特許第5775179号(P5775179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ センサー エレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッドの特許一覧

特許5775179転位ベンディング構造を有する発光デバイス
<>
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000002
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000003
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000004
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000005
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000006
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000007
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000008
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000009
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000010
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000011
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000012
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000013
  • 特許5775179-転位ベンディング構造を有する発光デバイス 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775179
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】転位ベンディング構造を有する発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/12 20100101AFI20150820BHJP
   H01S 5/323 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H01L33/00 140
   H01S5/323 610
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-553626(P2013-553626)
(86)(22)【出願日】2012年2月11日
(65)【公表番号】特表2014-509077(P2014-509077A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】US2012024774
(87)【国際公開番号】WO2012109629
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】61/441,674
(32)【優先日】2011年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/370,470
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507186469
【氏名又は名称】センサー エレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ギャスカ,レミジジャス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュール,マイケル
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−251738(JP,A)
【文献】 特表2008−523623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
H01S 5/00 − 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
アルミニウム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成されるn型層、
前記n型層の第1の側に配置され、III族窒化物材料を含み、電磁放射をするように構成れた活性領域、及び
前記基板と前記n型領域との間に配置される転位ベンディング構造を含み、
記転位ベンディング構造は、少なくとも40対の互いに隣接する層を備え、各対の互いに隣接する層は、アルミニクム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成される第1の層、及びアルミニクム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成される第2の層を含み、
記第1の層と前記第2の層とは前記アルミニウムのモル分率が少なくとも5%異なり、
少なくとも1対の互いに隣接する前記第1の層又は前記第2の層の少なくとも一方は、III族窒化物材料におけるアルミニウムのモル分率が異なる短周期超格子を備える、発光デバイス。
【請求項2】
前記転位ベンディング構造中の各対の互いに隣接する層は、全体の厚さが10ナノメートルから1ミクロンの間にある、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
異なる対の互いに隣接する層に対する全厚は、50%の範囲で変化する、請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記基板と前記転位ベンディング構造との間に配置される中間層をさらに備える、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記中間層は、核形成層を備える、請求項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記基板はサファイア基板であり、前記n型層はn型クラッド層である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記1対の互いに隣接する前記第1の層又は前記第2の層の少なくとも一方は、傾斜組成又は傾斜ドーピングの少なくとも一方を備える、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記第1の層と前記第2の層との界面は、前記第1の層及び前記第2の層の双方と異なるエネルギーレベルを有する中間段階の領域を含む、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記第1の層と前記第2の層との界面は、エネルギーレベルが除々に変化する傾斜界面を含む、請求項に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記活性領域は、一組(一セット)のバリアが組み込まれた一組(一セット)の量子井戸を含み、且つ前記一組(一セット)のバリアの少なくとも一つは、III族元素の傾斜モル分率を有する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項11】
基板、
アルミニウム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成されるn型層、
前記n型層の第1の側に配置され、III族窒化物材料を含み、電磁放射をするように構成れた活性領域、及び
アルミニウム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成され、前記基板と前記n型領域との間に配置される転位ベンディング構造を含み、
記転位ベンディング構造は、前記基板から伝播する少なくとも一部の転位を、前記n型領域に達する前に、曲げ又は消滅させる手段を備え、
前記曲げ又は消滅させる手段は複数の層を含み、前記複数の層は、アルミニクム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成される第1の層、及びアルミニクム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成される第2の層を含み、
前記第1の層と前記第2の層とは前記アルミニウムのモル分率が少なくとも5%異なり、
前記第1の層と前記第2の層との間には、前記第1の層及び前記第2の層の双方と異なるエネルギーレベルを有する中間段階の領域を含む、発光デバイス。
【請求項12】
前記手段は、十分に大きなストレインを生成して前記少なくとも幾つかの転位の曲げを誘発する、請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記基板はサファイア基板であり、前記n型層はn型クラッド層である、請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記モル分率の差は、ストレインの目的量に基づいて選択される、請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項15】
前記モル分率の差は、前記第1の層又は前記第2の層の少なくとも一方の厚みに基づいて選択される、請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項16】
前記複数の層は、少なくとも40周期を含み、各周期は、前記複数の層の内の少なくとも二つの層を含む、請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項17】
サファイア基板の第1の側に転位ベンディング構造を形成し、前記転位ベンディング構造は、少なくとも40対の互いに隣接する層を備え、各対の互いに隣接する層は、アルミニクム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成される第1の層、及びアルミニクム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成される第2の層を含み、前記第1の層と前記第2の層とは前記アルミニウムのモル分率が少なくとも5%異なり、少なくとも1対の互いに隣接する前記第1の層又は前記第2の層の少なくとも一方は、III族窒化物材料におけるアルミニウムのモル分率が異なる短周期超格子を備えるものであり、
前記転位ベンディング構造の前記サファイア基板とは反対側の面上にアルミニウム及びガリウムを含むIII族窒化物材料で構成されるn型クラッド層を形成し、
前記n型クラッド層の前記転位ベンディング構造とは反対側の面上に活性層を形成する、発光デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記転位ベンディング構造は、少なくとも転位の曲げを誘導するのに十分な大きさのストレインを生成するように設計することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記短周期超格子におけるアルミニウムのモル分率は50%未満の範囲で異なっている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
記モル分率における差をストレインの目標量に基づいて選択することを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
記モル分率における差を前記第1の層又は前記第2の層の少なくとも一方の厚みに基づいて選択することを更に備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2011年2月11日に提出された“Light Emitting Diodes with Dislocation Bending Structure(転位ベンディング構造を有する発光ダイオード”と題する同時係属米国仮出願第61/441,674号の利益を主張し、それは、参照によってここに組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して発光デバイスに関し、より具体的には、光出力を向上できる、転位ベンディング構造(dislocation bending structure)を有する発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LEDs)及びレーザダイオード(LDs)のように半導体発光デバイスは、III−V族半導体より構成される固体発光デバイスを含む。III−V族半導体のサブセットは、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及び窒素(N)の二成分、三成分及び四成分合金を含むことができるIII族窒化物合金を含む。III族窒化物系LEDs及びLDsの具体例は、InAlGa1−x−yNの形態であり、ここで、xとyは、所与の元素のモル分率、0≦x、y≦1、及び0≦x+y≦1、を指す。III族窒化物系LEDs及びLDsの他の具体例は、窒化ホウ素(BN)をベースとしており、GaInAl1−x−y−zNの形態であり、そこでは、0≦x、y、z≦1、及び0≦x+y+z≦1である。
【0004】
LEDは、典型的には複数の層で構成される。各層は、種々の元素に対するモル分率(例えば、x、y及び/又はzの所与の値)の特定の組み合わせを有する。二つの層の間の界面は、半導体へテロ接合として定義される。界面において、モル分率の組み合わせは、離散的量だけ変化すると考えられる。モル分率の組み合わせが連続的に変化する層は、傾斜的であると言われる。
【0005】
半導体合金のモル分率の変化は、バンドギャップ制御を可能とし、バリアと量子井戸(QW)層を形成するために使用される。量子井戸は、二つの他の半導電層の間に位置される一つの半導電層を備え、これらの二つの半導電層の各々は、量子井戸のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する。量子井戸の伝導帯エネルギーレベルと隣接する半導体層の伝導帯エネルギーレベルとの間の差は、量子井戸の深さと呼ばれる。一般的に、量子井戸の深さは、量子井戸の辺毎に異なり得る。バリアは、二つの他の半導体層同士間に配置される半導体層よりなり、それらの他の半導体層の各々は、バリアのバンドギャップよりも小さなバンドギャップを有する。バリアの伝導帯エネルギーレベルと隣接する半導体層の伝導帯エネルギーレベルとの間の差は、バリア高さと呼ばれる。一般的に、バリアのバリア高さは、バリアの各側壁で異なり得る。
【0006】
半導体層の積層体は、幾つかのn型ドープされた層と一つ以上のp型ドープされた層を含むことができる。LEDの活性領域は、電子と正孔によるキャリアが再結合して光を放出するpn接合付近に形成される。この活性領域は、典型的には、キャリアを局在化するバリアと輻射再結合を向上させるための量子井戸を含む。量子井戸の内側に、電子と正孔は、波動関数の観点から機械的に量子と記述されるものである。各波動関数は、量子井戸内の局所エネルギーレベルに関連付けられている。電子と正孔の波動関数の重なりによって、輻射再結合と光の生成を生じさせる。
【0007】
III族窒化物LEDは、典型的には、ウルツ鉱型又は閃亜鉛鉱型結晶構造として成長される。ヘテロ接合において、二つの半導体層の格子不整合によって、結晶層の歪みと応力を引き起こし、内蔵電界を発現させる。更に、ウルツ鉱型結晶構造は、自発分極に起因する内部電界を示す。内部電界は、電子と正孔の波動関数の重なりを減少し、その結果として、発光量を減少させる。
【0008】
更に、半導体層の積層体は、典型的には、サファイアや炭化ケイ素基板構造上に成長される。基板と半導体層との間の大きな格子不整合は、転位を引き起こし、デバイスの発光を減少し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、発光デバイスの活性領域での多くの転位を減少するための解決策を提供する。転位ベンディング(曲げ)構造は、基板と活性領域との間の発光デバイスに含まれることができる。この転位ベンディング構造は、例えば、十分な量のストレイン(strain)の存在に起因して、活性領域へ到達する前に、転位を曲げる及び/又は消滅させるように構成されることができる。転位ベンディング構造は、複数の層を含むことができ、隣接する層は、一つの材料から構成されるが、各材料における元素のモル分率がその二つの層の間で異なっている。転位ベンディング構造は、互いに隣接する層同士間で少なくとも5%だけ異なる元素のモル分率を有する少なくとも40対の互いに隣接層を含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、基板、基板の第1の側に配置される活性領域及び基板と活性領域との間に配置される転位ベンディング構造を備える発光デバイスであって、転位ベンディング構造は、少なくとも40対の互いに隣接する層を備え、各対の互いに隣接する層は、一つの元素を含む材料で構成される第1の層と、一つの元素を含む材料で構成される第2の層を含み、元素のモル分率は、第1の層に対するのと第2の層に対するのとで少なくとも5%異なっている、発光デバイスである。
【0011】
本発明の第2の態様は、基板、基板の第1の側に配置される活性領域、及び基板と活性領域との間に配置される転位ベンディング構造を備える発光デバイスであって、転位ベンディング構造は、基板から伝播する少なくとも幾つかの転位を活性領域への到達に先立って曲げること又は消滅させることの少なくとも一方を行う手段を備える、発光デバイスである。
【0012】
本発明の第3の態様は、発光デバイスを製造する方法であって、本方法は、基板の第1の側に転位ベンディング構造を形成し、転位ベンディング構造は、基板から伝播する少なくとも幾つかの転位を活性領域への到達に先立って曲げること又は消滅させることの少なくとも一方を行う手段を備え、基板とは転位ベンディング構造の反対側に活性領域を形成する、方法である。
【0013】
本発明の例示的な態様は、ここで記述された問題の内の一つ以上の問題及び/又は議論されない一つ以上の他の問題を解決するように設計される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に従うシミュレーション発光出力と外部量子効率対貫通転位密度を示す。
図2】実施の形態に従う発光デバイスの具体例の設計を示す。
図3】実施の形態に従う転位ベンディング構造によって引き起こされる例示的なバンドベンディングを示す。
図4】実施の形態に従う転位ベンディング構造の例示的層構成に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。
図5】実施の形態に従う転位ベンディング構造の例示的層構成に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。
図6】実施の形態に従う転位ベンディング構造の例示的層構成に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。
図7】実施の形態に従う転位ベンディング構造の例示的層構成に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。
図8】実施の形態に従う転位ベンディング構造の例示的層構成に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。
図9】実施の形態に従う転位ベンディング構造の例示的層構成に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。
図10】実施の形態に従う転位ベンディング構造における層同士間の界面の幾つかの可能な構成を示す。
図11】実施の形態に従う未ドープ転位ベンディング層に対する例示的シミュレーションエネルギーバンド図を示す。
図12】実施の形態に従うドープされた転位ベンディング層に対する例示的シミュレーションエネルギーバンド図を示す。
図13】実施の形態に従う回路を制作するための例示的な流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示のこれら及び他の特徴は、本発明の種々の態様を表現する添付の図面と共に本発明の種々の態様の以下の詳細な記述からより容易に理解される。
【0016】
図面は、縮尺比でない場合もあることに留意すべきである。図面は、本発明の典型的な態様のみを表現することを意図しており、従って、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない。図面において、類似の番号は、図面同士間の類似の要素を表す。
【0017】
上で指摘したように、本発明の態様は、発光デバイスの活性領域における多数の転位を減少するための解決策を提供する。転位ベンディング構造は、基板と活性領域との間の発光デバイスに含まれることができる。この転位ベンディング構造は、例えば、十分な量のストレインの存在に起因して、転位が活性領域に到達するに先立って曲げる及び/又は消滅させるように構成されることができる。転位ベンディング構造は、複数の層を含むことができ、互いに隣接する層は、一つの材料から構成されるが、各材料のモル分率がそれらの二つの層の間で異なっている。転位ベンディング構造は、互いに隣接する層を少なくとも40対含むことができ、隣接する層同士間でモル分率が少なくとも5%異なるようにすることができる。ここで使用されるように、特に断りがない限り、用語“セット(set)”は、一つ以上の(即ち、少なくとも一つ)を意味し、フレーズ“解決策(any solution)”は、任意の現在既知の又は今後開発される解決策を意味する。
【0018】
図面を参照すると、図1は、実施の形態に従う発光出力と外部量子効率対貫通転位密度のシミュレーションを示す。図に示すように、貫通転位密度が限界、例えば、略10cm−2を超えて増加すると、外部量子効率と発光出力はもはや向上しない。
【0019】
図2は、実施の形態に従う発光デバイス10の例示的な構成を示す。実施の形態において、発光デバイス10は、発光ダイオード(LED)として動作するように構成される。或いは、発光デバイス10は、レーザダイオード(LD)として動作するように構成されてもよい。各ケースにおいて、発光デバイス10の動作中、発光デバイス10の活性領域20は、電磁放射線を放出する。発光デバイス10によって放出される電磁放射線は、可視光、紫外線放射線、遠紫外線放射線、赤外光、及び/又は同様なものを含む、任意の範囲の波長内のピーク波長を備えることができる。
【0020】
図に示すように、発光デバイス10は、基板12、核形成(開始)層14、バッファ層16、n型クラッド層18、活性領域20、p型ブロッキング層22、及びp型クラッド層24を含むことができる。一般的に、転位は、基板12と核形成層14のような隣接層との間の界面で開始し、ストレインに起因して、活性領域20を含む他の層内へ伝播し得る。発光デバイス10の性能は、活性領域20内の転位の密度に強く依存する。
【0021】
この点で、発光デバイス10は、基板12と活性領域20との間に位置される転位ベンディング(曲げ)構造26を含む。この転位ベンディング構造26は、ストレインに起因して基板12から伝播する転位を曲げる及び/又は部分的に消滅させるように構成されることができる。実施の形態では、転位ベンディング構造26は、異なるバンドギャップ及び/又は異なる内蔵分極場を有する複数の層を備える。例えば、転位ベンディング構造26内の互いに隣接する層は、材料の異なる組成よりなることができる。異なる材料組成は、自発分極及び/又は圧電分極に起因する高電界をもたらす。隣接する層同士間のヘテロ界面での分極場及び/又は組成変化は、転位伝播に影響を及ぼし且つ転位ベンディングとなりうる。更なる実施の形態において、転位ベンディング構造26は、周期構造を備えることができ、そこでは、複数の周期の各々が異なる組成の少なくとも二つの層を含む。
【0022】
転位ベンディングが発生するために、転位ベンディング構造26は、ある臨界値を越えるストレインを生成し得る。一般的に、ストレインは、層の厚み及び/又は互いに隣接する層の材料の違い(例えば、転位ベンディング構造26の一周期)に依存する。例えば、ストレインは、層の厚みが増加すると、増加し得る。更に、一つの材料で構成される互いに隣接する層では、ストレインは、各層の材料の元素のモル分率における差が増加されると、増加し得る。実施の形態では、転位ベンディング構造26は、クラッキングを引き起こす程大きくはないが、転位ベンディングを誘発するに十分に大きなストレインを有するように構成される。実施の形態では、転位ベンディング構造26の層の寸法(例えば、基板12から活性領域20まで一方向に測定されるような、厚み)は、層の組成、転位ベンディング構造26における互いに隣接する層の組成における差、及び/又は転位ベンディング構造26に存在する転位の転位ベンディングを誘発する目標とするストレインに基づいて選択される。目標とするストレインは、例えば、転位ベンディングを誘発するのに必要なストレインの量に対応する最小値とクラッキングを引き起こしうるストレインの量に対応する最大値によって定義されるような、任意の解決策を使用して画定される。
【0023】
図3は、実施の形態に従う転位ベンディング構造26(図2)によって引き起こされる例示的なバンドベンディングを示している。転位ベンディング構造26は、複数の層26A乃至26Dを含むことができる。転位30A乃至30Eが、基板12(図2)に最も近い側に位置される層26Aの転位ベンディング構造26内へ伝播することが示されている。図に示すように、転位ベンディングは、転位ベンディング構造26における互いに隣接する層26A乃至26Dのヘテロ界面に生じ得る。更に、転位ベンディングは、異なる経路で及び/形態で生じ得る。例えば、転位30Aは、層26Aと層26Bとの間のヘテロ界面で反対方向へ且つ基板12に戻るように曲がることが示されている。転位30Bは、層26Bと層26Cとの間のヘテロ界面で反対方向へ且つ基板12に戻るように曲がることが示されている。転位30Cは、層26Cと層26Dとの間のヘテロ界面に実質的に平行な方向へ曲がることが示されている。更に、転位30Dと30Eは、層26Dと他の層(図示せず)との間のヘテロ界面に実質的に平行な反対方向へ曲がることが示されている。ヘテロ界面に沿って互いに反対方向へ曲がることによって、転位30Dと30Eは、ぶつかり合って消滅する。図3は、バンドベンディングを描いているに過ぎないことを理解されたい。この点で、転位30A乃至30Cは、曲がった後、それらが消滅する、例えば、基板12と隣接する層との間の界面に達する、発光デバイス10の外表面へ延出する、及び/又は同様なことが生じるまで継続する。
【0024】
図3に示される例では、基板12により近い側に位置される層26Aに存在する転位30A乃至30Dのいずれもが、活性領域20により近い側に位置される層26Dを通過しない。その結果、活性領域20内に存在する転位の数は、転位ベンディング構造26を含むことがない場合に存在した転位の数から減少される。転位ベンディングの例示的な組み合わせが図3に示されているが、転位ベンディングの種々のタイプの任意の組み合わせが転位ベンディング構造26内に生じ得ることが理解される。この点で、転位は、同じヘテロ界面で異なるタイプの転位ベンディングを受け、転位は、任意の方向へ曲がり、ゼロ以上の任意の数の転位がヘテロ界面及び/又はそのようなところで曲がり得る。
【0025】
図2を再び参照すると、転位ベンディング構造26の層は、多くの実施の形態の内の任意の実施の形態を使用して転位ベンディングを誘発するように構成されることができる。実施の形態では、転位ベンディング構造26は、複数の周期を含み、これらの周期の各々は、異なる材料組成の少なくとも二つの隣接する層を含み、転位ベンディング構造26内で繰り返される。或いは、層は、非周期的であってもよい。各層の材料組成は、例えば、三元化合物または四元化合物よりなることができ、そこでは、互いに隣接する層のモル分率が変化する。二つの隣接する層同士間のヘテロ界面は、急峻であることができ、そこでは、モル分率が速やかに変化するか又は傾斜的であり、そこでは、モル分率がある距離にわたって変化される。同様に、転位ベンディング構造26内の層は、ドープされてもよいし、ドープされなくてもよい。
【0026】
例示的な実施の形態において、発光デバイス10は、III−V族材料系デバイスであり、そこでは、種々の層の幾つか或いは全てが、III−V族材料系から選択された二元、三元、四元、及び/又は同様の化合物から形成される。より特定の例示的な実施の形態において、発光デバイス10の種々の層は、III族窒化物系材料から形成される。III族窒化物材料は、BAlGaInN、そこでは、0≦W,X,Y,Z≦1及びW+X+Y+Z=1のような、一つ以上のIII族元素(例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In))と窒素(N)よりなる。例示的なIII族窒化物材料は、III族元素の任意のモル分率を有するAlN、GaN、InN、BN、AlGaN、AlInN、AlBN、InGaN、AlGaInN、AlGaBN、AlInBn、及びAlGaInBNを含む。
【0027】
III族窒化物系発光デバイス10の例示的な実施の形態は、InAlGa1−x−yN、GaInAl1−x−y−zN、AlGa1−xN半導体合金等よりなる活性領域20を含む。同様に、n型クラッド層18、p型ブロッキング層22、及びp型クラッド層24は、AlGa1−xN、InAlGa1−x−yN合金、GaInAl1−x−y−zN合金等より構成されることができる。x、y、及びzで与えられるモル分率は、種々の層18、20、22、及び24の間で変化し得る。基板12は、サファイア、炭化珪素、又は他の適切な材料であることができる。核形成層14及び/又はバッファ層16は、AlN、AlGaN/AlN超格子、及び/又は類似のものより構成されることができる。
【0028】
発光デバイス10における二つ以上の層の間のヘテロ界面は、傾斜組成を有することができる。同様に、一つの層は、傾斜組成及び/又はドーピングを有していてもよい。例えば、層18、22及び24の内の一つ以上の層は、傾斜組成物よりなることができる。更に、発光デバイス10における一つ以上の層は、短周期の超格子構造を有することができる。実施の形態において、p型クラッド層24及び/又はp型接点は、活性領域20によって発生される電磁放射線に対して少なくとも部分的に透明(例えば、半透明又は透明)であることができる。例えば、p型クラッド層24及び/又はp型接点は、少なくとも部分的に透明なマグネシウム(Mg)がドープされたAlGaN/AlGaN短周期超格子構造(SPSL)のような短周期超格子構造よりなることができる。更に、p型接点及び/又はn型接点は、活性領域20によって発生される電磁放射線に対して少なくとも部分的に反射性であることができる。他の実施の形態では、n型クラッド層18及び/又はn型接点は、AlGaN SPSLのような短周期超格子から形成されることができ、それは、活性領域20によって発生される電磁放射線に対して少なくとも部分的に透明である。
【0029】
ここで使用されているように、層は、その層が放射線波長の対応する範囲における電磁放射線の少なくとも一部分が通過することができる時に、少なくとも部分的に透明である。例えば、層は、ここで記述される活性領域20によって放出される光(紫外線や遠紫外線のような)に対するピーク発光波長(例えば、ピーク発光波長プラス・マイナス5ナノメートル)に対応する輻射波長の範囲に対して少なくとも部分的に透明であるように構成されることができる。ここで使用されているように、層は、その層が輻射の略0.5%より多くを通過させる場合、輻射に対して少なくとも部分的に透明である。更に特定の実施の形態において、少なくとも部分的に透明な層は、輻射の略5%より多くを通過させるように構成される。同様に、層は、その層が、関連する電磁輻射(例えば、活性領域のピーク発光に近い波長を有する光)の少なくとも一部分を反射する時に、少なくとも部分的に反射性である。実施の形態において、少なくとも部分的に反射性の層は、輻射の少なくとも略5%を反射するように構成される。
【0030】
活性領域20は、バリアによって分離された複数の量子井戸によって形成されることができる。実施の形態では、活性領域20のバリアは、バリアの各々の間で変化する、対応する元素の内の一つ以上の元素に対するモル分率を有する材料より構成されることができる。例えば、バリアは、GaInAl1−x−y−zN材料より構成されることができ、そこでは、Al、Ga、In、及び/又はBのモル分率の内の一つ以上のモル分率がバリア同士間で変化する。更に、これらのバリアの内の一つ以上のバリアは、傾斜組成よりなることができ、そこでは、バリアにおける元素(例えば、III族元素)のモル濃度がバリア内で及び/又はドーピングで変化する。傾斜組成におけるバリエーションは、対応するバリアのバリア高さが活性領域20のn型側から活性領域20のp型側への方向に増加する又は減少するように選択されることができる。実施の形態では、活性領域20におけるバリア層と量子井戸との間の複数のヘテロ界面の各々での伝導帯エネルギー不連続性及び価電子帯不連続性は、活性領域20の材料内で長手方向光学フォノンのエネルギーの二倍よりも大きいように構成される。
【0031】
実施の形態では、転位ベンディング構造26の層は、隣接する層に対してAlとxの異なるモル分率を有するAlGa1−xNよりなる。より特定の例示的な実施の形態において、互いに隣接する層のモル分率は、少なくとも5%だけ異なっている。更により特定の例示的な実施の形態において、互いに隣接する層のモル分率は、50%を超えるだけ異なることができ、それは、転位ベンディングのより大きな効率を提供する。転位ベンディング構造26は、任意の数の層を含むことができ、これらの層の各々は、任意の対応する厚みを有する。実施の形態において、転位ベンディング構造26は、少なくとも40周期を含む周期構造を有し、これらの周期の各々は、少なくとも二層を含み、且つ略10ナノメートル(100オングストローム)と略1ミクロンとの間の全厚み(周期サイズ)を有する。他の実施の形態において、転位ベンディング構造26は、少なくとも40対の層を含む非周期構造を有し、各対は、略10ナノメートル(100オングストローム)と略1ミクロンの間の全厚み(周期サイズ)を有する。転位ベンディング構造26が非周期構造を有する場合、異なる対の互いに隣接する層は、変化する全厚みを有してもよい。異なる対の互いに隣接する層の対する全厚みは、例えば、略50%まで変化し得る。
【0032】
転位ベンディング構造26の例示的な実施の形態の追加の詳細は、図4乃至図9を参照して示され且つ記述され、これらの図の各々は、実施の形態に従う転位ベンディング構造26の例示的層構成に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。
【0033】
図4は、実施の形態に従う転位ベンディング構造26(図2)に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。転位ベンディング構造26は、複数の周期32A乃至32Dを含むことができ、これらの周期の各々は、二つの層を含む。実施の形態において、各周期32A乃至32Dの層は、層毎に異なるAlのモル分率を有するAlGaNから形成される。この場合、Alのより大きなモル分率を有する層は、Alのより低いモル分率を有する層よりもより高いバンドギャップを有する。ここで記述されるように、周期32A乃至32Dで各層のAlのモル分率は、少なくとも5%だけ異なることができる。いずれにしても、周期32A乃至32Dの層における異なるAlのモル分率は、望ましい量のストレインを提供するように選択されることができ、ストレインは、Alのモル分率における差と共に増加する。同様に、各周期32A乃至32Dの各周期サイズは、クラッキングを引き起こす程大きくはないが対応するAlのモル分率で十分なストレインを提供するために十分に大きいように選択されることができる。ここで議論されているように、各周期の周期サイズは、略1ミクロン未満であることができる。
【0034】
図5は、他の実施の形態に従う転位ベンディング構造26(図2)に対応する例示的なエネルギーバンド図を示す。この場合、より高いバンドギャップを有する層は、短周期超格子を有するように形成される。描かれているように、短周期超格子は、二つ以上のギャップの間で交互となる多数の薄い層よりなることができる。同様に、図6は、他の実施の形態に従う転位ベンディング構造26に対応する例示的なエネルギーバンド図を示し、そこでは、より小さなバンドギャップを有する層が短周期超格子を有するように形成される。更に、図7は、他の実施の形態に従う転位ベンディング構造26に対応する例示的なエネルギーバンド図を示し、そこでは、層の全てが短周期超格子を有するように形成される。実施の形態では、短周期超格子は、AlGaNから形成され、短周期超格子の薄い層におけるAlのモル分率は二つ以上のモル分率の間で交互となっている。更なる例示的な実施の形態において、薄い層におけるAlのモル分率は略50%未満だけ異なっている。より特定の例示的な実施の形態において、薄い層におけるAlのモル分率は、略10%未満だけ異なっている。
【0035】
転位ベンディング構造26の層は、種々の可能な構成のいずれかよりなることができることを理解されたい。例えば、図8は、実施の形態に従う転位ベンディング構造26(図2)に対応する例示的なエネルギーバンド図を示し、そこでは、層の各々が傾斜しているエネルギーバンドを有する。傾斜しているエネルギーバンドは、Alの傾斜モル分率のような、傾斜組成を有する対応する層によって提供されることができる。この場合、モル分率は、第1の値から第2の値までの層の厚み全体にわたって安定的に変化されることができる。
【0036】
他の実施の形態において、一つの層の中である部分は、異なる構成を有することができる。例えば、図9は、実施の形態に従う転位ベンディング構造26に対応する例示的なエネルギーバンド図を示し、そこでは、より大きなバンドギャップを有する各層が、短周期超格子を使用して形成された第1の部分と、実質的に一定の組成で形成された第2の部分とを有する。
【0037】
更に、転位ベンディング構造26の層同士間の界面が、種々の可能な構成のいずれかを有することができることが理解される。例えば、図10は、実施の形態に従う転位ベンディング構造26における層同士間の界面36A乃至36Dの幾つかの可能な構成を示す。この点で、界面36Aは、第1の層のエネルギーバンドから第2の層のエネルギーバンドへの急激な変化を示すと共に、界面36Bは、第1の層のエネルギーバンドから第2の層のエネルギーバンドへ徐々に変化する形態を示す(例えば、傾斜界面)。更に、界面36cと36Dは、第1の層のエネルギーバンドから第2の層のエネルギーバンドへの変化示し、そこでは、遷移は、中間段階を含む。望ましい界面は、例えば、層の各々における元素(例えば、アルミニウム)の夫々のモル分率、層の成長パラメータ及び/又はそのようなものに基づいて選択されることができる。界面36A乃至36Dは、具体例に過ぎず、種々の他の界面が実施され得ることが理解される。例えば、代替的な一組(一セット)の界面は、界面36A乃至36Dのミラー画像よりなる界面を含むことができる。しかしながら、転位ベンディング構造26における層同士間の界面の種々の更なる構成が可能である。
【0038】
ここで記述されるように、転位ベンディング構造26の種々の層はドープされてもよいし、ドープされなくてもよい。この点で、図11図12は、実施の形態に従うアンドープされた転位ベンディング層とドープされたn型転位ベンディング層の対する例示的なシミュレーションエネルギーバンド図夫々を示す。各ケースにおいて、対応する転位ベンディング層は、各界面でベンディングを受ける転位の一部に起因して基板12から伝播する転位を逐次ろ過することができる。
【0039】
図2に戻って、発光デバイス10は、任意の解決策(solution)を使用して製造されることができることを理解されたい。例えば、基板12が得られ、その上に核形成層14が形成されることができ(例えば、成長、ドーピング、接着、及び/又は同様な動作)、バッファ層16が核形成層14上に形成されることができ、且つ、転位ベンディング構造26がバッファ層16上に形成されることができる。他の実施の形態において、発光デバイス10は、核形成層14なしに形成されることができ、且つバッファ層16は、基板12上に直接に形成されることができる。更に他の実施の形態において、転位ベンディング構造26の層は、基板12内に融合されることができ、基板12は、融合を促進する遷移層によって被覆されることができ、且つ転位ベンディング構造26には、核形成層14及び/又はバッファ層16が続くことができる。
【0040】
いずれにしても、n型クラッド層18は、転位ベンディング構造26の上に形成されることができる。更に、量子井戸とバリアを含むことができる活性領域20は、任意の解決策を使用してn型クラッド層18上に形成されることができる。p型ブロッキング層22は、活性領域20上に形成されることができ、且つp型クラッド層24は、任意の解決策を使用してp型ブロッキング層22上に形成されることができる。発光デバイス10の製造は、例えば、マスク層のような仮の層の堆積及び除去、一つ以上の層のパターン形成、図示されない一つ以上の追加の層/接点の形成、サブマウントへの適用(例えば、ビア接点パッド)、及び/又はそのようなことを含む追加の処理を含むことができることを理解すべきである。
【0041】
発光デバイスを設計する及び/又は制作する方法としてここに示され且つ記述されているが、本発明の態様は、更に種々の代替の実施の形態を提供することが理解される。例えば、実施の形態において、本発明は、ここで記述されたように設計及び制作される発光デバイスの内の一つ以上の発光デバイスを含む回路を設計及び制作する方法を提供する。
【0042】
この点で、図13は、実施の形態に従う回路126を制作する例示的な流れ図を示す。最初に、ユーザは、デバイス設計システム110を利用してここで記述されるような発光デバイスのためのデバイス設計112を発生することできる。デバイス設計112は、デバイス設計112によって定義される特徴に従って、デバイス制作システム114によって使用されて一組(一セット)の物理的デバイス116を発生することができるプログラムコードを備えることができる。同様に、デバイス設計112は、ユーザが利用して回路設計122(例えば、一つ以上の入力と出力を回路に含まれる種々のデバイスへ接続することによって)を発生できる回路設計システム120(例えば、回路で使用される利用可能なコンポーネントとして)へ提供されることができる。回路設計122は、ここで記述されるように設計されるデバイスを含むプログラムコードを備えることができる。いずれにしても、回路設計122及び/又は一つ以上の物理的デバイス116は、回路設計122に従って物理的回路126を発生できる回路制作システム124に対して提供されることができる。物理的回路126は、ここで記述されるように設計される一つ以上のデバイス116を含むことができる。
【0043】
他の実施の形態において、本発明は、ここで記述されるように半導体デバイス116を設計するためのデバイス設計システム110及び/又は半導体デバイス116を制作するためのデバイス制作システム114を提供する。この場合、システム110や114は、ここで記述されるように半導体デバイス116を設計する及び/又は制作する方法を実施するようにプログラムされる汎用コンピューティングデバイスを備えることができる。同様に、本発明の実施の形態は、ここで記述されるように設計及び/又は制作される少なくとも一つのデバイス116を含む回路126を設計するための回路設計システム120及び/又は回路126を制作するため回路制作システム124を提供する。この場合、システム120や124は、ここで記述されるように少なくとも一つの半導体デバイス116を含む回路126を設計する及び/又は制作する方法を実施するようにプログラムされる汎用コンピューティングデバイスを備えることができる。
【0044】
更に他の実施の形態において、本発明は、ここで記述されるように、実行されると、コンピュータシステムが半導体デバイスを設計する及び/又は制作する方法を実施することを可能とする少なくとも一つのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に固定されるコンピュータプログラムを提供する。例えば、このコンピュータプログラムは、ここで記述されるように、デバイス設計システム110がデバイス設計112を発生することを可能とすることができる。この点で、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって実行されると、ここで記述されるプロセスの幾つか又はすべてを実施するプログラムコードを含む。用語“コンピュータ読み取り可能な記録媒体”は、プログラムコードの格納コピーが認識され、再生され、或いはコンピューティングデバイスによって通信される現在既知の又は今後開発される表現の任意のタイプの有形的表現媒体の内の一つ以上の媒体を備えることを理解されたい。
【0045】
他の実施の形態において、本発明は、コンピュータシステムによって実行されると、ここで記述されるプロセスの幾つか又は全てを実施するプログラムコードのコピーを提供する方法を提供する。この場合、コンピュータシステムは、第2の離れた位置での受信のために、プログラムコードの特徴のセットの一つ以上の特徴を有する及び/又はそのセットのデータ信号にプログラムコードのコピーを符号化するように変更される一組(一セット)のデータ信号を発生及び送信するプログラムコードのコピーを処理できる。同様に、本発明の実施の形態は、ここで記述される一組(一セット)のデータ信号を受信し、そのセットのデータ信号を少なくとも一つのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に固定されるコンピュータプログラムのコピーに変換するコンピュータシステムを含む、ここで記述されるプロセスの幾つか又は全てを実施するプログラムコードのコピーを捕獲する方法を提供する。各場合において、前記セットのデータ信号は、任意のタイプの通信リンクを使用して、送信及び/又は受信されることができる。
【0046】
更に他の実施の形態において、本発明は、ここで記述されるように半導体デバイスを設計するためのデバイス設計システム110及び/又は半導体デバイスを制作するためのデバイス制作システム114を発生する方法を提供する。この場合、コンピュータシステムが得られることができ(例えば、作られ、維持され、利用可能とされる等)、ここで記述されるプロセスを実行するための一つ以上のコンポーネントが得られて(例えば、作られ、購入され、使用され、変更される等)及びそのコンピュータシステムへ配置されることができる。この点で、配置は、(1)プログラムコードをコンピューティングデバイスへインストールすること、(2)一つ以上のコンピューティング及び/又はI/Oデバイスをコンピュータシステムへ追加すること、(3)コンピュータシステムを組み込み及び/又は変更してそのコンピュータシステムにここに記述されるプロセスを実行させること、及び/又は同様のことの内の一つ以上を備えることができる。
【0047】
本発明の種々の態様の前述の記述は、例示と記述目的で提示された。その記述は、完全であることや、本発明を開示された正確な形態に制限することを意図してはおらず、多くの変更やバリエーションが可能であることは明らかである。当業者にとって明白であるそのような変更及びバリエーションは、添付の請求項によって定義される発明の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13