特許第5775188号(P5775188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775188
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】省電力方法及び関連する通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20150820BHJP
   H04W 36/14 20090101ALI20150820BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20150820BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20150820BHJP
   H04W 36/24 20090101ALI20150820BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20150820BHJP
【FI】
   H04W52/02
   H04W36/14
   H04W48/18 113
   H04W48/16 130
   H04W36/24
   H04W88/06
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-24507(P2014-24507)
(22)【出願日】2014年2月12日
(62)【分割の表示】特願2012-222770(P2012-222770)の分割
【原出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-82799(P2014-82799A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2014年2月12日
(31)【優先権主張番号】61/583,207
(32)【優先日】2012年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/605,200
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/605,207
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/606,480
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/609,311
(32)【優先日】2012年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502160992
【氏名又は名称】宏達國際電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】闕 ▲しん▼地
(72)【発明者】
【氏名】宮 文▲き▼
(72)【発明者】
【氏名】謝 文瑞
(72)【発明者】
【氏名】林 建男
(72)【発明者】
【氏名】范 振煌
(72)【発明者】
【氏名】戴 群
(72)【発明者】
【氏名】蘇 昌信
(72)【発明者】
【氏名】施 辰翰
(72)【発明者】
【氏名】李 經豪
(72)【発明者】
【氏名】王 其稜
(72)【発明者】
【氏名】陳 家偉
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ ▲ゆ▼銓
(72)【発明者】
【氏名】蓋 ▲啓▼聖
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/107781(WO,A1)
【文献】 特開2008−035421(JP,A)
【文献】 特開2008−263520(JP,A)
【文献】 特開2006−279577(JP,A)
【文献】 特表2012−503430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおけるモバイル装置の省電力方法であって、当該省電力方法は、
無線LAN(wireless local area network:WLAN)に接続するステップ
前記モバイル装置が居るネットワークを調べるステップ
前記モバイル装置が第1のネットワークに居るとき、第1の所定時間の間、WLANが接続されたままであるか否かを決定するステップ
第1の所定時間の間、WLANが接続されたままであると決定された場合は、前記第1のネットワークと異なるRAT(radio access technology)を用いる第2のネットワークにハンドオフするステップ、を有し、
前記第1のネットワークにおける前記モバイル装置の第1の電力消費は、前記第2のネットワークにおける前記モバイル装置の第2の電力消費より高い、省電力方法。
【請求項2】
前記第1のネットワークは、第4世代又は第3世代の無線ネットワークであり、前記第2のネットワークは、第2世代の無線ネットワークである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モバイル装置が前記第2のネットワークに居て、前記WLANが切断されるとき、前記第1のネットワークに切り戻すステップ、を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記WLANが切断されるとき、前記第1のネットワークに切り戻すステップは、
前記モバイル装置のスクリーンオン状態で前記WLANが切断されると直ちに前記第1のネットワークに切り戻すステップ、
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記WLANが切断されるとき、前記第1のネットワークに切り戻すステップは、
第2の所定時間の間、前記WLANが切断されたままであるか否かを決定するステップ
第2の所定時間の間、前記WLANが切断されたままであると決定された場合は、前記第1のネットワークに切り戻すステップ
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記WLANに接続するステップは、同一のSSID(service set identifier)で前記WLANに接続するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記モバイル装置が前記第2のネットワークにハンドオフするとき、前記第2のネットワークを介して音声呼を生成し、前記WLANを介してデータを転送するステップ、を更に有する請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本願は、米国特許仮出願番号61/583,207号、2012年1月5日出願、「Cellularnetworks switching method under WLAN network for power saving」、米国特許仮出願番号61/606,480号、2012年3月5日出願、「Power based cellular networks switching method」、米国特許仮出願番号61/605,207号、2012年3月1日出願、「RAT change method for battery life improvement」、米国特許仮出願番号61/605,200号、2012年3月1日出願、「RAT selection method for battery life improvement」の利益を主張する。これらの出願の内容は本願明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、無線通信システムで用いられる省電力方法及び関連する通信装置に関し、より詳細には無線通信システムにおける低電力消費ネットワークに切り替える省電力方法及び関連する通信装置に関する。
【背景技術】
【0003】
セルラ電話機、タブレットコンピュータシステム及びパーソナルデジタルアシスタントのようなモバイル装置は、音声呼、電子メッセージ、ウェブブラウジング、オーディオ/ビデオ記録及び再生のようなコンピュータ及び通信機能、並びに他の機能を提供できる。モバイル装置はバッテリにより給電されるので、これらの機能の使用はバッテリレベルを減少させる。バッテリは、最終的には再充電されなければならないが、これはユーザに不便である。したがって、バッテリの充電と充電の間の時間を延長するために、モバイル装置の電力消費を低減するという要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力消費に従ってネットワーク間を切り替える、無線通信システムにおけるモバイル装置の省電力方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線通信システムにおけるモバイル装置の省電力方法が開示される。省電力方法は、 前記モバイル装置と第1のネットワークとの間で送信された第1の信号に従って、第1のパラメータを得るステップ、前記第1のパラメータ及び前記第1のネットワークで用いられている第1のRAT(radio access technology)に従って、前記第1のネットワークにおける前記モバイル装置の第1の電力消費を推定するステップ、少なくとも、前記第1の電力消費と第2のネットワークにおける前記モバイル装置の第2の電力消費との比較により、前記第1のネットワークが適切か否かを決定するステップであって、前記第2のネットワークは前記第1のRATと異なる第2のRATを用いる、ステップ、前記第1のネットワークが適切でないとき、前記第2のネットワークに切り替えるステップ、を有する。
【0006】
無線通信システムにおけるモバイル装置の省電力方法が開示される。省電力方法は、無線LAN(wireless local area network:WLAN)に接続するステップ、前記モバイル装置が居るネットワークを調べるステップ、前記モバイル装置が第1のネットワークに居るとき、第1の所定時間の間、WLANが接続されたままであるか、及びWLANの信号強度レベルが所定値より上かを決定するステップ、前記第1のネットワークと異なるRAT(radio access technology)を用いる第2のネットワークにハンドオフするステップ、を有する。
【0007】
本発明のこれらの及び他の目的は、以下の、種々の図面に示された好適な実施形態の詳細な説明を読んだ後に当業者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な無線通信システムの概略図である。
図2】例示的な通信装置の概略図である。
図3】例示的な処理のフローチャートである。
図4】例示的な処理のフローチャートである。
図5】例示的な処理のフローチャートである。
図6】例示的な処理のフローチャートである。
図7】本発明の例による状態変化を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照する。図1は例示的な無線通信システム10の概略図である。図1では、サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140は、異なる無線アクセス技術(radio access technology:RAT)を用い、両方のRATに対応しているモバイル装置100は、サービングネットワーク120により供されている。サービングネットワーク120は、LTE(long-term evolution)又はHSPA+(High Speed Packet Access Plus)システムのネットワーク、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)システムのネットワークとして表され、目標ネットワーク140は、GSM(登録商標)システム又はGERAN Iuモードシステムのネットワークとして表されてもよい。LTEシステムでは、ネットワークは、複数のeNB(evolved-Node B)を有するE−UTRAN(evolved-UTRAN)として表される。UMTSシステムでは、ネットワークは、RNC(radio network controller)及び複数のNB(Node B)を有するUTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)として表される。GSM(登録商標)/GERAN Iuモードシステムでは、ネットワークは、BSC(base station controller)及び複数の基地局を有するGERANとして表される。モバイル装置は、上述のRATに対応しているユーザ機器(UE)又は移動局(MS)として表され、携帯電話機、コンピュータシステム等のような装置であってよい。さらに、ネットワーク120、140及びモバイル装置100は、伝送方向によって送信機又は受信機と見なされる。例えばアップリンク(UL)では、モバイル装置100は送信機でありネットワーク120、140は受信機である。またダウンリンク(DL)では、ネットワーク120、140が送信機でありモバイル装置100が受信機である。留意すべき点は、必ずしも、サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140が2つの異なるシステムでなくてもよいことである。2つの同一の又は同様のシステムも、本開示の範囲に包含される。
【0010】
図2を参照する。図2は例示的な通信装置20の概略図である。通信装置20は、図1に示すモバイル装置100又はネットワーク120、140であり、プロセッサ200、コンピュータ可読記録媒体210及び通信インタフェースユニット220を有する。コンピュータ可読記録媒体210は、後にプロセッサ200により読み出され処理されるプログラムコード214を含む記憶データ212を格納する任意のデータ記憶装置であってもよい。コンピュータ可読記録媒体210の例は、加入者識別モジュール(SIM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD−ROM、磁気テープ、ハードディスク、及び光学データ記憶装置、及び(インターネットを通じたデータ送信のような)搬送波を含むが、これらに限定されない。通信インタフェースユニット220は、望ましくは通信装置と無線で通信するための無線通信機であり、プロセッサ200からの処理結果を無線信号に変換できる。
【0011】
図3を参照する。図3は、処理30のフローチャートを示す。処理30は、無線通信システム10において省電力のためにモバイル装置100で用いられる。処理30は、プログラムコード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ300:開始
ステップ302:モバイル装置100がサービングネットワーク120に登録するとき、モバイル装置100とサービングネットワーク120との間で送信された信号に従って、パラメータP1を得る。
ステップ304:パラメータP1及びサービングネットワーク120で用いられているRATに従って、サービングネットワーク120におけるモバイル装置100の電力消費X1を推定する。
ステップ306:電力消費X1に従って、サービングネットワーク120が適切か否かを決定する。適切な場合、ステップ310へ進む。適切でない場合、ステップ308へ進む。
ステップ308:目標ネットワーク140に切り替える(つまり、目標ネットワーク140は現在のサービングネットワークになる)。
ステップ310:発呼するとき、モバイル装置100と現在のサービングネットワーク(つまり、ステップ308が実行されるかどうかに依存して、サービングネットワーク120又は目標ネットワーク140のいずれか)との間で送信された信号に従って、パラメータP2を得る。
ステップ312:パラメータP2に従って、現在のサービングネットワークにおける電力消費X2を推定する。
ステップ314:電力消費X2に従って、現在のサービングネットワークが適切か否かを決定する。適切な場合、ステップ316へ進む。適切でない場合、ステップ318へ進む。
ステップ316:現在のサービングネットワークに留まり、ステップ310へ進む。
ステップ318:現在の目標ネットワーク(つまり、現在のサービングネットワークがサービングネットワーク120/目標ネットワーク140である場合、現在の目標ネットワークは目標ネットワーク140/サービングネットワーク120である)に切り替え、ステップ310へ進む。
【0012】
処理30に従って、モバイル装置100はサービングネットワーク120に登録し、モバイル装置100とサービングネットワーク120との間で送信された信号に従って、パラメータP1を得る。例えば、この信号は、モバイル装置100により受信され、パラメータP1を有してもよい。或いは、モバイル装置100は、受信信号からパラメータP1を引き出してもよい。パラメータP1は、望ましくは、サービングネットワーク120により送信された送信(TX)レベル若しくはTA(timing advance)値、又は平均電流消費と距離との間の正相関を有する任意のパラメータであってもよい。留意すべき点は、通常、TXレベル又はTA値は、モバイル装置100がサービングネットワーク120との無線リンクを確立するとき、例えばサービングネットワーク120に登録するとき、サービングネットワーク120とシグナリングを交換するとき、発呼するとき等に得られることである。次に、モバイル装置100は、パラメータP1(例えば、TXレベル又はTA値)及びサービングネットワーク120で用いられているRATに従って、電力消費X1を推定し、電力消費X1に従ってサービングネットワーク120が適切か否かを決定する。一実施形態では、モバイル装置100は、この時点でスタンバイモード(又はアイドルモード)にあり、モバイル装置100は、(例えばセル選択又は再選択により)一時的に目標ネットワーク140に切り替え、そこからパラメータP3を得て、パラメータP3及び目標ネットワーク140で用いられているRATに従って目標ネットワーク140におけるモバイル装置100の電力消費X3を推定するようにしてもよい。次に、モバイル装置100は、サービングネットワーク120に切り戻す。このように、ステップ306で、モバイル装置100は、電力消費X1及びX3の比較に従って、サービングネットワーク120が適切か否かを決定できる。例えば、サービングネットワーク120は、X1がX3より少ない場合に適切であり、その他の場合に適切でないと決定できる。
【0013】
サービングネットワーク120が適切な場合、モバイル装置100は、サービングネットワーク120に留まる。サービングネットワーク120が適切でない場合、モバイル装置100は、ステップ308で目標ネットワーク140に切り替える(つまり、目標ネットワーク140が現在のサービングネットワークになる)。次に、モバイル装置100が現在のサービングネットワーク(つまり、ステップ308が実行されるかどうかに依存して、サービングネットワーク120又は目標ネットワーク140のいずれか)に発呼するとき、モバイル装置100は、現在のサービングネットワークから新しいパラメータP2を得る。同様に、パラメータP2は、望ましくは、発呼している間の新しいTXレベル又は新しいTA値である。呼は、音声呼又はデータ送信のいずれかであってもよい。次に、モバイル装置100は、新しいパラメータP2及び現在のサービングネットワークで用いられているRATに従って、現在のサービングネットワークにおけるモバイル装置100の電力消費X2を推定し、推定した電力消費X2に従って現在のサービングネットワークが適切か否かを決定する。一実施形態では、この時点で、モバイル装置100は呼の最中なので、モバイル装置100は、モバイル装置100が他のネットワークにハンドオフされない限り、任意の他のネットワーク以外の現在のサービングネットワークにおける電力消費を推定するためのパラメータしか得ることができない。したがって、現在のサービングネットワークがサービングネットワーク120である場合、モバイル装置100は、X2とX3の比較に従って(X3は、発呼の前に推定された目標ネットワーク140における電力消費である)、現在のサービングネットワークが適切か否かを決定する。現在のサービングネットワークが目標ネットワーク140である場合、モバイル装置100は、X1とX2の比較に従って(X1は、発呼の前に推定されたサービングネットワーク120における電力消費である)、現在のサービングネットワークが適切か否かを決定する。
【0014】
現在のサービングネットワークが適切な場合、モバイル装置100は現在のサービングネットワークに留まる。現在のサービングネットワークが適切でない場合、モバイル装置100は、上述のステップ318で説明したように現在の目標ネットワークに切り替える。その結果、モバイル装置100は、ネットワークにおけるモバイル装置100の電力消費に従って、異なるネットワーク間で切り替える。言い換えると、モバイル装置100は、他より低い電力消費を有するネットワークに切り替える。これは、無線通信システム10において省電力の目的を達成できる。従来と比較して、本発明では、モバイル装置100は、サービス品質だけでなく、各ネットワークにおける電力消費に従って、別のネットワークに切り替えるか否かを決定できる。一実施形態では、サービングネットワーク120は、3Gネットワークであり、目標ネットワーク140は2Gネットワークであってもよい。
【0015】
望ましくは、電力消費X1の推定は、サービングネットワーク120における平均電流Aadの推定と考えられる。モバイル装置100は、ルックアップテーブルを用いることにより、サービングネットワーク120における平均電流Aadを推定する。さらに、電力消費は、電力消費に比例する限り、任意の形式、例えば電流、電圧で表現することもできる。ルックアップテーブルは、モバイル装置100内のメモリ又は記憶装置内に格納でき、予め線形補間アルゴリズムにより確立できる。例えば、TA値は、通常0乃至63の間であり、各ステップが1ビット期間(約3.69μs)の進みを表す。約300,000,000メートル毎秒(つまり、300メートル毎マイクロ秒)で伝搬する電波では、1つのTAステップは、約1,100メートルの往復距離(伝搬範囲の2倍)の変化を表す。これは、550メートル毎のTA値の変化が、モバイル装置と基地局との間の範囲で変化することを意味する。この63×550メートルの制限は、最大35キロメートルである。この制限は、モバイル装置が基地局から離れて存在できる距離であり、セル配置距離の上限である。以下の表を参照する。
【0016】
表1は、2GシステムのTXレベルと平均電流との間の関係を示す例示的なルックアップテーブルを示す。また、TA値は、線形補間アルゴリズムを適用することにより、相対的なTAレベルに対応し得る。距離とTXレベルとの間の有意な正相関のために、TA値は、電力消費を推定するために用いることができる。
表1:2GシステムのTXレベルと平均電流との間の関係
【0017】
【表1】
【0018】
モバイル装置100がTXレベル又はTA値を2Gネットワークから得るとき、対応する平均電流は表1から分かる。例えば、この表から、TAが63の場合、TXレベル及び平均電流は、5及び252.01mAである。
【0019】
表2は、本開示による別のルックアップテーブルを示し、3GシステムのTXレベルと平均電流との間の関係を示す。
表2:3GシステムのTXレベルと平均電流との間の関係
【0020】
【表2】
【0021】
留意すべき点は、表1及び表2の平均電流は、異なるモバイル装置100で異なることである。
【0022】
一実施形態では、平均電流を調べるために用いられるルックアップテーブルは、モバイル装置100内に存在し、平均電流、電力消費を推定するためのパラメータ及びネットワークで用いられているRATの間の対応を示す、例えば、RATが3Gであり、TXレベルが10のとき、対応する平均電流は222.70mAである。また、RATが2Gであり、TXレベルが10のとき、対応する平均電流は151.78mAである。
【0023】
サービングネットワークにおける平均電流Aadが得られた後、モバイル装置100はサービングネットワーク120が適切か否かを決定する。望ましくは、モバイル装置100は、平均電流Aadが式を満たすとき、サービングネットワーク120が適切でないと決定でき、電力消費平均電流Aadが式を満たさないとき、サービングネットワーク120は適切であると決定できる。この式はAad>Atrと表される。ここで、Aadはサービングネットワーク120における平均電流であり、Atrは目標ネットワーク140における平均電流である。平均電流Atrも、ルックアップテーブルを用いることにより、つまり予め目標ネットワーク140からルックアップテーブルへのインデックスとして得られたTXレベル又はTA値(例えば、上述のパラメータP3)を用いることにより、得られる。さらに、この閾は、Aad−Atr>0と書き換えられる。つまり、計算結果がゼロより大きい場合、目標ネットワーク140はサービングネットワーク120より低い電力消費を有することを意味する。モバイル装置100は、目標ネットワーク140に切り替える。計算結果がゼロより大きくない場合、サービングネットワーク120は目標ネットワーク140より低い電力消費を有することを意味する。モバイル装置100は、サービングネットワーク120に留まる。
【0024】
留意すべき点は、モバイル装置100によりその電力消費を推定するために用いられるパラメータは、モバイル装置100とサービングネットワーク120/目標ネットワーク140との間で送信された信号から引き出すことができる信号強度レベル、サービングネットワーク120/目標ネットワーク140から得ることができる不連続受信(discontinuous reception:DRX)サイクル長も含み得ることである。例えば、モバイル装置100は、ネットワーク側から受信した信号に含まれるDRXサイクル長を得ることができ、送信/受信信号の強度を測定することにより信号強度レベルを得ることができる。
【0025】
図4を参照する。図4は、処理40のフローチャートを示す。処理40は、無線通信システム10において省電力のためにモバイル装置100で用いられる。処理40は、プログラムコード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ400:開始
ステップ402:サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140の信号強度レベルを得る。
ステップ404:信号強度レベル及びサービングネットワーク120及び目標ネットワーク140で用いられているRATに従って、サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140におけるモバイル装置100の電力消費を推定する。
ステップ406:サービングネットワーク120が目標ネットワーク140より低い電力消費を有するか否かを決定する。低い場合、ステップ410へ進む。低くない場合、ステップ408へ進む。
ステップ408は、目標ネットワーク140に切り替える。
ステップ410:終了
処理40によると、モバイル装置100は、先ず、サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140の信号強度レベルを得る。信号強度レベルは、例えば、モバイル装置100から送信され且つサービングネットワーク120又は目標ネットワーク140で受信された(又はその逆)信号に現れる電力レベルを表す。例えば、信号強度レベルは、例えば別雑音、他の送信機からの干渉、所望の信号の電力又は他の特徴を考慮に入れたRSSI(Received Signal Strength Indicator)であってもよい。信号強度レベル及びネットワークで用いられているRATに基づき、モバイル装置100は、各ネットワークにおけるモバイル装置100の電力消費を推定する。例えば、モバイル装置100のメモリに格納されたルックアップテーブルは、(電力消費を表すために用いることができる)電流消費を決定するために適用できる。より詳細には、ルックアップテーブルは、異なるRAT、RSSI及び平均電流の間の対応を格納できる。したがって、RAT及びRSSIの特定の組合せが与えられると、ルックアップテーブルを用いることにより、対応する平均電流を得ることができる。 表3は、このルックアップテーブルの例を示す。
表3:異なるRATに対するRSSIと電力消費との間の関係
【0026】
【表3】
【0027】
サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140の電力消費を決定した後に、モバイル装置100は、どのネットワークが最低の(又は最も適した)電力消費に対応するかを決定する。サービングネットワーク120が最低の(又は最も適した)電力消費に対応する場合、処理40は終了する。その他の場合、モバイル装置100は、サービングネットワーク120から最低の(又は最も適した)電力消費を有する目標ネットワーク140に切り替える。
【0028】
一実施形態では、ステップ404で推定した電力消費は、呼(例えば、音声呼又はデータ呼)の最中のモバイル装置100の平均電力消費であり、処理40は、モバイル装置100がスタンバイモードであるとき又は呼の最中に実行される。別の実施形態では、ステップ404で推定した電力消費は、モバイル装置100がスタンバイモードであるときのモバイル装置100の平均電力消費であり、処理40は、モバイル装置100がスタンバイモードであるときに実行される。
【0029】
図5を参照する。図5は、処理50のフローチャートを示す。処理50は、無線通信システム10において省電力のためにモバイル装置100で用いられる。処理50は、プログラムコード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ500:開始
ステップ502:スタンバイモードに入る。
ステップ504:サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140の信号強度レベル及びDRX(discontinuous reception)サイクル長を得る。
ステップ506:信号強度レベル、DRXサイクル長、並びにサービングネットワーク120及び目標ネットワーク140で用いられているRATに従って、サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140におけるモバイル装置100の電力消費を推定する。
ステップ508:サービングネットワーク120が目標ネットワーク140より低い電力消費を有するか否かを決定する。低い場合、ステップ512へ進む。低くない場合、ステップ510へ進む。
ステップ510:目標ネットワーク140に切り替える。
ステップ512:終了
処理50によると、モバイル装置100は、スタンバイモード(例えば、電話呼、ウェブブラウジング、e-mailがない)に入ることを決定する。スタンバイモード中、モバイル装置100は、サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140の信号強度レベル及びDRXサイクル長を得ることができる。例えば、信号強度レベルは、RSSI(Received Signal Strength Indicator)であってもよい。DRXサイクル長は、サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140により決定される、短いDRXサイクルは、モバイル装置100がページングメッセージを聞くためにより頻繁に目覚める必要があり、したがって、長いDRXサイクルよりも多くの電力を消費することを意味する。信号強度レベル、DRXサイクル長及びネットワークで用いられているRATに基づき、モバイル装置100は、モバイル装置100がスタンバイモードにあるとき、各ネットワークにおけるモバイル装置100の電力消費を推定する。例えば、モバイル装置100のメモリに格納されたルックアップテーブルは、電流消費を決定するために適用できる。より詳細には、ルックアップテーブルは、異なるRAT、RSSI、DRXサイクル長及び平均電流の間の対応を格納できる。したがって、RAT、RSSI及びDRXサイクル長の特定の組合せが与えられると、ルックアップテーブルを用いることにより、対応する平均電流を得ることができる。表4は、このルックアップテーブルの例を示す。
表4:異なるRATに対するRSSI、DRXサイクル長及び電力消費の間の関係
【0030】
【表4】
【0031】
サービングネットワーク120及び目標ネットワーク140の電力消費を決定した後に、モバイル装置100は、どのネットワークが最低の(又は最も適した)電力消費に対応するかを決定する。サービングネットワーク120が最低の(又は最も適した)電力消費に対応する場合、処理40は終了する。その他の場合、モバイル装置100は、サービングネットワーク120から最低の(又は最も適した)電力消費を有する目標ネットワーク140に切り替える。
【0032】
一実施形態では、モバイル装置100がスタンバイモード(又はアイドルモード)であり、ステップ318、408及び510で説明したようにネットワークの切り替えを実行しているとき、モバイル装置100は、セル選択手順を実行して、現在のサービングネットワークから別のネットワークへ切り替えることができる。代替として、モバイル装置100が別のネットワークの目標セル情報を有する場合、モバイル装置100は、セル再選択手順を実行して、別のネットワークに切り替えることができる。別の実施形態では、モバイル装置100が専用/接続モード(例えば、呼の最中)であり、ステップ318、408で説明したようにネットワークの切り替えを実行しているとき、モバイル装置100は、RAT間ハンドオーバ手順を実行して、現在のサービングネットワークから別のネットワークへ切り替えることができる。セル選択手順、セル再選択手順及びRAT間ハンドオーバ手順の全ては、関連する3GPP仕様で定められ、ここでは更に説明されない。
【0033】
図6を参照する。図6は、処理60のフローチャートを示す。処理60は、無線通信システム10において省電力のためにモバイル装置100で用いられる。処理60は、プログラムコード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ600:開始
ステップ602:無線LAN(wireless local area network:WLAN)に接続する。
ステップ604:モバイル装置100が居るネットワークを調べる。モバイル装置が3Gネットワークに居る場合、ステップ606へ進む。モバイル装置が2Gネットワークに居る場合、ステップ612に進む。
ステップ606:3Gネットワークを用いる。
ステップ608:WLANが第1の所定の時間の間、接続されたままであるか否か、WLANの信号強度レベルが所定値より上か否かを決定する。そうである場合、ステップ610へ進む。そうでない場合、ステップ606へ進む。
ステップ610:2Gネットワークにハンドオフする。
ステップ612:2Gネットワークを用いる。
ステップ614:スクリーンオンの状態で又はスクリーンオフの状態でWLANが切断されているかを決定する。スクリーンオンの状態でWLANが切断されている場合、ステップ618へ進む。スクリーンオフの状態でWLANが切断されている場合、ステップ616へ進む。
ステップ616:WLANが第2の所定の時間の間、切断されたままであるか否かを決定する。そうである場合、ステップ618へ進む。そうでない場合、ステップ612へ進む。
ステップ618:3Gネットワークにハンドオフする。
【0034】
処理60によると、モバイル装置100は、同一のSSID(service set identifier)でWLANに接続する。次に、モバイル装置100は、モバイル装置100が居るネットワークを調べる。モバイル装置100が3Gネットワーク(例えば、UMTSネットワーク)に居る場合、モバイル装置100は、WLANが第1の所定の時間の間、接続されたままであるか否か、又はWLANの信号強度レベルが所定値より上か否かを決定する。WLANが第1の所定の時間の間、接続されたままであるか、又はWLANの信号強度レベルが所定値より上かである場合、モバイル装置100は、2Gネットワーク(例えば、GSM(登録商標)ネットワーク)にハンドオフする。モバイル装置100が2Gネットワークに居る場合、モバイル装置100は、WLANがスクリーンオン状態で切断されると直ちに3Gネットワークにハンドオフする。或いは、WLANが切断スクリーンオフ状態で切断されると、モバイル装置は、第2の所定の時間の間、待機する。WLANが第2の所定の時間の間に接続を回復できない場合、モバイル装置は3Gネットワークにハンドオフして戻る。モバイル装置100が2Gネットワークにハンドオフし、WLANが接続されると、モバイル装置は、2Gネットワークを介して電話をかけることができ、WLANを介してデータを転送できる。このように、モバイル装置100は、音声呼及びデータ転送の両方を3Gネットワークで実行するより良好な電力効率を有する。留意すべき点は、処理60における3Gネットワークは、4Gネットワーク(例えば、LTEネットワーク)により置き換えることもできることである。
【0035】
一実施形態では、処理60では、3Gネットワーク及び2Gネットワークは、第1のネットワーク及び第2のネットワークによりそれぞれ置き換えることができることである。ここで、モバイル装置100は、モバイル装置100が発呼するとき、第2のネットワークよりも第1のネットワークの方がより高い電力消費(例えば、高い平均電流)を有する。したがって、例えば、第1のネットワークは3G又は4Gネットワークであり、第2のネットワークは2Gネットワークであってもよい。
【0036】
前述の処理60は、モバイル装置100における状態変化にも関係する。図7を参照し、本例による状態変化を説明する。モバイル装置100は、モバイル装置100がWiFiに接続するとき、自動状態からWiFi(又はWLAN)を有する3G状態へ切り替える。自動状態では、モバイル装置100は、居るために利用可能なネットワークのうちの1つを自動的に選択できる。現在の3GPP仕様では、3Gネットワークは、2Gネットワークより高い優先度を有する。したがって、3G及び2Gネットワークの両方が利用可能な場合、モバイル装置100は先ず3Gネットワークを選択するだろう。モバイル装置100は、WiFiが切断されるとき、WiFiを有する3G状態から自動状態へ切り替える。モバイル装置100は、WiFiが所定時間の間(例えば5分間)、同じSSIDで接続されたままであるとき、WiFiを有する3G状態から2G状態へ切り替える。このように、モバイル装置100は、不安定なWiFi接続状態により3Gネットワークと2Gネットワークとの間で頻繁に切り替えることを防ぐことができる。モバイル装置100は、WiFiが切断されるとき、2G状態からWiFiを有しない2G状態へ切り替える。WiFiを有しない2G状態では、モバイル装置100は、再びWiFiが接続されるときに2G状態に切り戻し、WiFiがスクリーンオン状態で切断されたとき又はWiFiがスクリーンオフ状態で所定時間の間切断されたままであるとき、自動状態に切り替える。WiFiがスクリーンオン状態で切断される状態が生じたとき、これは、モバイル装置100のユーザが近いうちにデータサービスを必要とするかも知れないが、WiFiサービスを使用できないことを意味する。したがって、モバイル装置100は、自動状態に切り替える必要がある。WiFiが所定時間の間、スクリーンオフ状態で切断されたままの状態は、WiFiが近いうちに単に切断された場合、モバイル装置100を2G状態に留める。
【0037】
提案されたステップを含む上述のステップは、ハードウェア、ハードウェア装置とコンピュータ命令と読み出し専用ソフトウェアとしてハードウェア装置に存在するデータの組合せとして知られるファームウェア又は電子システムであってもよい手段により実現されうる。ハードウェアの例は、アナログ、デジタル及び超小型回路、マイクロチップ又はシリコンチップとして知られる混合回路を含みうる。電子システムの例は、SOC(system on chip)、Sip(system in package)、COM(computer on module)、及び通信装置20を含む。通信装置20では、プロセッサ200が上述の処理に関連するプログラムコード214を処理し、処理結果は、無線通信システム20のフィードバック負荷の低減を実行しうる。
【0038】
まとめると、モバイル装置は、サービングネットワークに接続し、サービングネットワークからパラメータ(TXレベル、TA値、信号強度レベル又はDRXサイクル長)を得る。モバイル装置は、パラメータに従って電力消費を推定し、電力消費に従ってサービングネットワークが適切か否かを決定する。サービングネットワークが適切な場合、モバイル装置はサービングネットワークに留まる。サービングネットワークが適切でない場合、モバイル装置は目標ネットワークに切り替える。モバイル装置が目標ネットワークに切り替える場合、モバイル装置は、処理を始めから再び開始する。さらに、モバイル装置は、発呼するとき、新しいパラメータを得る。モバイル装置は、新しいパラメータに従って電力消費を再び推定し、再推定した電力消費に従って現在のサービングネットワークが依然として適切か否かを決定する。現在のサービングネットワークが適切な場合、モバイル装置は現在のサービングネットワークに留まる。サービングネットワークが適切でない場合、モバイル装置はより低い電力消費を有する別のネットワークに切り替える。その結果、モバイル装置は、ネットワークにおける電力消費に従って、異なるネットワーク間で切り替える。この状況では、モバイル装置は、他より低い電力消費を有するネットワークに切り替え、それにより省電力を達成する。
【0039】
当業者は、本発明の教示を守りつつ、装置及び方法の多くの変更及び代替に直ちに気付くだろう。したがって、上述の開示は、添付の請求の範囲の境界によってのみ限定されると考えられるべきである。
【符号の説明】
【0040】
100 モバイル装置
120 サービングネットワーク
140 目標ネットワーク
200 プロセッサ
210 コンピュータ可読記憶媒体
212 記憶データ
214 プログラムコード
220 通信インタフェースユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7