1位においてR6で置換された対応するピリジニウム化合物をもたらす。本明細書において下記で開示される方法は、上記で言及した危ない活性化試薬を回避する。さらに、そのN−置換ピリジニウム誘導体の形成はほとんど定量的であり、容易にスケールアップすることができる。
【0012】
すべてのこれらの発見に基づいて、当技術から既知の問題の多くを回避し、克服することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Cheng, W.-C. and Kurth, M.J., Organic Preparations and Procedures International 34 (2002) 585-608
【非特許文献2】Eda, M. et al., J. Org. Chem. 65 (2000) 5131-5135
【非特許文献3】Vianna, G.H.R. et al., Letters in Organic Chemistry 5 (2008) 396-398
【非特許文献4】Genisson, Y. et al., Synlett. 5 (1992) 431-434
【非特許文献5】Wypych, J.C. et al., J. Org. Chem. 73 (2008) 1169-1172
【発明の概要】
【0014】
本発明は、以下の工程を含む、N−置換3−アシルピリジニウム化合物の合成のための方法に関する:a)アシルペンタメチニウム塩を提供する工程、b)工程(a)のペンタメチニウム塩を第1級アミンと反応させる工程、そしてc)それによりN−置換3−アシルピリジニウム化合物を得る。
【0015】
このアプローチは、NADおよびカルバNAD(=cNAD)のようなNAD類似体それぞれの合成において非常に有用である。
新規のアシルペンタメチニウム化合物も開示する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、cNADH(破線)、cNADPH(実線)およびアセチル−cNADH(点線)の吸収スペクトルを図説する。アセチル−cNADHに関する吸収極大は約380nmにあり、400nm以上の波長においてさえも著しい吸収が見られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1態様において、本発明は、以下の工程を含む、N−置換3−アルキルカルボニル、3−アリールカルボニルまたは3−ヘテロアリールカルボニルピリジニウム化合物の合成のための方法に関する:a)アシルペンタメチニウム塩を提供する工程、b)工程(a)のペンタメチニウム塩を第1級アミンと反応させる工程、そしてc)それによりN−置換3−アルキルカルボニル、3−アリールカルボニルまたは3−ヘテロアリールカルボニルピリジニウム化合物を得る。
【0018】
好ましい態様において、本発明は、以下の工程を含む、N−置換3−アルキルカルボニル、3−アリールカルボニルまたは3−ヘテロアリールカルボニルピリジニウム化合物の合成のための方法に関する:
a)式Iに示すペンタメチニウム塩を提供する工程、
【0020】
式中、X
−は対イオンであり、R1はアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、R2〜R5は独立してメチルまたはエチルであり、b)工程(a)のペンタメチニウム塩を式IIの第1級アミンと反応させる工程、
【0022】
式中、R6は線状、分枝状、または環状の、場合により置換されたアルキルであり、c)それにより式IIIのN−置換ピリジニウム化合物を得て、
【0024】
式中、X
−、R1、およびR6は上記で定義された通りである。
適切かつ好ましい対イオン(X
−)は、ドデシル硫酸、塩化物、PF6
−、BF4
−、およびClO4
−である。好ましくは、その対イオンはドデシル硫酸、テトラフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートである。
【0025】
1態様において、用語アルキルは線状、分枝状および環状C1〜C10アルキル残基を含む。1態様において、用語アリールは6〜30個のC原子を有するアリール残基に関する。アリールは例えばフェニルもしくはナフチルまたは5個までの縮合したベンゼン環の総数を有するより高度な縮合芳香族多環である。1態様において、本発明のヘテロアリール基は合計で6〜30個の原子(6〜30原子)を有する。ヘテロアリールは好ましくはS、OおよびNから選択される5個までのヘテロ原子を含む。ヘテロアリールは例えばフラニル、チオフェニルおよびピリジルまたはイミダゾイルであり、それは例えばキノリンまたはベンゾフランにおけるようにアリール環に縮合していてよい。
【0026】
1態様において、アルキルはC1〜C10アルキルであり、アリールはC6〜C30アリールであり、ヘテロアリールは6〜30原子のヘテロアリール(=6〜30原子ヘテロアリール)である。
【0027】
あらゆるアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、所与の反応条件下で不活性であるあらゆる置換基により置換され得る。当業者には、そのような不活性な置換基を選択することは標準的である。
【0028】
本発明に従う方法は、アルキルカルボニル、アリールカルボニルならびにヘテロアリールカルボニルピリジニウム化合物を生成するのに適切である。
1態様において、本発明に従う方法は式Iに示すペンタメチニウム化合物を用いて実施され、ここでR1はメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはイソプロピルである。1態様において、本発明はR1がCH3である本発明に従う方法におけるペンタメチニウム塩の使用に、すなわちN−置換3−アセチルピリジニウム化合物の生成に関する。
【0029】
1態様において、本発明に従う方法は、R2〜R5がメチルである式Iに示すペンタメチニウム化合物を用いて実施される。
好ましい態様において、本発明は、以下の工程を含む、N−置換3−アルキルカルボニルピリジニウム化合物の合成のための方法に関する:
a)式Iに示すペンタメチニウム塩を提供する工程、
【0031】
式中、X
−は対イオンであり、R1はC1〜C10アルキルであり、R2〜R5は独立してメチルまたはエチルであり、b)工程(a)のペンタメチニウム塩を式IIの第1級アミンと反応させる工程、
【0033】
式中、R6は線状、分枝状、または環状の、場合により置換されたアルキルであり、c)それにより式IIIのN−置換ピリジニウム化合物を得て、
【0035】
式中、X
−、R1、およびR6は上記で定義された通りである。
上記で定義されたように、R6は好ましくは線状または分枝状、または環状の、場合により置換されたアルキルである。好ましい態様において、アルキルは線状C1〜C6アルキル、もしくは分枝状C3〜C6アルキル、もしくは環状C5〜C6アルキルであり、または置換されたアルキルは置換された線状C1〜C6、もしくは置換された分枝状C3〜C6、もしくは置換された環状C5〜C6アルキルである。好ましくは、式IIに示す化合物は線状もしくは分枝状アルキルアミンであり、またはフラノシルアミンもしくはシクロペンチルアミンである。1態様において、R6はフラノシルまたはシクロペンチル残基である。
【0036】
驚くべきことに、本発明に従う合成は望まれる生成物の非常に高い収率を有することが分かっている。従って、塩基性条件にも関わらず、CH酸アシル官能基(CH acid acyl function)による著しい副反応は観察することができなかった。
【0037】
本発明に従う方法は、アシルピリジニウム誘導体の合成において特に有用である。例えば我々は、例えばペンタメチニウム塩である5−ジメチルアミノ−4−アセチル−ペンタ−2,4−ジエニリデン−ジメチルアンモニウム テトラフルオロボレートが異なる第1級アミン(R−NH2)により1工程で環化して対応する1−R−3−アシル置換ピリジニウム化合物になることを見出した。この方法を用いて、例えば3−アセチル−1−[2,3−ビスヒドロキシ−4−(ホスホノオキシ)メチル−シクロペンチル]−ピリジニウムを、例えばジイソプロピルエチル−アンモニウム塩として得ることが可能である。この化合物は、カルバNAD(=cNAD)の3−アセチル誘導体の合成における優秀な前駆体である。
【0038】
1態様において、本発明に従う方法は、3−アミノ−5−(ホスホノオキシメチル)−1,2−シクロ−ペンタンジオールである式IIに示す第1級アミンを用いて実施される。この式IIに示す化合物は、2,3−ジヒドロキシ−4−ホスホノ−オキシメチル−1−アミノシクロペンタンとして、またはリン酸モノ−(4−アミノ−2,3−ジヒドロキシ−シクロペンチルメチル)エステルとしても知られている。当業者は理解するであろうように、この化合物および関連する他の好ましい化合物は好都合には二アンモニウム塩として提供される。
【0039】
1態様において、本発明に従う方法は、(1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ホスホノ−オキシメチル−1−アミノシクロペンタンである式IIに示す第1級アミンを用いて実施される。
【0040】
1態様において、本発明に従う方法は、(1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−1−アミノシクロペンタンである式IIに示す第1級アミンを用いて実施される。
【0041】
驚くべきことに、例えば実施例の節において開示される方法により、新規のペンタメチニウム化合物を生成し、公衆に提供することが可能であることが分かっている。1態様において、本発明は式Iの化合物に関し、
【0043】
式中、X
−は対イオンであり、R1はC1〜C10アルキル、C6〜C30アリールおよび6〜30原子を有するヘテロアリールからなる群から選択され、R2〜R5は独立してメチルまたはエチルである。
【0044】
1態様において、本発明は、R1がC1〜C10アルキルである、式Iに示すペンタメチニウム化合物に関する。
1態様において、本発明は、R1がメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびイソプロピルからなる群から選択される、式Iに示すペンタメチニウム化合物に関する。
【0045】
1態様において、本発明は、R1がメチルである、式Iに示すペンタメチニウム化合物に関する。
実施例の節において示される実験の焦点は、ペンタメチニウム塩である5−ジメチルアミノ−4−アセチル−ペンタ−2,4−ジエニリデン−ジメチルアンモニウム テトラフルオロボレートの3−アミノ−5−[(ホスホノオキシ)メチル]−1,2−シクロ−ペンタンジオール ジアンモニウム塩を用いた変換にあった。リン酸化アミノ糖は、例えば対イオンとしてのテトラフルオロボレートの存在下で、ペンタメチニウム塩とほとんど定量的に反応してN−置換3−アセチルピリジニウム誘導体が得られることが分かっている。
【0046】
しかし、示した方法は、他の第1級アミンに拡張することができる。当業者が理解しているように、そのような第1級アミンはさらにその環化反応を妨げない置換基を含むことができる。好ましい態様において、その化合物R6−NH2は置換された第1級アルキルアミンである。
【0047】
本発明に従う方法における使用のための好ましい置換された第1級アルキルアミンは、アミノアルコール類およびアミノ酸の純粋な立体異性体である。
好ましくは、アミノアルコール類はあらゆる天然存在アミノ酸またはあらゆる商業的に入手できる非天然アミノ酸に由来する。好ましくは、そのアミノアルコール類は、セリノール、スレオニノール、フェニルアラニノール、2,5−ジアミノ−1−ペンタノール(オルニチンから)、2,6−ジアミノ−1−ヘキサノール(リシンから)からなる群から選択される。
【0048】
式IIに示す化合物がアミノ酸である場合、そのアミノ酸はあらゆる天然存在アミノ酸またはあらゆる非天然アミノ酸から選択されてよい。好ましい態様において、そのアミノ酸は天然存在アミノ酸または非天然存在の、好ましくは商業的に入手できるアミノ酸のどちらかである。好ましくは、式IIに示す化合物は、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、オルニチン、リシン、およびロイシンから選択されるアミノ酸である。
【0049】
望まれるならば、さらなる代替の態様において、ジ−ピリジニウムまたはポリ−ピリジニウム化合物を形成するために、アミノ基が保護されていないジ−またはポリアミン類を2当量以上のペンタメチニウム塩と反応させることができる。
【0050】
フラノシル糖部分またはそのようなフラノシル糖部分の類似体で置換されたアミンも好ましい第1級アミンであり、それは場合によりOH基においてリン酸化されており、または保護されたヒドロキシル基を含み、一方でその保護基はベンジル、アセタール、シリルおよびトリチルであり、またはOH基の代わりにFまたはメトキシ基を含む。好ましくは、NADまたはニコチンアミドモノヌクレオシドおよびそれらの類似体の合成に適したフラノシル糖またはそのような類似体が用いられる。
【0051】
NADまたはニコチンアミドモノヌクレオシドおよびそれらに対する類似体の合成のためのフラノシルアミン類の使用は、以下の参考文献において詳細に記述されている:Kam, B.L. et al., Biochemistry 26 (1987) 3453-3461; Sicsic, S. et al., European Journal of Biochemistry 155 (1986) 403-407; Kam, B.L. and Oppenheimer, N.J., Carbohydrate Research 77 (1979) 275-280;および米国特許第4,411,995号。
【0052】
好ましいフラノシルアミン類は、D−およびL−リボース、キシロースおよびアラビノースのベータおよびアルファアミノアノマー類である。
ベータ−D−リボフラノシルアミン類、2−デオキシリボフラノシルアミン、または2,3−ジデオキシ−リボシルフラノシルアミンのようなフラノシルアミン類のカルバ類似体であるシクロペンチルアミン類、すなわち(1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−1−アミノシクロペンタン、(1S,3R,4R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−シクロ−ペンタンメタノール、または(1R−シス)−3−アミノ−シクロペンタン−メタノールも好ましい。
【0053】
1態様において、本発明において開示される方法は、NAD類似体であるカルバNAD(=cNAD)の、およびその類似体の合成においてそれぞれ用いられる。それはcNADのアセチル化誘導体の合成において特に有用である。カルバNADおよびその好ましい使用がWO 2007/012494において詳細に記述されている。WO 2007/012494の完全な開示を本明細書に援用する。本発明に従う方法における好ましい態様において、ペンタメチニウム塩は第1級アミンと反応し、ここで前記の第1級アミンは(1R,2S,3R,5R)−3−アミノ−5−[(ホスホノオキシ)メチル]−1,2−シクロ−ペンタンジオール 二アンモニウム塩である。5−ジメチルアミノ−4−アセチル−ペンタ−2,4−ジエニリデン−ジメチルアンモニウム テトラフルオロボレートをこの第1級アミンと反応させることは、(1R,2S,3R,4R) 3−アセチル−1−[2,3−ビスヒドロキシ−4−(ホスホノ−オキシ)メチル−シクロペンチル]−ピリジニウム(ジイソプロピルエチルアンモニウム塩)の形成につながり、それはcNADのアセチル類似体の合成への鍵である(アセチルcNADは、カルボキサミド基がアセチル基により置換されている化合物を指す)。カルバNADおよび類似体ならびにその好ましい使用がWO 2007/012494において詳細に記述されている。WO 2007/012494の完全な開示を本明細書に援用する。
【0054】
他の好ましい置換された第1級アミンは、3−アミノテトラヒドロフラン類または保護された3−アミノ−ピロリジン類、例えば(2R,4R)−4−アミノテトラヒドロフラン−2−メタノール(2,3−ジデオキシリボシルアミンの複素環式類似体)、シクロヘキシルアミン類およびシクロヘキサ−2−エニルアミン類、例えばGoulioukina, N. et al., Helvetica Chimica Acta 90 (2007) 1266-1278により開示されたような6環糖(6 ring sugar)類似体から選択される。
【0055】
リン酸化アミノ糖の好ましい例は、(1R,4S,6S)−4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−メタノール−1−(二水素ホスフェート)、2−アミノ−1,5−アンヒドロ−2−デオキシ−6−(二水素ホスフェート) D−アルトリトール、および2−アミノ−1,5−アンヒドロ−2,3−ジデオキシ−6−(二水素ホスフェート) D−アラビノ−ヘキシトールである。
【0056】
当業者は理解するであろうように、追加の主に求核性の置換基を有する第1級アミンを用いることさえできる。この場合、そのさらなる求核基は適切な保護基により保護されなければならない。保護基は当技術から周知であり、標準的な教科書において概説されている(Greene, T.W., Protective groups in organic synthesis, John Wiley&Sons, Inc. (1981) ニューヨーク、チチェスター、ブリズベン、トロント)。好ましくは、アミノ基はboc−、フタロイル−またはトリフルオロアセチル−保護基により保護され、メルカプト基はジスルフィドとして保護される。
【0057】
驚くべきことに、本発明者らにより、発光波長がアセチル化されていないNADおよび/またはcNAD形態と比較した場合により長い波長(400nm)へとシフトしていることも分かっている。これは、(生物学的)試料中に含まれる自己蛍光化合物からの干渉を回避するために、重要な利点である。
【0058】
以下の実施例および図は本発明の理解を助けるために提供されており、その真の範囲は添付された特許請求の範囲において述べられている。述べられた手順において本発明の精神から逸脱することなく修正を行うことができることは理解されている。
【実施例】
【0059】
実施例1.1
((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−カルバミン酸 9H−フルオレン−9−イルメチルエステルの合成
【0060】
【化8】
【0061】
(1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシルメチル)−1−アミノシクロペンタン 塩酸塩(70.0g,380mmol)を水(660ml)中で溶解させ、ジオキサン(2.00 l)中で溶解させたFmocOSU(N−(9−フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)−スクシンイミド)(148.5g,440mmol)を添加した。次いで飽和した炭酸水素ナトリウム溶液(800ml,880mmol)をゆっくりと添加した。その混合物を、TLC(シリカゲル Merck 60、クロロホルム/メタノール/酢酸 8:2 + 0.1% v/v/v)がその遊離体(educts)の完全な消費を示すまで、室温で3時間撹拌した。得られた沈殿を濾別し、その濾液を水(6.00 l)に添加した。結果として得られた懸濁液を5分間撹拌し、次いで4℃で12時間保管した。結果として得られた懸濁液を濾過した。得られた固体を冷水(3.00 l)で洗浄し、塩化カルシウム上で45℃において減圧下で12時間乾燥させた。さらなる精製のため、その粗生成物を酢酸エチル中で懸濁し、1時間撹拌し、濾過し、減圧下で乾燥させると、134g(95%)の表題化合物が白色固体として得られた。
【0062】
実施例1.2:
((3aS,4R,6R,6aR)−6−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イル)−カルバミン酸 9H−フルオレン−9−イルメチルエステルの合成
【0063】
【化9】
【0064】
((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−カルバミン酸 9H−フルオレン−9−イルメチルエステル(115g,310mmol)、2,2−ジメトキシプロパン(360ml,3.10mol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(118g,620mmol)を、乾燥アセトン(2.00 l)中で溶解させた。その混合物を、TLC(シリカゲル Merck 60、クロロホルム/メタノール/酢酸 9:1 + 0.1% v/v/v)に従う出発物質の完全な消費まで、室温で3.5時間撹拌した。結果として得られた懸濁液を0℃で15分間撹拌し、その沈殿を濾別し、冷アセトンで洗浄した。得られた褐色固体を再度ジエチルエーテル(800ml)中で懸濁し、20分間撹拌し、濾別し、ジエチルエーテル(400ml)で洗浄し、減圧下で8時間乾燥させると、116g(91%)の表題化合物が得られた。
【0065】
実施例1.3:
((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ホスホノ−オキシメチル−シクロペンチル)−カルバミン酸 9H−フルオレン−9−イルメチルエステルの合成
【0066】
【化10】
【0067】
温度計を取り付けた三つ口フラスコに、((3aS,4R,6R,6aR)−6−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−シクロペンタ[1,3]ジオキソール−4−イル)−カルバミン酸 9H−フルオレン−9−イルメチルエステル(146g,357mmol)を、続いて乾燥リン酸トリメチル(1.80 l)を入れ、固体がほとんど完全に溶解した。氷浴を用いた冷却下で、乾燥リン酸トリメチル(200ml)中で溶解させた新しく蒸留したオキシ塩化リン(phosphoroxychloride)(305ml,3.33mol)を、その混合物の温度が10℃より上に上がらないように注意して1時間の期間をかけて滴加した。同じ条件下で乾燥ピリジン(80.0ml,991mmol)を添加し、その混合物を氷冷の下で2時間撹拌した。その混合物を室温で1時間そのままにした後、それを炭酸水素ナトリウム(7.00 l)の飽和溶液中に3時間の期間をかけてゆっくりと滴下した。その反応混合物が熱くなっている場合、それを氷浴を用いて冷却する。完全に添加した後、その混合物はまだ酸性(pH=2)である。結果として得られた懸濁液を4℃で12時間保管する。得られた沈殿を濾別し、その濾液を塩化ナトリウムの飽和溶液(30.0 l)と共に撹拌した。続いてその混合物を4℃で12時間そのままにし、結果として生じた沈殿を濾別または遠心分離した。その残留物を水(13.0 l)に添加し、2時間強く撹拌した。より遅い撹拌の下で、湿ったdiaion(Supelco HP−20)(5.00 l)を添加し、その混合物をさらに45分間撹拌した。続いてそのdiaionをデカントし、同じ方法で水(5.00 l)で2回洗浄した。装填された(loaded)diaionをクロマトグラフィーカラム中に充填し、25%イソプロパノールで溶離すると、76.0g(46%)の表題化合物が得られた。
【0068】
実施例1.4:
(1R,2S,3R,5R)−3−アミノ−5−[(ホスホノ−オキシ)メチル]−1,2−シクロ−ペンタンジオール ジアンモニウム塩の合成
【0069】
【化11】
【0070】
((1R,2S,3R,4R)−2,3−ジヒドロキシ−4−ホスホノ−オキシメチル−シクロペンチル)−カルバミン酸 9H−フルオレン−9−イルメチルエステル(42.4g,94.3mmol)をメタノール(200ml)中で懸濁し、続いてアンモニア溶液(H
2O中25%、500ml)を添加した。その混合物を室温で12時間撹拌した。結果として生じた沈殿を濾別し、その濾液を減圧下で蒸発させた。その残留物を水(500ml)中で溶解させ、凍結乾燥すると、24.4g(99%)の表題化合物が得られた。
【0071】
実施例2:
ピリジニウム テトラフルオロボレートの合成
【0072】
【化12】
【0073】
テトラフルオロホウ酸(250ml,2.00mol)を冷(0℃)ピリジン(157.7ml,1.95mol)に25分以内に添加し、無色の沈殿が得られた。その酸を完全に添加した後、その混合物を同じ温度でさらに30分間撹拌した。次いでその反応混合物を濾過した。その残留物を冷エタノールで2回洗浄し、高真空において12時間乾燥させると、201.9g(60%)のピリジニウム テトラフルオロボレートが無色の結晶として得られた。
【0074】
実施例3:
5−ジメチルアミノ−4−アセチル−ペンタ−2,4−ジエニリデン−ジメチルアンモニウム テトラフルオロボレートの合成
【0075】
【化13】
【0076】
ピリジニウム テトラフルオロボレート(2.21g,13.3mmol)を、(3E)−4−(ジメチルアミノ)−3−ブテン−2−オン(1.54ml,13.3mmol)の13.5mlの無水酢酸/酢酸(2:1)中における溶液に添加した。結果として得られた懸濁液を0℃に冷却し、3−ジメチルアミノアクロレイン(1.33ml,13.3mmol)を、強い撹拌および氷浴による冷却の下で1時間の期間をかけて添加し、赤褐色の沈殿が得られた(receiving)。その冷反応混合物を濾過し、残った固体をジエチルエーテルで数回洗浄し、減圧下で乾燥させた。そのペンタメチニウム塩がオレンジ色の粗生成物(2.69g,96%)として得られ、それをそれ以上一切精製せずに用いた。
【0077】
実施例4:
3−アセチル−1−[(1R,2S,3R,4R)−2,3−ビスヒドロキシ−4−(ホスホノオキシ)メチル−シクロペンチル]−ピリジニウム ジイソプロピルエチルアンモニウム塩の合成
【0078】
【化14】
【0079】
(1R,2S,3R,5R)−3−アミノ−5−[(ホスホノオキシ)メチル]−1,2−シクロ−ペンタンジオール ジアンモニウム塩(3.22g,12.3mmol)を20.0mlのメタノール/H
20(1:1)中で溶解させた。次いでジイソプロピルエチルアミン(4.00ml,23.0mmol)を添加し、続いて減圧下で蒸発させた。この手順を2回繰り返した。その得られた乾燥した固体を100.0mlのMeOH中で懸濁し、5−ジメチルアミノ−4−アセチル−ペンタ−2,4−ジエニリデン−ジメチルアンモニウム テトラフルオロボレート(2.49g、8.83mmol、実施例3からの粗生成物)を添加した。その懸濁液をジイソプロピルエチルアミン(3.06ml,17.6mmol)と共に混合し、45分間還流した。冷却して室温まで下げた後、300mlの酢酸エチルを添加した。結果として生じた沈殿を濾別し、減圧下で短時間乾燥させた。得られた固体を水中で溶解させ、活性炭(5.00g)を用いて精製し、濾過し、凍結乾燥すると、3.47gの強い吸湿性の赤褐色の固体が得られた(そのピリジニウム塩の85%に相当する)。この予備精製した物質は主に表題化合物を含有しており(HPLC/MSによる)、それをその時点の純度でさらなる反応のために用いた。
【0080】
実施例5:
アセチルcNADの(酵素的)合成
【0081】
【化15】
【0082】
3−アセチル−1−[(1R,2S,3R,4R)−2,3−ビスヒドロキシ−4−(ホスホノオキシ)メチル−シクロ−ペンチル]−ピリジニウム ジイソプロピルエチルアンモニウム塩(3.55g,7.71mmol)、ATP二ナトリウム塩(6.99g,11.6mmol)および塩化マグネシウム六水和物(568mg,2.79mmol)を180mlの水中で溶解させた。pHを10M NaOHを用いて7.5に設定した後、Axxora ALX−201−238からのニコチンアミドモノヌクレオチドアデニリルトランスフェラーゼNMNAT3(ヒト、組み換え)(EC 2.7.7.1)(3.00ml,162U/g)の酵素懸濁液を添加した。その混合物を37℃で撹拌した。16時間後、再度1.00mlの酵素懸濁液を添加した。さらに8時間後にこの手順を繰り返した。37℃でさらに16時間撹拌した後、リン酸化アミノ糖のほとんどが反応して表題化合物になっていた(HPLC/MSによる)。
【0083】
実施例6:
アセチルcNAD、cNAD、cNADPの酵素還元
アセチルcNADHおよび比較のためにcNAD、cNADPを、GlucDH mut 2(WO2010/094632)を用いることにより、以下の条件を用いて還元した:
化学物質:
NaCl(Merck.1.02406.0080)
トリス(708 976、Rocheから)
D(+)−グルコース一水和物 p.a.(Merck 8342)
アセチル−cNAD(遊離酸)
再蒸留水(Bidest. water)(Millipore)
HCl 1N(Merck 1.09973.0001)
希釈緩衝液(NaCl 0.2mol/l;トリス0.1mol/l;pH8.5)を以下のように調製した:
11.7gのNaClおよび12.1gのトリス(=トリス(ヒドロキシエチル)アミン)を900mlの再蒸留水中で溶解させ、そのpHをHCL(1N)の添加によりpH8.5に調節し、再蒸留水を加えて1.00 lにした。
【0084】
グルコース溶液:
2.00gのD(+)−グルコース一水和物を10.0mlの再蒸留水中で溶解させた。その溶液は室温で2時間後に使用の用意ができている。
【0085】
GlucDH2ストック溶液:
10.0mgのその酵素(Lyo)を1.00mlのトリス緩衝液中で溶解させた。
アセチルcNAD溶液(15mmol/l)の還元:
9.90mgのアセチルcNAD(分子量=659.47g/mol)を1.00mlの再蒸留水中で溶解させた。
【0086】
100μlのGlucDH2ストック溶液を0.90mlの希釈緩衝液中で溶解させた(希釈因子=10)。
cNADP(15mmol/l)の還元:
10μlのGlucDH2ストック溶液を0.99mlの希釈緩衝液中で溶解させた。100μlのこの溶液を0.40mlの希釈緩衝液中で溶解させた(希釈因子=500)。
【0087】
cNAD(15mmol/l)の還元:
10μlのGlucDH2ストック溶液を0.99mlの希釈緩衝液中で溶解させた。100μlのこの溶液を0.30mlの希釈緩衝液中で溶解させた(希釈因子=400)。
【0088】
調節した(25℃)試薬溶液をピペットで1cmプラスチックキュベット中に以下のように入れた:
【0089】
【表1】
【0090】
混合して25℃に調節した後、0.05mlの上記で言及した対応するGlucDH2溶液の添加により反応を開始した。紫外/可視スペクトルを30分後に記録した。
この実験から、アセチルcNADはデヒドロゲナーゼのための補酵素の役目も果たすことは明らかである。
【0091】
その吸収波長がアセチル化されていないNADおよび/またはcNAD形態と比較した場合により長い波長(400nmに近い最大値)にシフトしていることも分かっている。対応する吸収スペクトルを
図1において示す。これは、それが(生物学的)試料中に含まれる自己蛍光化合物からの干渉を低減または回避することを可能にするため、酸化還元に基づくアッセイに関する重要な利点である。